(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献2に記載された内視鏡(ビデオ硬性鏡)は、カバーガラスがある内視鏡の先端部にヒータが配置されているので、カバーガラスが曇るのを防止する機能がある。
しかしながら、その内視鏡は、操作者が手で把持する手元部と、ヒータ、カバーガラス、CCD等が内設された挿入部とが、一体に形成されると共に、その挿入部が長尺なため、挿入部のみを滅菌したり、洗浄したりする作業が行い難いという問題点があった。
その内視鏡は、長尺で分割できないので、これに伴って、滅菌したり、洗浄したりする装置全体が大型化するという問題点があった。
【0011】
また、特許文献2の医療用電気機器積載カートは、送風手段と、この送風手段に接続された接続チューブと、内部管路とが、内視鏡に接続されたままスコープハンガーカバーに内設されるため、スコープハンガー全体が大型化するという問題点があった。特に、内部管路は、内視鏡からぶら下がった状態でハンガー部に掛けられているため、スコープハンガーが上下方向に長くなり、全体が大型化するという問題点があった。
【0012】
前記したように特許文献2,3に記載されているような内視鏡は、患者の体腔内に挿入する長さが長く、手元の把手部と一体になっているので、医療用電気機器積載カートが大型化するばかりではなく、全体が長く大きいことに伴って、洗浄したり、滅菌したりする作業も行い難いという問題点があった。
【0013】
一方、特許文献1に記載されているようなOCT装置には、曇り防止装置を備えたものはない。この特許文献1のOCT装置のプローブに、前記特許文献2の内視鏡用の曇り防止用装置を使用した場合には、ノズルの先端にヒータが配置されるので、ノズルを洗浄、滅菌する際に、プローブ全体を洗浄、滅菌しなければならないため、作業効率が悪いという問題点がある。
【0014】
また、この特許文献1のOCT装置のプローブに、前記特許文献3の医療用電気機器積載カートを使用した場合には、ノズルを洗浄、滅菌する際に、プローブ全体を大型のカート内に入れて洗浄、滅菌しなければならないため、防水性や、占有スペースを広く取るという問題点がある。
【0015】
そこで、本発明は、そのような問題を解消すべく発明されたものであって、ノズルを患者の口腔内に挿入したときに、ノズル内のミラーが曇るのを防止することができる光干渉断層画像生成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明に係る光干渉断層画像生成装置は、光源から照射されたレーザ光を、被写体に照射する計測光と参照ミラーに照射する参照光とに分配する光学ユニ
ット部を有し、前記被写体から反射して戻ってきた散乱光と前記参照ミラーで反射した反射光とを合成させた干渉光を解析して光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成装置であって、前記計測光を前記被写体に照射して前記反射して戻ってきた散乱光を回収するプローブと、このプローブ内に導入されたレーザ光の照射方向を変化させる走査手段と、この走査手段からの前記計測光を前記被写体に照射して前記散乱光を回収する開口部と前記レーザ光を反射するミラーを有し、前記プローブに着脱自在に設けられるノズルと、前記光学ユニット部を積載する支持スタンドと、前記ノズルを加温する加温手段と、を有し、前記加温手段は、前記プローブに装着する前の前記ノズルを、前記プローブに装着して使用する前に加温する加温ボックスを前記支持スタンドに備えたことを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置は、ノズルに設けられたミラーを加温するための加温手段を備えていることによって、ノズルを患者の口腔内に挿入しても、ノズル内のミラーが曇るのを防止して、被写体を鮮明に撮影することができる。
【0019】
また、かかる構成によれば、加温手段は、光干渉断層画像生成装置を積載する支持スタンドに設けられた加温ボックス内に配置されていることによって、加温手段でノズルと共にミラーを加温してミラーが曇らないようにする作業を、支持スタンドがある位置で行うことができるため、効率よく曇り防止作業を行うことができる。
【0020】
また、前記加温ボックス内には
、前記加温ボックス内を紫外線照射する紫外線発光手
段が更に配置されていることが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、加温ボックス内には、紫外線発光手
段が配置されていることによって、加温ボックス内の物を紫外線で照射して除菌することができたり、また、その除菌と共に加温ボックス内の物を発熱源からの熱で加温したりすることができる。
【0022】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置は、光源から照射されたレーザ光を、被写体に照射する計測光と参照ミラーに照射する参照光とに分配する光学ユニット部を有し、前記被写体から反射して戻ってきた散乱光と前記参照ミラーで反射した反射光とを合成させた干渉光を解析して光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成装置であって、前記計測光を前記被写体に照射して前記反射して戻ってきた散乱光を回収するプローブと、このプローブ内に導入されたレーザ光の照射方向を変化させる走査手段と、この走査手段からの前記計測光を前記被写体に照射して前記散乱光を回収する開口部と前記レーザ光を反射するミラーを有し、前記プローブに着脱自在に設けられるノズルと、前記光学ユニット
部を積載する支持スタンドと、前記プローブを支持するアームと、前記ノズルに内設された前記ミラーを加温する温風を生成する加温手段と、を備え、前記加温手段は、前記支持スタンドまたは前記アームに設けられ、前記プローブは、前記走査手段及び集光レンズを内設したハウジングと、前記集光レンズが収納された前記ハウジングの集光レンズ収納部の先端側に配置された中空状のノズル支持体と、前記ノズルを形成する中空状のノズル本体と、一端が、前記ノズル支持体内に形成された中空部内に連通し、他端が、前記加温手段に接続されて、前記加温手段から供給される温風を前記中空部に送る送風路と、を備え、前記加温手段から発生された温風は、前記送風路から前記中空部を介して前記ノズル本体内に供給されて、前記ミラーに当てられることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、
加温手段から発生された熱は、ファンの風を加温手段に当てることによって温風となって、送風路、中空部を介してノズル本体に供給されて、このノズル本体に内設されたミラーに当てられることにより、ノズル内を温風で加温した際に、それと同時にノズル内を乾燥させることができる。
【0024】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置は、光源から照射されたレーザ光を、被写体に照射する計測光と参照ミラーに照射する参照光とに分配する光学ユニット部を有し、前記被写体から反射して戻ってきた散乱光と前記参照ミラーで反射した反射光とを合成させた干渉光を解析して光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成装置であって、前記計測光を前記被写体に照射して前記反射して戻ってきた散乱光を回収するプローブと、このプローブ内に導入されたレーザ光の照射方向を変化させる走査手段と、この走査手段からの前記計測光を前記被写体に照射して前記散乱光を回収する開口部と前記レーザ光を反射する金属製のミラーを有し、前記プローブに着脱自在に設けられたノズルと、を備え、前記プローブは、前記ミラーを加温するための加温ヒータを有する加温手段と、前記走査手段を内設したハウジング内に配置され、前記加温ヒータが配置された金属製のフレーム本体と、このフレーム本体の先端部に配置された金属製のノズル支持体と、前記ノズルを形成する金属製のノズル本体と、を有し、前記加温ヒータは、当該加温ヒータから発生された熱が、前記フレーム本体、前記ノズル支持体、及び、前記ノズル本体を介して、このノズル本
体に内設された前記ミラーに熱伝導されることを特徴とする。
【0025】
かかる構成によれば、熱媒体は、プローブに設けられた本体フレーム、ノズル支持体、及び、ノズル本体が金属製であることによって、特別な部材を設けることなく、それらを加温手段からミラーに熱を伝達する熱媒体として有効利用することができる。
【0027】
かかる構成によれば、加温手段から発生された熱は、
プローブに設けられ熱媒体を介してミラーに熱伝導されてミラーを加温することができることによって、プローブに設けられて、このプローブを構成する金属製部材等を熱媒体として兼用することができるため、プローブの構成部材を有効利用することができる。
【0028】
また、前記加温手段は、この加温手段から発生される熱の温度を調整する温度制御手段を有し、前記温度制御手段は、前記ノズルの温度
を35〜40度に設定することが可能であることが好ましい。
【0029】
かかる構成によれば、加温手段は、温度制御手段によってノズルの温度を口腔内温度に近
い35〜40度に設定することができることにより、口腔内とミラーの温度差をなくし、プローブ内のミラーが曇るのを防止することができる。またノズルが口腔に接触しても、温度差がないため患者への違和感を低減することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ノズルを患者の口腔内に挿入したときに、プローブ内のミラーが曇るのを防止することができる光干渉断層画像生成装置を提供することができる。また、加温手段が加温ボックスに内設されている場合は、加温ボックス内のプローブのノズルを除菌または滅菌することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の装置を実施するための形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。
【0033】
[OCT装置の構成の概要]
OCT装置1(光干渉断層画像生成装置)の構成の概要について、OCT装置1によって撮影する被写体(サンプルS)を、歯科患者の診断対象の歯牙(前歯部)である場合を例に挙げて説明する。
図1及び
図2に示すように、OCT装置1は、光学ユニット部10(光学ユニット)と、診断プローブ部30(プローブ)と、加温装置4(加温手段)と、制御ユニット部50(制御ユニット)と、を主に備える。
OCT装置1は、光源11から照射されたレーザ光をサンプルS(被写体)に照射する計測光と、参照ミラー21とに照射する参照光にカップラ12(光分割器)で分配し、診断プローブ部30で、前記計測光をサンプルSに照射しサンプルSの内部から散乱して戻って来た散乱光と、参照ミラー21からの反射光と、をカップラ16(光合波器)で合成させた干渉光を解析して、光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成装置である。
【0034】
≪光学ユニット部≫
光学ユニット部10(光学ユニット)は、一般的な光コヒーレンストモグラフィの各方式が適用可能な光源11、光学系、検出部を備えている。
図2に示すように、光学ユニット部10は、サンプルS(被写体)に高帯域な波長のレーザ光を続けて(周期的に)照射する光源11と、レーザ光をサンプルSに照射する計測光と参照ミラー21に照射する参照光に分配するカップラ12(光分割器)と、計測光をサンプルSに照射しこのサンプルSの内部で散乱して戻って来た散乱光を受光する診断プローブ部30(プローブ)と、参照光が参照ミラー21から反射して戻って来た反射光と散乱光とを合成させて干渉光を生成するカップラ16(光合波器)と、その干渉光からサンプルSの内部情報を検出するディテクタ(検出器)23と、光源11とディテクタ23との間の光路中に設けられた光ファイバ19b,60Aやその他光学部品等を備えている。
【0035】
ここで、光学ユニット部10の概略を説明する。
光源11から射出された光は、光分割器であるカップラ12により、計測光と参照光とに分けられる。計測光は、サンプルアーム13のサーキュレータ14から診断プローブ部30に入射する。この計測光は、診断プローブ部30のシャッタ機構31のシャッタ312が開状態において、コリメータレンズ32、走査手段33(二次元MEMSミラー)を経て集光レンズ34によってサンプルSに集光され、そこで散乱、反射した後に再び集光レンズ34、走査手段33、コリメータレンズ32を経てサンプルアーム13のサーキュレータ14に戻る。戻ってきた計測光の偏光成分は、偏光コントローラ15によってより偏光の少ない状態に戻され、光合波器としてのカップラ16を介してディテクタ23に入力される。
【0036】
一方、光分割器用のカップラ12により分離された参照光は、レファレンスアーム17のサーキュレータ18からコリメータレンズ19、光路長変更手段24を経て参照光集光レンズ20によって参照ミラー21(レファレンスミラー)に集光され、そこで反射した後に再び参照光集光レンズ20、コリメータレンズ19を経てサーキュレータ18に戻る。戻ってきた参照光の偏光成分は、偏光コントローラ22によってより偏光の少ない状態に戻され、光合波器用のカップラ16を介してディテクタ23に入力される。つまり、カップラ16が、サンプルSで散乱、反射して戻ってきた計測光と、参照ミラー21で反射した反射光とを合波するので、合波により干渉した光(干渉光)をディテクタ23がサンプルSの内部情報として検出することができる。
【0037】
<光源>
光源11としては、例えばSS−OCT方式用のレーザ光源を用いることができる。
この場合、光源11は、例えば、中心波長1310nm、掃引波長幅100nm、掃引速度50kHz、可干渉距離(コヒーレント長)が14mmの性能のものが好ましい。
ここで、可干渉距離とは、パワースペクトルの減衰が6dBとなるときの距離に相当する。なお、レーザ光の可干渉距離は10mm以上で、48mm未満の高コヒーレント光が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0038】
<参照光のコリメータレンズ>
参照光のコリメータレンズ19(
図2参照)は、カップラ12(光分割器)で分割された参照光を平行光に収束させるレンズであり、
図3に示すように、コリメータレンズユニットのコリメータ19dの略円筒状のレンズホルダ19a内に収容されている。
【0039】
コリメータ19dは、前記コリメータレンズ19と、コリメータレンズ19を内嵌した略円筒状のレンズホルダ19aと、レンズホルダ19aに取り付けられたコネクタ19cと、一端がコネクタ19cに接続され、他端がレンズホルダ19aとサーキュレータ18(
図2参照)とに接続された光ファイバ19bと、を備えている。このように、コリメータレンズ19は、レンズホルダ19aに内設されて、そのレンズホルダ19aに光ファイバ19bの一端を接続したコネクタ19cが装着されているため、コリメータレンズ19の光軸と光ファイバ19bの光軸を合致させて、一定の距離を保った状態に設置されている。
【0040】
<参照光の光路長変更手段>
図2に示すように、参照光の光路長変更手段24は、コリメータ19dを光軸方向に移動させて、カップラ12(光分割器)から参照ミラー21までの光路長を変更して光軸方向に位置を調整したり、光軸方向の位置を初期設定する際に使用する装置である。参照光の光路長変更手段24は、例えば、コリメータ19dを保持してそのコリメータ19dと共に光軸に沿って手動式に進退可能に配置されたコリメータレンズユニットと、前記参照光集光レンズ20と、前記参照ミラー21と、光軸に沿って延設されてコリメータレンズユニット、参照光集光レンズ20及び参照ミラー21を支持する支持フレーム部材194と、を備えて構成されている。
【0041】
≪診断プローブ部≫
図2に示すように、診断プローブ部30(プローブ)は、レーザ光を2次元走査する走査手段33(二次元MEMSミラー)を含み、光学ユニット部10からのレーザ光をサンプルSに導くと共に、サンプルS内で散乱して反射した散乱光を受光して光学ユニット部10に導くものである。この診断プローブ部30は、それぞれ後記するケーブル60と、ハウジング3と、フレーム本体300と、シャッタ機構31と、コリメータレンズ32と、走査手段33(二次元MEMSミラー)と、集光レンズ34と、集光点調整機構35と、ノズル37(
図3参照)と、を備えている。
【0042】
<ケーブル>
ケーブル60(
図1参照)は、診断プローブ部30と、光学ユニット部10及び制御ユニット部50とを光学的及び電気的に接続するためのものである。ケーブル60は、光学ユニット部10に接続された光ファイバ60A(
図3参照)と、制御ユニット部50に接続された通信線60Bとを内蔵している。光ファイバ60Aは、計測光及び散乱光を伝送する。
【0043】
撮影中以外のときには、診断プローブ部30のハウジング3を、
図1(a)に示すように、OCT装置1の上部に配置された表示装置54の下部側から水平方向に延伸した単関節アーム70の先端のホルダ71に保持させておく。これにより、収納時には、長いケーブル60であってもケーブル60を捻じったりすることなく収納し、収納スペースを低減することができる。
【0044】
一方、撮影時には、利用者は、診断プローブ部30を単関節アーム70のホルダ71から外して把持し、手振れ防止等のため診断プローブ部30を患者の歯(サンプルS)に対して当接させる。このとき利用者の両手が塞がっていたとしても撮影開始の操作ボタン(図示省略)を操作するために、制御ユニット部50に有線または無線で通信可能に接続されたフットコントローラ80(
図1参照)を用いることもできる。
【0045】
図1(b)に示すOCT装置1Aは、撮影中以外のときには、診断プローブ部30を、OCT装置1Aの上部に配置された表示装置54の上部側から水平方向に延伸した多関節アーム70Aの先端のホルダ71に保持させておくことができるようにした点以外は、
図1(a)に示すOCT装置1と同様なものである。
多関節アーム70Aは、単関節アーム70に比べて、基端から先端のホルダ71までの長さが長く、床からより高い位置に配置されている。そのため、ケーブル60の垂れ下がりが低減できる。これにより、操作性を向上させ、垂れ下がったケーブル60を誤って踏んだりすることを防止できる。
【0046】
<加温装置>
加温装置4(加温手段)は、診断プローブ部30に着脱自在に設けられる後記するノズル37及び直視撮影用ノズル37Aを加温して、乾燥させたり、ノズル37内のミラーM1(
図3参照)の曇り防止を行ったりするための装置である。加温装置4は、OCT装置1を積載する支持スタンド90(カート)の側面に設けられ、電源200(
図2参照)に電気的に接続されている。
図1及び
図5に示すように、加温装置4は、前記支持スタンド90に取り付けられた加温ボックス40と、加温ボックス40に設置された加温スイッチ41と、加温ボックス40に設置された加温制御部42(加温制御手段)と、加温ボックス40内のグリルプレート45と、ノズル37を加温するための加温部43と、加温ボックス40に設置されたグローランプ44と、から主に構成されている。
【0047】
図4及び
図5(a)に示すように、加温ボックス40は、診断プローブ部30に装着する前のノズル37及び直視撮影用ノズル37Aを、診断プローブ部30に装着して使用する前に加温処理する装置である。加温ボックス40は、この加温ボックス40に内設された加温装置4の加温部43でノズル37を加温することにより、ノズル37に設けられたミラーM1を加温して曇り防止や、乾燥や、除菌または滅菌を行う装置である。この加温ボックス40は、例えば、引き出し式のグリルプレート45を有するオーブントースターのような箱型形状をし、外周部に放熱孔40aを多数有している。この加温ボックス40は、移設できるように、支持スタンド90に着脱可能な状態にねじ止めされている。
【0048】
加温スイッチ41は、加温装置4をON、OFFするための電源スイッチであり、例えば、加温ボックス40の正面側に配置されたシーソースイッチからなる。この加温スイッチ41は、加温装置4を常に通電してノズル37等を加温するため、なくても構わない。また、加温スイッチ41は、加温ボックス40に設置することに限定されず、表示装置54等の別な場所に設置しても構わない。
加温制御部42は、加温部43の温度を予め設定するための温度調節器であり、例えば、患者の口腔内の温度(約35〜36度)に近い温度(例えば、約35〜40度)に加温するようにコントロールする。
【0049】
加温部43は、ノズル37及び直視撮影用ノズル37Aを加熱する加温源であり、例えば、加温ボックス40内、あるいは、診断プローブ部30(
図2参照)内に設けられている。つまり、加温部43は、
図2に示すように、制御ユニット部50の加温ボックス40に設けてもよいし、診断プローブ部30内に設けてもよい。また、加温部43は、制御ユニット部50内部に設けた加温ボックス40と診断プローブ部30内の両方に設けてもよい。
【0050】
図5(a)に示すように、加温ボックス40に内設される加温部43は、発熱体を金属板で被覆した後、圧着成型した板状のヒータ43a、赤外線ランプ等の発熱源からなり、ノズル37が載置されるノズル支持プレート46の下側に配置されるグリルプレート45の下面に設けられて、このグリルプレート45を介在して間接的にノズル37を加温する。加温部43(ヒータ43a)は、例えば、高温耐熱ニッケルクロムリボン線を配線に、高級耐熱マイカ板を絶縁層として積層して、マイカ板で絶縁後、金属外装板で強力圧縮成型した所謂スペースヒータである。
【0051】
また、診断プローブ部30内設される加温部43は、
図2に示すように、加温制御部42及び加温スイッチ41を介して電源200に電気的に接続されている。診断プローブ部30に内設される加温部43は、診断プローブ部30内の集光レンズ34の近傍に設けられて、ミラーM1(
図3参照)及びノズル37(
図3参照)を加温することにより、ミラーM1が曇るのを防止することができると共に、ノズル37を適温に維持することができる。
【0052】
また、
図5(b)に示すように、グリルプレート45の上部には、円柱形状の紫外線発光手段47を構成する略円柱形状のUVランプ47aが配置されている。
UVランプ47aは、紫外線発光体から紫外線を照射してノズル37及び直視撮影用ノズル37Aを除菌または滅菌すると共に、紫外線発光体に接続された安定器(図示省略)から発生する熱を利用してノズル37を加温することも可能である。UVランプ47aは、殺菌灯と呼ばれるものであってもよい。
【0053】
また、紫外線発光手段47は、紫外線を出す紫外線発光体のみに限定するものでなく、紫外線発光体と発熱源を組み合わせたものを含むものである。つまり、紫外線発光手段47は、紫外線発光体に赤外線ランプを併用したり、紫外線発光体に
図5(a)と同様の板状のヒータ43aを併用したりしたものも含まれる。
【0054】
なお、ヒータ43a等の加温部43と、UVランプ47a等の紫外線発光手段47は、両方とも加温ボックス40内に併設して併用してもよいし、どちらか一方を取り除いて片方だけで用いてもよい。
【0055】
グローランプ44は、UVランプ47aの点灯するための点灯用ランプである。
グリルプレート45は、加温する部材を載置するための金属製板状部材であり(なお、網状であっても構わない)、加温ボックス40内の加温部43の上方に平らな状態に配置されている。
ノズル支持プレート46は、
図4に示すように、ノズル37及び直視撮影用ノズル37Aをそれぞれ支持する支持孔46aが多数穿設された金属製の支持台であり、グリルプレート45に載置される。
【0056】
<ハウジング>
図3に示すように、診断プローブ部30のハウジング3は、フレーム本体300や診断プローブ部30等の構成部品を覆ったり、支持したりするケース体であり、中央部を縦断面して左右に二分割されたハウジング半体3e(一方を省略)を合致させてなる。ハウジング3には、それぞれ後記する走査手段収納部3aと、グリップ部3bと、集光レンズ収納部3cと、ノズル設置部3dと、が形成されている。ハウジング3は、例えば、基端部のグリップ部3bから走査手段収納部3a、集光レンズ収納部3cを介して先端部のノズル設置部3dが真っ直ぐに配置されたストレートタイプのものからなる。
【0057】
このハウジング3には、このハウジング3内の略全体にフレーム本体300が配置され、略中央部に走査手段33が収納され、基端部側にケーブル60、コリメータレンズ32及びシャッタ機構31が配置され、先端部側寄りに集光レンズ34、先端に直視撮影用のノズル37が着脱して交換可能に配置されている。
【0058】
走査手段収納部3aは、ハウジング3の略中央部内に配置され、走査手段33を収納する部位である。この走査手段収納部3a内には、走査手段33である四角形のチップ形状の二次元MEMSミラーが、例えば、約45度に傾けて配置されて、この二次元MEMSミラーでコリメータレンズ32からのレーザ光が反射される。
グリップ部3bは、利用者が手で診断プローブ部30を持つ際に握る部位であると共に、ホルダ71(
図1参照)で抱持される部位である。グリップ部3bは、ハウジング3の基端部側に配置されたコリメータレンズ32の配置位置から走査手段33の配置位置までのレーザ光の光軸の方向に延びて形成されて、略角筒状に形成されている。グリップ部3bには、外周面に設置された操作ボタンと、ハウジング3の下面から引き出された状態に配線された光ファイバ60Aと、この光ファイバ60Aによって導入された計測光を受光してレーザ光を平行光に収束させるコリメータレンズ32と、そのレーザ光を遮断するシャッタ機構31と、が主に収納される収納空間が内設されている。
【0059】
集光レンズ収納部3cは、走査手段33で走査された走査光を集光する集光レンズ34を内設したレンズ収納筒体352を収納する部位であり、走査手段収納部3aよりも先端部寄りの位置に形成されている。
ノズル設置部3dは、ノズル37が取り付けられる部位であり、この集光レンズ収納部3cよりも先端側のハウジング3の先端に形成されている。
【0060】
<フレーム本体>
フレーム本体300は、シャッタ機構31、光軸調整機構321、走査手段33及びレンズ収納筒体352を保持する厚板状の金属製部材であり、ハウジング3内にねじ止めされている。フレーム本体300は、ハウジング3の形状に合わせて、ハウジング3の長手方向に延設されたストレート状に形成されている。
【0061】
<シャッタ機構>
シャッタ機構31は、サーキュレータ14(
図2参照)から送られて来た計測光と、サンプルSに計測光が当たって反射した散乱光とが診断プローブ部30を通過するのを遮断する装置であり、例えば、グリップ部3b内のコリメータレンズ32と走査手段収納部3a内の走査手段33との間に介在されている。このシャッタ機構31は、例えば、シャッタ312及びシャッタ駆動手段313が取り付けられるシャッタ基体311と、透孔311aを通過する計測光及び散乱光の光路を遮断するシャッタ312と、透孔311aを開閉させるアクチュエータからなるシャッタ駆動手段313と、シャッタ基体311をフレーム本体300に上下方向に移動可能に固定するためのシャッタ基体締結具314と、を備えている。シャッタ機構31は、シャッタ312によってサンプルSからの反射光を遮断して、表示画面上に写るノイズ(像)をソフト的に除去するゼロ点補正を行うためのものである。
【0062】
<コリメータレンズ>
コリメータレンズ32は、コリメータレンズ32をレンズホルダ322a内に内設し、レンズホルダ322aに光軸上の一端側に光ファイバ60Aを取り付けたコネクタ322bをセットしたコリメータ322のレンズである。コリメータレンズ32は、カップラ12(
図2参照)からサーキュレータ14を介して送られた計測光を受光してレーザ光を平行光に収束させる。
【0063】
<光軸調整機構>
光軸調整機構321は、コリメータレンズ32を内設したコリメータ322を光軸に対して傾けたり、進退してコリメータ322の向きと位置とを調整する装置である。光軸調整機構321は、それぞれ後記するコリメータレンズ32を内設した略筒状のコリメータ322と、コリメータ322を光軸を中心として回動自在に保持するコリメータホルダ323と、コリメータホルダ323をホルダ締結具326を中心として回動自在に位置調整可能に取り付けられたコリメータブラケット324と、コリメータホルダ323に回動自在に挿入されたコリメータ322の締め付けを調整可能なユニット締結具325と、コリメータ322の前後方向の傾きを調整可能にコリメータホルダ323を固定するホルダ締結具(図示省略)と、コリメータブラケット324を上下動及び回動可能に固定にするブラケット締結具327と、を備えて構成されている。
【0064】
<走査手段>
走査手段33は、光ファイバ60Aによって診断プローブ部30内に導入され、コリメータレンズ32を通過したレーザ光の照射方向を変化させるためのミラーであり、コリメータレンズ32を透過した計測光の光軸を変換する二次元MEMSミラーからなる。二次元MEMSミラーの素子は、例えば、ミラーや平面コイル等の可動構造体が形成されたシリコン層と、セラミック台座と、永久磁石との三層構造になっている。
【0065】
光源11から照射されたレーザ光は、二次元MEMSミラーを介してサンプルS(
図2参照)に照射され、診断プローブ部30のノズル先端が正対するサンプルSの表面から内部に進む深さ方向(A方向)の内部情報をディテクタ23が取得する。後記するように1回のスキャンで1152ポイントからなるA方向のデータ(以下、Aラインデータという)を取得し、その後の周波数解析の画像処理を取得する。
ここで、X方向及びY方向とは、診断プローブ部30のノズル先端が正対するサンプルSの表面において横方向及び縦方向(Y軸方向)に対応する。
【0066】
<集光レンズ>
集光レンズ34は、走査手段33による走査光を集光すると共に、計測光をサンプルSに集光させて照射するレンズであり、レンズ収納筒体352に内設されている。レンズ収納筒体352は、ハウジング3の集光レンズ収納部3c内に収納され、フレーム本体300に固定されている。
【0067】
<集光点調整機構>
集光点調整機構35は、集光レンズ34とノズル37に当接されたサンプルS(被写体)との間の距離を調整して集光点を調整する装置であり、ハウジング3の集光レンズ収納部3cに操作ノブ351を露出した状態で内設されている。集光点調整機構35は、フレーム本体300に水平方向に向けて延設された位置調整孔302と、この位置調整孔302に挿入されてレンズ収納筒体352を光軸に沿って形成された位置調整孔302の適宜な位置に固定する調整ボルト(図示省略)と、レンズ収納筒体352に一体に形成されて集光レンズ34を位置調整孔302の適宜な位置に移動操作するための操作ノブ351と、ノズル支持体36を介在してノズル37をフレーム本体300に固定するための連結用筒体354と、を備えて構成されている。
集光点調整機構35は、操作ノブ351を操作して移動させることによって、操作ノブ351と共に集光レンズ34が光軸方向に進退して、集光点を調整できるようになっている。
【0068】
ノズル支持体36は、連結用筒体354と伸縮機構370との間に介在されて外環部材38に内嵌される略円筒状の部材である。ノズル支持体36には、伸縮機構370の係合筒部材371の係合筒部371aが係合される係合部36aと、係合筒部371aに形成された環状溝371bに係合及び離脱可能に設けられたボールジョイント用の球体SBと、この球体SBを付勢するスプリング(図示省略)と、このスプリング及び球体SBが挿入される球体挿入孔36bと、が形成されている。
外環部材38は、ノズル支持体36を覆うようにその外側に配置される略筒状の部材である。
【0069】
≪伸縮機構≫
前記伸縮機構370は、ハウジング3に対してノズル37を進退可能に支持する機構であり、ハウジング3の先端部に配置された係合筒部材371と、この係合筒部材371とノズル37との間に介在されて、ノズル37を先端側へ付勢するばね部材(図示省略)と、基端部側が係合筒部材371に係止され、先端側がノズル37を所定間隔移動自在に係止した環状部材372と、を備えて構成されている。
【0070】
<ノズル>
ノズル37は、基端部側に前記伸縮機構370を備えた側視撮影用ノズル(臼歯用ノズル)であり、集光レンズ34の前方に配置され、その集光レンズ34を通過した計測光をサンプルSに照射して散乱光を回収する開口部37Aeを有する角筒状の部材である。ノズル37は、略エルボ状に形成された筒体からなり、L字状に屈曲したノズル本体37aの内壁に、計測光及び散乱光を直角に反射するミラーM1(斜鏡)と、前記加温部43(
図2参照)が内設されている。ノズル37は、ハウジング3の先端部のノズル設置部3dに、集光点調整機構35を介在して着脱自在(交換可能)、回動自在、かつ、伸縮自在に装着されている。
ノズル37は、診断プローブ部30で前歯部(サンプルS)の唇側面側を撮影する際に(
図5参照)、円筒状のノズル37の開口部37bをサンプルS(
図2参照)に当接させて、その間隔を保持しながら計測光をサンプルSに照射して、反射された散乱光を回収するためのものであり、例えば、ステンレス鋼等の金属製ノズルからなる。ノズル37は、臼歯部(サンプルS)以外に、口腔内組織の撮影にも用いることができる。
【0071】
また、
図3に示すように、そのノズル37と交換して診断プローブ部30に取り付けられる直視撮影用ノズル37A(前歯用ノズル)は、集光レンズ34の前方に配置され計測光をサンプルSに照射して散乱光を回収する開口部37Abを有する筒状の部材である。
直視撮影用ノズル37Aは、前記したノズル37と同様に伸縮機構370を備えてハウジング3に対する長さを可変できると共に、ノズル支持体36の係合部36aにボールジョイントによって着脱自在(交換可能なワンタッチ継手)に装着されている。直視撮影用ノズル37Aは、診断プローブ部30で前歯(サンプルS)を撮影する際に、円筒部37Aaの先端の開口部37AbをサンプルSに当接させて、その間隔を保持しながら計測光をサンプルSに照射して、反射された散乱光を回収するための部材である。
【0072】
≪制御ユニット部≫
制御ユニット部50(制御ユニット)は、
図2に示すように、AD変換回路51と、DA変換回路52と、二次元MEMSミラー制御回路53と、表示装置54と、OCT制御装置100と、加温装置4と、加温スイッチ41と、加温制御部42とを備える。
【0073】
AD変換回路51は、ディテクタ23(検出器)のアナログ出力信号をデジタル信号に変換するものである。本実施形態では、AD変換回路51は、光源11であるレーザ出力装置から出力されるトリガ(trigger)に同期して信号の収得を開始し、同じくレーザ出力装置から出力されるクロック信号ckのタイミングに合わせて、ディテクタ(検出器)23のアナログ出力信号を収得し、デジタル信号に変換する。このデジタル信号は、OCT制御装置100に入力する。
【0074】
DA変換回路52は、OCT制御装置100のデジタル出力信号をアナログ信号に変換するものである。本実施形態では、DA変換回路52は、光源11であるレーザ出力装置から出力されるトリガ(trigger)に同期して、OCT制御装置100のデジタル信号をアナログ信号に変換する。このアナログ信号は、二次元MEMSミラー制御回路53に入力する。
【0075】
二次元MEMSミラー制御回路53は、診断プローブ部30の走査手段33を制御するドライバである。二次元MEMSミラー制御回路53は、OCT制御装置100のアナログ出力信号に基づいて、光源11から出照されるレーザ光の出力周期に同期して、二次元MEMSミラーのミラーを水平方向と垂直方向に駆動させる駆動信号を出力する。
二次元MEMSミラー制御回路53は、ミラーの軸を回転させて水平方向にミラー面の角度を変更する処理と、ミラーの軸を回転させて垂直方向にミラー面の角度を変更する処理と、を異なるタイミングで行う。
【0076】
表示装置54は、OCT制御装置100によって生成される光干渉断層画像(以下、OCT画像という)を表示するものである。表示装置54は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、EL(Electronic Luminescence)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)等から構成される。
【0077】
OCT制御装置100は、OCT装置1の制御装置であって、レーザ光に同期して走査手段33を制御することで撮影を行うと共に、ディテクタ23の検出信号を変換したデータからサンプルSのOCT画像を生成する制御を行うものである。OCT制御装置100は、不図示の入出力手段と、記憶手段と、演算手段と、を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。
【0078】
[作用]
次に、OCT装置1(光干渉断層画像生成装置)を使用してサンプルS(臼歯部)を撮影する場合を説明する。
OCT装置1でサンプルSを撮影する場合は、撮影作業を行う前に、
図4に示すように、ノズル37及び直視撮影用ノズル37Aを、加温装置4内のノズル支持プレート46の支持孔46aに挿入し、加温スイッチ41をONさせて、加温部43によって口腔内の温度程度まで加温させる。また、ノズル37及び直視撮影用ノズル37Aは、使用するまでの時間的な間隔がある場合、加温したノズル37が冷たくなるので、ミラーM1(
図3参照)が曇らない適温に保つために、常時、ノズル37を加温装置4内に保管しておいてもよい。
【0079】
サンプルSを撮影する場合は、
図3に示すように、その加温されたノズル37を診断プローブ部30のノズル支持体36に装着する。その後、不図示の電源スイッチをONした後、加温スイッチ41を操作して診断プローブ部30内の加温部43(
図2参照)をON状態にし、診断プローブ部30を適温に維持してミラーM1が曇らないようにしながら、診断プローブ部30のスイッチの操作ボタン(図示省略)を操作して、シャッタ機構31のシャッタ駆動手段313を駆動させてシャッタ312を開放状態にする。
また、光軸が傾いている場合には、ホルダ締結具(図示省略)を緩めて、V方向の傾きを調整すると共に、ブラケット締結具327を緩めてA方向の傾きを調整する。
【0080】
診断プローブ部30は、撮影する際に、集光レンズ34と、ノズル37の先端に当接させたサンプルSとの間の距離(集光点)を集光点調整機構35で調整することにより、撮影する断層画像をサンプルSの基準面から深さ方向に位置調整して、深さ方向に広い範囲に亘って断層画像を得ることができる。
【0081】
また、
図2に示すように、OCT装置1は、コリメータ19dを光軸方向に移動させて、カップラ12(光分割器)から参照ミラー21までの光路長を変更する光路長変更手段24と、前記集光レンズ34とサンプルSとの距離を調整して集光点を調整する集光点調整機構35と、を有し、両者を作動させて互いの光路長を一致させることによって、所望の可干渉距離内の鮮明な断層画像を得ることができる。
【0082】
撮影するときは、
図3に示す診断プローブ部30のグリップ部3bを手で握って、ノズル37を患者の口腔内に挿入して、先端の開口部37bをサンプルS(臼歯部)に当接させた状態で撮影する。
この場合、ノズル37は、患者の口腔内に挿入されたとしても、ノズル37及びその中のミラーM1が、患者の口腔内の温度よりも低温になっていないので、ミラーM1が曇り難く、鮮明な断層画像を得ることができる。
また、患者は、口腔内に挿入されるノズル37の温度が、口腔外と口腔内との温度が大きな差がないので、口腔内に挿入されたノズル37に対する違和感を低減させることができる。
【0083】
診断プローブ部30は、ノズル37がハウジング3に着脱して交換可能に設けられていることによって、撮影するサンプルC(例えば、前歯部)の形状や、配置状態に応じた形状に合わせて臼歯用のノズル37と、直視撮影用ノズル37Aとに適宜に交換することができるので、診断プローブ部30の操作性を向上させて撮影作業を行い易くすることができる。また、一つの診断プローブ部30であっても、ノズル37を利用用途に合ったものに交換することにより、患者の前歯部、臼歯部等の全ての歯を撮影することができる。
【0084】
撮影後は、ノズル37を診断プローブ部30から取り外してオートクレーブ(図示省略)をかけて滅菌処理を行った後、
図4に示すように、加温装置4内のノズル支持プレート46の支持孔46aに挿入させて、加温及び除菌または滅菌を行う。
【0085】
≪第1変形例≫
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図6は、本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の第1変形例を示す図であり、プローブの分解斜視図である。
【0086】
前記実施形態では、OCT装置1の一例として、
図5(a)、(b)に示すように、ノズル37を診断プローブ部30から取り外して加温装置4内で加温部43から発生する熱によって、そのノズル37を加温、除菌する例を説明したが、これに限定されるものではない。
【0087】
図6に示すように、診断プローブ部30Aのノズル37及びミラーM1を加温する加温装置4Aは、アングルタイプの側視撮影用の直視撮影用ノズル37A(臼歯用ノズル)のハウジング3Aに内設されたフレーム本体300の先端部に設けたものであっても構わない。
【0088】
この場合、加温装置4Aの加温ヒータ43Aは、例えば、マイクロセラミックヒータ等の小型の面状発熱体からなるヒータを使用する。また、フレーム本体300、連結用筒体354、ノズル支持体(図示省略)、伸縮機構370、ノズル本体37a及びミラーM1は、ステンレス鋼等の金属製のものを使用し、それらの金属製部材を加温ヒータ43Aの熱をミラーM1に伝達する熱媒体をして使用する。
【0089】
このように、第1変形例の診断プローブ部30Aは、ノズル37の近傍のフレーム本体300の先端部に設置したことにより、加温ヒータ43Aの熱が熱伝導されミラーM1及びノズル37の温度をミラーM1が曇り難い温度に常時に保つことができる。
また、診断プローブ部30Aは、ハウジング3A内のフレーム本体300にマイクロセラミックヒータ等の小型の加温ヒータ43Aを設置していることによって、診断プローブ部30A全体の大きさを大型化することなく取り付けることができる。
また、診断プローブ部30Aは、ノズル37をハウジング3Aから分離して洗浄及び滅菌作業を行うことができるので、そのための洗浄装置や滅菌装置を小型化することができる。
【0090】
≪第2変形例≫
図7は、本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の第2変形例を示す図であり、プローブの分解斜視図である。
また、
図7に示すように、診断プローブ部30Bのノズル37及びミラーM1を加温する加温装置4Bは、ストレートタイプのハウジング3Bに側視撮影用のノズル37(臼歯用ノズル)を着脱自在に設けたものであっても、前記第1変形例と同様に適用させることができる。
この場合も、第1変形例と同様に、診断プローブ部30Bのハウジング3Bに内設されたフレーム本体300の先端部に加温装置4Bの加温ヒータ43Bを設ける。
【0091】
マイクロセラミックヒータ等からなる加温ヒータ43Bから発せられた熱は、それぞれ金属製部材(熱媒体)からなるフレーム本体300、連結用筒体354、ノズル支持体(図示省略)、伸縮機構370、ノズル本体37aを介してミラーM1に熱伝導され、ミラーM1及びノズル37を常時適温に保つことができる。
【0092】
≪第3変形例≫
図8は、本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の第3変形例を示す図であり、プローブの分解斜視図である。
また、
図8に示すように、略十字形状のハウジング3Cを備えた診断プローブ部30Cであっても、ノズル37及びミラーM1を前記第1,2変形例と同じように、加温装置4Cによって加温することができる。
この場合も、第1,2変形例と同様に、ノズル37Cに内設されたフレーム本体300の先端部に加温装置4Cの小型の加温ヒータ43Cを設ける。
【0093】
マイクロセラミックヒータ等からなる加温ヒータ43Cから発せられた熱は、それぞれ金属製部材(熱媒体)からなるフレーム本体300、連結用筒体354、ノズル支持体(図示省略)、伸縮機構370、ノズル本体37aを介してミラーM1に熱伝導され、ミラーM1及びノズル37を常時適温に保つことができる。
【0094】
≪第4変形例≫
図9は、本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の第4変形例を示す図であり、プローブの分解斜視図である。
図10は、本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の第4変形例を示す図であり、プローブの縦断面図である。
【0095】
前記第1,2,3実施形態では、OCT装置1の一例として、加温ヒータ43A,43B,43Cから発生した熱を、フレーム本体300、連結用筒体354、ノズル支持体(図示省略)、伸縮機構370及びノズル本体37aを介在してミラーM1に熱伝達して加温することを説明したが、これに限定されるものではない。
図9及び
図10に示すように、加温ヒータ4D3の熱は、空気を熱媒体として温風をノズル37及びミラーM1に当てて加温してもよい。
【0096】
この場合、診断プローブ部30Dは、走査手段33を内設したプローブ用のハウジング3Dと、ハウジング3Dの先端部に配置された中空状のノズル支持体36Dと、ノズル37を形成する中空状のノズル本体37aと、温風を生成する加温装置4D(加温手段)と、一端が、ノズル支持体36D内に形成された中空部36Da内に連通し、他端が、加温装置4Dに接続されて、加温装置4Dから供給される温風を中空部36Daに送るパイプ4D1からなる送風路と、を備えている。
【0097】
加温装置4Dは、前記パイプ4D1と、熱を発生する加温ヒータ4D3と、この加温ヒータ4D3から発生した熱を温風にして前記パイプ4D1に送り込むファン4D2と、ファン4D2に吸引される大気中の塵埃を除去するフィルタ4D4と、このフィルタ4D4、ファン4D2及び加温ヒータ4D3を覆うヒータハウジング4D5と、を備えている。
なお、ヒータハウジング4D5は、空気を取り入れるための吸引口4D5aと、パイプ4D1が接続される供給口4D5bとを有し、診断プローブ部30D、単関節アーム70、支持スタンド90等(
図1参照)の内部または外部に設置される。
【0098】
また、送風路は、温風を送ることができるものであればよく、パイプ4D1以外のものであってもよい。送風路が設置される部位は、診断プローブ部30Dの外に限定されるものではなく、例えば、診断プローブ部30Dのハウジング3D内に設置されてもよく、パイプ4D1の送風路に代えてその一部または全部をハウジング3Dの内部の空間を利用して形成された送風路としてもよい。また、多関節アーム70A(
図1(b)参照)の内部を送風路としてもよい。
また、加温装置4D(加温手段)とパイプ4D1(送風路)は、診断プローブ部30D内に設けても構わない。
【0099】
診断プローブ部30D及び加温装置4Dは、このように温風を利用しても、加温ヒータ4D3によって加熱されたヒータハウジング4D5内の空気が、ファン4D2により温風となってパイプ4D1内に送り込まれ、パイプ4D1からノズル支持体36Dの中空部36Da、伸縮機構370内を介してノズル本体37aに供給されて、このノズル本体37aに内設されたミラーM1に温風が当たって、ミラーM1及びノズル37を加温、乾燥及び除菌することができる。
このようにしても、前記第1〜3変形例と同様に、ミラーM1及びノズル37の温度をミラーM1が曇り難い温度に常時に保つことができる。
【0100】
≪第5変形例≫
図11は、本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の第5変形例を示す正面図である。
図12は、本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の第5変形例を示す加温ボックスの斜視図である。
【0101】
また、前記実施形態では、OCT装置1の加温装置4の一例として、
図4及び
図5(a)、(b)に示すように、略オーブントースター形状に形成された加温ボックス40内のグリルプレート45上にノズル支持プレート46を配置して、ノズル37及び直視撮影用ノズル37Aを加温する例を説明したが、これに限定されるものではない。
図11及び
図12に示すように、加温ボックス40E内に診断プローブ部30全体を収納した状態でノズル37及びミラーM1を加温してもよい。
【0102】
この場合、加温装置4Eは、診断プローブ部30を収納する収納空間40Efを有する加温ボックス40Eと、加温ボックス40Eの収納空間40Efを開閉する開閉蓋40Ebと、加温ボックス40Eの底部に設けられた加温ヒータ43Eと、加温ヒータ43Eの上部に設けられたプローブ支持台40Ecと、このプローブ支持台40Ecに載設されたプローブ支持プレート40Edと、このプローブ支持プレート40Edに穿設され診断プローブ部30や附属品等が挿入支持される支持孔40Eeと、を有している。
【0103】
このようにすれば、加温装置4Eは、ノズル37を取り付けたままの診断プローブ部30や、その他の部品等を加温ボックス40E内に収納して、プローブ支持台40Ecの下方に設けた加温ヒータ43Eの熱で加温ボックス40Eの収納空間40Ef内を加温して、収納空間40Ef内全体、ノズル37及びミラーM1を適温に加温することができる。
このようにしても、前記第1〜4変形例と同様に、ミラーM1及びノズル37の温度をミラーM1が曇り難い温度に常時に保つことができる。