【実施例1】
【0024】
以下、企業の倒産確率の推定を例として本発明の実施例を説明する。
図2は、計算機システム101が、推定モデルによるシミュレーションを実行する際のシステム全体の処理手順を示す。
【0025】
新しく推定モデルを作成する場合、推定サブシステム30は推定モデルの作成ステップS202を実行する。既に推定モデルDB503に登録されている推定モデルを利用する場合は、推定モデルの作成ステップは実行しない(S201、S202)。次に、シミュレーションサブシステム20は、推定モデルを用いて、現状パラメータセットでの推定を行う(S203)。その後、シミュレーションサブシステム20は、ユーザが端末70より入力したパラメータからシミュレーションパラメータセットを生成する(S204)。シミュレーションパラメータセットを生成した後、推定サブシステム30は、生成されたシミュレーションパラメータセットを用いて推定を行う(S205)。最後に、表示サブシステム40はシミュレーション結果を端末70に表示して処理を終了する(S206)。
【0026】
図3は、推定サブシステム30による推定モデルの作成手順を示す。
まず、学習データ取得部301は、業務システム60の業務DB601から学習データを取得して、学習データDB504に格納する(S301)。取得する学習データは
図4に示すテーブル構成例の通りである。学習データには、推定モデルに利用する候補となる変数(403)と結論となる変数(404)をテーブルに含んでいる必要がある。
【0027】
次に、推定モデル作成部302は、推定モデルに利用する変数候補から変数を選択して推定モデルを作成する(S302)。多変数の入力から結論を推定するモデルは、重回帰モデル、二項ロジットモデル等があるが、ここではその手法は問わない。推定モデルに利用する変数の選択についても、ステップワイズ法、変数増加法などがあるが、ここではその方法は問わない。最後に、推定モデル作成部302は、作成した推定モデルの変数情報を推定モデルDB503に格納して処理を終了する(S303)。推定モデルDB503のテーブル構成例は
図5に示す通りである。
【0028】
図6は、推定サブシステム30による推定処理手順を示す。
まず、推定部303は、業務DB601から現状パラメータセットを取得する。次に、推定部303は、推定モデルDB503から推定モデルの情報を取得し、現状パラメータセットでの推定結果を算出する。最後に、推定部303は、推定結果を推定結果DB505に格納する。
【0029】
図8は、シミュレーションサブシステム20によるシミュレーションパラメータセットの生成手順を示す。
まず、変更可能項目設定部201は、ユーザにシミュレーションで用いる推定モデルを選択させるダイアログを端末70に表示して、選択された推定モデルの情報を推定モデルDB503から取得する(S801)。推定モデル選択ダイアログの例を
図9に示す。推定モデル選択ダイアログは、推定モデルDB503から取得した推定モデルの情報をコンボボックス901で表示して、端末70にてユーザに推定モデルを選択させる。選択後、「次へ」ボタン902を選択する。
【0030】
変更可能項目設定部201は、取得した推定モデルの情報をもとに、端末70よりユーザに変更可能項目を入力させるためのダイアログを表示する(S802)。変更可能項目設定ダイアログの例を、
図10に示す。
図9の推定モデル選択ダイアログで「次へ」ボタン902を選択した後に、
図10の変更可能項目設定ダイアログが表示される。ダイアログには、推定モデルDB(503)から取得した推定モデルの変数名1001とそれぞれの変数の変更可否を設定するコンボボックス1002が表示される。ユーザは端末70よりこのコンボボックスでそれぞれの変数の変更可否を入力する。全ての変数に対して変更可否の入力を行ったら「次へ」ボタン1003を選択する。
【0031】
次に、パラメータ設定部202は、端末70よりユーザに現状パラメータセットを入力させるダイアログを表示する(S803)。現状パラメータセット設定ダイアログの例を
図11に示す。
図11の現状パラメータセット設定ダイアログは、
図10の変更可能項目設定ダイアログで「次へ」ボタン1003を選択すると表示される。現状パラメータセット設定ダイアログは、パラメータを設定するテキストボックス1101があり、ユーザが端末70より入力する。「検索」ボタン1102を選択すると、現状パラメータセット検索ダイアログが表示され、現状パラメータセットを推定結果DB505から検索してパラメータを入力することもできる。
【0032】
現状パラメータセット検索ダイアログの例を
図12に示す。
図12のテキストボックス1201に検索条件を入力して、「検索」ボタン1202を選択すると、推定結果DB505から条件に一致したパラメータセット1203を取得して表示する。ユーザが端末70より、条件に一致したパラメータセットの中からパラメータセットを1つ選択して、「決定」ボタン1204を選択すると、
図11のパラメータの欄に自動的に選択したパラメータセットのそれぞれのパラメータが入力される。全てのパラメータを入力したら、「次へ」ボタン1103を選択する。
【0033】
その後、パラメータ設定部202は、変更可能項目のパラメータ(以下、変更パラメータ)をユーザに入力させるダイアログを端末70に表示する(S803)。パラメータ設定ダイアログの例を
図13に示す。パラメータ設定ダイアログには、変更パラメータを入力するテキストボックス1301が表示される。テキストボックス1301には、一つまたは複数個のパラメータを入力することが可能である。複数個入力する場合は、複数個のカテゴリ値を入力するか、数値の範囲を入力する。以下、この複数個のカテゴリ値と数値の範囲のことを合わせてパラメータの範囲と呼ぶ。パラメータの範囲の入力は、カテゴリ値であれば、「20%,30%」のようにカンマなどの区切り文字で区切り入力する。数値であれば、「1800−2000:200刻み」のように数値の範囲と刻み幅で入力する。全ての変更パラメータを入力したら「決定」ボタン1302を選択する。「決定」ボタン1302が選択されたら、ダイアログを閉じる。
【0034】
シミュレーションに必要な情報を取得した後、パラメータセット生成部203は、パラメータセットを生成する(S804)。具体的にパラメータセットとは、「資本金=100M、自己資本比率=25%、従業員数=2000」のように複数の変数に対するパラメータの組み合わせのことをいう。パラメータの範囲が設定されている変数がある場合、パラメータの範囲内すべてのパラメータについてのパラメータセットを生成する。例として、資本金に1つ、自己資本比率に2つ、従業員数に3つのパラメータがパラメータの範囲内にある場合、すべての組み合わせである6つのパラメータセットが生成される。この例では、この6つのパラメータセットがシミュレーションパラメータセットとなる。
最後に、パラメータセット生成部203は、生成されたシミュレーションパラメータセットをパラメータセットDB501に格納して処理を終了する(S805)。
【0035】
図15は、推定サブシステム30によるシミュレーションの手順を示す。
まず、推定部303は、パラメータセットDB501からシミュレーションパラメータセットを取得する(S1501)。次に、推定部303は、推定を行っていないパラメータセットがある間、パラメータセットでの推定結果の算出を行う(S1502、S1503)。シミュレーションパラメータセット内の全てのパラメータセットでの推定が終了したら、推定部303はシミュレーション結果をシミュレーション結果DB502に格納する(S1504)。
【0036】
図17は、表示サブシステムによつ表示の手順を示す。
まず、ランキング生成部401は、シミュレーション結果DB502からシミュレーション結果を取得する(S1701)。次に、ランキング生成部401は推定結果DB505から現状パラメータセットの推定結果を取得して、前ステップで取得したシミュレーション結果と合わせ、推定結果の昇順、または降順に並び替えたランキングを生成する(S1702)。ランキング表には、推定結果と合わせて変更パラメータの情報、現状パラメータからの変更数の情報も含める。その後、結果表示部402は、どのパラメータが現状パラメータから変更されているかを可視化するため、ランキング表内のシミュレーションパラメータセットにおいて現状パラメータセットと異なるパラメータの欄に網掛け等をする(S1703)。最後に、結果表示部402は、作成したランキング表を端末70に表示する(S1704)。
【0037】
端末70に表示されるランキング表の例を
図18に示す。
図18は、企業の倒産確率のシミュレーションを行った出力結果で倒産確率が低い順に高いランクを付けている。また、変更する前の現状パラメータセットと、そのパラメータによって推定された倒産確率が表示される。それぞれのシミュレーション結果において、現状パラメータセットから変更したものについては、変更したパラメータの欄に網掛け表示がされている。この現状パラメータセットの推定結果より上位に記載されたシミュレーション結果はいずれも現状より倒産確率が低くなると推定されたものであり、ユーザはどのパラメータをどのように変更すれば、倒産確率が低くなるかを一覧することができる。
【0038】
一方、現状パラメータセットの推定結果より下位に記載されたシミュレーション結果は現状より倒産確率が高くなると推定されたものであり、どのパラメータをどのように変更すれば、倒産確率が高くなるかを知ることができる。