特許第5993293号(P5993293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993293
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】異常診断装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/22 20060101AFI20160901BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20160901BHJP
   F02D 41/38 20060101ALI20160901BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20160901BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   F02D41/22 380Z
   F02D45/00 345K
   F02D45/00 345Z
   F02D45/00 312R
   F02D41/38 B
   F01N3/035 E
   F01N3/28 301E
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-264148(P2012-264148)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-109227(P2014-109227A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】青山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】鴨田 祐二
(72)【発明者】
【氏名】津島 夏輝
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−061369(JP,A)
【文献】 特開2005−061367(JP,A)
【文献】 特開2010−144626(JP,A)
【文献】 特開平03−286168(JP,A)
【文献】 特開2009−250135(JP,A)
【文献】 特開2009−085128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/035
F01N 3/28
F02D 41/00 −41/40
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路に設けられる酸化触媒と、前記酸化触媒の上流側の排気温度である上流側排気温度及び前記酸化触媒の下流側の排気温度である下流側排気温度を検出する排気温度検出器と、を備えるディーゼルエンジンの各気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置の燃料噴射量の異常を診断する異常診断装置であって、
前記上流側排気温度と前記下流側排気温度との比較に基づいて前記ディーゼルエンジンを運転するときの前記燃料噴射装置の燃料噴射量が過剰であるか否かを判定する異常判定部を備える、
ことを特徴とする異常診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異常診断装置であって、
前記異常判定部は、前記上流側排気温度と前記下流側排気温度との差が過剰判定値以上である場合、前記燃料噴射装置の燃料噴射量が過剰であると判定する、
ことを特徴とする異常診断装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の異常診断装置であって、
前記ディーゼルエンジンは、前記排気通路の前記酸化触媒より下流側において排気中の粒子状物質を捕集するフィルタを備え、
前記排気温度検出器は、前記フィルタより上流側の排気温度を前記下流側排気温度として検出する、
ことを特徴とする異常診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の異常診断装置であって、
前記異常判定部は、前記フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させるために行われる燃料噴射であるポスト噴射が行われていないこと、及び、ディーゼルエンジンに対する要求負荷が燃料増量負荷値より大きい高負荷運転時でないこと、を満たす場合に前記燃料噴射装置の燃料噴射量が過剰であるか否かを判定する、
ことを特徴とする異常診断装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の異常診断装置であって、
前記ディーゼルエンジンは、前記排気通路の前記酸化触媒より下流側において排気中の窒素酸化物を還元浄化するSCR触媒を備え、
前記異常判定部は、前記酸化触媒より下流側であって前記SCR触媒より上流側における窒素酸化物の濃度が不足判定値以上である場合、前記燃料噴射装置の燃料噴射量が不足していると判定する、
ことを特徴とする異常診断装置。
【請求項6】
請求項5に記載の異常診断装置であって、
前記異常判定部は、前記ディーゼルエンジンがアイドル状態である場合に前記燃料噴射装置の燃料噴射量が不足しているか否かを判定する、
ことを特徴とする異常診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの燃料噴射量の異常を診断する異常診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの燃料噴射装置は、個体差による噴射量のバラツキを抑えるため、予め噴射量の調整が行われる。しかし、この調整が不十分なために噴射量が適正値からずれる場合がある。また、燃料噴射装置の経年劣化により、噴射量が適正値からずれる場合がある。これらの場合、特に燃料噴射量が適正値より多く噴射される場合、燃費が悪化するとともにエミッションが増大する。
【0003】
そこで、特許文献1には、排気ガス温度とエンジンのヘッド温度との比が、適正温度比範囲内にあるか否かに基づいて燃料噴射量が目標燃料噴射量からずれていることを検出する異常検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−207897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の異常検出装置では、エンジンのヘッドの温度を検出するヘッド温度センサを新たに設ける必要があるので、コストが上昇する。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、新たにセンサを追加することなく燃料噴射装置の噴射量の異常を診断することが可能な異常診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、排気通路に設けられる酸化触媒と、酸化触媒の上流側の排気温度である上流側排気温度及び酸化触媒の下流側の排気温度である下流側排気温度を検出する排気温度検出器と、を備えるディーゼルエンジンディーゼルエンジンの各気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置の燃料噴射量の異常を診断する異常診断装置であって、上流側排気温度と下流側排気温度との比較に基づいてディーゼルエンジンを運転するときの燃料噴射装置の燃料噴射量が過剰であるか否かを判定する異常判定部を備える、ことを特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明では、酸化触媒の上流側及び下流側の排気温度を検出する排気温度検出器の検出値に基づいて燃料噴射量が過剰であるか否かを判定する。酸化触媒が排気通路に設けられるディーゼルエンジンでは、酸化触媒における燃料の酸化による排気の昇温状態をモニターするため、酸化触媒の上流側及び下流側に排気温度検出器が設けられている。したがって、新たにセンサを追加することなく既存のシステムを利用して燃料噴射装置の異常診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る異常診断装置を搭載したエンジンの構成図である。
図2】コントローラの処理内容を示すフローチャートである。
図3】エンジン回転速度と排気温度との関係を示す図である。
図4】エンジン回転速度とNOx濃度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における異常診断装置100を搭載したディーゼルエンジン1(以下、単に「エンジン1」という)の構成図である。
【0012】
エンジン1は、吸気が流れる吸気通路2と、燃焼後の排気が流れる排気通路3と、エンジンの各気筒内へ燃料を噴射する燃料噴射装置(インジェクタ)4と、を備える。
【0013】
吸気通路2は、上流側から順に、エアクリーナ21、ターボチャージャ22及びインタークーラ23を有する。エアクリーナ21を介して吸入された吸気は、ターボチャージャ22によって圧縮され、インタークーラ23によって冷却された後、エンジン1の燃焼室内へ吸入される。
【0014】
排気通路3は、上流側から順に、タービン31、DOC(Diesel Oxidation Catalyst:酸化触媒)32、DPF(Diesel Particulate Filter)33及びSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒34を有する。
【0015】
タービン31は、排気の圧力によって回転し、同軸上に配置されるターボチャージャ22を回転駆動する。DOC32は、排気中のNO(一酸化窒素)をNO(二酸化窒素)へと酸化させるとともに、未燃焼燃料であるHCを酸化させてHOとCOとに変化させる。DPF33は、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタである。SCR触媒34は、尿素水溶液から生成される還元剤としてのアンモニアを用いてNOx(窒素酸化物)を選択還元浄化する。
【0016】
排気通路3はさらに、タービン31より下流側であってDOC32より上流側の排気温度である第1排気温度を検出する第1排気温度センサ35と、DOC32より下流側であってDPF33より上流側の排気温度である第2排気温度を検出する第2排気温度センサ36と、DPF33より下流側であってSCR触媒34より上流側の排気温度である第3排気温度を検出する第3排気温度センサ37と、DPF33より下流側であってSCR触媒34より上流側のNOx濃度である第1NOx濃度を検出する第1NOxセンサ38と、SCR触媒34より下流側のNOx濃度である第2NOx濃度を検出する第2NOxセンサ39と、を備える。これらのセンサは、排気通路3に設けられるDOC32、DPF33及びSCR触媒34からなる排気ガス後処理システムを制御するために設けられ、各センサの検出値はコントローラ10へ送信される。
【0017】
ここで、DPF33は、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタであるので、DPF33に堆積した粒子状物質が多くなるとDPF33が目詰まりを起こし、排気の浄化性能が低下する可能性がある。そこで、DPF33の上流側と下流側との差圧が所定圧以上である等の一定の条件を満たす場合には、DPF33に堆積した粒子状物質を燃焼させて除去するDPF再生が行われる。DPF再生の際、エンジン1の燃料噴射装置4は、通常の運転状態における燃料噴射の後、主に膨張行程又は排気工程において追加的に燃料を噴射するポスト噴射を行う。ポスト噴射によって排気通路3に排出された未燃焼燃料は、DOC32において酸化(燃焼)し、反応熱によって排気温度が上昇し、DPF33に堆積した粒子状物質が燃焼して除去される。
【0018】
DPF再生時の排気温度は、高すぎるとDPF33及びSCR触媒34が劣化し、低すぎると粒子状物質が燃焼しないので、適切な温度範囲内に制御する必要がある。したがって、コントローラ10は、上記DPF再生が行われる際に、第1排気温度、第2排気温度及び第3排気温度に基づいて排気の昇温状態をモニターしている。
【0019】
また、SCR触媒34は、アンモニアによる脱硝能力をNOx濃度に応じて調整して、規定濃度以上のNOxが大気放出されないように制御する必要がある。したがって、コントローラ10は、第1NOx濃度及び第2NOx濃度を常にモニターしている。
【0020】
次に、このエンジン1の燃料噴射量の異常を診断する異常診断装置100について説明する。
【0021】
異常診断装置100は、異常判定部としてのコントローラ10と、排気温度検出器としての第1排気温度センサ35と、排気温度検出器としての第2排気温度センサ36と、第1NOxセンサ38と、を備える。なお、第1排気温度センサ35、第2排気温度センサ36及び第1NOxセンサ38は、前述のように、排気ガス後処理システムには必須の構成であり、本実施形態において新たに追加したセンサではない。
【0022】
図2は、コントローラ10の処理内容を示すフローチャートである。この処理は、エンジン1が運転中、微小時間(例えば10ms)毎に繰り返し行われる。
【0023】
ステップS1においてコントローラ10は、エンジン1が低負荷及び低回転で運転していること、通常のエンジン制御モードであること、ポスト噴射が行われていないこと、の全ての条件を満たしているか否かを判定する。全ての条件が成立する場合には処理がステップS2へ進み、一つでも条件が成立しない場合には処理がステップS5へ進む。
【0024】
エンジン1が低負荷及び低回転で運転していることは、エンジントルクが所定の燃料増量負荷値より小さい低負荷範囲内であること、及びエンジン回転速度が所定の低回転範囲内であること、を両方満たす場合に成立する。通常のエンジン制御モードであることは、エンジン1が通常の運転モードに比べて燃料を多く噴射する運転モードとなっている場合に非成立となる。
【0025】
ステップS2においてコントローラ10は、第1排気温度センサ35によって検出された第1排気温度を温度T1として記憶し、第2排気温度センサ36によって検出された第2排気温度を温度T2として記憶する。
【0026】
ステップS3においてコントローラ10は、温度T1と温度T2との差の絶対値が過剰判定値より小さいか否かを判定する。差が過剰判定値より小さいと判定されると処理がステップS5へ進む。一方、差が過剰判定値以上であると判定されると処理がステップS4へ進み、燃料噴射量が過剰であると判断される。過剰判定値は、燃料噴射量が過剰であると判定できる程度の値に予め設定される。
【0027】
ここで、図3は、燃料噴射量が過剰である場合におけるエンジン回転速度と第1排気温度及び第2排気温度との関係を示す図である。燃料噴射量が過剰である場合には、過剰な燃料がDOC32において酸化し、反応熱が生じるので、第2排気温度が第1排気温度より高くなる。
【0028】
しかし、エンジン回転速度が高い場合には、排気の流速が速いため、DOC32における排気の昇温幅は小さくなり、燃料噴射量が過剰であるか否かの判定は困難である。また、エンジントルクが大きい場合には、そもそも燃料噴射量が多いので、燃料噴射量が過剰であるか否かの判定は困難である。さらに、DPF再生のためにポスト噴射が行われている場合には、燃料噴射量が敢えて過剰に噴射されるので、燃料噴射量が過剰であるか否かの判定は困難である。
【0029】
したがって、ステップS1において、エンジン1が低負荷及び低回転で運転していること、通常のエンジン制御モードであること、ポスト噴射が行われていないこと、の全ての条件を満たした場合であって、温度T1と温度T2との差の絶対値が過剰判定値以上であると判定された場合に、燃料噴射量が過剰であると判断する。
【0030】
ステップS5においてコントローラ10は、エンジン1がアイドル状態であるか否かを判定する。エンジン1がアイドル状態であると判定されると処理がステップS6へ進み、アイドル状態でないと判定されると処理が終了する。アイドル状態とは、車両が停車中であって運転者からの加速意図がない場合のエンジン1の状態を意味する。
【0031】
ステップS6においてコントローラ10は、第1NOx濃度を濃度Eとして記憶する。
【0032】
ステップS7においてコントローラ10は、濃度Eが不足判定値より小さいか否かを判定する。濃度Eが不足判定値より小さいと判定されると処理がステップS8へ進み、燃料噴射量に異常はないと判断される。一方、濃度Eが不足判定値以上であると判定されると処理がステップS9へ進み、燃料噴射量が不足していると判断される。不足判定値は、燃料噴射量が不足していると判定できる程度の値に予め設定される。
【0033】
ここで、図4は、エンジン回転速度と第1NOx濃度との関係を示す図であり、噴射量が不足している場合の関係を実線で示し、正常時の関係を破線で示す。燃料噴射量が不足している場合には排気中のNOx濃度が高くなるので第1NOx濃度が高くなる。エンジン回転速度が高い場合には正常時と比べた場合に顕著な差が生じないが、エンジン1がアイドル状態の場合には燃料噴射量の不足に応じて第1NOx濃度が高くなる。そこで、ステップS5においてエンジン1がアイドル状態であると判定された場合であって、第1NOx濃度が不足判定値以上であると判定された場合に燃料噴射量が不足していると判断する。
【0034】
以上の制御をまとめると、コントローラ10は、ステップS1〜S3において燃料噴射量が過剰であるか否かを判断し、ステップS5〜S7において燃料噴射量が不足しているか否かを判断している。
【0035】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0036】
DOC32の上流側に設けられる第1排気温度センサ35によって検出された第1排気温度と、DOC32の下流側に設けられる第2排気温度センサ36によって検出された第2排気温度と、を比較してエンジン1の燃料噴射量が過剰であると判定する。DOC32が排気通路3に設けられるエンジン1では、DOC32における燃料の酸化による排気の昇温状態をモニターするため、DOC32の上流側及び下流側にそれぞれ排気温度センサ35、36が設けられている。したがって、本実施形態では新たにセンサを追加することなく既存のシステムを利用して燃料噴射装置4の異常診断を行うことができる。
【0037】
さらに、各気筒から排出された排気が合流して流れる排気通路3の排気温度に基づいて異常診断を行うので、全気筒が均等に異常であり気筒間のバラツキがない場合であっても、精度よく異常診断を行うことができる。
【0038】
さらに、第1排気温度と第2排気温度との差が過剰判定値以上である場合に燃料噴射量が過剰であると判定するので、燃料噴射量の異常をより精度よく判定することができる。
【0039】
さらに、DOC32より下流側の排気温度としてDPF33より上流側に設けられる第2排気温度センサ36の検出値を用いるので、DPF33における粒子状物質の燃焼によって生じる熱の影響を受けることなくDOC32の上流側と下流側との温度差を比較することができ、燃料噴射量の異常をより精度よく判定することができる。
【0040】
さらに、エンジン1が低負荷及び低回転で運転していること、通常のエンジン制御モードであること、ポスト噴射が行われていないこと、の全ての条件を満たした場合に燃料噴射量が過剰であるか否かを判定するので、燃料噴射量が比較的少ない運転領域で判定が行われることとなり、燃料噴射量の異常をより精度よく判定することができる。
【0041】
さらに、DOC32より下流側であってSCR触媒34の上流側に設けられる第1NOxセンサ38によって検出された第1NOx濃度が不足判定値以上である場合、燃料噴射量が不足していると判定する。SCR触媒34が設けられるエンジン1では、SCR触媒34における脱硝能力を調整するためSCR触媒34の上流側及び下流側にNOxセンサが設けられている。したがって、本実施形態では新たにセンサを追加することなく既存のシステムを利用して燃料噴射装置4の異常診断を行うことができる。
【0042】
さらに、エンジン1がアイドル状態である場合に燃料噴射量が不足しているか否かを判定するので、NOx濃度が正常時と比べて顕著に増加する運転状態で判定が行われることとなり、燃料噴射量の異常をより精度よく判定することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0044】
例えば、上記実施形態では、DOC32の下流側の排気温度として第2排気温度センサ36の検出値を用いているが、第3排気温度センサ37の検出値を用いてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、エンジン1がアイドル状態である場合に燃料噴射量が不足しているか否かを判定しているが、判定を行う運転領域をアイドル状態以外のエンジン1が比較的低負荷及び低回転である状態まで拡大してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ディーゼルエンジン
3 排気通路
10 コントローラ(異常判定部)
32 DOC(酸化触媒)
33 DPF(フィルタ)
34 SCR触媒
35 第1排気温度センサ(排気温度検出器)
36 第2排気温度センサ(排気温度検出器)
100 異常診断装置
図1
図2
図3
図4