(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スリーブ(27)のプランジャ(28)の背面側に不活性ガスを供給する供給系を取り付けたことを特徴とする前記請求項1又は2に記載のダイカストスリーブ溶融金属供給装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明では、予め定められた所定の溶融金属12がスリーブ27に供給される前に、減圧手段により溶融金属12がスリーブ27内に吸引されるのと反対方向にダクト1、1’内の溶融金属12に溶融金属電磁ポンプで推力を与えることによりダクト1、1’内に一旦溶融金属12を保持し、その保持推力を給湯に見合った時間弱めることに拠って、スリーブ27への正確且つ迅速な溶融金属の供給制御を安定して実現するものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明による溶融金属供給装置の一実施例である。この溶融金属供給装置は、スリーブ27の上側から溶融金属を給湯する例である。この溶融金属供給装置は、上側の給湯誘導子14と下側の立上誘導子24との2段の誘導子を有する。
ポンプ側ダクト1が斜めに配置され、溶融金属槽11に収納された溶融金属12の液面に前記ポンプ側ダクト1の下端が差し込まれている。ポンプ側ダクト1の溶融金属12の液面より上にある部分の周囲には、磁性体製のヨーク15にコイル16を巻回した給湯誘導子14が配置されている。ヨーク15は、ポンプ側ダクト1の溶融金属12の液面より上にある部分を囲むようにその外周側に嵌め込まれており、このヨーク15に三相コイルを構成するコイル16が巻回されている。この給湯誘導子14には、冷却器10が設けられ、駆動時に冷却される。
【0017】
さらに前記ポンプ側ダクト1には、前記給湯誘導子14より下側の部分の周囲に立上誘導子24が配置されている。この立上誘導子24は、前記の給湯誘導子14と同様に、前記ポンプ側ダクト1の誘導子14より下側の部分の外周に嵌め込まれた磁性体製のヨーク25にコイル26を巻回したものである。この立上誘導子24のコイル26は耐熱性を有する無機絶縁ケーブルにより巻回されている。無機絶縁ケーブルは、ステンレスチューブ等からなるシースの中に導電線を収納し、この導電線とシースとを、それらの間にマグネシア粉末等の無機絶縁粉末を充填して絶縁した構造を有する。いわゆるシースケーブルと呼ばれるものである。このような無機絶縁ケーブルは、耐熱性が高く、800℃の温度にも耐えることが出来る。このため立上用誘導子24は、冷却手段を有しない無冷却としながら、大きな電流を通電するのに適しており、その分だけ給湯誘導子14のコイル16に比べて立上誘導子24のコイル26の巻数は少なくすることが出来る。
【0018】
この立上誘導子24は、耐熱性を有するセラミック等からなる筒状の保護ケース17で囲まれている。この保護ケース17の上端開口部は、上側の給湯誘導子14の下端面に固定されている。また、この保護ケース17の下端の開口部は、前記ポンプ側ダクト1の下端と図示していないパッキンを介して密に接合されており、この接合部に囲まれた内側は、ポンプ側ダクト1の下端の溶融金属12の導入口18となっている。
【0019】
給湯誘導子14と立上誘導子24とは、それぞれインバータを含む駆動電源31、32により駆動される。これら駆動電源31、32からはそれぞれ給湯誘導子14と立上誘導子24にインバータで変換された三相交流が通電され、これら誘導子14、24に移動磁界を発生させ、この移動する磁界による電磁誘導により、導電体であるポンプ側ダクト1内の溶融金属12に推力を与える。
【0020】
前記ポンプ側ダクト1の上端には、L字形のエルボ管からなる給湯側ダクト1’がフランジ継手等の継手5、5’を介して密に接続されている。保護管3の給湯側ダクト1’に近い一端部の周囲にフランジ6が延設され、このフランジ6の外周に近い部分が前記ポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’とを接続する前記の継手5、5’の間に挟持されている。これにより、保護管3の中のコア2、22がポンプ側ダクト1の中心に位置するよう保持されている。フランジ6には、溶融金属12の通路となる複数の円弧状の通過孔7が設けられている。給湯側ダクト1’は、図示してないバネ等により手前のポンプ側ダクト1に弾力的に押しつけられている。この状態で継手5、5’の間に挿入された耐熱性のガスケットにより継手5、5’の部分のシール性が確保されている。
【0021】
これらポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’は、セラミック等の耐熱性、耐蝕性のある材料で作られており、その外周に設けた保温用のマイクロヒータ等からなるヒータ9、9’により溶融金属12の融点以上の温度に加熱され、溶融金属12の凝固を防ぐ。
溶融金属槽11の中の溶融金属12に液面センサ13が設けられ、これにより溶融金属槽11の中の溶融金属12の液位が検知される。前記立上誘導子24は、このセンサ13で検知される溶融金属12の液面より下に挿入される。
【0022】
他方、給湯側ダクト1’に電磁誘導により溶融金属12の存在を検知する形式の誘導式液面センサ等のセンサ19が設けられ、これにより給湯側ダクト1’の中の液位が検知される。
給湯側ダクト1’の先端はスリーブ27の上部に接続され、給湯側ダクト1’から溶融金属12をスリーブ27に供給することが出来る。スリーブ27は、シリンダー状の円筒部材で、この中にはプランジャ28が配置されている。このプランジャ28は、スリーブ27の中を
図1において左右に移動し、スリーブ27内に供給された溶融金属12を押し出す。このプランジャ28には熱電対列埋め込み式や誘導式等の溶融金属センサ36が内蔵され、スリーブ27内に供給された溶融金属12を検知する。
【0023】
さらにスリーブ27の先には、金型29が接続され、前記プランジャ28の動作により、スリーブ27に給湯された溶融金属12がその先端からこの金型29に充填される。この金型29は図示してない金型駆動機構により駆動され、組み立てと脱型が行われる。
この金型29には、電磁バルブ33を介して真空タンク34と減圧ポンプ35が順次接続されている。減圧ポンプ35により真空タンク34内が負圧に減圧され、この状態で電磁バルブ33が開くことにより、金型29内が減圧される。これにより、金型29内とスリーブ27の空気が排除された状態で、前記プランジャ28の動作により、スリーブ27から金型29に溶融金属が円滑に且つ隅々にまで充填することが出来る。
【0024】
しかしながら、溶融金属12がアルミニウムの場合その比重が約2.5g/cm
3であるから、金型29を真空近く(約−1.0kg/cm
2G)まで減圧すると、大気圧が掛かった溶融金属槽11に収納された溶融金属12は約4m汲み上げられる事になるので、プランジャ28の動作が無くても溶融金属12をスリーブ27から金型29内まで全ての空間に充填されてしまう。金型29の減圧が大気圧の約半分の気圧(約−0.5kg/cm
2G)であっても、溶融金属12を大気圧で約2m汲み上げることが出来るので、やはり溶融金属12をスリーブ27から金型29内まで全ての空間に充填されてしまう。従って、電磁ポンプによる給湯方向と逆の推力によって、溶融金属12をダクト1、1’に制動保持して、減圧による空圧力の調整より制御しやすい電気的な力である電磁力を弱くしたり強めたりの調整を行い、制動保持された溶融金属12をスリーブ27に定量給湯が必要となる。
【0025】
ところが、単に金型29を真空にする時に電磁ポンプに給湯と反対方向に推力が発生する様に移動磁界を発生させておくだけでは、大気圧が掛かった溶融金属槽11に収納された溶融金属12は、ダクト1を駆け上がり、駆け上がっている溶融金属12に給湯方向と逆方向に逆推力が掛っても流体慣性により、スリーブ27への定量給湯は望めない。従って、最も簡単な方法としては、給湯誘導子14に減圧手段による吸引力に見合った給湯方向と逆方向に逆推力が発生できる状態に電力を加えておき、徐々に金型29とスリーブ27を真空にするとダクト1内をゆっくり上昇する溶融金属12に逆磁力が発生し、ダクト1、1’内に一旦溶融金属12を保持し、その後スリーブ27への正確且つ迅速な溶融金属の供給制御を安定して実現するため、減圧手段による吸引力に見合った逆方向推力をパターン通りに僅かに弱めたり強めたりする事に拠って、スリーブ27へ脈動無く給湯する方式がある。これは制御が非常に簡単で良いが、サイクル時間が掛かってしまう。更にダクト1、1’内を溶融金属12が上下し、この上下した内面には溶融金属12が付着しているので、金型29が開いているときにダクト1、1’内面に付着した溶融金属12は空気に触れて酸化してしまう。これでは内面に付着した溶融金属12の酸化膜が次の給湯時に給湯されてしまうので、出来るだけ酸化物を含まない溶融金属12を金型29に充填して、品質の良い鋳造品を作る真空ダイカスト法の目的と合致しなくなる。
【0026】
次に、最良の本案の運転方法を以下に示す。この溶融金属供給装置を運転するときは、まず立上誘導子24への通電によりポンプ側ダクト1の中の溶融金属12を給湯誘導子14の電磁力が作用する高さまで汲み上げた後、給湯誘導子14に三相交流を通電調整し、ダクト1、1’の中の溶融金属12を適当なレベル、例えば
図1に実線で示すレベル30に誘導式等のレベルセンサー19の信号を基に維持する。このレベル30で溶融金属12の供給の待機状態とする。その後、金型29を直線的に減圧してゆき、それと同時に給湯誘導子14の給湯方向の電磁力を下げて行き、電磁力が零になっても減圧圧力がレベル30の位置に相当する液圧力、例えば溶融金属槽11に収納された溶融金属12の湯面とダクト1、1’内の溶融金属12のレベル30との高さが1mだとするとその液圧は約0.25kg/cm
2Gに相当するので、減圧圧力を約−0.25kg/cm
2Gになった時点でもレベル30は維持され、その時に給湯誘導子14への電力の位相反転を行い給湯方向と反対方向の逆推力を与えながら金型29の減圧を継続して行く。金型29の減圧圧力が真空状態(約−1.0kg/cm
2G)になった時点での給湯誘導子14の逆圧力は、溶融金属槽11に収納された溶融金属12の湯面とダクト1、1’内の溶融金属12のレベル30との高さが1mに相当する液圧は約0.25kg/cm
2Gが加わるので約0.75kg/cm
2Gで
図1に実線で示すレベル30の位置が十分に維持される。給湯誘導子14に通電する三相交流の逆推力を
図1の二点鎖線で示すようにエルボ状の給湯側ダクト1’の最上部を越流するに必要な高さに相当する逆推力を弱めると、溶融金属12が
図1の二点鎖線で示すようにエルボ状の給湯側ダクト1’の最上部を越流して溶融金属12の供給先であるスリーブ27に供給される。
【0027】
この様に減圧手段による吸引力に見合った逆方向推力をパターン通りに僅かに弱めたり強めたりする事に拠って、スリーブ27へ脈動無く給湯することが出来る。この給湯時と給湯待機時との溶融金属12のレベル差は、エルボ状の給湯側ダクト1’の最上部を越流するに必要な高さであり、
図1においてΔhで示す。このΔhは、堰流量計の原理による流量計算式にエルボ状の給湯側ダクト1’の形状を当てはめることで計算できる。Δhに相当する電磁ポンプの逆推力の弱める電力は、電磁ポンプの出力特性から計算できる。これに拠って給湯誘導子14に通電する三相交流の逆電力の差と給湯時間から給湯量が分かり、スリーブ27に鋳造に必要な供給量が供給される。さらに前述したΔhを誘導式等のレベルセンサー19で測定できるので、必要なΔhに成るように給湯誘導子14を制御して、給湯時間とΔhから堰流量計の計算式を用いて供給量が分かるので、更に精度良く給湯量が把握できる。
【0028】
以上の説明で明らかなようにスリーブ27には、予め定められた一定量の溶融金属12、すなわち金型29に充填すべき1回量分の溶融金属12が供給される。その量は、
図1において二点鎖線Lで示すように、通常スリーブ27の最大容積(プランジャ28が最も後退した時の容積)の半分程である。このスリーブ27への溶融金属12の供給量は、前記プランジャ28に内蔵した溶融金属センサ36でも検知することが出来る。
【0029】
このように、スリーブ27に予め定められた一定量の溶融金属12が供給されると同時に、給湯誘導子14の出力調整により溶融金属12のレベルを
図1に実線で示すレベル30に戻す。前述した通り、この給湯時と給湯待機時との溶融金属12のレベル差は
図1にΔhで示された高さである。スリーブ27への給湯を完了した時点で、プランジャ28がゆっくり動き出し、図示していないプランジャ28の移動位置検知器の信号によってプランジャ28がスリーブ27につながる供給側ダクト1’の開口部を塞いだ時点で給湯誘導子14の給湯方向と反対方向の逆推力を瞬時に零にして位相を反転しておく。その後もプランジャ28がゆっくり動いて行くので、供給側ダクト1’のスリーブ27内の開口部はプランジャ28の移動方向に対してプランジャ28の背面側になってしまう。一般のダイカストマシーンのプランジャ28の背面は、大気開放であるから急激に大気が流入して、ダクト1、1’内の溶融金属12が溶融金属槽11に戻ってしまう。大気が入るとダクト1、1’内のレベル30が維持できなくなるばかりか、溶融金属12が酸化してしまうので、ダクト1、1’内のレベル30が下がらず、溶融金属12が酸化しないように、
図1の様に、プランジャ28の背面をダクト1、1’内のレベル30を維持する圧力、例えば溶融金属槽11に収納された溶融金属12の湯面とダクト1、1’内の溶融金属12のレベル30との高さが1mだとすると、約−0.25kg/cm
2Gに維持する。出来ればこの背圧ガスは不活性ガスが望ましく、不活性ガスタンク38からバルブ37を介して供給される。更にその後もプランジャ28がゆっくり動いて行き、スリーブ27が溶融金属12で満たされた時点でプランジャ28は通常のダイカストマシーンと同様に高速で動き、金型29に溶融金属12が充填され、充填完了後更にゆっくりプランジャ28を押し込んで溶融金属12の凝固収縮分を補って鋳造が完了する。
【0030】
鋳造が完了後、プランジャ28がスリーブ27内部を戻ってくるが、プランジャ28がスリーブ27のダクト1’の開口部を過ぎると急激に金型29側から空気が流入してしまうので、スリーブ27のダクト1’の開口部の前でプランジャ28の速度をゆっくり戻し、更にプランジャ28を止めて金型29側からの空気流入が一挙に起こらないようにしながら、ダクト1’に取り付けたレベルセンサー19の指示値に基づいて、給湯方向に給湯誘導子14の電磁力を上昇させレベル30を維持するように駆動電源31を調節する。
【0031】
この溶融金属12の給湯と制動の動作を
図2に模式的に示す。溶融金属槽11に収納された溶融金属12をダクト1、1’内の所定のレベル30に達するまでの給湯誘導子14の出力は、重力と逆らう方向への給湯出力を正(+)として記載し、金型29を減圧し真空に至るまでの間に正(+)から重力方向の負(−)に切り替わり、溶融金属12をスリーブ27に送り出すようダクト1、1’内の溶融金属12への推力を弱めてダクト1’内を越流しスリーブ27へ給湯する。スリーブ27内の溶融金属12が所定のレベルLに達すると、誘導子14の出力は、ダクト1、1’内のレベル30に戻す様に負(−)の出力を強め溶融金属12に給湯と反対方向に逆方向の推力を与え、制動する。こうすることにより、前記減圧ポンプ35や真空タンク34等の減圧手段によりダクト1、1’内の溶融金属12に加えられる大気圧と拮抗するような制動力が働き、同溶融金属12の流動慣性が抑えられる。これにより、スリーブ27への過剰な溶融金属12の供給や、急激な溶融金属12の停止によるダクト1、1’内での溶融金属12の脈動等が抑えられる。
図1に示すようにプランジャ28の幅をwとすると、
図2に示すようにこの幅w分だけノズル開口が一時的に塞がれる。
【0032】
スリーブ27に供給された予め定められた一定量の溶融金属12は、その後プランジャ28のストローク動作によりスリーブ27から金型29に押し出され、充填され、鋳造が行われる。このとき、予め前記減圧ポンプ35や真空タンク34等の減圧手段により金型29内の空気は排除されているので、ガスを巻き込む事なく一定量の溶融金属12が金型29に完全に充填される。これに拠ってダイカスト鋳造品は、ガスや鬆のない良質な製品となる。
【0033】
図3は、本発明による溶融金属供給装置の他の実施例である。この溶融金属供給装置は、ダイカスト鋳造装置のスリーブ27の横側から溶融金属を給湯する例である。この溶融金属供給装置もまた、前述した実施例と同様に、上側の給湯誘導子14と下側の立上誘導子24との2段の誘導子を有する。上側の給湯誘導子14の先の給湯側ダクト1’を通してスリーブ27の横に設けた給湯口から溶融金属12を給湯し、このスリーブ27に給湯された溶融金属12をプランジャ28により金型29に注入する。
【0034】
図4で示した溶融金属供給装置の実施例もまた、ダイカスト鋳造装置のスリーブ27に溶融金属を下側から給湯する例である。この溶融金属供給装置もやはり、前述した実施例と同様に、上側の給湯誘導子14と下側の立上誘導子24との2段の誘導子を有する。この溶融金属供給装置では、上側の給湯誘導子14の先の給湯ダクト側1’を通してスリーブ27の下に設けた給湯口から溶融金属12を給湯し、このスリーブ27に給湯された溶融金属12をプランジャ28により金型29に注入する。
【0035】
こられ
図3と
図4の実施例において、その他の構成は、
図1により前述した実施例と何れも同様である。電磁バルブ33を介して真空タンク34と減圧ポンプ35が順次接続され、金型29内が負圧に減圧されることや、スリーブ27に予め定められた一定量の溶融金属12が供給される前に、給湯誘導子14に逆出力を与え、ダクト1、1’内の溶融金属12に前述した供給方向とは逆方向の推力を与えるのも前述の通りである。同じ部分は同じ符合で示しており、それらの説明は重複するので省略する。
【0036】
ただし、
図3に示したスリーブ27の横から溶融金属12を注入する注入量の制御方法が
図1と違う。
図3の場合は、レベルセンサー19の測定範囲内に給湯ダクト側1’のスリーブ27の開口部があり、給湯量であるスリーブ27の中心位置の湯面が測定できる。従って、給湯ダクト側1’の所定レベル30から給湯量であるスリーブ27の中心位置までの高さに見合うだけ電磁ポンプの逆推力を弱めてゆき、給湯量であるスリーブ27の中心位置に湯面が来て、その湯面が検知できた時点で給湯制御が完了し、プランジャ28が動き出す。その後の制御は、同じなので省略する。緩衝継手を入れる場合は、レベルセンサー40がスリーブ27側に設置して、レベルセンサー40の測定範囲内に給湯ダクト側1’のスリーブ27の開口部を持ってくれば良い。その後の制御は、同じなので省略する。
【0037】
図4の場合もスリーブ27への溶融金属12の注入量の制御方法が
図1と違うが、基本的には
図3と同じでレベルセンサー19の測定範囲内にスリーブ27の中心位置がくる様にする。従って、給湯ダクト側1’の所定レベル30から給湯量であるスリーブ27の中心位置までの高さに見合うだけ電磁ポンプの逆推力を弱めてゆき、給湯量であるスリーブ27の中心位置に湯面が来て、その湯面が検知できた時点で給湯制御が完了し、プランジャ28が動き出す。その後の制御は、同じなので省略する。緩衝継手を入れる場合は、レベルセンサー40がスリーブ27側に設置して、レベルセンサー40の測定範囲内にスリーブ27の中心部が測定出来る様にすれば良い。その後の制御は、同じなので省略する。
【0038】
図5は、
図1に示したダクト1’の途中のスリーブ27側に緩衝継手39と誘導式等のレベルセンサー40を設置した場合の継手部分の詳細図である。
緩衝継手39は、耐熱性セラミックスリーブ42と伸縮自在なベローズ41を有し、2分割された給湯側ダクト1’のフランジ44、44を連結している。フランジ44、44はフランジ押さえ金具43、43で固定されている。この緩衝継手39は、プランジャ28が高速で移動したり停止したり、溶融金属12を充填後にプランジャ28を戻したりする時に、スリーブ27が振動し、その振動が前記ポンプ側ダクト1と給湯側ダクト1’とを接続する前記の継手5、5’のシール部に影響を与えない様にするためのものである。
【0039】
また、誘導式等のレベルセンサー40は、ダクト1’を越流して行く開始時間と終わりの時間を計測し、給湯量の精度を維持管理する為に使うためのセンサである。特に、ダクト1’に取り付けられた誘導式等のレベルセンサー19に拠ってΔhを測定すると、堰流量計の原理からも供給量が分かるが、秒間隔での給湯の補正には間に合わず、給湯サイクルの趨勢的変化の給湯量の補正に適している。更に、越流後の誘導式等のレベルセンサー40は、確実に越流した時間と給湯時間を確認することができるので、給湯一回毎の変化について補正するのにも適している。
【0040】
緩衝継手39は、アルミニウム等の溶融金属12に耐える屈曲性セラミックスリーブなどを減圧に耐えるステンレスベローズ配管内に組み込んだものであり、ベローズ配管の外側には、マイクロヒータが取り付けられ予熱できる構造になっている。
【0041】
緩衝継手39と誘導式等のレベルセンサー40を組み立てて
図5に示した構造物は、給湯側ダクト1’の途中に入れられるので、
図3,
図4にも適用可能である。ただし、
図3と
図4の実施例の場合との違いは、
図1の場合の様に越流ではないので、2つの誘導式等のレベルセンサー19、40間の間を通過する時間と流路断面積から、演算されて給湯量が分かる。この演算された給湯量は、秒間隔での給湯の補正には間に合わず、給湯サイクルの趨勢的変化の給湯量の補正に適している。更に、越流後の誘導式等のレベルセンサー40は、確実に越流した時間と給湯時間を確認することもできるので、給湯一回毎の変化について補正するのに適している。