【文献】
Cook,C.D.,et al.,“Nociceptive Sensitivity and Opioid Antinociception and Antihyperalgesia in Freund’s Adjuvant−Induced Arthritic Male and Female Rats”,J. pharmacol. Exp. Ther.,2005年 4月,Vol.313,No.1,P.449−459
【文献】
Tzschentke,T.M.,et al.,“(−)−(1R,2R)−3−(3−Dimethylamino−1−ethyl−2−methyl−propyl)−phenol Hydrochloride (Tapentadol HCL): a Novel mu−Opioid Receptor Agonist/Norepinephrine Reuptake Inhibitor with Broad−Spectrum Analgestic Properties”,J. pharmacol. Exp. Ther.,2007年10月,Vol.323,No.1,P.265−276
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に関して、アルキル及びシクロアルキル基とは、無置換であるか一置換又は多置換であることができる飽和及び不飽和(ただし芳香族ではない)の分岐、非分岐及び環状炭化水素を表すと理解される。これに関連して、C
1-2-アルキルはC1-又はC2-アルキルを表し、C
1-3-アルキルはC1-、C2-又はC3-アルキルを表し、C
1-4-アルキルはC1-、C2-、C3-又はC4-アルキルを表し、C
1-5-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-又はC5-アルキルを表し、C
1-6-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-又はC6-アルキルを表し、C
1-7-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-、C6-又はC7-アルキルを表し、C
1-
8-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-、C6-、C7-又はC8-アルキルを表し、C
1-10-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-、C6-、C7-、CS,- C9-又はC10-アルキルを表し、C
1-18-アルキルはC1-、C2-、C3-、C4-、C5-、C6-、C7-、C8-、C9-、C10-、C11-、C12-、C13-、C14-、C15-、C16-、C17-又はC18-アルキルを表す。また、C
3-4-シクロアルキルはC3-又はC4-シクロアルキルを表し、C
3-5-シクロアルキルはC3-、C4又はC5-シクロアルキルを表し、C
3-6-シクロアルキルはC3-、C4-、C5-又はC6-シクロアルキルを表し、C
3-7-シクロアルキルはC3-、C4-、C5-、C6-又はC7-シクロアルキルを表し、C
3-8-シクロアルキルはC3-、C4-、C5-、C6-、C7-又はC8-シクロアルキルを表し、C
4-5-シクロアルキルはC4-又はC5-シクロアルキルを表し、C
4-6-シクロアルキルはC4-、C5-又はC6-シクロアルキルを表し、C
4-7シクロアルキルはC4-、C5-、C6-又はC7-シクロアルキルを表し、C
5-6-シクロアルキルはC5-又はC6-シクロアルキルを表し、C
5-7-シクロアルキルはC5-、C6-又はC7-シクロアルキルを表す。シクロアルキルに関して、この用語は、1つ又は2つの炭素原子がヘテロ原子S、N又はOで置き換えられた飽和シクロアルキルも包含する。しかし、用語シクロアルキルは、そのシクロアルキルが芳香族系を形成しないという条件の下で、特に、環内にヘテロ原子を持たないモノ不飽和又はポリ不飽和(好ましくはモノ不飽和)シクロアルキルも、さらに包含する。アルキル基及びシクロアルキル基は、好ましくはメチル、エチル、ビニル(エテニル)、プロピル、アリル(2-プロペニル)、1-プロピニル、メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、シクロプロピル、2-メチルシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、さらにはアダマンチル、CHF
2、CF
3又はCH
2OH、並びにピラゾリノン、オキソピラゾリノン、[1,4]ジオキサン又はジオキソランである。
【0010】
同時に、アルキル及びシクロアルキルに関連して、別段の定義を明示しない限り、用語「置換(された)」は、本発明においては、F、Cl、Br、I、NH
2、SH又はOHによる少なくとも1つ(場合によっては数個)の水素原子の置換を表し、「多置換」及び多置換の場合における「置換」は、異なる原子上及び同じ原子上に、同じ又は異なる置換基による置換が多重に存在すること、例えば、CF
3の場合のように同じC原子上での三重置換、又は-CH(OH)-CH=CH-CHCl
2の場合のように異なる部位における三重置換などを意味すると理解される。これに関連して特に好ましい置換基はF、Cl及びOHである。シクロアルキルについては、水素原子を、OC
1-3-アルキル又はC
1-3-アルキル(いずれの場合も一置換又は多置換、又は無置換)、特にメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、CF
3、メトキシ又はエトキシで置き換えることもできる。
【0011】
用語(CH
2)
3-6は、-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-及び-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-を表すと理解され、用語(CH
2)
1-4は-CH
2、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-及び-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-を表すと理解され、同様に用語(CH
2)
4-5は-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-及び-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-を表すと理解される。
【0012】
アリール基は、少なくとも1つの芳香環を含むがどの環にもヘテロ原子を含まない環系を表すと理解される。その例としては、フェニル、ナフチル、フルオランテニル、フルオレニル、テトラリニル又はインダニル、特に9H-フルオレニル又はアントラセニル基が挙げられ、これらは無置換であっても、一置換又は多置換であってもよい。
【0013】
ヘテロアリール基は、少なくとも1つの不飽和環を含む複素環式環系を表し、これは、窒素、酸素及び/又は硫黄の群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有することができ、一置換体又は多置換体でもよいと理解される。言及することができるヘテロアリール化合物の例としては、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール、ベンゾチアゾール、インドール、ベンゾトリアゾール、ベンゾジオキソラン、ベンゾジオキサン、カルバゾール、インドール及びキナゾリンなどが挙げられる。
【0014】
塩という用語は、本発明の活性成分がイオン型をとっているか、荷電していて、対イオン(カチオン又はアニオン)と対を形成しているか、又は溶解した状態で存在している、任意の形態の本発明の活性成分を表すと理解される。また、この用語は、活性成分の、他の分子及びイオンとの複合体、特にイオン相互作用によって複合体を形成している複合体を包含すると理解される。特にこの用語は、生理学的に適合する塩、特にカチオン又は塩基との生理学的に適合する塩、及びアニオン又は酸との生理学的に適合する塩を表し、又は生理学的に適合する酸若しくは生理学的に適合するカチオンで形成される塩も表す(そしてそれが本発明の好ましい実施形態でもある)と理解される。
【0015】
生理学的に適合するという用語は、その物質、特に塩そのものが、ヒト又は哺乳動物において使用された時に適合性であり、そしてそれゆえに、例えば非生理学的な形では作用しない(例えば毒性でない)ことを意味すると理解される。
【0016】
アニオン又は酸との生理学的に適合する塩という用語は、本発明においては、カチオンとしての本発明の化合物の少なくとも1つ(一般的には例えば窒素原子がプロトン化されているもの)の、少なくとも1つのアニオンとの塩であって、とりわけヒト及び/又は哺乳動物において使用された時に、生理学的に適合するものを表すと理解される。特にこの用語は、本発明においては、生理学的に適合する酸で形成される塩、すなわち、各活性成分の、とりわけヒト及び/又は哺乳動物において使用された時に生理学的に適合する無機酸又は有機酸との塩を表すと理解される。具体的な酸の生理学的に適合する塩の例としては、次に挙げる酸の塩がある:塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、1,1-ジオキソ-1,2-ジヒドロ1λ
6-ベンゾ[3]イソチアゾール-3-オン(サッカリン酸(saccharinic acid))、モノメチルセバシン酸、5-オキソ-プロリン、ヘキサン-1-スルホン酸、ニコチン酸、2-、3-又は4-アミノ安息香酸、2,4,6-トリメチル安息香酸、α-リポ酸、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、馬尿酸及び/又はアスパラギン酸。塩酸塩は特に好ましい。
【0017】
生理学的に適合する酸で形成される塩という用語は、本発明においては、各活性成分の、とりわけヒト及び/又は哺乳動物において使用された時に生理学的に適合する無機酸又は有機酸との塩を表すと理解される。塩酸塩は特に好ましい。生理学的に適合する酸の例としては、次に挙げるものがある:塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、1,1-ジオキソ-1,2-ジヒドロ1λ
6-ベンゾ[3]イソチアゾール-3-オン(サッカリン酸)、モノメチルセバシン酸、5-オキソ-プロリン、ヘキサン-1-スルホン酸、ニコチン酸、2-、3-又は4-アミノ安息香酸、2,4,6-トリメチル安息香酸、α-リポ酸、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、馬尿酸及び/又はアスパラギン酸。
【0018】
カチオン又は塩基との生理学的に適合する塩という用語は、本発明においては、アニオンとしての本発明の化合物の少なくとも1つ(一般的には(脱プロトン化された)酸)の、少なくとも1つの(好ましくは無機)カチオンとの塩であって、とりわけヒト及び/又は哺乳動物において使用された時に、生理学的に適合するものを表すと理解される。特に好ましいのは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩であるが、NH
4+との塩も好ましい。ただし、特に好ましいのは、(モノ)又は(ジ)ナトリウム、(モノ)又は(ジ)カリウム、マグネシウム又はカルシウム塩である。
【0019】
生理学的に適合するカチオンで形成される塩という用語は、本発明においては、アニオンとしての各化合物の少なくとも1つの、とりわけヒト及び/又は哺乳動物において使用された時に生理学的に適合する少なくとも1つの無機カチオンとの塩を表すと理解される。特に好ましいのは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩であるが、NH
4+との塩も好ましい。ただし、特に好ましいのは、(モノ)又は(ジ)ナトリウム、(モノ)又は(ジ)カリウム、マグネシウム又はカルシウム塩である。
【0020】
本発明に従って使用される化合物及びそれらの製造は、基本的に、一般式Iで表される1-フェニル-3-ジメチルアミノプロパン化合物については、DE 44 26 245 A1から知られている。これらの具体的化合物以外の化合物は全て、当業者が、そこに記載されている合成経路と類似する方法で、容易に製造することができる。
【0021】
この実施形態の特に好ましい変形例では、本発明に従って使用されるR
3=Hである一般式Iの1-フェニル-3-ジメチルアミノプロパン化合物に関して、これらは、相対配置Ia
【0022】
【化2】
を有するジアステレオマーの形態で、特にこのジアステレオマーの比率が他方のジアステレオマーよりも大きい混合物として存在するか、又は純粋なジアステレオマーとして使用される。
【0023】
本発明に従って使用される一般式Iの1-フェニル-3-ジメチルアミノプロパン化合物が、次の群から選択されるのであれば、特に好ましい:
・(2RS,3RS)-1-ジメチルアミノ-3-(3-メトキシフェニル)-2-メチル-ペンタン-3-オール、
・(+)-(2R,3R)-1-ジメチルアミノ-3-(3-メトキシフェニル)-2-メチル-ペンタン-3-オール、及び
・(2R,3R)-1-ジメチルアミノ-3-(3-メトキシフェニル)-2-メチルペンタン-3-オール、
・(-)-(2S,3S)-1-ジメチルアミノ-3-(3-メトキシフェニル)-2-メチル-ペンタン-3-オール、
・(2S,3S)-1-ジメチルアミノ-3-(3-メトキシフェニル)-2-メチルペンタン-3-オール、
・(2RS,3RS)-3-(3,4-ジクロロフェニル)-1-ジメチルアミノ-2-メチル-ペンタン-3-オール、
・(2RS,3RS)-3-(3-ジフルオロメチルフェニル)-1-ジメチルアミノ-2-メチル-ペンタン-3-オール、
・(2RS,3RS)-1-ジメチルアミノ-2-メチル-3-(3-メチルスルファニルフェニル)-ペンタン-3-オール、
・(3RS)-1-ジメチルアミノ-3-(3-メトキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン-3-オール、
・(2RS,3RS)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-1-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-フェノール、
・(1RS,2RS)-3-(3-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-1,2-ジメチルプロピル)-フェノール、
・(+)-(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-1,2-ジメチルプロピル)-フェノール、
・(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-1,2-ジメチルプロピル)フェノール、
・(-)-(1S,2S)-3-(3-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-1,2-ジメチルプロピル)-フェノール、
・(1S,2S)-3-(3-ジメチルアミノ-1-ヒドロキシ-1,2-ジメチルプロピル)フェノール、
・(RS,RS)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(-)-(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(+)-(1S,2S)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(1S,2S)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(+)-(1R,2R)-酢酸-3-ジメチルアミノ-1-エチル-1-(3-メトキシ-フェニル)-2-メチルプロピルエステル、
・(2RS,3RS)-3-(4-クロロフェニル)-1-ジメチルアミノ-2-メチルペンタン-3-オール、
・(+)-(2R,3R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-1-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-フェノール、
・(2RS,3RS)-4-ジメチルアミノ-2-(3-メトキシフェニル)-3-メチルブタン-2-オール、及び
・(+)-(2R,3R)-4-ジメチルアミノ-2-(3-メトキシフェニル)-3-メチルブタン-2-オール、
好ましくは塩酸塩として、
特に
・(RS,RS)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(-)-(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(-)-(1S,2S)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
・(1S,2S)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール、
好ましくは
・(-)-(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチル-プロピル)フェノール、
・(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチルプロピル)フェノール。
【0024】
リウマチ性痛、好ましくは関節リウマチ性痛、とりわけ好ましくは慢性関節リウマチ性痛を治療するための医薬であって、その製造に上述した化合物が本発明に従って使用されるものは、本発明に従って使用される少なくとも1つの上述した活性成分と、場合により、適切な添加剤及び/又は補助物質とを含有する。
【0025】
適切な添加剤及び/又は補助物質は、本発明においては、全て、ガレヌス製剤(galenical formulation)を製造するために先行技術から当業者に知られている物質である。これらの補助物質の選択と、使用されるべきその量は、その医薬が経口、静脈内、腹腔内、皮内、筋肉内、鼻腔内、経口腔粘膜又は局所外用のどの方法で適用されるものであるかに依存する。経口適用の場合、適切な調製物は錠剤、チュアブル錠、被覆丸剤、カプセル剤、顆粒剤、滴剤、ジュース剤又はシロップ剤の形態をとり、一方、非経口、局所外用及び吸入適用の場合、適切な調製物は溶液剤、懸濁剤、容易に再構成できる乾燥調製物並びに噴霧剤である。さらにもう一つの可能性は直腸用の坐剤である。溶解した状態のデポー剤における使用、又は担体フィルム若しくはプラスターにおける使用(皮膚への浸透を促進する薬剤を添加してもよい)は、適切な経皮適用形態の例である。補助物質及び添加剤の例は、経口適用形態の場合は、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、充填剤、離型剤、場合によっては溶媒、味覚増強剤(taste enhancer)、糖類、特に担体、希釈剤、着色剤、酸化防止剤などである。坐剤の場合は、とりわけ、ロウ又は脂肪酸エステルを使用することができ、非経口適用剤の場合は、担体、保存剤、懸濁助剤などを使用することができる。患者に投与されるべき活性成分の量は患者の体重、適用のタイプ及び医学的状態の重症度に依存して変動する。本発明の化合物は、経口用、直腸用又は経皮用の調製物形態から、遅延的に放出させることもできる。本発明の使用に関する医学的適応では、対応する遅延製剤、特に1日に1回服用するだけでよい「1日1回」調製物の形態にあるものが、とりわけ好ましい。
【0026】
好ましいのは、少なくとも0.05%〜90.0%の活性成分を含有する医薬、特に、副作用を避けるために低活性投薬量を含有する医薬である。通常は、0.1〜5000mg/kg、特に1〜500mg/kg、好ましくは2〜250mg/kg体重の、本発明に従って使用される少なくとも1つの化合物が投与される。しかし、0.01〜5mg/kg、好ましくは0.03〜2mg/kg、とりわけ0.05〜1mg/kg体重の投与も好ましく、通例である。
【0027】
補助物質の例としては次に挙げるものが含まれる:水、エタノール、2-プロパノール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、デキストロース、糖みつ、デンプン、加工デンプン、ゼラチン、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、シェラック、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、パラフィン、ロウ、天然及び合成ゴム、アラビアゴム、アルギナート、デキストラン、飽和及び不飽和脂肪酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、食用油、ゴマ油、ヤシ油、ラッカセイ油、大豆油、レシチン、乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビン酸、安息香酸、クエン酸、アスコルビン酸、タンニン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、二酸化チタン、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸カルシウム、炭酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、タルカム、カオリン、ペクチン、クロスポビドン、寒天及びベントナイト。
【0028】
これらの医薬及び医薬組成物の製造は、医薬製剤に関する先行技術において周知の薬剤、装置、方法及びプロセス、例えばA.R. Gennaro編「Remington's Pharmaceutical Sciences」第17版、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストン(1985)、特に第8部、第76〜93章に記載されているものなどを使って行われる。
【0029】
したがって、例えば錠剤などの固形製剤の場合であれば、均一に分布した活性成分を含有する固形組成物を形成させるために、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルカム、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又は医薬上許容されるゴムなどの従来の錠剤成分と、例えば水などの医薬希釈剤とを使って、医薬の活性成分を造粒することができる。均一な分布とは、ここでは、活性成分が組成物全体に一様に分布しており、したがってその組成物をさらに分割して等しく活性な錠剤、丸剤又はカプセル剤などの単位剤形(unit dose form)とすることに、何の支障もないことを意味すると理解される。本発明の医薬又は本発明の組成物の錠剤又は丸剤は、放出が遅延して起こる剤形が得られるように、コーティングするか、他の何らかの方法で調合することもできる。適切なコーティング剤には、とりわけ、ポリマー酸(polymeric acid)や、ポリマー酸と例えばシェラック、セチルアルコール及び/又は酢酸セルロースなどの材料との混合物がある。
【0030】
たとえ本発明に従って製造された医薬がわずかな副作用しか示さないとしても、一定の形態の依存を避けるためには、例えば、上述した本発明の化合物に加えて、モルヒネアンタゴニスト、特にナロキソン、ナルトレキソン及び/又はレバロルファンも使用することが、有益でありうる。
【0031】
本発明は、リウマチ性痛、好ましくは関節リウマチ性痛、とりわけ好ましくは慢性関節リウマチ性痛を治療するための方法であって、上述した化合物の少なくとも1つが本発明に従って使用される方法にも、関係する。
【0032】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明しようとするものであるが、本発明の主題を制限するものではない。
【実施例】
【0033】
化合物タペンタドール((-)-(1R,2R)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチル-プロピル)-フェノール)を試験した。この化合物を以下、化合物(又はComp.)1と略記する。
【0034】
Wilson et al., Pain 2006に従って、リウマチ性痛の前臨床モデルを使用する。
【0035】
実験は、体重135〜170gの雄アルビノラット(Sprague Dawley)で行った。全てのラットを1回だけ使用した。ラット後足の一方の膝関節にCFAを関節内注射することによって、関節リウマチを誘発した。そのために、酸素中の3%イソフルランを使ってラットを麻酔した。Cutasept(登録商標)F溶液を使って左膝を清掃した。各ラットの左膝に、2mg/mlの結核菌(Mycobacterium tubeculosis)を含有する150μlのCFAを注射した。右関節は治療しなかった。関節内注射の5日後に体重負荷の変化について動物を評価した。
【0036】
ナイーブラットは2本の後脚にその体重を等しく分配する。関節炎症性痛の誘発後は、患脚に乗る体重が少なくなるように、体重が再分配される。ラット・インキャパシタンス・テスター(rat incapacitance tester)(Somedic Sales AB、スウェーデン国ヘービー)を使って、各後脚上の体重負荷を決定した。ラットを、その後足が別々のセンサーに載るようにインキャパシタンステスターの傾斜付きプレキシグラスチャンバに入れ、体重分布パーセンテージを30秒間にわたって算出した。両後肢間の均等な体重分布から得られる値を100%として、データを対側体重負荷に対するパーセンテージとして表した。
【0037】
本研究は、静脈内(i.v.)適用後のラットで慢性膝関節関節痛におけるタペンタドールの鎮痛効果を調べるために計画された。対照薬としてオキシコドンを試験した。
【0038】
結果:
タペンタドールは、CFAが誘発する体重負荷の低下を用量依存的に有意に減少させ、4.64mg/kg(i.v.)の用量で51.0±11.2%の最大効果を与えた。タペンタドールの鎮痛薬効力は、対照薬モルヒネ(2.15mg/kgの用量で59.6%)、イブプロフェン(147mg/kgの用量で54.7%の効力)及びオキシコドン(0.464mg/kgの用量で46.1%の効力)に近かった。
【0039】
より高用量の試験化合物タペンタドール、モルヒネ、イブプロフェン及びオキシコドンは、読出し(体重負荷)と交絡する副作用をもたらし、解析しなかった。
【0040】
CFAが誘発する慢性関節痛に対する
タペンタドール、モルヒネ、イブプロフェン及びオキシコドンの鎮痛効果。読出しと交絡する副作用(readout confounding side effects)を伴わない最大可能用量における最大可能性効果に対する平均パーセンテージ±S.E.Mとしてデータを表す(n=10):
【0041】
【表1】
iv=静脈内適用;ip=腹腔内適用
文献
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Pearson CM, Wood FD著「マイコバクテリアアジュバントの注射によってラットに誘発される関節炎及び他の病変の研究VII.関節炎及び脊椎炎の病理学的詳細(Studies of arthritis and other lesions induced in rats by the injection of mycobacterial adjuvant. VII. Pathologic details of the arthritis and spondylitis)」Am J Pathol 1963; 42:73-95
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