(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容され、当該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されるPTPシートの製造に際し用いられる検査装置であって、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像素子を有する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記撮像素子は、
撮像領域が複数の領域に分割され、当該分割された複数の領域からの出力をそれぞれ異なるチャンネルから並行して行うCCDエリアセンサであって、
前記撮像素子により撮像される画像上において、前記撮像領域の分割された複数の領域の境界部に対応する位置が所定の検査対象領域と重ならない位置となるように、前記撮像手段を配置したことを特徴とする検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、2つの出力チャンネルを有するCCDエリアセンサでは、各チャンネル毎に出力アンプが設けられているため、各アンプのゲインが一致しないなど、各アンプの特性のばらつきにより、各チャンネルから出力された画像信号で構成される輝度画像は、その中央部を境に左右で輝度差が生じたものとなるおそれがある。このような不具合が発生した場合には、検査精度が著しく低下するおそれがある。
【0011】
例えば
図12(a)に示す錠剤100を、左右2つの出力チャンネルを有するCCDエリアセンサにより撮像した場合には、
図12(b)に示すように、各チャンネルから出力された画像信号で構成される輝度画像101には、中央部を境に左右で輝度差が生じるおそれがある。
【0012】
また、錠剤100に付着した毛髪等の線状異物102〔
図12(a)参照〕を検出するために輝度画像101〔
図12(b)参照〕に対し微分処理等を行った場合、その微分画像103〔
図12(c)参照〕には、輝度差の生じた画像中央部において縦線105が現れることとなる。勿論、錠剤100に線状異物102が付着していない場合でも、当該縦線105は現れる。
【0013】
その結果、縦線105と線状異物102とが判別不能となり、線状異物102を検出できなくなるおそれがある。逆に錠剤100に線状異物102が付着していない場合にも、縦線105を線状異物102として誤検出してしまうおそれがある。
【0014】
尚、仮に2つの出力チャンネルの出力レベルを補正するにしても、各チャンネルの出力レベルは時間経過や温度変化に伴い逐次変化するため、両者を常時一致させることは難しい。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、PTPシートの検査を行うにあたり、検査効率の向上及び検査精度の低下抑制を図ることのできる検査装置及びPTP包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0017】
手段1.搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容され、当該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されるPTPシートの製造に際し用いられる検査装置であって、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し所定の光を照射する照射手段と、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを撮像可能な撮像素子を有する撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理装置とを備え、
前記撮像素子は、
撮像領域が複数の領域に分割され、当該分割された複数の領域からの出力をそれぞれ異なるチャンネルから並行して行うCCDエリアセンサであって、
前記撮像素子により撮像される画像上において、前記撮像領域の分割された複数の領域の境界部に対応する位置が所定の検査対象領域と重ならない位置となるように、前記撮像手段を配置したことを特徴とする検査装置。
【0018】
上記手段1によれば、PTPシートの製造過程においては、例えば搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤等の内容物が収容された後、当該容器フィルムに対し検査装置の照射手段から光が照射され、当該光の照射された内容物及び容器フィルムが撮像手段により撮像される。そして、画像処理装置において、撮像手段から取得した画像を基に各種検査が行われる。
【0019】
本手段では、撮像素子として、撮像領域が複数の領域に分割され、当該分割された複数の領域からの出力をそれぞれ異なるチャンネルから並行して行うCCDエリアセンサが用いられている。これにより、高速連写が可能となり、検査効率の向上を図ることができる。特に水平方向及び垂直方向ともに画素数が多く高解像度のCCDエリアセンサにおいて、より奏効することとなる。
【0020】
また、一般にPTPシートの検査を行う際には、適正に検査を行うために、錠剤やシート部等の検査対象に合わせて検査対象領域が設定された上で各種検査が行われる。例えば、錠剤等の内容物の外観不良を検査する際には、PTPシートのうちポケット部領域が検査対象領域として設定される。一方、シート部の外観不良を検査する際には、PTPシートのうちポケット部領域を除くシート部領域が検査対象領域として設定される。
【0021】
そして、本手段では、撮像素子により撮像される画像上において、撮像領域の分割された複数の領域の境界部に対応する位置が所定の検査対象領域と重ならない位置となるように、撮像手段が配置されている。例えば、ポケット部領域が検査対象領域として設定される場合には、撮像領域の分割された複数の領域の境界部に対応する位置がシート部領域に設定されることとなる。
【0022】
これにより、仮にCCDエリアセンサの各チャンネルの出力レベルが一致せず、撮像素子により撮像された画像上において、撮像領域の分割された複数の領域の境界部に対応する位置にて輝度差が生じていたとしても、検査対象領域に関しては、その影響を受けることなく、適正に検査を行うことができる。結果として、検査効率の向上を図りつつも、検査精度の低下抑制を図ることができる。
【0023】
手段2.前記撮像手段により撮像された画像、及び、前記撮像領域にて分割された複数の領域の境界部に対応する位置を示す線を表示可能な表示手段と、
前記撮像手段の位置を調整可能な位置調整手段とを備えたことを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0024】
上記手段2によれば、作業者が表示手段を見ながら撮像手段の位置合わせを行うことができる。例えば表示手段に表示された画像を見て、検査対象領域と非検査対象領域とを判別しつつ、撮像領域の境界部に対応する位置を示す線が検査対象領域と重ならないように、位置調整手段により撮像手段の位置合わせを行う。
【0025】
結果として、撮像手段の位置合わせ作業をより容易かつより簡単に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。さらに、撮像手段をより適切な位置に位置合わせすることができるため、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0026】
手段3.前記画像処理装置は、
前記撮像手段により撮像された画像に対し微分処理を行う微分処理手段と、
前記微分処理が行われた微分画像に基づき、前記検査対象領域内に存在する異物を検出可能な異物検出手段とを備えていることを特徴とする手段1又は2に記載の検査装置。
【0027】
上記手段3によれば、微分処理を行うことにより、毛髪や繊維屑等の線状異物をより検出しやすくなる。
【0028】
尚、本手段のように微分処理を行う場合には、上記「発明が解決しようとする課題」で例示したような不具合が発生しやくなる。つまり、本手段の構成下において、上記手段1の作用効果がより奏効することとなる。
【0029】
手段4.手段1乃至3のいずれかに記載の検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0030】
上記手段4のように、上記検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において不良品を効率的に除外できる等のメリットが生じる。
【0031】
一般に、PTP包装機は、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段と、前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備える。また、PTP包装機は、上記検査装置によって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える。
手段5.搬送される帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に内容物が収容され、当該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されるPTPシートの製造に際し用いられる検査方法であって、
前記内容物の収容された前記容器フィルムに対し照射手段を用いて所定の光を照射し、
前記光の照射された前記内容物及び前記容器フィルムを、撮像素子を有する撮像手段を用いて撮像し、
前記撮像手段から出力される画像信号を画像処理装置を用いて処理するものであり、
前記撮像素子は、
撮像領域が複数の領域に分割され、当該分割された複数の領域からの出力をそれぞれ異なるチャンネルから並行して行うCCDエリアセンサであって、
前記撮像素子により撮像される画像上において、前記撮像領域の分割された複数の領域の境界部に対応する位置が所定の検査対象領域と重ならない位置となるように、前記撮像手段を配置することを特徴とする検査方法。
手段6.手段5に記載の検査方法を含むことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず検査対象となるPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0034】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0035】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、アルミニウムにより形成されている。
【0036】
PTPシート1〔
図1(a)参照〕は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6〔
図1(b)参照〕がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0037】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について
図3を参照して説明する。
【0038】
図3に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0039】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される。加熱装置15及びポケット部形成装置16によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0040】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0041】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21が配設されている。錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0042】
錠剤充填装置21とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って検査装置22が配設されている。かかる検査装置22は、反射光式の検査装置であって、主として錠剤5の外観不良を検査するためのものである。例えば錠剤5の有無、割れ、欠け、錠剤5に付着した汚れや異物等を検出する。
【0043】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0044】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24に案内され、加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状体としてのPTPフィルム6が製造されるようになっている。加熱ロール25の表面には、シール用の網目状の微細な凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。フィルム受けロール20及び加熱ロール25により本実施形態における取着手段が構成される。
【0045】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の撓みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0046】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の撓みを防止する。
【0047】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0048】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段としての機能を有する。
【0049】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。なお、上記検査装置22によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出される。
【0050】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0051】
なお、上記各ロール14,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0052】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下に上記検査装置22の構成について図面を参照してより詳しく説明する。
図4は、検査装置22の電気的構成を示すブロック図である。
【0053】
図4に示すように、検査装置22は、照射手段としての照明装置52、撮像手段としてのカメラ53、画像処理装置54、表示手段としてのモニタ55、及び、入力手段としてのキーボード56、カメラ53の位置を調整する位置調整手段としてのカメラ位置調整機構57等を備えている。
【0054】
照明装置52及びカメラ53は、容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置されている。そして、照明装置52から照射される光が錠剤5等を照らし、錠剤5等から反射した光が、カメラ53によって二次元撮像される。本実施形態では、照明装置52から赤外光が照射される構成となっている。赤外光によれば、錠剤5の色に関係なく、異物よりも錠剤5自体の輝度が高い画像が得られる。
【0055】
本実施形態では、カメラ53の撮像素子として、少なくとも赤外光に感度のあるインターライン転送方式のCCDエリアセンサ53aを採用している(
図5参照)。
【0056】
図5に示すように、CCDエリアセンサ53aは、行列状に2次元配置されかつ入射光をその光量に応じた電荷に変換して蓄積する光電変換素子(例えばフォトダイオード)からなる複数の受光部(画素)81と、当該受光部81の各垂直列に対応してそれぞれ設けられ、当該垂直列の各受光部81に蓄積された電荷を垂直方向に1行分(一画素分)ずつ順次転送する複数の垂直転送部(垂直CCDシフトレジスタ)82と、当該垂直転送部82から転送される1行分の電荷を水平方向に順次転送する水平転送部(水平CCDシフトレジスタ)83と、当該水平転送部83から転送される電荷を電圧に変換し増幅して出力する出力アンプ85とを備えている。
【0057】
尚、本実施形態では、CCDエリアセンサ53aの垂直方向が容器フィルム3のフィルム搬送方向であるX軸方向に沿い、かつ、水平方向が容器フィルム3のフィルム幅方向であるY軸方向に沿うように、カメラ53が配置されている。
【0058】
さらに、本実施形態に係るCCDエリアセンサ53aは、
図5に示すように、その1画面分の撮像領域88がカメラ53の光軸を中心として水平方向に2分割され、当該分割された2つの領域からの出力をそれぞれ異なる2つのチャンネルから並行して行う構成となっている。
【0059】
より詳しくは、
図5の左側に位置する左側撮像領域88Aに含まれる受光部81から読み出された電荷は、左側の水平転送部83Aを介して、左側の出力アンプ85Aから出力される。一方、
図5の右側に位置する右側撮像領域88Bに含まれる受光部81から読み出された電荷は、右側の水平転送部83Bを介して、右側の出力アンプ85Bから出力される。
【0060】
そして、両出力アンプ85A,85Bからそれぞれ出力された画像信号(画像データ)は、図示しない回路等を介して、撮像領域88によって撮像された1画面分の画像信号(画像データ)として合成されると共に、デジタル信号に変換された上で、カメラ53から画像処理装置54へ出力される。
【0061】
次にカメラ位置調整機構57の構成について
図6を参照してより詳しく説明する。カメラ位置調整機構57は、容器フィルム3の法線方向であるZ軸方向に沿ってカメラ53をスライド移動するためのZ軸移動機構72と、当該Z軸移動機構72(カメラ53)を容器フィルム3のフィルム幅方向であるY軸方向(Z軸方向と直交する方向かつフィルム搬送方向であるX軸方向と直交する方向)に沿ってスライド移動するためのY軸移動機構73とを備えている。
【0062】
そして、作業者がキーボード56等を操作して、Z軸移動機構72及びY軸移動機構73を作動させることで、カメラ53の撮像位置及び撮像範囲を調整することができる。
【0063】
画像処理装置54は、
図4に示すように、カメラ53に対応する画像メモリ61、マスキング手段62、二値化手段63、設定データメモリ64、検査結果及び統計データメモリ65、カメラタイミング制御手段66、微分処理手段67、並びに、CPU及び入出力インターフェース68などから構成され、後述するような画像データの処理や外観不良の判定(錠剤不良やシート不良の判定)等を実施可能となっている。
【0064】
画像メモリ61は、カメラ53により撮像された輝度画像や、マスキング手段62によりマスキング処理が行われた後のマスキング画像や、二値化手段63により二値化された後の二値化画像、微分処理手段67により微分処理された後の微分画像などを記憶するためのものである。
【0065】
CPU及び入出力インターフェース68は、各種処理プログラムを設定データメモリ64の記憶内容などを使用しつつ実行するとともに、PTP包装機10に制御信号を送出し又はPTP包装機10から動作信号などの各種信号を送受信するためのものである。これによって、例えば、PTP包装機10の不良シート排出機構などを制御することができるようになっている。
【0066】
また、CPU及び入出力インターフェース68は、モニタ55に表示データを送出する機能をも有する。かかる機能により、各種画像や不良検査結果などを、モニタ55に表示させることができる。さらに、CPU及び入出力インターフェース68は、キーボード56からのデータを入力する機能も有する。
【0067】
設定データメモリ64は、例えば外観不良検査に係る判定基準値や、容器フィルム3とカメラ53との位置関係データや、PTPシート1、ポケット部2及び錠剤5の形状及び寸法などを記憶するものである。
【0068】
検査結果及び統計データメモリ65は、各種画像に関する座標等のデータ、検査結果データ、及び、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、CPU及び入出力インターフェース68の制御に基づき、適宜モニタ55に表示させることができる。また、これらの検査結果データや統計データに基づいてCPU及び入出力インターフェース68がPTP包装機10に制御信号を送出することもできる。
【0069】
カメラタイミング制御手段66は、カメラ53が撮像する画像データを画像メモリ61に取り込むタイミングを制御するものである。かかるタイミングはPTP包装機10に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御され、容器フィルム3を所定量送るごとにカメラ53によるシート単位(例えば打ち抜かれるPTPシート単位)で撮像が行われる。
【0070】
次に検査装置22によって行われる外観不良検査の手順について説明する。先ずは外観不良検査に先だって行われる「カメラ位置設定ルーチン」について
図7のフローチャート等を参照して詳しく説明する。
【0071】
まず容器フィルム3の搬送を停止させた状態で、当該容器フィルム3を撮像し(ステップS101)、当該撮像された画像をモニタ55に表示する(ステップS102)。
【0072】
同時に、モニタ55の表示画面55aには、
図9(a),(b)に示すように、当該表示画面55aを左右に分割する中央基準線Rが画面上下方向(フィルム搬送方向であるX軸方向)に沿って表示されている。
【0073】
中央基準線Rは、撮像領域88を2分割した左側撮像領域88Aと右側撮像領域88Bとの境界部に対応する位置、及び、Y軸方向におけるカメラ53の中心(光軸)の位置を示す線である。
【0074】
次にモニタ55の表示画面55aに表示された容器フィルム3の画像及び中央基準線Rを基に、カメラ53の位置調整を行う(ステップS103)。より詳しくは、表示画面55aに表示された容器フィルム3の画像及び中央基準線Rを確認しつつ、キーボード56等を操作してカメラ位置調整機構57を作動させ、カメラ53の位置調整を行う。
【0075】
ここで、錠剤5の外観不良を検査する検査装置22では、検査対象領域がポケット部領域90aに設定されることから、当該ポケット部領域90aが中央基準線Rに重ならないようにする。従って、仮にポケット部領域90aに中央基準線Rが重なった状態となっている場合〔
図9(a)参照〕には、カメラ53をY軸方向に沿ってシート部領域90bまで移動させ、ポケット部領域90aが中央基準線Rに重ならないようにする〔
図9(b)参照〕。
【0076】
カメラ53の位置調整が終了すると、カメラ53の位置を確定させ、カメラ位置設定ルーチンを終了する。
【0077】
次に検査装置22によって行われる錠剤5の外観不良検査、主として錠剤5に付着した異物等の検出に係る「検査ルーチン」について
図8のフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0078】
まず検査対象となる錠剤5がポケット部2に充填された容器フィルム3に対し照明装置52から赤外光を照射して、当該赤外光の照射された錠剤5及び容器フィルム3をカメラ53により撮像する(ステップS201:撮像処理)。これにより、錠剤5が充填された容器フィルム3の輝度画像データが取得される。
【0079】
輝度画像データが取得されると、当該輝度画像データに対し微分処理手段67による微分処理が行われる(ステップS202)。これにより、異物等の輪郭が強調された微分画像データが取得される。微分処理を行うことにより、毛髪や繊維屑等の線状異物を検出しやすくなる。
【0080】
微分画像データが取得されると、当該微分画像データに対し二値化手段63による二値化処理が行われる(ステップS203)。これにより、異物等が存在する部位が「0(暗)」となり、これを除く正常な部位が「1(明)」となった二値化画像データが取得される。
【0081】
二値化画像データが取得されると、当該二値化画像データに対し塊処理を実行する(ステップS204)。塊処理としては、二値化画像データの「0(暗)」及び「1(明)」について各連結成分を特定する処理と、それぞれの連結成分についてラベル付けを行うラベル付け処理とがある。ここで、それぞれ特定される各連結成分の占有面積はカメラ53の画素に応じたドット数で表される。
【0082】
二値化画像データが取得されると、当該二値化画像データから求めた「0(暗)」の連結成分の中から、異物に相当する連結成分、すなわち不良領域を特定する(ステップS205)。
【0083】
より詳しくは、予め設定したマスキングデータを用いて、マスキング手段62により非検査対象領域となるシート部領域90b(
図9参照)に対しマスキング処理を施し、ポケット部領域90a(
図9参照)を検査対象領域と設定した上で、不良領域を特定する。尚、ステップS204,S205に係る処理を実行する画像処理装置54の処理機能が本実施形態における異物検出手段を構成する。
【0084】
不良領域が特定されると、当該不良領域の面積Sxを算出すると共に(ステップS206)、当該不良領域の面積Sxが予め設定した判定基準値So以下か否かを判定する(ステップS207)。つまり、不良領域の面積Sxが許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0085】
ここで、不良領域の面積Sxが判定基準値So以下である場合には、ステップS208において良品判定を行い、本処理を一旦終了する。一方、不良領域の面積Sxが判定基準値Soよりも大きい場合には、ステップS209において不良判定を行い、本処理を一旦終了する。
【0086】
尚、上記検査ルーチンの処理は、容器フィルム3上の各錠剤5について実行され、後にPTPシート1となって裁断されたときに同一シート上に一つでも不良判定された錠剤5が含まれているときは、そのシートは不良と判断され排出される。
【0087】
以上詳述したように、本実施形態によれば、カメラ53の撮像素子として、1画面分の撮像領域88がカメラ53の光軸を中心として水平方向に2分割され、当該分割された2つの領域からの出力をそれぞれ異なる2つのチャンネルから並行して行うCCDエリアセンサ53aが用いられている。これにより、高速連写が可能となり、検査効率の向上を図ることができる。
【0088】
また、本実施形態では、撮像される画像データ上において、CCDエリアセンサ53aの撮像領域88を2分割した左側撮像領域88Aと右側撮像領域88Bとの境界部に対応する位置が、検査対象領域であるポケット部領域90aと重ならない位置となるように、カメラ53が配置されている。
【0089】
これにより、仮にCCDエリアセンサ53aの各チャンネルの出力レベルが一致せず、撮像された画像データ上において、左側撮像領域88Aと右側撮像領域88Bとの境界部に対応する位置にて輝度差が生じていたとしても、検査対象領域に関しては、その影響を受けることなく、適正に検査を行うことができる。
【0090】
具体的には、上記構成の下、例えば
図10(a)に示す錠剤5をCCDエリアセンサ53aにより撮像し、各チャンネルから出力された画像信号で構成される輝度画像95〔
図10(b)参照〕において、中央部を境に左右で輝度差が生じると共に、当該輝度画像95を微分処理した微分画像96〔
図10(c)参照〕において、中央部に縦線97が現れたとしても、当該縦線97が現れる部位が、マスキングされた非検査対象領域であるシート部領域となる。
【0091】
その結果、錠剤5に付着した毛髪等の線状異物98と、上記縦線105とが重なり合い、線状異物98を検出できなくなるといった不具合の発生を抑制することができる。また、錠剤5に線状異物98が付着していない場合に、縦線97を線状異物として誤検出してしまうような不具合の発生を抑制することができる。
【0092】
結果として、本実施形態によれば、検査効率の向上を図りつつも、検査精度の低下抑制を図ることができる。
【0093】
加えて、本実施形態では、カメラ53の位置設定を行うに際し、モニタ55において、カメラ53により撮像された画像、及び、撮像領域88を2分割した左側撮像領域88Aと右側撮像領域88Bとの境界部に対応する位置を示す中央基準線Rを表示する構成となっていると共に、カメラ53の位置を調整可能なカメラ位置調整機構57を備えた構成となっている。これにより、作業者がモニタ55を見ながらカメラ53の位置合わせを行うことができる。
【0094】
結果として、カメラ53の位置合わせ作業をより容易かつより簡単に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。さらに、カメラ53をより適切な位置に位置合わせすることが可能となるため、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0095】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0096】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品等であってもよい。
【0097】
(b)上記実施形態では、容器フィルム3がPP等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、カバーフィルム4がアルミニウムにより形成されている。各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0098】
例えば容器フィルム3が、アルミラミネートフィルムなど、アルミニウムを主材料とした金属材料により形成された構成としてもよい。
【0099】
(c)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記実施形態(2列、14個)に何ら限定されるものではなく、例えば3列12個のポケット部を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
【0100】
(d)上記実施形態では、錠剤の外観不良を検査する反射光式の検査装置22に本願発明を適用しているが、検査装置の構成は、これに限定されるものではない。
【0101】
例えば透過光式の検査装置に適用してもよい。また、カバーフィルム4を取着した後の容器フィルム3(PTPフィルム6)の搬送途中において検査を行う検査装置に適用してもよい。
【0102】
また、シート部領域を検査対象領域としてシート部の外観不良を検査する検査装置に適用してもよい。尚、シート部領域を検査対象領域とする場合には、PTPシート1の外部、例えばPTPシート1を打抜く際の打抜きラインやスクラップ部の位置に、撮像領域88を分割した複数の領域の境界部に対応する位置を合せることが好ましい。例えば後述するように、撮像領域88を垂直方向に2分割した構成とすれば、容器フィルム3のフィルム搬送方向(X軸方向)における2つのPTPシート1間の打抜きラインやスクラップ部に、撮像領域88を分割した複数の領域の境界部に対応する位置を合せやすくなる。
【0103】
(e)上記実施形態では、容器フィルム3に対し赤外光を照射する構成となっているが、照射光はこれに限定されるものではない。例えば近赤外光や可視光を照射する構成としてもよい。
【0104】
(f)上記実施形態では、カメラ53の撮像素子として、撮像領域88が水平方向に2分割され、当該分割された2つの領域からの出力をそれぞれ異なる2つのチャンネルから並行して行うインターライン転送方式のCCDエリアセンサ53aが採用されている。
【0105】
CCDエリアセンサの構成は、これに限定されるものではない。例えばフルフレーム転送方式やフレーム転送方式、フレームインターライン転送方式などのCCDエリアセンサを採用してもよい。
【0106】
また、撮像領域88を垂直方向に2分割した構成としてもよいし、撮像領域88を3つ以上の領域に分割した構成としてもよい。具体例としては、
図11に示す例が挙げられる。
【0107】
図11に示すCCDエリアセンサ53aは、その1画面分の撮像領域88がカメラ53の光軸を中心として水平方向及び垂直方向にそれぞれ2分割、計4分割とされ、当該4つの領域からの出力をそれぞれ異なる4つのチャンネルから並行して行う構成となっている。かかる構成では、各分割領域88A,88B,88C,88Dに含まれる受光部81から読み出された電荷は、それぞれ所定の垂直転送部82(82A,82B,82C,82D)及び水平転送部83(83A,83B,83C,83D)を通って、所定の出力アンプ85(85A,85B,85C,85D)から出力される。
【0108】
(g)上記実施形態では、微分処理を行うことにより、毛髪や繊維屑等の線状異物を検出しやすくしているが、当該微分処理を省略した構成としてもよい。また、検出対象となる異物は、毛髪や繊維屑等の線状異物に限定されるものではない。例えば上記実施形態によれば、不良領域の形状が略円形となる錠剤粉等の粉体を検出することも可能である。
【0109】
(h)上記実施形態では、モニタ55の表示画面55aに表示された容器フィルム3の画像及び中央基準線Rを基に、作業者がキーボード56等を操作してカメラ位置調整機構57を作動させ、カメラ53の位置調整を行う構成となっている。
【0110】
これに限らず、例えば撮像された画像データを基にポケット部2等の位置を検出し、又は、事前登録したPTPシート1やポケット部2、錠剤5などの形状及び寸法を基にポケット部2等の位置を特定し、これに応じてカメラ位置調整機構57が自動的にカメラ53の位置調整を行う構成としてもよい。
【0111】
モニタ55を省略し、モニタ55を見ることなく、例えば所定の目盛を見てカメラ53の位置調整を行う構成としてもよい。
【0112】
カメラ位置調整機構57を省略し、容器フィルム3の位置調整を行うことで、カメラ53と容器フィルム3の相対的位置関係を調整する構成としてもよい。例えば撮像領域88を垂直方向に2分割した構成の下、容器フィルム3をフィルム搬送方向であるX軸方向に沿って動かすことにより、カメラ53と容器フィルム3の相対的位置関係を調整可能な構成としてもよい。
【0113】
容器フィルム3の搬送経路をフィルム幅方向であるY軸方向に沿って変位可能な機構を備えた構成としてもよい。
【0114】
(i)カメラ位置調整機構57の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態に係るカメラ位置調整機構57は、容器フィルム3の法線方向であるZ軸方向に沿ってカメラ53をスライド移動するためのZ軸移動機構72と、当該Z軸移動機構72(カメラ53)を容器フィルム3のフィルム幅方向であるY軸方向(Z軸方向と直交する方向かつフィルム搬送方向であるX軸方向と直交する方向)に沿ってスライド移動するためのY軸移動機構73とを備えた構成となっている。
【0115】
これに代えて又は加えて、X軸方向にカメラ53をスライド移動するためのX軸移動機構を備えて構成としてもよい。
【0116】
(j)上記実施形態では、不良領域の面積Sxが予め設定した判定基準値So以下であるか否かによって、錠剤5の良否判定を行う構成となっているが、良否判定の方法はこれに限定されるものではない。
【0117】
例えば不良領域の周囲長、長径、長径/短径比、面積/周囲長比などを基に良否判定を行う構成としてもよい。これにより、細長い形状で面積値が相対的に小さくなる傾向にある毛髪等の線状異物をより適切に検出することができる。