【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、上記の目的のために、
グリーンタイヤ用のタイヤ構成部品を配置するための成形表面を有する
型板を備えた、
グリーンタイヤを製造するための組立体が提供される。上記タイヤ構成部品は未加硫ゴムの層を含み、上記成形表面は、未加硫ゴムのストリップの少なくとも先頭部分を
一時的に保持するための取り付け表面を備え、上記取り付け表面は、非接着表面部分が間に配置された複数の接着表面部分を備え、上記非接着表面部分は、接着表面部分に対して
引っ込んでいる。
また、上記取り付け表面は、複数の鋸歯をなす鋸歯形状の断面を有していて、上記鋸歯形状が、1つの鋸歯から次の鋸歯へ交互に上り斜面と急勾配の移行部を有している。さらに、上記鋸歯の上記上り斜面の少なくとも上記先端が、上記接着表面部分を形成し、上記急勾配の移行部及び/又は上記急勾配の移行部に隣接する上記上り斜面の部分が、上記非接着性の引っ込んだ表面部分を形成している。上記組立体は、上記タイヤ構成部品を剥離するために、上記未加硫ゴムの層と上記取り付け表面の間における相対的な移動を行うように配置されている。そして、上記複数の鋸歯をなす鋸歯形の断面の上記上り斜面が、上記タイヤ構成部品を剥離する上記相対的な移動が行われる方向に沿って向けられている。
【0009】
上記タイヤ構成部品の上記
型板の上記取り付け表面があることで、
型板の成形表面上に配置される、特に少なくともタイヤ構成部品の先頭部分を、成形表面上に一時的に保持することができる。そのようにして、タイヤ構成部品がさらに配置されたときに少なくともタイヤ構成部品の先頭部分のずれ
を防止することができ、ストリップを、成形表面上の位置に対して及び/又は隣接するタイヤ構成部品もしくはその一部分に対して、より正確に配置することができる。したがって、本発明による
型板の成形表面上にタイヤ構成部品を配置することによって積み重ねて得られる
グリーンタイヤの寸法の精度は、既知の装置による場合よりも高くすることができる。
【0010】
取り付け表面は、非接着表面部分が間に配置された複数の接着表面部分を備える。この、タイヤ構成部品を保持する接着表面部分とそれらの間に配置された非接着表面部分の組み合わせにより、接着の程度を、タイヤ構成部品の先頭部分を配置中
に保持するには十分に大きく、配置完了後のタイヤ構成部品の層
を損傷することなく成形表面から剥離できるほど十分に小さく調節することができる。
【0011】
非接着表面部分は、接着表面部分に対して
引っ込んでいる。かかる引っ込んだ表面部分の例は、滑らかな表面部分における溝又は穴であり、この溝又は穴の幅又は直径はストリップの幅よりかなり小さい。そのようにして、タイヤ構成部品、少なくともその未加硫ゴムの層は引っ込んだ表面部分に当接せず、タイヤ構成部品が上記非接着表面部分に張り付くことはない。
【0012】
上記溝又は穴は、規則的なパターンに配置することができる一方、例えばかなり粗い非接着表面部分の形で、かなり無作為なパターンに配置することもできる。
【0013】
取り付け表面は、ほぼ鋸歯形の断面を有する。
接着表面部分は、鋸歯の先端上又はその近傍に位置し、非接着表面部分は、鋸歯の谷の中又はその近傍に位置する。1つの鋸歯から次の鋸歯へ交互に上り斜面と急勾配の移行部を備える鋸歯形状の一実施形態では、鋸歯の上り斜面の少なくとも先端が接着表面部分を形成し、急勾配の移行部及び/又は急勾配の移行部に隣接する上り斜面の部分が非接着性の引っ込んだ表面部分を形成する。鋸歯形の断面の利点は、タイヤ構成部品が取り付け表面から少なくとも部分的に剥離された後、その層は再びタイヤ構成部品が取り付け表面にほとんど接着することなく少なくとも鋸歯の先端に載ることができることである。
【0014】
一実施形態では、接着表面部分は、1つ又は複数の滑らかな表面部分
を備える。詳細には
、上記1つ又は複数の滑らかな表面部分は、研磨された表面部分
とされている。より詳細には
、上記研磨された表面部分は、金属の表面部分
とされている。未加硫ゴムは、特に、研磨された金属表面などの滑らかな表面に張り付くと思われる。本発明は、そのことを、タイヤ構成部品、少なくともその未加硫ゴムの層の少なくとも先頭部分を成形表面上に保持することに利用する。成形表面が全面的に滑らかな表面を備えるのではなく、1つ又は複数の表面部分のみが滑らかな表面を備えると好ましい。そのようにして、タイヤ構成部品全体が成形表面に張り付くこと
を防止することができる。
【0015】
一実施形態では、上記
型板はさらに、未加硫ゴムの上記タイヤ構成部品の少なくとも上記先頭部分を剥離するための剥離装置を備え
ている。
【0016】
一実施形態では、上記剥離装置は、上記未加硫ゴムの上記タイヤ構成部品の少なくとも上記先頭部分を取り付け表面から吹き飛ばすための複数のブローノズルを備え
ている。ブローノズルを圧縮空気などの圧力媒体に接続することによって、タイヤ構成部品と取り付け表面の間に過剰圧力を発生させることができ、その結果、タイヤ構成部品は少なくとも部分的に取り付け表面から押し離され、したがって剥離される。
【0017】
一実施形態では、剥離装置は、少なくとも取り付け表面を特に成形表面に対して移動させるための移動装置を備え
ている。
【0018】
一実施形態では、上記移動装置は、少なくとも取り付け表面をその取り付け表面及び/又は未加硫ゴムの層とほぼ平行な方向に移動させるように適合され
ている。詳細には、本発明による取り付け表面の複数の滑らかな表面部分とその間に配置された非接着表面部分の組み合わせのために、上記の移動によって非接着表面部分が接着表面部分の位置に摺動し、その結果、上記層が取り付け表面から少なくとも部分的に剥離される。
【0019】
一実施形態では、移動装置は、少なくとも取り付け表面を未加硫ゴムの層に対してほぼ垂直な方向及び/又はタイヤ構成部品と反対の方向に移動させるように適合され
ている。この移動のために、タイヤ構成部品、詳細にはその未加硫ゴムの層の接着表面部分を摺動して遠ざけることができ、その結果、上記層が取り付け表面から少なくとも部分的に剥離される。
【0020】
一実施形態では、上記
型板が外向きの成形表面を有するドラム
で構成されている。ドラムは、本出願人の米国特許出願第2003/034132号に記載の、グリーンタイヤ及び/又はグリーン空気ばねの少なくとも一部分をその上に製造するための成形ドラムであってもよい一方、本出願人のオランダ特許出願第2007058号に記載の、グリーンタイヤ及び/又はグリーン空気ばねの少なくとも一部分をその上で製造するための成形ドラムまで、成形表面上に製造されたゴム材料の層を移送できる移送ドラムであってもよい。
【0021】
一実施形態では、上記取り付け表面が上記複数の接着表面部分を含んだバンドを備え
ている。一実施形態では、上記バンドが上記ドラムの中心線とほぼ平行に延びる。その場合、タイヤ構成部品をドラムの成形表面上に巻き付けると、タイヤ構成部品は、ほぼバンドの幅全体にわたって保持される。
【0022】
ドラムの他の実施形態では、上記ドラムが軸方向に延びるアームのセットを備え、各アームが、第1の外側自由端で第1の折り返し手段、詳細には折り返しローラを備え、反対側の第2の外側端で、軸方向に摺動可能なアーム支持体に蝶番式に取り付けられ、各アームが、その第1の外側端の近傍に、上記ゴム材料の層を支持するための支持部材を備え、上記アームのうちの少なくとも1本の上記支持部材が、上記取り付け表面を備え
ている。
【0023】
一実施形態では、支持部材をドラムの軸方向に移動させることができる。つまり、取り付け表面を、ドラム上のゴム材料の層又はタイヤ構成部品とほぼ平行な方向に移動させることができる。
【0024】
一実施形態では、上記ドラムがブラダーを備え、上記ブラダーの、上記ドラム対して外側に位置する部分が、上記成形表面の少なくとも一部分を形成し、上記ブラダーの、上記ドラムに対して外側に位置する部分が、上記取り付け表面を備え
ている。成形ドラム上でのかかるブラダーの使用は、例えば米国特許第4,087,306号に記載されている。
【0025】
一実施形態では、非接着表面部分が間に配置された上記複数の接着表面部分が、上記ドラムのほぼ軸方向に連続して配置され
ている。一実施形態では、少なくともドラムのほぼ軸方向に見て、取り付け表面は、ほぼ鋸歯形の断面を有する。これらの実施形態は、上記に説明されているように、軸方向に延びるアームのセットを有するドラム上と、ブラダーを有するドラム上の両方で使用することができる。
【0026】
一実施形態では、上記
型板が、上記タイヤ構成部品を配置するためのほぼ円形の成形表面を有するディスクを備え
ている。かかるディスクは、本出願人のオランダ特許出願第2007059号に記載の乗用車タイヤ又はトラックタイヤのサイドウォールの製造に使用することができる。
【0027】
一実施形態では、上記取り付け表面が上記複数の接着表面部分を含んだバンドを備え、上記バンドが上記円形の成形表面に対してほぼ径方向に延び
ている。その場合、タイヤ構成部品は、その配置時に、そのほぼ径方向の幅全体にわたって、詳細にはバンドの長さ全体にわたって保持される。
【0028】
一実施形態では、非接着表面部分が間に配置された上記複数の接着表面部分が、少なくとも上記円形の成形表面のほぼ径方向に見て連続して配置され
ている。一実施形態では、上記取り付け表面が、少なくとも上記円形の成形表面のほぼ径方向に見てほぼ鋸歯形の断面を有する。
【0029】
一実施形態では、上記組立体が、未加硫ゴムのストリップを押し出すための押し出し装置をさらに備え、上記
型板の上記成形表面が上記押し出し装置に面し、上記成形表面上に上記未加硫ゴムの上記ストリップを配置して上記タイヤ構成部品の上記未加硫ゴムの層を形成するために、上記押し出し装置と上記
型板を相対的に移動させることができる。
型板の取り付け表面があることで、
型板の成形表面上に配置されたストリップ、詳細にはストリップの少なくとも先頭部分を、成形表面上に一時的に保持することができる。その結果、未加硫ゴムのストリップをさらに配置するときの少なくともストリップの先頭部分のずれ
を防止することができ、成形表面上の位置に対して及び/又は隣接するストリップに対して、ストリップをより正確に配置することができる。したがって、押し出されたストリップを本発明による
型板の成形表面上に配置することによって積み重ねられて得られる層の寸法の精度は、「ストリップ・ワインディング」するための周知の装置の場合よりも高くなり得る。
【0030】
一実施形態では、上記
型板が、外向きの成形表面を有するドラム
で構成され、上記未加硫ゴムの上記ストリップを上記ドラムの周りに巻き付けて上記ゴム材料の層にするために、上記ドラムと上記押し出し装置を相対的に移動させることができる。一実施形態では、上記取り付け表面が上記複数の接着表面部分を含んだバンドを備え、上記バンドは上記成形ドラムの中心線とほぼ平行に延びる。その場合、回転ごとに、ストリップは、ストリップを保持するための取り付け表面上に改めて配置される。
【0031】
一実施形態では、上記
型板が、ほぼ円形の成形表面を有するディスクを備え、上記ディスク上に未加硫ゴムの上記ストリップを配置してゴム材料の層にするために、上記ディスクと上記押し出し装置を相対的に移動させることができる。一実施形態では、上記取り付け表面が上記複数の接着表面部分を含んだバンドを備え、上記バンドが上記円形の成形表面に対してほぼ径方向に延びる。その場合、回転ごとに、ストリップは、ストリップを保持するための取り付け表面に改めて配置される。
【0032】
本発明の第2の態様によると、
グリーンタイヤを上記請求項のいずれか一項に記載の組立体によって製造するための方法が提供され、上記方法は、 未加硫ゴムの層を少なくとも有する上記タイヤ構成部品を上記
型板の上記成形表面上に配置するステップにおいて、上記未加硫ゴムの上記タイヤ構成部品の上記先頭部分が、上記タイヤ構成部品を
一時的に保持するための上記取り付け表面上に配置されるステップと、
上記タイヤ構成部品が配置されたとき、上記タイヤ構成部品を剥離するために、上記未加硫ゴムの層と上記取り付け表面の間における相対的な移動を行うステップとを含む。
【0033】
一実施形態では、上記相対的な移動が、上記取り付け表面及び/又は上記未加硫ゴムの層とほぼ平行に行われる。一実施形態では、上記相対的な移動が、上記鋸歯形の断面の上り傾斜の斜面に沿って行われる。
【0034】
押し出し装置を含んだ組立体による方法の一実施形態では、上記方法はさらに、
未加硫ゴム材料のストリップを上記押し出し装置から押し出すステップと、
押し出し中、上記ストリップを上記
型板の上記成形表面上に配置するステップにおいて、上記ストリップを
一時的に保持するための上記取り付け表面上に上記未加硫ゴムの上記ストリップの先頭部分を配置するステップと、
上記成形表面上に上記未加硫ゴムの上記ストリップをさらに配置して上記タイヤ構成部品の上記未加硫ゴムの層を形成するステップとを含む。
【0035】
この説明及び本願の請求項に記載及び/又は本願の図面に示されている態様及び手段は、可能なら個別に使用することもできる。この個々の態様は、それに関連する分割特許出願の対象にすることができる。これは詳細には、それ自体従属請求項に記載されている手段及び態様に適用される。
【0036】
添付の図面に示されているいくつかの例示的な実施形態に基づいて、本発明を説明する。