特許第5993458号(P5993458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブイエムアイ ホランド ベスローテン フェンノートシャップの特許一覧

特許5993458グリーンタイヤを製造する組立体及び方法
<>
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000002
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000003
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000004
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000005
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000006
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000007
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000008
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000009
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000010
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000011
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000012
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000013
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000014
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000015
  • 特許5993458-グリーンタイヤを製造する組立体及び方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993458
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】グリーンタイヤを製造する組立体及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/20 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   B29D30/20
【請求項の数】27
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-531750(P2014-531750)
(86)(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公表番号】特表2014-531344(P2014-531344A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】NL2012050676
(87)【国際公開番号】WO2013048244
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年7月28日
(31)【優先権主張番号】2007485
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】NL
(31)【優先権主張番号】61/541,110
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512317940
【氏名又は名称】ブイエムアイ ホランド ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子
(74)【代理人】
【識別番号】100192474
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 健次
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(72)【発明者】
【氏名】デ・フラーフ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】グラシュイス,ヤン・コルネイル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・ビーク,ヨハン・ヘーラルト
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−184212(JP,A)
【文献】 特開平07−001603(JP,A)
【文献】 特表2003−526546(JP,A)
【文献】 特開2002−370292(JP,A)
【文献】 特開平11−105155(JP,A)
【文献】 特開2007−038581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴムの層を含んだタイヤ構成部品を配置するための成形表面を有する型板を備えた、グリーンタイヤを製造するための組立体において、前記成形表面が前記タイヤ構成部品の少なくとも先頭部分を一時的に保持するための取り付け表面を備える組立体であって、
(イ)前記取り付け表面が、非接着表面部分が間に配置された複数の接着表面部分を備え、前記非接着表面部分が、前記接着表面部分に対して引っ込んでおり、前記取り付け表面が、複数の鋸歯をなす鋸歯形状の断面を有し、
(ロ)前記鋸歯形状が、1つの鋸歯から次の鋸歯へ交互に上り斜面と急勾配の移行部を有し、
(ハ)前記上り斜面は先端を有し、前記鋸歯の前記上り斜面の少なくとも前記先端が、前記接着表面部分を形成し、前記急勾配の移行部及び/又は前記急勾配の移行部に隣接する前記上り斜面の部分が、前記非接着性の引っ込んだ表面部分を形成し、
(ニ)前記組立体が、前記タイヤ構成部品を剥離するために、前記未加硫ゴムの層と前記取り付け表面の間における相対的な移動を行うように配置され、かつ、
(ホ)前記複数の鋸歯をなす鋸歯形の断面の前記上り斜面が、前記タイヤ構成部品を剥離する前記相対的な移動が行われる方向に沿って向けられている
ことを特徴とする、グリーンタイヤを製造するための組立体。
【請求項2】
前記接着表面部分が、1つ又は複数の滑らかな表面部分を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記接着表面部分の前記1つ又は複数の滑らかな表面部分が、1つ又は複数の研磨された表面部分とされていることを特徴とする請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記接着表面部分の前記1つ又は複数の研磨された表面部分が、1つ又は複数の金属の表面部分とされていることを特徴とする請求項3に記載の組立体。
【請求項5】
前記型板がさらに、前記タイヤ構成部品の少なくとも前記先頭部分を剥離するための剥離装置を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項6】
前記剥離装置が、前記タイヤ構成部品の少なくとも前記先頭部分を前記取り付け表面から吹き飛ばすための複数のブローノズルを備えることを特徴とする請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
前記剥離装置が、少なくとも前記取り付け表面を移動させるための移動装置を備えることを特徴とする請求項5に記載の組立体。
【請求項8】
前記移動装置が、少なくとも前記取り付け表面を前記成形表面に対して移動させるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の組立体。
【請求項9】
前記移動装置が、少なくとも前記取り付け表面を前記取り付け表面及び/又は前記未加硫ゴムの層と平行な方向に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の組立体。
【請求項10】
前記移動装置が、少なくとも前記取り付け表面を前記未加硫ゴムの層に対して垂直な方向に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項7、8又は9に記載の組立体。
【請求項11】
前記型板が外向きの成形表面を有するドラムで構成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項12】
前記取り付け表面が前記ドラムの中心線と平行に延びていることを特徴とする請求項11に記載の組立体。
【請求項13】
前記ドラムが軸方向に延びるアームのセットを備え、各アームが、第1の外側自由端で折り返しローラを備え、反対側の第2の外側端で、軸方向に動可能なアーム支持体に蝶番式に取り付けられ、各アームが、その第1の外側端の近傍に、前記タイヤ構成部品を支持するための支持部材を備え、かつ、前記アームのうちの少なくとも1本の前記支持部材が、前記取り付け表面を備えていることを特徴とする請求項11又は12に記載の組立体。
【請求項14】
前記支持部材を前記ドラムの軸方向に移動させることができるものとされていることを特徴とする請求項13に記載の組立体。
【請求項15】
前記ドラムがブラダーを備え、前記ブラダーの、前記ドラムに対して外側に位置する部分が、前記成形表面の少なくとも一部分を形成し、かつ、前記ブラダーの、前記ドラムに対して外側に位置する部分が、前記取り付け表面を備えていることを特徴とする請求項1
1又は12に記載の組立体。
【請求項16】
非接着表面部分が間に配置された前記複数の接着表面部分が、前記ドラムの軸方向に連続して配置されていることを特徴とする請求項11ないし15のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項17】
前記取り付け表面が、前記ドラムの軸方向に前記鋸歯形の断面を有することを特徴とする請求項16に記載の組立体。
【請求項18】
前記型板が、前記タイヤ構成部品を配置するための円形の成形表面を有したディスクを備えていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項19】
前記取り付け表面が前記複数の接着表面部分を含んだバンドを備え、かつ、前記バンドが前記円形の成形表面に対して径方向に延びていることを特徴とする請求項18に記載の組立体。
【請求項20】
非接着表面部分が間に配置された前記複数の接着表面部分が、前記円形の成形表面の径方向に連続して配置されていることを特徴とする請求項18又は19に記載の組立体。
【請求項21】
前記取り付け表面が、前記円形の成形表面の径方向に前記鋸歯形の断面を有することを特徴とする請求項20に記載の組立体。
【請求項22】
未加硫ゴムのストリップを押し出すための押し出し装置をさらに備え、前記型板の前記成形表面が前記押し出し装置に面し、かつ、前記成形表面上に前記未加硫ゴムの前記ストリップを配置して前記タイヤ構成部品の前記未加硫ゴムの層を形成するために、前記押し出し装置と前記型板とが、互いに対して相対的に移動することができるものとされていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項23】
前記型板が、請求項11ないし17のいずれか一項に記載のドラムを備え、かつ、前記未加硫ゴムの前記ストリップを前記ドラムの周りに巻き付けて前記未加硫ゴムの層にするために、前記ドラムと前記押し出し装置とが互いに対して相対的に移動することができるものとされていることを特徴とする請求項22に記載の組立体。
【請求項24】
前記型板が、請求項18ないし21のいずれか一項に記載のディスクを備え、かつ、前記ディスク上に未加硫ゴムの前記ストリップを配置して未加硫ゴムの層にするために、前記ディスクと前記押し出し装置とが互いに対して相対的に移動することができるものとされていることを特徴とする請求項22に記載の組立体。
【請求項25】
グリーンタイヤを請求項1ないし24のいずれか一項に記載の組立体によって製造する方法であって、
未加硫ゴムの層を少なくとも有する前記タイヤ構成部品を前記型板の前記成形表面上に配置するステップにおいて、前記未加硫ゴムの前記タイヤ構成部品の前記先頭部分が、前記タイヤ構成部品を一時的に保持するための前記取り付け表面上に配置されるステップと、
前記タイヤ構成部品が配置されたとき、前記鋸歯形の断面の前記上り斜面に沿って行われる、前記未加硫ゴムの層と前記取り付け表面の間における相対的な移動であって、前記取り付け表面からの前記タイヤ構成部品の剥離を行うために、前記未加硫ゴムの層と前記取り付け表面の間における前記相対的な移動、を行うステップと、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項26】
前記相対的な移動を、前記取り付け表面及び/又は前記未加硫ゴムの層と平行に行うことを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
未加硫ゴムのストリップを押し出すための押し出し装置をさらに備え、前記型板の前記成形表面が前記押し出し装置に面し、前記成形表面上に前記未加硫ゴムの前記ストリップを配置して前記タイヤ構成部品の前記未加硫ゴムの層を形成するために、前記押し出し装置と前記型板を相対的に移動させることができるものとされ、
未加硫ゴムのストリップを前記押し出し装置から押し出すステップと、
押し出し中、前記ストリップを一時的に保持するための前記取り付け表面上に前記未加硫ゴムの前記ストリップの前記先頭部分を配置することにより、前記ストリップを前記型板の前記成形表面上に配置するステップと、
前記成形表面上に前記未加硫ゴムの前記ストリップをさらに配置して、前記タイヤ構成部品の前記未加硫ゴムの層を形成するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項25又は26に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、グリーンタイヤを製造するための組立体及び方法に関する。
【0002】
成形ドラム上にタイヤ用各種プライなどのタイヤ構成部品を配置することが一般に行われている。例えば気密ライナ、サイドウォール、トレッドなどのゴムからなる各種層が、例えばカーカスプライ、ブレーカプライなどの補強プライと組み合わせられる。
【0003】
例えば乗用車タイヤやトラックタイヤなどのタイヤを製造するために、ゴム材料のバンドの形をしたタイヤ構成部品、詳細には未加硫ゴムの各種層が成形ドラム上に配置され、さらにグリーンタイヤへと形成される。特に重要なのは、タイヤ構成部品が成形ドラム上の適正な位置に配置されることである。
【0004】
他のタイヤ製造方法では、通例「ストリップ・ワインディング」と呼ばれる製法によって、ゴム材料の層を成形ドラム上に積み重ねる。例えば特許文献1などに、かかる方法及び関連装置が記載されている。この装置は、未加硫ゴムの薄いストリップを押し出すように適合された押し出し装置を備え、押し出されたストリップは、成形ドラムの周りに螺旋状に巻き付けられて、所望のゴム材料の層を形成する。薄いストリップを巻き付けることによって所望の層が実際に成形ドラム上に積み重ねられることから、巻き付けプロセスを調節することによって、所望の層の寸法を簡単に調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1827807号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記「ストリップ・ワインディング」の欠点は、特に、押し出されたストリップを回転ドラム上に巻き付けて積み重ねることによって得られる層の寸法の精度が、事前製造されたゴム材料のバンドを配置する場合より低いことである。
【0007】
本発明の目的は、上述の欠点のうちの少なくとも1つが少なくとも部分的に克服される、グリーンタイヤを製造するための組立体及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、上記の目的のために、グリーンタイヤ用のタイヤ構成部品を配置するための成形表面を有する型板を備えた、グリーンタイヤを製造するための組立体が提供される。上記タイヤ構成部品は未加硫ゴムの層を含み、上記成形表面は、未加硫ゴムのストリップの少なくとも先頭部分を一時的に保持するための取り付け表面を備え、上記取り付け表面は、非接着表面部分が間に配置された複数の接着表面部分を備え、上記非接着表面部分は、接着表面部分に対して引っ込んでいるまた、上記取り付け表面は、複数の鋸歯をなす鋸歯形状の断面を有していて、上記鋸歯形状が、1つの鋸歯から次の鋸歯へ交互に上り斜面と急勾配の移行部を有している。さらに、上記鋸歯の上記上り斜面の少なくとも上記先端が、上記接着表面部分を形成し、上記急勾配の移行部及び/又は上記急勾配の移行部に隣接する上記上り斜面の部分が、上記非接着性の引っ込んだ表面部分を形成している。上記組立体は、上記タイヤ構成部品を剥離するために、上記未加硫ゴムの層と上記取り付け表面の間における相対的な移動を行うように配置されている。そして、上記複数の鋸歯をなす鋸歯形の断面の上記上り斜面が、上記タイヤ構成部品を剥離する上記相対的な移動が行われる方向に沿って向けられている。
【0009】
上記タイヤ構成部品の上記型板の上記取り付け表面があることで、型板の成形表面上に配置される、特に少なくともタイヤ構成部品の先頭部分を、成形表面上に一時的に保持することができる。そのようにして、タイヤ構成部品がさらに配置されたときに少なくともタイヤ構成部品の先頭部分のずれを防止することができ、ストリップを、成形表面上の位置に対して及び/又は隣接するタイヤ構成部品もしくはその一部分に対して、より正確に配置することができる。したがって、本発明による型板の成形表面上にタイヤ構成部品を配置することによって積み重ねて得られるグリーンタイヤの寸法の精度は、既知の装置による場合よりも高くすることができる。
【0010】
取り付け表面は、非接着表面部分が間に配置された複数の接着表面部分を備える。この、タイヤ構成部品を保持する接着表面部分とそれらの間に配置された非接着表面部分の組み合わせにより、接着の程度を、タイヤ構成部品の先頭部分を配置中に保持するには十分に大きく、配置完了後のタイヤ構成部品の層を損傷することなく成形表面から剥離できるほど十分に小さく調節することができる。
【0011】
非接着表面部分は、接着表面部分に対して引っ込んでいる。かかる引っ込んだ表面部分の例は、滑らかな表面部分における溝又は穴であり、この溝又は穴の幅又は直径はストリップの幅よりかなり小さい。そのようにして、タイヤ構成部品、少なくともその未加硫ゴムの層は引っ込んだ表面部分に当接せず、タイヤ構成部品が上記非接着表面部分に張り付くことはない。
【0012】
上記溝又は穴は、規則的なパターンに配置することができる一方、例えばかなり粗い非接着表面部分の形で、かなり無作為なパターンに配置することもできる。
【0013】
取り付け表面は、ほぼ鋸歯形の断面を有する。接着表面部分は、鋸歯の先端上又はその近傍に位置し、非接着表面部分は、鋸歯の谷の中又はその近傍に位置する。1つの鋸歯から次の鋸歯へ交互に上り斜面と急勾配の移行部を備える鋸歯形状の一実施形態では、鋸歯の上り斜面の少なくとも先端が接着表面部分を形成し、急勾配の移行部及び/又は急勾配の移行部に隣接する上り斜面の部分が非接着性の引っ込んだ表面部分を形成する。鋸歯形の断面の利点は、タイヤ構成部品が取り付け表面から少なくとも部分的に剥離された後、その層は再びタイヤ構成部品が取り付け表面にほとんど接着することなく少なくとも鋸歯の先端に載ることができることである。
【0014】
一実施形態では、接着表面部分は、1つ又は複数の滑らかな表面部分を備える。詳細には、上記1つ又は複数の滑らかな表面部分は、研磨された表面部分とされている。より詳細には、上記研磨された表面部分は、金属の表面部分とされている。未加硫ゴムは、特に、研磨された金属表面などの滑らかな表面に張り付くと思われる。本発明は、そのことを、タイヤ構成部品、少なくともその未加硫ゴムの層の少なくとも先頭部分を成形表面上に保持することに利用する。成形表面が全面的に滑らかな表面を備えるのではなく、1つ又は複数の表面部分のみが滑らかな表面を備えると好ましい。そのようにして、タイヤ構成部品全体が成形表面に張り付くことを防止することができる。
【0015】
一実施形態では、上記型板はさらに、未加硫ゴムの上記タイヤ構成部品の少なくとも上記先頭部分を剥離するための剥離装置を備えている。
【0016】
一実施形態では、上記剥離装置は、上記未加硫ゴムの上記タイヤ構成部品の少なくとも上記先頭部分を取り付け表面から吹き飛ばすための複数のブローノズルを備えている。ブローノズルを圧縮空気などの圧力媒体に接続することによって、タイヤ構成部品と取り付け表面の間に過剰圧力を発生させることができ、その結果、タイヤ構成部品は少なくとも部分的に取り付け表面から押し離され、したがって剥離される。
【0017】
一実施形態では、剥離装置は、少なくとも取り付け表面を特に成形表面に対して移動させるための移動装置を備えている。
【0018】
一実施形態では、上記移動装置は、少なくとも取り付け表面をその取り付け表面及び/又は未加硫ゴムの層とほぼ平行な方向に移動させるように適合されている。詳細には、本発明による取り付け表面の複数の滑らかな表面部分とその間に配置された非接着表面部分の組み合わせのために、上記の移動によって非接着表面部分が接着表面部分の位置に摺動し、その結果、上記層が取り付け表面から少なくとも部分的に剥離される。
【0019】
一実施形態では、移動装置は、少なくとも取り付け表面を未加硫ゴムの層に対してほぼ垂直な方向及び/又はタイヤ構成部品と反対の方向に移動させるように適合されている。この移動のために、タイヤ構成部品、詳細にはその未加硫ゴムの層の接着表面部分を摺動して遠ざけることができ、その結果、上記層が取り付け表面から少なくとも部分的に剥離される。
【0020】
一実施形態では、上記型板が外向きの成形表面を有するドラムで構成されている。ドラムは、本出願人の米国特許出願第2003/034132号に記載の、グリーンタイヤ及び/又はグリーン空気ばねの少なくとも一部分をその上に製造するための成形ドラムであってもよい一方、本出願人のオランダ特許出願第2007058号に記載の、グリーンタイヤ及び/又はグリーン空気ばねの少なくとも一部分をその上で製造するための成形ドラムまで、成形表面上に製造されたゴム材料の層を移送できる移送ドラムであってもよい。
【0021】
一実施形態では、上記取り付け表面が上記複数の接着表面部分を含んだバンドを備えている。一実施形態では、上記バンドが上記ドラムの中心線とほぼ平行に延びる。その場合、タイヤ構成部品をドラムの成形表面上に巻き付けると、タイヤ構成部品は、ほぼバンドの幅全体にわたって保持される。
【0022】
ドラムの他の実施形態では、上記ドラムが軸方向に延びるアームのセットを備え、各アームが、第1の外側自由端で第1の折り返し手段、詳細には折り返しローラを備え、反対側の第2の外側端で、軸方向に摺動可能なアーム支持体に蝶番式に取り付けられ、各アームが、その第1の外側端の近傍に、上記ゴム材料の層を支持するための支持部材を備え、上記アームのうちの少なくとも1本の上記支持部材が、上記取り付け表面を備えている。
【0023】
一実施形態では、支持部材をドラムの軸方向に移動させることができる。つまり、取り付け表面を、ドラム上のゴム材料の層又はタイヤ構成部品とほぼ平行な方向に移動させることができる。
【0024】
一実施形態では、上記ドラムがブラダーを備え、上記ブラダーの、上記ドラム対して外側に位置する部分が、上記成形表面の少なくとも一部分を形成し、上記ブラダーの、上記ドラムに対して外側に位置する部分が、上記取り付け表面を備えている。成形ドラム上でのかかるブラダーの使用は、例えば米国特許第4,087,306号に記載されている。
【0025】
一実施形態では、非接着表面部分が間に配置された上記複数の接着表面部分が、上記ドラムのほぼ軸方向に連続して配置されている。一実施形態では、少なくともドラムのほぼ軸方向に見て、取り付け表面は、ほぼ鋸歯形の断面を有する。これらの実施形態は、上記に説明されているように、軸方向に延びるアームのセットを有するドラム上と、ブラダーを有するドラム上の両方で使用することができる。
【0026】
一実施形態では、上記型板が、上記タイヤ構成部品を配置するためのほぼ円形の成形表面を有するディスクを備えている。かかるディスクは、本出願人のオランダ特許出願第2007059号に記載の乗用車タイヤ又はトラックタイヤのサイドウォールの製造に使用することができる。
【0027】
一実施形態では、上記取り付け表面が上記複数の接着表面部分を含んだバンドを備え、上記バンドが上記円形の成形表面に対してほぼ径方向に延びている。その場合、タイヤ構成部品は、その配置時に、そのほぼ径方向の幅全体にわたって、詳細にはバンドの長さ全体にわたって保持される。
【0028】
一実施形態では、非接着表面部分が間に配置された上記複数の接着表面部分が、少なくとも上記円形の成形表面のほぼ径方向に見て連続して配置されている。一実施形態では、上記取り付け表面が、少なくとも上記円形の成形表面のほぼ径方向に見てほぼ鋸歯形の断面を有する。
【0029】
一実施形態では、上記組立体が、未加硫ゴムのストリップを押し出すための押し出し装置をさらに備え、上記型板の上記成形表面が上記押し出し装置に面し、上記成形表面上に上記未加硫ゴムの上記ストリップを配置して上記タイヤ構成部品の上記未加硫ゴムの層を形成するために、上記押し出し装置と上記型板を相対的に移動させることができる。型板の取り付け表面があることで、型板の成形表面上に配置されたストリップ、詳細にはストリップの少なくとも先頭部分を、成形表面上に一時的に保持することができる。その結果、未加硫ゴムのストリップをさらに配置するときの少なくともストリップの先頭部分のずれを防止することができ、成形表面上の位置に対して及び/又は隣接するストリップに対して、ストリップをより正確に配置することができる。したがって、押し出されたストリップを本発明による型板の成形表面上に配置することによって積み重ねられて得られる層の寸法の精度は、「ストリップ・ワインディング」するための周知の装置の場合よりも高くなり得る。
【0030】
一実施形態では、上記型板が、外向きの成形表面を有するドラムで構成され、上記未加硫ゴムの上記ストリップを上記ドラムの周りに巻き付けて上記ゴム材料の層にするために、上記ドラムと上記押し出し装置を相対的に移動させることができる。一実施形態では、上記取り付け表面が上記複数の接着表面部分を含んだバンドを備え、上記バンドは上記成形ドラムの中心線とほぼ平行に延びる。その場合、回転ごとに、ストリップは、ストリップを保持するための取り付け表面上に改めて配置される。
【0031】
一実施形態では、上記型板が、ほぼ円形の成形表面を有するディスクを備え、上記ディスク上に未加硫ゴムの上記ストリップを配置してゴム材料の層にするために、上記ディスクと上記押し出し装置を相対的に移動させることができる。一実施形態では、上記取り付け表面が上記複数の接着表面部分を含んだバンドを備え、上記バンドが上記円形の成形表面に対してほぼ径方向に延びる。その場合、回転ごとに、ストリップは、ストリップを保持するための取り付け表面に改めて配置される。
【0032】
本発明の第2の態様によると、グリーンタイヤを上記請求項のいずれか一項に記載の組立体によって製造するための方法が提供され、上記方法は、 未加硫ゴムの層を少なくとも有する上記タイヤ構成部品を上記型板の上記成形表面上に配置するステップにおいて、上記未加硫ゴムの上記タイヤ構成部品の上記先頭部分が、上記タイヤ構成部品を一時的に保持するための上記取り付け表面上に配置されるステップと、
上記タイヤ構成部品が配置されたとき、上記タイヤ構成部品を剥離するために、上記未加硫ゴムの層と上記取り付け表面の間における相対的な移動を行うステップとを含む。
【0033】
一実施形態では、上記相対的な移動が、上記取り付け表面及び/又は上記未加硫ゴムの層とほぼ平行に行われる。一実施形態では、上記相対的な移動が、上記鋸歯形の断面の上り傾斜の斜面に沿って行われる。
【0034】
押し出し装置を含んだ組立体による方法の一実施形態では、上記方法はさらに、
未加硫ゴム材料のストリップを上記押し出し装置から押し出すステップと、
押し出し中、上記ストリップを上記型板の上記成形表面上に配置するステップにおいて、上記ストリップを一時的に保持するための上記取り付け表面上に上記未加硫ゴムの上記ストリップの先頭部分を配置するステップと、
上記成形表面上に上記未加硫ゴムの上記ストリップをさらに配置して上記タイヤ構成部品の上記未加硫ゴムの層を形成するステップとを含む。
【0035】
この説明及び本願の請求項に記載及び/又は本願の図面に示されている態様及び手段は、可能なら個別に使用することもできる。この個々の態様は、それに関連する分割特許出願の対象にすることができる。これは詳細には、それ自体従属請求項に記載されている手段及び態様に適用される。
【0036】
添付の図面に示されているいくつかの例示的な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】ゴム材料の層をドラム上に製造する際の各ステップの側面概略図である。
図2】ゴム材料の層をドラム上に製造する際の各ステップの側面概略図である。
図3】ゴム材料の層をドラム上に製造する際の各ステップの側面概略図である。
図4】ドラムの中心線とほぼ平行に延びる取り付け表面を有するドラムの概略図である。
図5】取り付け表面を有する支持部材を備える成形ドラムの折り返しアームの側面概略図である。
図6】取り付け表面を有する支持部材を備える成形ドラムの折り返しアームの側面概略図である。
図7】取り付け表面を備えるブラダーを有する成形ドラムの断面概略図である。
図8】取り付け表面を備えるブラダーを有する成形ドラムの断面概略図である。
図9】ほぼ円形の成形表面を有するディスクの上面概略図である。
図10A】取り付け表面を備えるディスクの様々な実施形態の断面概略図である。
図10B】取り付け表面を備えるディスクの様々な実施形態の断面概略図である。
図11】サイドウォールをグリーンタイヤ上に配置する概略図である。
図12】サイドウォールをグリーンタイヤ上に配置する概略図である。
図13】ビードコア−エイペックスを製造するための環状の型の概略図である。
図14】ビードコア−エイペックスを製造するための環状の型の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に、本発明による組立体1の例示的な実施形態の断面概略図が示されている。上記組立体は、搬送装置7上に配置されたドラム2を備えている。上記組立体はさらに、未加硫ゴムのストリップ10を押し出すための押し出し装置5を備えている。
【0039】
押し出し前に、図2に示されているように、搬送装置7によって、ドラム2の周面が押し出し装置5の近傍に配置される。
【0040】
ストリップ10の先頭端をドラム2の上に保持するために、そのドラム2は、図4に示されているように例えば1つ又は複数の滑らかな表面部分3の形、詳細には研磨された表面部分の形をした取り付け表面9を備えている。任意選択で、1つ又は複数の滑らかな表面部分3の間に、非接着表面部分4を配置することができる。図4に示されているように、取り付け表面9は、ドラム2の一部分又は全幅Bにわたって、ドラム2の中心線Hとほぼ平行に延びる。
【0041】
ここで、図4に示されている成形ドラム2は、例えばカーカスプライやブレーカプライなどの補強プライと組み合わせた気密ライナ、サイドウォール、トレッドなどの事前製造されたタイヤ構成部品を巻き付けることにも使用できることに留意されたい。その場合、タイヤ構成部品を製造するために、成形ドラムの近傍に押し出し装置を配置する必要はない。
【0042】
押し出し装置5を備える組立体では、図3に示されているように、押し出し装置5が押し出しているストリップ10が、方向Rに回転するドラム2に巻き付けられる。押し出し中、ドラム2が回転しながら低速で軸方向に移動すると、ストリップ10はドラム2上にほぼ螺旋状に巻き付けられてゴム材料の層を形成する。
【0043】
ゴム材料の層10が完成すると、ドラム2は押し出し装置5から遠ざけられる。
【0044】
ドラム2が成形ドラムである場合、グリーンタイヤを製造するために、成形ドラムの折り返し装置によってゴム材料の層10を周知の形でビードコアの周りに折り返すことができる。
【0045】
ドラム2が移送ドラムの場合、ゴム材料の層は、ドラム2から取り外され、グリーンタイヤ又はグリーン空気ばねを製造するための成形ドラム上に配置される。一実施形態では、ゴム材料の層は、ドラムから取り外される前に、切断装置6によってドラム2の少なくともほぼ軸方向に切り開かれ、その切断されたゴム材料の層を、例えばカーカスドラムなどの成形ドラムに移送することができる。
【0046】
他の例示的な実施形態では、ドラム2は、例えば米国特許出願第2003/034132号などに記載の、軸方向に延びるアーム11のセットを備えている。各アーム11は、第1の外側自由端に、第1の折り返し手段、詳細には折り返しローラ12を備え、反対側の第2の外側端13では、軸方向に摺動可能なアーム支持体14に蝶番式に取り付けられる。各アーム11はさらに、その第1の外側端の近傍に、ゴム材料の層を支持するための支持部材15を備えている。アーム11のうちの少なくとも1本の支持部材15は、取り付け表面を備えている。図5及び図6に、取り付け表面を備える上記支持部材15が略図で示されている。
【0047】
図5及び図6にさらに、アーム11の構造が示されている。アーム11は細長く、ローラ12と共に、タイヤ構成部品を膨らんだカーカスに対して周知の形で折り返す働きをする。アーム11はさらに、アーム11を覆って配置される細長いカバープレート15を備え、カバープレート15は外側端に支持表面10を形成する。カバープレート15は、そのもう一方の端に駆動カム21を備え、駆動カム21はピストン20の陥凹部17の中に延び、ピストン20はシリンダ4bの中に延び、アーム支持体と共に動作可能な単一体を形成する。アーム11は、長手方向の側部に、カバープレート15のための支持ローラ18及び19を備え、そこにカバープレート15が縁部30及び31を用いて載置され、縁部30及び31はそれぞれローラ12の方の方向で、一段高くなった縁部部分23、24に結合する。縁部部分23、24はそれぞれ当接縁部25、26に結合し、当接縁部25及び26は、反対側の当接縁部32、33と共に、ローラ18及び19のための軸方向の移動間隔を規定する(相対的に見て)。カバープレート15は、横向きピン22aによって、アーム11に対して極端に(図5に示されている位置より)持ち上がらないようにロックされ、横向きピン22aは、アーム11の下に延び、カバープレート15の張り出た側壁16、詳細には張り出たリップ22に取り付けられる。同様の保持ピン21aが駆動カム21に取り付けられる。
【0048】
側壁16に、細長い陥凹部40がさらに作られており、その陥凹部を貫いて牽引ばね41が延びる。牽引ばね41はドラム2の周囲に延び、それ自体周知の方法でアーム1を非作動位置へと弾性的に付勢する働きをする。牽引ばね41はまた、カバープレート15に固定されると、そのカバープレート15に下向きの力を加える。この力はアーム11の方を向いている。
【0049】
図5図6を比較すると分かるように、シリンダ4b内における方向Bのピストン20の移動の結果、カム21が運ばれ、したがってカバープレート15もまた方向Bに移動する。方向Bは、アーム11と平行であり、タイヤ成形ドラム2の軸方向の主軸と平行である。そのようにして、支持表面10は右側に移動し、最後にローラ12を完全に剥離する。したがってそのローラ12の頂面もまた、折り返し中タイヤ構成部品と接触して作動状態になることができる。
【0050】
ローラ12がカバープレート15の外側端を通過した後、一段高くなった縁部部分23及び24もまたローラ18及び19の位置に達し、したがってカバープレート15もまた、アーム11に対して方向Cにわずかに下がることができる。そのとき図6に示されている位置に達する。これでカバープレート15は完全な後退位置になる。ローラ12もまた、径方向へ支持表面10より上方に延びることができ、したがってタイヤ構成部品は、折り返し中その支持表面10から引き離されそこを通過してまくり上がることができる。
【0051】
図5及び図6に示されているように、ここに示されているアーム11のカバープレート15は、少なくともアーム11の長手方向に見て、ほぼ鋸歯形の断面を有する滑らかな表面部分151を含んだ取り付け表面を備えている。図5及び図6では、見やすいようにスケーリングするため、鋸歯151のサイズは示されていない。例として鋸歯の高さZは実際にはおよそ0.5〜1mmである。
【0052】
例えば事前製造された層として又は「ストリップ・ワインディング」になどよってタイヤ構成部品を配置中、カバープレート、少なくとも取り付け表面を備えるカバープレート15は図5の第1の位置に配置されている。その場合、鋸歯151の上側及び/又はその近傍の滑らかな表面部分によって、ゴム材料のストリップの保持が確保される。所望のゴム材料の層が配置された後、カバープレート、少なくとも取り付け表面を備えるカバープレート15は図6の第2の位置に移動する。取り付け表面を備えるカバープレート15のほぼ軸方向の移動Bにより、ゴム材料の層は、鋸歯151の先端の近傍の接着表面部分から剥離される。したがって、上記のほぼ軸方向の移動は、鋸歯151の上り傾斜の斜面に沿った向きの方向Bになっている。カバープレート、少なくとも取り付け表面を備えるカバープレート15はまた、径方向Cにも移動する。その結果、ゴム材料の層を、滑らかな表面部分151を備えるカバープレート15上に緩く配置し、周知の形でローラ12によって巻き上げることができる。
【0053】
例として、上記支持表面によって形成される周面の直径は、非作動位置でおよそ15インチ(38.1cm)であり、この周面は、成形ドラムの対称平面の両側に、48本のアーム11からなる2つのグループを有する。移動距離は、周方向に見て0.2mmという図5の位置にあるカバープレート間の間隔では、方向Bがおよそ34mm、方向Cがおよそ3mm(これは直径6mm差を意味する)である。これにより方向Cの移動が可能になり、しかも図6の位置では、効果的に接合された、タイヤ構成部品のための周面が設けられる。その場合の支持表面の幅は23mmである。図6の位置でカバープレート15は周方向に互いに当接する。48本のアーム11の中で、少なくとも1本のアームは、本発明による取り付け表面を有するカバープレート15を備えている。
【0054】
アーム11の代替として、図7及び図8に略図で示されているように、ブラダーを使用することもできる。例えば事前製造された層として又は「ストリップ・ワインディング」によってタイヤ構成部品を配置中、ブラダー72は、図7に示されているように、折り畳まれた状態でドラム70に当接する。ブラダー72の、ドラム70に対して外側に位置する部分Cは、成形表面の少なくとも一部分を形成する。ブラダー72の、上記ドラムに対して外側に位置する部分Cは取り付け表面73を備えている。取り付け表面73は、図7に示されているように、ドラムの軸方向に並べて隔置された、研磨された表面を有する一連の金属製の小プレートを備えている。
【0055】
事前製造された層74として又は「ストリップ・ワインディング」によってタイヤ構成部品が配置された後、例えば圧縮空気Pなどの流体が連結部71を介してブラダー72内に移され、その結果、ブラダーは、図8に示されているようにエイペックス76を備えるビードコア75の周りに層74を折り返すために膨張する。ブラダー72が膨張すると部分Cが膨らみ、その結果、金属製の小プレート73は層74に対して移動し、その結果、層74は金属製の小プレート73から剥離される。
【0056】
ブラダー72が弾性材料でできている場合、図8に示されている膨張により、2つの連続する小プレート73の間の互いの距離が広がり、それにより層74の剥離が促進される。
【0057】
図7及び図8に、ほぼ平坦な小プレート73が示されている。その代わりに、小プレート73もやはり、図5及び図6のカバープレート上の取り付け表面に沿って、少なくとも各図の縦断面に見て、鋸歯形の断面を有することができる。その場合、各小プレート73は1つ又は複数の鋸歯を有することができる。
【0058】
図9に示されている他の例示的な実施形態に、サイドウォール成形装置130がある。サイドウォール成形装置130は第1の円形の回転ディスク133を備え、回転ディスク133は、主表面と、それに対して垂直に延び、回転中心線Tと一致する中心線を有する(図11及び図12を参照)。
【0059】
第1の回転ディスク133は、開口を画成する中空のブッシュ136を中心に有する円形の支持プレート135を備え、この開口により第1の回転ディスク133をシャフト137上で同心に摺動することができる。第1の回転ディスク133は、シャフト137に取り外し可能かつ回転固定式に連結するための例えばピン197などの固定部材を、中空ブッシュ136の内部に備えている。支持プレート135は、その主表面の1つに、最終的に第1のサイドウォール170又は第2のサイドウォール180を形成するゴム材料を保持するための、シャフト137の周りに同心に位置するスペース141の境界を形成する型板(template)140を備えている。
【0060】
型板140は、中空ブッシュ136の近傍でスペース141の境界を形成するための同心円の内縁部142と、支持プレート135の周囲縁部の近傍でスペース141の境界を形成するための同心円の外縁部143とを備えている。内縁部142と外縁部143の間の距離は、サイドウォール170、180の所望の高さとほぼ等しい。この例では、型板140はさらに、内縁部142と外縁部143の間に広がるサイドウォール輪郭表面144の形をした成形表面を備えている。サイドウォール輪郭表面144は、スペース141におけるゴム材料に、わずかに湾曲した形状又は凸状の形状をもたらす。この形状は、サイドウォール170、180の視認できる側で最終的に確認することができる。
【0061】
この例による組立体はさらに、およそ10〜20ミリメートルの直径を有する未加硫ゴム材料のストリップ190を押し出すための第1の押し出しヘッド147を含んだ押し出し装置146を備えている。第1の押し出しヘッド147は、第1のサイドウォール170を形成するために押し出されたストリップ190を配置するための第1の回転ディスク133の型板140のスペース141の方を向いている。押し出し装置146は、押し出しヘッド147を型板140に対してX方向に移動させるための駆動機構145上に配置され、一方、ストリップ190を循環動作でサイドウォール輪郭表面144上に螺旋状に配置するように、シャフト137が駆動される。
【0062】
第1の回転ディスク133はさらに、例えば1つ又は複数の滑らかな表面部分、詳細には研磨された表面部分の形をした取り付け表面138を備えている。
【0063】
図10Aに、第1の実施形態による、図9の線V−Vに沿った断面が示されている。その場合、回転ディスク133は、そこから径方向に延びる3つの研磨されたバンド381を備えている。バンド381は互いに、図9に略図で示されているように、およそ120度の角度を含む。上記バンド381があることで、そこに配置された未加硫ゴムのストリップ190の強度の接着が実現される。形成完了後に型板140からサイドウォール170を剥離するために、ブロー開口又はブローノズル139が、図10Aに略図で示されているように、研磨されたバンド381内に配置されている。サイドウォールを型板140から剥離するために、ブローノズル139は、例えば圧縮空気Pなどの流体源に連結される。
【0064】
図10Bに、第2の実施形態による、図9の線V−Vに沿った断面が示されている。第2の実施形態では、回転ディスク133は、複数の滑らかな表面部分を有する3つのバンドを備え、その複数の滑らかな表面部分の間に非接着表面部分が配置されている。非接着表面部分は、滑らかな表面部分に対して引っ込んでおり、滑らかな表面部分は、ほぼ鋸歯形の断面382を備えている。
【0065】
型板140に位置するサイドウォール170はその後、カーカスパッケージ168に接して配置する必要がある。図11に、第1の回転ディスク133と第2の回転ディスク134の両方が、両側からそれぞれ、膨張させることによって形作られたカーカスパッケージ168の方の方向V、方向Wに同時に移動する状況が示されている。回転ディスク133及び134を同時にカーカスパッケージ168の側部166、167まで移動させることによって、不均等な側方圧力の結果によるカーカスパッケージ168の変形を打ち消すことができる。回転ディスク133、134の型板140に収容されている、押し出しに
よって作られたサイドウォール170、180は、型板140の前面に対してわずかに突出すると好ましく、したがってカーカスパッケージ168のそれぞれ第1の側部166、第2の側部167と確実に加圧接触することができる。ゴム材料がまだ完全に冷却されていないことから、サイドウォール170、180とカーカスパッケージ168は確実に張り付いて耐久性のある連結を実現する。
【0066】
図12に、第1の回転ディスク133が方向Mに後退している状況が示されており、第1のサイドウォール170は、ゴム材料からなる連続的環状バンド状のカーカスパッケージ168上に残される。第2の回転ディスク134は方向Nに後退してカーカスパッケージ168から隔置され、やはり第2のサイドウォール180が、ゴム材料からなる連続的環状バンド状のカーカスパッケージ168上に残される。回転ディスク133、134をカーカスパッケージ168から遠ざけると、サイドウォール170、180の内側周囲縁部が最初に型板140から剥離される。この剥離は任意選択で、ブローノズル139からの圧縮空気Pによって補助される。さらに回転ディスク133、134を移動させると、サイドウォール170、180の剥離は、サイドウォール170の外周縁の方向に、つまりほぼカーカスドラム122から遠ざかる方向に、サイドウォール全体が剥離されるまで及ぶ。
【0067】
ここで第1の及び第2の回転ディスク133、134は、新しいサイドウォールを製造するためにサイドウォール成形装置130へと戻すため、カーカス成形ドラム122から取り外すことができる。
【0068】
適切な型板240を用いると、エイペックス76を有するビードコア75もまた、本発明による組立体で製造することができる。かかるエイペックス76を有するビードコア75の断面図が図7及び図8に略図で示され、エイペックス76を有するほぼ丸いビードコア75の図が図13に略図で示されている。かかるビードコア75及びエイペックス76からなる組立体もやはり、図9の組立体130を使用する「ストリップ・ワインディング」によって製造することができる。ただし、図9型板140の代わりに、別の型板240を使用する。型板240の断面図が図14に略図で示されている。
【0069】
型板240は、同心円の内縁部242及び同心円の外縁部243を備え、同心円の内縁部242は、その近傍に、ビードコア75を配置するためのスペース241の境界を形成するためのものである。この例では、型板240はさらに、内縁部242と外縁部243の間に延びるエイペックス輪郭表面244の形をした成形表面を備えている。エイペックス輪郭表面244は、「ストリップ・ワインディング」によってそこに配置されたゴム材料に、わずかに湾曲した形状又は凸状の形状をもたらす。さらに、ゴム材料のストリップは、ほぼ楔形のエイペックス76が得られるように配置される。
【0070】
エイペックス輪郭表面244はさらに、1つ又は複数の滑らかな表面部分、詳細には研磨された表面部分の形をした取り付け表面を備え、滑らかな表面部分は、ほぼ鋸歯形の断面を備えている。あるいは又はさらに、滑らかな表面部分244は、図14に略図で示されているように配置されたブロー開口又はブローノズル239を備えることができる。型板240からサイドウォールを剥離するために、ブローノズル239は流体源に接続される。
【0071】
エイペックス76を有するビードコア75を型板240から取り外すときは、ビードコア75の近傍の内側側部(241の箇所)が、固定的な箇所であることからまず剥離される。ビードコア75は取り外し中保持される。外側でエイペックス76がわずかにたわみ、その結果エイペックス76は、わずかに内部に引っ張られ、取り付け表面が鋸歯形の形状になっていることから、剥離される。
【0072】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態の動作を例示するために記載されており、本発明の範囲を限定するために記載されているのではない。上記の説明をはじめとして、本発明の趣旨及び範囲に含まれる多数の変形形態が当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14