特許第5993460号(P5993460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993460
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60G 13/14 20060101AFI20160901BHJP
   H02K 35/02 20060101ALI20160901BHJP
   H02K 35/04 20060101ALI20160901BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   B60G13/14
   H02K35/02
   H02K35/04
   B60L11/18 A
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-540320(P2014-540320)
(86)(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公表番号】特表2015-502283(P2015-502283A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】DE2012100390
(87)【国際公開番号】WO2013097844
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2014年5月9日
(31)【優先権主張番号】102011057062.4
(32)【優先日】2011年12月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514073938
【氏名又は名称】イーオーエルエス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】IOLS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】カール ザルツマン
(72)【発明者】
【氏名】クヌート バル
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−074277(JP,U)
【文献】 特開2007−221984(JP,A)
【文献】 特開平03−273858(JP,A)
【文献】 特開平11−119907(JP,A)
【文献】 特開2007−195364(JP,A)
【文献】 特開2008−202253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 13/14
F03G 7/08
B60L 11/18
H02K 35/00 − 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばね下部分として車軸周りに回転可能に配置された複数の車輪と、ばね上部分としての車体と、車体又は車体の一部の運動をバッテリに供給可能な電気エネルギに変換するよう車体に配置されたエネルギ発生手段とを備え、該エネルギ発生手段が、内部空間を包囲する円筒状のコイルを有するエネルギ吸収/変換器として構成され、前記内部空間には、軸線方向に磁化された永久磁石が車体又は車体の一部の運動により同軸変位可能に配置されている車両において、前記コイル又は直径の異なる複数の前記コイルを同心状に配置してなるコイルパッケージ(14)内に配置された永久磁石が、車両におけるばね下部分及びばね上部分の相対的な垂直方向運動により同軸変位可能であり、車両のばね下部分及びばね上部分の相対的な垂直方向運動が、少なくとも1つの伝達手段を介してばね下部分から前記永久磁石に伝達可能であり、前記永久磁石が、軸線方向に伸縮可能なばね要素を介して前記伝達手段に連結されて前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)と同軸変位可能であることを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、前記伝達手段が、車両のばね下部分及びばね上部分の相対的な垂直方向運動を増幅して前記永久磁石に伝達可能であることを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両であって、前記コイルパッケージにおける半径方向最内側のコイル内に前記永久磁石が同軸変位可能に配置されていることを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の車両であって、複数の前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)が互いに同軸配置され、前記各コイル又は前記各コイルパッケージ(14)内に、軸線方向に磁化された永久磁石が同軸変位可能に配置されていることを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の車両であって、前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)がほぼ水平方向に延在していることを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項5に記載の車両であって、前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)が前記車両の進行方向又は進行方向に直交する方向に延在することを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の車両であって、前記コイルが絶縁性を有する支持フォイル上に設けられた銅の導電トラックであることを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の車両であって、前記少なくとも1つの永久磁石が、前記円筒状のコイル又は前記コイルパッケージ(14)内で同軸変位可能な磁石支持管上に配置され、前記永久磁石と、前記円筒状のコイル又は前記コイルパッケージ(14)との間に空隙が設けられていることを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか一項に記載の車両であって、前記少なくとも1つの永久磁石が、前記円筒状のコイル又は前記コイルパッケージ(14)内で同軸変位可能な磁石管として構成され、該磁石管(15)の円筒状外側面と前記円筒状のコイル又は前記コイルパッケージ(14)との間に空隙(16)が設けられていることを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項1〜7の何れか一項に記載の車両であって、前記永久磁石がストロークロッド上に配置され、該ストロークロッドは、前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)と同軸状に延在し、かつ車体又は車体の一部の運動により同軸変位可能であることを特徴とする車両。
【請求項11】
請求項8に記載の車両であって、前記磁石支持管が支持部(21)によりストロークロッド上に配置され、該ストロークロッドは、前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)と同軸状に延在し、かつ車体又は車体の一部の運動により同軸変位可能であることを特徴とする車両。
【請求項12】
請求項9に記載の車両であって、前記磁石管(15)が支持部(21)によりストロークロッド上に配置され、該ストロークロッドは、前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)と同軸状に延在し、かつ車体又は車体の一部の運動により同軸変位可能であることを特徴とする車両。
【請求項13】
請求項10〜12に記載の車両であって、前記ストロークロッドがストローク管(10)であることを特徴とする車両。
【請求項14】
請求項13に記載の車両であって、前記ストローク管(10)が、鋼よりも比重の小さい材料で構成されていることを特徴とする車両。
【請求項15】
請求項11または12に記載の車両であって、前記支持部(21)が少なくとも軸線方向の通気性を有することを特徴とする車両。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか一項に記載の車両であって、前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)が、車体又は車体の一部に配置されたインダクタ管(13)により包囲されていることを特徴とする車両。
【請求項17】
請求項8〜16の何れか一項に記載の車両であって、前記磁石支持管又は前記磁石管(15)が同軸変位可能に支持されていることを特徴とする車両。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか一項に記載の車両であって、該車両が走行用の電気モータを備え、該電気モータには前記バッテリからエネルギが供給可能であることを特徴とする車両。
【請求項19】
請求項10〜14の何れか一項に記載の車両であって、前記ストロークロッドが前記ばね要素を介して前記伝達手段に連結されて前記コイル又は前記コイルパッケージ(14)と同軸変位可能であることを特徴とする車両。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか一項に記載の車両であって、該車両が、底部領域を有するシャシを備え、前記底部領域に少なくとも1つの前記円筒状コイル又は前記コイルパッケージ(14)が配置され、該円筒状コイル又は前記コイルパッケージ内(14)には、軸線方向に磁化された少なくとも1つの前記永久磁石が軸線方向に同軸変位可能に配置されていることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばね下部分として車軸周りに回転可能に配置された複数の車輪と、ばね上部分としての車体と、車体又は車体部分の運動をバッテリに供給可能な電気エネルギに変換するよう車体に配置されたエネルギ発生手段とを備え、該エネルギ発生手段が、内部空間を包囲する円筒状のコイルを有するエネルギ吸収・変換器として構成され、前記内部空間には、軸線方向に磁化された永久磁石が車体又は車体部分の運動により同軸変位可能に配置されている車両、特に動力車両に関する。
【従来技術】
【0002】
上述した形式の車両は特開2009-247102号公報により既知であり、この場合にエネルギ発生手段は車輪とショックアブソーバ近傍の車体との間に配置されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-247102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、バッテリを、構成が簡単であると共に高い効率で作動するエネルギ発生手段により充電可能とした前記形式の車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、車両のばね下部分及びばね上部分の相対的な垂直方向運動を、少なくとも1つの伝達手段を介してばね下部分から永久磁石に伝達可能とした構成によって解決される。
【0006】
上述した構成によれば,ばね上部分及びばね下部分の相対運動によるストロークを増幅させて永久磁石に伝達することができる。
【0007】
この構成により、永久磁石の往復動に起因する電磁誘導によりコイルに交流電圧が発生し、その交流電圧は、逆流を生じさせずに低電圧を順方向に導通させる高速ダイオードにより整流される。これにより得られた直流電圧でコンデンサを充電する。コンデンサには、誘導された高周波電圧パルスの平滑化だけでなく、主としてインピーダンス変換器としての機能が求められる。コンデンサは内部抵抗が低いため、誘導電圧をバッテリ充電用の電流に変換する素子として使用される。この場合にバッテリの充電は自立的に、そして必然的に車両内部で行われるため、車外の充電装置や、対応する充電設備も不要となる。
【0008】
電圧誘導と電流への変換とを厳格に区分することにより、エネルギ吸収/変換器に磁気抵抗力が作用せず、従ってエネルギ収量が大きく、効率が極めて高い。
【0009】
この場合、永久磁石を変位させるために特別な力を作用させる必要がない。これは、車両の走行時に必然的に生じて車両に作用する運動が永久磁石に伝達され、永久磁石がコイル内で同軸変位するからである。
【0010】
ばね上部分とばね下部分との相対運動のストロークをばね下部分から永久磁石に、少なくとも1つの伝達手段により増幅して伝達可能とすることができる。
【0011】
この伝達手段をレバー伝達手段として構成すれば、構成を簡素化することができる。
【0012】
永久磁石の変位により発生するエネルギは、直径の異なる複数のコイルを同心状に配置してなるコイルパッケージを備え、このコイルパッケージにおける半径方向最内側のコイル内において永久磁石が同軸変位可能に配置される構成によって増大させることが可能である。
【0013】
永久磁石の変位により発生するエネルギは、複数のコイル又はコイルパッケージが互いに同軸配置され、各コイル又は各コイルパッケージ内において、軸線方向に磁化された永久磁石が同軸変位可能に配置される構成によっても増大させることが可能である。
【0014】
永久磁石に作用する重力の好ましくない影響は、コイル又はコイルパッケージをほぼ水平方向に延在させることで回避される。
【0015】
この場合、コイル又はコイルパッケージは、車両の進行方向に、及び/又は進行方向に対して直交する方向に延在させることが可能である。
【0016】
車両におけるばね上部分とばね下部分との相対的な垂直方向運動により、コイル又はコイルパッケージ内に配置された永久磁石が同軸変位可能である場合、これら各部材は、車両の走行時に必然的に生じる垂直方向運動に応じて永久磁石を変位させるために利用される。即ち、ばねを介して車軸などのばね下部分により支持されるばね上部分、例えば車体又は車体部分は、車両が起伏のある路面を走行する間に、車両の加速や減速により、コーナリング時の遠心力により、横風負荷により、又は負荷変動応答により、その重量に応じてばね下部分に対して運動する。その相対運動を、永久磁石の変位に利用するものである。
【0017】
車両の走行に際して、シャシには、走行路面の起伏を随時に補償するか、又は可能な限り相殺することが求められる。シャシによる恒常的な適応化や車重によって、自由に利用可能なエネルギが発生し、そのエネルギは、エネルギ吸収/変換器により電気エネルギに変換されてバッテリに供給可能である。
【0018】
このような相対運動は、停止状態の車両に対する載荷時や乗員の乗車時にも生じるものである。
【0019】
更に、コイル又はコイルパッケージ内に配置された永久磁石は、車体又は該車体部分に作用する正負の加速度及び/又は遠心力及び又は重力により、同軸変位可能とすることでエネルギを発生させることができる。
【0020】
コイルは、絶縁性を有する支持フォイル上に設けた銅製の導体トラックで構成することにより、その半径方向寸法を減少させることができる。
【0021】
この場合に導体トラックは、高純度の銅製とするのが好適である。即ち、非磁性材料である銅を使用すればコイルに磁力が作用せず、従って電気的な発熱が生じることがない。
【0022】
コイルパッケージにおける各コイルは、多層フォイルを構成するものであり、絶縁性を有する各支持フォイル上に設けることにより半径方向寸法が減少する。この場合、コイル相互間の絶縁性も担保される。
【0023】
少なくとも1つの永久磁石を、円筒状のコイル又はコイルパッケージ内において、同軸変位可能な磁石支持管上に配置すれば、軽量でありながら大きなエネルギを発生させることができる。この場合、永久磁石と円筒状のコイル又はコイルパッケージとの間には、空隙が設けられる。
【0024】
少なくとも1つの永久磁石を、円筒状のコイル又はコイルパッケージ内において、同軸変位可能な磁石管で構成すれば、特に軽量で簡単な構成とすることができる。この場合、磁石管の円筒状外側面と円筒状のコイル又はコイルパッケージとの間には、空隙が設けられる。
【0025】
この場合には、空隙が小さいほど発生可能なエネルギは大きい。空隙は、発熱を回避する観点から、永久磁石及び円筒状のコイル間に摩擦が生じない程度の大きさとすれば十分である。
【0026】
磁石管を比較的薄肉とすれば、磁石管により略平行で均一に延在する磁力線を有する磁界が発生するため、高い効率が得られる。
【0027】
摩擦熱の発生をより確実に回避するため、磁石支持管及び永久磁石又は磁石管の外周には摺動層を設けてもよい。この場合の摺動層は、PTFE層(ポリテトラフルオロエチレン層)とすることができ、特にナノテクノロジーによって設けるものである。
【0028】
効率を高めるため、永久磁石は、永久強磁石で構成するのが有利である。
【0029】
コンパクトで小スペースの構造を達成するため、永久磁石はストロークロッド上に配置することができる。この場合にストロークロッドは、コイル又はコイルパッケージに対して同軸状に突出すると共に、車体又は車体部分の運動により同軸変位可能である。更に、ストロークロッドは軽量化のためにストローク管としてもよい。
【0030】
ストローク管を鋼よりも比重の小さな材料、特にチタン又はチタン合金で構成すれば、安定性を損なわずに更なる軽量化を図ることができる。
【0031】
この場合、重量を実質的に増加させることなく曲げ剛性を高めるため、ストローク管の内部には、鋼よりも比重が小さい炭素材料性のハニカム状支持構造体を配置することができる。
【0032】
曲げ剛性を高めることにより、ストローク管が比較的長い場合にも、永久磁石及びコイル間における機械的な摩擦が回避され、従って発熱が回避される。これにより、永久磁石は、コイル内で抵抗なく軸線方向に可動である。
【0033】
磁石支持管又は磁石管をストロークロッド又はストローク管上に固定するため、磁石支持管又は磁石管は、とりわけ磁石支持管又は磁石管における軸線方向端部に配置された支持部を介して、ストロークロッド又はストローク管上に配置することができる。
【0034】
空気抵抗により永久磁石の可及的に自由な軸線方向での可動性が抑制されるのを防止するため、上記の支持部は、少なくとも軸線方向に十分な通気性を有することができる
【0035】
支持部は、軽量化を図るために合成樹脂で構成することができる。
【0036】
軸線方向への可動性を保証するため、磁石支持管又は磁石管は、同軸変位可能に支持されるが、転がり軸受によって同軸変位可能に支持すれば支持抵抗力を特に低下させることができる。
【0037】
車両に駆動用の電気モータが搭載され、その電気モータのエネルギ供給がバッテリによって行われる場合、駆動エネルギの少なくとも大部分、場合によっては全部を自立的に車両内で発生可能であると共に、特にCO2エミッションをゼロにすることが可能である。
【0038】
本発明に係る車両はエネルギ発生効率が高いため、航続距離が比較的大きく、条件次第では無制限である。
【0039】
永久磁石やストロークロッド又はストローク管は、軸線方向に可動なばね要素を介して、コイル又はコイルパッケージに対して同軸変位させることができる。このばね弾性的な連結要素により、駆動ストロークが付加的ストローク分だけ延びるため、誘導による追加的なエネルギを得ることが可能になる。
【0040】
更に、ばね要素はストロークロッド又はストローク管における衝突力及び引張り力を吸収する。これにより、垂直方向運動を発生させるためのリンク機構に作用する負荷が緩和される。
【0041】
コイル内で同軸変位可能な永久磁石は、車体又は車体部分に作用する正負の加速度及び/又は遠心力及び/又は重力により変位したときに、軸線方向に弾性的なばね要素によって負荷可能である。
【0042】
この場合にばね要素は、引張りばね又は引張り/圧縮ばね、特に引張りコイルばね又は引張り/圧縮コイルばねとすることができる。
【0043】
車両は、円筒状のコイル又はコイルパッケージが配置された底部領域を含むシャシ又は車台を備え、その円筒状のコイル又はコイルパッケージ内に、軸線方向に磁化された永久磁石が軸線方向に同軸変位可能に配置された構成とすることができる。
【0044】
以下、本発明の図示の好適な実施形態について更に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】第1エネルギ吸収/変換器を備える動力車両の一部を示す略図である。
図2】第1エネルギ吸収/変換器を備える動力車両の一部を示す略図である。
図3図1及び図2に示すエネルギ吸収/変換器の拡大部分図である。
図4図1及び図2に示すエネルギ吸収/変換器におけるストローク管の拡大側面図である。
図5図4に示すストローク管の横断面図である。
図6図1及び図2に示すエネルギ吸収/変換器における伸縮ばね要素の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、動力車両のシャシ1を示す。シャシ1は、ばねユニット(図示せず)を介して、車輪3の車軸2に支持されているため、動力車両の走行時にシャシ1及び車軸2間で相対的な垂直方向運動が生じる。
【0047】
車軸2は、後車軸用のトレーリングリンク4を介して、動力車両の長手方向に直交するピボット軸5周りで旋回できるようにシャシ1に連結されている。
【0048】
トレーリングリンク4には、ツーアームレバー7における小レバーアーム6の可動端が連結され、リア・トレーリングリンク4のピボット運動により、略垂直方向に可動である。
【0049】
ツーアームレバー7における大レバーアーム8の可動端は、伸縮ばね要素9を介して、車両長手方向を指向するストローク管10の端部に連結されている。
【0050】
大小のレバーアーム6, 8の連結領域は、車両長手方向を指向する連結部11を介して、シャシ1に連結されている。
【0051】
動力車両の走行時や載荷又は除荷に際して車軸2及びシャシ1間で相対的な垂直方向運動が生じた場合、ツーアームレバー7及び連結部11で構成されるレバー伝達手段により、トレーリングリンク4から小レバーアーム6に伝達された略垂直方向のストロークは、伸縮ばね要素9を介して、増幅された略水平方向のストロークとしてストローク管10に伝達される。
【0052】
ストローク管10は、摺動ローラ軸受12により、インダクタ管13内で同軸変位可能に支持され、またアルミニウム製のインダクタ管13は、熱可塑性のゴムより成るラバーブッシュ(図示せず)により、シャシ1の底部領域に配置されている。
【0053】
インダクタ管13の内壁には、該インダクタ管13の全長に亘って延在するコイルパッケージ14が配置されている。
【0054】
ストローク管10上には、磁石管15として構成され、かつ軸線方向に磁化された永久磁石が互いに間隔をおいて配置され、これら永久磁石における円筒状の外側面とコイルパッケージ14の内側コイルとの間には環状空隙16が設けられている。
【0055】
ストローク管10及び磁石管15は、ツーアームレバー7を介したリア・トレーリングリンク4により軸線方向に往復動するため、コイルパッケージ14のコイル内で誘導による交流電圧が発生し、車両のバッテリ(図示せず)を充電するのに使用される。
【0056】
図2の実施形態において、変換ロッド17の一端は、車輪3近傍で前車軸用のトレーリングリンク18に連結されている。トレーリングリンク18の垂直方向運動は、ツーアームレバー7のうち、変換ロッド17の他端が連結された小レバーアーム6に伝達される。
【0057】
ツーアームレバー7は、車両の長手方向を指向する軸19周りでシャシ1の一部に支持されている。
【0058】
ツーアームレバー7における大レバーアーム8の可動端は、図1におけると同様に、伸縮ばね要素9を介して純チタン製のストローク管10に連結されている。
【0059】
ストローク管10は、図1におけると同様に、磁石管15を有すると共に、車両長手方向に延在するインダクタ管13内で同軸状かつ往復動可能にガイドされる。
【0060】
インダクタ管13には、図1におけると同様に、コイルパッケージ14が設けられている。
【0061】
図2の実施形態の機能は、図1の実施形態の機能と同等である。
【0062】
図3に示すように、コイルパッケージ14は積層フォイルとして構成され、これらのフォイルには互いに同軸配置された銅製導体トラックよりなる4個のコイル20が設けられている。
【0063】
軸線方向に磁化され、かつ永久強磁石材料で構成した磁石管15は、その両端が、合成樹脂製の支持部21を介してストローク管10に結合されている。
【0064】
支持部21は、磁石管15における円筒状の内壁に結合された外側リング22と、ストローク管10に結合された内側リング23を含み、これらリング22,23は、図示しないスポークにより互いに結合されている。これにより、支持部21においては、十分な通風を軸線方向の十分な通気性を確保できるため、磁石管15の軸線運動を抑制する空気抵抗はほぼ皆無である。
【0065】
更に、空隙16を設けておくことにより、磁石管15及びコイルパッケージ14間に摩擦抵抗がほぼ生じないため、磁石管15は、コイルパッケージ14内で基本的に無抵抗で変位可能である。
【0066】
軽量で安全性の高いストローク管10が、折り曲げに起因して同軸位置から逸脱することのないよう、その内部は、カーボン製のハニカム状構造体24で充填しておく。
【0067】
伸縮要素9は、円筒状の伸縮ばね25を含む。伸縮ばね25の各軸線方向端部には、連結ピース27のねじ部26がねじ込まれ、そのねじ部26の半径方向において、2個のばね部分の間から側方に突出する横ボルト28により自己離脱不能に固定されている。
【0068】
伸縮ばね25から突出する連結ピース27,27'の連結端部29は横孔30を有し、その横孔30により、一方の連結ピース27は大レバーアーム8に、他方の連結ピース27'はストローク管10にそれぞれ連結されている。
【0069】
発生可能な電気エネルギを高めるため、それぞれストローク管10を内部で可動に配置した複数のインダクタ管13を好適には互いに平行に配置できることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1 シャシ
2 車軸
3 車輪
4 トレーリングリンク
5 ピボット軸
6 小レバーアーム
7 ツーアームレバー
8 大レバーアーム
9 伸縮ばね要素
10 ストローク管
11 連結部
12 摺動ローラ軸受
13 インダクタ管
14 コイルパッケージ
15 磁石管
16 空隙
17 変換ロッド
18 トレーリングリンク
19 車軸
20 コイル
21 支持部
22 外側リング
23 内側リング
24 支持構造部
25 伸縮ばね
26 ねじ部
27 連結ピース
27' 連結ピース
28 横ボルト
29 連結端部
30 横孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6