特許第5993523号(P5993523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993523
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】表示パネル及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20160901BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20160901BHJP
   G09F 13/06 20060101ALI20160901BHJP
   G09F 13/14 20060101ALI20160901BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   A61B1/06 B
   G09F13/04 J
   G09F13/06 A
   G09F13/14
   G02B23/24 A
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-547595(P2015-547595)
(86)(22)【出願日】2015年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2015058986
(87)【国際公開番号】WO2015147014
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2015年9月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-66591(P2014-66591)
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晶誉
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−067551(JP,A)
【文献】 特開2014−016392(JP,A)
【文献】 特開2001−013898(JP,A)
【文献】 特開平02−306286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G09F 9/00− 9/46
G09F 13/00−13/46
H01L 27/32
H05K 5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過させることによって発光する表示部材と、
前記光を出射する発光体と、
前記表示部材との間に前記発光体を配置するように設けられ、前記発光体から出射された前記光を前記発光体方向に向けて反射させる反射面を有する正面板と、
前記発光体を実装して前記発光体と前記表示部材に挟まれて設けられ、前記正面板によって反射された前記光のうちオレンジ色の光を透過光として前記表示部材へ出射する、ポリイミド製でオレンジ色の電気基板と、
前記表示部材に設けられ、前記電気基板から出射されるオレンジ色の前記透過光の色を変化させて透過する、前記透過光の色の補色を着色した補色フィルタと、
を備えることを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
前記発光体が出射する前記光は白色光であることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
光を透過させることによって発光する表示部材を有する表示パネルと、
前記光を出射する発光体と、
前記表示部材との間に前記発光体を配置するように設けられ、前記発光体から出射され
た前記光を前記発光体方向に向けて反射させる反射面を有する正面板と、
前記発光体を実装して前記発光体と前記表示部材に挟まれて設けられ、前記正面板によって反射された前記光のうちオレンジ色の光を透過光として前記表示部材へ出射する、ポリイミド製でオレンジ色の電気基板と、
前記表示部材に設けられ、前記電気基板から出射されるオレンジ色の前記透過光の色を変化させて透過する、前記透過光の色の補色を着色した補色フィルタと、
を備えることを特徴とする電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の動作状態等を発光体からの光によって発光して告知する表示パネルと、この表示パネルを設けた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気機器を構成する筐体の正面板には表示パネルが設けられている。表示パネルは、ユーザーが機器の動作状態を容易に認識可能にするため例えば赤色、緑色等に光る発光部位を有している。
【0003】
日本国特開平10−160521号公報には、計器本体に影響されることなく均一で明るい透過照明を得ることができ、また、昼間時と夜間時とでは全く異なった色彩的かつ意匠的変化を持たせた表示板を備えた、計器用表示装置が開示されている。
【0004】
また、日本国特開2005−3391号公報には、導光体の体格を拡大することなしに目盛盤の発光輝度を高めることのできる車両用表示装置が開示されている。
【0005】
さらに、日本国特開平7−282677号公報には、光ムラが小さく広範囲に亘って照光される薄型操作パネルを有する照光式パネルスイッチが開示されている。
【0006】
また、日本国特開2010−67551号公報には、構成部品点数を削減することで、薄型化及び軽量化を図ることを可能とし、更には構成部品の組立工数を削減し、構成部品の組立を容易に行うことができるとともに、構成部品のコスト及び組立コストを低減することを可能にしたバックライト装置が開示されている。
【0007】
医療分野等で使用される内視鏡は、外部装置である電気機器として、光源装置、ビデオプロセッサ等を備えている。これら装置を構成する筐体の正面板にも表示パネルが設けられている。
【0008】
内視鏡室等、暗い空間で使用される電気機器の表示パネルにおいては、ユーザーが瞬時に動作状態を認識可能にするため、表示部を赤色、黄緑色等、多種多様の色で光らせるように動作内容と表示パネルの表示色との関係が規格で定められている。
【0009】
暗い空間で使用される電気機器の表示パネルにおいては、パネル表面(パネル前面とも記載する)をフラットに構成した場合、パネル前面に正面から強い光が当たることによって表示パネル表面の全面が光輝くことがある。すると、パネルの表示文字、数字等の認識及び動作状態の確認が困難になるおそれがあった。
【0010】
このため、暗い空間で使用される電気機器においては、例えば電装部の表示基板の表面側を半径1000mm等の凸曲面に形成し、その凸曲面にパネルを貼付して表示パネルを構成する。この構成の表示パネルによれば、パネル前面に正面から強い光が当たったとき、表示パネル表面の一部にハイライトラインが浮かび上がるが、表示パネル表面の全面が光輝くことによる視認不能が解消される。
しかしながら、電装部の表示基板を有する表示パネルを正面板に接着する場合、該基板に予め定めた形状の透光領域を形成すること等によって基板を硬質にすることによって全面を接着面にすることができず、接着面積が不足するおそれがある。
【0011】
また、基板を撓みにくい基材で作成した場合、表面側に半径1000mm等の凸曲面が形成されている場合、全面を接着面にすることができず、接着面積が不足するおそれがある。
【0012】
また、電気機器は、航空機等による輸送の際、高温高湿下の環境、温度が大きく変化する環境、或いは、湿度が大きく変化する環境に晒される。すると、表示パネルを正面板に接着する接着剤の接着力が一気に低下する可能性がある。
【0013】
このため、表示パネルを薄く形成して、該表示パネルが正面板から剥がれようとする力を抑えられるようにするための様々な工夫が施されている。しかし、その結果、コストの上昇を招き、作業工数も増大し、動作状態の確認をし難い表示パネルとならざるを得ない可能性があった。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、視認性に優れた安価な表示パネルと、このような表示パネルを正面板に設けた電気機器と、を提供することを目的にしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様の表示パネルは、光を透過させることによって発光する表示部材と、前記光を出射する発光体と、前記表示部材との間に前記発光体を配置するように設けられ、前記発光体から出射された前記光を前記発光体方向に向けて反射させる反射面を有する正面板と、前記発光体を実装して前記発光体と前記表示部材に挟まれて設けられ、前記正面板によって反射された前記光のうちオレンジ色の光を透過光として前記表示部材へ出射する、ポリイミド製でオレンジ色の電気基板と、前記表示部材に設けられ、前記電気基板から出射されるオレンジ色の前記透過光の色を変化させて透過する、前記透過光の色の補色を着色した補色フィルタと、を備える。
【0016】
本発明の一態様の電気機器は、光を透過させることによって発光する表示部材を有する表示パネルと、前記光を出射する発光体と、前記表示部材との間に前記発光体を配置するように設けられ、前記発光体から出射された前記光を前記発光体方向に向けて反射させる反射面を有する正面板と、前記発光体を実装して前記発光体と前記表示部材に挟まれて設けられ、前記正面板によって反射された前記光のうちオレンジ色の光を透過光として前記表示部材へ出射する、ポリイミド製でオレンジ色の電気基板と、前記表示部材に設けられ、前記電気基板から出射されるオレンジ色の前記透過光の色を変化させて透過する、前記透過光の色の補色を着色した補色フィルタと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】内視鏡と電気機器であるカメラコントロールユニットとを備える内視鏡装置を説明する図
図2】カメラコントロールユニットを説明する図
図3】貼付面を設けた筐体を構成する正面板及びフレキシブル基板と印刷シートとで構成される表示パネルを説明する図
図4】フレキシブル基板の第1の平面側の構成を説明する図
図5A】照明板とフレキシブル基板との関係を説明する図
図5B】フレキシブル基板の第1の面が貼付面に貼付された状態を示す図
図5C図5Bに示す矢印Y5C側からフレキシブル基板越しにLED照明36を見た図
図6】印刷シートの一平面側の構成を説明する図
図7図6の矢印Y7−Y7線断面図
図8】光透過部位の一平面を着色する際に用いるマンセル・カラー・システムを示す図
図9】表示パネルを正面板の貼付面に貼り付けた状態、および、フレキシブル基板に実装されたLED照明と印刷シートの発光部位との関係を説明する図
図10】発光部位を正面から見たときの図
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
なお、以下の説明に用いる各図において、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものもある。本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように内視鏡装置1は、内視鏡2と、例えばカメラコントロールユニット(以下、CCUと記載する)3と、モニタ4と、を有して構成されている。CCU3およびモニタ4は、内視鏡外部装置であって、電気機器である。
【0021】
本実施形態のCCU3は、内視鏡2が備える撮像素子の各種信号処理等を行うビデオプロセッサである。なお、CCU3内には送気管路(不図示)に空気等を供給する送気ポンプ(不図示)が設けられている。また、CCU3内に照明用ランプ(不図示)が設けられていてもよい。符号30は、表示パネルである。
【0022】
内視鏡2は、挿入部5と、操作部6と、ユニバーサルケーブル7と、を有している。挿入部5は、観察対象部位へ挿入される細長な長尺部材である。
挿入部5は、先端部5aと、湾曲部5bと、可撓管部5cと、を連設して構成されている。先端部5aは、硬質な部材で構成されている。湾曲部5bは、例えば上下左右の四方向に湾曲自在に構成されている。可撓管部5cは、長尺で可撓性を有する管状部材である。
【0023】
操作部6には、湾曲操作部8、各種スイッチ9、送気送水ボタン10、吸引ボタン11などが設けられている。
湾曲操作部8は、上下ノブ8aと、左右ノブ8bと、を備えている。上下ノブ8aは、湾曲部5bを上下方向に湾曲させる際に操作される。と、左右ノブ8bは、湾曲部5bを左右方向に湾曲させる際に操作される。のスイッチ9は、例えば、レリーズスイッチ、フリーズスイッチ、及び、通常観察と蛍光観察との切り替えを行うための観察モード切替スイッチ等である。なお、符号12は、処置具挿入口である。
【0024】
ユニバーサルケーブル7は、操作部6の側面より延出されている。ユニバーサルケーブル7の端部には内視鏡コネクタ13が設けられている。内視鏡コネクタ13の一側部からは、撮像ケーブル15が延出されている。撮像ケーブル15の端部には撮像用コネクタ14が設けられている。
なお、内視鏡コネクタ13と撮像用コネクタ14とが一体になったコネクタを用い、ユニバーサルケーブルに撮像ケーブルを内蔵する構成であってもよい。
【0025】
図1図2に示すようにCCU3を構成する筐体21は、六面体で内部空間を有する箱構造である。図2に示すように筐体21は、正面板22、図示されていない背面板、天面側面一体板23、及び図示されていない底板を備えて構成されている。
正面板22は、剛性を有する絶縁部材であって、例えば樹脂製である。
本実施形態において、正面板22の一面にはコネクタ接続開口24、電源スイッチ25、及び表示パネル30が設けられている。
【0026】
コネクタ接続開口24は、内視鏡コネクタ接続口24aと、撮像コネクタ接続口24bと、を有して構成されている。内視鏡コネクタ接続口24aには内視鏡コネクタ13が接続され、撮像コネクタ接続口24bには撮像用コネクタ14が接続される。電源スイッチ25は、正面板22の予め定めた位置に設けられている。
【0027】
他の形態として、内視鏡コネクタ接続口24aと撮像コネクタ接続口24bとが一体になった接続口に、内視鏡コネクタ13と撮像用コネクタ14とが一体になったコネクタを接続する構成であってもよい。
符号26は、取手である。取手26は、設置状態におけるCCU3の正面板22を正面視した状態で、天面側面一体板23の右側面部23Rに固設されている。
【0028】
図3に示すように正面板22には表示パネル30を貼付するための貼り付け面(以下、貼付面と記載する)27が設けられている。貼付面27は、例えば、半径1000mmの凸曲面である。
表示パネル30は、電気基板であるフレキシブルプリント基板(以下、フレキシブル基板と略記する)31と、表示部材である印刷シート32と、によって構成されている。
【0029】
図3図5C参照してフレキシブル基板31を説明する。
図3図4に示すフレキシブル基板31は、厚み寸法が例えば0.3mmのポリイミド製で、可撓性を有し、自然色がオレンジ色の透明弾性基板である。フレキシブル基板31は、端子部、半田付け部以外は、絶縁性を有するポリイミド膜を被せて保護されている。
【0030】
図5A図5Cに示すように本実施形態のフレキシブル基板31において、例えば銅製の配線31lは、ポリイミド膜31pによって保護され、端子部だけが露出して構成されている。
なお、フレキシブル基板31の第1の面31aの一部或いは第2の面31bの一部にベタグランド(不図示)を設けるようにしてもよい。また、フレキシブル基板31の厚み寸法を0.3mmとしているが、厚み寸法をそれ以下に設定するようにしてもよい。
【0031】
図4に示すようにフレキシブル基板31は、第1の面31aにLED用電気接点(図5A−5Cの符号31c参照)、複数の基板用両面テープ貼付領域33、及び接続用延出基板35を備えている。複数の基板用両面テープ貼付領域33は、図4中において二点鎖線で囲むと共に斜線を施した部分である。LED用電気接点31cは、端子部である。第1の面31aは、貼付面27に対向して配置される。
一方、図3に示すようにフレキシブル基板31の第2の面31bには複数の基板側エンボス部37が設けられている。第2の面31bは、第1の面31aの反対面である
図4に示す接続用延出基板35は、フレキシブル基板31の第1の面31aの予め定めた位置から延出している。接続用延出基板35の端部には端子部35cが設けられている。端子部35cは、筐体21内に設けられる制御部を構成するメイン基板(不図示)に実装されたコネクタ(不図示)に接続される。
【0032】
基板用両面テープ貼付領域33には、予め定めた粘着力を有する糊面を備えた両面テープが貼付される。両面テープは、該貼付領域33の予め定めた場所に貼り付けられる。
【0033】
複数のLED用電気接点31cには、発光体である発光ダイオード(以下、LEDと記載する)照明36が実装されている。つまり、フレキシブル基板31の第1の面31aには貼付面27に対向して複数のLED照明36が実装されている。
そして、図3に示すように貼付面27には複数のLED照明36にそれぞれ対応する複数の凹部28が設けられている。
【0034】
図5Aは照明板22とフレキシブル基板31との関係を説明する図であって、凹部28の開口28mは、LED照明36の外径寸法より予め定めた寸法大きく設定されている。また、凹部28の深さ寸法は、予め定めた寸法に設定されている。
【0035】
具体的に、LED照明36の縦横寸法が例えば1.6mmx0.8mmに対して、凹部28の開口28mの径寸法はφ3mmであり、凹部28の深さ寸法は3mmである。
なお、凹部28は、収容部を兼用する反射部である。凹部28を構成する底面28d及び内周面28sは、反射率の高い例えば白色の反射面として構成される。反射面は、拡散反射面で構成すると好適である。
【0036】
図5Bは、フレキシブル基板31の第1の面31aが貼付面27に貼付された状態である。この状態において、LED照明36は、凹部28内に対し、凹部28の内面に接触しないように収容される。このとき、図5Cは、図5Bに示す矢印Y5C側からフレキシブル基板越しにLED照明36を見た図であって、LED照明36の中心36cと開口28mの中心28cとが一致するように配置されている。
【0037】
この結果、LED照明36から照明光である例えば白色光が、図5Bの実線の矢印YB1で示すように凹部28の底面28dに向かって出射されると、白色光は、凹部28の底面28d及び内周面28cでLED照明36方向に向けて反射され、その後、フレキシブル基板31に侵入する。フレキシブル基板31に侵入した白色光は、基板内を通過中、フレキシブル基板31の材質の自然色であるオレンジ色の影響を受けオレンジ色の透過光として破線の矢印YB2に示すように該基板31から出射される。
【0038】
図3図6図7を参照して印刷シート32を説明する。
図3図6に示す印刷シート32は、柔軟性を有する厚み寸法が例えば0.5mmの透明板である。印刷シート32は、表示部材である。印刷シート32は、一平面32aと、一平面32aの反対面である他平面32bとを有している。一平面32aは、フレキシブル基板31の第2の面31bに対向して配置される。
【0039】
本実施形態において、図6に示す一平面32aは、例えばシルク印刷面である。これに対して、図3に示す他平面32bは操作面である。操作面にはシート側エンボス部38、操作表示部39が設けられている。
シート側エンボス部38は、各種スイッチを構成する。操作表示部39は、シート側エンボス部38近傍に設けられる。操作表示部39には、スイッチの操作内容、スイッチ名、動作状態等が記載されている。
【0040】
図6に示す一平面32aは、光透過部位32e以外を不透明に構成してある。光透過部位32eは、フレキシブル基板31を透過した光によって光る発光部分となる。即ち、印刷シート32の一平面32aには、非透過面である斜線に示す不透明部32n、複数の光透過部位32e、及びシート側エンボス部38が設けられる。
【0041】
不透明部32nは、予め定めた色で着色されている。不透明部32nは、遮光部であり、フレキシブル基板31を通過したオレンジ色の透過光が一平面32a側から印刷シート32内に侵入することを遮る。
【0042】
また、不透明部32nには二点鎖線で示す印刷シート用両面テープ貼付領域33Bが設けられている。印刷シート用両面テープ貼付領域33Bには予め定めた粘着強さを有する糊面を備えた両面テープが貼付される。両面テープは、該貼付領域33Bの予め定めた場所にも貼り付けられる。
【0043】
光透過部位32eは、一平面に設けられた不透明部32n及びシート側エンボス部38以外の透明部である。光透過部位32eは、予め定めた形状、例えば円形に形作られている。
光透過部位32eは、自然色がオレンジ色であるフレキシブル基板31を透過したオレンジ色の透過光が一平面32a側から他平面32b側に通過することによって希望する色で発色するように構成される。
【0044】
具体的に、光透過部位32eを例えば透過光であるオレンジ色で発色させたい場合、透明シートは、着色を施すことなく、透明な状態に保持される。
【0045】
これに対して、光透過部位32eを例えば緑色で発色させる場合、図7に示す透明な一平面32aに予め定めた色を着色して光透過部位32eに補色フィルタ部32fを設ける。
【0046】
具体的には、光透過部位32eの一平面32aを、例えば図8に示すマンセル・カラー・システムを参考にして、オレンジ色5YRを緑色5GYにする第1の補色5BGで着色して補色フィルタ部32fを設ける。
なお、光透過部位32eを例えば赤紫色5RPで発色させる場合は、図8に示すマンセル・カラー・システムを参考にして、光透過部位32eの一平面32aに、オレンジ色5YRを赤紫色5RPにする第2の補色5PBを着色して補色フィルタ部32fを設ける。
なお、補色に色を加えながら補色フィルタ部32fの色を微調整することによって、もう少し濃い緑色、等、感覚的な要望に対応させることが可能である。
【0047】
これらの結果、フレキシブル基板31を通過したオレンジ色の透過光が透明な光透過部位32eを通過することによって、該光透過部位32eがオレンジ色に発光する。
【0048】

一方、該オレンジ色の透過光が第1の補色を施した補色フィルタ部32fを設けた光透過部位32eを通過することによって、該光透過部位32eが緑色に発光する。
【0049】
また、該オレンジ色の透過光が第2の補色を施した補色フィルタ部32fを設けた光透過部位32eを通過することによって、該光透過部位32eが赤紫色に発光する。
【0050】
このように、LED照明36から例えば白色光を出射し、フレキシブル基板31を透過したオレンジ色の透過光に対して光透過部位32eを希望する色で発色させるため、光透過部位32e毎に希望する色に対応する補色フィルタ部32fを設けている。
【0051】
この構成によれば、光透過部位32eを透明にして、LED照明36毎に色を設定して光透過部位32eを希望する色で発色させる場合に比べて、容易に光透過部位32eを希望する色で発色させることができる。
【0052】
また、LED照明36が一種類であるため、色を設定した複数種類のLEDを用いる場合に比べて部品点数を減少させることができるとともに作業性の向上を図ることができる。
【0053】
なお、LED照明36を白色光としているが、LED照明は、出射される光の色を変化させることが可能なものであってもよい。
【0054】
ここで、表示パネル30の貼付面27への貼り付けについて説明する。
本実施形態において、作業者は、まず、図3の矢印Y3Aに示すように印刷シート32の一平面32aに予め設けられている両面テープ(不図示)をフレキシブル基板31の第2の面31bに貼り付けて表示パネル30を構成する。
【0055】
このことによって、印刷シート32の一平面32aに設けられたフィルタ部32fがフレキシブル基板31を挟んで凹部28の開口28mを塞ぐように配設される。
【0056】
この結果、光透過部位32eがフレキシブル基板31の第1の面31aに実装されたLED照明36の背面に対峙した状態になる。
【0057】
次に、作業者は、図3の矢印Y3Bに示すように表示パネル30のフレキシブル基板31の第1の面31aに予め設けられている両面テープ(不図示)を正面板22の貼付面27に貼り付ける。
【0058】
この結果、図9に示すように筐体21を構成する正面板22の凸曲面の貼付面27に表示パネル30を貼付して図1に示すCCU3が構成される。
このとき、フレキシブル基板31の第1の面31aに実装されたLED照明36は、貼付面27に設けられた凹部28内に収容されて、凹部28の底面28dに対面した状態である。
【0059】
このように、可撓性を有する表示パネル30を凸曲面で構成された貼付面27に貼り付ける構成において、厚みを薄く設定したフレキシブル基板31と印刷シート32とによって表示パネル30を構成する。
【0060】
そして、フレキシブル基板31の貼付面27に対向する第1の面31aにLED照明36を実装する一方、貼付面27には該第1の面31aに実装されたLED照明36を収容する、収容部及び反射部として機能する、凹部28を設ける。
【0061】
この結果、フレキシブル基板31の貼付面27側にLED照明36を実装したにも関わらず、従来よりも厚みを薄く設定した表示パネル30を凸曲面で構成された貼付面27に貼り付け固定することができる。
【0062】
また、表示パネル30の厚みを従来の凸曲面に貼り付けても平らな状態に戻ろうとする力が働いて剥がれてくる懸念のあった厚みが比較的厚い従来の表示パネルに比べて薄く設定してある。このため、表示パネル30を凸曲面に対してより確実、且つ、容易に貼り付け固定することができる。
【0063】
また、表示パネル30を構成するフレキシブル基板31の厚みを薄く設定したことによって、フレキシブル基板31の曲げ応力を大幅に減少している。この結果、凸曲面の貼付面27に貼り付け固定した状態の表示パネル30に常時働く該パネル30を貼付面27から剥離させようとする力が大幅に低減される。
この結果、表示パネル30は、貼付面27に安定して貼付固定される。
【0064】
さらに、表示パネル30の厚み寸法を薄く設定したことによって、温度差が大きく変化した際、或いは、湿度差が大きく変化した際の膨張或いは収縮の変形量が小さくなる。このため、温度変化或いは湿度変化によって、表示パネル30が貼付面27から剥離する不具合を防止することができる。
【0065】
なお、表示パネル30の組付け順序は、上述した手順に限定されるものでは無い。つまり、フレキシブル基板31の第1の面31aの両面テープを正面板22の貼付面27に貼り付け、その上で、印刷シート32の一平面32aの両面テープを貼付面27に貼付されたフレキシブル基板31の第2の面31bに貼り付けて、正面板22に表示パネル30を設けたCCU3を構成するようにしてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態においては、フレキシブル基板31及び印刷シート32にそれぞれ、予め両面テープを設ける構成としている。しかし、フレキシブル基板31及び印刷シート32にそれぞれ予め定めた粘着力を有する糊面を設ける構成であってもよい。具体的に、フレキシブル基板31の予め定めた位置に接着面を設ける構成、或いは、印刷シート32の予め定めた位置に接着面を設ける構成でもよい。
【0067】
上述したCCU3において、制御部からの指示に基づいてLED照明36が点灯されると、図9の矢印Y8Aに示すようにLED照明36から凹部28の底面28dに向かって白色光が出射される。
【0068】
底面28dに向かって出射された白色光は、底面28dの白色の反射面で反射され、その後、直接、或いは、内周面28sの白色の反射面で再び反射された後、フレキシブル基板31のLED照明36が実装された部分及びその周囲に向かっていく。
【0069】
フレキシブル基板31に向かった反射光は、矢印Y8Bに示すように直接、或いは、矢印Y8Cに示すようにLED照明36を回り込んでフレキシブル基板31の第1の面31aに到達し、オレンジ色の該基板31内に侵入する。
【0070】
フレキシブル基板31内に侵入した反射光は、直接、或いは、LED用電気接点31cに電気的に接続された配線31lを回り込んでフレキシブル基板31の第2の面31bから出射される。
【0071】
第2の面31bから出射された反射光、即ち、フレキシブル基板31を透過したオレンジ色の透過光は、印刷シート32の光透過部位32eの一平面32a側に設けられているフィルタ部32fを通過して光透過部位32eに向かう。オレンジ色の透過光は、フィルタ部32fを通過することによって希望色に変化されて光透過部位32eの他平面32bから外部に向けて出射される。この結果、光透過部位32eは、希望する色で発光する。
【0072】
なお、LED照明36の光量を増加させることによって、光の回り込む量を増大させることが可能である。
【0073】
このように、LED照明36から出射される白色光を該LED照明36から予め定めた距離離間した凹部28の反射面である底面28dに向けて出射させる。この結果、光透過部位32eは、LED照明36から印刷シート32に向けて直接出射される白色光によって発光するのではなく、底面28dで反射された反射光及び内周面28sで反射された反射光によって発光される。
【0074】
このため、本実施形態において、LED照明36から印刷シート32までの距離が長距離になる。この結果、光透過部位32eの中央だけが明るくなって、中央から外径に向けて色のグラデーションが発生するホットスポット現象を防止することができる。
【0075】
また、反射面である底面28dと印刷シート32との間に投影物と成り得るLED照明36及び配線31lが配置されていることによって影が発生するおそれがある。しかし、この影が発生する問題は、凹部28の底面28dだけを反射面にすること無く、内周面28sをも反射面すること、及び、反射面を拡散反射面として解決している。つまり、反射光をLED照明36、配線31lに回り込ませて影の発生が防止している。加えて、LED照明36の背面側に、両面テープの厚み分及びポリイミド膜31pの厚み分の回り込みスペースが設けられている。
【0076】
この結果、反射光をLED照明36に回り込ませて図10に示すように破線に示すLED照明36及び配線31lが影となって光透過部位32eの発光状態に悪影響を及ぼすことが防止される。
【0077】
上述したように、フレキシブル基板31と印刷シート32とで構成した表示パネル30を、筐体21の正面板22に設けられた凸曲面の貼付面27に貼付する。この結果、視認性に優れた表示パネル30を設けた電気機器を安価に提供することができる。
【0078】
上述した実施形態においては、電気機器を内視鏡が接続されるCCUとしている。しかし、電気機器は、CCUに限定されるものでは無く、ビデオ機器などの画像処理機器、パソコン等のコンピュータ、信号処理機器などの各種制御ボックス、無線信号処理機等の通信機器等、筺体を持って構成されて電気エネルギ、または、電気信号により動作する電気機器である。
【0079】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0080】
本出願は、2014年3月27日に日本国に出願された特願2014−066591号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10