特許第5993537号(P5993537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5993537
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】走査型内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   A61B1/00 300T
   A61B1/00 300P
   A61B1/00 300Y
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-525115(P2016-525115)
(86)(22)【出願日】2015年8月25日
(86)【国際出願番号】JP2015073866
【審査請求日】2016年4月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-252107(P2014-252107)
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】有吉 大記
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悠次
(72)【発明者】
【氏名】小鹿 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 宏行
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−36592(JP,A)
【文献】 特開2014−54469(JP,A)
【文献】 特開2011−125617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24 − 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部から発する照明光を導光し、先端から前記照明光を出射する導光部及び観察対象上において前記照明光を走査するために前記導光部の先端を揺動させるアクチュエータを有する走査部と、
前記走査部を内包する空間を有し、前記導光部に沿って設けられる筒状部材と、
前記筒状部材に設けられ、前記走査部を前記筒状部材の長手方向に垂直な平面上の所定の位置に保持するとともに前記長手方向に前記走査部が摺動可能な保持部と、
を有することを特徴とする走査型内視鏡。
【請求項2】
前記保持部は、前記長手方向に沿って設けられる溝部または突出部を有し、
前記走査部は、前記保持部に設けられる前記溝部または前記突出部に嵌合配置される突出部または溝部を有することを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡。
【請求項3】
前記保持部において、前記溝部または突出部は、前記長手方向において間欠的に複数設けられ、
前記走査部において、該走査部が有する前記突出部又は前記溝部は、前記保持部が有する前記溝部または前記突出部の位置に対応して間欠的に複数設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の走査型内視鏡。
【請求項4】
さらに、前記観察対象からの戻り光を集光する光学部材を有することを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡。
【請求項5】
前記走査部は、前記導光部の周囲に設けられ、かつ前記アクチュエータが外周に配置されるフェルールを有し、
前記保持部は、前記フェルールが嵌合され、前記フェルールが前記保持部に対して嵌合された状態で摺動可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ファイバを走査しつつ照明光を照射させて戻り光を検出して画像化する走査型内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD、CMOSなどの固体撮像素子を有する撮像装置により被写体像を光電変換してモニタに被写体画像を表示する電子内視鏡が知られている。また、固体撮像素子の技術を用いず、被写体画像を表示する装置として光走査型内視鏡装置が知られている。
【0003】
例えば特開2012−231911号公報には、光学系の収差による影響を補正し、解像力のばらつきを低減する光走査装置および走査型観察装置が開示されている。光走査装置は、細長い形状の挿入部を有し、挿入部にはレーザ光を先端部へ導光する照明ファイバが設けられている。
【0004】
照明ファイバの先端は、圧電素子に与える駆動信号の振幅を徐々に大きくしていくことによって、中心から半径方向外方に向けて螺旋状に変位するようになっている。
しかしながら、光走査装置においては、スキャナ駆動部で発生する振動が光学レンズを保持するレンズ枠に伝達されること、或いは、外部からの振動がスキャナ駆動部に伝わることによって、スキャナ動作に影響を及ぼして観察対象画像が乱れるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、外部からスキャナ駆動部に振動が伝わること、及び、スキャナ駆動部からスキャナ駆動部保持部およびレンズ枠に振動が伝達されることを防止して良好な観察対象画像を得る走査型内視鏡を提供することを目的にしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の走査型内視鏡は、光源部から発する照明光を導光し、先端から前記照明光を出射する導光部及び観察対象上において前記照明光を走査するために前記導光部の先端を揺動させるアクチュエータを有する走査部と、前記走査部を内包する空間を有し、前記導光部に沿って設けられる筒状部材と、前記筒状部材に設けられ、前記走査部を前記筒状部材の長手方向に垂直な平面上の所定の位置に保持し、かつ、前記長手方向に前記走査部を摺動可能にする保持部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】走査型内視鏡装置を説明する図
図2】走査型内視鏡の挿入部の先端部の構成および光走査ユニットを説明する図
図3図2の矢印Y3−Y3線断面図
図4A】保持体とフェルールとの関係を説明する図
図4B図4Aの矢印Y4B−Y4B線断面図
図5A】保持体に対して周方向に回転しないフェルールを説明する図
図5B図5Aの矢印Y5B−Y5B線断面図
図6A】保持体に対して軸方向に移動しないフェルールを説明する図
図6B図6Aの矢印Y6B−Y6B線断面図
図7A】保持体に対して周方向に回転すること無く、かつ、軸方向に移動しないフェルールを説明する図
図7B図7Aの矢印Y7B−Y7B線断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面は、模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識可能な程度に示すために、各部材の寸法関係や縮尺等は、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0009】
図1に示すように走査型内視鏡装置1は、走査型内視鏡(以下、単に内視鏡と記載する)2と、この内視鏡2が接続される本体装置3と、モニタ4と、を有して構成されている。
内視鏡2は、照明光を走査させながら被検体に照射し該被検体からの戻り光を得る。モニタ4には、本体装置3で生成された被検体像が表示される。
【0010】
内視鏡2は、生体内に挿通される細長な挿入部11を有する。挿入部11は、所定の可撓性を備えたチューブ体を主体として構成され、挿入部11の先端側には先端部12が設けられている。
挿入部11の基端側には図示しないコネクタなどが設けられている。内視鏡2は、該コネクタなどを介して、本体装置3と着脱自在に構成されている。
【0011】
先端部12の先端面12aには照明光学系13を構成する光学部材である先端照明レンズ13a、および検出光学系16を構成する光学部材である集光レンズ16aが設けられている。
【0012】
符号13bは、第2照明レンズであり、照明光学系13を構成する光学部材の一つである。照明光学系13は、1つまたは複数の光学部材を設けて構成される。検出光学系16は、集光レンズ16aと検出ファイバ17とで構成される。
【0013】
挿入部11の内部には、照明光学系13と、照明ファイバ14と、アクチュエータ15と、検出ファイバ17と、が設けられている。
照明ファイバ14は、導光部であり、後述する光源部となる光源ユニット24から出射される照明光を導光し、導光した照明光は、先端から照明光学系13を通過して観察対象である被写体に向けて出射される。
【0014】
アクチュエータ15は、例えば圧電素子であって、照明ファイバ14の先端側にを設けられたスキャナ駆動部である。圧電素子は、周方向に四分割された位置に後述する二対の電極を相対して設けている。後述するドライバユニット25からの駆動信号に基づいて圧電素子は、駆動され、照明ファイバ14の先端を揺動制御して照明光を観察対象上において予め定めた軌跡に走査する。
照明ファイバ14及びアクチュエータ15は、走査部である光走査ユニット40を構成している。
【0015】
検出ファイバ17は、挿入部11の内周に沿って挿通されている。検出ファイバ17は、集光レンズ16aによって受光された観察対象からの戻り光を後述する検出ユニット26に伝送する。つまり、検出ファイバ17の先端に集光レンズ16aが配設されている。
【0016】
なお、検出ファイバ17は、少なくとも2本以上のファイババンドルである。検出ファイバ17は、内視鏡2が本体装置3に接続された際、後述する分波器36に接続される。
【0017】
符号18は、内視鏡メモリであって、内視鏡2に関する各種情報が記憶されている。内視鏡メモリ18は、挿入部11の内部に設けられている。内視鏡2が本体装置3に接続された際、内視鏡メモリ18と後述するコントローラ23とは図示しない信号線を介して接続される。そして、内視鏡メモリ18に記憶されている各種情報は、該コントローラ23によって読み出されるようになっている。
【0018】
本体装置3には、電源21と、本体メモリ22と、コントローラ23と、光源ユニット24と、ドライバユニット25と、検出ユニット26等と、が設けられている。
光源ユニット24は、3つの光源31a,31b,31cと、合波器32と、を有して構成されている。
【0019】
ドライバユニット25は、信号発生器33と、デジタルアナログ(以下、D/Aという)変換器34a、34bと、アンプ35と、を有して構成されている。
【0020】
検出ユニット26は、分波器36と、検出器37a、37b、37cと、アナログデジタル(以下、A/Dという)変換器38a、38b、38cと、を有して構成されている。
【0021】
電源21は、図示しない電源スイッチなどの操作に応じて、コントローラ23へ電源を供給する。
本体メモリ22には、本体装置3全体の制御を行うための制御プログラム等が記憶されている。
【0022】
コントローラ23は、電源21からの電源の供給が開始されると、本体メモリ22から制御プログラムを読み出し、光源ユニット24、ドライバユニット25、検出ユニット27の制御を行う。
【0023】
光源ユニット24の光源31a,31b,31cは、コントローラ23の制御に基づき、それぞれ異なる波長帯域の光、例えば、R(赤),G(緑),B(青)の波長帯域の光を合波器32に出射する。合波器32は、光源31a,31b,31cから出射されたR,G,Bの波長帯域の光を合波し、照明ファイバ14に出射する。
【0024】
ドライバユニット25の信号発生器33は、コントローラ23の制御に基づき、照明ファイバ14の先端を所望の方向、例えば、楕円螺旋状に走査させるための駆動信号を出力する。
【0025】
具体的に、信号発生器33は、照明ファイバ14の先端を挿入部11の長手軸に対して左右方向(X軸方向)に駆動させる駆動信号を第1D/A変換器34aに出力し、挿入部11の挿入軸に対して上下方向(Y軸方向)に駆動させる駆動信号を第2D/A変換器34bに出力する。
なお、挿入部11の長手軸方向をZ軸方向と定義し、このZ軸方向に直交し、かつ、互いに直交する2方向をX軸方向、Y軸方向と定義している。
【0026】
D/A変換器34a、34bは、それぞれ入力された駆動信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、アンプ35に出力する。
アンプ35は、入力された駆動信号を増幅してアクチュエータ15に設けられた二対の電極49a、49b、49c、49dに出力する。振動部としてのアクチュエータ15は、アンプ35から電極49a、49b、49c、49dに出力される駆動信号に基づいて、照明ファイバ14の自由端である先端を揺動させて、楕円螺旋状に走査させる。
これにより、光源ユニット24から照明ファイバ14に出射された光は、被検体上に楕円螺旋状に順次照射される。
【0027】
被検体に照射され、該被検体の表面領域で反射された戻り光は、検出ファイバ17によって検出ユニット26の分波器36に導光される。分波器36は、例えば、ダイクロイックミラーなどであり、所定の波長帯域で戻り光を分波する。
具体的に、分波器36は、検出ファイバ17により導光された戻り光を、R,G,Bの波長帯域の戻り光に分波し、それぞれ検出器37a、37b,37cに出力する。
【0028】
検出器37a、37b、37cは、それぞれR,G,Bの波長帯域の戻り光の光強度を検出する。検出器37a、37b、37cで検出された光強度の信号は、それぞれA/D変換器38a、38b,38cに出力される。A/D変換器38a、38b、38cは、それぞれの検出器37a、37b、37cから出力された光強度の信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、コントローラ23に出力する。
【0029】
コントローラ23は、A/D変換器38a、38b、38cからのデジタル信号に所定の画像処理を施して被写体像を生成し、モニタ4に表示する。
【0030】
ここで、挿入部11の先端部12の内部に設けられた光走査ユニット40の詳細な構成を説明する。
上述したように照明ファイバ14及びアクチュエータ15によって構成される光走査ユニット40は、図2に示すように先端部12を構成する照明レンズ13a,13bが一体に固設された筒状部材である枠体43に設けられた空間部43S内に内包される。照明ファイバ14の先端は、空間部43S内に自由端として配置される。
【0031】
図2及び図3に示すように照明ファイバ14は、フェルール41に挿通配置されて保持される。フェルール41の外側面にはアクチュエータ15が設けられる。
【0032】
フェルール41は、照明ファイバ14の外径(例えば、125μm)に対応する孔加工を高精度(例えば、±1μm)かつ容易に行えるジルコニア、ニッケル等の材質で形成されている。
【0033】
図3に示すようにフェルール41は、例えば円柱形状であり、その断面中心に照明ファイバ14の径に基づいた中心貫通孔が形成されている。照明ファイバ14は、中心貫通孔内に予め定めた状態で配置され、接着剤などによりフェルール41に一体固定されている。
なお、中心貫通孔のクリアランスは、接着剤層を極力薄くするため小さく形成され、接着剤は粘性の低いものが使用される。
【0034】
フェルール41の外周面には、予め定めたパイプ形状のアクチュエータ15が配置される。アクチュエータ15の内周面には電極48が設けられ、外周面には上述した二対の電極49a、49b、49c、49dが所定の間隔を設けて、配置されている。
【0035】
図2に示すようにフェルール41の基端側は、保持部である保持体44に配設される。保持体44は、予め定めた厚みの円板形状であって、軸方向第1貫通孔44h1及び軸方向第2貫通孔44h2(図4参照)が形成されている。軸方向第1貫通孔44h1には複数のリード線45が挿通配置され、軸方向第2貫通孔44h2にはフェルール41が嵌合配置される。
【0036】
軸方向第2貫通孔44h2は、フェルール取付孔(以下、フェルール取付孔44h2とも記載する)である。図4Aに示す軸方向第2貫通孔44h2の内径dがフェルール41の外径Dより予め定めた寸法、大径に設定してある。つまり、軸方向第2貫通孔44h2とフェルール41との間には予め定めたクリアランスが設けられている。
【0037】
図2図4A、4Bに示すようにフェルール41は、その基端に外周面から外方に予め定めた高さで突出するフランジである拡径部42を有している。拡径部42の先端側の面は当接面42fであって、フェルール41の長手軸に対して垂直な平面である。
【0038】
フェルール41は、保持体44の基端面44r側からフェルール取付孔44h2内に挿通される。そして、フェルール41は、拡径部42の当接面42fが保持体44の基端面44rに当接して予め定めた配設状態となる。
【0039】
つまり、本実施形態において、フェルール41は、保持体44に接着によって一体固定されること無く、フェルール取付孔44h2に嵌合配置される。
【0040】
フェルール41が配設された保持体44は、枠体43の基端側の予め定めた位置に接着等によって一体固定される。この固定状態において、保持体44の中心軸は、枠体43の中心軸に一致している。したがって、照明光学系13が設けられた枠体43は、照明ファイバ14に沿って設けられる。
また、拡径部42の当接面42fが保持体44の基端面44rに当接して、光走査ユニット40を構成する照明ファイバ14の先端が枠体43の長手方向の予め定めた位置に配置される。
【0041】
なお、フェルール41は、円柱に限定されるものでは無く、四角柱等如何なる形状の角柱であってもよい。フェルール41が角柱の場合、各角柱の平面の予め定めた位置に直方体形状で予め定めた大きさのアクチュエータ15がそれぞれ配置される。
また、照明ファイバ14を大きく揺動させる共振周波数は、照明ファイバ14の径とフェルール41の先端面からの突出長である自由端長さによって決定される。
【0042】
上述のように構成された走査型内視鏡2に設けられた照明ファイバ14の先端は、フェルール41が振動されることによって揺動する。
フェルール41は、D/A変換器34a、34bから電極49a、49b、49c、49dに供給される駆動信号に応じてアクチュエータ15が駆動されることによって振動する。
【0043】
そして、アクチュエータ15が駆動制御されることによって、フェルール41の振動による照明ファイバ14の先端の揺動が制御されて、観察対象上において照明光が楕円螺旋状に走査される。
【0044】
このとき、フェルール41は、図4Aの矢印Y4Aに示すようにZ方向にも振動している。しかし、フェルール41は、上述したように保持体44に接着による一体固定では無く、フェルール取付孔44h2に嵌合配置されている。
【0045】
したがって、フェルール41は、該フェルール41に発生したZ方向の振動によってフェルール取付孔44h2内において矢印Y4A方向にスライド移動する。このため、フェルール41に発生した矢印Y4Aて示すZ方向の振動は、保持体44に伝搬され難い。
【0046】
この結果、フェルール41に発生した矢印Y4Aに示すZ方向の振動が保持体44を介して枠体43に伝搬されることにより、該枠体43が揺れて観察対象画像が乱れる不具合を防止することができる。
【0047】
なお、枠体43にZ方向の振動が発生した場合、保持体44が枠体43に一体に固定されていることにより、該保持体44に振動が伝搬される。しかし、フェルール41が保持体44のフェルール取付孔44h2に上述したように嵌合配置されていることから保持体44に伝搬された振動がフェルール41に伝搬され難い。
【0048】
この結果、外部からの振動が光走査ユニット40に伝わることによって、フェルール41の振動による照明ファイバ14の先端の揺動に不具合が発生して、観察対象上における照明光の楕円螺旋状の走査が乱れることを防止できる。
なお、図4Aにおいては照明ファイバ14を省略している。
【0049】
ここで、図5A図5B図6A図6B及び図7A図7Bを参照してフェルールの他の構成例を説明する。
図5A図5Bに示す第1のフェルール41Aは、周方向外方に突出した複数の突出部を間欠的に備えている。本実施形態において、突出部である凸部41c1、41c2、41c3、41c4は、突出された回り止めである。保持体44には凸部41c1、41c2、41c3、41c4がそれぞれ配置される溝部として凹溝44g3を有したフェルール取付孔44h3が形成されている。
【0050】
第1のフェルール41Aの凸部41c1、41c2、41c3、41c4は、フェルール取付孔44h3に形成された4つの凹溝44g3にそれぞれ嵌合して配置される。
この結果、上述した作用及び効果を有すると共に、振動によってフェルール41が周方向に回転移動する不具合が解消される。したがって、より良好な観察対象画像を得ることができる。
【0051】
なお、図示は省略するが、第1のフェルール41Aに凹溝を設け、保持体44に凸部を設けるようにしてもよい。
【0052】
図6A図6Bに示す第2のフェルール41Bは、中途部の予め定めた位置に該フェルール41Bの外周面から外方に突出する突出部としてのフランジ部41Bfを有している。フランジ部41Bfは、該フェルール41BのZ方向位置決め部であり、保持体44内に配置される。
【0053】
第2のフェルール41Bのフランジ部41Bfが保持体44内に配置されることによって、振動によってフェルール41Bが矢印Z1方向に移動して照明ファイバ14の先端面が同方向に移動する不具合を解消することができる。
【0054】
加えて、拡径部42の当接面42fが保持体44の基端面44rに当接することによって、該拡径部42から該保持体44に振動が伝搬されたとき、図中破線矢印Y6Aに示すように伝搬された振動が保持体44内に配置された振動フランジ部41Bfとの界面で反射されて保持体44が振動する不具合が減少される。
なお、フランジ部41Bfの突出高さは、拡径部42の突出高さと同寸法、または、それ以下に設定される。また、第2のフェルール41Bに周状の凹溝を設け、凹溝を保持体44内に配置するようにしてもよい。
【0055】
図7A図7Bに示す第3のフェルール41Cは、周方向外方に突出させた扇状凸部41c5、41c6、41c7、41c8を有している。扇状凸部41c5、41c6、41c7、41c8は、図7Aに示すようにZ方向に対して間欠的に設けられ、かつ、図7Bに示すように中心角度が例えば90度で周方向に間欠的に設けられている。
【0056】
なお、本実施形態においては、扇状凸部41c5、41c6、41c7、41c8は、Z方向に対して等間隔で離間し、周方向に対しては90度間隔で離間している。
扇状凸部41c5、41c6、41c7、41c8は、保持体44内に配置されて該フェルール41CがZ方向に移動すること、および、周方向に回転することを防止する。
【0057】
扇状凸部41c5、41c6、41c7、41c8を図7Bに示すように保持体44内に周方向に90°間隔で配置することによって、前記フランジ部41Bfのように周方向に隙間無く設けられる。
【0058】
このことによって、上述したように拡径部42から保持体44に伝達される振動の軸方向への進行を上述したように各扇状凸部41c5、41c6、41c7、41c8によって阻止することができる。
この結果、上述したフランジ部41Bfと同様の作用及び効果を得られる。
【0059】
この構成によれば、振動によってフェルール41Cが周方向に回転移動する不具合、フェルール41Cが軸方向に移動する不具合、および、拡径部42から保持体44に振動が伝達される不具合を減少する。
【0060】
なお、扇状凸部41c5、41c6、41c7、41c8をZ方向に等間隔に配置する代わりに、外周面に螺旋状凸部を設けたフェルールを保持体44に配置することによって、上述した実施形態と同様の作用及び効果を得るようにしてもよい。また、扇状凸部の数は、4つに限定されるものでは無く、2つの場合に中心角度を180度に設定し、3つの場合には中心角度を120度に設定する。
【0061】
上述の実施の形態に記載した発明は、その実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施し可能である。
【0062】
本発明によれば、外部からスキャナ駆動部に振動が伝わること、及び、スキャナ駆動部からスキャナ駆動部保持部およびレンズ枠に振動が伝達されることを防止して良好な観察対象画像を得る走査型内視鏡を実現できる。
【0063】
本出願は、2014年12月12日に日本国に出願された特願2014−252107号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
【要約】
走査型内視鏡2は、光源ユニット24から発する照明光を導光し、先端から照明光を出射する照明ファイバ14及び観察対象上において照明光を走査するために照明ファイバ14の先端を揺動させるアクチュエータ15を有する光走査ユニット40と、非違か走査ユニット40を内包する空間部43Sを有し、照明ファイバ14に沿って設けられる枠体43と、枠体43に設けられ、光走査ユニット40を枠体43のZ方向に垂直な平面上の所定の位置に保持するとともにZ方向に光走査ユニット40が摺動可能な保持体44と、を有する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B