特許第5993606号(P5993606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993606
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】ライニング加熱装置及び地中管補修方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/34 20060101AFI20160901BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   B29C63/34
   F16L1/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-103441(P2012-103441)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230598(P2013-230598A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】592185666
【氏名又は名称】管清工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091410
【弁理士】
【氏名又は名称】澁谷 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀樹
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−523152(JP,A)
【文献】 特開昭63−162221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C63/00−63/48
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中管内面を覆うように膨らんだ、未硬化の硬化性樹脂を含浸しているライニング材を加熱するライニング加熱装置であって、
前記地中管内を走行するヒータ装置と、このヒータ装置に空気を送る空気供給装置と、を備え
前記ヒータ装置は、前記空気供給装置から送られた前記空気を加熱する空気加熱部と、前記空気加熱部で加熱された前記空気を前記ライニング材の中で放出する放出部と、を有し
前記放出部は、前記地中管の中心部又は上側部に配置されるように設けられたメインノズルと、前記地中管の下側に配置されるように設けられたサブノズルと、を有していて、
前記メインノズルは、加熱された前記空気を径方向に放射状に放出するように構成され、前記サブノズルは、加熱された前記空気を管路方向に放出するように構成されている、ことを特徴とするライニング加熱装置。
【請求項2】
前記サブノズルは、前記空気加熱部を通過した前記空気を加熱する補助加熱部を介して設けられていて、前記空気加熱部で加熱され、かつ、前記補助加熱部で加熱された前記空気が前記サブノズルから放出される、ことを特徴とする請求項記載のライニング加熱装置。
【請求項3】
前記サブノズルは、管路方向前方及び管路方向後方に一対配置され、前記補助加熱部は、前記サブノズルそれぞれに対応して一対設けられていて、前記空気加熱部で加熱された前記空気は、一対の前記補助加熱部の間に供給され、それぞれの前記補助加熱部を通過してそれぞれの前記サブノズルから管路方向前方及び管路方向後方に放出される、ことを特徴とする請求項記載のライニング加熱装置。
【請求項4】
前記メインノズルは、管路方向前方及び管路方向後方に一対配置されている、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載のライニング加熱装置。
【請求項5】
ホース状のライニング材で地中管内面をライニングして補修する地中管補修方法であって、
未硬化の硬化性樹脂を含浸したホース状の前記ライニング材を準備する補修材準備工程と、
供給された空気を加熱する空気加熱部と、この空気加熱部で加熱された前記空気を放出する放出部と、を備えた、前記地中管内を走行するヒータ装置を準備する補修装置準備工程と、
準備した前記ライニング材を前記地中管内に通すとともに、前記ライニング材の端部に接続した収容部材内に、準備した前記ヒータ装置を配置するライニン準備工程と、
前記ヒータ装置に空気供給装置から前記空気を供給し、供給された前記空気を前記空気加熱部で加熱することなく前記放出部から放出し、前記地中管内面を覆うように前記ライニング材を膨らませる拡径工程と、
前記ライニング材を膨らませたままで、前記ヒータ装置を前記地中管内で走行させるとともに、前記ヒータ装置に前記空気供給装置から前記空気を供給し、供給された前記空気を前記空気加熱部で加熱して前記放出部から放出し、前記ライニング材の前記硬化性樹脂を硬化させる硬化工程と、を備えたことを特徴とする地中管補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された地中管を、掘り起こすことなく補修する地中管補修方法及びこの地中管補修方法に用いるライニング加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中管に亀裂や接続部のずれなどが生じると、地中管内に雨水や地下水が浸入したり、地中管内の下水などが地中に流れ出す。雨水や地下水の浸入は下水等の処理施設の負担を増加させるし、下水などの流出は環境汚染の原因となる。また、雨水や地下水とともに土砂などが地中管内に浸入すれば、地盤沈下などの危険性も考えられる。したがって、適当な時期に地中管に生じている亀裂や接続部のずれなどを調査し、調査結果に基づいて適切な補修を施す必要がある。
【0003】
補修するにあたって地中管を掘り起こすのは作業負担が大きいので、非開削方式の補修方法が多く用いられている。非開削方式の補修方法としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この補修方法では、まず、未硬化の熱硬化型樹脂含浸チューブ3を地中管4の内部に反転挿入し、反転挿入したチューブ3内に熱風放出機9を導入する。次に、この熱風放出機9を地中管4内で移動させながら、地上に設置したヒーター12で加熱した熱風を、地上に設置したブロワー14により熱風放出機9に供給し、熱風放出機9の吹き出し口9cからチューブ3に吹き付けてチューブ3を硬化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−195521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1記載の補修方法では、チューブ3を地中管4の内部に通すのにチューブ3を反転挿入しているので、反転挿入のための大掛かりな設備が必要となる。しかしながら、補修対象が山奥に埋設された伏び管などの場合には、このような大掛かりな反転挿入設備を補修現場に持ち込むことが困難となる。チューブ3を地中管4の内部に通すのに、チューブ3を地中管4の内部に引き込むなどすれば、大掛かりな反転挿入設備は必要なくなるが、空気の加熱は地上に設置したヒーター12で行っているため、小型のヒーターを使用すると、熱風放出機9に到達するまでに加熱空気の温度が下がってしまい、
チューブ3を迅速に硬化させることができない。しかしながら、ヒーターが大型化すれば、このような大型のヒーターを含んだ補修設備すべてを補修現場に持ち込み難い場合も多く、しかも、大型のヒーターを用いても、加熱空気供給ラインの途中での温度低下により、熱風放出機9に適度の温度の熱風を供給できるとは限らない。
【0006】
そこで本発明は、大型の設備を持ち込むことが困難な補修現場でもライニング材に適度な温度の熱風を吹き付けたり接触させたりすることができるライニング加熱装置及び地中管補修方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明のライニング加熱装置は、地中管内面を覆うように膨らんだ、未硬化の硬化性樹脂を含浸しているライニング材を加熱するライニング加熱装置であって、前記地中管内を走行するヒータ装置と、このヒータ装置に空気を送る空気供給装置と、を備え、前記ヒータ装置は、前記空気供給装置から送られた前記空気を加熱する空気加熱部と、前記空気加熱部で加熱された前記空気を前記ライニング材の中で放出する放出部と、を有しているものである。空気供給装置としてはヒータ装置に圧縮空気を送るコンプレッサを用いることができる。このような空気供給装置は地上に設置又は配置することができる。ここでは、空気を加熱する装置は、空気加熱部として、地中管内を走行するヒータ装置内に設けられている。したがって、空気加熱部は小型であるが、加熱空気を放出する直前で空気を加熱するため、放出する加熱空気の温度を適切にコントロールすることができる。
【0008】
放出部は、地中管の中心部又は上側部に配置されるように設けられたメインノズルと、地中管の下側に配置されるように設けられたサブノズルと、を有していることが好ましく、メインノズルは、加熱された空気を径方向に放射状に放出するように構成され、サブノズルは、加熱された空気を管路方向に放出するように構成されているのが効果的である。地中管の中心部(地中管の中心よりも多少上下左右にずれた位置も含む)又は上側部に配置されるように設けられたメインノズルは、例えば、加熱空気を径方向に放射状に放出するように構成され、ライニング材を全周にわたって加熱するように加熱空気を放出する。しかしながら、加熱空気は上昇しやすいので、ライニング材の上側が下側よりも強く熱せられる。そこで、ライニング材の下側も十分加熱できるように、地中管の下側に配置されるようにサブノズルを設けておく。サブノズルが、加熱された空気を管路方向に放出するように構成されていれば、高温の加熱空気がライニング材の一点に集中してあたってしまうのを防止できる。
【0009】
サブノズルは、空気加熱部を通過した加熱空気を加熱する補助加熱部を介して設けられ、空気加熱部で加熱され、かつ、補助加熱部で加熱された空気がサブノズルから放出されるように構成されているのが好ましい。メインノズルから放出された加熱空気によるライニング材の上側と下側との温度差は大きいが、補助加熱部でさらに空気を加熱して放出することにより、この温度差を是正することができる。
【0010】
サブノズルを、管路方向前方及び管路方向後方に一対配置し、補助加熱部を、サブノズルそれぞれに対応して一対設け、空気加熱部で加熱された空気を、一対の補助加熱部の間に供給し、それぞれの補助加熱部を通過してそれぞれのサブノズルから管路方向前方及び管路方向後方に放出するように構成すれば、高温の加熱空気でライニング材の下側のそれぞれの部分を長い時間加熱することができる。例えば、管路方向前方のサブノズルから加熱空気を管路方向前方に放出し、管路方向後方のサブノズルから加熱空気を管路方向後方に放出する。メインノズルを、管路方向前方及び管路方向後方に一対配置すれば、メインノズルによるライニング材のそれぞれの部分の加熱を長い時間行うことができる。
【0011】
また、この目的を達成するための本発明の地中管補修方法は、ホース状のライニング材で地中管内面をライニングして補修する地中管補修方法であって、未硬化の硬化性樹脂を含浸したホース状の前記ライニング材を準備する補修材準備工程と、供給された空気を加熱する空気加熱部と、この空気加熱部で加熱された前記空気を放出する放出部と、を備えた、前記地中管内を走行するヒータ装置を準備する補修装置準備工程と、準備した前記ライニング材を前記地中管内に通すとともに、前記ライニング材の端部に接続した収容部材内に、準備した前記ヒータ装置を配置するライニン準備工程と、前記ヒータ装置に空気供給装置から前記空気を供給し、供給された前記空気を前記空気加熱部で加熱することなく放出部から放出し、前記地中管内面を覆うように前記ライニング材を膨らませる拡径工程と、前記ライニング材を膨らませたままで、前記ヒータ装置を前記地中管内で走行させるとともに、前記ヒータ装置に前記空気供給装置から前記空気を供給し、供給された前記空気を前記空気加熱部で加熱して前記放出部から放出し、前記ライニング材の前記硬化性樹脂を硬化させる硬化工程と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、空気加熱セクションが地中管内を走行するので、大掛かりな補修設備を持ち込めないような補修現場でも、ライニング材を適切に加熱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る地中管補修方法を用いて補修する伏び管を示す図である。
図2】伏び管の補修に用いるライニング材を示す図である。
図3】伏び管の補修に用いるライニング加熱装置を示す図である。
図4】伏び管内にライニング材を通し、ライニング材の端部内にライニング加熱装置のヒータ装置を配置した状態を示す図である。
図5】伏び管内に引き込んだライニング材によって伏び管を補修する工程を説明する図であり、ライニング材の拡径工程を示す図である。
図6】伏び管内に引き込んだライニング材によって伏び管を補修する工程を説明する図であり、ライニング材の硬化工程を示す図である。
図7】伏び管内に引き込んだライニング材によって伏び管を補修する工程を説明する図であり、補修作業の完了を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明に係る地中管補修方法を用いて補修する伏び管を示す図、図2は伏び管の補修に用いるライニング材を示す図である。
【0016】
鉄道線路1は山間部に敷設されていて、この鉄道線路1の下側に、鉄道線路1と直交するように伏び管3が埋設されている。この伏び管3に亀裂などが生じていると、雨水などとともに鉄道線路1の下側の土砂がこの亀裂などから伏び管3内に流れ込み、鉄道線路1の下側に空洞が生じる可能性があるが、空洞が生じれば鉄道線路1の下側が陥没するおそれがあるので、まず伏び管3内を清掃し、カメラを用いて伏び管3内面を調査する。調査により亀裂などが発見されれば、ライニング材5を用いて伏び管3を補修することとなる。
【0017】
ライニング材5は、伏び管3よりも若干長い両端開口のホース状に形成されていて、未硬化の熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)を含浸した繊維層(例えばフェルト層)7の内外両側にプラスチック製フィルム(例えばポリエチレンフィルム)9、11を積層した構造を有している。
【0018】
図3は伏び管3の補修に用いるライニング加熱装置を示す図である。
【0019】
ライニング加熱装置13は、ヒータ装置15と、このヒータ装置15に圧縮空気を供給するエンジンコンプレッサ17と、ヒータ装置15に電力を供給する発電装置19と、を備えている。ヒータ装置15は、空気加熱部21と、この空気加熱部21で加熱された圧縮空気を放出する放出部23と、を備え、空気加熱部21は、前後一対のステンレス製保護環25と、この保護環25同士を連結する複数の連結シャフト27と、一対の保護環25の間で、保護環25の中心部に配置されたヒータ部29と、を有している。ヒータ部29は、一方の保護環25の中心部から他方の保護環25の中心部まで延びる筒状体31内に電熱線33を収容したもので、筒状体31の入り口には、エンジンコンプレッサ17から延びるエアホース35(ウレタンチューブ)が接続され、筒状体31の出口には、放出部23に延びる排気鋼管37が接続されている。また、電熱線33には、発電装置19から延びる電源コード39が接続されている。排気鋼管37の先端側は上下に分岐して上側ライン41及び下側ライン43を形成している。なお、図3中符号45は、それぞれの保護環25に支持部47を介して取り付けられた走行車輪であり、伏び管3(より具体的には膨らんだライニング材5)の下方寄りの両側内面上を走行するように設けられている。
【0020】
放出部23は、伏び管3の中心部(より具体的には伏び管3の中心よりもやや上側の中心部)に配置されるように設けられた前後一対のメインノズル49と、伏び管3(より具体的にはライニング材5)の底部51に近接し、この底部51に沿って前方及び後方に延びるように設けられた前後一対の放出パイプ53と、を備え、排気鋼管37の上側ライン41は前後一対のメインノズル49の間に接続され、排気鋼管37の下側ライン43は前後一対の放出パイプ53の間に接続されている。メインノズル49はそれぞれ、周方向に並んだ複数個の放出口55を有し、放出パイプ53はそれぞれ、基部側が電熱線57を収容して補助加熱部59を構成し、先端部がサブノズル61を形成している。電熱線57には発電装置19の電源コード39が接続されている。
【0021】
エンジンコンプレッサ17と、空気加熱部21の筒状体31の入り口とを接続するエアホース35には圧力調整器63と圧力ゲージ65とが接続されていて、供給されている圧縮空気の圧力を圧力ゲージ65で測定し、圧力調整器63で調整できるようになっている。また、発電装置19は、100Vの発電機67と、発電機67に接続された200V昇圧用変圧器69と、を備えている。なお、図3中符号71は、前側のメインノズル49及び後側の保護環23それぞれに接続されたロープ又はワイヤである。
【0022】
図4は伏び管3内にライニング材5を通し、ライニング材5の端部内にライニング材加熱装置13のヒータ装置15を配置した状態を示す図である。
【0023】
ライニング材5及びライニング加熱装置13又はヒータ装置15を準備したら(補修材準備工程及び補修装置準備工程)、ライニング材5の一端部を筒状の発進部材73の外周にバンド75で固定し、発進部材73の先端が伏び管3の端部と一致し、あるいは伏び管3の端部に近づくまで、他端部側から伏び管3内にライニング材5を引き込んで通す。そして、発進部材73内にヒータ装置15を収容し、発進部材73の後端部を発進用蓋77で閉塞する。発進用蓋77には、ホース口79、ロープ口81、コード口83及び温度記録口85が設けられているので、エアホース35、後側のロープ(ワイヤ)71、電源コード39がそれぞれ、ホース口79、ロープ口81、コード口83を通って外部に延びるようにしておく。ロープ口81から外部に延びるロープ(ワイヤ)71は後方のウインチ87に接続する。ここでは、エンジンコンプレッサ17や発電装置19は、ウィンチ87とともに伏び管3の外側に配置又は設置されている。また、温度記録口85に温度記録計89を接続し、伏び管3(より具体的にはライニング材5)の一端側の内部温度を記録するとともに、温度記録計89をライニング材5の一端側底部にも接続し、このライニング材5の一端側底部の温度を記録する。
【0024】
また、ライニング材5の他端部をエルボ管状の到達部材91の水平部93外周にバンド95で固定する。到達部材91の垂直部97の上端開口を閉塞する到達用蓋99には、ロープ口101及び温度記録口103が設けられているので、前側のロープ(ワイヤ)71がロープ口101を通って外部に延びるようにしておく。ロープ口101から外部に延びるロープ(ワイヤ)71は、伏び管3の外側に配置された前方のウインチ87に接続する(ライニング準備工程)。そして、温度記録口103に温度記録計105を接続し、伏び管3の他端側の内部温度を記録するとともに、温度記録計105をライニング材5の他端側底部に接続し、このライニング材5の他端側底部の温度を記録する。
【0025】
図5乃至図7は伏び管3内に引き込んだライニング材5によって伏び管3を補修する工程を説明する図である。
【0026】
まず、ヒータ装置15を発進部材73内に収容した状態で、エンジンコンプレッサ17を作動させ、エアホース35を介してヒータ部29内に圧縮空気を送り込む。このとき、発電装置19は作動させないでおく。ヒータ部29内に送り込まれた圧縮空気は、ヒータ部29で加熱されることなく、放出部23に送られる。放出部23に送られた圧縮空気は、メインノズル49の放出口55からライニング材5(より直接的には発信部材73)内に放出されるとともに、サブノズル61からも、補助加熱部59で加熱されることなく、ライニング材5(より直接的には発信部材73)内に放出される。放出部23から放出される圧縮空気によって、ライニング材5は、伏び管3の内面を覆うように又は伏び管3の内面に押し付けられるように膨らむ(図5参照、拡径工程)。
【0027】
ライニング材5が伏び管3の内面を覆うように又は伏び管3の内面に押し付けられるように膨らんだら、発電装置19を作動させ、ライニング材5内の圧力を維持しつつ、あるいはライニング材5内の圧力を制御しつつ、放出部23から放出される圧縮空気を空気加熱部21(ヒータ部29)及び補助加熱部59で加熱しておく。ライニング材5内の圧力の維持又は制御は、ライニング材5が伏び管3の内面を覆うように又は伏び管3の内面に押し付けられるように膨らんでから、一旦、ライニング材5内の排気を行い、その後、加熱圧縮空気の供給によりライニング材5内を徐々に昇圧したり、加熱圧縮空気の供給に対応してライニング材5内を排気するなどして行われる。ライニング材5内の排気は、例えば到達用蓋99に接続したバルブ付排気管(図示せず)を介して行われる。そして、ロープ71をウィンチ87で巻き取ったりウィンチ87から繰り出したりして、ヒータ装置15を伏び管3(ライニング材5)内で管路方向に走行させ、到達部材91まで移動させる。このヒータ装置15の移動過程で、空気加熱部21(ヒータ部29)で加熱された圧縮空気がメインノズル49の放出口55から放射状に放出されて、ライニング材5の内面を全周にわたって加熱する。また、空気加熱部21での加熱に加えて補助加熱部59で加熱された圧縮空気が、サブノズル61から、ライニング材5の底部51に沿って管路方向前方及び後方に放出され、ライニング材5の底部51側が十分加熱される。このように、ライニング材5は全体的にムラ無く加熱されて硬化し、しわや波打ちの無いライニング層を形成することとなる(図6参照、硬化工程)。
【0028】
ヒータ装置15が到達部材91の水平部93に到達し、ライニング材5が一様に硬化したら、発電装置19を停止させ、加熱されていない圧縮空気をライニング材5内に供給してライニング材5を冷却する。ここでも、圧縮空気の供給に対応してライニング材5内の排気を行う。また、ライニング材5の冷却は、ヒータ装置15を伏び管3内で走行させて行うこともできる。ライニング材5の冷却が完了したら、エンジンコンプレッサ17を停止させ、発進部材73及び到達部材91をヒータ装置15とともにライニング材5から取り外し、ライニング材5の端部処理を行って伏び管3の補修を完了する(図7参照)。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、例えば、大掛かりな設備を持ち込むことが困難な補修現場での地中管の補修作業に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
3 伏び管(地中管)
5 ライニング材
13 ライニング加熱装置
15 ヒータ装置
17 エンジンコンプレッサ(空気供給装置)
21 空気加熱部
23 放出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7