(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993607
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】室内照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/02 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
B60Q3/02 C
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-104010(P2012-104010)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230770(P2013-230770A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】吉田 耕輔
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−011729(JP,A)
【文献】
特開2010−184648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジングに形成された開口部から前記ハウジング内に収容される光源と、
前記ハウジングの前記開口部から前記ハウジング内に導かれて前記光源に給電する電線と、
前記ハウジングの前記開口部を覆うカバーと、
を備えた室内照明装置であって、
前記カバーを前記ハウジングへ装着することで、前記ハウジングと前記カバーとの間に、前記電線を異なる位置で同一方向へ引き出し可能な複数の挿通孔が形成され、
前記カバーは、前記ハウジングに対して上下反転して装着可能とされ、前記カバーには、中央から外れた位置に、リブが形成され、該リブには、前記電線が挿通されるコルゲートチューブがテープ巻きして固定されることを特徴とする室内照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井などに取り付けられて室内を照明する室内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の天井には、室内を照明するための室内照明装置が取り付けられる(特許文献1,2参照)。
【0003】
図9に示すように、室内照明装置1は、バルブ2が取り付けられるハウジング3と、ハウジング3に組み付けられるカバー4と、ハウジング3内のバスバに接続された電線5とを有しており、電線5は、ハウジング3とカバー4との隙間から外部に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−208432号公報
【特許文献2】特表2008−517832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような室内照明装置1では、ハウジング3とカバー4との隙間から電線5が側方へ引き出されている。このように、限られた方向へ電線が引き出される室内照明装置1を天井等へ取り付ける際には、
図10(a)に示すように、車両側の部品6と電線5とが干渉する場合がある。このような場合、
図10(b)に示すように、車両側の部品6と電線5との干渉を避けるために、取り付け位置を変更しなければならなくなる。
【0006】
つまり、電線5の引き出し位置が限定された室内照明装置1では、周辺部品等に合わせて配置しなければならず、取り付け位置が制限されてしまう。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い自由度で取り付けることが可能な室内照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る室内照明装置は、下記
(1)を特徴としている。
(1) ハウジングと、
該ハウジングに形成された開口部から前記ハウジング内に収容される光源と、
前記ハウジングの前記開口部から前記ハウジング内に導かれて前記光源に給電する電線と、
前記ハウジングの前記開口部を覆うカバーと、
を備えた室内照明装置であって、
前記カバーを前記ハウジングへ装着することで、前記ハウジングと前記カバーとの間に、前記電線を異なる位置で同一方向へ引き出し可能な複数の挿通孔が形成され、
前記カバーは、前記ハウジングに対して上下反転して装着可能とされ、前記カバーには、中央から外れた位置に、リブが形成され、該リブには、前記電線が挿通されるコルゲートチューブがテープ巻きして固定されること。
【0009】
上記(1)の構成の室内照明装置では、異なる位置に設けられる複数の挿通孔から選択的に電線を同じ向きへ引き出すことができる。これにより、車両の天井等に取り付ける際に、電線が車両側の部品と干渉するようなことがあっても、他の挿通孔から電線を引き出すことで、取り付け位置を変更することなく車両側の部品と電線との干渉を避けることができる。つまり、取り付け位置の自由度を大幅に向上させることができる。
また、上記(1)の構成の室内照明装置では、電線を保護するコルゲートチューブをカバーのリブにテープ巻きすることで、このコルゲートチューブを容易にカバーへ固定することができる。また、カバーを上下反転させてハウジングへ装着することでコルゲートチューブを固定するリブの位置も容易に変更することができる。これにより、取り付け位置の自由度をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い自由度で取り付けることが可能な室内照明装置を提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る室内照明装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る室内照明装置の外観を示す後方側から視た斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る室内照明装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る室内照明装置の平面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る室内照明装置のハウジングからカバーを取り外した状態における後方側から視た斜視図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、カバーの形状を示す図であって、
図7(a)はカバーの正面図、
図7(b)はカバーの平面図である。
【
図8】
図8は、向きを変えてカバーを取り付けた状態の室内照明装置の後方側から視た斜視図である。
【
図9】
図9は、室内照明装置の従来例を説明する斜視図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、従来の室内照明装置における課題を説明する図であって、
図10(a)及び
図10(b)は、それぞれ室内照明装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る室内照明装置の外観を示す斜視図、
図2は、本実施形態に係る室内照明装置の外観を示す後方側から視た斜視図、
図3は、本実施形態に係る室内照明装置の分解斜視図、
図4は、本実施形態に係る室内照明装置の平面図、
図5は、
図4におけるA−A断面図、
図6は、本実施形態に係る室内照明装置のハウジングからカバーを取り外した状態における後方側から視た斜視図、
図7(a)及び
図7(b)は、カバーの形状を示す図であって、
図7(a)はカバーの正面図、
図7(b)はカバーの平面図、
図8は、向きを変えてカバーを取り付けた状態の室内照明装置の後方側から視た斜視図である。
【0015】
図1から
図5に示すように、本実施形態に係る室内照明装置11は、ハウジング12、回路基板13、ホルダ14及びカバー15を備えている。ハウジング12は、透光性を有する樹脂材料から形成されたもので、その後端部には、開口部21が形成されている。
【0016】
回路基板13には、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の光源22が実装されており、この光源22が発光すると、この光源22の光がハウジング12から照射されて車両の室内が照明される。
【0017】
回路基板13は、プラスチック等の合成樹脂から形成されたホルダ14に固定されている。そして、ハウジング12の開口部21から回路基板13を挿し込み、ホルダ14をハウジング12の開口部21に組み付けることで、ハウジング12内に光源22を備えた回路基板13が配置される。
【0018】
回路基板13には、複数本の電線31が半田付け等によって接続されており、この電線31から光源22へ給電される。これらの電線31は、ホルダ14に保持され、ハウジング12の開口部21から後方側へ引き出されている。
【0019】
また、ハウジング12には、その後端側の開口部21に、カバー15が装着されている。このカバー15は、プラスチック等の合成樹脂から形成されたもので、このカバー15を開口部21へ装着することで、回路基板13が固定されたホルダ14及び電線31がハウジング12に固定され、また、ハウジング12の開口部21が閉鎖される。
【0020】
図6、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、カバー15は、開口部21を覆う板状部41と、この板状部41の両端部に形成された係止片部42とを有している。これらの係止片部42は、ハウジング12への装着方向へ向かって延在されており、それぞれ係止孔43が形成されている。ハウジング12の後端側における両側面には、係止爪44が形成されており、これらの係止爪44は、係止片部42の係止孔43に係合する。これにより、カバー15がハウジング12に取り付けられる。
【0021】
また、カバー15には、板状部41の中央部分における上下に、凸部45が形成されている。そして、板状部41は、それぞれの凸部45の両側が切欠き部46とされている。
【0022】
また、ハウジング12の開口部21には、中央部分における上部に、係合凹部47が形成されており、この係合凹部47には、開口部21に装着されるカバー15の上方側の凸部45が嵌め込まれる。
【0023】
そして、カバー15をハウジング12に取り付けると、開口部21の下方側では、ハウジング12の開口部21とカバー15の切欠き部46との間に、カバー15の凸部45で仕切られた2つの細長い挿通孔50が左右に形成される。これらの挿通孔50は、電線31の径よりも僅かに広い幅寸法を有しており、これらの挿通孔50では、電線31が並列に挿通可能とされている。これらの挿通孔50のうちの一つには、電線31が挿通されており、この挿通孔50から引き出された電線31は、コルゲートチューブ51に通され、このコルゲートチューブ51によって保護されている。コルゲートチューブ51は、合成樹脂から形成されたもので、周方向に形成された凹凸が長手方向にわたって設けられて容易に屈曲可能とされている。
【0024】
また、カバー15の板状部41には、ハウジング12への装着側と反対側にリブ48が形成されている。このリブ48は、板状部41の長さ方向の中央から一方側へずれた位置に形成されている。
【0025】
このリブ48には、コルゲートチューブ51の端部が沿わされており、このコルゲートチューブ51とリブ48とをテープ巻きすることで、コルゲートチューブ51の端部がカバー15に固定される。
【0026】
このカバー15は、リブ48を除いた部分が左右及び上下で対称形状とされている。したがって、このカバー15は、上下を反転させてハウジング12の開口部21へ装着可能とされている。
【0027】
上記構造の室内照明装置11は、ハウジング12にカバー15を装着することで異なる位置に形成される複数の挿通孔50から電線31を同一方向へ引き出し可能とされている。
【0028】
したがって、この室内照明装置11を車両の天井等に取り付ける際に、電線31が車両側の部品と干渉するようなことがあっても、他の挿通孔50から電線31を引き出すことで、車両側の部品との干渉を極めて容易に回避することができる。
【0029】
また、
図8に示すように、カバー15を180°回動させることで上下を反転させてハウジング12へ取り付ければ、リブ48の位置を左右反対側に配置させることができる。これにより、コルゲートチューブ51の固定位置も容易に変更することができる。
【0030】
このように、上記実施形態に係る室内照明装置11によれば、異なる位置に設けられる複数の挿通孔50から選択的に電線31を同一方向へ引き出すことができる。これにより、車両の天井等に取り付ける際に、電線31が車両側の部品と干渉するようなことがあっても、他の挿通孔50から電線31を引き出すことで、取り付け位置を変更することなく車両側の部品と電線31との干渉を避けることができる。つまり、取り付け位置の自由度を大幅に向上させることができる。
【0031】
また、電線31を保護するコルゲートチューブ51をカバー15のリブ48にテープ巻きすることで、このコルゲートチューブ51を容易にカバー15へ固定することができる。しかも、カバー15を上下反転させてハウジング12へ装着することでコルゲートチューブ51を固定するリブ48の位置も容易に変更することができる。これにより、取り付け位置の自由度をさらに向上させることができる。
【0032】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0033】
11 室内照明装置
12 ハウジング
15 カバー
21 開口部
22 光源
31 電線
48 リブ
50 挿通孔
51 コルゲートチューブ