特許第5993634号(P5993634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5993634-シート剥離装置およびシート剥離方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993634
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】シート剥離装置およびシート剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-147585(P2012-147585)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-11354(P2014-11354A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−142245(JP,A)
【文献】 特開昭57−098449(JP,A)
【文献】 米国特許第05388387(US,A)
【文献】 特開2010−118442(JP,A)
【文献】 特開昭63−074871(JP,A)
【文献】 特開2008−103608(JP,A)
【文献】 特開2011−077238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に接着面が表出した剥離用テープを被着体に貼付された接着シートに貼付して当該剥離用テープに張力を付与することにより前記被着体から前記接着シートを剥離するシート剥離装置であって、
第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの少なくとも一方を繰り出す繰出手段と、
前記第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの一方の終端領域に他方の先端領域を当接させて当該当接部分を繋ぎ部分として繋ぎ合わせる繋ぎ手段と、
前記第1剥離用テープまたは第2剥離用テープの接着面を前記接着シートに貼付する貼付手段と、
前記接着シートに貼付された剥離用テープと前記被着体とを相対移動させて当該剥離用テープに張力を付与する移動手段とを備え、
前記繋ぎ手段は、気体を吹き付けることにより、前記一方の剥離用テープの終端領域に、前記他方の剥離用テープの先端領域を繋ぎ合わせる気体吹き付け手段と、前記一方の剥離用テープにおける前記繋ぎ部分よりも終端側および前記他方の剥離用テープにおける前記繋ぎ部分よりも先端側を除去する除去手段とを備え、
前記除去手段は、前記第1剥離用テープにおける前記繋ぎ部分を間に挟む第1切断位置および第2切断位置と、前記第2剥離用テープにおける前記繋ぎ部分を間に挟む第3切断位置および第4切断位置とを個別に切断可能に構成されていることを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
前記第1剥離用テープと前記第2剥離用テープとが重なり合う部分を検出可能な検出手段を備え、
前記繰出手段は、前記重なり合う部分が前記接着シートに貼付される位置まで繰り出されたことが前記検出手段で検出されると、前記重なり合う部分を破棄して前記他方の剥離用テープを前記接着シートに貼付される位置まで繰出可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート剥離装置。
【請求項3】
一方の面に接着面が表出した剥離用テープを被着体に貼付された接着シートに貼付して当該剥離用テープに張力を付与することにより前記被着体から前記接着シートを剥離するシート剥離方法であって、
第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの少なくとも一方を繰り出す工程と、
前記第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの一方の終端領域に他方の先端領域を繋ぎ合わせるときに、気体を吹き付けることによりそれらを当接させて当該当接部分を繋ぎ部分として繋ぎ合せる工程と、
前記第1剥離用テープまたは第2剥離用テープの接着面を前記接着シートに貼付する工程と、
前記接着シートに貼付された剥離用テープと前記被着体とを相対移動させて当該剥離用テープに張力を付与する工程とを有し、
前記繋ぎ合わせる工程は、前記第1剥離用テープの終端領域に前記第2剥離用テープの先端領域を繋ぎ合わせる場合、前記第1剥離用テープの終端領域における繋ぎ部分よりも終端側と、前記第2剥離用テープの先端領域における繋ぎ部分よりも先端側とを切断して除去し、前記第2剥離用テープの終端領域に前記第1剥離用テープの先端領域を繋ぎ合わせる場合、前記第2剥離用テープの終端領域における繋ぎ部分よりも終端側と、前記第1剥離用テープの先端領域における繋ぎ部分よりも先端側とを切断して除去することを特徴とするシート剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に貼付された接着シートを剥離するシート剥離装置およびシート剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、半導体チップを小型化するために半導体ウェハ(以下単にウェハという場合がある)の表面(回路が形成された面)に接着シートを貼付し、裏面を研削する工程があり、この接着シートは切削後剥離される。このような接着シートの剥離装置としては、接着シートの端部に接着した剥離用テープを引っ張って剥離するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されたような従来の剥離装置では、剥離用テープがなくなり、新たな剥離用テープに交換するときに、使い終わった剥離用テープの巻芯等の残物を取り外して新たな剥離用テープを取り付け、この新たな剥離用テープを再度装置内に掛け回さなければならない。そして、このようなテープ交換作業を行う間は、剥離装置の操業を停止しておかなければならないので、当該剥離装置が接着シートを剥離する単位時間当たりの能力が低減してしまうという不都合がある。
そこで、例えば特許文献2に記載のロールラベルの自動つなぎ装置を利用し、剥離用テープを繋ぎ合わせることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−16862号公報
【特許文献2】特開平3−102057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2に記載のような自動つなぎ装置では、一方の面に接着面が表出した剥離用テープを繋ぎ合せる場合、2枚の剥離用テープに当接して繋ぎ合せる当接体に接着面が接着してしまい、それら剥離用テープを適切に繋ぎ合わせことが困難になるという不都合を生じる。
本発明の目的は、一方の面に接着面が表出した剥離用テープであっても適切に繋ぎ合わせることができるシート剥離装置およびシート剥離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明のシート剥離装置は、一方の面に接着面が表出した剥離用テープを被着体に貼付された接着シートに貼付して当該剥離用テープに張力を付与することにより前記被着体から前記接着シートを剥離するシート剥離装置であって、第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの少なくとも一方を繰り出す繰出手段と、前記第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの一方の終端領域に他方の先端領域を当接させて当該当接部分を繋ぎ部分として繋ぎ合わせる繋ぎ手段と、前記第1剥離用テープまたは第2剥離用テープの接着面を前記接着シートに貼付する貼付手段と、前記接着シートに貼付された剥離用テープと前記被着体とを相対移動させて当該剥離用テープに張力を付与する移動手段とを備え、前記繋ぎ手段は、気体を吹き付けることにより、前記一方の剥離用テープの終端領域に、前記他方の剥離用テープの先端領域を繋ぎ合わせる気体吹き付け手段と、前記一方の剥離用テープにおける前記繋ぎ部分よりも終端側および前記他方の剥離用テープにおける前記繋ぎ部分よりも先端側を除去する除去手段とを備え、前記除去手段は、前記第1剥離用テープにおける前記繋ぎ部分を間に挟む第1切断位置および第2切断位置と、前記第2剥離用テープにおける前記繋ぎ部分を間に挟む第3切断位置および第4切断位置とを個別に切断可能に構成されている、という構成を採用している。
【0006】
この際、本発明のシート剥離装置では、前記第1剥離用テープと前記第2剥離用テープとが重なり合う部分を検出可能な検出手段を備え、前記繰出手段は、前記重なり合う部分が前記接着シートに貼付される位置まで繰り出されたことが前記検出手段で検出されると、前記重なり合う部分を破棄して前記他方の剥離用テープを前記接着シートに貼付される位置まで繰出可能に構成されている、ことが好ましい。
【0007】
一方、本発明のシート剥離方法は、一方の面に接着面が表出した剥離用テープを被着体に貼付された接着シートに貼付して当該剥離用テープに張力を付与することにより前記被着体から前記接着シートを剥離するシート剥離方法であって、第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの少なくとも一方を繰り出す工程と、前記第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの一方の終端領域に他方の先端領域を繋ぎ合わせるときに、気体を吹き付けることによりそれらを当接させて当該当接部分を繋ぎ部分として繋ぎ合せる工程と、前記第1剥離用テープまたは第2剥離用テープの接着面を前記接着シートに貼付する工程と、前記接着シートに貼付された剥離用テープと前記被着体とを相対移動させて当該剥離用テープに張力を付与する工程とを有し、前記繋ぎ合わせる工程は、前記第1剥離用テープの終端領域に前記第2剥離用テープの先端領域を繋ぎ合わせる場合、前記第1剥離用テープの終端領域における繋ぎ部分よりも終端側と、前記第2剥離用テープの先端領域における繋ぎ部分よりも先端側とを切断して除去し、前記第2剥離用テープの終端領域に前記第1剥離用テープの先端領域を繋ぎ合わせる場合、前記第2剥離用テープの終端領域における繋ぎ部分よりも終端側と、前記第1剥離用テープの先端領域における繋ぎ部分よりも先端側とを切断して除去する、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0008】
以上のような本発明によれば、気体を吹き付けることにより、第1剥離用テープおよび第2剥離用テープの一方の終端領域に、他方の先端領域を繋ぎ合わせる気体吹き付け手段を設けたので、一方の面に接着面が表出した剥離用テープであっても、第1剥離用テープまたは第2剥離用テープの接着剤層が接触体に接着してしまうという不都合を防止し、それらを適切に繋ぎ合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るシート剥離装置を示す側面図。
図2】(A),(B)は、図1のシート剥離装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るシート剥離装置を図1および図2に基づいて説明する。
なお、本実施形態において基準となる図を挙げることなく、例えば、上、下、左、右、または、手前、奥といった方向を示した場合は、全て図1を正規の方向(付した番号が適切な向きとなる方向)から見た場合を基準とし、上、下、左、右方向が紙面に平行な方向であり、前が紙面に直交する手前方向、後が紙面に直交する奥方向とする。
【0012】
[シート剥離装置の構成]
図1において、シート剥離装置1は、一方の面に接着面が表出した剥離用テープPT(PT1,PT2)を被着体としてのウェハWFの表面に貼付された接着シートASに貼付して当該剥離用テープPTに張力を付与することによりウェハWFの表面から接着シートASを剥離する装置であって、ウェハWFを保持する保持手段2と、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の少なくとも一方を繰り出す繰出手段3と、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の一方の終端領域に、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の他方の先端領域を当接させて繋ぎ合わせる繋ぎ手段6と、第1剥離用テープPT1または第2剥離用テープPT2の接着面を接着シートASに貼付する貼付手段4と、接着シートASに貼付された剥離用テープPTとウェハWFとを相対移動させて剥離用テープPTに張力を付与する移動手段5と、を備えて構成されている。
【0013】
保持手段2は、図示しない減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段に連通された吸引口を介してウェハWFを他方の面(下面)から吸着保持するテーブル21を備え、移動手段5を構成する駆動機器である直動モータ53のスライダ54上に支持されている。
【0014】
繰出手段3は、フレーム30と、フレーム30に設けられ第1剥離用テープPT1を繰り出し可能に支持する第1支持ローラ31Aと、フレーム30に設けられ第2剥離用テープPT2を繰り出し可能に支持する第2支持ローラ31Bと、フレーム30に設けられたガイドローラ32A,32B,32C,32D,32Eと、投光器331Aおよび受光器332A等の光学センサやカメラ等の撮像手段等で構成され、第1剥離用テープPT1の残量が少なくなったことを検出可能な第1検出手段33Aと、投光器331Bおよび受光器332B等の光学センサやカメラ等の撮像手段等で構成され、第2剥離用テープPT2の残量が少なくなったことを検出可能な第2検出手段33Bと、フレーム30の下部に設けられ繰り出された剥離用テープPT(PT1,PT2)の先端領域を下方から支持するテープ支持部34と、剥離用テープPTの先端部分を一対の把持爪35Aで把持する駆動機器としてのチャックシリンダ35と、チャックシリンダ35をそのスライダ35Bで支持する駆動機器である直動モータ35Cと、テープ支持部34の上方に設けられて、繰り出された剥離用テープPTを切断するテープ切断部36と、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の一方の終端領域に、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の他方の先端領域を繋ぎ合わせる繋ぎ手段6とを備えている。なお、第1および第2剥離用テープPT1,PT2は、第1および第2基材テープBT1,BT2の一方の面に、それぞれ感熱接着性の第1および第2接着剤層AD1,AD2が積層され、当該第1および第2接着剤層AD1,AD2における表出面が接着面とされる。
【0015】
テープ支持部34は、フレーム30に固定されるブッシュ341と、このブッシュ341に進退自在に支持されるロッド342と、このロッド342の先端に固定されるとともにカッター溝343を有するテープ受け板344と、テープ受け板344をブッシュ341から突出する方向に付勢するコイルばね345とを有して構成されている。
テープ切断部36は、剥離用テープPTを切断するカッター刃361と、カッター刃361を上下方向に駆動させる駆動機器であるエアシリンダ362とを備えている。
【0016】
繋ぎ手段6は、駆動機器である直動モータ611および当該直動モータ611のスライダ612に設けられた一対のチャック613で第1剥離用テープPT1の先端部を把持する第1把持部61と、駆動機器である直動モータ621および当該直動モータ621のスライダ622に設けられた一対のチャック623で第2剥離用テープPT2の先端部を把持する第2把持部62と、気体として熱風を吹き付けることにより、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の一方の終端領域に、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の他方の先端領域を繋ぎ合わせる気体吹き付け手段63と、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の一方の終端領域における繋ぎ合わされた部分よりも終端側、または、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の他方の先端領域における繋ぎ合わされた部分よりも先端側を除去する除去手段64とを備えている。
【0017】
気体吹き付け手段63は、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2を間に挟んで対向配置され、ファンモータや加圧ポンプ等の送風手段から送られる気体をコイルヒータや赤外線ヒータ等の加熱手段で加熱して熱風を造る図示しない熱風送風手段と、当該熱風送風手段からの熱風を対向方向にそれぞれ吹き出す一対の第1熱風ノズル63Aおよび第2熱風ノズル63Bを備えている。
【0018】
除去手段64は、第1熱風ノズル63Aの左右両側に設けられた駆動機器としての直動モータ641A,642Aの各出力軸641B,642Bにそれぞれ支持された第1、第2切断刃641C,642Cを備えた第1、第2除去手段641,642と、第2熱風ノズル63Bの左右両側に設けられた駆動機器としての直動モータ643A,644Aの各出力軸643B,644Bにそれぞれ支持された第3、第4切断刃643C,644Cを備えた第3、第4除去手段643,644と、第1切断刃641Cを受け入れる第1溝645Aおよび第3切断刃643Cを受け入れる第3溝645Bを備えた第1受け板645と、第2切断刃642Cを受け入れる第2溝646Aおよび第4切断刃644Cを受け入れる第4溝646Bを備えた第2受け板646とを備えている。
【0019】
貼付手段4は、駆動機器である直動モータ41の出力軸42の下端部に設けられた押圧ヘッド43と、この押圧ヘッド43下端の押圧面部44を加熱するコイルヒータや赤外線ヒータ等の加熱手段45とを備えている。
【0020】
[シート剥離装置の動作]
次に、本実施形態における接着シートASの剥離方法として、シート剥離装置1の動作について図面を参照して説明する。
先ず、図1に示すように、第1剥離用テープPT1を第1支持ローラ31Aに支持させ、当該第1剥離用テープPT1を引き出してガイドローラ32A,32C,32D,32Eに掛け渡し、その先端領域をテープ受け板344上に位置させておく。一方、第2剥離用テープPT2を第2支持ローラ31Bに支持させ、当該第2剥離用テープPT2を引き出てガイドローラ32Bに掛け渡し、その先端領域を第2把持部62に把持させておく。そして、図示しない搬送手段がウェハWFをテーブル21上の所定位置に搬送すると、保持手段2が図示しない減圧手段を駆動し、吸引口を介してウェハWFをテーブル21に吸着保持する。
そして、移動手段5が直動モータ53を駆動し、ウェハWFに貼付された接着シートASの左端を押圧面部44の左端の直下に位置させると、繰出手段3が直動モータ35Cを駆動し、下方に位置する把持爪35Aでテープ受け板344をブッシュ341方向に押し込み、第1剥離用テープPT1の先端領域を上下の把持爪35A間に受け入れる。次いで、繰出手段3がチャックシリンダ35を駆動し、第1剥離用テープPT1の先端領域を把持爪35Aで挟持し、直動モータ35Cを駆動し、チャックシリンダ35を左方向に移動させ、第1剥離用テープPT1を所定長さ引き出して停止する。
【0021】
次に、貼付手段4が直動モータ41を駆動し、図1中二転鎖線で示すように、押圧ヘッド43を下降させて押圧面部44で第1剥離用テープPT1を接着シートASに押圧し、加熱手段45を駆動し、押圧面部44を加熱して第1剥離用テープPT1を接着シートASに貼付する。次いで、繰出手段3がエアシリンダ362を駆動し、カッター刃361をカッター溝343内に下降させることで第1剥離用テープPT1を切断する。その後、貼付手段4が直動モータ41を駆動し、押圧ヘッド43を上昇させ、繰出手段3がエアシリンダ362を駆動し、カッター刃361を上昇させる。
【0022】
次に、移動手段5が直動モータ53を駆動し、テーブル21を左方向に移動させることで、接着シートASは順次ウェハWFから剥離され、接着シートAS全体が剥離されたウェハWFは、適宜な搬送装置でテーブル21から別の工程に搬送される。ウェハWFから剥離された接着シートASは、図示しない回収手段によってチャックシリンダ35から離脱させて回収され、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0023】
上述の動作が繰り返され、図2(A)に示すように、第1剥離用テープPT1の残量が少なくなり、受光器332Aが投光器331Aの光を受光すると、気体吹き付け手段63が図示しない熱風送風手段を駆動し、当該熱風送風手段からの熱風を第1熱風ノズル63Aおよび第2熱風ノズル63Bから吹き出し、第1剥離用テープPT1の終端領域と第2剥離用テープPT2の先端領域とを挟み込んで繋ぎ合わせる。ここで、第1熱風ノズル63Aおよび第2熱風ノズル63Bからの熱風で挟み込まれて貼付された位置を繋ぎ部分PTXという。
そして、除去手段64が直動モータ641Aを駆動し、第1切断刃641Cを第1溝645A内に下降させ、第1剥離用テープPT1における繋ぎ部分PTXよりも終端側を切断除去し、直動モータ644Aを駆動し、第4切断刃644Cを第4溝646B内に上昇させ、第2剥離用テープPT2における繋ぎ部分PTXよりも先端側を切断除去する。
これにより、第1剥離用テープPT1に繋がる第2剥離用テープPT2が順次繰り出され、第1剥離用テープPT1と同様の第2剥離用テープPT2による接着シートASの剥離が継続される。なお、第2剥離用テープPT2によって剥離が行われている間に、作業者が第1支持ローラ31Aに残った第1剥離用テープPT1の紙管などの残物を取り除き、新たな第1剥離用テープPT1を第1支持ローラ31Aに支持させ、図2(B)に示すように、当該新たな第1剥離用テープPT1を引き出し、その先端領域を第1把持部61に把持させておく。
【0024】
さらに、第2剥離用テープPT2による接着シートASの剥離動作が繰り返され、図2(B)に示すように、第2剥離用テープPT2の残量が少なくなり、受光器332Bが投光器331Bの光を受光すると、上述と同様にして、第2剥離用テープPT2の終端領域と第1剥離用テープPT1の先端領域とを挟み込んで繋ぎ合わせる。
そして、除去手段64が直動モータ643Aを駆動し、第3切断刃643Cを第3溝645B内に上昇させ、第2剥離用テープPT2における繋ぎ部分PTXよりも後端側を切断除去し、直動モータ642Aを駆動し、第2切断刃642Cを第2溝646A内に下降させ、第1剥離用テープPT1における繋ぎ部分PTXよりも先端側を切断除去する。
これにより、第2剥離用テープPT2に繋がる第1剥離用テープPT1が順次繰り出され、上記同様の接着シートASの剥離が継続される。
なお、図2(A),(B)で示すように、繋ぎ部分PTXで第1剥離用テープPT1と第2剥離用テープPT2とが2層に重なり合う部分が貼付手段4にて接着シートASに貼付される位置まで繰り出された場合には、この部分は貼付手段4にて貼付させる動作を実施せず、テープ切断部36にて切断して廃棄し、チャックシリンダ35により新たに剥離用テープPTを把持して引き出す。これら重なり合う部分の検出は、光学センサや撮像手段等の検出手段にて検出したり、剥離用テープPTの繰り出し量にて検出したりすることができる。
【0025】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、熱風を吹き付けることにより、第1剥離用テープPT1および第2剥離用テープPT2の一方の終端領域に、他方の先端領域を繋ぎ合わせる気体吹き付け手段63を設けたので、一方の面に接着面が表出した剥離用テープPT(PT1,PT2)であっても、第1剥離用テープPT1または第2剥離用テープPT2の接着剤層AD1、AD2が接触体に接着してしまうという不都合を防止し、それらを適切に繋ぎ合わせることができる。
【0026】
[変形例]
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0027】
例えば、前記実施形態では、被着体が半導体ウェハWFである場合を示したが、被着体は半導体ウェハWFに限定されるものではなく、ガラス板、鋼板、または、樹脂板、基板、光ディスク等、その他の被着体も対象とすることができ、半導体ウェハWFは、シリコンウェハや化合物ウェハ等が例示でき、この被着体に貼付された接着シート(シート、フィルム、テープ等)を剥離する剥離装置や剥離方法にも本発明を適用することができる。
さらに、前記実施形態では、剥離用テープPTとして感熱接着性のものを用いたが、これに限らず、感圧接着性や感光接着性等のものを用いてもよい。なお、剥離用テープPTが感圧接着性や感光接着性の場合には、貼付手段4も対応して加圧する構成や光を照射して貼付する従来公知の構成を適用すればよい。
また、剥離用テープPTは、例えば、基材テープBTと接着剤層ADとの間に中間層を有するものや、基材テープBT上に更に別の層を有するものでもよいし、基材テープBTのない接着剤層ADのみで構成されたものでもよい。
さらに、接着シートASは、適宜なシート、フィルム、テープ等であってもよい。
【0028】
また、ウェハWFと剥離用テープPTとの両方を移動させて相対移動させたり、ウェハWFを停止させておいて剥離用テープPTを移動させたりする構成としてもよい。
そして、剥離用テープPTの終端領域を検出する第1検出手段33Aおよび第2検出手段33Bとしては、例えば剥離用テープPTの終端領域に設けた色や磁気を検出したり、剥離用テープPTの巻芯の回転数をカウントして剥離用テープPTの繰り出し量を検出することで終端領域を検出したりする等、既知の方法を適用できる。
【0029】
さらに、気体吹き付け手段から熱風を吹き付けて説明したが、単に空気を吹き付ける構成としてもよい。
また、剥離用テープPTが紫外線、赤外線、マイクロ波、超音波等のエネルギー線で接着力を増す(発揮する)ものの場合、加熱手段に代えて、紫外線照射装置、赤外線照射装置、マイクロ波照射装置、超音波照射装置等のエネルギー線照射装置としてもよいし、それらを適宜組み合わせたものとしてもよいし、予めエネルギー線照射装置でエネルギー線を照射しておいて接着剤層ADが接着力を増した状態で、気体を吹き付けてそれらを繋ぎ合せてもよい。
また、第1把持部61および第2把持部62を設けたが、第1剥離用テープPT1または第2剥離用テープPT2の端部を保持する構成としては、従来公知のいずれの構成を利用できる。
さらに、除去手段64を設けず、例えば繋ぎ部分PTXの位置が繰り出された際に、貼付手段4にて貼付することなくテープ切断部36にて切断して除去する等してもよい。
また、上記実施形態における第1熱風ノズル63Aは設ける必要はなく、当該第1熱風ノズル63Aに代えて例えば板状部材やローラ等の受圧部材としてもよい。
さらに、上記実施形態における第2熱風ノズル63Bに代えて接着剤層ADが接着しない非接着処理が施された板状部材やローラ等の受圧部材を採用し、第1熱風ノズル63Aから気体吹き付ける構成としてもよい。
【0030】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的または間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0031】
1 シート剥離装置
3 繰出手段
4 貼付手段
5 移動手段
6 繋ぎ手段
63 気体吹き付け手段
64 除去手段
AS 接着シート
PT 剥離用テープ
PT1 第1剥離用テープ
PT2 第2剥離用テープ
WF 半導体ウェハ(被着体)
図1
図2