特許第5993669号(P5993669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5993669空気圧維持ポンピング組立体およびタイヤ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993669
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】空気圧維持ポンピング組立体およびタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/12 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   B60C23/12
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-197070(P2012-197070)
(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公開番号】特開2013-56664(P2013-56664A)
(43)【公開日】2013年3月28日
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】13/227,532
(32)【優先日】2011年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002976
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス イグナチオ デルガド
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー デイヴィッド ディルランド
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−537386(JP,A)
【文献】 米国特許第03304981(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 5/00
19/00
23/10
23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ組立体において、
空気圧キャビティを有するタイヤと、
それぞれ、第1および第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域まで延びる第1および第2のサイドウォールであって、第1のサイドウォールが、半径方向において回転するタイヤ踏面内に位置するときに動作可能に屈曲する少なくとも1つの屈曲領域を有する、第1および第2のサイドウォールと、
前記第1のサイドウォールの前記屈曲領域内に位置するグルーブ側壁によって画定され、非変形状態と、前記回転するタイヤ踏面内での半径方向への前記第1のサイドウォールの前記屈曲領域の屈曲に応じて変形し収縮した状態とに、セグメントごとに変形するサイドウォールグルーブと、
前記サイドウォールグルーブおよびチューブ組立体によって画定され、前記タイヤの外部と前記空気圧キャビティとを連通し、半径方向において前記回転するタイヤ踏面内に位置するときに前記サイドウォールグルーブのそれぞれのセグメントごとの変形に応じて拡張状態と少なくとも部分的に潰れた状態とにセグメントごとに弾性的に変形する空気通路とを有し、
前記チューブ組立体は、第1のチューブと第2のチューブとを有し、前記第1のチューブが前記サイドウォールグルーブ内に固定され、前記第2のチューブが前記第1のチューブ内に固定され、前記第2のチューブが、半径方向において前記回転するタイヤ踏面内に位置するときに前記チューブ組立体のそれぞれのセグメントごとの変形に応じて拡張状態と少なくとも部分的に潰れた状態とにセグメントごとに弾性的に変形する前記空気通路を画定することを特徴とするタイヤ組立体。
【請求項2】
前記第1のチューブはプラスチックで形成されている、請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項3】
前記第2のチューブの外壁および内壁の断面形状はそれぞれ円形である、請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項4】
前記第1のチューブは、前記チューブ組立体の圧縮を容易にする補助切り欠きをU字形開口部の軸線方向内側角部の所に有する、請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項5】
前記第2のチューブは、前記第1のチューブの内側形状に対応する外形を有する、請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項6】
前記第1のチューブは、前記サイドウォールグルーブの対応するくぼみに係合し、周方向において前記チューブ組立体を前記サイドウォールグルーブ内に固定する外側半径方向延長部を有する、請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項7】
前記外側半径方向延長部は半径方向内向きに突き出ている、請求項6に記載のタイヤ組立体。
【請求項8】
前記外側半径方向延長部は半径方向外向きに突き出ている、請求項6に記載のタイヤ組立体。
【請求項9】
前記第1のチューブを前記サイドウォールグルーブ内に固定する接着剤をさらに含み、前記接着剤が、前記第1のチューブにプラスチック製逆止め弁をさらに固定している、請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項10】
前記第1のチューブの断面形状は、U字形であり、前記第1のチューブはプラスチック製逆止め弁をその中に収容する、請求項1に記載のタイヤ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して空気圧維持タイヤに関し、特に空気圧維持・タイヤポンピング組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の空気拡散によって、タイヤ空気圧は時間の経過とともに低下する。タイヤの自然な状態ではタイヤは膨張していない。したがって、運転者は繰り返しタイヤ空気圧の維持に努めなければならず、そうしないと燃費が悪くなり、タイヤの寿命が短くなり、車両の制動・ハンドリング性能が低下する。タイヤ空気圧が著しく低くなったときに運転者に警告するタイヤ空気圧監視システムが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このようなシステムでは、依然として、運転者が、タイヤを推奨される圧力まで再膨張させるように警告されたときに是正措置を講じる必要がある。したがって、タイヤ内の空気圧を維持し、運転者が介入する必要なしに経時的なタイヤ空気圧の低下を補償する空気維持機能をタイヤ内に組み込むことが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一形態では、タイヤ組立体は、タイヤと、第1および第2のタイヤサイドウォールと、サイドウォールグルーブとを含む。タイヤは空気圧キャビティを有する。第1および第2のサイドウォールはそれぞれ、第1および第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域まで延びる。第1のサイドウォールは、半径方向においてタイヤの回転するタイヤ踏面内に位置するときに動作可能に屈曲する少なくとも1つの屈曲領域を有する。サイドウォールグルーブは、第1のタイヤサイドウォールの屈曲領域内に位置するグルーブ側壁によって画定される。サイドウォールグルーブは、非変形状態と、回転するタイヤ踏面内での半径方向への第1のサイドウォールの屈曲領域の屈曲に応じて変形し収縮した状態とに、セグメントごとに変形する。サイドウォールグルーブおよびカバーストリップによって空気通路が画定される。空気通路は、半径方向において回転するタイヤ踏面内に位置するときにサイドウォールグルーブのそれぞれのセグメントごとの変形に応じて、拡張状態と少なくとも部分的に潰れた状態とにセグメントごとに弾性的に変形する。カバーストリップは、サイドウォールグルーブの開放端部に取り付けられ、空気通路を大気圧から分離する。
【0005】
本発明の他の態様によれば、カバーストリップは、硬化済みの第1のタイヤサイドウォールに直接硬化される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、カバーストリップは、加熱されたプラテンによって第1のタイヤサイドウォールに硬化されている。
【0007】
本発明の他の態様によれば、タイヤ組立体は、サイドウォールグルーブ内に配置された別個のチューブをさらに含む。別個のチューブは円形の空気通路を画定する。
【0008】
本発明の他の態様によれば、別個のチューブは、サイドウォールグルーブの内側形状に対応する外形を有する。
【0009】
本発明の他の態様によれば、タイヤ組立体は、サイドウォールグルーブの軸線方向内側端部に配置された第2のカバーストリップをさらに含む。
【0010】
本発明の他の態様によれば、第1のカバーストリップは、加熱されたプラテンによって、硬化済みの第1のタイヤサイドウォールに直接硬化されている。
【0011】
本発明の他の態様によれば、カバーストリップは補強されたコードである。
【0012】
本発明の他の態様によれば、第2のカバーストリップはガムストリップである。
【0013】
本発明の他の態様によれば、タイヤ組立体は、サイドウォールグルーブの周囲に沿った複数の孤状位置に配置された逆止め弁をさらに含む。
【0014】
本発明の他の形態では、タイヤ組立体は、タイヤと、第1および第2のサイドウォールと、サイドウォールグルーブとを含む。タイヤは空気圧キャビティを有する。第1および第2のサイドウォールはそれぞれ、第1および第2のタイヤビード領域からタイヤトレッド領域まで延びる。第1のサイドウォールは、半径方向においてタイヤの回転するタイヤ踏面内に位置するときに動作可能に屈曲する少なくとも1つの屈曲領域を有する。サイドウォールグルーブは、第1のタイヤサイドウォールの屈曲領域内に位置するグルーブ側壁によって画定される。グルーブは、非変形状態と、半径方向において回転するタイヤ踏面内で第1のサイドウォールの屈曲領域の屈曲に応じて変形し収縮した状態とに、セグメントごとに変形する。サイドウォールグルーブおよびチューブ組立体によって空気通路が画定される。空気通路は、半径方向において回転するタイヤ踏面内に位置する間にそれぞれのセグメントごとの変形に応じて、拡張状態と少なくとも部分的に潰れた状態とにセグメントごとに弾性的に変形する。チューブ組立体は、第1のチューブと第2のチューブとを有する。第1のチューブはサイドウォールグルーブ内に固定されている。第2のチューブは第1のチューブ内に固定されている。第2のチューブは、半径方向において回転するタイヤ踏面内に位置するときにチューブ組立体のそれぞれのセグメントごとの変形に応じて、拡張状態と少なくとも部分的に潰れた状態とにセグメントごとに弾性的に変形する。
【0015】
本発明の他の態様によれば、第1のチューブはプラスチックで形成され、第2のチューブは押し出し成形されたポリマーで形成される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、第2のチューブは、外側円形断面と内側円形断面とを有する。
【0017】
本発明の他の態様によれば、第1のチューブは、チューブ組立体の圧縮を容易にする補助切り欠きをU字形開口部の軸線方向内側角部の所に有する。
【0018】
本発明の他の態様によれば、第2のチューブは、第1のチューブの内側形状に対応する外形を有する。
【0019】
本発明の他の態様によれば、第1のチューブは、サイドウォールグルーブの対応するくぼみに係合し、周方向においてチューブ組立体をサイドウォールグルーブ内に固定する外側半径方向延長部を有する。
【0020】
本発明の他の態様によれば、外側半径方向延長部は半径方向内向きに突き出ている。
【0021】
本発明の他の態様によれば、外側半径方向延長部は半径方向外向きに突き出ている。
【0022】
本発明の他の態様によれば、タイヤ組立体は、第1のチューブをサイドウォールグルーブ内に固定する接着剤をさらに含む。
【0023】
本発明の他の態様によれば、第1のチューブは、部分的に閉じられたU字形の内側断面形状と部分的に閉じられたU字形の外側断面形状とを有する。
【0024】
ここで、本明細書で使用される用語を定義する。
【0025】
タイヤの「アスペクト比」は、タイヤの断面幅(SW)に対するタイヤの断面高さ(SH)の比に、百分率として表すために100%を掛けた値を意味する。
【0026】
「非対称的トレッド」は、タイヤの中心面、すなわち赤道面EPに対して対称的ではないトレッドパターンを有するトレッドを意味する。
【0027】
「軸線方向の」および「軸線方向に」は、タイヤの回転軸線に平行なラインまたは方向を意味する。
【0028】
「チェーファー」は、タイヤビードの外側の周りに配置された材料からなる狭い帯状体であり、コードプライがリムに接触して磨耗したり切れたりするのを防止し、かつたわみをリムの上方に分散させる。
【0029】
「周方向の」は、軸線方向に垂直な環状のトレッドの表面の周縁に沿って延びるラインまたは方向を意味する。
【0030】
「赤道中心面(CP)」は、タイヤの回転軸線に垂直であり、かつトレッドの中心を通過する平面を意味する。
【0031】
「踏面(フットプリント)」は、速度が零であり、かつ標準荷重および標準空気圧下にあるときに平坦な面に接触するタイヤトレッドの接触部分または接触領域を意味する。
【0032】
「グルーブ」は、エアチューブが収容されるように断面の寸法が定められかつ断面が構成されたタイヤの細長い空隙領域を意味する。
【0033】
「インボード側」は、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたときに、タイヤの、車両に最も近い側を意味する。
【0034】
「横方向の」は、軸線方向を意味する。
【0035】
「横方向縁部」は、標準荷重および標準タイヤ空気圧下で測定された軸線方向において最も外側のトレッド接触部位すなわち踏面に接する、赤道中心面に平行なラインを意味する。
【0036】
「正味接触面積」は、トレッドの全周のまわりの沿った横方向縁部同士の間の地面接触トレッド部材の総面積を、横方向縁部同士の間のトレッド全体の総面積で割った値を意味する。
【0037】
「非方向性トレッド」は、好ましい順走行方向を有さず、かつトレッドパターンを好ましい走行方向に揃えるうえで車両上の1つまたは2つ以上の特定のホイール位置に位置する必要のないトレッドを意味する。逆に、方向性トレッドパターンは、特定のホイール位置を必要とする好ましい走行方向を意味する。
【0038】
「アウトボード側」は、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたときに、タイヤの、車両から最も遠い側を意味する。
【0039】
「蠕動」は、空気のような閉じ込められた物質を管状の経路に沿って送る波状の収縮による動作を意味する。
【0040】
「半径方向の(ラジアル)」または「半径方向に」は、半径方向においてタイヤの回転軸線に向かうかあるいは回転軸線から離れる方向を意味する。
【0041】
「リブ」は、少なくとも1つの周方向グルーブおよびそのような第2のグルーブまたは横方向縁部のいずれかによって画定され、全深さグルーブによって横方向に分割されない、トレッド上の周方向に延びるゴムストリップを意味する。
【0042】
「サイプ」は、タイヤのトレッド部材に成形され、トレッド面を細分してトラクションを向上させる小さい長穴を意味し、サイプは、概して幅が狭く、タイヤの踏面において開放されたままになるグルーブとは異なりタイヤ踏面において閉塞される。
【0043】
「トレッド部材」または「トラクション部材」は、隣接するグルーブを有する形状によって画定されるリブまたはブロック部材を意味する。
【0044】
「トレッド弧幅」は、トレッドの横方向縁部同士の間で測定されたトレッドの弧の長を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】例示的なタイヤ組立体およびチューブ組立体の等角分解図である。
図2】例示的なタイヤ組立体およびチューブ組立体の側面図である。
図3A】例示的な出口コネクタの詳細図である。
図3B】例示的な出口コネクタの詳細図である。
図3C】例示的な出口コネクタの詳細図である。
図4A】例示的な入口(フィルタ)コネクタの詳細図である。
図4B】例示的な入口(フィルタ)コネクタの詳細図である。
図4C】例示的な入口(フィルタ)コネクタの詳細図である。
図4D】例示的な入口(フィルタ)コネクタの詳細図である。
図4E】例示的な入口(フィルタ)コネクタの詳細図である。
図5A】タイヤが回転し、空気がキャビティに移動している例の側面図である。
図5B】タイヤが回転し、空気がフィルタを洗浄している例の側面図である。
図6A図5Aから得られる断面図である。
図6B】サイドウォールが非圧縮状態にある、図6Aのチューブ領域の拡大詳細図である。
図7A図5Aから得られる断面図である。
図7B】サイドウォールが圧縮状態にある、図7Aのチューブ領域の拡大詳細図である。
図8A図2のチューブおよびグルーブの構成例の拡大詳細図である。
図8B】チューブが圧縮されグルーブに挿入される例を示す詳細図である。
図8C】チューブがグルーブのリブ付き領域の所でグルーブに完全に挿入された例を示す詳細図である。
図8D】チューブがリブ付きグルーブに挿入されている状態の拡大分解図である。
図9】キャビティコネクタの出口の両側に配置された例示的なリブ形状領域を示す、図2から得られる拡大詳細図である。
図10A】例示的なリブ形状を有するグルーブの拡大詳細図である。
図10B】例示的なリブ形状に押し込まれたチューブの拡大詳細図である。
図11】キャビティコネクタの出口の両側に配置された例示的な他のリブ形状領域を示す、図2から得られる拡大詳細図である。
図12A】例示的な他のリブ形状を有するグルーブの拡大詳細図である。
図12B】例示的な他のリブ形状に押し込まれたチューブの拡大詳細図である。
図13A】チューブおよびグルーブの他の構成例の詳細を示す拡大図である。
図13B図13Aのチューブが圧縮されグルーブに挿入される状態を示す詳細図である。
図13C図13Aのチューブがグルーブに完全に挿入された状態を示す詳細図である。
図14A】チューブおよびグルーブの第3の構成例の詳細を示す拡大図である。
図14B図14Aのチューブが圧縮されグルーブに挿入される状態を示す詳細図である。
図14C図14Aのチューブがグルーブに完全に挿入された状態を示す詳細図である。
図15A】チューブおよびグルーブの第4の構成例の詳細を示す拡大図である。
図15B図15Aのチューブが圧縮されグルーブに挿入される状態を示す詳細図である。
図15C図15Aのチューブがグルーブに完全に挿入された状態を示す詳細図である。
図16】本発明の一態様を示す詳細図である。
図17】本発明の他の態様を示す詳細図である。
図18】本発明の他の態様を示す詳細図である。
図19】本発明の他の態様を示す詳細図である。
図20】本発明の他の態様を示す詳細図である。
図21】本発明の他の態様を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明について、一例として、添付の図面を参照して説明する。
【0047】
図1、2および図6Aを参照すると、例示的なタイヤ組立体10は、タイヤ12と、蠕動ポンプ組立体14と、タイヤリム16とを含んでもよい。タイヤ12は、外側リムフランジ22,24に隣接する一対のリム取り付け面18,20に従来通りに取り付けられてもよい。リムフランジ22,24はそれぞれ、半径方向外側を向いたフランジ端部26を有している。図示のように、リム本体28がタイヤ組立体10を支持してもよい。タイヤ12は、互いに向かい合うビード領域34,36からクラウンすなわちタイヤトレッド領域38まで延びる一対のサイドウォール30,32を有する従来の構成のタイヤであってもよい。タイヤ12およびリム16はタイヤキャビティ40を密閉している。
【0048】
図2ならびに3A、3B、3C、6Bおよび8Aからわかるように、例示的な蠕動ポンプ組立体14は、環状の通路43を密閉する環状のエアチューブ42を含んでもよい。チューブ42は、外力を受けて平らにされた状態から、そのような力が取り除かれて概ね円形の断面を有する元の状態に戻る、反復的な変形サイクルに耐えることのできるプラスチックまたはゴム化合物のような弾性的な可撓性材料で形成されてもよい。チューブ42は、本明細書で説明する目的のためにある体積の空気を動作可能に通過させるのに十分な直径であり、かつ以下に説明するようにチューブ42をタイヤ組立体10内の動作可能位置に位置させるのを可能にする直径を有してもよい。図示の例示的な構成では、チューブ42は、細長く、断面が概ね楕円形であり、平坦な(閉塞された)チューブ後端48から丸い(開放された)チューブ先端50まで延びる互いに向かい合うチューブ側壁44,46を有してもよい。チューブ42は、断面が概ね半円形であり、側壁44,46の外面に沿って延びる、長手方向外側に突き出る一対のロック戻り止めリブ52,54を有してもよい。
【0049】
図8Aに示されているように、チューブ42は、3.65mmから3.80mmの範囲内の長さL1、2.2mmから3.8mmの範囲内の幅D1、0.8mmから1.0mmの範囲内の後端幅D3を有していてもよい。突き出る戻り止めリブ52,54はそれぞれ、0.2mmから0.5mmの範囲内の曲率半径R2を有していてもよく、各リブ52,54は、チューブ後端48から1.8mmから2.0mmの範囲内の位置距離に配置されてもよい。チューブ42の先端50は、1.1mmから1.9mmの範囲内の半径R1を有していてもよい。チューブ42内の空気通路43は同様に、2.2mmから2.3mmの範囲内の長さL2、および0.5mmから0.9mmの範囲内の幅D2を有する概ね楕円形であってもよい。
【0050】
チューブ42は、グルーブ56に挿入できるように外形および形状が構成されている。グルーブ56は、チューブ42の楕円形と相補的である、3.65mmから3.80mmの範囲内の長さL1を有する細長く概ね楕円形の構成を有してもよい。グルーブ56は、0.8mmから1.0mmの範囲内の公称断面幅D3を有する、制限された狭い入口58を含んでもよい。半円形構成を有する一対のグルーブ−リブ収容軸線方向戻り止め溝60,62が、チューブロックリブ52,54に対応した受け部としてグルーブ56の互いに向かい合う側面にそれぞれ形成されてもよい。溝60,62は、グルーブ入口58から概ね1.8mmから2.0mmの範囲内の距離L3だけ離れていてもよい。戻り止め溝60,62はそれぞれ、0.2mmから0.5mmの範囲内の曲率半径R2を有していてもよい。内側戻り止めグルーブ部64が、1.1mmから1.9mmの範囲内の曲率半径R1および2.2mmから3.8mmの範囲内の断面公称幅D1で形成されてもよい。
【0051】
図8D、9、10Aおよび10Bから最もよくわかるように、タイヤ12は、グルーブ56の円周に沿って延び、グルーブ56内に突き出る1つまたは2つ以上の圧縮リブ66をさらに形成していてもよい。リブ66は、以下に説明するように、所定のピッチ、出現頻度、および位置からなるリブのパターンを形成してもよい。説明のために、7つの圧縮リブが、図示の第1のリブ形状パターンでは全体的に参照番号66によって参照され、具体的にはリブ符号D0ないしD6によって参照されることがある。リブD0ないしD6は、空気がチューブ通路43内を最適な状態で送られるような配列およびピッチパターンで形成されてもよい。リブ66はそれぞれ、パターン内で固有の所定の高さおよび位置を有してもよく、図8Dに示されているように、0.95mmから1.60mmの範囲内の半径R3(図8A)の所において外側にグルーブ56内に突き出てもよい。
【0052】
図1、2、3Aないし3C、および4Aないし図4Eを参照すると、蠕動ポンプ組立体14は、周方向エアチューブ42に沿ったそれぞれの位置に約180度離れて配置された入口装置68と出口装置70とをさらに含んでもよい。この例示的な出口装置70は、導管72,74が空気をタイヤキャビティ40に送り、かつタイヤキャビティ40から送るT字形構成を有している。出口装置ハウジング76が、それぞれの導管72,74から一体に延びる導管アーム78,80を含んでいる。各導管アーム78,80は、組み立て済み状態においてエアチューブ42の切断された端部内に導管を保持するための外径部結合リブ82,84を有する。ハウジング76は、グルーブ56と相補的であり、かつ平坦な端部86と、丸く概ね長円形の本体88と、外側に突き出る長手方向戻り止めリブ90とを含む外部形状を有するように形成されている。したがって、図8Aに示されているように、ハウジング76は、リブ90がグルーブ56内に位置合わせされた状態でグルーブ56内のハウジングの所望の位置にぴったりと収容されてもよい。
【0053】
入口装置68は、図1、2、4Aないし4Eに示されているように、狭いスリーブネック98の所で細長い内側スリーブ本体96と接合する細長い外側スリーブ本体94を含んでもよい。外側スリーブ本体94は断面が概ね三角形である。内側スリーブ本体96は、グルーブ56と相補的な長円形の外形を有しており、長手方向に内側スリーブ本体96に沿って延びる一対の戻り止めリブ100を含んでいる。細長い空気入口チューブ101が、内側スリーブ本体96内に位置しており、互いに向かい合うチューブ端部102と、中央チューブ通路内に延びる入口孔104のパターンとを含んでいる。外部リブ106,108が、エアチューブ42のチューブ端部102を出口装置70と向かい合う位置に固定している。
【0054】
図6A、6B、7A、7B、8Aないし8Dに示されているように、ポンプ組立体14は、エアチューブ42と、グルーブ56に挿入されたときに180度離れるそれぞれの位置でエアチューブ42に直列に固定された入口装置68および出口装置70とを有してもよい。グルーブ56は、タイヤ12がリム16に取り付けられたときに、エアチューブ42をリムフランジ端部26の上方に位置させるタイヤ12の下部サイドウォール領域に配置されてもよい。図8Bは、グルーブ56に挿入できるように径方向に圧搾され潰されたエアチューブ42を示している。図8Cに示されているように完全に挿入されると、リブ52,54はグルーブ溝60,62内に位置合わせされ、チューブ42の平坦な外側端部48は、タイヤ12のサイドウォールの外面と概ね同一平面上に位置してもよい。完全に挿入された後、チューブ42の空気通路43を弾性的に開放状態に復元することができ、ポンプの動作時にチューブに沿って空気を流すことができる。
【0055】
図1、2、5A、5B、6A、6B、7A、7B、8Aないし図8Dを参照すると、入口装置68と出口装置70は、環状のエアチューブ42の円周内に概ね180度離して位置させてもよい。グルーブ56内に位置するチューブ42を有するタイヤ12が回転方向110に回転し、地面118に接触してタイヤ踏面120が形成される。圧縮力124が、タイヤ踏面120からタイヤ12内に伝達され、参照符号122で示されているように、タイヤ踏面120と向かい合うエアチューブ通路43のセグメントを平らにするように働く。通路43のセグメントが平らになると、空気がこのセグメントからチューブ通路43に沿って、矢印116によって示されている方向に出口装置70の方へ送られる。
【0056】
タイヤ12が引き続き地面118に沿って方向110に回転するにつれて、チューブ42は、タイヤ踏面120と向かい合う位置において、方向110とは逆の方向にセグメントごとに順次平らにするかあるいは圧搾される。チューブ通路43がセグメントごとに順次平らになると、平らになったセグメントから排出された空気をチューブ通路43内の方向116に出口装置70の方へ送ることができる。空気は、130に示されているように、出口装置70を通ってタイヤキャビティ40に流れることができる。130では、出口装置70から出た空気が、タイヤキャビティ40に送られてもよく、タイヤ12を所望の圧力レベルまで再膨張させる働きをすることができる。キャビティ40内の空気圧が所定のレベルまで低下したときにキャビティ40への空気の流れを調整する弁システムが、2010年5月7日に出願され参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/775552号に図示され記載されている。
【0057】
タイヤ12が方向110に回転しているとき、図5Aに示されているように、平らにされたチューブセグメントは、方向114において入口装置68に流入する空気によって順次再充填される。入口装置68内へ、次いでチューブ通路43内への空気の流入は、逆時計回り方向100に回転して出口装置70がタイヤ踏面120を通過するまで継続される。図5Bは、このような位置における蠕動ポンプ組立体14の向きを示している。チューブ42は、タイヤ踏面120と向かい合う位置において、圧縮力124によって引き続きセグメントごとに順次平らにされる。空気は、入口装置68へ向かって時計回り方向116に送られ、タイヤ12の外部に排出または排気される。128に示されているような、入口装置68からの排気は、一例として通気性材料もしくは多孔性材料または通気性材料と多孔性材料の複合物で形成されたフィルタスリーブ92を通じて行われてもよい。したがって、フィルタスリーブ92を通ってチューブ101に入る空気の流れは破片または微粒子を除去することができる。空気の排気流方向または逆流方向128では、フィルタスリーブ92から、多孔性媒体内に閉じ込められ蓄積した破片または粒子を除去することができる。送られた空気を入口装置68から排気した後、出口装置70は、タイヤキャビティ40への空気流を妨げる閉鎖位置に移動する。(図5Aに示されているように)入口装置70がタイヤ踏面120を通過するまでタイヤ12が逆時計回り方向110にさらに回転すると、出口装置への空気流を再開し、送られた空気を流出させキャビティ40に流入させることができる。したがって、タイヤキャビティ40内の空気圧を所望のレベルに維持することができる。
【0058】
図5Bは、タイヤ12が方向110に回転するにつれてチューブ42がセグメントごとに平らにされることを示している。平らにされたセグメント134は、タイヤ踏面120から遠ざかるように回転するにつれて逆時計回りに移動し、一方、隣接するセグメント132がタイヤ踏面120と向かい合う位置に移動し、平らにされる。したがって、圧搾されるかまたは平らにされるかまたは閉塞されたチューブセグメントが進行するにつれて、出口装置70(図5A)または入口装置68(図5B)に対するタイヤ12の回転位置に応じて、空気を出口装置70または入口装置68に移動させることができる。タイヤ回転によってタイヤ踏面120から遠ざかるように各セグメントが移動すると、踏面領域からのタイヤ12内の圧縮力が消され、セグメントが通路43からの空気で再び満たされるにつれてセグメントは膨張した状態または開放状態に弾性的に再構成される。図7Aおよび7Bは、平たくされた状態のチューブ42のセグメントを示し、一方、図6Aおよび図6Bは、タイヤ踏面120と向かい合う位置から遠ざかる前およびその後の拡張構成、平たくされていない構成、すなわち開放構成のセグメントを示している。平らにされていない元の構成では、チューブ42のセグメントは再び、例示的な細長い概ね楕円形の形状をとることができる。
【0059】
上述のサイクルは、タイヤ12が回転するたびに繰り返されてよく、2分の1回転ごとに、送られた空気がタイヤキャビティ40に移動し、残りの2分の1回転によって、送られた空気が入口装置68のフィルタスリーブ92から流出してフィルタを自己洗浄する。図5Aおよび5Bに示されているタイヤ12の回転方向110は逆時計回りであるが、本タイヤ組立体10およびその蠕動ポンプ組立体14が逆回転(時計回り)方向でも同様に機能することができることが理解されよう。したがって、蠕動ポンプ組立体14は、双方向性であり、順回転方向に回転するタイヤ12に対しても逆回転方向に回転するタイヤ12に対しても同様に機能し、かつ順走行方向に移動する車両に対しても逆走行方向に移動する車両に対しても同様に機能することができる。
【0060】
エアチューブ/ポンプ組立体14は図5A、5B、6A、6B、7Aおよび7Bに示されている通りであってもよい。チューブ42は、タイヤ12のサイドウォール30の下部領域のグルーブ56内に配置されてもよい。チューブ42の通路43は、上述のように、回転するタイヤ踏面120内のサイドウォールグルーブ56の圧縮歪み曲げによって閉塞されてもよい。チューブ42をサイドウォール30内に配置する際自由に配置してもよく、それによって、チューブ42とリム16との接触が回避される。チューブ42をサイドウォールグルーブ56内の高い位置に配置すると、サイドウォールのこの領域がタイヤ踏面120を通過する際にこの領域の高変形特性を利用してチューブ42を閉塞することができる。
【0061】
グルーブ付きサイドウォールの構成および動作、ならびに特に、グルーブ56内のリッジすなわち圧縮リブ66の動作によるチューブ42の可変圧力ポンプ圧縮が、図8A〜8D、9、10Aおよび10Bに示されている。リッジすなわちリブが、参照符号66によって示され、個別にはD0〜D6として示されている。グルーブ56は、周方向にタイヤ12の側面に沿って一様な幅を有してもよく、成形されたリッジD0〜D6は、予め選択された配列、パターン、またはアレイにおいてグルーブ56内に突き出るように形成されてもよい。リッジD0〜D6は、チューブ42をグルーブ56内に所与の向きに保持してもよく、可変順次収縮力をチューブに加えてもよい。
【0062】
一様な寸法を有するポンプチューブ42を、上述のようにグルーブ56内に位置させてもよく、この場合、グルーブ56の出入り口D3を機械的に広げることによって手順が開始される。次に、チューブ42をグルーブ56の拡張された開口部に挿入してもよい。その後、グルーブ56の開口部を解放し閉塞させて元の間隔D3に戻し、それによって、チューブ42をグルーブ内に捕捉してもよい。したがって、長手方向ロックリブ52,54を長手方向グルーブ60,62内に捕捉/ロックすることができる。結果として、ロックリブ52,54は、チューブ42をグルーブ56の内側にロックし、タイヤの動作/回転中にチューブがグルーブ56から飛び出すのを防止する働きをする。
【0063】
あるいは、チューブ42をグルーブ56に押し込んで挿入してもよい。チューブ42は、幅寸法および形状が一様であり、大量生産されてもよい。さらに、一様な寸法を有するポンプチューブ42は、全体的な組み立て時間を短縮し、材料コストを削減し、チューブ在庫の多様性を低下させる。このため、信頼性の点からは、廃品が生じる可能性が低くなる。
【0064】
グルーブ56内に突き出る周方向リッジD0〜D6は、出力装置70によって表されるチューブ42の入口通路に向かって出現頻度(軸線方向グルーブ単位長さ当たりリッジ数)が高くなってもよい。各リッジD0ないしD6は、0.15mmから0.30mmの範囲内の共通の半径寸法R4を有してもよい。リッジD0とリッジD1との間隔が最大であり、D1とD2との間の間隔が2番目に大きく、リッジD3、D4、D5、およびD6についても同様であり、最終的にリッジD5とリッジD6との間の間隔は名目上零になる。7つのリッジが示されているが、これよりも多いかあるいは少ない数のリッジをグルーブ56に沿って様々な出現頻度で配置してもよい。
【0065】
半径R4によってグルーブ56内に突き出るリッジは、2つの目的を果たすことができる。第1に、リッジD0ないしD6は、チューブ42に係合し、タイヤ動作/回転中にチューブ42の目的の位置からグルーブ56に沿ってチューブ42が移動するかまたは「ずれる」のを防止することができる。第2に、上述のように、タイヤ12がその回転ポンピングサイクルの間回転するにつれて、リッジD0ないしD6が各リッジと向かい合うチューブ42のセグメントを圧縮する程度を高くすることができる。サイドウォールがたわむことによって、各リッジD0ないしD6を通じて圧縮力が発生し、このようなリッジと向かい合うチューブセグメントを、グルーブ56のリッジを有さない部分と向かい合うチューブセグメントよりも顕著に収縮させることができる。図10Aおよび10Bを見ると、リッジの出現頻度が空気流の方向において高くなるにつれて、チューブ通路43が、参照番号136に示されるサイズに収縮するまで徐々に圧縮され、徐々に空気の体積を減らすとともに圧力を上昇させる。その結果、リッジが存在する場合、グルーブ56は、全体的に一様な寸法を有するように構成されたチューブ42内で可変ポンピング圧力を実現することができる。このように、サイドウォールグルーブ56は、グルーブ内に位置するチューブ42に可変圧力を加えるように機能する可変圧力ポンプグルーブであってもよい。ポンピング圧力変動の程度がグルーブ56内のピッチまたはリッジ出現頻度およびチューブ通路43の直径寸法に対する配置されたリッジの大きさによって決定されることが理解されよう。直径に対するリッジの大きさを大きくするほど、リッジと向かい合うチューブセグメント内の空気量を減らし、圧力を高めることができ、直径に対するリッジの大きさを小さくするほど、リッジと向かい合うチューブセグメント内の空気量を増やし、圧力を低くすることができる。図9は、出口装置70へのチューブ42の取り付けと、出口装置70内へ両側から送られる空気流の方向を示している。
【0066】
図11は、出口装置70の出口の両側に配置された第2の代替リブ形状領域を示している。図12Aは第2の代替リブ形状を有するグルーブ56の拡大詳細図を示し、図12Bは第2のリブ形状に押し込まれたチューブ42の拡大詳細図を示している。図11、12A、12Bを参照すると、この代替構成のリッジすなわちリブD0ないしD6は、図10Aおよび10Bを参照して説明したリブと同様の出現頻度パターンを有してもよいが、各リブは、固有のそれぞれの幅も有する。各リブD0ないしD6は概して、それぞれ曲率半径R1ないしR7を有する半円形断面を有してもよい。リッジD0ないしD6の曲率半径は、Δ=0.020mm〜0.036mmといった、例示的な範囲内であってもよい。
【0067】
リッジD0ないしD6の数および各リッジのそれぞれの半径は、他の寸法または用途に適するように上記の範囲を超えた数および半径に構成されてもよい。曲率半径を空気流の方向に大きくしていくと、リッジD0ないしD6が通路43内に突き出る大きさおよび範囲を出口装置70に近づくにつれて大きくすることができる。それによって、通路43を出口装置70に近づくにつれて収縮させより狭い領域138を形成し、それに応じて、空気量を減らすことによって空気圧を高めることができる。このような構成の利点は、通路43に沿った出口装置70からタイヤキャビティ40内への所望の空気流圧力を実現するうえで他の場合に必要なものよりもチューブ42を小さく構成してもよいことである。より小形のチューブ42は、タイヤ12内でより小さいグルーブ56を使用するのを可能にし、それによって、タイヤサイドウォールの構造上の不連続性を最小限に抑えるうえで経済的および機能的に望ましいと考えられる。
【0068】
図13Aないし13Cは、リブおよびグルーブを変更した結果として図8Aないし8Cの戻り止めリブ90が無くなった、他のチューブ42およびグルーブ56の詳細を示している。このチューブ42は、以下に明示された範囲内の指示された寸法を有する外形および通路構成を有してもよい。
【0069】
D1=2.2mm〜3.8mm
D2=0.5mm〜0.9mm
D3=0.8mm〜1.0mm
R4=0.15mm〜0.30mm
L1=3.65mm〜3.8mm
L2=2.2mm〜2.3mm
L3=1.8mm〜2.0mm
上記の範囲は、特定の寸法の選択、タイヤの形状、またはタイヤの用途に適するように修正されてもよい。チューブ42の外部構成は、端面48に隣接する面取りされた面138,140と、それぞれ面取りされた面に隣接する互いに平行な向かい合う直線状の中間面142,144と、中間面142,144に隣接する丸いノーズすなわち前面146とを含んでもよい。図13Bおよび13Cからわかるように、チューブ42は、グルーブ56に押し込まれて挿入されるように圧縮され、完全に挿入されたときに拡張してもよい。サイドウォール表面の所のグルーブ56の開口部を収縮させると、チューブ42をグルーブ56内にしっかりと保持することができる。
【0070】
図14Aないし図14Cは、チューブ42およびグルーブ56の他の構成を示している。図14Aは拡大図であり、図14Bは圧縮されグルーブ56に挿入されるチューブ42を示す詳細図である。図14Cは、グルーブ56に完全に挿入されたチューブ42を示す詳細図である。チューブ42は、概して断面が楕円形であり、同様に構成されたグルーブ56に挿入される。グルーブ56は、互いに向かい合う平行な面148,150の間に形成された狭い出入り口を有してもよい。図14Aないし14Cでは、チューブ42は、以下に明示された範囲内の寸法を有する外形および通路構成を有するように構成されている。
【0071】
D1=2.2mm〜3.8mm
D2=0.5mm〜0.9mm
D3=0.8mm〜1.0mm
R4=0.15mm〜0.30mm
L1=3.65mm〜3.8mm
L2=2.2mm〜2.3mm
L3=1.8mm〜2.0mm
上記の範囲は、特定の寸法の選択、タイヤの形状、またはタイヤの用途に適するように修正されてもよい。図15Aないし15Cは、チューブ42およびグルーブ56の他の構成を示している。図15Aは拡大図であり、図15Bは圧縮されグルーブ56に挿入されるチューブ42を示す詳細図である。図15Cは、グルーブ56に完全に挿入されたチューブ42を示す詳細図である。チューブ42は、概して断面が放物形であり、同様に構成されたグルーブ56に挿入される。グルーブ56は、チューブ42をぴったりと受け入れるサイズを有する出入り口を有してもよい。グルーブ56に挿入された後、リッジ66はチューブ42に係合することができる。図15Aないし15Cでは、チューブ42は、以下に明示された範囲内の寸法を有する外形および通路構成を有する。
【0072】
D1=2.2mm〜3.8mm
D2=0.5mm〜0.9mm
D3=2.5mm〜4.1mm
L1=3.65mm〜3.8mm
L2=2.2mm〜2.3mm
L3=1.8mm〜2.0mm
上記の範囲は、必要に応じて特定の寸法の選択、タイヤの形状、またはタイヤの用途に適するように修正されてもよい。
【0073】
上記のことから、本発明が、タイヤ12の空気圧を維持するための双方向蠕動ポンプ組立体14を有することが理解されよう。円形のエアチューブ42は、タイヤ踏面100においてセグメントごとに平たくなり、閉塞することができる。空気入口装置68は、多孔性の通気性材料で形成された外側フィルタスリーブ92を含み、それによって自己洗浄する。外側装置70は、弁ユニットを使用してもよい(2010年5月7日に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる同時係属の米国特許出願第12/775552号を参照されたい)。蠕動ポンプ組立体14は、タイヤがいずれかの方向に回転することによって空気を送ることができ、すなわち、タイヤが2分の1回転すると空気がタイヤキャビティ40に送られ、残りの2分の1回転によって空気が入口装置68から排出される。蠕動ポンプ組立体14は、システム障害検出器として働くことのできる二次タイヤ空気圧監視システム(TPMS)(不図示)と一緒に使用されてもよい。TPMSは、タイヤ組立体10の自己膨張システムの障害を検出し、ユーザにこのような状態を通知するのに使用されてもよい。
【0074】
タイヤ空気圧維持システム10は、内側に向けられた1つまたは2つ以上のリッジまたはリブ66であって、リッジまたはリブ66に向かい合うエアチューブ42のセグメントに係合しこのセグメントを圧縮するリッジまたはリブ66を含む可変圧力ポンプグルーブ56をさらに組み込んでもよい。これらのリブ66のピッチまたは出現頻度を出口装置70に向かって大きくまたは高くし、チューブ42を圧縮することによって通路43内の空気量を徐々に少なくすることができる。空気量を減らすと、通路43内の空気圧が高まり、それによって、空気をチューブ42からタイヤキャビティ40内により効率的に流すのを容易にすることができる。チューブの圧力を高めるには、グルーブ56と、チューブ長さに沿って一様な寸法を有するチューブ42と、をリブ66によって係合させればよい。したがって、チューブ42は、空気圧を維持するための、タイヤキャビティ40への空気の流れ圧力を損なうことなく一様な寸法を有しかつ比較的小さいサイズを有するように製造されてもよい。リッジ66のピッチと大きさはどちらも、通路43内の圧力を必要に応じてよりうまく上昇させるように変更してよい。
【0075】
本発明の一態様によれば、チューブ42は、タイヤ10のサイドウォール32に一体的に成形され、卵形(不図示)またはU字形(図16)の通路43を画定するグルーブであってもよい。グルーブを大気圧から分離するためにカバーストリップ201がグルーブ42の開放端に貼り付けられてもよい。上述の弁システムの逆止め弁(不図示)を、カバーストリップ201を有するグルーブ42の周囲に沿った複数の孤状位置または周方向位置の所のポケットに位置させ(たとえば、ポケットはサイドウォールグルーブ42内に成形されてもよい)、さらにグルーブ42において逆止め弁を固定/密封してもよい。カバーストリップ201は、ガムストリップまたは適切に補強されたストリップ(たとえばコード)であってもよい。カバーストリップ201は、たとえば加熱されたプラテンによって、硬化済みのタイヤ10のサイドウォール32に直接硬化されてもよい。
【0076】
本発明の他の態様によれば、タイヤ10のサイドウォール32に一体に成形され、卵形の通路43を画定するグルーブ42内に、別個のチューブ212を配置してもよい(図17)。チューブ212は、グルーブ42の内側形状に対応する外形を有してもよい。グルーブ42の軸線方向内側端部の所に内側カバーストリップ222を貼り付け、グルーブ42の開放端の所に外側カバーストリップ202を貼り付けてチューブ212をグルーブ42内に固定してもよい。上述の弁システムの逆止め弁(不図示)をチューブ212の周囲に沿った複数の孤状位置または周方向位置の所に一体化してもよい(たとえば、ポケットはサイドウォールグルーブ42内に成形されてもよい)。外側カバーストリップ202は、ガムストリップまたは適切に補強されたストリップ(たとえばコード)であってもよい。外側カバーストリップ202は、たとえば加熱されたプラテンによって、硬化済みのタイヤ10のサイドウォール32に直接硬化されてもよい。内側カバーストリップ222は、たとえば加熱されたプラテンによって、グルーブ42および別個のチューブ212の底部に直接硬化されてもよい。
【0077】
本発明の他の態様によれば、チューブ組立体42は、押し出し成形されたプラスチック製の第1のチューブ213と、押し出し成形された第2のチューブ223とを有してもよい(図18)。第1のチューブ213は、タイヤ10のサイドウォール32に一体に成形されたグルーブ内に固定(たとえば、接着)されてもよい。第1のチューブ213は、第1のチューブ213をグルーブにより良好に固定する部分的に閉塞されたU字形の外形を有してもよい。第2のチューブ223は円形の通路43を画定してもよい。第1のチューブ213は、円形の第2のチューブ223を収容し保持する部分的に閉塞されたU字形の開口部を画定してもよい。第2のチューブ223の円形の外形は、ポンプ組立体14の絶えず続く圧縮に対してより良好に耐えることができる。あるいは、第2のチューブ223は、第1のチューブ213の内側形状(たとえば、部分的に閉塞されたU字形)に対応する外形を有してもよい。第1のチューブ213のU字形開口部は、チューブ組立体42の圧縮を容易にする補助切り欠き(レリーフカット)をU字形開口部の内側角部にさらに含んでもよい。第1のチューブ213と同じ外形を有する上述の弁システムのプラスチック製逆止め弁(不図示)を第1のチューブ213の周囲に沿った複数の孤状位置または周方向位置の所に一体化(たとえば、接着)してもよい。
【0078】
本発明の他の態様によれば、チューブ組立体42(図19)は、成形されたプラスチック製の第1のチューブ214と押し出し成形された第2のチューブ224とを有してもよい。第1のチューブ214をタイヤ10のサイドウォール32に一体に成形されたグルーブ内に固定(たとえば、接着)してもよい。第1のチューブ214は、第1のチューブ214をグルーブにより良好に固定する部分的に閉塞されたU字形の外形を有してもよい。第2のチューブ224は円形の通路43を画定してもよい。第1のチューブ214は、第2のチューブ224を相応に収容し保持する部分的に閉塞されたU字形の開口部を画定してもよい。第2のチューブ224は、第1のチューブ214の内側形状(たとえば、U字形)に対応する外形を有してもよい。第1のチューブ214のU字形開口部は、チューブ組立体42の圧縮を容易にする補助切り欠き(レリーフカット)をU字形開口部の内側角部にさらに含んでもよい。あるいは、第2のチューブ224は、ポンプ組立体14の絶えず続く圧縮に対してより良好に耐える円形の外形(不図示)を有してもよい。第2のチューブ224と同じ外形を有する上述の弁システムのプラスチック製逆止め弁(不図示)を第1のチューブ214の周囲に沿った複数の孤状位置または周方向位置の所に一体化(たとえば、接着)してもよい。あるいは、第2のチューブ224よりも大きい外形を有する上述の弁システムのプラスチック製逆止め弁(不図示)を第1のチューブ214の周囲に沿った複数の孤状位置または周方向位置の所に一体化してもよい(たとえば、第1のチューブ214の予め形成されたポケットに接着剤によって固定する)。
【0079】
本発明の他の態様によれば、チューブ組立体42は、押し出し成形されたプラスチック製の第1のチューブ215と、押し出し成形された第2のチューブ225とを有してもよい(図20)。第1のチューブ215は、タイヤ10のサイドウォール32に一体に成形されたグルーブ内に固定(たとえば、接着)されてもよい。第1のチューブ215は、第1のチューブ215をグルーブにより良好に固定する部分的に閉塞されたU字形の外形を有してもよい。第1のチューブ215は、グルーブの各側面の対応するくぼみに係合し、周方向においてチューブ組立体42をグルーブに固定する外側半径方向延長部235をさらに有してもよい。延長部235は半径方向外向きに延びてもあるいは半径方向内向きに延びてもよい。第1のチューブ215は、円形の第2のチューブ225を収容し保持する部分的に閉塞されたU字形の開口部を画定してもよい。第2のチューブ225の円形の外形は、ポンプ組立体14の絶えず続く圧縮に対してより良好に耐えることができる。あるいは、第2のチューブ225は、第1のチューブ215の内側形状(たとえば、部分的に閉塞されたU字形)に対応する外形を有してもよい。第1のチューブ215のU字形開口部は、チューブ組立体42の圧縮を容易にする補助切り欠き(レリーフカット)をU字形開口部の内側角部にさらに含んでもよい。第2のチューブ225と同じ外形を有する上述の弁システムのプラスチック製逆止め弁(不図示)を第1のチューブ215の周囲に沿った複数の孤状位置または周方向位置の所に一体化(たとえば、接着)してもよい。
【0080】
本発明の他の態様によれば、チューブ組立体42は、成形されたプラスチック製の第1のチューブ216と押し出し成形された第2のチューブ226とを有してもよい(図21)。第1のチューブ216をタイヤ10のサイドウォール32に一体に成形されたグルーブ内に固定(たとえば、接着)してもよい。第1のチューブ216は、第1のチューブ216をグルーブにより良好に固定する部分的に閉塞されたU字形の外形を有してもよい。第1のチューブ216は、グルーブの各側面の対応するくぼみに係合してチューブ組立体42をグルーブに固定する内側半径方向延長部236をさらに有してもよい。延長部236は半径方向外向きに延びてもあるいは半径方向内向きに延びてもよい。第1のチューブ216は、円形の第2のチューブ226を収容し保持する部分的に閉塞されたU字形の開口部を画定してもよい。第2のチューブ226の円形の外形は、ポンプ組立体14の絶えず続く圧縮に対してより良好に耐えることができる。あるいは、第2のチューブ226は、第1のチューブ216の内側形状(たとえば、部分的に閉塞されたU字形)に対応する外形を有してもよい(不図示)。第1のチューブ216のU字形開口部は、チューブ組立体42の圧縮を容易にする補助切り欠き(レリーフカット)をU字形開口部の内側角部にさらに含んでもよい。第2のチューブ226と同じ外形を有する上述の弁システムのプラスチック製逆止め弁(不図示)を、延出する第2のチューブ226を備える第1のチューブ216の周囲に沿った複数の孤状位置または周方向位置の所に配置してもよい。あるいは、第2のチューブ226よりも大きい外形を有する上述の弁システムのプラスチック製逆止め弁(不図示)を、延出する第2のチューブ226を備える第1のチューブ216の周囲に沿った複数の孤状位置または周方向位置に配置してもよい(たとえば、第1のチューブ216の事前に形成されたポケットに接着剤によって固定する)。
【0081】
本明細書における説明を考慮して本発明を変形することが可能である。本発明を例示するためにある代表的な例および詳細を示したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに本発明に様々な変更および修正を施せることが明らかになろう。したがって、特許請求の範囲によって定義される本発明の対象となる全範囲内の変更を前述の特定の例に施せることを理解されたい。
【符号の説明】
【0082】
10 タイヤ組立体
12 タイヤ
30、32 サイドウォール
34、36 ビード領域
38 タイヤトレッド領域
40 タイヤキャビティ
43 空気通路
120 踏面
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19
図20
図21