(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記辺毎に設けられた前記2つ以上の凸部のうち、辺の中央側に位置する凸部の前記枠部の延在方向における寸法は、他の凸部の前記枠部の延在方向における寸法より大であることを特徴とする請求項2に記載の光学ユニット。
前記辺毎に設けられた前記2つ以上の凸部のうち、辺の中央側に位置する凸部の前記枠部の延在方向における寸法は、他の凸部の前記枠部の延在方向における寸法より大であることを特徴とする請求項7に記載の光学ユニットの製造方法。
前記第2溶接工程では、前記凸部に対して前記側板部とは反対側に、前記可動体の光軸方向後側への可動範囲を規定する板状ストッパ部材を重ね、前記一部の凸部に対するレーザビームの照射によって前記板状ストッパ部材、前記板状バネ部材および前記側板部を接合することを特徴とする請求項9に記載の光学ユニットの製造方法。
前記複数の凸部には、光軸方向後側から視認可能な凹部を形成しておき、当該凹部にレーザビームを照射することを特徴とする請求項6乃至10の何れか一項に記載の光学ユニットの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる構成の光学ユニットを構成するには、板状バネ部材の固定体側連結部を固定体に連結する必要があり、かかる連結を行うにあたっては、
図9に示すように、板状バネ部材600の固定体側連結部620に、上カバー250の側板部230の外面側に向けて突出する凸部669を設けておき、凸部669の両端部669a、669bと側板部230の光軸方向後側端面231との重なり部分にレーザビームを照射して、側板部230の光軸方向後側端面231と板状バネ部材600の凸部669の両端部669a、669bとを接合した構成が考えられる。
【0005】
しかしながら、
図9に示す構成では、凸部669のうち、溶接の際に溶融しなかった部分が側板部230から外側に大きく突出した形態となってしまうため、光学ユニットの外形寸法が大きくなってしまうという問題点がある。かといって、固定体側連結部620からの凸部669の突出寸法を短くすると、板状バネ部材600を配置した際のわずかな位置ずれ等によって溶接個所を確保できなくなる虞がある。なお、
図9に示す構成は、本願発明に対する参考例であり、従来技術ではない。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、バネ部材の固定体側連結部に設けた凸部を固定体に用いたカバーの側板部と溶接する構成を採用した場合でも、側板部から外側への凸部の突出を抑えることができる光学ユニット、および光学ユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、光学素子を保持する可動体と、該可動体
と光軸に直交する方向で対向する複数の側板部が前記可動体の周りを囲む金属製のカバーを備えた固定体と、前記
可動体と前記固定体との間に配置された金属製の板状バネ部材と、前記可動体を前記固定体に対して
光軸に交差する軸線周りに回転させる駆動機構と、を有
する光学ユニットにおいて、
前記板状バネ部材は、前記複数の側板部の各々に連結された外周側の固定体側連結部と、前記可動体に連結された内周側の可動体側連結部と、前記固定体側連結部と前記可動体側連結部とを結ぶアーム部と、を備え、前記固定体側連結部は、
前記複数の側板部の各々の光軸方向における被写体側との反対側の端面である光軸方向後側端面に沿って
光軸周りに延在する枠部と、前記枠部から前記側板部の
前記可動体とは反対側の面である外面側に向けて突出し
、光軸方向からみたときに前記光軸方向後側端面
に重なる重なり部分で
前記光軸方向後側端面と
溶接された凸部と、を備え、
前記凸部は、前記固定体側連結部において前記複数の側板部が各々、溶接により固定される溶接個所毎に前記枠部の延在方向で互いに離間するように複数設けられ、前記複数の凸部は各々、
前記枠部からの突出方向における先端部が前記枠部の延在方向に沿う幅方向の全体にわたって前記光軸方向後側端面との溶接による溶融部になっていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、光学素子を保持する可動体と、
該可動体と光軸に直交する方向で対向する複数の側板部が前記可動体の周りを囲む金属製のカバーを備えた固定体と、前記
可動体と前記固定体との間に配置された金属製の板状バネ部材と、前記可動体を前記固定体に対して
光軸に交差する軸線周りに回転させる駆動機構と、を有
する光学ユニットの製造方法において、
前記板状バネ部材は、前記複数の側板部の各々に連結された外周側の固定体側連結部と、前記可動体に連結された内周側の可動体側連結部と、前記固定体側連結部と前記可動体側連結部とを結ぶアーム部と、を備え、前記固定体側連結部は、前記複数の側板部の各々の光軸方向における被写体側との反対側の端面である光軸方向後側端面に沿って光軸周りに延在する枠部と、前記枠部から前記側板部の前記可動体とは反対側の面である外面側に向けて突出し、光軸方向からみたときに前記光軸方向後側端面に重なる重なり部分で前記光軸方向後側端面と溶接される凸部と、を備え、前記凸部は、前記固定体側連結部において前記複数の側板部が各々、溶接により固定される溶接個所毎に前記枠部の延在方向で互いに離間するように複数設けられ、前記固定体側連結部と前記固定体とを連結する連結工程
では、前記光軸方向後側端面と前記凸部との
前記重なり部分にレーザビームを照射して前記凸部の
前記枠部からの突出方向における先端部を前記枠部の延在方向に沿う幅方向の全体にわたって溶融させて前記固定体側連結部と前記固定体とを溶接することを特徴とする。
【0009】
本発明では、バネ部材の固定体側連結部を固定体のカバーに連結するにあたって、バネ部材の固定体側連結部に、カバーの側板部の外面側に向けて突出する凸部を設け、凸部と側板部の光軸方向後側端面との重なり部分で溶接する。ここで、凸部は、溶接個所毎に独立して形成されており、小さい。従って、溶接した際、凸部の先端側全体が溶接による溶融部になるので、凸部の先端側が側板部から外側に張り出すことがない。すなわち、溶接した際、凸部の先端側全体が溶接による溶融部になるので、側板部の外側には溶融部がわずかに突出しているか、側板部の外側に溶融部が一切、突出しない状態にある。このため、光学ユニットの外形寸法を小さくすることができる。
【0010】
本発明において、前記カバーは、
光軸方向からみたときの平面形状が四角であり、前記四角形の4つの辺の各々に相当する4個所に前記側板部を備えた角筒部を備え、前記固定体側連結部は、四角形の辺毎に前記凸部を2つ以上備えていることが好ましい。かかる構成によれば、凸部を溶接個所毎に独立して形成した場合でも、板状バネ部材の固定体側連結部とカバーの側板部とを強固に連結することができる。
【0011】
本発明において、前記辺毎に設けられた前記2つ以上の凸部のうち、辺の中央側に位置する凸部の前記枠部の延在方向における寸法は、他の凸部の前記枠部の延在方向における寸法より大であることが好ましい。かかる構成によれば、板状バネ部材の固定体側連結部とカバーの側板部とを強固に連結することができる。
【0012】
本発明では、前記固定体において前記可動体に光軸方向後側で対向する底板部と、前記可動体との間には、当該可動体を揺動可能に支持する揺動支点が設けられ、前記駆動機構は、前記揺動支点を中心に前記可動体を揺動させる構成を採用することができる。かかる構成によれば、光学ユニットの振れを補正するように可動体を揺動させることにより、振れに起因する光軸の傾きを補正することができる。
【0013】
本発明において、前記辺毎に設けられた前記2つ以上の凸部のうち、一部の凸部を前記光軸方向後側端面に向けて押圧した状態で他の凸部に対してレーザビームを照射する第1溶接工程と、該第1溶接工程の後、前記一部の凸部に対してレーザビームを照射する第2溶接工程と、を行うことが好ましい。かかる構成によれば、溶接を確実、かつ、容易に行うことができる。
【0014】
本発明において、前記第2溶接工程では、前記凸部に対して前記側板部とは反対側に、前記可動体の光軸方向後側への可動範囲を規定する板状ストッパ部材を重ね、前記一部の凸部に対するレーザビームの照射によって前記板状ストッパ部材、前記板状バネ部材および前記側板部を接合することが好ましい。かかる構成によれば、板状バネ部材をカバーに連結する工程に連続して板状ストッパ部材をカバーに仮固定することができる。
【0015】
本発明において、前記複数の凸部には、光軸方向後側から視認可能な凹部を形成しておき、当該凹部にレーザビームを照射することが好ましい。かかる構成によれば、凹部の位置を認識した結果に基づいて、レーザビームを確実な位置に照射することができる。
【0016】
本発明において、前記光軸方向後側端面には、
光軸方向からみたときに前記溶融部と重なる個所に光軸方向前側に向けて凹んで前記凸部が内側に配置される切り欠きが形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、側板部の光軸方向後側端面から固定体側連結部が突出することを回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、金属製の板状バネ部材の固定体側連結部を固定体の金属製のカバーに連結するにあたって、板状バネ部材の固定体側連結部に対して、枠部からカバーの側板部の外面側に向けて突出する凸部を設け、凸部と側板部の光軸方向後側端面との重なり部分で溶接する。ここで、凸部は、溶接個所毎に独立して形成されており、小さい。従って、溶接した際、凸部の先端側全体が溶接による溶融部になるので、凸部の先端側が側板部から外側に張り出すことがない。すなわち、溶接した際、凸部の先端側全体が溶接による溶融部になるので、側板部の外側には溶融部がわずかに突出しているか、側板部の外側に溶融部が一切、突出しない状態にある。このため、光学ユニットの外形寸法を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、光学ユニットとして撮像ユニットの手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸、Y軸、Z軸とし、光軸L(レンズ光軸)に沿う方向をZ軸とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸の一方側(被写体側とは反対側)には+Zを付し、他方側(被写体側)には−Zを付して説明する。
【0020】
(光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
図2は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットの説明図であり、
図2(a)、(b)は、外観等を示す斜視図、および分解斜視図である。
図3は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを細かく分解したときの分解斜視図である。
図4は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットの断面図であり、
図4(a)、(b)はYZ断面図およびXZ断面図である。なお、
図4(a)、(b)では、撮像ユニットの内部についてはレンズホルダ等の図示を省略してある。
【0021】
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット/駆動装置)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ1100(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、撮像ユニット1を備えた可動体3を固定体200内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ(図示せず)、あるいは光学機器1000の本体側に搭載したジャイロスコープ(図示せず)等の振れ検出センサによって手振れを検出した結果に基づいて、可動体3を揺動させる振れ補正用駆動機構(
図1では図示せず)が設けられている。
【0022】
図1、
図2、
図3および
図4に示すように、光学ユニット100には、撮像ユニット1や、後述する振れ補正用駆動機構500への給電等を行うためのフレキシブル配線基板410、420が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板410、420は、光学機器1000の本体側に設けられた上位の制御部等に電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板410は、撮像ユニット1から信号を出力する機能も担っている。このため、フレキシブル配線基板410は、配線数が多いので、フレキシブル配線基板410としては、比較的幅広のものが使用されている。
【0023】
図2、
図3および
図4に示すように、撮像ユニット1は、鋼板等の強磁性板からなる矩形箱状のケース14を有しており、かかるケース14の内側には、レンズ1aを保持するホルダ12やレンズ駆動機構、撮像素子1b(
図4参照)等を保持する素子ホルダ等が設けられている。かかる撮像ユニット1の外形はケース14によって規定されている。
【0024】
光学ユニット100は、まず、固定体200と、撮像ユニット1を備えた可動体3と、可動体3が固定体200に変位可能に支持された状態とする板状バネ部材600と、可動体3と固定体200との間で可動体3を固定体200に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500とを有している。
【0025】
固定体200は上カバー250および下カバー700等を備えており、上カバー250は、撮像ユニット1の周りを囲む角筒部210と、角筒部210の被写体側の開口部を塞ぐ端板部220とを備えている。端板部220には、被写体からの光が入射する窓220aが形成されている。上カバー250において、角筒部210は、光軸方向後側(被写体側とは反対側/Z軸方向の一方側+Z)の端部が開放端になっており、フレキシブル配線基板410、420は、Y軸方向の一方側+Yにおいて角筒部210の光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)を通って外側に引き出されている。
【0026】
下カバー700は、金属板に対するプレス加工品であり、略矩形の底板部710と、底板部710の外周縁から被写体側に向けて起立する3枚の側板部720とを備えている。下カバー700において、Y軸方向の一方側+Yには側板部720が形成されておらず、フレキシブル配線基板410を外部に引き出すのに利用されている。下カバー700の底板部710にはその中央位置に、後述する揺動支点180が構成されている。
【0027】
(可動体3の構成)
本形態の光学ユニット100において、可動体3は、撮像ユニット1と、撮像ユニット1のケース14の外周面を囲む矩形枠状のホルダ7とによって構成されている。ホルダ7は、光軸方向前側に位置する矩形枠状の第1ホルダ部材71と、光軸方向後側で第1ホルダ部材71に対向する矩形枠状の第2ホルダ部材72とからなる。本形態において、第1ホルダ部材71と第2ホルダ部材72との間には、振れ補正用駆動機構500に用いた平板状の永久磁石520が保持されている。すなわち、永久磁石520において光軸方向前側の面には第1ホルダ部材71が固定され、永久磁石520において光軸方向後側の面には第2ホルダ部材72が固定されており、永久磁石520、第1ホルダ部材71および第2ホルダ部材72によって角筒状の永久磁石アセンブリ75が構成されている。このため、角筒状の永久磁石アセンブリ75の内側に撮像ユニット1を挿入した後、撮像ユニット1のケース14の外周面と、永久磁石アセンブリ75の内周面(永久磁石520の内面)とを接着剤等により固定すれば、永久磁石520、第1ホルダ部材71、第2ホルダ部材72および撮像ユニット1を一体化して可動体3を構成することができる。
【0028】
詳しくは後述するように、第2ホルダ部材72は、上カバー250の角筒部210の内側に固定された板状ストッパ部材9に対して光軸方向前側で対向し、板状ストッパ部材9との干渉により、可動体3の光軸方向後側への可動範囲を規定するストッパ機構900を構成している。
【0029】
(板状バネ部材600の構成)
板状バネ部材600は、固定体200側に連結される矩形枠状の固定体側連結部620と、可動体3側に連結される可動体側連結部610と、可動体側連結部610と固定体側連結部620の間で延在する複数本のアーム部630とを備えており、アーム部630の両端は各々、可動体側連結部610および固定体側連結部620に繋がっている。ここで、固定体側連結部620は、詳しくは後述するように、矩形の枠部650と、枠部650の辺部分から外側に向けて突出した凸部660とを備えている。
【0030】
かかる板状バネ部材600を可動体3と固定体200とに接続するにあたって、本形態では、可動体側連結部610が第2ホルダ部材72の光軸方向後側端面に溶接等の方法で固定されている。また、固定体側連結部620は、後述するように、上カバー250の角筒部210の光軸方向後側端面231(側板部230の光軸方向後側端面231)に溶接により連結されている。かかる板状バネ部材600は、SUS系鋼材等といった金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。本形態において、板状バネ部材600は、板厚が50〜100μm、例えば68μmである。
【0031】
ここで、板状バネ部材600の可動体側連結部610を可動体3に連結する一方、固定体側連結部620を固定体200に固定すると、光学ユニット100では、可動体3が揺動支点180によって光軸方向前側に押し上げられた状態となる。このため、板状バネ部材600において、可動体側連結部610は固定体側連結部620よりも光軸方向前側に押し上げられた状態となり、板状バネ部材600のアーム部630は、可動体3を光軸方向後側に付勢する。従って、可動体3は、板状バネ部材600によって揺動支点180に向けて付勢された状態になり、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態となる。
【0032】
(振れ補正用駆動機構500の構成)
本形態の光学ユニット100では、コイル部560と、コイル部560に鎖交する磁界を発生させる永久磁石520と、コイル部560に対する給電用のフレキシブル配線基板420によって、振れ補正用駆動機構500が構成されている。より具体的には、可動体3においてケース14の4つの側面には平板状の永久磁石520が各々固定されており、上カバー250の角筒部210の内面にはコイル部560が固定されている。永久磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、永久磁石520は、光軸L方向に配置された2つの磁石片からなり、かかる磁石片は、コイル部560と対向する側の面が光軸方向で異なる極に着磁されている。また、コイル部560は、略四角形の枠状に形成されており、上下の長辺部分が有効辺として利用される。
【0033】
これらの永久磁石520およびコイル部560のうち、可動体3をY軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はY側振れ補正用駆動機構を構成しており、
図4(a)に矢印X1で示すように、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線を中心にして可動体3を揺動させる。また、撮像ユニット1をX軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はX側振れ補正用駆動機構を構成しており、
図4(b)に矢印Y1で示すように、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線を中心にして可動体3を揺動させる。なお、本形態では、可動体3の光軸方向後側端部にフォトセンサ310、320が設けられており、振れ補正用駆動機構500を駆動した際の可動体3の傾きを検出し、振れ補正用駆動機構500にフィードバックするようになっている。
【0034】
再び、
図2、
図3および
図4において、本形態では、振れ補正用駆動機構500を構成するにあたって、上カバー250の4つの内面に沿って延在するシート状コイル体550が用いられており、シート状コイル体550では、4つのコイル部560が所定の間隔を空けて一体に形成されている。また、シート状コイル体550は展開したときに帯状に延在する形状を備えており、上カバー250の4つの内面に沿うように折り曲げた状態で上カバー250の内面に面接着等の方法で固定されている。シート状コイル体550には、4つのコイル部560から延在する導電層によって複数の端子部が形成されており、かかる端子部に対して、フレキシブル配線基板420が電気的に接続されている。このため、単体の空芯コイルを用いた場合に比して、撮像ユニット1と固定体200との間隔を狭めることができるので、光学ユニット100のサイズを小さくすることができる等の利点がある。
【0035】
(揺動支点の構成)
撮像ユニット1に対して光軸方向後側(Z軸方向の一方側+Z)では、撮像ユニット1と固定体200の下カバー700の底板部710との間に、撮像ユニット1を揺動させる際の支点となる揺動支点180が設けられており、撮像ユニット1は、板状バネ部材600によって揺動支点180を介して下カバー700に向けて付勢されている。本形態においては、下カバー700の底板部710に固定されたエラストマー製の弾性部材185と、可動体3の光軸方向後側端部に設けられた支持板19に形成された凸部190とによって揺動支点180が形成されている。かかる構成によれば、可動体3に光軸方向後側に向かう衝撃が加わった際、弾性部材185によって衝撃を吸収できるので、下カバー700(固定体200)の底板部710が変形することがない。また、振れ補正の制御中に可動体3に加わった不要な振動を弾性部材185で吸収することができるので、共振の発生を防止することができる。
【0036】
(ストッパ機構900の構成)
本形態の振れ補正機能付きの光学ユニット100では、可動体3の光軸方向後側への可動範囲を規定するストッパ機構900が構成されている。より具体的には、固定体200に用いた上カバー250の角筒部210の内面に矩形枠状の板状ストッパ部材9が固定されており、かかる板状ストッパ部材9は、板状バネ部材600に対して光軸方向後側に位置する。板状ストッパ部材9の外形寸法は、第2ホルダ部材72の外形寸法より大きいが、第2ホルダ部材72の外形寸法は、板状ストッパ部材9の内形寸法より大きい。このため、板状ストッパ部材9は、第2ホルダ部材72に対して板状バネ部材600を介して光軸方向後側で対向している。
【0037】
また、板状バネ部材600のアーム部630は、全体あるいは略全体が、板状ストッパ部材9と光軸方向で重なっている。また、板状バネ部材600のアーム部630は、第2ホルダ部材72と光軸方向で重なっている。このため、板状バネ部材600のアーム部630の一部は、第2ホルダ部材72および板状ストッパ部材9の双方と光軸方向で重なっている。
【0038】
このようにして構成したストッパ機構900では、可動体3に衝撃が加わって、弾性部材185を圧縮させながら、可動体3が光軸方向後側に変位した際、可動体3の光軸方向後側への変位が板状ストッパ部材9によって阻止される。このため、板状バネ部材600の変形範囲が限定されているので、板状バネ部材600が塑性変形して損傷することがない。また、可動体3が光軸方向後側に変位した際、第2ホルダ部材72と板状ストッパ部材9とは、板状バネ部材600を介して当接する。このため、ストッパ機構900を構成するにあたって、第2ホルダ部材72と板状ストッパ部材9とを板状バネ部材600を避けて当接させるような構造を採用しなくてもよい。従って、板状バネ部材600周辺の構造を簡素化することができる。また、可動体3が光軸方向後側に変位した際、第2ホルダ部材72と板状ストッパ部材9とは、板状バネ部材600のアーム部630を介して当接する。このため、ストッパ機構900が作動した際、アーム部630が第2ホルダ部材72と板状ストッパ部材9とに挟まれて保護されるので、アーム部630が塑性変形することを防止することができる。
【0039】
さらに、第2ホルダ部材72および板状ストッパ部材9は、光軸周りの全周に設けられているので、第2ホルダ部材72および板状ストッパ部材9の特定個所に大きな力が集中しない。従って、第2ホルダ部材72および板状ストッパ部材9が損傷しにくいとともに、第2ホルダ部材72と板状ストッパ部材9とが当接した際の反動で当接個所とは反対側で可動体3が大きく傾くのを防止することができる。従って、板状バネ部材600の塑性変形を確実に防止することができる。
【0040】
(上カバー250への板状バネ部材600および板状ストッパ部材9の固定構造)
図5は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100における上カバー250への板状バネ部材600および板状ストッパ部材9の固定構造を光軸方向後側の斜めからみた様子を示す説明図であり、
図5(a)、(b)、(c)は、上カバー250に板状バネ部材600と板状ストッパ部材9とを固定した様子を示す説明図、上カバー250に板状バネ部材600を固定した後、板状ストッパ部材9を固定する前の様子を示す説明図、および上カバー250に板状バネ部材600および板状ストッパ部材9を固定する前の様子を示す説明図である。
図6は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に用いた上カバー250、板状バネ部材600および板状ストッパ部材9の各部材の説明図であり、
図6(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は、上カバー250の底面図、上カバー250の側面図、板状バネ部材600の底面図、板状バネ部材600の側面図、板状ストッパ部材9の底面図、および板状ストッパ部材9の側面図である。
図7は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100における上カバー250、板状バネ部材600および板状ストッパ部材9の位置関係等を示す分解斜視図である。なお、
図5〜
図7において、各部材の形状を溶接前の状態で示してある。また、
図5〜
図7においては、板状バネ部材600を光学ユニット100に組み込んだ状態で、可動体側連結部610が固定体側連結部620より光軸方向前側に位置するように変形した形状で示してある。
【0041】
図5、
図6および
図7に示すように、本形態の光学ユニット100において、上カバー250は、4枚の側板部230が周方向で繋がった角筒部210を備えており、かかる側板部230の光軸方向後側端面231に対して、板状バネ部材600の固定体側連結部620および板状ストッパ部材9がレーザ溶接により固定されている。かかる上カバー250は、SUS系鋼材等といった金属板に対するプレス加工により製造されている。側板部230の板厚は、例えば100〜150μm程度、例えば110μmである。
【0042】
ここで、側板部230の光軸方向後側端面231には、光軸方向前側に凹む切り欠き233が形成されており、かかる切り欠き233は、辺方向の中央部分で最も光軸方向前側(Z軸方向の他方側−Z)に位置する底部234と、底部234の両側で段部235を介して底部234に繋がった中間部236とを有しており、中間部236は、底部234よりわずかに光軸方向後側に位置する。なお、4枚の側板部230のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する側板部230では、底部234の一方側のみに段部235および中間部236が形成されている。ここで、底部234は、板状バネ部材600の固定体側連結部620との溶接に用いられ、中間部236は板状ストッパ部材9との溶接に用いられる。
【0043】
(板状バネ部材600の詳細構成)
本形態において、板状バネ部材600の固定体側連結部620は、矩形の枠部650と、枠部650の辺部分から外側に向けて突出した複数の凸部660とを備えている。ここで、枠部650の外形寸法は、角筒部210の内形寸法より小であるが、凸部660は、側板部230の外側までわずかに突出しており、光軸方向からみたとき、凸部660は、側板部230の光軸方向後側端面231のうち、底部234に相当する部分に、互いの板厚方向が直交するように重なっている。かかる構成によれば、凸部660と側板部230の光軸方向後側端面231とを確実に重ねることができる。本形態では、凸部660は、矩形の枠部650の辺毎に2以上が形成されている。より具体的には、枠部650の4つの辺のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する辺には2つの凸部660が形成され、他の3つの辺には各々、3つの凸部660が形成されている。
【0044】
本形態では、凸部660と、側板部230の光軸方向後側端面231のうち、底部234とを溶接する。ここで、凸部660同士は離間している。すなわち、凸部660は溶接予定個所に独立して形成されており、凸部660の辺方向(枠部650が延在している方向)の寸法(幅寸法)は小である。本形態では、各辺に形成された2つ以上の凸部660のうち、辺の中央側に位置する凸部661は、凸部661より辺の端に形成された凸部662に比して辺方向(枠部650が延在している方向)の寸法(幅寸法)が大である。
【0045】
凸部660のうち、側板部230の光軸方向後側端面231と重なる部分には、光軸方向前側に向けて凹んだ円形の凹部666が形成されている。かかる凹部666は、光軸方向後側から視認可能であり、溶接の際、凹部666を基準にしてレーザビームが照射される。固定体側連結部620の枠部650と、アーム部630とは、枠部650の延在方向の中央付近で接続し、固定体側連結部620の枠部650には、アーム部630の根元付近に複数の穴633が形成されている。かかる穴633はバネ定数の調整に利用される。すなわち、アーム部630の根元付近に対してレーザビームを照射して穴633同士を連結させれば、アーム部630の寸法を変更することができるので、バネ定数を調整することができる。
【0046】
(板状ストッパ部材9の詳細構成)
本形態において、板状ストッパ部材9は、矩形の枠部950と、枠部950の辺部分の中央から端にずれた位置で外側に向けて突出した複数の凸部960とを備えている。ここで、枠部950の外形寸法は、角筒部210の内形寸法より小であるが、凸部960は、側板部230の外面と重なる位置まで突出している。このため、板状ストッパ部材9は、凸部960を含めた外形寸法は、角筒部210の外形寸法と同一である。従って、光軸方向からみたとき、凸部960は、側板部230の光軸方向後側端面231のうち、中間部236に相当する部分に互いの板厚方向が直交するように重なっている。かかる凸部960は、枠部950のY軸方向の一方側+Yに位置する辺には1つ形成され、他の3つの辺には2つずつ形成されている。なお、枠部950のY軸方向の一方側+Yに位置する辺には凸部960が1つだけ形成されている。このため、Y軸方向の一方側+Yには、枠部950と側板部230との間に、
図2等に示すフレキシブル配線基板420を通すスペースが確保されている。
【0047】
本形態では、凸部960のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する辺に形成された凸部660は、辺方向の端部の一箇所で、側板部230の光軸方向後側端面231(中間部236の光軸方向後側端面231)と溶接され、他の3つの辺に形成された凸部660は、辺方向の両側2箇所で、側板部230の光軸方向後側端面231(中間部236の光軸方向後側端面231)と溶接される。
【0048】
ここで、凸部960は、光軸方向からみたとき、側板部230に溶接されずに光軸方向後側端面231に重なる第1部分961と、辺方向の端部において第1部分961より小の板厚をもって光軸方向後側端面231に重なる矩形の第2部分962とが設けられており、かかる第2部分962が光軸方向後側端面231と溶接される。本形態において、第2部分962の板厚は、第1部分961の板厚の1/2〜1/3である。例えば、第1部分961の板厚は200μmであり、第2部分962の板厚は80〜100μmである。かかる構成の板状ストッパ部材9は、SUS系鋼材等といった金属板に対するエッチングにより形成され、その際、ハーフエッチングを利用することにより、板厚が異なる第1部分961および第2部分962を形成する。このため、第2部分962の板厚は、第1部分961が位置する側から離間するに伴って徐々に薄くなっている。
【0049】
本形態では、枠部950の辺部分の中央にも、凸部960と同様な凸部970が形成されているが、かかる凸部970は、凸部960の第1部分961と同等の厚さである。ここで、凸部960と凸部970との間は切り欠き975になっており、かかる切り欠き975内に板状バネ部材600の凸部662が位置する。このため、後述するように凸部662で溶接した際に溶接痕によって盛り上がりが発生した場合でも、かかる盛り上がりは切り欠き975内に位置する。従って、板状ストッパ部材9を配置した際、板状ストッパ部材9が上カバー250から浮き上がることがない。
【0050】
(上カバー250への板状バネ部材600および板状ストッパ部材9の固定工程)
図8は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100における上カバー250への板状バネ部材600および板状ストッパ部材9の固定工程を示す説明図であり、
図8(a)、(b)、(c)、(d)は、上カバー250に板状バネ部材600を固定した状態の底面図、上カバー250に板状バネ部材600を固定した状態の側面図、上カバー250に板状ストッパ部材9を固定した状態の底面図、上カバー250に板状ストッパ部材9を固定した状態の側面図である。なお、
図8において、各部材の形状を溶接前の状態で示してある。また、
図8においては、板状バネ部材600を光学ユニット100に組み込んだ状態で、可動体側連結部610が固定体側連結部620より光軸方向前側に位置するように変形した形状で示してある。
【0051】
本形態の光学ユニット100の製造工程において、上カバー250への板状バネ部材600および板状ストッパ部材9の固定工程では、バネ部材固定工程において上カバー250に板状バネ部材600を固定した後、ストッパ部材固定工程において上カバー250に板状ストッパ部材9を固定する。かかる工程は、
図2等を参照して説明したコイル部560やフレキシブル配線基板420を上カバー250の設けた後に行うが、
図5や
図8では、かかる部材の図示を省略してある。また、板状バネ部材600において、可動体側連結部610については可動体3側に設けた第2ホルダ部材72と連結した後、バネ部材固定工程やストッパ部材固定工程を行うが、
図5や
図8では、かかる部材の図示を省略してある。
【0052】
バネ部材固定工程においては、まず、
図5(b)および
図8(a)、(b)に示すように、上カバー250の内側に板状バネ部材600を配置し、凸部660を側板部230の光軸方向後側端面231のうち、底部234に相当する部分に重ねる。
【0053】
次に、バネ部材固定工程の第1溶接工程では、複数の凸部660のうち、一部の凸部661を冶具によって側板部230の光軸方向後側端面231に向けて押圧する。その結果、他の凸部662は、側板部230の光軸方向後側端面231に当接する。この状態で、他の凸部662に形成された凹部666の位置を自動検出し、かかる凹部666に向けてレーザビームを照射する。
【0054】
その際、凸部661は、溶接予定個所に独立して形成されており、凸部660の辺方向(枠部650が延在している方向)の寸法(幅寸法)は小である。このため、凸部662の先端側全体が溶接による溶融部となる。また、凸部662の全体が溶接による溶融部となる。従って、凸部662の先端側が側板部230から外側に張り出すことがない。すなわち、溶接した際、凸部662の先端側全体が溶接による溶融部になるので、側板部230の外側には溶融部がわずかに突出しているか、側板部230の外側に溶融部が一切、突出しない状態にある。いずれの場合も、凸部660の先端部が溶融せずに残る場合に比して、光学ユニット100の外形寸法を小さくすることができる。
【0055】
また、複数の凸部660のうち、一部の凸部661を冶具によって側板部230の光軸方向後側端面231に向けて押圧することにより、他の凸部662を側板部230の光軸方向後側端面231に当接させるため、他の凸部662を側板部230に当接させた状態で他の凸部662に対して光軸方向後側は開放状態にある。それ故、凸部662に対して光軸方向後側からレーザビームを確実に照射することができるので、溶接を確実、かつ、容易に行うことができる。
【0056】
また、凸部660には、光軸方向後側から視認可能な凹部666が形成されているので、凹部666の位置を認識した結果に基づいて、レーザビームを確実な位置に照射することができる。
【0057】
次に、バネ部材固定工程の第2溶接工程では、
図5(a)および
図8(c)、(d)に示すように、板状バネ部材600に対して光軸方向後側に板状ストッパ部材9を重ねる。その結果、光軸方向からみたとき、板状ストッパ部材9の凸部960、970は、側板部230の光軸方向後側端面231に重なる。ここで、板状ストッパ部材9の凸部960に形成した第2部分962は、側板部230の光軸方向後側端面231に接するように重なる一方、板状ストッパ部材9の凸部970は、板状バネ部材600の凸部661に接するように重なる。そこで、板状ストッパ部材9の凸部970と板状バネ部材600の凸部661との重なり部分に対して斜め方向あるいは横方向からレーザビームを照射し、板状ストッパ部材9の凸部970と板状バネ部材600の凸部661とを溶接する。その際、板状ストッパ部材9の凸部970と上カバー250の側板部230も溶接される。それ故、板状バネ部材600を上カバー250に連結する工程に連続して、板状ストッパ部材9は、上カバー250に仮固定される。その際、凸部661の先端側全体が溶接による溶融部となるため、凸部661の先端側が側板部230から外側に張り出した状態で残らない。
【0058】
また、辺毎に設けられた凸部660のうち、辺の中央側に位置する凸部661の枠部650の延在方向における寸法(幅寸法)は、他の凸部662の幅寸法より大であるため、板状バネ部材600の固定体側連結部620と上カバー250の側板部230とを強固に連結することができる。
【0059】
さらに、板状バネ部材600の固定体側連結部620は、四角形の辺毎に溶接用の凸部660を2つ以上備えている。このため、凸部660を溶接個所毎に独立して小さく形成した場合でも、板状バネ部材600の固定体側連結部620と上カバー250の側板部230とを強固に連結することができる。
【0060】
次に、ストッパ部材固定工程では、板状ストッパ部材9の凸部960に形成した第2部分962に対してレーザビームを照射し、板状ストッパ部材9の凸部960と側板部230とを溶接する。かかる溶接の際、板状ストッパ部材9には、第1部分961より小の板厚をもって光軸方向後側端面231に重なる第2部分962が設けられ、かかる第2部分962で溶接を行う。このため、側板部230および板状ストッパ部材9の双方を溶融させる場合でも、レーザの焦点深度でカバーする範囲が狭くてよいので、レーザ出力を低減することができる。従って、溶接個所を適正に溶融させることができる。それ故、溶融材料の飛散を抑制することができるので、周辺の汚染や、溶接に寄与する溶融部の縮小を抑制することができるとともに、ビードの増大等を抑制することができる。また、コイル部560やフレキシブル配線基板420への溶融材料の飛散を抑制することができるので、飛散物に起因する不具合の発生を抑制することができる。
【0061】
また、板状ストッパ部材9において溶接個所以外の板厚を大とすることができるので、板状ストッパ部材9においてストッパとして十分に大きな強度を確保することができる。
【0062】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、撮像ユニット1にレンズ駆動機構等が構成されている例を説明したが、撮像ユニット1にレンズ駆動機構が搭載されていない固定焦点タイプの光学ユニットに本発明を適用してもよい。
【0063】
さらに、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のカバン、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。さらに、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダーとして用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、カーナビゲーションの道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることもできる。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
【0064】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。
【0065】
さらに、上記実施の形態では、光学ユニット100に用いた2つの板状部材(上カバー250の側板部230(第1板状部材)および板状ストッパ部材9(第2板状部材))を溶接するにあたって、溶接部(第2部分962)を薄板化したが、モータ等の駆動装置において、コイルを支持するステータコア(第1板状部材)の端面に端板(第2板状部材)等を溶接する場合に溶接部を薄板化してもよい。