(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
[画像形成システム]
以下、図示の好適な実施の形態に従って本発明を詳述する。
図1は画像形成システムを示し、シート上に画像形成する画像形成装置Aと、画像形成されたシートを部揃え集積して綴じ処理などの後処理を施す後処理装置Bで構成されている。本発明に係わるシート収納装置Cは後処理装置Bに内蔵されている。以下画像形成装置、後処理装置の順に説明する。
【0031】
[画像形成装置]
図1に示す画像形成装置Aは、図示しないコンピュータ、ネットワークスキャナなどの画像取り扱い装置に連結され、これらの装置から転送された画像データに基づいて指定されたシートに画像を形成して所定の搬出口(後述する排紙口)に搬出する。また、このようなネットワーク構成以外に画像形成装置Aは、複写機、ファクシミリとして構成され、原稿スキャニングユニットで画像読取したデータに基づいてシート上に画像を複写形成する。
【0032】
このため画像形成装置Aはハウジング1に複数の給紙カセット2が準備され、選択されたサイズのシートをカセットから下流側の給紙経路3に給送する。この給紙経路3には画像形成機構(画像形成部)4が設けられている。画像形成機構4としては、種々のものが知られている。例えばインクジェット印刷機構、静電印刷機構、オフセット印刷機構、シルクスクリーン印刷機構、リボン転写印刷機構などが知られている。本発明はいずれの印刷機構も採用可能である。
【0033】
画像形成機構4の下流側には排紙経路5が設けられ、ハウジング1に配置した排紙口6(以下本体排紙口という)からシートを搬出する。なお印刷機構によっては排紙経路5に定着ユニット(不図示)が内蔵されている。このように給紙カセット2から選択されたサイズのシートを画像形成部4に送り、画像を形成した後に排紙経路5から本体排紙口6に搬出する。
【0034】
このほかハウジング1内にはデュープレックス経路7が配置されている。このデュープレックス経路7は画像形成部4でシートの片面に画像形成した後、このシートを表裏反転して再び画像形成部4に再給送し、シートの裏面に画像形成して本体排紙口6に搬出する両面印刷のための構成である。このためデュープレックス経路7は、排紙経路5から送られたシートを、その搬送方向を反転させるスイッチバックパス7aと、このパスから送られたシートを表裏反転するUターンパス7bで構成される。図示8はハウジング1に形成された連結口であり、後処理装置Bに配置されたスイッチバックパス7aにデュープレックス経路7を連結している。
【0035】
そして
図1に示す装置はスイッチバックパス7aを後処理装置Bに内蔵し、Uターンパス7bを画像形成装置Aに内蔵している。これは排紙経路5から送られたシートをスイッチバック(搬送方向を反転)するために最大シートサイズの経路長が必要となり、この経路を後処理装置Bの空きスペースを利用することによって装置全体をコンパクト化するためである。
【0036】
図示のスイッチバックパス7aは直線路とガイドトレイで構成され、直線路は後述する後処理装置Bの後処理部(ステープル綴じ部)17の底部に配置され、ガイドトレイは直線路に連続し、後処理装置Bのハウジング10から外方に突出したトレイで構成している。
【0037】
また、図示のものと異なる装置構成としてハウジング1にスキャナユニットと、このスキャナユニットに原稿シートを給送するフィーダユニットを一体的に組込む構成も採用可能である。この場合にはスキャナユニットは、プラテン上に載置若しくはフィーダ機構(ADF)から給送した原稿シートを、スキャニングして画像読取し、その読取データを画像形成装置Aに転送する。また、原稿給送ユニットはスキャナユニットのプラテンに原稿シートを給送するフィーダ機構で構成する。
【0038】
[後処理装置]
図2に示す後処理装置Bはハウジング10と、このハウジング内に内蔵されたシート搬送経路(以下「排紙経路」という)11と、処理トレイ16と、スタックトレイ40で構成されている。以下その構成を説明する。
【0039】
「シート搬送経路(排紙経路)」
排紙経路11は前述の画像形成装置Aの本体排紙口6に連なる搬入口12と、
図2に示す経路排紙口13a(第1排紙口;以下同様)を備えている。そして搬入口12から画像形成されたシートを後処理装置内に搬入し、経路排紙口13aから搬出する。この経路排紙口13aの下流側には処理トレイ16とスタックトレイ40が段差(
図6に示すdh1、dh2)を形成して配置されている。そして搬入口12から搬入したシートを排紙経路11の下流側で処理トレイ16とスタックトレイ40に振り分け搬送するようになっている。
【0040】
排紙経路11の搬入口12にはシート先端(及び/又は後端)を検出する搬入センサSe1が、経路排紙口13aにはシート先端及び後端を検出する排紙センサSe2(
図2参照)が配置されている。また、経路中にはシートを搬送する
図2に示す搬送ローラ14a、14bが適宜間隔に配置されている。そして経路の出口端には排紙ローラ15が配置されている。この排紙ローラ15の構造については後述する。
【0041】
上記各搬送ローラ14a、14b及び排紙ローラ15は、シート幅方向(排紙直交方向)に間隔を隔てた複数のローラ列で構成され、個々のローラはシートをニップして搬送力を付与するように圧接するローラ対で構成されている。
【0042】
また、図示の排紙経路11はハウジング10を横断する略水平方向に略直線経路で構成されている。この排紙経路11の経路排紙口13aには、その下流側に処理トレイ16と、スタックトレイ40が以下の構成で配置されている。
【0043】
「処理トレイ」
図2に示すように、処理トレイ16は、経路排紙口13aと段差(
図6(a)に示すdh1)を形成して、その下流側に配置されている。この処理トレイ16はシートを積載支持する紙載台16sと、この紙載台16s上の処理位置にシートを位置決めする規制ストッパ18と、後処理手段17(図示のものはステープル綴じ装置)で構成されている。なお紙載台16sには図示しないがシートを幅方向の基準(サイド基準板)に幅寄せ整合する整合手段が配置されている。
【0044】
図示の紙載台16sは経路排紙口13aから処理位置にシートをバック搬送(スイッチバック搬送)する位置関係に配置されている。これは経路排紙口13aに送られたシートを、その先端部は後述するスタックトレイ40(その最上紙の上で)で支持し、シート後端部は紙載台16sで支持(ブリッジ支持)することによって装置の小型化を図っている。
【0045】
また、紙載台16sにはシート後端を突き当て規制する規制ストッパ18と、シートの排紙直交方向を幅寄せ整合する整合機構(不図示)が配置されている。この整合機構はすでに種々の機構が知られているのでその説明を省くが、処理トレイ上に搬入されたシートは、予め設定された基準(センタ基準、サイド基準)に位置決めされる。図示の装置はセンタ基準で整合する場合を示している。
【0046】
紙載台16sには部揃え集積されたシート束を綴じ処理するステープルユニットが後処理手段17として配置されている。ステープルユニット(後処理手段)17は直線形状のステープル針をコの字状に折り曲げてシート束の最上紙面から最下紙面に刺入し、針斥先端を折り曲げる装置として知られている。後処理手段17としては図示のステープルユニットの他、図示しないシート折りユニット、パンチユニット、スタンプユニット、トリマーユニットなどが装置仕様に応じて採用される。
【0047】
上記処理トレイ16には、排紙方向下流側に後述するスタックトレイ40が配置され、処理トレイ16にはスタックトレイ40にシートを搬出するトレイ排紙口13b(第2排紙口;以下同様)が設けられている。そして前述の経路排紙口13aとトレイ排紙口13bとの間には間隔L1(
図6(a)及び
図9(a)参照)が形成され、両排紙口13a、13bの間に反転ローラ機構20が配置されている。
【0048】
この反転ローラ機構20は経路排紙口13aに送られたシートを排紙方向下流側に搬送し、シート後端が経路排紙口13aを通過した段階で搬送方向を反転する。この排紙方向前後に配置された排紙口13a、13bの間に反転ローラ機構20が配置されている。この反転ローラ機構20は経路排紙口13aから送られたシートを排紙方向下流側に搬送し、シート後端が経路排紙口13aを通過した段階で搬送方向を反転する。するとシートは搬送方向を反転され、その後端が段差dh1を落下して処理トレイ16に案内され、後述する摩擦回転体19で規制ストッパ18に突き当てられその位置に停止する(後述する第1排紙モードの場合)。
【0049】
処理トレイ16には、経路排紙口13aに配置された後述する反転ローラ機構20と協
働してシートを規制ストッパ18に案内する摩擦回転体19が配置されている。図示の摩擦回転体19は紙載台16s上の積載シートに係合する位置に配置されている。この摩擦回転体19は掻込みローラ(ベルトであっても良い)で構成され、排紙ローラ15と一体に回転するように駆動ベルトで伝動されている。そして自重で積載シートの上に係合している。この掻き込みローラである摩擦回転体19の回転で反転ローラ20からバック搬送されたシートは規制ストッパ18に搬送され、突き当て停止する。
【0050】
「反転ローラ機構」
図3は反転ローラ機構20の説明図であり、(a)は断面構造を、(b)は平面構造を示す。この反転ローラ機構20は経路排紙口13aに送られたシートの幅方向中央に間隔Ls1(
図3(b)参照)を隔てて配置された左右一対のローラ21(21R、21L)、22(22R、22L)で構成されている。この反転ローラ機構20は経路排紙口13aから送られたシートを排紙方向に移送した後、搬送方向を反転させて処理トレイ16に搬入する第1排紙動作と、経路排紙口13aから送られたシートを排紙方向に移送してスタックトレイ40に収納する第2排紙動作を選択的に実行する。
【0051】
このため反転ローラ機構20は経路排紙口13aの下流側で、処理トレイ16のトレイ排紙口13bに配置されている。そして上記第1排紙動作のときにはローラは排紙方向に正回転した後、排紙反対方向に逆回転し、第2排紙動作のときにはローラは排紙方向にのみ正回転し、経路排紙口13aから送られたシートをトレイ排紙口13bからスタックトレイ40に搬送する。
【0052】
反転ローラ機構20は、シート上面と係合する上部ローラ21とシート下面と係合する下部ローラ22で構成されている。図示のものは、上部ローラ21と下部ローラ22をシート中央部に間隔Ls1を隔てて配置された左右1対のローラ21R、21Lとローラ22R、22Lで構成している。また、上部ローラ21は装置フレームFに揺動可能に支持され下部ローラ22に対して圧接した作動位置Apと離間した待機位置Wpとの間で昇降可能に構成されている(
図3参照)。
【0053】
上部ローラ21には、
図3(a)に示すようにローラ駆動モータRMが連結され、このモータは正逆転モータで構成されている。従って上部ローラ21(21R、21L)は排紙方向(図示時計方向)と、排紙反対方向(図示反時計方向)に回転を切り換えるようになっている。
【0054】
装置フレームFには、揺動支点23を中心に揺動可能に左右一対のローラブラケット(揺動アーム)24が支持されている。この一対のローラブラケット24にはローラ回転軸25が回転可能に軸受け支持され、この回転軸に上部ローラ21が嵌合されている。揺動支点23は装置フレーム(
図5参照)に回転可能若しくは固定手段で支持され、この揺動支点23にローラブラケット24が直接若しくはカラー部材を介して嵌合されている。
【0055】
これによってブラケット基端部は揺動支点23を中心に任意の角度方向に揺動可能に支持されている。また、回転支軸23には、カラー部材(回転カラー)が遊嵌され、このカラー部材には上部ローラ21の回転軸25に回転を伝達する駆動プーリ26が連結されている。そして駆動プーリ26にはローラ駆動モータRMが連結されている。
【0056】
上述のローラブラケット24には、上部ローラ21が下部ローラ22から離間した待機位置Wpと、下部ローラ22に圧接した作動位置Apとの間で上下動する昇降機構が設けられている。その昇降機構を
図4に示す。同図(a)に示すように揺動支点23を中心に揺動するローラブラケット24の運動軌跡内に昇降レバー30が配置してある。この昇降レバー30は基端部を回転軸30aに揺動可能に支持されている。この回転軸30aには扇形ギア31が、昇降モータSMに連結されている。そして昇降モータSMの回転で昇降レバー30は所定角度範囲で回転(揺動)するように構成されている。
【0057】
昇降レバー30の先端部には、作動ピン30bが一体に形成され、ローラブラケット24には作動ピン30bと係合する係合受部(長溝)24xが形成されている。この作動ピン30bと係合受部24xとは、作動ピン30bが係合受部24xと係合する
図4(a)のときにはローラブラケット24は待機位置に位置し、作動ピン30bが係合受部24xから離れた状態のときには、ローラブラケット24は、その自重で上部ローラ21が下部ローラ22と圧接した作動位置に位置する(
図4(b)の状態)。
【0058】
更に、作動ピン30bが、可動バー28を押下すると加圧スプリング27が緊縮され、そのバネ力が上部ローラ21と下部ローラ22の圧接力としてローラブラケット24に付加される(
図4(c)の状態)。このように昇降モータSMの角度制御で昇降レバー30を
図4(a)の状態から(b)(c)の状態に変位させると、上部ローラ21は下部ローラ22から離間した状態と、低加圧力で圧接した状態と、高加圧力で圧接した状態に変位する。図示29はローラブラケット24に設けたストッパ片であり、可動バー28の揺動運動を上限規制している。
【0059】
このような構成で、昇降モータSMを所定方向(
図4時計方向)に回転すると
図4に示す昇降レバー30は、ローラブラケット24を上部ローラ21が下部ローラ22から離れる方向に上昇させて位置移動する。この状態でローラブラケット24は図示しないストッパに係止されて上昇した待機位置に移動し、モータ、伝動機構などの負荷でその位置に保持される。また、昇降モータSMを反対方向に回転すると昇降レバー30は同図反時計方向に回転し、ローラブラケット24は揺動支点23を中心に自重で降下(落下)する方向に回転し、上部ローラ21が下部ローラ22に圧接する。
【0060】
このローラ昇降と共にローラ駆動モータRMは上部ローラ21に回転を伝達し、この駆動モータは正逆転可能なモータで構成されている。この場合、上部ローラ21の制御は次の第1と第2の動作を実行するように構成する。
【0061】
第1の排紙動作は、上部ローラ21を下部ローラ22に圧接した状態で排紙方向に回転しながら経路排紙口13a(
図2参照)からシートを搬送する。ローラニップ間にシート先端が進入するとこのシートは排紙ローラ15(
図2参照)と反転ローラ20の両方から搬送力を受けて排紙方向に送り出される。
【0062】
次にシート後端が経路排紙口13aから離脱した段階(排紙センサSe2(
図2参照)の検知信号の直後)で、上部ローラ21の回転方向を逆転させる。するとシート後端が経路排紙口13aから処理トレイ16に落下するのと同時にシート先端が上部ローラ21でバック搬送される。なお、この排紙方法は、処理トレイ16に最初のシートを搬入するとき(シート同士が擦れ合うことがないとき)の制御として採用される。このときの上部ローラ21と下部ローラ22の圧接力は高加圧力(
図4(c)の状態)に設定されている。
【0063】
第2の排紙動作は、下部ローラ22の上に既に先行するシートが積載されているとき、上部ローラ21を待機位置に保持した状態で経路排紙口13aから搬出されるシートを待つ。シート後端が経路排紙口13aから繰出されたタイミングで上部ローラ21を待機位置Wpから作動位置Apに下降させる。このローラ下降の動作と前後してローラ駆動モータRMを排紙方向と反対方向に回転させる。すると経路排紙口13aから送られたシートはその後端が処理トレイ16に落下し、この後端側を先頭に上部ローラ21から受けた搬送力で規制ストッパ18に向かって移送される。このとき上部ローラ21の加圧力は低加圧力に設定されている。
【0064】
なお、上部ローラ21は揺動支点23を中心にローラブラケット24とは異なる昇降レバー30によって、待機位置、低加圧圧接位置、高加圧圧接位置の間で上下動する構成を説明した。このほか、ローラブラケット24の揺動支軸23にバネクラッチを介在させ、このバネクラッチを介して回転軸(回転カラーなど)を正逆方向に駆動回転する。これによってバネクラッチが緊縮する方向に回転するとローラブラケット24を圧接位置から上昇位置に移動し、バネクラッチが弛緩する方向に回転するとローラブラケット24を上昇位置から圧接位置に下降させることとなる。なおこの場合に圧接加圧力を強弱2段階に調整する場合には、ローラブラケット24をバネ圧で加圧する加圧機構(加圧レバーなど)を付加する。
【0065】
次に上部ローラ21と下部ローラ22の構成について
図3(b)に従って説明する。上部ローラ21は上述したように下部ローラ22と圧接した作動位置Apと、離間した待機位置Wpとの間で位置移動し、作動位置では低加圧状態と高加圧状態に圧接力を調整可能とする。上部ローラ21は大径ローラ体21aと小径ローラ体21bの組み合わせで構成され、大径・小径のローラ体が1対若しくは2対或いはそれ以上の組合せでシート幅方向に配列されている。図示の大径ローラ体21aと小径ローラ体21bはシートセンタを中心に等距離間隔に小径ローラ体21b、その外側に大径ローラ体21aが配置されている。
【0066】
上部ローラ21はシートセンタを中心に左右対称に大径と小径のローラ体で構成されている。そして大径ローラ体21aは、小径ローラ体21bより外径がΔdだけ大きく、またスポンジ、軟質ゴムなどの軟質部材で構成されている。小径ローラ体21bは大径ローラ体21aよりΔdだけ小さく、合成樹脂などの硬質部材で構成されている。このように異なる外径で構成された上部ローラ21に対し、下部ローラ22は同一外径の比較的硬度に富んだ素材で構成されている。
【0067】
このように大径ローラ体21aと小径ローラ体21bの外径差(Δd)と硬度差は、低加圧力で下部ローラ22に圧接するときには、大径ローラ体21aは弾性変形することなく下部ローラ22と圧接し、小径ローラ体21bは下部ローラ22と間隔(ギャップ)を形成して圧接しないように設定されている(
図4(b)の状態)。また、高加圧力で下部ローラ22に圧接するときには大径ローラ体21aは弾性変形して小径ローラ体21bと共に下部ローラ22と圧接する(
図4(c)の状態)。
【0068】
そして
図4(b)に示すように大径ローラ体21aが弾性変形することなく下部ローラ22と圧接するときには、接触面積が小さくローラの回転によって付与される搬送力は小さくなる。これは、下部ローラ22の上にシートが積載され、その上に経路排紙口13aからシートが送られ、このシートを上部ローラ21で排紙反対方向に搬送するときには、積載されているシートと搬入されたシートが互いに擦れ合うこととなる。このときローラの圧接力が大きいとシート相互間で画像インクが擦れるインク擦れを引き起こす。これと共にローラ表面に付着したインクなどがシート表面を汚損することとなる。
【0069】
更に図示の装置は大径ローラ21aが変形することなく下部ローラ22と係合した状態では、シートの搬送方向が同図矢印に示すように紙載台16sの紙載面とほぼ同一方向にシートを搬送するようにローラ圧接角度を設定してある。つまりゼロ若しくはゼロに近い状態に設定してある。これは処理トレイ16に搬入するシートが積載されているシートと擦れ合う程度を軽減するためである。このようなシート相互間の摩擦力の軽減は、上流側の画像形成装置Aで高速に画像を形成した場合、あるいは画像形成インクの特性でインク擦れし易い印刷条件の時に特に有効である。
【0070】
図4(c)に示す大径ローラ体21aが弾性変形して下部ローラ22と圧接するときには接触面積が大きくローラ回転によってシートに付与される搬送力も大きくなる。これと共に、図示の装置は搬送方向が、紙載台16sの紙面から同図角度θaだけ上向き方向に搬送される。
【0071】
このように上部ローラ21を大径ローラ体21aと小径ローラ体21bで構成し、各ローラに付与する加圧力を高低2段階に変更することによって経路排紙口13aに送られたシートを搬送モードに応じて
図4(b)(c)のように搬送メカニズムを変更することが出来る。つまり、経路排紙口13aに送られたシートを、スイッチバック搬送して処理トレイ16に案内するときにはシート相互間のインク擦れを防止し、経路排紙口13aからシートをスタックトレイ40に搬送するときには、その排紙方向を上向き姿勢で放物線方向にトレイに向けて移送することとなり、トレイ上の紙面の比較的遠方にシートを搬出することができる。
【0072】
このように反転ローラ20を大径と小径のローラ対で構成したのは次の理由による。反転ローラ20は後述する「第1排紙モード」と「第2排紙モード」で経路排紙口13aに送られたシートをスタックトレイ40と処理トレイ16に選択的に排送する。第1排紙モードでは、経路排紙口13aに送られたシートを1枚ずつ上部ローラ21と下部ローラ22でニップして下流側のスタックトレイ40に給送する。
【0073】
従って第1排紙モードではシートが下部ローラ22と上部ローラ21の間に1枚ずつニップされているので、ローラとシートの間に滑りが発生することなくローラの回転で確実に下流側に搬送される。上記第2排紙モードでは、経路排紙口13aから送られたシートは既に積載されている最上シートの上に搬入され、最上シートの紙面上を滑りながら排紙方向に、次いで上部ローラ21で押圧されて排紙反対方向に搬送される。
【0074】
このように異なる搬送モードでは第1排紙モードのニップ搬送では強い圧接力でシート(後述する束搬出モードではシート束)を、下流側のスタックトレイ40に確実に排紙収納することができる。また、第2排紙モードでは、シート相互間の滑りが避けられず、この場合にシート表面に形成されている画像のインク擦れの恐れがあるので弱い圧接力で、シートを搬送することが望ましい。
【0075】
さらに、ローラ表面を例えば画像形成インクとの相性(融着性)から、表面コーティングする場合がある。図示のローラはシートをニップして搬送する小径ローラ21bと下部ローラ22の各表面をセラミックコーティング、弗素コーティングなどの表面硬化処理を施している。これによってシート上のインクが不完全定着であってもローラ表面に溶着してインク擦れ、後続シートを汚損する恐れがない。
【0076】
また、後述する第2排紙モードでは経路排紙口13aから送られたシートを紙載台16sの上に積層上に集積し、その最上シートの上に経路排紙口13aから送られたシートを上部ローラ21で排紙方向、次いで排紙反対方向に給送してスイッチバック搬送する。この上部ローラ21は、紙載台16s上に積載されているシートと経路排紙口13aから搬入されたシートを互いに強く擦り合わないように搬送して所定の後処理位置に搬送する必要がある。
【0077】
これはシート相互が擦れ合うときに画像のインク擦れが生ずる恐れと、ローラ表面に付着したインク層がシート面に付着する問題がある。このシート間の画像ズレと汚損を解決するため上部ローラ21を大径ローラで構成することと、スポンジなどの軟質ローラで構成している。これと共にローラ接点をシートが紙載台表面に沿う方向に移動するようにローラの圧接角度を設定している。
【0078】
これと共に処理トレイ16に搬入されるシートは、大径ローラ21aのみがシート表面に圧接し小径ローラ21bは圧接することなくギャップが形成されている。このためローラとシートとの接触面積は小さく、同時にその加圧力が軽加圧力に設定されているからシート相互間(積載されているシートと搬入されたシート)に発生する静電気は微弱となり静電気が蓄積されて後続するシートの搬送を阻害することもない。
【0079】
なお処理トレイ16に集積したシート束を綴じ処理した後、反転ローラ機構20で下流側のスタックトレイ40にシート束を搬送する構成を説明したが、このほか反転ローラ機構20と共に処理トレイ16からシート束を搬出するコンベア手段を配置することも可能である。
【0080】
規制ストッパ18は
図2に示すようにシート後端を突き当て規制する板状部材で構成され、シート幅方向に1カ所若しくは距離を隔てて複数箇所に配置する。このストッパは、ステープラユニットなどの後処理手段17と共にシート後端縁に配置されるから、ステープラユニット17をシート幅方向に位置移動可能に構成する場合には、この規制ストッパ18もステープラユニット17と連動してシート幅方向に位置移動するように構成する。また、ステープラユニット17をシート幅方向に位置移動することなく固定して配置するときには、このステープラユニットに規制ストッパ18を一体形成することも可能である。
【0081】
[スタックトレイ]
次にスタックトレイ40について説明する。
図2及び
図5に示すようにスタックトレイ40は排紙経路11の経路排紙口13aの下流側に配置されている。そしてこの経路排紙口13aの下流側には前述した処理トレイ16が配置され、経路排紙口13aと処理トレイ16のトレイ排紙口13bの下流側にスタックトレイ40が配置されている。なお、経路排紙口13aからは単シートが送り出され、トレイ排紙口13bからは単シートとシート束が送り出され、いずれもスタックトレイ40に収納される。
【0082】
スタックトレイ40は、トレイ架台41と、紙載トレイ42で構成されている。トレイ架台41は装置フレームFに所定のストロークで上下動するように支持されている。紙載トレイ42はシートを積載収納するトレイ面を有するトレイ形状に構成されている。紙載トレイ42はトレイ架台41に支持されているが、このとき紙載トレイ42はトレイ架台41に対しシート幅方向に所定量ジョグシフトするジョグシフト機構(不図示)が設けられている。
【0083】
「トレイ昇降機構」
図5にスタックトレイ40の昇降機構を示す。装置フレームFには積載方向上下にガイドレール43(
図5参照)が配置され、このガイドレール43に、トレイ架台41の連結部(ジョイントプレート)に固定したスライドコロ44が嵌合されている。ガイドレール43は棒状ガイド、チャンネル鋼、H形鋼などで構成され、これにトレイ架台41が摺動可能に嵌合されている。
【0084】
トレイ架台41は、紙載トレイ42とこれに積載されたシートの荷重を支える強度のフレーム構造に構成され、同様に堅固に構成されたガイドレールに片持支持されている。また、装置フレームFにはガイドレール43の上端部に懸架プーリ45aが、下端部に巻上げプーリ45bが軸固定されている。そして両プーリ間には、例えばワイヤ、歯付ベルトなどの牽引部材45cが懸け渡されている。巻き上げプーリ45bには、巻き上げモータMMが減速機構を介して連結されている。
【0085】
これと同時にトレイ架台41には、ウエイト軽減用のコイルスプリング46が装置フレームFとの間に架け渡してある。つまりスプリング46の一端(
図5下端部)が装置フレームFに固定してあり、他端(
図5上端部)は牽引プーリ47を介してトレイ架台41に固定してある。このコイルスプリング46には初張力が付加してある。従って、紙載トレイ42とこれに積載されたシートはコイルスプリング46の弾性力に応じてその重量が軽減され巻上げモータの負荷トルクが低減される。このほかコイルスプリングの代わりに重錘を吊下げプーリから垂下させるウエイト軽減機構を採用しても良い。
【0086】
「紙載トレイ」
紙載トレイ42は、上方の経路排紙口13aから送られたシートを積層状に載置する紙載面42aを備えている。この紙載面42aは水平姿勢であっても良いが、所定角度で傾斜している。これは積載したシートを自重で後端側に姿勢修正させるためである。この紙載面42aの傾斜角度は水平線に対しに30度から45度程度が適切である。30度以下のときにはシートの姿勢修正が難しく、45度以上のときにはカールしたシートがトレイ進入時に転倒する恐れが生ずる。紙載トレイ42はトレイ架台41に支持され、ガイドレール43に沿って上下動する。また装置フレームFにはシート後端部を規制する後端規制面48fを有するフェンスプレート48が配置されている。
【0087】
本発明は、上述の排紙経路11からシートを処理トレイ16及びスタックトレイ40に選択的に移送する際に次の問題を解決するためにシートに腰づけするコルゲーション付与手段50と、腰づけしたシートの歪曲をフラットに矯正するディカール手段を設けたことを特
徴としている。
【0088】
(コルゲーション付与手段50及びディカール手段60を備えない装置におけるシート搬送の不具合)
排紙経路11と処理トレイ16との間に高低差(段差dh1)を形成すると、経路排紙口(第1排紙口)13aとトレイ排紙口(第2排紙口)13bと処理トレイ上の摩擦回転体19との間には3角形状のスペースが形成される。そして経路排紙口13aからシート先端はトレイ排紙口13bとの間に配置された反転ローラ20に向けて空中をジャンプする。
【0089】
このため第1第2排紙口13a,13bは排紙口間隔L1が長いとカールした用紙、薄紙用紙など腰の弱い用紙、例えば下方(下向きがある)にカールした用紙は先端が反転ローラ20に到達することなく処理トレイ16に巻き込まれてシートジャムを引き起こす。従ってシート先端が第1排紙口13aから第2排紙口13bにジャンピング搬送されるときにジャムすることなく確実に到達する搬送機構が必要となる。また第1排紙口13aから排出されたシートは反転ローラ20で搬送方向を反転され、シート後端から処理トレイ16上の規制ストッパ18に給送される。このときシート先端がカール、あるいは薄紙など腰が弱いとストッパに確実に到達しないことがある。
【0090】
また、スタックトレイ40にトレイ排紙口(第2排紙口)13bから搬出されるシートは、高低差dh2を有する紙載トレイ42の紙載面42aに収納される。このとき紙載面42aが排紙方向前方に従って高く傾斜しているときにはシートは上方に反り返るように変形しながら紙載面42a上の最上紙の上を滑る。このときシートに腰づけされているとトレイ排紙口13bから搬入されるシートの動きで積載されている最上シートをトレイ外方に位置ズレさせ、その姿勢を崩すことがある。
【0091】
このような不具合を解決するためには、シートは経路排紙口13aからトレイ排紙口13bに搬送するまでは、腰付手段を配置して確実に下流側に搬送する必要がある。またシート前端がスタックトレイ40の最上シートの上を滑りながら排紙されるときには、シートは腰づけされることなく傾斜した紙載面42aに倣って変形しやすい搬送が必要となる。
【0092】
そこで本発明は、排紙経路11に配置され排紙ローラ15で下流の反転ローラ20にシートを搬送するときにコルゲーション付与手段50によってシートを波板形状に変形(以下「腰づけ」という)させ、シート先端部を下流側の反転ローラ20に確実に送ると共にシート後端を規制ストッパ18にスイッチバック搬送させるコルゲーション付与手段50を備える。またこのコルゲーション付与手段50で腰付したシートをスタックトレイ40に搬入する際にはシートをフラットに矯正するディカール手段60を備える。このコルゲーション付与手段50とディカール手段60について説明する。
【0093】
[コルゲーション付与手段]
図6は、前述した排紙機構の全体構成を示す
図2の要部を拡大した説明図である。同図には排紙経路11に配置された排紙ローラ15と、経路排紙口13aとトレイ排紙口13bとの間に配置された反転ローラ20が開示されている。この排紙ローラ15と反転ローラ20は後述するが、排紙直交方向に間隔を隔てた複数のローラで構成され、各ローラは互いに圧接したローラ対で構成されている。この排紙ローラ15の間にシートを波板形状に湾曲変形させるコルゲーション付与手段50が配置されている。これは同一平面にニップされているシートを、そのニップ点の間をうね状(波板形状)に変形させることによってシートに腰付けするためである。
【0094】
図示のコルゲーション付与手段50は、
図6(c)に示すように排紙経路11を形成するペーパガイドから経路上方に突出するガイドリブ51で構成している。このガイドリブ51はペーパガイドと一体に形成してもと良いが、図示のものはペーパガイド(フレーム部材)からガイドレバー52を回動可能に軸支し、付勢スプリング53で常時シートを経路上方に押し上げるように付勢している。又はガイドレバー52の先端にはシート下面と係合する遊動コロ54が回動可能に支持されている。
【0095】
図示のコルゲーション付与手段50は後述するように排紙ローラ15のローラ間5カ所に配置されている。このように排紙ローラ15から第1排紙口13aに搬出されるシートはシート幅方向5カ所にうね状(波板形状)のコルゲーションが付与されている。
【0096】
図6(c)に示すようにガイドリブ51は基端部をペーパガイドに揺動可能に軸支持され、この付勢スプリング53でシート下面を上方に突き上げて湾曲変形させる。図示55は位置規制ストッパである。またガイドリブ51の先端にはシート下面との摩擦を低減する遊動コロ54が軸支してある。
【0097】
なお、ガイドリブ50は排紙経路11の排紙ローラ15の上流側の経路ガイドに配置する場合を示したが、このガイドリブ50は排紙ローラ15の下流側に配置しても良い。この場合には経路排紙口13aとトレイ排紙口13bとの間にシートにコルゲーションを形成する部材(例えばリブ部材)を配置し、経路排紙口13aからトレイ排紙口13bに向かうシートの下面に係合するリブでコルゲーションを形成する。また図示実施形態のようにガイドリブ50に遊動コロ54を配置することなく経路ガイド11と一体にリブを形成しても良いことは勿論である。
【0098】
図7は排紙ローラ15とのガイドリブ50の配置関係を示す説明図である。排紙ローラ15をセンタ基準(c−c)で搬送する最大シート及び最上シートの幅サイズに応じて間隔を有する複数のローラで構成され、図示のものは4列のローラ15(15a、15b、15c、15d)で、個々のローラは互いに圧接する上部ローラと下部ローラで構成されている。
【0099】
上下排紙ローラ15の条間にガイドリブ(50a、50b、50c、50d、50e)が配置され、同図実線矢印部にうね状(波板形状)のコルゲーションが形成される。排紙ローラ15の下流側には間隔を隔てて反転ローラ20(上部ローラ21、下部ローラ22)が配置されている。図示の反転ローラ20はシート幅方向(排紙直交方向)に間隔を有する左右1対のローラ(右ローラRと左ローラL)で、上下の互いに圧接するローラ対で構成されている。この左右の反転ローラ20(20R、20L)の間隔は、上流の排紙ローラ15で形成された中央部のコルゲーション(
図8に示すCo3)がローラ間隔に位置する配置間隔に形成されている。また上記反転ローラの下流側には、後述するディカール手段60が配置されている。
【0100】
図8は排紙経路11からスタックトレイ40に至るシートのコルゲーション状態を示す説明図である。(a)はコルゲーション付与手段50と排紙ローラ15でシートにコルゲーションを形成する状態を示し、(b)は反転ローラ20でニップした状態のシートのコルゲーション状態を示している。(c)は反転ローラ20の下流側で後述するディカール手段60によってシートをフラットに矯正した状態を示している。
【0101】
図8(a)に示す状態でシートには5条のコルゲーション(
図8Co1、Co2、Co3、Co4、Co5)が形成されている。その下流側の(b)に示す状態でシートには1条のコルゲーションCo3が形状維持され、他のコルゲーションCo1、Co2、Co4、Co5は自然解消されている。従ってシート先端が第1排紙口13aから反転ローラ20に到達するまではシートには複数(図示のものは5条)のコルゲーションが形成され、その腰づけ作用で確実にジャンピング搬送される。(c)に示す状態、即ちシートがトレイ排紙口13bからシートに1条のコルゲーションが形成されているが後述するディカール手段60によってフラットに矯正される。
【0102】
[ディカール手段]
図6(b)に示すディカール手段について説明する。図示のディカール手段60はトレイ排紙口13bとスタックトレイ40の紙載面42aとの間に配置され、反転ローラ20で搬出されるシートの排紙方向上面と係合し、コルゲーションが形成されたシートをフラット形状に修正する。このためディカール手段60は、シートの表面と係合する係合面を有するガイド部材(以下「ディカールガイド」という)で構成される。図示のディカールガイド60は、シート表面と係合するガイドコロ61(61a、61b、61c)と、このガイドコロ61を支持するガイドホルダ62で構成されている。このガイドホルダ62は、上部反転ローラ20の回転軸25に軸支持され、上下昇降する反転ローラ20と一体に上下動するように構成されている。これはトレイ排紙口13bにシートジャムが発生したとき、反転ローラ20とその下流側に位置しているディカールガイド60を一体にシート経路から上方に退避させるためである。図示32はディカール手段60を位置規制するためのストッパ部材である。
【0103】
次に
図9に従ってコルゲーション付与手段50とディカール手段60についてその作用を説明する。同図(a)は排紙経路11からシートを経路排紙口13a、反転ローラ20、次いでトレイ排紙口13bに移送する場合を示す。このとき、反転ローラ20は待機位置(上部ローラと下部ローラが離間した状態)に位置し、排紙ローラ15の排紙方向回転でシートに搬送力が付与されている。
【0104】
そこで経路排紙口13aから送り出されたシートには、コルゲーション付与手段50で複数の波板形状のコルゲーションが形成されている。このためシートは腰づけされ、上向き、下向きにカールしたシート或いは薄紙シートであってもほぼ直線方向に区間L1をジャンピング搬送される。
【0105】
図9(b)は、排紙経路11から送られたシートを処理トレイ16に搬入して位置決めする状態を示す。先端が第2排紙口13bに送られたシートは、その後端が第1排紙口13aを通過すると、処理トレイ16上に落下する。このタイミングで制御手段(不図示)は上部ローラ21を待機位置Wp(
図9(a)の状態)から作動位置Ap(
図9(b)の状態)に降下させ、シート先端を上部ローラ21と下部ローラ22間にニップする。そして上部ローラ21を排紙反対方向に逆回転させるとシート後端は処理トレイ16の紙載台16sに沿ってバック搬送される。
【0106】
このときシート後端には幅方向(排紙直交方向)に複数のコルゲーションが形成されているから、シート後端部がカールしたシート、薄紙シートであっても直線方向に強制され規制ストッパ18に到達する。この規制ストッパ18にシート後端が突き当て状態を
図10に示す。同図には摩擦回転体19によってシートを規制ストッパ18に案内する構成は省いてある。シートにはその中央部にコルゲーションCoが形成されているから上方に反り返ることも、下方に反り返ることもなくストッパ内に突き当てられる。
【0107】
図9(c)は第1排紙口13aから第2排紙口13bに送られたシートを処理トレイ16に送ることなくスタックトレイ40に搬出する場合を示す。排紙経路11から送られたシートは、前述の場合と同様にシート幅方向に複数条のコルゲーションが形成され、反転ローラ20で排紙方向に移送される。つまり図示しない制御手段は、シートを処理トレイ16に送ることなくスタックトレイ40に搬出する場合、上部ローラ21を待機位置Wp(
図9(a)の状態)から作動位置Ap(
図9(c)の状態)に移動する。するとシートは上下部ローラ間にニップされ、反転ローラ20の排紙方向回転(時計方向回転)で下流側のスタックトレイ40に向けて搬出される。
【0108】
このとき、反転ローラ20のニップ点と距離L2を隔ててディカールガイド60が向き合うように、対向した位置に配置され、その係合面(図示のものはガイドコロ61)でフラットに矯正される。なお、ガイドコロ61はシート幅方向における反転ローラ20のローラ間を覆う幅を有している。これにより、シートとの接触面を広く取ることができ、コルゲーションの位置や大きさに関わらず、コルゲーションをフラットに矯正できる。
【0109】
さらに、反転ローラ20のローラ間に加えて反転ローラ20の係合部の最大幅とほぼ同等の位置にもガイドコロ61を対向して設けることで、さらに安定してコルゲーションの矯正を行うことができる。また、このようにシートとディカール手段60との接触面を広く取ることで、点で接触する場合に比べ、その接触圧を高めることなくコルゲーションを矯正することが可能となるので、シートの擦れや汚れ等の発生を低減できる。
【0110】
このディカールガイド60(
図8(c)参照)によるシートの排紙状態を
図11に示す。トレイ排紙口13bから搬出されたシートは、シート中央部にコルゲーションCoが形成された状態で、排紙方向前方に位置するガイドコロ61でフラットなシート面に矯正され、シート先端はスタックトレイ40の紙載面42aに積載されているシートに沿って徐々に排紙方向に送られ、シート後端が反転ローラ20のニップ点を超えるとディカールガイド60の自重の作用で紙載面42a上に収納される。そしてシート後端は規制面(不図示)に位置決めされる。このとき図示のディカールガイド60は、反転ローラ20のニップ点と距離L2を隔てて位置に配置されている。したがってシートはディカールガイド60の自重の作用で反転ローラ20の周面に引っかかることなく下方のスタックトレイ40上に収納される。
【0111】
[排紙モードの説明]
次に、本発明における排紙経路11から処理トレイ16及びスタックトレイ40にシートを移送する排紙モードについて説明する。図示の装置は排紙経路11に送られたシートを経路排紙口13aから距離を隔てたトレイ排紙口13bに移送し、このシートを処理トレイ16に案内することなくスタックトレイ40に移送する第1の排紙モード(プリントアウトモード)と、経路排紙口13aから処理トレイ16にシートを案内する第2の排紙モード(後処理モード)を備えている。
【0112】
第1の排紙モードは、画像形成されたシートを排紙経路11に案内し、この排紙経路11でシートを搬送するのと同時にシートに複数のコルゲーションを形成して腰づけする。そして腰づけされたシートを経路排紙口13aから、距離を隔てて下流側に位置する反転ローラ20に送る。このとき反転ローラ20は上下ローラ21,22が互いに圧接した作動位置若しくは互いに離間した待機位置に位置制御する。
【0113】
するとシートは前述したようにその先端がコルゲーションの作用で第1排紙口13aから第2排紙口13bにジャンピング搬送される。このシートは、反転ローラ20からスタックトレイ40の紙載面42aに向かう間にディカール手段60でコルゲーションが矯正されフラットな形状で紙載面42a上の最上紙の上にランディングする。これによってシートは紙載面42aに積載されるシートを押し出すように位置ズレを惹きおこすことなく、その紙面に沿ってスムーズに収納される。
【0114】
なお図示の反転ローラ20は、上述の第1の排紙モードでは、高加圧力で加圧され上部ローラ21は小径ローラ21bが下部ローラ22に圧接した状態でシートを搬送する。これはシートを表裏面から下部ローラ22と上部ローラ21で圧接するため画像擦れを引き起こすことが少なく確実にシートを搬出するためである。
【0115】
第2の排紙モードは排紙経路11に送られたシートを経路排紙口13aから処理トレイ16上に移送し、この処理トレイ16上で後処理を施した後に下流側のスタックトレイ40に収納する。このため第2の排紙動作では、シート先端を排紙センサSe2で検出した信号を基準に、反転ローラ20を待機位置Wpからシート先端がそのニップ点を通過した後に作動位置Apに移動し、次いで反転ローラ20をシート後端が経路排紙口13aを通過した後に排紙反対方向に逆回転する。
【0116】
するとシートは先端が反転ローラ20の下流側に、後端が経路排紙口13aから落下した処理トレイ16上で搬送方向を反転される。このシートは摩擦回転体19回転で規制ストッパ18に突き当て規制される。そして処理トレイ16上に所定枚数のシートが集積された状態で、後処理手段17によって後処理(図示のものはステープル綴じ処理)を施し、このシート束を反転ローラ20でスタックトレイ40に移送する。
【0117】
なお図示の反転ローラ20は、上述の第2搬送モードでは低加圧力で加圧され上部ローラ21は大径ローラ21aが下部ローラ22に圧接した状態でシートを搬送する。これは処理トレイ16上にシートが積載され、その上にシートが搬入されるためシート下面と積載済シートの上面が互いに擦れ合うことによって画像擦れが発生するのを防止するため加圧力を低減している。
【0118】
この何れの排紙モードにあってもスタックトレイ40には、紙載面42a上に積載された最上シートの紙面レベルを検出してトレイの高さ位置を調整する高さ制御が既に知られている制御方法として採用されている。