(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993709
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】筆記具の可動式クリップ
(51)【国際特許分類】
B43K 25/02 20060101AFI20160901BHJP
B43K 23/08 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
B43K25/00 C
B43K9/00 F
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-235326(P2012-235326)
(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2014-83790(P2014-83790A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】391014790
【氏名又は名称】加藤金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065765
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 悌二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 精亮
(72)【発明者】
【氏名】中田 貴章
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−79788(JP,A)
【文献】
実開昭57−113986(JP,U)
【文献】
実公昭39−21931(JP,Y1)
【文献】
特開2007−1098(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3095886(JP,U)
【文献】
特開2008−194955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 23/08−23/12
B43K 25/00−25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸パイプ本体内に挿入固定したクリップホルダーと、該クリップホルダーの上端部の挿通孔とクリップ本体の上部の挿通孔とに天冠軸部を挿通する天冠と、天冠の天冠軸部に嵌合したスプリングと、該スプリングを押圧し天冠軸部内に固定しクリップホルダー内を前記スプリングの伸縮に連れて上下動する天冠中子とよりなる可動式クリップ。
【請求項2】
丸パイプ本体内に挿入固定したクリップホルダーと、該クリップホルダーの上端部の挿通孔とクリップ本体の上部の挿通孔とに天冠軸部を挿通する天冠と、天冠の天冠軸部に嵌合したスプリングと、該スプリングを押圧し天冠軸部内に固定し後述の内キャップ内を上下動する天冠中子と、クリップホルダーの下部より挿入し該ホルダー内に固定した内キャップとよりなる可動式クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールペン、シャープペン、万年筆、電子機器のパネルに接触させるタッチペン等の筆記具に使用する金属製、カーボン樹脂製、木製等の丸パイプ(キャップ、胴軸等の部品)の端部を閉じるクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種筆記具のキャップ、胴軸などには通常金属製のクリップが使用されているが、このクリップは、一般的にはクリップ自体の弾力性能によって衣服、書類等に挟みつけるようになっている。この場合はクリップの弾性性能以上の力が加わるとクリップ自体の挟着力がなくなってしまいクリップとしての効能がなくなってしまう恐れがある。ことに近年電子機器のパネル上に接触させるタッチペンにあっては挟みつける対象が分厚くなっているのでクリップ自体の弾力性能では挟みきれず、しかもより以上に広げようとするため弾性性能が失われる恐れがある。
又クリップをU字状ばねとかコイル状バネを介して衣類や書類に挟みつけるようにしたものがあるが、これらは何れもキャップや胴軸の外側に機構上の凹凸部分ができたりして体裁が悪く、更にはキャップ素材がカーボンや木材等の加工性が悪い材料でできている場合はこのキャップや胴軸などに凸部等を付ける加工は困難を極めるなどの欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3175933号公報
【特許文献2】特開2004−190699号公報
【特許文献3】特開2007−130900号公報
【特許文献4】特開2007−130891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は筆記具において、クリップを取付けるキャップや胴軸などの丸パイプ本体の外観を凹凸のないシンプルな美観とし、殊にキャップや胴軸など丸パイプ本体の素材がカーボンや木材等の加工性が悪い材料となっている場合のクリップの取付を容易ならしめようとするものである
【課題を解決するための手段】
【0005】
筆記具におけるキャップや胴軸などの丸パイプ本体内に挿入固定したクリップホルダーと、該クリップホルダーの上端部の挿通孔とクリップ本体の上部の挿通孔
とに天冠軸部を挿通する天冠と、天冠の天冠軸部に嵌合したスプリングと該スプリングを押圧し天冠軸内に固定し丸パイプ本体内を
上下動する天冠中子とよりなり可動式クリップである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の効果として、キャップや胴軸などに取り付けるクリップの機構部は殆どが丸パイプ本体の内部に収納されるので外部には天冠のみが現れるにすぎずシンプルな美観となり、しかも丸パイプ本体の素材がカーボン製や木製など加工の困難なものへのクリップを取付けに際しては挿入固定のみの簡単な作業でできる。
又クリップ本体は先端部分を持って押し広げるだけで天冠がスプリングに抗して持ち上がり、それに連れてクリップの本体の先端が丸パイプ本体から広がって衣類、書類等への挟みこみが容易になり、且つ比較的分厚いものにもクリップ本体を容易に挟むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る可動式クリップの拡大断面説明図
【実施例】
【0008】
筆記具におけるキャップや胴軸などの丸パイプ本体7内に挿入固定したクリップホルダー3と、該クリップホルダー3の上端部の挿通孔3’とクリップ本体2の上部の挿通孔2’に挿通する天冠1と、天冠1の天冠軸部1’に嵌合したスプリング4と該スプリング4を押圧し天冠軸1’内に固定し後述の内キャップ6内を
上下動する天冠中子5と、クリップホルダー3の下部より挿入し該ホルダー3内に固定した内キャップ6とよりなる可動式クリップである。
【0009】
丸パイプ本体7はカーボン製としてあり、この丸パイプ本体7の上部開口に樹脂製のクリップホルダー3を、又樹脂製の天冠1の天冠軸部1’に樹脂製の天冠中子5の軸部5’を、挿入・圧入、接着等の手段により固定する。内キャップ6の上部の内径は天冠中子5の外径より少し大きくしてあって天冠1がスプリング4の伸縮に連れて上下動するようにしてある。キャップや胴軸などの丸パイプ本体7はカーボン製以外の金属、木製などの素材でもよい。
【0010】
尚クリップホルダー3の内径と天冠中子5の外
径とが密接状態で上下動するよう設定すれば内キャップ6は必ずしも必要としない。
【0011】
以下作用について説明する。
図2のようにクリップ本体2の先端を持ち上げることにより、クリップ本体2の基端部が支点となって天冠1がスプリング4に抗して持ち上げられる。クリップ本体2を離すことによりスプリング4の引き力によりクリップ本体2は丸パイプ本体7の表面を押圧する。図中8は筆記具本体9を設けるときのキャップ中子である。
【符号の説明】
【0012】
1:天冠
1’:天冠軸部
2:クリップ本体
2’:クリップ本体の挿通孔
3:クリップホルダー
3’;クリップホルダーの挿通孔
4:スプリング
5:天冠中子
5’;軸部
6:内キャップ
7:丸パイプ本体
8:キャップ中子
9:筆記具本体