(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクチュエーターは、用紙の搬送経路に突出する突出位置と、前記搬送経路から退避する退避位置と、の間で揺動可能に設けられると共に、付勢部材によって前記突出位置に付勢され、
前記リンク部材は、第1の検知位置と、該第1の検知位置とは前記検知部の検知結果が異なる第2の検知位置と、の間で揺動可能に設けられ、
用紙が前記アクチュエーターを押圧すると、前記付勢部材の付勢力に抗して前記アクチュエーターが前記突出位置から前記退避位置まで揺動し、前記リンク部材が自重によって前記第1の検知位置から前記第2の検知位置まで揺動し、
用紙が前記アクチュエーターへの押圧を解除すると、前記付勢部材の付勢力によって前記アクチュエーターが前記退避位置から前記突出位置まで揺動し、前記アクチュエーターが前記リンク部材を押圧して該リンク部材が前記第2の検知位置から前記第1の検知位置まで揺動することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術においては、開閉可能なガイド部材(「ジャム処理カバー27」参照)にアクチュエーターが取り付けられており、ガイド部材が開閉を繰り返すことで、アクチュエーターの位置が本来の位置から微小にずれてしまう。このようにアクチュエーターの位置がずれると、アクチュエーターと一体に設けられた遮光板の位置が検知部に対してずれてしまう。そのため、検知部によって遮光板の変位を正確に検知することができず、用紙検知機構が誤検知を引き起こす虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、用紙検知機構の誤検知を確実に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の定着装置は、用紙を検知するための用紙検知機構を備えた定着装置であって、前記用紙検知機構は、用紙に押圧されて揺動するアクチュエーターと、該アクチュエーターの揺動に伴って揺動するリンク部材と、該リンク部材の揺動を検知する検知部と、を備え、前記アクチュエーターの前記検知部に対する位置にずれが発生した場合に、前記アクチュエーターが前記リンク部材に対して摺動することで、前記ずれが吸収されることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することで、たとえアクチュエーターの検知部に対する位置が本来の位置から微小にずれたとしても、リンク部材を本来の位置に留めておくことが可能となる。そのため、リンク部材の位置を安定させることができ、検知部によってリンク部材の揺動を正確に検知することが可能となる。これに伴って、用紙検知機構の誤検知を確実に防止することが可能となる。
【0009】
前記アクチュエーターは、第1揺動軸と、該第1揺動軸から突出し、該第1揺動軸の径方向に沿って延伸する第1アームと、該第1アームから屈曲される第1フックと、を備え、前記リンク部材は、第2揺動軸と、該第2揺動軸から突出し、該第2揺動軸の径方向に沿って延伸する第2アームと、該第2アームから屈曲される第2フックと、を備え、前記第1フックは、前記第2フックと摺動可能に係合しても良い。
【0010】
このような構成を採用することで、アクチュエーターとリンク部材の接続が不用意に解除されるのを防止することが可能となる。これに伴って、用紙検知機構の誤検知を一層確実に防止することが可能となる。
【0011】
回転可能に設けられる第1回転体と、該第1回転体に圧接して該第1回転体との間に定着ニップを形成し、回転可能に設けられる第2回転体と、前記第1回転体及び前記第2回転体を収容する定着装置本体と、該定着装置本体に対して開閉可能に設けられるガイド部材と、を更に備え、前記アクチュエーターは、前記ガイド部材に揺動可能に支持され、前記リンク部材は、前記定着装置本体に揺動可能に支持されていても良い。
【0012】
このような構成を採用することで、用紙検知機構をガイド部材の開閉検知に併用することが可能となる。そのため、ガイド部材の開閉検知機構を用紙検知機構とは別個に設ける場合と比較して、定着装置の構成を簡易なものとすることが可能となる。一方で、上記のような構成を採用すると、ガイド部材の開閉が繰り返された場合に、アクチュエーターが本来の位置からずれやすくなる。そのため、本願発明の構成を用いてリンク部材の位置を安定させる効果が大きい。
【0013】
前記定着装置本体に対して開閉可能に設けられるカバー部材を更に備え、該カバー部材が開放されるのに伴って、前記ガイド部材が開放可能となっても良い。
【0014】
このような構成を採用することで、用紙検知機構の検知結果に基づいて、カバー部材が開放されていることを認識することが可能となる。
【0015】
前記定着装置本体の一部を覆うように設けられる被覆部材を更に備え、前記リンク部材は、前記定着装置本体と前記被覆部材によって揺動範囲を規制されていても良い。
【0016】
このような構成を採用することで、リンク部材が本来の揺動範囲を超えて揺動するのを防止することが可能となる。
【0017】
前記アクチュエーターは、用紙の搬送経路に突出する突出位置と、前記搬送経路から退避する退避位置と、の間で揺動可能に設けられると共に、付勢部材によって前記突出位置に付勢され、前記リンク部材は、第1の検知位置と、該第1の検知位置とは前記検知部の検知結果が異なる第2の検知位置と、の間で揺動可能に設けられ、用紙が前記アクチュエーターを押圧すると、前記付勢部材の付勢力に抗して前記アクチュエーターが前記突出位置から前記退避位置まで揺動し、前記リンク部材が自重によって前記第1の検知位置から前記第2の検知位置まで揺動し、用紙が前記アクチュエーターへの押圧を解除すると、前記付勢部材の付勢力によって前記アクチュエーターが前記退避位置から前記突出位置まで揺動し、前記アクチュエーターが前記リンク部材を押圧して該リンク部材が前記第2の検知位置から前記第1の検知位置まで揺動しても良い。
【0018】
このような構成を採用することで、簡易な構成を用いてアクチュエーターとリンク部材を確実に揺動させることが可能となる。
【0019】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置を備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明の用紙検知機構は、画像形成装置に設けられる用紙検知機構であって、用紙に押圧されて揺動するアクチュエーターと、該アクチュエーターの揺動に伴って揺動するリンク部材と、該リンク部材の揺動を検知する検知部と、を備え、前記アクチュエーターの前記検知部に対する位置にずれが発生した場合に、前記アクチュエーターが前記リンク部材に対して摺動することで、前記ずれが吸収されても良い。
【0021】
このような構成を採用することで、たとえアクチュエーターの検知部に対する位置が本来の位置から微小にずれたとしても、リンク部材を本来の位置に留めておくことが可能となる。そのため、リンク部材の位置を安定させることができ、検知部によってリンク部材の揺動を正確に検知することが可能となる。これに伴って、用紙検知機構の誤検知を確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、用紙検知機構の誤検知を確実に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、
図1を用いて、プリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。以下、
図1における右側を、プリンター1の前側(正面側)とする。各図に付される矢印Frは、プリンター1の前側(正面側)を示している。
【0025】
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納する給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上端には排紙トレイ4が設けられている。
【0026】
プリンター本体2の前部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器5が配置され、プリンター本体2の後部には、画像形成部6が設けられている。画像形成部6には、像担持体である感光体ドラム7が回転可能に設けられており、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、トナーコンテナ9に接続された現像ユニット10と、転写ローラー11と、クリーニング装置12とが、感光体ドラム7の回転方向(
図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
【0027】
プリンター本体2の後部には、下方から上方に向かって用紙の搬送経路13が設けられている。つまり、本実施形態のプリンター1は、所謂「縦搬送」である。搬送経路13の上流端には給紙部14が設けられ、搬送経路13の中流部には、感光体ドラム7と転写ローラー11によって構成される転写部15が設けられ、搬送経路13の下流部には定着装置16が設けられている。搬送経路13の後側には、両面印刷用の反転経路17が設けられている。
【0028】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
【0029】
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置16の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0030】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器5からのレーザー光(
図1の矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、トナーコンテナ9から供給されるトナーによって、現像ユニット10が静電潜像をトナー像に現像する。
【0031】
一方、給紙部14によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部15へと搬送され、転写部15において感光体ドラム7上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路13を下流側へと搬送されて定着装置16に進入し、この定着装置16において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、搬送経路13の下流端から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナーは、クリーニング装置12によって回収される。
【0032】
次に、定着装置16の構成について説明する。
【0033】
図2に示されるように、定着装置16は、箱型形状を成す定着装置本体20と、定着装置本体20の下部中央に収容される定着ローラー21(第1回転体)と、定着装置本体20の後部に収容される加圧ローラー22(第2回転体)と、定着装置本体20の上方を覆うカバー部材23と、定着装置本体20の後上部に取り付けられるガイド部材24と、ガイド部材24の近傍に配置される用紙検知機構25と、を備えている。
【0034】
定着装置本体20の下端側には給紙口26が設けられ、定着装置本体20の上端側には排紙口27が設けられている。そして、給紙口26を介して定着装置本体20に導入された用紙が、排紙口27を介して定着装置本体20から排出されるようになっている。
【0035】
定着装置本体20の前部には、第1フレーム部材28が設けられている。第1フレーム部材28には、定着ローラー収容部29が形成されている。
【0036】
定着装置本体20の後部には、第2フレーム部材30が設けられている。第2フレーム部材30は、用紙の搬送経路13を介して第1フレーム部材28と対向している。第2フレーム部材30には、加圧ローラー収容部31が形成されている。
【0037】
図3等に示されるように、定着装置本体20の前端部には、被覆部材32が取り付けられている。被覆部材32は、左右方向に長い平板状を成しており、定着装置本体20の前面側を覆っている。
図4等に示されるように、被覆部材32の内側(後側)には、サーモカット33が収容されている。
【0038】
図2に示されるように、定着ローラー21は、定着装置本体20の第1フレーム部材28に設けられた定着ローラー収容部29に収容されている。定着ローラー21は、軸受(図示せず)を介して定着装置本体20に回転可能に支持されている。
【0039】
定着ローラー21は、左右方向に長い形状を成している。定着ローラー21は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設され、シリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆し、PFA等のフッ素樹脂から成る離型層と、を備えている。
【0040】
定着ローラー21の内部空間には、ヒーター34(熱源)が収容されている。ヒーター34は、例えば、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等によって構成されている。ヒーター34は、通電によって発熱し、定着ローラー21を加熱するように構成されている。
【0041】
定着ローラー21の上側(用紙の搬送方向における下流側)には分離爪35が設けられている。分離爪35は、付勢体(図示せず)の付勢力によって定着ローラー21の外周面に当接している。これにより、分離爪35によって定着ローラー21の外周面から用紙を分離できるようになっている。
【0042】
加圧ローラー22は、定着装置本体20の第2フレーム部材30に設けられた加圧ローラー収容部31に収容されている。加圧ローラー22は、支持部材(図示せず)を介して定着装置本体20に回転可能に支持されている。
【0043】
加圧ローラー22は、左右方向に長い形状を成している。加圧ローラー22は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属から成る円筒状の芯材と、この芯材に周設され、シリコンゴム等から成る弾性層と、この弾性層を被覆し、PFA等のフッ素樹脂から成る離型層と、を備えている。加圧ローラー22は、付勢部材(図示せず)の付勢力によって定着ローラー21に圧接しており、定着ローラー21との間に定着ニップ19を形成している。
【0044】
図3に示されるように、カバー部材23は、左右方向に長い形状を成している。カバー部材23の前端側には、左右方向に沿って回転軸36が設けられている。カバー部材23の前端部は、回転軸36に回転可能に取り付けられており、回転軸36を中心にカバー部材23が回転することで、カバー部材23が定着装置本体20に対して開閉されるようになっている(
図2の二点鎖線参照)。回転軸36には、左右一対の排出ローラー37が回転可能に支持されている。
【0045】
図5に示されるように、ガイド部材24は、左右方向に長い形状を成している。ガイド部材24の左右両端部には、左右方向とは垂直な方向(
図5の図面上は下方)に向かって腕部38が突設されている。腕部38の先端部(
図5の図面上は下端部)には、軸部39が設けられている。軸部39は、定着装置本体20に回転可能に取り付けられており、軸部39を中心にガイド部材24が回転することで、ガイド部材24が定着装置本体20に対して開閉されるようになっている(
図6、
図7参照)。
【0046】
図8、
図9に示されるように、用紙検知機構25は、アクチュエーター40と、アクチュエーター40の前側に配置されるリンク部材41と、リンク部材41の下側に配置される検知部42と、を備えている。
【0047】
図10に示されるように、アクチュエーター40は、左右方向に延びる直棒状の第1揺動軸43と、第1揺動軸43の左側部から前方と上方に突出する一対の突出板44a、44bと、第1揺動軸43の右端部から前方に突出する第1アーム45と、第1アーム45の先端部から前下方に屈曲される第1フック46と、を備えている。
【0048】
第1揺動軸43の左右方向略中央には、抜け止め突起47が設けられている。
図8、
図9に示されるように、第1揺動軸43は、ガイド部材24に回転可能に取り付けられている。これにより、アクチュエーター40は、ガイド部材24に揺動可能に支持されている。
図2に示されるように、アクチュエーター40は、突出板44aを搬送経路13に突出させると共に突出板44bを反転経路17に突出させる突出位置(
図2の実線参照)と、突出板44aを搬送経路13から退避させると共に突出板44bを反転経路17から退避させる退避位置(
図2の二点鎖線参照)と、の間で第1揺動軸43を中心に揺動可能となっている。
【0049】
図10に示されるように、第1揺動軸43には、ねじりコイルバネ48(付勢部材)が装着されている。ねじりコイルバネ48は、アクチュエーター40を突出位置(
図2の実線参照)に付勢している。
【0050】
図8に示されるように、第1アーム45は、第1揺動軸43の径方向R1に沿って延伸している。第1フック46は、第1揺動軸43の径方向R1に対して傾斜する方向に延伸している。
【0051】
図11に示されるように、リンク部材41は、左右方向に延びる直棒状の第2揺動軸50と、第2揺動軸50の右側部(
図11の図面上は左側部)から後下方に突出する第2アーム51と、第2アーム51の先端部から後上方に屈曲される第2フック52と、第2揺動軸50の左側部(
図11の図面上は右側部)から下方に向かって延伸する被検知バー53と、第2揺動軸50に周設される補強片54と、を備えている。
【0052】
第2揺動軸50は、定着装置本体20の第1フレーム部材28(
図12等参照)に回転可能に取り付けられている。これにより、リンク部材41は、第1フレーム部材28に揺動可能に支持されている。リンク部材41は、第1の検知位置(
図12の実線参照)と第2の検知位置(
図12の二点鎖線参照)の間で第2揺動軸50を中心に揺動可能となっている。
【0053】
図8に示されるように、第2アーム51は、第2揺動軸50の径方向R2に沿って延伸している。第2フック52は、第2揺動軸50の径方向R2に対して傾斜する方向に延伸している。第2フック52には、アクチュエーター40の第1フック46が摺動可能に係合している。このような構成により、アクチュエーター40は、リンク部材41に対して水平方向(前後方向及び左右方向)に摺動可能となっている。
【0054】
図12に示されるように、リンク部材41は、定着装置本体20の第1フレーム部材28と被覆部材32によって囲まれる空間に収容されている。リンク部材41は、定着装置本体20の第1フレーム部材28に設けられた突部49によって後方への揺動を規制されると共に、被覆部材32によって前方への揺動を規制されている。つまり、リンク部材41は、定着装置本体20の第1フレーム部材28と被覆部材32によって揺動範囲を規制されている。
【0055】
検知部42は、PIセンサー(Photo Interrupter Sensor)であり、
図4に示されるように、発光部55と、発光部55の右方に配置される受光部56と、を備えている。検知部42は、リンク部材41の揺動を検知するように構成されている。
【0056】
上記のように構成された定着装置16において、用紙にトナー像を定着させる動作について説明する。
【0057】
用紙にトナー像を定着させる際には、ヒーター34(
図2参照)によって定着ローラー21を加熱すると共に、駆動源(図示せず)によって定着ローラー21を回転させる。このように定着ローラー21が回転すると、定着ローラー21に圧接する加圧ローラー22が定着ローラー21とは逆方向に従動回転する(
図2の矢印参照)。
【0058】
この状態で、未定着のトナー像が形成された用紙が搬送経路13に沿って上流側(下方)から搬送されてくると、この用紙が定着ニップ19を通過する。これにより、用紙とトナー像が加熱及び加圧され、用紙にトナー像が定着される。定着ニップ19を通過した用紙は、左右一対の排出ローラー37によって排紙トレイ4へと排出される。
【0059】
次に、用紙検知機構25によって用紙を検知する方法について説明する。
【0060】
非通紙時(用紙がアクチュエーター40の突出板44a及び突出板44bを押圧していない時)には、ねじりコイルバネ48の付勢力によってアクチュエーター40が突出位置(
図2の実線参照)に保持されている。また、
図8に示されるように、リンク部材41が第1の検知位置にあり、検知部42の発光部55(
図8では図示せず)から受光部56に至る光路をリンク部材41の被検知バー53が遮断している。そのため、検知部42の検知結果はLowとなっている。
【0061】
一方で、通紙時には、搬送経路13又は反転経路17に沿って搬送される用紙が、アクチュエーター40の突出板44a又は突出板44bを押圧する。この押圧により、ねじりコイルバネ48の付勢力に抗してアクチュエーター40が突出位置(
図2の実線参照)から退避位置(
図2の二点鎖線参照)まで揺動する。この揺動により、
図9に示されるように、アクチュエーター40の第1アーム45と第1フック46が上方に移動する。これに伴って、リンク部材41が自重によって第1の検知位置から第2の検知位置まで揺動する。この揺動により、検知部42の発光部55(
図9では図示せず)から受光部56に至る光路をリンク部材41の被検知バー53が連通させるため、検知部42の検知結果はHighとなる。
【0062】
このように、リンク部材41が第2の検知位置にある時には、リンク部材41が第1の検知位置にある時とは検知部42の検知結果が異なっており、検知部42によってリンク部材41の揺動を検知できるようになっている。
【0063】
なお、リンク部材41が第1の検知位置にある状態(アクチュエーター40が突出位置にある状態)、リンク部材41が第1の検知位置から第2の検知位置まで揺動する途中の状態(アクチュエーター40が突出位置から退避位置まで揺動する途中の状態)、リンク部材41が第2の検知位置にある状態(アクチュエーター40が退避位置にある状態)のいずれについても、アクチュエーター40の第1フック46は、リンク部材41の第2フック52と摺動可能に係合している。
【0064】
一方で、通紙が完了し、用紙がアクチュエーター40の突出板44a又は突出板44bへの押圧を解除すると、ねじりコイルバネ48の付勢力によってアクチュエーター40が退避位置(
図2の二点鎖線参照)から突出位置(
図2の実線参照)まで揺動する。これに伴って、
図8に示されるように、アクチュエーター40の第1フック46がリンク部材41の第2フック52を押圧し、リンク部材41が第2の検知位置から第1の検知位置まで揺動する。この揺動により、検知部42の発光部55(
図8では図示せず)から受光部56に至る光路をリンク部材41の被検知バー53が遮断し、検知部42の検知結果がLowとなる。
【0065】
次に、JAM処理(紙詰まりの処理)について説明する。
【0066】
定着装置16の内部でJAMが発生した際には、定着装置16の内部で詰まった用紙がアクチュエーター40の突出板44a又は突出板44bを押圧するため、アクチュエーター40は突出位置(
図2の実線参照)にある。また、
図6に示されるように、リンク部材41が第2の検知位置にあり、検知部42の検知結果はHighとなっている。
【0067】
この状態から、まず、
図2に二点鎖線で示されるように、ユーザーやサービスマン等の操作者がカバー部材23を開放する。このようにカバー部材23が開放されるのに伴って、ガイド部材24が開放可能となる。次に、
図7に矢印Aで示されるように、操作者がガイド部材24を開放させる。これに伴って、アクチュエーター40の第1フック46とリンク部材41の第2フック52の接続が解除される。なお、このように第1フック46と第2フック52の接続が解除されても、リンク部材41は依然として第2の検知位置にあるため、検知部42の検知結果はHighのままである。
【0068】
次に、カバー部材23及びガイド部材24が開放された状態で、操作者がJAM処理を行う。JAM処理が終了すると、操作者は、ガイド部材24を閉止する。このようにガイド部材24が閉止されると、アクチュエーター40の第1フック46がリンク部材41の第2フック52と摺動可能に係合すると共に、ねじりコイルバネ48の付勢力によってアクチュエーター40が突出位置(
図2の実線参照)に保持される。そのため、
図8に示されるように、リンク部材41が第2の検知位置から第1の検知位置まで揺動し、検知部42の発光部55(
図8は図示せず)から受光部56に至る光路をリンク部材41の被検知バー53が遮断する。そのため、検知部42の検知結果はLowとなる。
【0069】
上記のようにガイド部材24を閉止したら、操作者は、最後にカバー部材23を閉止する。これにより、用紙にトナー像を定着させることが可能な状態となる。
【0070】
ところで、上記したガイド部材24の開閉が繰り返されると、アクチュエーター40の検知部42に対する位置に微小なずれが発生する場合がある。しかしながら、本実施形態では、アクチュエーター40の検知部42に対する位置にずれが発生した場合に、アクチュエーター40がリンク部材41に対して水平方向に摺動することで、上記のずれが吸収される。そのため、リンク部材41を本来の位置に留めておくことが可能となり、リンク部材41の位置を安定させることができ、検知部42によってリンク部材41の揺動を正確に検知することが可能となる。これに伴って、用紙検知機構25の誤検知を確実に防止することが可能となる。
【0071】
また、アクチュエーター40の第1フック46がリンク部材41の第2フック52と摺動可能に係合している。このような構成を採用することで、アクチュエーター40とリンク部材41の接続が不用意に解除されるのを防止することが可能となる。これに伴って、用紙検知機構25の誤検知を一層確実に防止することが可能となる。
【0072】
本実施形態では特に、アクチュエーター40の第1フック46がリンク部材41の第2フック52と摺動可能に係合することで、リンク部材41が常時アクチュエーター40側に引っ張られるようになっている。そのため、リンク部材41の位置を一層安定させることが可能となる。
【0073】
また、アクチュエーター40は、ガイド部材24に揺動可能に支持され、リンク部材41は、定着装置本体20の第1フレーム部材28に揺動可能に支持されている。このような構成を採用することで、用紙検知機構25をガイド部材24の開閉検知に併用することが可能となっている。そのため、ガイド部材24の開閉検知機構を用紙検知機構25とは別個に設ける場合と比較して、定着装置16の構成を簡易なものとすることが可能となる。一方で、上記のような構成を採用すると、ガイド部材24の開閉が繰り返された場合に、アクチュエーター40が本来の位置からずれやすくなる。そのため、本願発明の構成を用いてリンク部材41の位置を安定させる効果が大きい。
【0074】
また、カバー部材23が開放されるのに伴って、ガイド部材24が開放可能となるように構成されている。従って、ガイド部材24が開放されていれば、必然的にカバー部材23も開放されていることになる。そのため、用紙検知機構25の検知結果に基づいて、カバー部材23が開放されていることを認識することが可能となる。
【0075】
また、リンク部材41は、定着装置本体20の第1フレーム部材28と被覆部材32によって揺動範囲を規制されている。このような構成を採用することで、リンク部材41が本来の揺動範囲を超えて揺動するのを防止することが可能となる。
【0076】
また、用紙の押圧力とねじりコイルバネ48の付勢力でアクチュエーター40が揺動し、アクチュエーター40の押圧力と自重でリンク部材41が揺動するように構成されている。このような構成を採用することで、簡易な構成を用いてアクチュエーター40とリンク部材41を確実に揺動させることが可能となる。
【0077】
本実施形態では、ねじりコイルバネ48を付勢部材として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、コイルバネや板バネや線バネ等を付勢部材として用いても良い。
【0078】
本実施形態では、カバー部材23とガイド部材24が別々に開閉される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、カバー部材23とガイド部材24がリンク機構を介して接続されることで、カバー部材23の開閉に連動してガイド部材24が開閉されても良い。
【0079】
本実施形態では、第1回転体を定着ローラー21によって構成し、第2回転体を加圧ローラー22によって構成する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、第1回転体と第2回転体の一方又は両方をベルトによって構成しても良い。
【0080】
本実施形態では、熱源としてヒーター34を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えばIHコイル等の他の熱源を用いても良い。
【0081】
本実施形態では、用紙検知機構25を定着装置16に適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば給紙部14等に用紙検知機構25を適用しても良い。
【0082】
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。