【実施例1】
【0024】
図1から
図2にしたがって、本発明を説明する。
図1は、本発明の全体斜視図を示し、
図2は同三面図を示すものである。(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
タイヤチェーン取付具1は、フレーム2と可動形腕部6と、フレーム2と可動形腕部6を関係付けるタイヤサイズ調整部7・ばね10
・挟持力調整部8からなる。ばね10はフレーム2に可動形腕部6を弾性を持って固定するためのばねである。ばねの力は、タイヤサイズ調整部7
や挟持力調整部8によってフレーム2からの付勢に対応する程度の力があればよい。タイヤサイズ調整部7は可動形腕部6とタイヤの間隔を調整するための調整部であり、ねじで微調整できる
。挟持力調整部8は可動形腕部6をタイヤに押し付けるための力を調整する部分であり、ハンドル9によって、ねじを回転させることで押し付け力を調整する。
【0025】
フレーム2は、厚さ1センチ程度の鉄角棒で構成されている。フレーム2は、中央部が固定部4であり、両端部が腕部3と
可動形腕部保持部5である。固定部4から腕部3の部分は、概ねタイヤのトレッドから側面の形状と同様の形状であり、タイヤに対して均等に当接するようになっている。固定部4から
可動形腕部保持部5の部分は、可動形腕部6とある程度の間隔を持てる程度の形状である。可動形腕部6と
可動形腕部保持部5の間隔はタイヤのサイズによって、あるいは、タイヤの締め付け動作によって変化するからである。フレーム2の腕部3の固定部4に近い部分にタイヤチェーン懸架部11
Aがある。タイヤチェーンの端を固定する部分である。フレーム2の
可動形腕部保持部5の固定部4に近い部分にもタイヤチェーン懸架部11
Bがあるが、タイヤサイズ調整部7と兼用しているねじによって形成されている。
可動形腕部保持部5の先端付近に
は挟持力調整部8がありねじの回転によって、可動形腕部6をタイヤに押し付ける。
【0026】
可動形腕部6はタイヤの側面に当接する部分であり、概ね、タイヤの側面形状と同様の形状となっている。固定部4に近い方の端は、タイヤサイズ調整部7に対応する部分であり、タイヤサイズ調整部7の先端を挟むように二股のフォーク状になっており、ボルト701が可動形腕部6の側面に当接することによって可動形腕部6と
可動形腕部保持部5の位置が規定されている(
図2(a))。可動形腕部6の略中央には、ばねを引っ掛ける爪が配置され、ばね10の一方を固定している。可動形腕部6はタイヤサイズ調整部7
と挟持力調整部8によって押され、ばね10によって
可動形腕部保持部5側に引っ張られることで
可動形腕部保持部5との位置を安定に保っている。可動形腕部6の先部分に
は挟持力調整部8に対応する凹みが設けられている。この凹みによっ
て挟持力調整部8は安定して可動形腕部6に対して付勢することができる(
図2(a))。
【0027】
タイヤチェーン懸架部11
A・11Bは、タイヤチェーンの端を懸架する部分である。棒状で先端に近い部分にくびれがあり、このくびれ部分にタイヤチェーンの端の鎖を差し込み、タイヤチェーンを吊り下げる形にする。フック型にすることも考えられるが、タイヤチェーン装着時にタイヤチェーン取付具1がタイヤと共に1回転することから、どの位置にあってもタイヤチェーン懸架部11
A・11Bからタイヤチェーンの端が脱落しにくくするためにはくびれ構造が好適である。タイヤチェーン懸架部11
A・11Bの太さは、概ねタイヤチェーンの鎖の内径より若干細い程度がよい。あまりタイヤチェーン懸架部11
A・11Bの内径が細いと、タイヤチェーン取り付け最中にタイヤチェーン懸架部11
A・11Bからタイヤチェーンの端が外れる可能性があるからである。
【0028】
次に、
図3、
図4にしたがって、タイヤチェーン取付具1のタイヤへの固定方法を説明する。
図3はタイヤチェーン取付具1をタイヤ17に固定した際の断面模式図である。
図4は、タイヤサイズ調整部7
、挟持力調整部8の動作説明図である。
タイヤチェーン取付具1はタイヤのトレッド部分に固定部4を当接し、タイヤの側面に腕部3、可動形腕部6を当接する。その際、腕部3および可動形腕部6の当接部分の形状はタイヤの側面部分の形状とほぼ同じであることが望ましい。そうすることで、タイヤと腕部3等の接触面積が増え、より強固にタイヤチェーン取付具1をタイヤ17に固定できるからである。腕部3、可動形腕部6は概ねタイヤ側面の最も盛り上がった部分を当接の範囲に含むことが望ましい。そのほうが、タイヤチェーン装着時にタイヤを回転させる際の遠心力に対して、対応できるからである。
【0029】
タイヤチェーン取付具1をタイヤに仮に装着後
、挟持力調整部8を回転されることによって、可動形腕部6の先端付近がタイヤ側に移動し、腕部3と可動形腕部6による挟持力を増す(
図4(b))。この作業によって、タイヤとタイヤチェーン取付具1は強固に固定され、タイヤチェーン装着作業中にタイヤチェーン取付具1がタイヤ17から外れることはなくなる。タイヤチェーン装着完了後
は挟持力調整部8を逆回転させることで、可動形腕部6への付勢を下げ、タイヤチェーン取付具1をタイヤ17からはずす。
【0030】
タイヤの幅は、タイヤの種類によって異なる。概ね、大型車の方が195mm、205mm等と太く、軽自動車では145mm、155mm等細くなっている。さまざまなタイヤに対応するためには、腕部3と可動形腕部6の間隔を調整可能にしなければならない。そのため、タイヤチェーン取付具1をタイヤ17に装着する際、腕部3と可動形腕部6の間隔をタイヤの幅によって変えたほうが、タイヤ17との当接する面積も広くすることができるので好適である。そのため、タイヤのサイズによってタイヤサイズ調整部7
、挟持力調整部8を調整することによって、可動形腕部6全体をタイヤに対して平行に移動する作業を行う(図固定部4(c))。
作業は、タイヤサイズ調整部7
と挟持力調整部8のねじを同時に回転させることで行う
。挟持力調整部8はハンドル9を回すことで行い、タイヤサイズ調整部7はボルト701を回すことで行う。
【0031】
次に、
図5、
図6にしたがって、タイヤチェーン16の装着手順を説明する。
図5(a)がタイヤ17にタイヤチェーン取付具1とタイヤチェーン16を配置した図である。
図5(b)は、(a)の斜視図である。車体19は省略している。
図6はタイヤチェーン取付具1、タイヤチェーン16を配置後、車を1メートル程度進めることでタイヤチェーン16をタイヤ17に巻きつける様子を時系列で示した図である。
【0032】
タイヤ17の接地面に近い位置にタイヤチェーン取付具1を装着する。タイヤチェーン取付具1を装着する位置は、タイヤの前側、後側のいずれでもいいが、タイヤチェーン16がタイヤ17に概ね巻きついいた後タイヤチェーン取付具1を装着した側と反対側でタイヤチェーン16の端と端を結合するので、後ろのタイヤであれば、前側、前のタイヤであれば、後ろ側にタイヤチェーン取付具1を装着したほうがよい。そうすれば、タイヤチェーン取付具1をはずし、タイヤチェーン16の端と端を結合する際、後のタイヤであれば、後側から、前のタイヤであれば前側から作業できるので、よりタイヤが見えやすく作業が楽になるからである。
タイヤ17にタイヤチェーン取付具1を装着後、タイヤチェーン取付具1のタイヤチェーン懸架部11
A・11Bにタイヤチェーン16の端を懸架する。タイヤチェーン16は、タイヤ17に平行に地面に伸ばしておく(
図5(b))。
【0033】
次に、タイヤが1回転する程度に、車を動かす。後ろのタイヤの場合は前に、前のタイヤの場合は後ろに動かす。車を動かすとタイヤチェーン16はタイヤチェーン取付具1に導かれてタイヤ17に巻きついていく(
図6(a,b)。タイヤチェーンサイド部1602は、タイヤの径よりも短く設計されているので、タイヤ17の内側、外側ともタイヤチェーンサイド部1602はタイヤ17の中心に近づくように動き、その結果、タイヤチェーン連結部をある程度引っ張る動きをする。更に、両タイヤチェーンサイド部1602は、タイヤ17の外周に近い位置にあるほうが、より強い力でタイヤチェーンサイド部1602を引っ張り、タイヤ17の中心に近い位置にあるほうが引っ張る力が弱くなることから、両タイヤチェーンサイド部1602のタイヤ中心からの位置は自然に同じような位置に収束する(
図6(c、d))。ただし、タイヤチェーン懸架部11
A・11Bがタイヤの幅方向の中央から等距離の位置に配置されたほうがより、早くタイヤチェーンサイド部1602の位置が両方とも均等な位置になるので、好適である。
【0034】
タイヤが1回転を超える程度回転したところで、車を止めて、タイヤチェーン取付具1をはずす。タイヤチェーン16は適切な位置に装着されているので、タイヤチェーン16の端と端を結合することで作業は完了する(
図6(e,f)。通常、タイヤチェーンの装着に1本数十分かかるが、タイヤチェーン取付具1を用いることで1本数分で完了する。さらに、後ろや前のタイヤを2本一度に作業可能であるのでさらに時間短縮可能である。
【0035】
また、車の移動を極めて精度よく行う必要があるが、車の移動直後、タイヤ17がタイヤチェーン取付具1を乗り超え、1回転回転したところで再度、タイヤ17がタイヤチェーン取付具1を乗り越えることから、作業者はタイヤチェーン取付具1の位置関係を容易に把握でき、精度よく車を移動できる。
【0036】
このように、本発明によって、タイヤチェーンの装着時間を、大幅に短縮することができ、使用者の作業負担を軽減するものである。
【0037】
また、短時間であっても、雪等の水分にさらされる可能性のあるものであるので、防水処理を施してあると、より好適である。
また、タイヤチェーン取付具1をタイヤ17が乗り上げる負担を軽減するために、フレーム2の幅方向の断面が台形型になっていても良い。
【実施例2】
【0038】
他の実施例について
図7を用いて説明する。実施例1と同様の部分は省略する。
図7(a)は、タイヤの幅変更に対応する実施例の図である。
図7(b)は、タイヤの扁平率に違いに対応する実施例の図である。
図7(c)は、長さ調整部の構造図である。
タイヤの幅寸法は、品種によって大きく異なる。その違いをタイヤサイズ調整部7にて対応しようとすると、タイヤの幅寸法が小さい場合に、
可動形腕部保持部5と可動形腕部6の間が極端に開いてしまい、不安定になる可能性がある。そこで、フレーム2の固定部4部分に長さ調整部12を配置することによって、多くのタイヤ幅に対応できるようにする。
【0039】
長さ調整部12は、フレーム2を切断し、その間をねじとピンで固定し、ねじを回転させることで、長さを微調整できるようするものである。フレーム2には、2つのガイド用ピン挿入穴1205と1つのねじ穴1204が設けられている。フレーム2の切断面の一方のねじ方向と他方の切断面のねじ方向は逆になっている。ガイド用ピン1203は、ガイド用ピン挿入穴1205に対してガタなく挿入されている。ガイド用ピン1203は、フレーム2のねじれを防ぐものである。調整用ねじ部1201は調整用ボルト1203を持ち、ねじ方向は一方端と他方端で逆になっている。調整用ねじ部1201を調整用ボルト1203によって回転させることによって、フレーム2の切断面の間隔を調整することが出来、異なるタイヤ幅に対応することができる(
図7(a))。
【0040】
また、腕部3の中段、
可動形腕部保持部5の中段でフレーム2を切断して、長さ調整部12の構造をいれることによって、異なる扁平率のタイヤに対応することができる。タイヤの扁平率は80,70、からタイヤによっては40%のものもある。扁平が大きい(扁平率が小さい)ものは、タイヤの厚さが薄くなり、その分、ホイールの大きさが大きくなる。そのため、たとえば、扁平率80用のタイヤチェーン取付具1を扁平率40のタイヤに装着しようとすると、腕部3の先端がホイールにあたり、ホイールを傷つけてしまうことになる。そのようなことを防ぐために、腕部3、
可動形腕部保持部5の長さを調整可能とする。そうすることで、さまざまな扁平率のタイヤに対応することができる(
図7(b))。