(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転自在に軸支される円筒状のスリーブと、該スリーブ内に固定配置された複数の磁極を備えるマグネットローラとを有し、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を前記スリーブの表面に担持して、静電潜像が形成された感光体に臨む現像領域へ搬送する現像ローラと、
前記現像領域よりも前記スリーブの回転方向上流側で2成分現像剤を前記スリーブの表面に供給する供給ローラと、
前記スリーブの表面に担持される2成分現像剤の層厚を規制する層厚規制部材であって、前記スリーブの回転軸線と平行に、かつ前記スリーブの軸線方向の長さと同じ長さにわたって延びる帯状部材からなり、幅方向一方端部が、前記スリーブの表面と間隔を空けて対向するように配設され、長さ方向両端部に、前記幅方向一方端側に開放する矩形状の切欠きが設けられた層厚規制部材と、を備え、
前記切欠きは、前記感光体の、静電潜像が形成されない像非形成部分に対向する前記スリーブの表面部分に対応する位置に設けられ、
前記スリーブの前記表面部分と間隔を空けて対向するように配設される、磁性材料からなる磁性シール部材であって、前記像担持体を臨む開口部を挟んで前記層厚規制部材とは反対側に設けられる磁性シール部材をさらに備えることを特徴とする現像装置。
前記スリーブの表面と前記層厚規制部材の前記幅方向一方端部との間隔をA(mm)とし、前記切り欠きの幅方向長さをB(mm)とし、前記スリーブの表面と前記磁性シール部材との間隔をC(mm)としたとき、(A+B)/A≦1.4であり、C/(A+B)≧0.7であることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の一形態である現像装置1の構成を簡略化して示す断面図である。
図2は、現像ローラ13と層厚規制部材14および磁性シール部材20との位置関係を示す模式図である。
図3は、
図1に示す現像装置1を備える画像形成装置2の構成を簡略化して示す断面図である。
【0024】
現像装置1は、たとえば
図3に示す画像形成装置2に搭載され、像担持体である電子写真感光体(以後、単に「感光体」とも称する)3に形成される静電潜像を現像してトナー像を形成することに用いられる。現像装置1は、たとえば
図3に示す像担持体である感光体3を臨んで開口する開口部11を有し、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤(以後、単に「現像剤」とも称する)が収容される現像剤収容容器12と、現像剤収容容器12内に現像剤収容容器12の開口部11の開口を介して感光体3に対向するように設けられ、感光体3に2成分現像剤中のトナーを供給する現像剤供給手段である現像ローラ13と、現像ローラ13に対向するように設けられる層厚規制部材14と、現像後に現像ローラ13表面に残留する現像剤を回収し、トナーホッパ29から補給されるトナーと混合撹拌して搬送する第1撹拌搬送部材15と、現像剤収容容器12内に回転可能に設けられ、現像剤収容容器12内の2成分現像剤を撹拌するとともに搬送し、現像ローラ13に供給する第2撹拌搬送部材16と、を含んで構成される。本実施形態において、現像剤は、非磁性のトナーと磁性を有するキャリアとによって構成される。
【0025】
現像ローラ13は、感光体3に対向して軸線まわりに回転可能に軸支され、2成分現像剤を担持する現像スリーブ17と、現像スリーブ17に内包されるように固定して設けられ、複数の磁極によって磁界を発生させるマグネットローラ18とを含む。本実施形態において現像スリーブ17は、図示しない駆動手段によって
図1の紙面に向かって時計まわりに回転駆動される。現像スリーブ17には、感光体3との間に電位差が生じるように、図示しない電源から電位が与えられる。
【0026】
現像スリーブ17は本実施形態では中空の円筒形状である。現像スリーブ17の外径寸法はたとえば25mmである。現像スリーブ17は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの非磁性材料によって形成される。アルミニウム合金としては、たとえばアルミニウム(Al)−マンガン(Mn)系合金などが挙げられる。
【0027】
マグネットローラ18は、具体的には現像スリーブ17の半径方向内方に設けられ、第略円柱状の部材であり、現像スリーブ17の回転軸線と同軸に軸支される。マグネットローラ18は、現像スリーブ17のように回転可能ではなく、固定されている。
【0028】
現像ローラ13は、マグネットローラ18の磁力によってキャリアを磁気的に吸着し、現像スリーブ17の外周面部である半径方向外方側の表面部にキャリアとトナーとからなる磁気ブラシと呼ばれる現像剤の穂を形成する。磁気ブラシは、マグネットローラ18によって形成される磁界に沿って形成される。現像ローラ13は、現像スリーブ17を回転させることによって、現像ローラ13と感光体3との最近接対向部である現像領域21に現像剤を搬送する。
【0029】
層厚規制部材14は、現像剤収容容器12の開口部11付近に設けられ、現像スリーブ17の表面に担持される2成分現像剤の層厚を規制し、現像スリーブ17の回転軸線と平行に、かつ少なくとも現像スリーブ17の軸線方向の長さと同じ長さにわたって延びる帯状部材からなる。層厚規制部材14は、遊端部となる幅方向一方端部が、現像スリーブ17の表面と所定の間隔を空けて対向するように配設され、この間隔によって現像スリーブ17に担持される2成分現像剤の層厚を規制する。
【0030】
層厚規制部材14は、非磁性材料または磁性材料で形成される。非磁性材料としては、たとえば、SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼が用いられる。磁性材料としては、たとえば、ニッケル、SUS430などのフェライト系ステンレス鋼、SUS410Sなどのマルテンサイト系ステンレス鋼が用いられる。層厚規制部材14を非磁性材料で形成することによって、磁化されることを防ぎ、層厚規制部材14へのキャリアの付着を防止することができる。層厚規制部材14を磁性材料で形成することによって、磁界によって形成された穂を穂切りして現像剤の層厚を規制するので、現像剤量が少ない薄層現像に好適であり、層厚規制時に現像剤にかかるストレスを低減して長寿命化できる。
【0031】
層厚規制部材14には、長さ方向両端部にあって、幅方向一方端側に開放する矩形状の切欠き14aが設けられる。この切欠き14aが設けられた位置では、現像スリーブ17の表面に担持される2成分現像剤の層厚が局所的に厚くなっている。2成分現像剤の層厚が厚い部分では、2成分現像剤の担持量が多くなり、磁気ブラシの穂形成密度が高くなる。
【0032】
現像スリーブ17の表面に担持される2成分現像剤のトナーは、現像スリーブ17が回転したり、層厚規制部材14によって摺擦されることによって現像スリーブ17表面から飛散してしまう。飛散したトナーが穂の間隙を通過しないように、現像スリーブ17の軸線方向両端部において、磁気ブラシの穂形成密度を高くして磁気ブラシによるシールを可能としている。
【0033】
また、現像剤収容容器12の開口部11には、磁性シール部材20が設けられる。磁性シール部材20は、開口部11を挟んで層厚規制部材14とは、おおよそ反対側であって、現像スリーブ17の軸線方向両端部に対応して設けられる。現像剤収容容器12の開口部11と、現像ローラ13との間隙は、現像ローラ13の上下それぞれに現れる。一方の間隙は、層厚規制部材14の両端部を通過した現像剤による高密度の穂が形成された磁気ブラシによってシールされ、他方の間隙は、磁性シール部材20と現像スリーブ17との間に形成される高密度の穂が形成された磁気ブラシによってシールされる。
【0034】
磁性シール部材20は、たとえば、SUS430などのフェライト系ステンレス鋼や鉄、ニッケル、コバルトなどからなる単独または複合の強磁性金属、これらの強磁性金属を樹脂中に分散させた磁性樹脂などを用いることができる。
【0035】
上記のように層厚規制部材14の切欠き14aおよび磁性シール部材20によって、高密度の穂が形成されてシールされることになるが、高密度の穂が形成されることによって画像形成に影響を与えないようにすることが好ましい。感光体3の静電潜像が形成される部分の軸線方向両端部において、高密度の穂を形成すると、その部分が他の部分に比べて現像剤濃度が高くなり、感光体3の表面で現像されたトナー像においても、一部が高濃度となって、形成される画像に濃度むらが発生する。
【0036】
感光体3には、静電潜像が形成される像形成部分の軸線方向外側に、静電潜像が形成されない像非形成部分が設けられる。濃度むらを発生させないためには、切欠き14aおよび磁性シール部材20は、感光体3の像非形成部分に対向する現像スリーブ17の表面部分に対応する位置にそれぞれ設けることが好ましい。
【0037】
これにより、高密度に磁気ブラシの穂が形成される部分を、像非形成部分に対応する部分とすることで、局所的に現像剤濃度が高くなっても、形成される画像の画像濃度が高くなる部分は生じないので、濃度むらの発生を抑えることができる。
【0038】
層厚規制部材14は、感光体3の像形成部分に対応する現像スリーブ17の表面部分に担持される現像剤の搬送量が、20mg/cm
2以上80mg/cm
2以下に規制するように配置される。薄層現像のためのより好ましい搬送量は、20mg/cm
2以上55mg/cm
2以下である。
【0039】
現像剤の搬送量を80mg/cm
2以下にすることによって、現像領域21において像形成部分での磁気ブラシの充填密度が過大になることを防ぎ、現像領域21における感光体3と磁気ブラシとの接触による動的摩擦力の増大を防止することができる。これによって、感光体3と磁気ブラシとを柔らかい(ソフトな)当たりで接触させることができるので、掃きむらの発生を防止することができる。
【0040】
また現像領域21への現像剤の搬送量を20mg/cm
2以上にすることによって、現像領域21における像形成部分でも磁気ブラシの充填密度が過小になることを防ぐことができるので、感光体3と磁気ブラシとをより確実に接触させることができる。これによって、感光体3に対して磁気ブラシ中のトナーを供給することができる。
【0041】
また、
図2に示すように、現像スリーブ17の表面と層厚規制部材14の幅方向一方端部との間隔をA(mm)とし、切欠き14aの幅方向長さをB(mm)とし、現像スリーブ17の表面と磁性シール部材20との間隔をC(mm)としたとき、(A+B)/A≦1.4であり、C/(A+B)≧0.7であることが好ましい。
【0042】
間隔A(mm)は、上記のような範囲に搬送量を制御するために、現像スリーブ17の像形成部分に対応する表面に担持させる現像剤の層厚を決めるギャップであり、たとえば、0.5mm≦A≦2.0mmである。長さB(mm)は、切欠き14aによって層厚規制部材14の一部が退避し、現像スリーブ17表面とのギャップが広がった分の寸法であり、たとえば、0mm<B≦1.0mmである。(A+B)/Aは、切欠き14aを設けることによって、層厚規制のためのギャップに対してシール部分におけるギャップがどの程度広いかを示す指標である。(A+B)/A≦1.4とすることで、トナー漏れによる画像形成領域の端部におけるかぶりの発生を抑制できる。
【0043】
間隔C(mm)は、磁性シール部材20と現像スリーブ17とのギャップであり、0.5mm≦C≦2.0mmである。C/(A+B)は、切欠き14aによって広がった層厚規制部材14と現像スリーブ17とのギャップと、磁性シール部材20と現像スリーブ17とのギャップと、の比率を示す。C/(A+B)≧0.7とすることにより磁性シール部材20付近における現像剤溜まりの発生を抑制できる。
【0044】
第1撹拌搬送部材15は、現像領域よりも現像スリーブ17の回転方向下流側に配置され、マグネットローラ18の剥離極によって現像スリーブ17の表面から剥離された2成分現像剤を回収し、トナーホッパ29から補給されるトナーと混合撹拌して搬送する。第1撹拌搬送部材15は、現像スリーブ17の回転軸線と平行な第1軸線に沿って延びる第1回転軸部と、この第1回転軸部に螺旋状に取り付けられた第1螺旋羽根部とを有し、第1回転軸部が第1軸線まわりに回転することで第1螺旋羽根部によって第1軸線に沿って2成分現像剤を一方方向に搬送する回収搬送部材である。
【0045】
第2撹拌搬送部材16は、現像ローラ13の鉛直下方に配置され、現像剤収容容器12内の2成分現像剤を撹拌するとともに現像領域よりも現像スリーブ17の回転方向上流側で2成分現像剤を現像スリーブ17の表面に供給する現像剤供給部材である。第2撹拌搬送部材16は、現像スリーブ17の回転軸線と平行な軸線に沿って延びる第2回転軸部と、この第2回転軸部に螺旋状に取り付けられた第2螺旋羽根部とを有している。第2回転軸部が第2軸線まわりに回転することで第2螺旋羽根部によって第2軸線に沿って2成分現像剤を他方方向に搬送する。
【0046】
第1撹拌搬送部材15と第2撹拌搬送部材16との位置関係は、第1撹拌搬送部材15が、第2撹拌搬送部材16よりも現像スリーブ17の回転方向上流側にあり、かつ第1撹拌搬送部材15が第2撹拌搬送部材16よりも上方にある、言い換えれば、第1撹拌搬送部材15の第1回転軸部が、第2撹拌搬送部材16の第2回転軸部よりも上方に配置される。
【0047】
第1撹拌搬送部材15と第2撹拌搬送部材16とは、たとえば、それぞれ搬送方向両端において搬送空間が連通し、2成分現像剤は、第1撹拌搬送部材15と第2撹拌搬送部材16との間で循環しながら搬送される。第1撹拌搬送部材15は、現像後の2成分現像剤と新たに補給されたトナーとを搬送しながら撹拌し、十分に撹拌された2成分現像剤が、第2撹拌搬送部材16によって搬送されて現像ローラ13に供給される。したがって、第1撹拌搬送部材15で搬送されている2成分現像剤が、第1撹拌搬送部材15の端部まで搬送される前に第2撹拌搬送部材16に混入してしまうことがないように、第1撹拌搬送部材15と第2撹拌搬送部材16との間に、第1撹拌搬送部材15から第2撹拌搬送部材16への2成分現像剤の移動を規制する移動規制部材である隔壁12aが設けられる。本実施形態では、隔壁12aは、現像剤収容容器12の一部からなり、先端が現像スリーブ17の表面に近接して第1撹拌搬送部材15から第2撹拌搬送部材16への移動を規制する。
【0048】
マグネットローラ18は、たとえば、現像主極N1、汲上げ極N2、剥離極N3、搬送極S1および回収極S2の5つの磁極を有する。現像主極N1、汲上げ極N2および剥離極N3はN極の磁極であり、搬送極S1および回収極S2はS極の磁極である。5つの磁極は、現像スリーブ17の回転方向下流側から上流側に向かって、現像主極N1、搬送極S1、汲上げ極N2、剥離極N3および回収極S2の順に配置される。現像主極N1は、感光体3を臨む位置に配置される。搬送極S1は、現像主極N1よりも現像スリーブ17の回転方向上流側にあり、層厚規制部材14を望む位置にある。汲み上げ極N2は、第1撹拌搬送部材15を臨む位置に配置され、第1撹拌搬送部材15によって搬送される2成分現像剤を磁力で汲み上げて第1撹拌搬送部材15から現像スリーブ17表面へ2成分現像剤を供給させる。
【0049】
回収極S2は、現像領域よりも現像スリーブ17の回転方向下流側にあって、感光体3へのトナー供給後に現像スリーブ17の表面に残留している2成分現像剤を、第2撹拌搬送部材16を臨む剥離極N3の位置まで保持する。
【0050】
剥離極N3は、現像領域よりも現像スリーブ17の回転方向下流側にあって、第2撹拌搬送部材16を臨む位置に配置され、感光体3へのトナー供給後に現像スリーブ17の表面に残留している2成分現像剤を磁力によって現像スリーブ17の表面から剥離させる。
【0051】
本実施形態においてマグネットローラ18の各磁極は、たとえば、現像スリーブ17の周方向に現像主極N1から所定の回転角度を空けて配置される。具体的には、搬送極S1は、現像主極N1からの回転角度が286°になる位置に配置される。汲上げ極N2は、現像主極N1からの回転角度が220°になる位置に配置される。剥離極N3は、現像主極N1からの回転角度が140°になる位置に配置される。回収極S2は、現像主極N1からの回転角度が80°になる位置に配置される。
【0052】
また、各磁極位置おける磁束密度の大きさ(法線方向成分の極大値)の一例は、現像主極N1の磁束密度の大きさは115mTであり、汲み上げ極N2の磁束密度の大きさは63mTであり、剥離極N3の磁束密度の大きさは42mTである。搬送極S1の磁束密度の大きさは73mTであり、回収極S2の磁束密度の大きさは83mTである。
【0053】
また
図3に示すように現像装置1には、現像剤収容容器12にトナーを補給するためのトナーホッパ29が設けられる。トナーホッパ29は、現像剤収容容器12と同様の中空の容器状部材であるホッパ本体を有する。ホッパ本体は、現像剤収容容器12内にトナーを補給するためのホッパ側補給口が形成されるホッパ側補給口部を有する。現像剤収容容器12には、容器側補給口が形成される容器側補給口部32が設けられる。現像剤収容容器12内の空間とトナーホッパ29内の空間とは、容器側補給口およびホッパ側補給口を介して連通する。
【0054】
トナーホッパ29は、ホッパ側補給口および容器側補給口を介してホッパ本体30内のトナーを現像剤収容容器12内に補給する。トナーホッパ29は、図示しないトナー濃度センサによって検出される現像剤収容容器12内のトナーの濃度が予め定められる基準値以下になると、トナーホッパ29内のトナーを現像剤収容容器12内に補給するように、図示しない制御部によって制御される。
【0055】
図1に示す現像装置1によれば、以下のようにして静電潜像が現像される。まず現像剤収容容器12内の現像剤が、第1および第2撹拌搬送手段15,16によって撹拌されて帯電され、現像ローラ13の汲上げ極N2を臨む位置まで搬送される。汲上げ極N2を臨む位置まで搬送された現像剤は、汲上げ極N2の磁力によって現像スリーブ17に磁気的に吸着され、現像スリーブ17の外周面部にキャリアとトナーとからなる磁気ブラシを形成する。
【0056】
磁気ブラシとして現像スリーブ17に担持される現像剤は、現像スリーブ17の回転に伴って現像スリーブ17の回転方向下流側に搬送され、層厚規制部材14に対向する位置で現像スリーブ17の外周面部に担持される量が規制される。また現像剤は層厚規制部材14によって摩擦帯電される。
【0057】
層厚規制部材14に対向する位置を通過した現像剤は、現像スリーブ17の回転に伴って、現像主極N1が形成される現像領域21に搬送される。現像領域21では、現像スリーブ17と感光体3との電位差によって、現像スリーブ17の外周面部に形成された磁気ブラシから、トナーのみが感光体3に供給される。これによって、感光体3に形成された静電潜像が現像され、感光体3表面に可視像であるトナー像が形成される。
【0058】
感光体3に転移せずに現像スリーブ17に残留した現像剤は、現像領域21を通過し、回収極S2の磁力によって現像剤収容容器12内に搬送され、剥離極N3によって現像スリーブ17から剥離され、釈放されて第1撹拌搬送部材15に回収される。回収された現像剤は、トナーホッパ29から補給されたトナーとともに第1撹拌搬送部材15によって撹拌混合されながら搬送され、搬送方向端部で第2撹拌搬送部材16へと移動する。第2撹拌搬送部材16によって撹拌搬送される現像剤は、再び汲上げ極N2によって汲上げられ現像に供される。
【0059】
また現像スリーブ17の外周面部である半径方向外方側の表面部は粗面化処理されているのが好ましい。粗面化処理によって現像スリーブ17が現像剤を安定して保持することができる。これによって、現像剤を現像領域21まで安定して搬送することができるので、現像領域21に搬送される現像剤の量を層厚規制部材14によって規制される量に維持し、現像剤の搬送量にばらつきが生じることを防ぐことができる。したがって、現像むらの発生を防ぐことができる。
【0060】
粗面化処理としては、たとえばサンドブラスト処理などの機械的処理などが挙げられる。現像スリーブ17の外周面部の十点平均粗さRzは、特に制限されないけれども、本実施形態では5μm以上12μm以下である。十点平均粗さRzとは、表面粗さ測定器サーフコーダSE−30H(商品名、株式会社小坂研究所製)を用い、日本工業規格(JIS)B0601−1982に準じて、測定基準長さを2.5mmとし、評価長さを10mmとして測定した値のことである。現像スリーブ17の外周面部の十点平均粗さRzを12μm以下にすることによって、層厚規制部材14による現像剤量の調整が容易になるので、現像剤の搬送量を所望の値にすることができる。また現像スリーブ17の外周面部の十点平均粗さRzを5μm以上にすることによって、現像剤をより安定して現像領域21に搬送することができる。
【0061】
次に2成分現像剤を構成するトナーとキャリアとについて説明する。本発明の現像装置1で用いられるトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックスおよび電荷制御剤を含む。
【0062】
(結着樹脂)
結着樹脂は、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下の第1ポリエステル樹脂(以下、「低分子量ポリエステル樹脂」と記載する)、および重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下の第2ポリエステル樹脂(以下、「高分子量ポリエステル樹脂」と記載する)を含む。結着樹脂が低分子量ポリエステル樹脂を含むことによって、トナーの低温定着性を向上させることができる。また、結着樹脂が高分子量ポリエステル樹脂を含むことによって、トナーの耐高温オフセット性および耐久性を向上させることができる。
【0063】
高分子量ポリエステル樹脂および低分子量ポリエステル樹脂は、原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とを、チタン系触媒の存在下で縮重合させることにより得られる。
【0064】
アルコール成分としては、2価のアルコール成分および3価以上のアルコール成分が挙げられる。
【0065】
2価アルコール成分としては、たとえばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0066】
3価以上のアルコール成分としては、たとえばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0067】
酸成分としては、2価のカルボン酸成分および3価以上のカルボン酸成分などが挙げられる。
【0068】
2価のカルボン酸成分としては、たとえばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、およびこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0069】
3価以上のカルボン酸成分としては、たとえば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラメチレンカルボキシルメタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0070】
これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸またはその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。
【0071】
前述のように、低分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、4000以上10000以下である。低分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量が4000未満であると、トナーの保存性が低下する。低分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量が10000を超えると、低温定着性が低下する。
【0072】
低分子量ポリエステル樹脂は、直鎖状の主鎖からなるポリエステル樹脂または直鎖状の主鎖とそれに結合する比較的短い側鎖とからなる構造をもつポリエステル樹脂であることが好ましく、3価以上のモノマー成分および架橋剤を使用することなく、2価のモノマー成分の縮重合により得られるものであることが好ましい。
【0073】
低分子量ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(以下「THF」と記載する)不溶分を含まず、数平均分子量(Mn)が4000以上10000以下である。
【0074】
低分子量ポリエステル樹脂の数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は、2以上10以下が好ましい。
【0075】
低分子量ポリエステル樹脂の酸価は、40mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下がより好ましい。低分子量ポリエステル樹脂の酸価が40mgKOH/gを超えると、高湿環境下においてトナーの帯電性が低下するおそれがある。
【0076】
低分子量ポリエステル樹脂の軟化点は、80℃以上120℃が好ましく、90℃以上110℃以下がより好ましい。低分子量ポリエステル樹脂の軟化点が80℃未満であると、低分子量ポリエステル樹脂の凝集力が極端に低下する。低分子量ポリエステル樹脂の軟化点が120℃を超えると、トナーの低温定着性が低下する。
【0077】
低分子量ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、50℃以上75℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
【0078】
前述のように、高分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、50000以上300000以下であり、150000以上250000以下が好ましい。高分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量が50000未満であると、トナーの耐久性および耐高温オフセット性が低下する。高分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量が300000を超えると、ワックスの結着樹脂中での分散性が低下する。
【0079】
高分子量ポリエステル樹脂は、2価のモノマー成分と3価以上のモノマー成分との縮重合により得られるポリエステル樹脂であることが好ましい。また、高分子量ポリエステル樹脂は、架橋成分を含むことが好ましい。高分子量ポリエステル樹脂が架橋成分を含むことによって、トナーの耐久性を向上させることができる。
【0080】
高分子量ポリエステル樹脂は、THF不溶分が3重量%未満であり、数平均分子量(Mn)が6000以上12000以下であり、8000以上10000以下が好ましい。
【0081】
高分子量ポリエステル樹脂の数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は、30以下であり、15以上25以下が好ましい。Mw/Mnは、高分子量ポリエステル樹脂の分子量分布の広がりを示す。Mw/Mnが30を超えると、高分子量ポリエステル樹脂が低分子量成分や高分子量成分を含有することとなり、トナーの耐久性およびワックスの分散性が低下する。
【0082】
高分子量ポリエステル樹脂の酸価は、50mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以上45mgKOH/g以下がより好ましい。高分子量ポリエステル樹脂の酸価が50mgKOH/gを超えると、高湿環境下においてトナーの帯電性が低下するおそれがある。
【0083】
高分子量ポリエステル樹脂の軟化点は、110℃以上160℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がより好ましい。高分子量ポリエステル樹脂の軟化点が110℃未満であると、樹脂の凝集力が極端に低下する。高分子量ポリエステル樹脂の軟化点が160℃を超えると、その樹脂を使用したトナーの溶融流動および低温定着性が低下する。
【0084】
高分子量ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、50℃以上75℃以下が好ましく、55℃以上70℃以下がより好ましい。
【0085】
本実施形態では、低分子量ポリエステル樹脂および高分子量ポリエステル樹脂を重合するときに、触媒としてチタン系触媒を用いる。
【0086】
チタン系触媒としては、炭素数1〜8のアルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタン、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタン、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタニル、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタニル、カルボン酸チタニル塩、およびチタンキレート化合物からなる少なくとも1種のチタン化合物が挙げられる。
【0087】
具体的には、上記原料モノマーと、上記チタン系触媒とを添加し、反応温度170〜250℃、反応圧力5mmHg〜常圧で反応を行い(最適温度、圧力はモノマー成分の反応性で決める)、前述の所定の物性になった時点で反応を終了させれば良い。なお、上記原料モノマーの縮重合反応がある程度進んだ時点で、追加で上記原料モノマーを添加してもよい。具体的には、上記原料モノマーを220〜250℃の温度で3〜5時間縮重合させ、170〜210℃の温度まで冷却してから、追加で上記原料モノマーを添加してもよい。
【0088】
(着色剤)
着色剤としては、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤などが挙げられる。以下では、カラーインデックス(Color Index)を「C.I.」と略記する。
【0089】
イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー74、およびC.I.ピグメントイエロー185などの顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、およびC.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
【0090】
マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
【0091】
シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、およびC.I.ダイレクトブルー86などが挙げられる。
【0092】
ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択すればよい。
【0093】
これらの顔料以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用できる。着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。また、同色であっても、2種以上を併用できる。トナー原料の溶融混練物における着色剤の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは該溶融混練物全量の0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.2〜10重量%である。
【0094】
(ワックス)
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレン−ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系ワックス、アルコール変性炭化水素ワックス、エステルワックス、カルナウバワックス、アミド系ワックス等のいずれも使用することができるが、結着樹脂との相溶性および離型性、融点の観点から、パラフィンワックス、エステルワックス、マイクロクリスタリンワックスが好ましい。ワックスは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
【0095】
ワックスの融点は、トナーの低温定着性の確保の観点から50℃以上100℃以下が好ましく、60℃以上90℃以下がより好ましい。本発明のトナーには、このように融点の低い低融点ワックスが、低分子量ポリエステル樹脂および高分子量ポリエステル樹脂を含む結着樹脂中に均一に分散されているので、低温定着性が良好である。
【0096】
ワックスの酸価は、2.0mgKOH/g未満が好ましく、1.0mgKOH/g未満がより好ましい。ワックスの酸価が2.0mgKOH/g以上であると、結着樹脂との相溶性が高く、定着時の染み出しが悪くなり、トナーの低温定着性の改善を図ることが困難である。
【0097】
ワックスの水酸基価は、5.0mgKOH/g未満が好ましく、3.0mgKOH/g未満がより好ましい。ワックスの水酸基価が5.0mgKOH/g以上であると、結着樹脂との相溶性が高く、定着時の染み出しが悪くなり、トナーの低温定着性の改善を図ることが困難である。
【0098】
ワックスの含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下が好ましく、1重量部以上8重量部以下がより好ましい。
【0099】
(電荷制御剤)
電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。
【0100】
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、ベンジル酸誘導体の金属化合物(金属はボロン、アルミニウムなど)、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
【0101】
トナー原料の溶融混練物における電荷制御剤の含有量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、該溶融混練物全量の0.5〜5重量%である。
【0102】
本発明のトナーには、結着樹脂、着色剤、ワックスおよび荷電制御剤の他に、導電性調整剤、体質顔料、酸化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
【0103】
(トナーの製造方法)
本発明のトナーは、たとえば以下のような溶融混練法で製造する。
上記トナー原料を混合機で乾式混合し、得られる混合物を混練機で溶融混練して溶融混練物を得る。溶融混練は、結着樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら行われる。
【0104】
溶融混練物中には、着色剤が0.1〜20重量%、ワックスが1〜10重量%が含まれ、残部が結着樹脂であることが好ましい。または、着色剤が0.1〜20重量%、ワックスが1〜10重量%、および電荷制御剤が0.5〜3重量%含まれ、残部が結着樹脂であることが好ましい。
【0105】
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
【0106】
混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87(商品名、株式会社池貝製)などの1軸もしくは2軸の押出機、ニーディックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。
【0107】
溶融混練物を冷却し、固化させて樹脂組成物を得る。樹脂組成物は、ハンマーミルまたはカッターミルなどによって、たとえば100μm〜5mm程度の粒径を有する粗粉砕物に粉砕される。その後、このような粗粉砕物を、たとえば15μm以下の粒径の微粉体になるまでさらに粉砕する。粗粉砕物の粉砕には、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機または高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。粉砕機による粉砕後、トナー粒子から微粉を除去するために、分級を行なってもよい。
【0108】
以上のようにして製造されたトナー粒子は、そのままトナーとして用いてもよいし、外添剤を外添したものをトナーとして用いてもよい。外添剤を外添することによって、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性、長期保存性改善、クリーニング特性改善、感光体表面磨耗特性制御の効果を得ることができる。
【0109】
外添剤としては、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末およびアルミナ微粉末などが挙げられる。外添剤は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0110】
外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体の摩耗に対する影響およびトナーの環境特性などを考慮して、トナー粒子100重量部に対し0.1重量部以上2重量部以下が好適である。
【0111】
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
【0112】
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0113】
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの体積平均粒子径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。さらにキャリアの体積抵抗率は、10
8Ω・cm以上が好ましく、10
12Ω・cm以上がより好ましい。
【0114】
キャリアの体積抵抗率は、キャリア粒子を断面積0.50cm
2の容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cm
2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。キャリアの飽和磁化は、40emu/g以上80emu/g以下が好ましい。
【0115】
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。たとえば、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm
2)と混合する場合、トナーが全現像剤量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるようにすればよい。また、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
【0116】
次に現像装置1を備える画像形成装置2について説明する。
図3に示すように、画像形成装置2は、大略的に、原稿読取部(以後、「スキャナ部」とも称する)40と、画像形成部60と、給紙部80と、排紙部90とを含んで構成される。原稿読取部40は給紙部80の鉛直上方に配設され、排紙部90は鉛直方向における原稿読取部40と給紙部80との中間部に配設される。具体的には、原稿読取部40は上部筐体71の内部と上部筐体71の上方とにわたって設けられ、給紙部80は下部筐体72の下部に設けられ、排紙部90は下部筐体72の上部に設けられる。
【0117】
原稿読取部40は、原稿が載置される第1プラテンガラス41と、原稿送給部44から原稿が送給される第2プラテンガラス42と、第1プラテンガラス41に載置される原稿または第2プラテンガラス42に送給される原稿から画像情報を読取り、得られた画像情報を図示しない画像処理部に出力するコピーランプユニット43と、第2プラテンガラス42に原稿を送給する原稿送給部44とを含む。コピーランプユニット43は、上部筐体71の内部に設けられる。また原稿送給部44は、上部筐体71の上方に設けられる。
【0118】
コピーランプユニット43は、第1プラテンガラス41に載置される原稿または第2プラテンガラス42に送給される原稿に光を照射する光源であるコピーランプ45と、原稿からの反射光像を予め定められる方向に偏光する第1ミラー46と、第1ミラー46によって偏光された原稿からの反射光像をさらに予め定められる方向に順次偏光する第2および第3ミラー47,48と、第3ミラー48によって偏向された原稿からの反射光像を縮小し、光電変換素子(Charge Coupled Device;略称CCD)50に結像させる光学レンズ49と、光学レンズ49によって結像される原稿からの反射光像を光電変換し、電気的信号として画像処理部に出力するCCD50とを含む。
【0119】
原稿送給部44は、原稿が載置される原稿トレイ51と、原稿トレイ51に載置される原稿を搬送路52に送給する給紙ローラ53と、給紙ローラ53によって送給される原稿を一時的に保持し、タイミングを計って第2プラテンガラス42に送給するレジストローラ54と、画像情報を読取られた後の原稿が排出される原稿排紙トレイ55とを含む。
【0120】
画像形成部60は、軸線まわりに回転可能に設けられる像担持体である感光体3と、帯電手段である帯電ユニット61と、露光手段であるレーザスキャナユニット62と、現像手段である前述の
図1に示す現像装置1と、転写手段である転写ユニット63と、定着手段である定着装置64と、クリーニング手段であるクリーニングユニット65と、除電手段である除電装置66とを含む。帯電ユニット61、レーザスキャナユニット62、現像装置1、転写ユニット63、クリーニングユニット65および除電装置66は、この順に感光体3の周囲に感光体3の回転方向上流側から下流側に向かって配置される。本実施形態において感光体3は円柱状である。感光体3の形状は円柱状に限定されるものではなく、たとえば円筒状であってもよい。
【0121】
現像装置1の現像スリーブ17は、感光体3に対向して、感光体3の回転軸線と平行な軸線まわりに回転可能に設けられる。現像スリーブ17と感光体3との間隔D2は、特に限定されるものではないけれども、本実施形態では0.25mm以上0.50mm以下である。前述のように、現像装置1は、露光によって感光体3の外周面部に形成される静電潜像を現像する。
【0122】
帯電ユニット61は、感光体3の外周面部を帯電させる。レーザスキャナユニット62は、帯電された感光体3を露光する。転写ユニット63は、現像によって形成される可視像であるトナー像を記録媒体である記録用紙に転写させる。転写ユニット63は、たとえばコロナチャージャによって実現される。定着装置64は、転写されたトナー像を記録用紙に定着させる。具体的には、定着装置64は、内部に加熱ヒータ69を備える加熱ローラ67と、加熱ローラ67の表面部に弾発的に当接する加圧ローラ68とを有する。クリーニングユニット65は、クリーニングブレード70を備え、転写ユニット63による転写動作後に感光体3の外周面部に残留するトナーをクリーニングブレード70によって掻き取って除去し、感光体3の外周面部を清浄化する。除電装置66は、クリーニングユニット65による清浄化後の感光体3の外周面部を除電する。
【0123】
給紙部80は、下部筐体72の内部に設けられ、記録媒体である記録用紙が収容される給紙カセット81と、下部筐体72の側面部から突出して設けられ、記録用紙が載置される手差しトレイ82と、給紙カセット81に収容される記録用紙を第1搬送路83に送給する第1給紙ローラ84と、手差しトレイ82に載置される記録用紙を第2搬送路85に送給する第2給紙ローラ86と、記録用紙を一時的に保持し、タイミングを計って画像形成部60に送給するレジストローラ87とを含む。
【0124】
排紙部90は、画像形成部60の定着装置64でトナー像が定着された記録用紙を排紙トレイ91に排出させる排紙ローラ92と、排紙ローラ92によって排出される記録用紙を収容する排紙トレイ91とを含む。
【0125】
画像形成装置2は、画像形成(以後、「印刷」とも称する)モードとして、複写モード(以後、「コピアモード」とも称する)、プリンタモードおよびファクシミリモードを有する。不図示の操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータなどの外部ホスト装置からの印刷ジョブの受信に応じて、前述の印刷モードの中から対応する印刷モードが後述する不図示の制御部によって選択される。
【0126】
前述の印刷モードのうち、コピアモードの場合には以下のようにして画像が形成される。使用者が原稿読取部40の第1プラテンガラス41に原稿を載置し、給紙部80の給紙カセット81または手差しトレイ82に記録用紙を供給し、さらに上部筐体71の
図3の紙面に向かって手前側に配置される不図示の操作パネルの条件入力キーにて印刷枚数、印刷倍率などを入力した後、操作パネルのスタートキーを操作すると、複写(コピー)動作が開始される。
【0127】
スタートキーが操作されると、不図示のメイン駆動モータが始動し、不図示の各駆動ギヤが回転する。次いで、給紙部80の第1給紙ローラ84または第2給紙ローラ86が回転して記録用紙が第1搬送路83または第2搬送路85に送出(給紙)され、一対のレジストローラ87に到達して捕捉される。このレジストローラ87によって、記録用紙は、感光体3の表面部に形成されるトナー像の先端部すなわち画像形成開始部が転写ユニット63の設けられる位置に達するタイミングと、記録用紙の画像形成予定領域が転写ユニット63の設けられる位置に達するタイミングとの同期をとるために一時停止される。またこのとき、記録用紙の先端部がレジストローラ31に均一に押しつけられて記録用紙の先端位置の補正が行なわれる。
【0128】
また原稿読取部40では、コピーランプ45が点灯し、コピーランプユニット43が矢印B方向に移動を開始することによって原稿への露光が開始される。コピーランプ45から原稿に照射された照射光は、原稿によって反射されて原稿の画像情報を含む反射光となる。この原稿からの反射光は、第1ミラー46、第2ミラー47、第3ミラー48および光学レンズ49を介してCCD50に入力される。これによって原稿の画像情報が読取られる。
【0129】
このようにして光学的信号として読取られた原稿の画像情報は、CCD50内の不図示のCCD回路によって電気的信号に変換されて画像処理部に出力される。画像処理部では、入力された画像情報に対して設定された条件で画像処理が行われ、この画像処理が行なわれた画像情報が、画像形成部60のレーザスキャナユニット62にプリントデータとして送信される。
【0130】
また画像形成部60では、帯電ユニット61によって、感光体3の外周面部の一部分が感光体3の軸方向全体にわたって所定の電位に帯電され、さらに感光体3が回転することによって感光体3の外周面部全体が所定の電位に帯電される。帯電された感光体3の外周面部は、感光体3の回転によって次の工程に順次移動する。
【0131】
レーザスキャナユニット62では、図示しないけれども、回転方向に複数の反射面を有したポリゴンミラー(回転多面鏡)および各種光学系によって、半導体レーザから出射されたレーザ光が、画像処理部から入力されたプリントデータに応じて偏向されながら感光体3に照射される。これによって、レーザ光が帯電ユニット61によって帯電された感光体3の外周面部に走査され、感光体3の外周面部に静電潜像が形成される。
【0132】
その後、現像装置1の現像剤収容容器12内の現像ローラ13によって、現像剤収容容器12に収容される現像剤中のトナーが、回転する感光体3の外周面部に供給される。トナーは、静電潜像を形成する電位ギャップに応じて感光体3の外周面部に付着する。これによって静電潜像が顕像化(現像)され、トナー像が形成される。
【0133】
また給紙部80のレジストローラ87によってタイミングを計って、画像が形成されるべき記録用紙が、感光体3と転写ユニット63との間の転写位置に送給される。転写位置では、転写ユニット63によって感光体3の外周面部に形成されたトナー像が記録用紙に転写される。
【0134】
トナー像が転写された記録用紙は、定着装置64に搬送され、定着装置64の加熱ローラ67と加圧ローラ68との間を通過するときに熱および圧力が加えられる。これによって、記録用紙の表面部の未定着トナーが溶融して記録用紙に固着し、定着される。トナー像が定着された記録用紙は、排紙部90の排紙ローラ92によって排紙トレイ91に排出される。
【0135】
また記録用紙に転写されずに感光体3の外周面部に残留したトナーは、クリーニングユニット65のクリーニングブレード70によって掻き取られ、回収される。クリーニングブレード70によって残留するトナーが掻き取られた感光体3の外周面部は、帯電ユニット61の配置される位置に移動する途中で除電装置66によって除電される。感光体3の外周面部は、除電する必要がない場合には、除電装置66によって除電されなくてもよい。
【0136】
以上に述べた実施形態では、原稿は、使用者によって第1プラテンガラス41に載置されて停止状態で画像情報を読取られるけれども、原稿送給部44によって第2プラテンガラス42に送給されている状態で画像情報を読取られてもよい。この場合、原稿は、原稿読取部40の原稿トレイ51に載置される。
【0137】
このように原稿読取部40の原稿トレイ51に原稿が載置されていることが図示しないセンサによって検出されている場合にスタートキーが操作されると、原稿送給部44の給紙ローラ53が回転し、原稿トレイ51に載置された原稿が搬送路52に送給される。搬送路52に送給された原稿は、搬送路52に設けられるレジストローラ54によって捕捉され、原稿先端の位置決めが行われた後、所定のタイミングで原稿読取位置である第2プラテンガラス42の設けられる位置に搬送される。コピーランプユニット43は、原稿読取位置である所定の停止位置に停止したまま、搬送中の原稿を露光する。この露光によって得られた原稿からの反射光が前述のようにして原稿画像として読取られる。このようにして画像情報が読取られた原稿は、原稿排紙トレイ55に排出される。
【0138】
前述のプリンタモードの場合には、原稿読取部40は動作せず、パーソナルコンピュータなどの外部ホスト装置から入力される画像情報に応じて画像が形成される。またファクシミリモードの場合には、通信回線を介して入力される画像情報に応じて画像が形成される。
【実施例】
【0139】
図1に示した構成に基づく現像装置を用いて層厚規制部材14および磁性シール部材20の各寸法を変更してトナー飛散などの評価を行った。
【0140】
層厚規制部材14の材料には、SUS304のオーステナイト系ステンレス鋼からなる非磁性材料を用いた。層厚規制部材14の長さは330mmであり、幅は10mmである。矩形状の切欠き14aは、感光体3の像非形成部に相当する現像スリーブ17の表面に対向する位置に、矩形の長辺が現像スリーブ17に向かって開放するように設けた。切欠き14aの長辺の長さは5mmである。
【0141】
磁性シール部材20の材料には、SUS430を用いた。磁性シール部材20は、切欠き14aと同様に、感光体3の像非形成部に相当する現像スリーブ17の表面に対向する位置に設けた。現像スリーブ17の軸線方向に沿った磁性シール部材20の長さは、5mmである。
【0142】
現像ローラ13の現像剤搬送量は、35mg/cm
2とした。現像スリーブ17の回転速度を300rpmに設定し、感光体3の回転速度を120rpmに設定した。
【0143】
現像スリーブ17の表面と層厚規制部材14の幅方向一方端部との間隔をA(mm)とし、切欠き14aの幅方向長さをB(mm)とし、現像スリーブ17の表面と磁性シール部材20との間隔をC(mm)とし、これらA,B,Cを表1に示すように変更した。(A+B)/AおよびC/(A+B)については、A,B,Cに基づいてそれぞれ算出した。
【0144】
(評価1)
現像ローラ両端部付近におけるトナー飛散について評価した。
温度、湿度がそれぞれ25℃、5%の環境下において、印字面積25%の画像を10,000枚印字出力させた後に現像ローラ両端部付近を目視により飛散状態を評価するとともに、印字前後のトナー消費量(基準値×1.1倍以下:○、基準値×1.1倍より大きく基準値×1.2倍以下:△、基準値×1.2倍より大きい:×)にて、総合的に判断した。
【0145】
(評価2)
画像を印刷したときのかぶりの発生について評価した。
温度、湿度がそれぞれ25℃、5%の環境下において、印字面積25%の画像を10,000枚印字出力時に、1,000枚ごとに両端部のかぶり値を測定した。かぶり値の測定方法は、印字した記録用紙の非画像部(画像濃度0%)の濃度として次の手順により算出した。白度計(Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM:日本電色工業(株)製)を用いて、印字前の記録用紙の白色度W
1および印字後の記録用紙の非画像部における白色度W
2を測定し、両者の白色度の差(W
1−W
2)をかぶり値とした。
かぶり値が1.0以下を○、1.5以下を△、1.5より大きいと×とし、1,000枚ごとのかぶり値に基づいて総合的に評価した。
【0146】
(評価3)
磁性シール部材20付近における現像剤溜まりについて評価した。
温度、湿度がそれぞれ25℃、5%の環境下において、印字面積25%の画像を10,000枚印字出力時に、1,000枚ごとに記録用紙へのキャリア付着と現像装置の現像剤溜まり状態を目視で評価した。 記録用紙にキャリアが付着している場合は×、キャリア付着はないが、現像装置の磁性シール部材20付近で現像剤が現像装置に戻らない状態(あふれ出ている状態)は△、キャリア付着も現像剤の溜まりもない場合は○とした。
【0147】
【表1】
【0148】
評価1〜3の全てが「○」の評価結果である検討例3〜5,7,12〜14,21は、本発明の実施例1〜実施例8である。その他の検討例は、本発明の比較例である。
【0149】
検討例1,2,10,11,19,20については、Bが0mm、すなわち切欠きが設けられていないので、トナーの飛散が生じた。
【0150】
検討例6,9,15,18,22については、(A+B)/Aが1.5以上となり、切欠きの深さが深過ぎるためにかぶりが発生した。検討例3〜5,7,12〜14,21は、(A+B)/Aが1.4以下であるので、かぶりの発生を防止することができた。
【0151】
検討例8,9,16〜18,22〜26については、C/(A+B)が0.6以下となり、切欠き14aを設けて局所的に現像剤量を増加させたが、磁性シール部材20と現像スリーブ17とのギャップが小さすぎるために磁性シール部材20付近における現像剤溜まりが発生した。検討例3〜5,7,12〜14,21は、C/(A+B)が0.7以上であるので、現像剤溜まりの発生を防止することができた。