特許第5993841号(P5993841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993841
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20160901BHJP
   B41J 29/377 20060101ALI20160901BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20160901BHJP
   B65H 31/02 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   G03G21/00 530
   B41J29/00 N
   B41J29/00 P
   B41J29/12 A
   B65H31/02
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-265605(P2013-265605)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-121689(P2015-121689A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】薄井 将吾
(72)【発明者】
【氏名】石井 智士
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−310103(JP,A)
【文献】 特開2005−298213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
B41J 29/13
B41J 29/377
B65H 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成処理後に排紙口から排出された記録媒体が積載される排紙トレイと、
前記排紙トレイの下方に設けられたダクト部と、を備え、
前記排紙トレイは、前記記録媒体の積載面側で外気と前記ダクト部とを連通する複数の通気口と、
前記複数の通気口の前記排紙口側を支点として開閉可能に取り付けられていて、開放方向に付勢されていると共に、前記排紙トレイに積載された前記記録媒体の荷重によって閉塞方向に押し下げられる蓋部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記蓋部を前記開放方向に付勢する付勢部材は、バネであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の通気口は、サイズの異なる複数種別の記録媒体のうち、最小サイズの記録媒体が積載される範囲外に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の通気口は、サイズの異なる複数種別の記録媒体が積載されるそれぞれの範囲の外周に沿って外側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、画像形成部によって像担持体に形成されたトナー像が用紙等の記録媒体に転写された後、この記録媒体は定着装置に搬送される。定着装置では、ヒーター等の加熱部材によって記録媒体を加熱することによりトナー像が定着され、その後、記録媒体は排紙トレイに排出される。そのため、排出直後の記録媒体は高温になっているので、記録媒体が大量に排紙されると、排紙トレイ上に積載された大量の記録媒体には多量の熱が蓄積されることになる。この記録媒体に蓄積された熱は、排紙トレイの下方に伝達することがある。
【0003】
画像形成装置では、排紙トレイの下方に、トナーコンテナ等のトナー容器が収容されている。すると、排紙トレイ上の記録媒体から排紙トレイの下方に伝達する熱は、トナー容器にも伝達し、トナー容器内のトナーを加熱して高温にしてしまう。このようにトナーが高温になると、トナー粒子同士が融着固化してしまい、その結果、このトナーを使用した画像形成動作では良好な出力画像を得ることが困難となり、更に、画像形成部等でトナー詰まりが生じて装置を故障させることもある。
【0004】
これに対して、特許文献1には、画像定着後の用紙を縦搬送機から後処理装置へと搬送する中継ユニットにおいて、画像定着後の用紙の熱を逃がすための複数の通気孔(通気口)が形成された排紙トレイを備える構成が開示されている。このような構成により、定着装置から熱を帯びた記録媒体が積載される排紙トレイでは、複数の通気孔から熱風を逃がして放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−040508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成装置では、サイズの異なる複数種別の記録媒体を使用して画像形成動作をするように構成されるものがある。排紙方向の長さが長い記録媒体(例えば、A3サイズ用紙やB4サイズ用紙)は時間当たりの印字処理枚数が少なく、排紙方向の長さが短い記録媒体(例えば、A4サイズ用紙やB5サイズ用紙)は時間当たりの印字処理枚数が多くなる。そのため、排紙方向の長さが短い記録媒体は、排紙方向の長さが長い記録媒体に比べて、排紙トレイにおける時間当たりの積載枚数が多く、排紙トレイの下方に伝わる単位面積当たりの熱量が多くなる。
【0007】
しかしながら、上記したような排紙トレイに通気口を設ける構成では、記録媒体が排紙トレイに積載された場合に、排紙トレイの下方から見て通気口を介して記録媒体が露出している。このような場合、記録媒体からの輻射熱が通気口を介して排紙トレイの下方に直接的に侵入して熱が蓄積されることになる。すると、排紙トレイの下方のトナー容器に収容されるトナーが加熱されて、トナーを良好な状態で維持することができなくなる。
【0008】
例えば、特許文献1では、中継ユニットを前提としているため、排紙トレイ上の記録媒体の熱が排紙トレイの下方へ伝わることの不具合を考慮していないので、記録媒体から伝わる熱を複数の通気孔を介して排紙トレイの下方へと逃がす構成となっている。そのため、複数の通気孔は、排紙ローラー側に近い位置にも配置されていて、排紙方向の長さが短い記録媒体を排紙トレイに積載すると、排紙ローラー側に近い位置の通気孔が塞がってしまう。このとき、排紙トレイの下方から見て露出している記録媒体からの輻射熱が中継ユニット内部に侵入し、排紙トレイの下方で熱が蓄積されることになる。従って、このような構成を画像形成装置の排紙トレイに採用すると、排紙トレイの下方のトナー容器に収容されるトナーが加熱されて、トナーを良好な状態で維持することができなくなる。
【0009】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、記録媒体のサイズに拘らず、排紙トレイに積載される記録媒体からの熱が排紙トレイの下方に移ることを防止して、排紙トレイの下の空間を効率良く冷却すると共に、排紙トレイの下方のトナー容器の温度上昇を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、画像形成処理後に排紙口から排出された記録媒体が積載される排紙トレイと、前記排紙トレイの下方に設けられたダクト部と、を備え、前記排紙トレイは、前記記録媒体の積載面側で外気と前記ダクト部とを連通する複数の通気口と、前記複数の通気口の前記排紙口側を支点として開閉可能に取り付けられていて、開放方向に付勢されていると共に、前記排紙トレイに積載された前記記録媒体の荷重によって閉塞方向に押し下げられる蓋部と、を有する。
【0011】
このような構成を採用することで、記録媒体が排紙トレイに積載された場合、その積載範囲内に設けられている蓋部が記録媒体の荷重によって押し下げられ、その蓋部が取り付けられている通気口は閉塞される。このとき、積載されている記録媒体の範囲内の通気口では、記録媒体からの輻射熱を蓋部で遮断することができるため、記録媒体からの全ての輻射熱を排紙トレイで遮断することができる。また、記録媒体の範囲外で開放されている通気口では、蓋部が排紙口とは反対側に開いているので、排紙トレイに積載された記録媒体からの熱が入り難く、記録媒体からの熱に影響を受けない空気をダクト部内に取り込むことが出来る。
【0012】
従って、排紙トレイの下方の空間をより効率良く冷却することができるため、排紙トレイ上に排出された記録媒体の熱が、排紙トレイの下側で蓄積されてトナー容器に伝達されるのを防止することができる。その結果、排紙トレイの下方に配置されているトナー容器の温度上昇を抑えることができ、トナー容器に収容されるトナーを良好な状態に維持することが可能となる。
【0013】
前記蓋部を前記開放方向に付勢する付勢部材は、バネであるとよい。
【0014】
このような構成を採用することで、蓋部を開放方向に付勢する付勢部材を簡易な構成で実現することができる。
【0015】
前記複数の通気口は、サイズの異なる複数種別の記録媒体のうち、最小サイズの記録媒体が積載される範囲外に設けられていてもよい。
【0016】
このような構成を採用することで、通気口及び蓋部の個数を必要最小限に抑えることができる。
【0017】
前記複数の通気口は、サイズの異なる複数種別の記録媒体が積載されるそれぞれの範囲の外周に沿って外側に設けられていてもよい。
【0018】
このような構成を採用することで、どのサイズの記録媒体が排紙トレイに積載されても、記録媒体のすぐ外側に配置された通気口から空気を取り込むこととなるため、ダクト部内の通風抵抗の上昇を記録媒体の長さに応じて必要最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、記録媒体のサイズに拘らず、排紙トレイに積載される記録媒体からの熱が排紙トレイの下方に移ることを防止して、排紙トレイの下の空間を効率良く冷却すると共に、排紙トレイの下方のトナー容器の温度上昇を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る複写機の構成の概略を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る複写機の排紙トレイの周辺を示す側方断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る複写機の排紙トレイの周辺を示す上方断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る複写機の排紙トレイにおいて、通気口に取り付けられる蓋部を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る複写機の排紙トレイにおいて最小のサイズの用紙が積載された状態を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る複写機の排紙トレイにおいて最大のサイズの用紙が積載された状態を示す断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る複写機の排紙トレイの周辺を示す上方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る複写機1(画像形成装置)について説明する。説明の便宜上、図1図2図4図6における紙面手前側を複写機1の前側(正面側)とし、図3では、複写機1の前側を矢印Frによって示している。
【0022】
まず、図1を用いて複写機1の全体の構成について説明する。複写機1は、箱型形状の複写機本体2を備え、複写機本体2の下部には用紙(記録媒体)を収納した給紙カセット3が設けられ、複写機本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。複写機本体2の上端には、排紙トレイ4の上方に画像読取装置5が設けられている。複写機本体2内において排紙トレイ4の下方には、トナーコンテナ等のトナー容器18が収容されている。排紙トレイ4とトナー容器18との間には、排紙トレイ4の下側に沿ってダクト部6が設けられ、ダクト部6にはファン部7が接続されている。排紙トレイ4、ダクト部6及びファン部7の詳細は後述する。
【0023】
複写機本体2の中央部では、中間転写ベルト8が複数のローラーに懸架されている。中間転写ベルト8の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光装置9が配置されている。中間転写ベルト8の下側に沿って、4個の画像形成部10がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられる。中間転写ベルト8の右側には、クリーニング装置11が設けられている。
【0024】
各画像形成部10には、感光体ドラム12が回転可能に設けられ、感光体ドラム12の周囲には、帯電器13と、現像器14と、一次転写部15と、クリーニング部16と、除電器17とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像器14の上方には、各画像形成部10と対応するトナー容器18が、トナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。
【0025】
複写機本体2の一側(図面上左側)には、用紙の搬送経路20が上下方向に延在して設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には中間転写ベルト8の一端(図面上左端)に二次転写部22が設けられている。搬送経路20の下流部には定着装置23が設けられ、搬送経路20の下流端には排紙口24が設けられている。定着装置23は、例えば、加圧ローラー25と加熱ローラー26とが搬送経路20を挟んで対に配置されて構成される。排紙口24には、一対の排紙ローラー27が設けられている。
【0026】
次に、このような構成を備えた複写機1の画像形成動作について説明する。複写機1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、画像読取装置5によって原稿画像が読み取られると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0027】
まず、画像形成部10において、帯電器13によって感光体ドラム12の表面が帯電された後、露光装置9からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム12の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、トナー容器18から供給されるトナーによって現像器14が対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部15において中間転写ベルト8の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部10が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト8上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム12上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング部16及び除電器17によって除去される。
【0028】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着装置23に進入し、この定着装置23において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口24から排紙トレイ4上に排出される。以下では、説明の便宜上、排紙口24からの排紙方向を縦方向とする。
【0029】
次に、排紙トレイ4、ダクト部6及びファン部7について、図2図4を参照しながら説明する。
【0030】
排紙トレイ4は、現像処理、転写処理及び定着処理等の画像形成処理後に排紙口24から排出された用紙を積載するためのもので、サイズの異なる複数種別の用紙を積載可能な面積を有している。例えば、複写機1が、横向きのA4サイズ用紙(以下、横A4用紙と称する)、縦向きのB5サイズ用紙(以下、縦B5用紙と称する)、縦向きのA4サイズ用紙(以下、縦A4用紙と称する)、縦向きのB4サイズ用紙(以下、縦B4用紙と称する)及び縦向きのA3サイズ用紙(以下、縦A3用紙と称する)を印刷可能に構成されている場合、排紙トレイ4は、これらの複数種別の用紙のうち、少なくとも最大のサイズである縦A3用紙を積載可能な面積を有する。
【0031】
図2及び図3に示されるように、排紙トレイ4は、排紙口24の下方に立設された壁面30と、壁面30の下端から排紙方向に延在する傾斜面31とを有している。排紙トレイ4に排出された用紙は、傾斜面31上に積載されると共に傾斜面31の傾斜によって壁面30側で排紙方向の一端が揃えられ、他端の位置は、用紙のサイズごとに異なる排紙方向の長さに応じて変わる。例えば、横A4用紙、縦B5用紙、縦A4用紙、縦B4用紙、縦A3用紙の順に、それぞれの排紙方向の長さL1、長さL2、長さL3、長さL4、長さL5が長くなっている。
【0032】
また、排紙トレイ4の傾斜面31(用紙の積載面側)には、外気と下方に配置されたダクト部6とを連通する複数の通気口32が形成されている。通気口32は、例えば、用紙の排紙方向の長さが5mmで前後方向の長さが40mmの矩形状に形成される。
【0033】
複数の通気口32は、傾斜面31の全体に亘って分散して配置される。例えば、複数の通気口32は、左右方向に所定の間隔を空けて複数の列をなして形成されると共に、各列に所定数の通気口32が形成されていてよい。図3に示す例では、複数の通気口32は、左右方向に8列分設けられていて、3個の通気口32を有する列と、4個の通気口32を有する列とが左右方向に交互に配置されている。
【0034】
また、各通気口32には、蓋部33が開閉可能に取り付けられている。蓋部33は、例えば、図4に示されるように、遮蔽板34と、軸部35と、付勢部材36とを備えて構成される。
【0035】
遮蔽板34は、通気口32よりも大きな面積を有する矩形状の板であり、用紙からの輻射熱を透過しない不透明な材質で形成される。軸部35は、遮蔽板34の排紙口24側の一端部で前後方向に突出するように形成されていて、通気口32の内壁面に取り付けられる。
【0036】
付勢部材36は、軸部35を支点として遮蔽板34を上方(開放方向)に付勢するもので、例えば、ねじりコイルバネからなり、このねじりコイルバネは、軸部35に巻回されて取り付けられ、一端部が遮蔽板34の裏面に支持されると共に、他端部が通気口32の内壁面に支持される。従って、蓋部33は、付勢部材36の付勢力が作用している状態では、遮蔽板34の排紙口24側の一端部において軸部35を支点として、排紙口24とは反対側の他端部が上方に開放されていて、即ち、排紙口24とは反対側に開いている。なお、付勢部材36は、用紙が排紙トレイ4に積載されて用紙の荷重が遮蔽板34に掛かるときに、遮蔽板34が下方(閉塞方向)に押し下げられる程度の付勢力を有する。
【0037】
ダクト部6は、トレイ下ダクト37と、通風ダクト38とからなる。トレイ下ダクト37は、排紙トレイ4の全域に亘って拡がっていて複数の通気口32と連通している。通風ダクト38は、トレイ下ダクト37の左側でトレイ下ダクト37と連通すると共に後端が複写機本体2の背面又は側面まで延在している。
【0038】
ファン部7は、冷却ファン39を備え、ダクト部6の通風ダクト38の後端に取り付けられている。冷却ファン39は、排紙トレイ4の通気口32を吸気口としてダクト部6内に外部の空気(外気)を取り込むと共にファン部7を排気口とする冷却用の吸気ファンである。
【0039】
次に、排紙トレイ4の冷却動作について、図2及び図3に加えて図5及び図6を参照しながら説明する。
【0040】
図2及び図3に示されるように、排紙トレイ4の下側では、排紙トレイ4の複数の通気口32から、ダクト部6のトレイ下ダクト37及び通風ダクト38を介してファン部7へと至る風路が設けられている。そして、ファン部7の冷却ファン39が回転することにより、上記した風路に空気の流れが生じて、外気が排紙トレイ4の複数の通気口32を介してダクト部6の内部に取り込まれる。ダクト部6に取り込まれた空気は、用紙の排紙方向に平行で且つ逆方向に流れてトレイ下ダクト37及び通風ダクト38を通り、その後、ファン部7を介して複写機本体2の背面から外部へと排出される。このように、外部空気がトレイ下ダクト37を通ることにより、トレイ下ダクト37の上方の排紙トレイ4が冷却される。
【0041】
また、複写機1が印刷可能な複数種別の用紙のうち、排紙方向に最小の横A4用紙S1が排紙トレイ4に排出された場合の冷却動作について、図5を参照して説明する。このような最小の横A4用紙S1は、時間当たりの印字枚数が多く、例えば、1分間に40枚の印字処理が行われ、排紙トレイ4下に伝わる熱量が多くなる。
【0042】
この場合、排紙トレイ4に排出された横A4用紙S1は、排紙トレイ4において壁面30側(即ち、排紙口24側)から横A4用紙S1の排紙方向の長さに亘る範囲内に積載される。そして、横A4用紙S1はこの範囲内に設けられている蓋部33を押し下げ、蓋部33は対応する通気口32を閉塞する。なお、この範囲外に設けられている蓋部33は対応する通気口32を開放したままである。
【0043】
従って、ファン部7の冷却ファン39を駆動すると、排紙トレイ4の表面側の外気が、横A4用紙S1の範囲外の通気口32を介してダクト部6のトレイ下ダクト37に取り込まれる。そして、トレイ下ダクト37の空間のうち、排紙トレイ4上の横A4用紙S1の下に位置する空間を通って冷却風が送られる。
【0044】
このとき、開放されている通気口32のうち、最も壁面30側(排紙口24側)の通気口32から通風ダクト38までの距離は、トレイ下ダクト37の全長に比べて短く、また、横A4用紙S1の範囲外で多数の通気口32が開いていてトレイ下ダクト37へと空気を取り入れる通風口の開口面積が最大であるため、トレイ下ダクト37の通風抵抗は小さくなる。そのため、時間当たりの印字枚数が多く、排紙トレイ4下に伝わる熱量が多い最小の横A4用紙S1が排紙トレイ4に積載された場合でも、積載された横A4用紙S1の範囲に対応するトレイ下ダクト37の空間を流れる風速が速くなり、十分な冷却効果が得られる。
【0045】
また、横A4用紙S1の範囲内における通気口32は、閉塞されているので、横A4用紙S1からの輻射熱が蓋部33によって遮断されている。そのため、通気口32を設けることでダクト部6内に余分な熱量が入り込むことを防止している。
【0046】
なお、排紙トレイ4から横A4用紙S1を取り出すことによって、通気口32を閉塞していた蓋部33では付勢部材36による付勢力が作用し、軸部35を支点として遮蔽板34が上方(開放方向)に開かれる。これにより、蓋部33は、次にどのサイズの用紙が排紙トレイ4に排出されても、そのサイズに応じて必要最小限の通気口32を閉塞することができる。
【0047】
また、複写機1が印刷可能な複数種別の用紙のうち、排紙方向に最大の縦A3用紙S2が排紙トレイ4に排出された場合の冷却動作について、図6を参照して説明する。このような最大の縦A3用紙S2は、時間当たりの印字枚数が少なく、例えば、1分間に20枚の印字処理が行われ、排紙方向に短い他の用紙に比べて排紙トレイ4下に伝わる熱量が少なくなる。
【0048】
この場合、排紙トレイ4に排出された縦A3用紙S2は、排紙トレイ4において壁面30側(即ち、排紙口24側)から縦A3用紙S2の排紙方向の長さに亘る範囲内に積載される。そして、縦A3用紙S2はこの範囲内に設けられている蓋部33を押し下げ、蓋部33は対応する通気口32を閉塞する。なお、この範囲外に設けられている蓋部33(即ち、壁面30側から最も遠い位置の蓋部33)は対応する通気口32を開放したままである。
【0049】
従って、ファン部7の冷却ファン39を駆動すると、排紙トレイ4の表面側の外気が、縦A3用紙S2の範囲外の通気口32(即ち、壁面30側から最も遠い位置の通気口32)を介してダクト部6のトレイ下ダクト37に取り込まれる。そして、トレイ下ダクト37の空間のうち、排紙トレイ4上の縦A3用紙S2の全範囲の下に位置する空間を通って冷却風が送られる。
【0050】
これにより、最大の縦A3用紙S2が排紙トレイ4に積載された場合でも、縦A3用紙S2の範囲に対応するトレイ下ダクト37の空間、即ち、排紙トレイ4の下の全体を冷却することができる。
【0051】
また、縦A3用紙S2の範囲内における通気口32は、閉塞されているので、縦A3用紙S2からの輻射熱が蓋部33によって遮断されている。そのため、通気口32を設けることでダクト部6内に余分な熱量が入り込むことを防止している。
【0052】
なお、排紙トレイ4から縦A3用紙S2を取り出すことによって、通気口32を閉塞していた蓋部33では付勢部材36による付勢力が作用し、軸部35を支点として遮蔽板34が上方(開放方向)に開かれる。これにより、蓋部33は、次にどのサイズの用紙が排紙トレイ4に排出されても、そのサイズに応じて必要最小限の通気口32を閉塞することができる。
【0053】
本実施形態によれば、上述のように、複写機1は、画像形成処理後に排紙口24から排出された用紙が積載される排紙トレイ4と、排紙トレイ4の下方に設けられたダクト部6とを備える。そして、排紙トレイ4は、用紙の積載面側で外気とダクト部6とを連通する複数の通気口32と、複数の通気口32の排紙口24側を支点として開閉可能に取り付けられていて、開放方向に付勢されると共に、排紙トレイ4に排出された用紙の荷重によって閉塞方向に押し下げられる蓋部33とを有する。
【0054】
これにより、用紙が排紙トレイ4に積載された場合、その積載範囲内に設けられている蓋部33が用紙の荷重によって押し下げられ、その蓋部33が取り付けられている通気口32は閉塞される。このとき、積載されている用紙の範囲内の通気口32では、用紙からの輻射熱を蓋部33で遮断することができるため、用紙からの全ての輻射熱を排紙トレイ4で遮断することができる。また、用紙の範囲外で開放されている通気口32では、蓋部33が排紙口24とは反対側に開いているので、排紙トレイ4に積載された用紙からの熱が入り難く、用紙からの熱に影響を受けない空気をダクト部6内に取り込むことが出来る。従って、排紙トレイ4の下方のトレイ下ダクト37の空間をより効率良く冷却することができるため、排紙トレイ4上に排出された用紙の熱が、排紙トレイ4の下側で蓄積されてトナー容器18に伝達されるのを防止することができる。その結果、排紙トレイ4の下方に配置されているトナー容器18の温度上昇を抑えることができ、トナー容器18に収容されるトナーを良好な状態に維持することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態によれば、蓋部33を開放方向に付勢する付勢部材36は、ねじりコイルバネ等のバネで構成される。従って、蓋部33を開放方向に付勢する付勢部材36を簡易な構成で実現することができる。
【0056】
本実施形態では、蓋部33をねじりコイルバネ等の付勢部材36によって開放方向に付勢する構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、蓋部33は、厚さ100μmのPETフィルムのような可撓性を有していて用紙からの輻射熱を透過しない不透明な部材で形成し、バネを用いずに通気口32を開閉可能に構成してもよい。このような構成において、蓋部33は、用紙の荷重を受けない場合には通気口32を開放した状態の形状を有し、用紙の荷重を受けた場合に、その可撓性によって曲げられて通気口32を閉塞した状態の形状となる。
【0057】
また、本実施形態では、蓋部33を複数の通気口32のそれぞれに設ける構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、複数の通気口32が複数の列をなして形成される場合には、蓋部33はその列ごとに設けられるように構成されていてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、通気口32が矩形状に形成される構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、通気口32は、円形、楕円形、多角形又はその他の形状で形成されていてよい。
【0059】
また、他の異なる実施形態では、図7に示されるように、複数の通気口32は、複写機1が印刷可能な用紙であってサイズの異なる複数種別の用紙のうち、排紙方向の長さが最も短い用紙(例えば、横A4用紙)の範囲外に設けられて構成されてもよい。これにより、通気口32及び蓋部33の個数を必要最小限に抑えることができる。
【0060】
また、複数の通気口32は、複数の通気口32は、サイズの異なる複数種別の用紙が積載されるそれぞれの範囲の外周に沿って外側に設けられて構成されてもよい。
【0061】
例えば、横A4用紙に対応する通気口32は、横A4用紙の積載範囲の外周に沿って外側に、好ましくは、横A4用紙の一端を壁面30(即ち、排紙口24側)に当てた状態における横A4用紙の他端位置40aよりも外側(例えば、0〜2mmだけ外側)に設けられる。同様にして、縦B5用紙、縦A4用紙、縦B4用紙及び縦A3用紙のそれぞれに対応する通気口32は、縦B5用紙、縦A4用紙、縦B4用紙及び縦A3用紙の積載範囲の外周に沿って外側に、好ましくは、縦B5用紙、縦A4用紙、縦B4用紙及び縦A3用紙の一端を壁面30(即ち、排紙口24側)に当てた状態における縦B5用紙、縦A4用紙、縦B4用紙及び縦A3用紙のそれぞれの他端位置40b、40c、40d、40eよりも外側(例えば、0〜2mmだけ外側)に設けられる。
【0062】
これにより、どのサイズの用紙が排紙トレイ4に積載されても、用紙のすぐ外側に配置された通気口32から空気を取り込むこととなるため、トレイ下ダクト37の通風抵抗の上昇を用紙の長さに応じて必要最小限に抑えることができる。
【0063】
本実施形態では、複写機1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、プリンター、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 複写機(画像形成装置)
4 排紙トレイ
6 ダクト部
7 ファン部
23 定着装置
24 排紙口
25 加圧ローラー
26 加熱ローラー
27 排紙ローラー
30 壁面
31 傾斜面
32 通気口
33 蓋部
34 遮蔽板
35 軸部
36 付勢部材
37 トレイ下ダクト
38 通風ダクト
39 冷却ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7