(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1‐3は被験者に光治療を効率的に提供するように構成される睡眠マスク10を図示する。マスク10によって提供される光治療は被験者の概日周期を修正する、メラトニン発現を調節する、及び/又は他の方法で網膜神経節細胞反応(例えば季節性情動障害)を生じさせるために役立ち得る。光治療は被験者を、閉じた眼瞼を通して(例えば睡眠時間中)、前述の効果及び/又は他の有用な効果を提供することが知られている特定期間及びパターンを持つ放射にさらすことを含み得る。本明細書に記載の睡眠マスク10は、最適露光、電力消費及び有効性を可能にする最適波長帯域内の放射を用いることによってより効率的にこの治療を提供する。
【0010】
睡眠マスク10は光治療のための快適な提供機構を提供し、眠りにつく及び/又は目覚める過程において被験者が眠っている間に被験者に光治療を提供し得る。一実施形態において、睡眠マスク10はシールド12、ストラップ14、第1のライティングモジュール16、及び/又は第2のライティングモジュール18の1つ以上を含む。
【0011】
図1に見られる通り、シールド12は睡眠マスク10を装着している被験者の眼を覆うように構成される。一実施形態において、シールド12は第1のシールド部20と第2のシールド部22を含む。第1のシールド部20は被験者の第1の眼を覆うように構成される。第2のシールド部22は被験者の第2の眼を覆うように構成される。被験者の第1の眼と第2の眼を快適に覆うために、第1のシールド部20と第2のシールド部22は被験者の眼球開口部よりも十分に大きい。
【0012】
一実施形態において、第1のシールド部20と第2のシールド部22は接続シールド部24によって結合される。接続シールド部24は被験者が睡眠マスク10を装着しているときに被験者の鼻の少なくとも一部の上に(例えば鼻筋にわたって)あるように構成される。一部の例において(不図示)、接続シールド部24は
図1‐3に図示の実施形態よりも狭い若しくは広い場合がある。
【0013】
一実施形態において、シールド12は柔軟な材料から作られる。シールド12の柔軟性は被験者にとってシールド12の快適性を向上させ得る。
図3で見えているシールド12の側面は使用中被験者の方を向いている。この側面において、実質的に液体に不浸透性のベース面26が形成され得る。例えば、不浸透性ベース面26はポリカーボネート、ポリエステル、及び/又は他の材料などの柔軟なプラスチック材によって形成され得る。ベース面26の不浸透性はシールド12内に保持される睡眠マスク10の電子部品を湿気から保護し得る。
【0014】
一実施形態において、シールド12はベース面26上に配置されるクッション層28を含む。クッション層28は柔らかい弾性材から作られる。例えば、クッション層28はフォーム、ファブリック、ファブリック/フォームラミネート、及び/又は他の材料から作られ得る。使用中、クッション層28は被験者に対して最も内側の面を提供し、被験者の顔と係合する。従って、クッション層28の柔らかさは被験者の顔のためのクッションを提供し、被験者にとって睡眠マスク10の快適性を向上させる。
【0015】
上記及び
図1‐3から理解される通り、使用中シールド12は周囲放射と被験者の眼との間に障壁を設ける。一実施形態において、シールド12は不透明であり、周囲放射(少なくとも可視スペクトル内)を遮断し、それによって被験者の眼を周囲放射から保護する。
【0016】
ストラップ14はシールド12を被験者に対して適所に保持するように構成される。
図1‐3に図示の実施形態において、ストラップ14は第1のシールド部20と第2のシールド部22の各々に取り付けられ、睡眠マスク10を被験者の頭部の適所に保持するために被験者の頭部に巻きつく。ストラップ14は長さを調節可能であり得る(例えば異なるサイズの頭部に対応するため)。ストラップ14はユーザの頭部に対応するために伸びる弾性材(例えば伸縮素材)から作られ、シールド12を適所に保持する。
図1‐3に図示の睡眠マスク10の実施形態にストラップ14を含むことは限定するつもりではないことが理解されるべきである。シールド12を被験者に対して適所に保持するための他の機構が考慮される。例えば、より複雑なヘッドギアが組み入れられ得るか、シールド12を適所に保持するために被験者の皮膚に取り外し可能に接着する接着面がシールド12に適用され得るか、硬質若しくは柔軟なフレーム(例えば眼鏡)及び/又はシールド12を適所に保持するための他の機構が組み入れられ得る。
【0017】
ここで
図3を参照すると、第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18が第1のシールド部20と第2のシールド部22に、それぞれ使用中に被験者の顔の方を向くシールド12の側面上に取り付けられる。第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18はバックライト付きで、被験者の眼及び/又はその周囲に被験者の顔へ放射を発光するように構成される。以下で論じる通り、第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18によって放出される放射は、有効な光治療計画に従って提供されるときに被験者に治療効果を持つ(1つ若しくは複数の)波長を持つ。
【0018】
光治療計画の標的は内因性光感受性網膜神経節細胞である。内因性光感受性網膜神経節細胞は視覚に直接参加しない網膜内の神経細胞の一種である。代わりに、内因性光感受性網膜神経節細胞は像を形成せず、周辺光強度の安定な表現を提供する。結果として、内因性光感受性網膜神経節細胞は少なくとも3つの重要分野に参加する:(1)昼の長さ、夜の長さ、並びに夜から昼及び昼から夜の遷移情報を提供することによって概日リズムを明/暗周期に同期させる役割を果たす、(2)瞳孔サイズの調整に寄与する、及び(3)ホルモンメラトニンの光調節、急性光抑制、及び放出に寄与する。便宜上、この開示において、"睡眠周期"という語は概日リズム、及び/又は被験者にとってメラトニンの産生、抑制、及び/又は放出をあらわすために使用される。上記情報を考えると、光治療は被験者の概日周期を修正するため、メラトニン発現を調節するため、及び/又は他の方法で網膜神経節細胞反応若しくは、視床、SCN(視交叉上核)、IGL(膝状体間小葉)、視床下部、及び他の身体中枢を含む様々な脳中枢を通る視覚系関連身体機能を生じさせる(例えば季節性情動障害などの病状を治療する)ために使用されることができる。
【0019】
図4は波長に対する内因性光感受性網膜神経節細胞の反応を示すプロット30を提供する。
図4に見られる通り、内因性光感受性網膜神経節細胞の感度はおよそ450nmでピークに達し、およそ550nmの変曲点へ顕著に減少する。この感度プロファイルのおかげで、従来の光治療システム及び計画は被験者の眼に450nm及び475nmの間の電磁放射を与えることに集中してきた。特に光治療システム及び計画において電磁放射は被験者の開いた眼に直接提供される。しかしながら、多くの例において、睡眠中に患者に光治療を提供することが望ましい。従って、放射は被験者の眼瞼を通して提供されなければならず、これは必然的に提供されるいかなる放射もある程度減衰させる。
【0020】
図5は波長に対する人の眼瞼の透過率(対数目盛上)のプロット32を提供する。
図5に見られる通り、眼瞼を通る透過率は波長に基づいていくらか顕著に変化する。従って、450nmにおける電磁放射は、開いた眼に電磁放射を向けるときは睡眠周期をシフトさせるように内因性光感受性網膜神経節細胞に影響を及ぼすために最も効率的な放射であり得るが、450nmにおける電磁放射の減衰は、電磁放射が眼瞼を通して(
図1‐3に図示の睡眠マスク10によってなされる通り)被験者の眼に提供されているときはこの波長の効率を減少させ得る。
図5は約450‐550nmの範囲内の概日修正光が、光が眼瞼を通過する際により長い波長光(例えば575nm以上の波長)よりも10倍以上減衰されることを図示する。この帯域内で、曲線がスペクトルの"青"端の方へ(すなわち450nmの方へ)向かうにつれて減衰は増加する。従って、スペクトルの緑‐青端へ向かう光治療に有用な範囲内の放射は患者の眼瞼によってあまり減衰されない。
【0021】
図6Aは被験者の眼瞼を通過した電磁放射に対する睡眠周期感度のプロット34、明所視反応のプロット36、及び視覚系の相対感度のプロット38を提供する。言い換えれば、プロット34,36,及び38は人の眼瞼の透過率に合わせて調節されている(例えば上記
図5のプロット32に図示の通り)。
図6Aに見られる通り、人の眼瞼の透過率は光治療を通して被験者の睡眠周期に影響を及ぼすための最適波長を約450nmから約490nmと約520nmの間若しくは約500nmと約510nmの間へシフトする。
【0022】
さらに、
図6Bは被験者における一定メラトニン抑制に必要な光の波長に対する放射照度(すなわち放射電力)の関係を図示する。
図6Bは眼瞼が低い光透過率を持つ人をあらわす低透過率曲線35、眼瞼光透過率の中央値をあらわす中央透過率曲線37、及び高い光透過率を持つ人をあらわす高透過率曲線39を図示する。
図6Bのデータによってわかる通り、500nmから510nm帯域内の中央光透過率(曲線37)は眼瞼の外側への入射光のおよそ1/300である。収集される透過率データは母集団にわたる特性値("高透過率"及び"低透過率"曲線における差)についておよそ10:1の範囲があることも示す。過去データは少数の被験者及び/又は限られた数のモノクロ波長に基づいていたので、この差は以前の光療法治療では見逃され考慮されなかった。最近測定された最高眼瞼減衰は500nmから510nmの最適帯域内の入射光のたった1/1000しか通過させなかった。最低減衰値は500nmから510nm帯域内の入射光のおよそ1/100を通過させた。しかしながら、
図6Bに見られる通り、全被験者はおよそ同じ透過率曲線形状(すなわちスペクトルにわたって同じ極小/極大位置)を持っていた。従って、約490nmから約520nm若しくは約500nmから約510nmの範囲内の光が、光治療のために有用な波長帯域内で(被験者透過率の差にかかわらず)患者の眼瞼を通る最適透過率を提供することが明らかである。従って、一部の実施形態において、睡眠マスク10によって使用される光は、光反応に関する概日系を刺激する目的で、約490nmよりも短い若しくは約520nmよりも大きい、又は約500nmよりも短い若しくは約510nmよりも大きい波長において、十分な力を持たない。
【0023】
開いた眼に対して広く使用される440nmから480nm("青")波長と対照的に、閉じた眼にとっての最適"緑‐青"波長帯域(すなわち490nm‐520nm)は被験者の視覚受容体への短波長損傷を生じることに関しても桁違いに安全である。従って、最適範囲の光治療を閉じた眼に提供するときに使用される光強度は開いた眼の治療に対する強度レベルの10から1000倍になり得る。
【0024】
従って、閉じた眼の光治療のために使用される波長の最適化を可能にする上記データは、490nmから520nmの範囲若しくは500nmから510nmの範囲の放射が使用されるときに低レベルの光がメラトニン抑制(従って概日系及び関連する睡眠周期系調節)に必要であることを知らせる。従って、眼瞼の外側で生成され、所与の効果を得るために眼瞼に向けられる必要がある放射はより少なくなる。従って、さらなる効果が望まれる場合、希望若しくは必要に応じてより多くの放射が使用され得る。再度、最適範囲における光治療を閉じた眼に提供するときに使用される光強度は開いた眼の治療のための強度レベルの10から1000倍になり得る。従って、この最適波長帯域の使用はより効率的な光治療を提供する。この効率の実現は有効性のためだけでなく、患者の露光、光マスク電力消費のためにも光治療を最適化させることができ、他の効果を提供し得る。
【0025】
図3に戻って参照すると、一実施形態において、被験者に提供される光治療の効率性を高めるために、第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18は被験者の眼瞼による減衰を考慮するためにシフトされる第1の波長帯域内の電磁放射を放出するように構成される。例えば、第1の波長帯域は約490nmから約520nmの間及び/又は約500nmから約510nmの間の波長を含み得る。
【0026】
図7はライティングモジュール40を図示する。ライティングモジュール40は睡眠マスク10(
図1‐3に図示)と同様若しくは同一の睡眠マスク内に組み込まれ、第1のライティングモジュール16と同様若しくは同一の第1のライティングモジュール、及び/又は第2のライティングモジュール18と同様若しくは同一の第2のライティングモジュールとして機能し得る(
図1‐3に図示)。ライティングモジュール40は筺体42、1つ以上の放射源44、及び/又は他の構成要素の1つ以上を含み得る。
【0027】
筺体42は1つ以上の放射源44を格納及び/又は保持するように構成される。筺体42は被験者による使用のために睡眠マスクに(永久的に若しくは一時的に)取り付け可能である。従って、筺体42は硬質材料から作られ得るか、又は筺体42は被験者へ快適性を提供するためにいくらか弾力的な弾性のある材料から作られ得る。
図7に見られる通り、一実施形態において、筺体42は放射源44を保持する基板46を備えるように構成される。筺体42はさらに放射源44の外側に光拡散器を保持するように構成され得る。これは放射源44によって放出される電磁放射を拡散させ、ほぼ均一な分布を持つ電磁放射を被験者の眼瞼に提供するのに役立つ。これは被験者による安静及び/又は睡眠中のライティングモジュール40の快適性及び/又は使いやすさを向上させ得る。
【0028】
本明細書で論じる通り、一部の実施形態において、放射源44は500nmと510nmの間の波長の帯域内の電磁放射を放出するように構成され得る。放射源44は、ライティングモジュール40が睡眠マスクに組み込まれるときに放射源44によって放出される電磁放射が被験者の眼瞼に向けられるように、ライティングモジュール40内に配置され得る。そして電磁放射の一部は眼瞼を通過して被験者の眼に入り、ここで被験者の内因性光感受性網膜神経節細胞に衝突し、被験者の睡眠周期に治療効果をもたらす(例えば睡眠周期をシフトする、睡眠時間を延長するなど)。
【0029】
図8は本発明の1つ以上の実施形態にかかる睡眠マスク10の略図である。
図8に見られる通り、
図1‐3に図示及び上記の構成要素の1つ以上に加えて、睡眠マスク10は電源50、電子記憶装置52、ユーザインターフェース54、コントローラ56、1つ以上のセンサ58、及び/又は1つ以上の通信ポート60の1つ若しくは両方を含み得る。一実施形態において、電源50、ユーザインターフェース54、コントローラ56、センサ58、及び/又は通信ポート60の1つ以上は睡眠マスク10のシールド12及び/又はストラップ14上に保持される。この実施形態において、電源50、電子記憶装置52、ユーザインターフェース54、コントローラ56、センサ58、及び/又は通信ポート60の1つ以上はシールド12及び/又はストラップ14に取り外し可能に取り付けられ得、睡眠マスク10の残りの部分から取り外し可能であり得る。これは電源50、電子記憶装置52、ユーザインターフェース54、コントローラ56、センサ58、及び/又は通信ポート60を所与のシールド12及び/又はストラップ14から取り外し、別のシールド12及び/又はストラップ14に取り付けることを可能にし、これはシールド12及び/又はストラップ14が経年及び/又は使用により劣化し交換されなければならない場合に有利であり得る。同様に、一実施形態において、第1のライティングモジュール16及び第2のライティングモジュール18もまたシールド12上で取り外し可能/交換可能である。電源50、電子記憶装置52、ユーザインターフェース54、及び/又はコントローラ56は下記の通り第1のライティングモジュール16及び/又は第2のライティングモジュール18と関連する放射源の動作を制御し得る。
【0030】
電源50は第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18と関連する放射源を操作するために、及び/又は電子記憶装置52、ユーザインターフェース54、及び/又はコントローラ56に電力供給するために必要な電力を供給する。電源42は携帯電源(例えばバッテリ、燃料電池など)、及び/又は非携帯電源(例えば壁コンセント、大型発電機など)を含み得る。一実施形態において、電源50は充電可能な携帯電源を含む。一実施形態において、電源50は携帯及び非携帯電源の両方を含み、被験者はどの電源が睡眠マスク10に電力供給するために使用されるべきか選択することができる。
【0031】
一実施形態において、電子記憶装置52は情報を電子的に記憶する電子記憶媒体を有する。電子記憶装置52の電子記憶媒体は睡眠マスク10と一体化される(すなわち実質的に取り外し不可能)システム記憶装置、及び/又は例えばポート(例えばUSBポート、ファイヤーワイヤー(登録商標)ポートなどの通信ポート60)若しくはドライブ(例えばディスクドライブなど)を介して睡眠マスク10に取り外し可能に接続可能なリムーバブル記憶装置の1つ若しくは両方を含み得る。電子記憶装置44は光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば光ディスクなど)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ドライブなど)、電荷ベースの記憶媒体(例えばEEPROM、RAMなど)、固体記憶媒体(例えばフラッシュドライブなど)、及び/又は他の電子的に読み取り可能な記憶媒体の1つ以上を含み得る。電子記憶装置52はソフトウェアアルゴリズム、コントローラ56によって決定される情報、ユーザインターフェース54を介して受信される情報、及び/又は睡眠マスク10を適切に機能させることができる他の情報を記憶し得る。電子記憶装置52は睡眠マスク10内の個別構成要素として設けられる媒体を含み得る。電子記憶装置52は睡眠マスク10の1つ以上の他の構成要素(例えばコントローラ56)と一体化して設けられる媒体を含み得る。
【0032】
ユーザインターフェース54は睡眠マスク10と被験者(及び/又は介護者)の間にインターフェースを設けるように構成され、それを通して被験者(及び/又は介護者)は睡眠マスク10へ情報を提供し、睡眠マスク10から情報を受信し得る。これはデータ、結果、及び/又は命令、及び任意の他の通信可能な項目、総称して"情報"とよばれるものを被験者とコントローラ56の間で通信させることができる。ユーザインターフェース54に含めるのに適したインターフェース装置の実施例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示画面、タッチ画面、スピーカ、マイク、表示灯、警報器、及びプリンタを含む。一実施形態において、その機能は本明細書でさらに論じられるが、ユーザインターフェース54は実際には、睡眠マスク10上に保持される1つのインターフェースを含む複数の個別インターフェース、及び睡眠マスク10から得られた記憶情報を見る及び/又は管理するために設けられる(例えば睡眠マスク10から情報が受信され得るホストコンピュータによって設けられる)個別インターフェースを含む。
【0033】
有線若しくは無線いずれかの、他の通信技術もまた1つ以上の通信ポート60によって提供され得ることが理解されるべきである。例えば、本発明はマスク10が電子記憶装置52によって提供されるリムーバブル記憶インターフェースと一体化され得ることを考慮する。この実施例において、ユーザが睡眠マスク10の実施をカスタマイズすることを可能にする情報がリムーバブル記憶装置(例えばスマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスクなど)から睡眠マスク10にロードされ得る。睡眠マスク10との使用に適した他の例示的な入力装置と技術は、限定されないが、RS‐232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブルなど)を含む。手短に言えば、睡眠マスク10と情報を通信するための任意の技術が本発明によって考慮される。1つ以上の通信ポート60はコントローラ56をプログラムする、記憶装置52からデータを検索する、マスク10に機能を追加する(例えば追加装置とのインターフェースを用いて)目的、及び/又は他の目的のために追加装置若しくは計算マシンと通信するためにも使用され得る。
【0034】
コントローラ56は睡眠マスク10において情報処理及び/又はシステム制御機能を提供するように構成される。従って、コントローラ56はデジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されるデジタル回路、情報を処理するように設計されるアナログ回路、ステートマシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構の1つ以上を含み得る。本明細書でコントローラ56に起因する機能を提供するために、コントローラ56は1つ以上のモジュールを実行し得る。1つ以上のモジュールはソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの一部の組み合わせで実装され得るか、及び/又は他の方法で実装され得る。コントローラ56は
図1に単体として図示されるが、これは例示目的に過ぎない。一部の実施例において、コントローラ48は複数の処理ユニットを含み得る。これらの処理ユニットは同じ装置(例えば睡眠マスク10)内に物理的に位置し得るか、若しくはコントローラ56は協調して動作する複数の装置の処理機能をあらわし得る。
【0035】
一実施形態において、コントローラ56は予め決定される光治療アルゴリズムに従って第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18を制御する。予め決定される光治療アルゴリズムは、被験者の顔に向かって被験者の眼若しくはその周囲に第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18によって放出される放射のタイミング、強度、及び/又は波長を指示し得る。一実施形態において、予め決定される光治療アルゴリズムは電子記憶装置52に記憶され、第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18の制御を介した実行のためにコントローラ56へ提供される。一部の例において、予め決定される光治療アルゴリズムの1つ以上の態様は被験者に合わせて調節若しくはカスタマイズされ得る。予め決定される光治療アルゴリズムへの調節及び/又はカスタマイズはユーザインターフェース54を介して睡眠マスク10へ入力され得る。一実施形態において、電子記憶装置52は複数の異なる予め決定される光治療アルゴリズムを記憶し、被験者(及び/又は介護者)はユーザインターフェース54を介して被験者に適した予め決定される光治療アルゴリズムを選択する。
【0036】
上述の通り、一実施形態において、予め決定される光治療アルゴリズムは睡眠マスク10による被験者への放射の実施のタイミングを指示し得る。従って、この実施形態において、コントローラ56は時計を含む。時計は所与のイベントからの経過時間をモニタリングする、及び/又は時刻をモニタリングすることができる。被験者(及び/又は介護者)は例えばユーザインターフェース54を介してコントローラ56の時計によって生成される時刻を修正することが可能である。
【0037】
一実施形態において、第1のライティングモジュール16及び/又は第2のライティングモジュール18は被験者が睡眠マスク10を装着しているときに被験者の閉じた眼瞼に電磁放射を放出するように構成される。一部の実施形態において、第1のライティングモジュール16と第2のライティングモジュール18は特定波長帯域内の電磁放射を放出するように構成される。波長帯域は概日系及び関連する睡眠周期系の調節のための光治療を可能にするように約490nm及び約520nmの間若しくは約500nm及び約510nmの間であり得る。コントローラ56は第1のライティングモジュール16及び/又は第2のライティングモジュール18によって放出される電磁放射のタイミング及び/又は強度を制御するように構成される。
【0038】
タイミング及び/又は強度は光治療計画に従ってコントローラ56によって制御される。一部の実施形態において、光治療計画は連続的な光治療計画を含み得る。例えば、一部の実施形態において、マスク10によって提供される光治療計画は明るい光の連続的治療計画を含み、ほぼ連続的な発光がほぼ固定強度で被験者の閉じた眼瞼に放出される。一部の実施形態において、光治療計画はパルス状の光治療計画を含み得る。例えば、一部の実施形態において、マスク10によって提供される光治療計画は明るい光の間欠的なパルス光治療を含み、波長帯域内の光が被験者の眼瞼にパルスされる。睡眠マスク10によって使用される他の光治療計画は短い錐体視細胞優位な(cone‐dominant)パルス光治療を含み得る。
【0039】
図8は一部の実施形態においてマスク10が例えば光レベル、眼球運動、眼瞼位置、及び/又は他の条件など、被験者の眼若しくはその付近の特定条件を感知するための1つ以上のセンサ58を含み得ることも図示する。一例として、1つ以上のセンサ58は1つ以上のフォトダイオード、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)検出器、フォトセル、CdS(硫化カドミウム)セル、フォトレジスタ、圧電物質、機械的歪みセンサ、磁気サーチコイル、及び/又は他のセンサを含み得る。
【0040】
一部の実施形態において、ライティングモジュール16及び/又は18は共通光源を起動するために使用される共通回路によって駆動若しくは"作動"され得る。一実施形態において、ライティングモジュール16及び/又は18は本明細書に記載の光を提供するために発光ダイオード(LED)を利用し得る。LEDはLEDを通る電流の量、デューティサイクル及び調整を制御するデジタルスイッチ及び/又はアナログ電流源タイプの回路に実装される電流制御回路によって起動され得る。本明細書に記載の光を提供するために使用される他の光源はその起動及び制御に必要なこのタイプ若しくは他の共通作動要素も利用し得る。
【0041】
図6Bに図示の通り、患者の眼瞼による光減衰のレベルは患者によって異なり得る。従って、本発明の一部の実施形態において、光治療計画をコントローラ56にプログラムする、又は他の方法で被験者に光治療計画を実施する前に、特定患者の眼瞼減衰を推定することが有用であり得る。これは必要量を超える光を使用することなく光治療計画を提供することを可能にし得る。例えば、提供される光の出力(すなわち放射照度)は眼瞼の推定/測定減衰に基づいて調節され得る(例えば減衰が大きい=より強い光が必要)。一部の例において、所与の患者の眼瞼減衰は容易に観察可能若しくは発見可能な患者の特性(すなわち皮膚の色など)を利用することによって推定され得る。一部の例において、眼瞼減衰は技術分野で既知の他の試験及び装置を用いて推定され得る。一部の例において、所与の患者の眼瞼減衰を推定するための装置は、コントローラ56が光治療のための光の量/強度を決定することを自動的に可能にするように通信ポート60の1つ以上を介してマスク10若しくはコントローラ56とインターフェースし得る。一部の例において、マスク10のライティングモジュール18及び/又は16の放射源44は所与の患者の眼瞼減衰の推定のための光源として使用され得、この推定を提供するための追加装置と協調してはたらき得る。
【0042】
一部の実施形態において、マスク10は開いた眼の光治療との使用のために構成可能であり得る。例えば、第1及び第2のライティングモジュール16及び18、並びにコントローラ56、電源50、電子記憶装置52及び/又はマスク10の他の部分はシールド12から取り外され、バイザー、ランプ、ライトボックス、眼鏡フレーム、ゴーグル、及び/又は他の開いた眼の光治療提供装置に取り付けられるか若しくは他の方法で接続され得る。そしてコントローラ56はスペクトルの"青"端により近い波長を持つ光を用いる開いた眼の光治療を提供するようにプログラムされ得る。
【0043】
一部の実施形態において、マスク10は以下の追加特徴の1つ以上を提供するように特に構成されるセンサ58の1つ以上を含み得る:自動光レベル滴定、睡眠段階/状態依存操作、開眼検出、眼球運動検出、照度推定、露光時間ロギング/制限、安全警告、安全停止、及び/又は他の機能。
【0044】
本発明は現在最も実用的及び好適な実施形態と考えられるものに基づいて例示の目的で詳細に記載されているが、こうした詳細は単にその目的のためであり本発明は開示の実施形態に限定されず、それどころか添付の請求項の精神と範囲内にある修正及び均等な構成を包含することが意図されることが理解されるべきである。例えば、本発明は可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴が任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされることができることを考慮することが理解されるものとする。