特許第5993867号(P5993867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5993867被験者の一つまたは複数の呼吸パラメータを決定するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993867
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】被験者の一つまたは複数の呼吸パラメータを決定するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   A61B5/08
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-543930(P2013-543930)
(86)(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公表番号】特表2013-545576(P2013-545576A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】IB2011055569
(87)【国際公開番号】WO2012080920
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年12月5日
(31)【優先権主張番号】61/424,152
(32)【優先日】2010年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジャッフェ,マイケル ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】オーア,ジョセフ アレン
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0020886(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/034001(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/044040(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定するよう構成されたシステムであって:
被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成するよう構成された一つまたは複数のセンサーと;
モジュールを実行するよう構成された一つまたは複数のプロセッサとを有しており、前記モジュールは:
被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定するよう構成されている治療パラメータ・モジュールと;
被験者の呼吸の呼吸パラメータを決定するよう構成され、
前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第一の予備的決定を、第一のアルゴリズムに従って行うよう構成される第一の呼吸パラメータ・サブモジュールおよび
前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の予備的決定を、第二のアルゴリズムに従って行うよう構成される第二の呼吸パラメータ・サブモジュールを含み、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる、呼吸パラメータ・モジュールと;
(b)第一および第二の予備的決定それぞれの第一および第二のアルゴリズムによる呼吸パラメータの決定における確度の低さおよび/または精度の低さを示す、被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータによって記述される条件のもとで一般的に存在するアーチファクトを同定する前記第一および第二の予備的決定の解析に基づいて、(a)(i)前記呼吸パラメータの前記第一の予備的決定または(a)(ii)前記呼吸パラメータの前記第二の予備的決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択するよう構成されている選択モジュールとを含む、
システム。
【請求項2】
前記選択モジュールがさらに、前記呼吸パラメータの前記第一および第二の予備的決定のうち少なくとも一方について、信頼性を示す信頼性指標を決定するよう構成されており、前記選択モジュールがさらに、決定された信頼性指標に基づいて前記第一および第二の予備的決定の間で選択をするよう構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記一つまたは複数の治療パラメータは、現在の治療手順、現在の治療施与デバイス、治療が施与されているコンテキストまたは被験者パラメータのうちの一つまたは複数を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記呼吸パラメータが呼吸終期の二酸化炭素濃度である、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記呼吸パラメータが呼吸数である、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定するよう構成されたシステムの作動方法であって:
一つまたは複数のセンサーが、被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成する段階と;
一つまたは複数のプロセッサが、被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定する段階と;
前記一つまたは複数のプロセッサが、前記出力信号に基づく呼吸パラメータの第一の予備的決定を、第一のアルゴリズムに従って行う段階と;
前記一つまたは複数のプロセッサが、前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の予備的決定を、前記第一のアルゴリズムとは異なる第二のアルゴリズムに従って行う段階であって、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる、段階と;
前記一つまたは複数のプロセッサが、(b)第一および第二の予備的決定それぞれの第一および第二のアルゴリズムによる呼吸パラメータの決定における確度の低さおよび/または精度の低さを示す、被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータによって記述される条件のもとで一般的に存在するアーチファクトを同定する前記第一および第二の予備的決定の解析に基づいて、(a)(i)前記呼吸パラメータの前記第一の予備的決定または(a)(ii)前記呼吸パラメータの前記第二の予備的決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択する段階とを含む、
方法。
【請求項7】
前記一つまたは複数のプロセッサが、前記呼吸パラメータの前記第一および第二の予備的決定のうち少なくとも一方について、信頼性を示す信頼性指標を決定する段階をさらに含み、前記第一および第二の予備的決定の間での前記選択がさらに決定された信頼性指標に基づく、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記一つまたは複数の治療パラメータは、現在の治療手順、現在の治療施与デバイス、治療が施与されているコンテキストまたは被験者パラメータのうちの一つまたは複数を含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記呼吸パラメータが呼吸終期の二酸化炭素濃度である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記呼吸パラメータが呼吸数である、請求項6記載の方法。
【請求項11】
治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定するシステムであって;
被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成する手段と;
被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定する手段と;
前記出力信号に基づく呼吸パラメータの第一の予備的決定を、第一のアルゴリズムに従って行う手段と;
前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の予備的決定を、前記第一のアルゴリズムとは異なる第二のアルゴリズムに従って行う手段であって、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる、手段と;
(b)第一および第二の予備的決定それぞれの第一および第二のアルゴリズムによる呼吸パラメータの決定における確度の低さおよび/または精度の低さを示す、被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータによって記述される条件のもとで一般的に存在するアーチファクトを同定する前記第一および第二の予備的決定の解析に基づいて、(a)(i)前記呼吸パラメータの前記第一の予備的決定または(a)(ii)前記呼吸パラメータの前記第二の予備的決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択する手段とを有する、
システム。
【請求項12】
前記呼吸パラメータの前記第一および第二の予備的決定のうち少なくとも一方について、信頼性を示す信頼性指標を決定する手段をさらに有しており、前記第一および第二の予備的決定の間での前記選択がさらに決定された信頼性指標に基づく、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記一つまたは複数の治療パラメータは、現在の治療手順、現在の治療施与デバイス、治療が施与されているコンテキストまたは被験者パラメータのうちの一つまたは複数を含む、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
前記呼吸パラメータが呼吸終期の二酸化炭素濃度である、請求項11記載のシステム。
【請求項15】
前記呼吸パラメータが呼吸数である、請求項11記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸終期の二酸化炭素濃度および/または呼吸数の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の呼吸パラメータ、たとえば呼吸終期の二酸化炭素濃度および/または呼吸数を決定するよう構成されたシステムが知られている。典型的には、これらのシステムは、被験者の気道または気道付近におけるガスと連絡するガス・センサーの出力信号に基づいて所与の呼吸パラメータを決定するための単一のアルゴリズムを実装する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのアルゴリズムは一般に、いくつかの条件のもとで高い精度および/または確度を提供する一方、他の条件のもとではどちらかというと最低限に近い結果を生ずる。結果として、呼吸パラメータを決定するための従来システムの使用は、多様な条件について一貫していない確度および/または精度をもつ結果を生ずることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のある側面は、治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定するよう構成されたシステムに関する。ある実施形態では、本システムは、一つまたは複数のセンサーおよび一つまたは複数のプロセッサを有する。前記一つまたは複数のセンサーは、被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成するよう構成される。前記一つまたは複数のプロセッサは、治療パラメータ・モジュール、呼吸パラメータ・モジュールおよび選択モジュールを含むモジュールを実行するよう構成される。治療パラメータ・モジュールは、被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定するよう構成される。呼吸パラメータ・モジュールは、被験者の呼吸の呼吸パラメータを決定するよう構成され、第一の呼吸パラメータ・サブモジュールおよび第二の呼吸パラメータ・サブモジュールを含む。第一の呼吸パラメータ・サブモジュールは、前記出力信号に基づく呼吸パラメータの第一の決定を、第一のアルゴリズムに従って行うよう構成される。第二の呼吸パラメータ・サブモジュールは、前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の決定を、第二のアルゴリズムに従って行うよう構成される。ここで、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる。選択モジュールは、被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータに基づいて、前記呼吸パラメータの前記第一の決定または前記呼吸パラメータの前記第二の決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択するよう構成される。
【0005】
本開示のもう一つの側面は、治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定する方法に関する。ある実施形態では、本方法は、被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成する段階と;被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定する段階と;前記出力信号に基づく呼吸パラメータの第一の決定を、第一のアルゴリズムに従って行う段階と;前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の決定を、前記第一のアルゴリズムとは異なる第二のアルゴリズムに従って行う段階であって、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる、段階と;被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータに基づいて、前記呼吸パラメータの前記第一の決定または前記呼吸パラメータの前記第二の決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択する段階とを含む。
【0006】
本開示のさらにもう一つの側面は、治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定するシステムに関する。ある実施形態では、本システムは、被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成する手段と;被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定する手段と;前記出力信号に基づく呼吸パラメータの第一の決定を、第一のアルゴリズムに従って行う手段と;前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の決定を、前記第一のアルゴリズムとは異なる第二のアルゴリズムに従って行う手段であって、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる、手段と;被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータに基づいて、前記呼吸パラメータの前記第一の決定または前記呼吸パラメータの前記第二の決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択する手段とを有する。
【0007】
本開示のこれらおよびその他の目的、特徴および特性ならびに関係する構成要素の動作方法および機能ならびに諸部分の組み合わせおよび製造の経済性は、付属の図面を参照しつつ以下の記述および付属の請求項を考慮すればより明白となるであろう。すべての図面は本明細書の一部をなす。図面において、同様の参照符号はさまざまな図における対応する部分を示す。ある実施形態では、本願に図示される構造的な構成要素は縮尺通りに描かれてはいない。しかしながら、図面は単に例解および説明の目的のためであり、限定ではないことははっきりと理解しておくものとする。加えて、本願で任意の一つの実施形態において図示または記述される構造的な特徴が他の実施形態においても使用できることは理解しておくべきである。しかしながら、図面は単に例解および説明の目的のためであり、外縁の定義としては意図されていないははっきりと理解しておくものとする。本明細書および特許請求の範囲で使用するところでは、文脈がそうでないことを明確に示すのでない限り、単数形は複数の参照物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】被験者の一つまたは複数の呼吸パラメータを決定するよう構成されたシステムを示す図である。
図2】被験者の呼吸パラメータを決定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、被験者12の一つまたは複数の呼吸パラメータを決定するよう構成されているシステム10を示している。以下に記述される例のいくつかでは、前記一つまたは複数の呼吸パラメータは、呼吸終期の二酸化炭素濃度および/または呼吸数を含む。これらの例は限定することを意図したものではなく、本開示の範囲は他の呼吸パラメータも含むことは理解されるであろう。具体的には、システム10は、複数の異なるアルゴリズムに従って個々の呼吸パラメータの複数の予備的決定を行うよう構成される。呼吸パラメータの最終的な決定は、治療パラメータ、ガス・パラメータおよび/または前記複数の異なるアルゴリズムの確度および/または精度に影響する他のパラメータに基づいて前記予備的決定のうちの一つを選択することによって得られる。ある実施形態では、システム10は、電子的記憶部14、ユーザー・インターフェース16、検出器システム18、プロセッサ20および/または他の構成要素を含む。
【0010】
ある実施形態では、電子的記憶部14は、情報を電子的に記憶する電子的記憶媒体を有する。電子的記憶部14の電子的記憶媒体は、システム10と一体的に設けられる(すなわち実質的に非リムーバブルな)システム記憶部および/またはシステム10にたとえばポート(たとえばUSBポート、ファイアワイヤ・ポートなど)またはドライブ(たとえばディスク・ドライブなど)を介して着脱可能に接続できるリムーバブル記憶部の一方または両方を含んでいてもよい。電子的記憶部14は、光学的に読み取り可能な記憶媒体(たとえば光ディスクなど)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(たとえば磁気テープ、磁気ハード・ドライブ、フロッピー(登録商標)ドライブなど)、電荷ベースの記憶媒体(たとえばEEPROM、RAMなど)、半導体記憶媒体(たとえばフラッシュ・ドライブなど)および/または他の電子的に読み取り可能な記憶媒体の一つまたは複数を含んでいてもよい。電子的記憶14はソフトウェア・アルゴリズム、プロセッサ20によって決定された情報、ユーザー・インターフェース16を介して受領された情報および/またはシステム10が適正に機能できるようにする他の情報を記憶しうる。電子的記憶部14はシステム10内の別個のコンポーネントであってもよいし、あるいは電子的記憶部14はシステム10の一つまたは複数の他のコンポーネント(たとえばプロセッサ20)と一体的に設けられていてもよい。
【0011】
ユーザー・インターフェース16は、システム10とユーザー(たとえば、前記ユーザー、介護者、治療意思決定者など)との間のインターフェースを提供するよう構成され、該ユーザー・インターフェース16を通じて、ユーザーはシステム10に情報を与え、システム10から情報を受け取ることができる。これにより、まとめて「情報」と称される、データ、結果および/または命令ならびに他の通信可能な項目がユーザーとシステム10との間でやりとりされることができる。ユーザー・インターフェース16に含めるのに好適なインターフェース・デバイスはキーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示画面、タッチスクリーン、スピーカー、マイクロホン、インジケーター灯、可聴アラームおよびプリンタを含む。
【0012】
有線であれ無線であれ、他の通信技法も本発明によってユーザー・インターフェース16として考えられていることは理解しておくものとする。たとえば、ある実施形態では、ユーザー・インターフェース16は、電子的記憶部14によって提供されるリムーバブル記憶インターフェースと統合されてもよい。この例では、情報は、リムーバブル記憶(たとえばスマートカード、フラッシュ・ドライブ、リムーバブル・ディスクなど)からシステム10にロードされてもよく、これによりユーザー(単数または複数)がシステム10の実装をカスタマイズできる。ユーザー・インターフェース16としてシステム10とともに使うよう適応された他の例示的な入力装置および技法は、これに限られないが、RS-232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブルその他)を含む。つまるところ、システム10と情報をやりとりするための任意の技法がユーザー・インターフェース16として考えられている。
【0013】
検出器システム18は、被験者12の気道または気道付近からガスを取得し、取得されたガスから取られた測定から得られた情報を伝達する出力信号を生成するよう構成される。検出器システム18は、入口22を介して被験者の気道または気道付近で得られたガスを受領するよう構成される。ガスは、被験者インターフェース器具24および/または導路26によって入口22に運ばれる。被験者インターフェース器具24は、被験者12の気道の一つまたは複数の開口に、密閉式または非密閉式に係合してもよい。被験者インターフェース器具24のいくつかの例は、たとえば、気管内チューブ、鼻カニューレ、気管切開チューブ、鼻マスク、鼻/口マスク、フルフェース・マスク、トータルフェース・マスク、部分再呼吸マスクまたは被験者の気道とガスの流れを交換する他のインターフェース器具を含みうる。本発明はこれらの例に限定されるものではなく、任意の被験者インターフェースの実装を考えている。
【0014】
導路26は、被験者12の気道または気道近くから被験者インターフェース器具24によって取得されたガスが導路26を介して入口22に与えられるよう、検出器システム18の入口22を被験者インターフェース器具24と流体連通させるよう構成される。ある実施形態では、検出器システム18は副流採取のために構成される。この構成では、導路26はさらに、被験者インターフェース器具24を呼吸可能な物質の源と流体連通させるよう構成される。たとえば、治療法に従って制御される一つまたは複数のパラメータをもつ呼吸可能なガスの流れが導路26を通じて被験者12に送達されてもよい。呼吸可能なガスの流れの、制御される前記一つまたは複数のパラメータは、圧力、流れ、組成、湿度、温度および/または他のパラメータのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。ある実施形態では、検出器システム18は本流採取のために構成されていてもよい。この構成では、検出器システム18は、(図1に示されるように)流れを外れてわきに配置されるのではなく、導路26を通じる流れ経路内に配置される。検出器システム18が副流採取のために構成されるまたは導路26が被験者12の気道に呼吸可能な物質の供給を提供しないある実施形態では、ポンプ(図示せず)が、導路26からガスを入口22を通じて検出器システム18に引き込むよう構成される。
【0015】
検出器システム18は一つまたは複数のセンサー28を含む。センサー28は、検出器システム18内のガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成するよう構成される。前記一つまたは複数のガス・パラメータは、気体の分子種(たとえば二酸化炭素、酸素および/または他の分子種)の濃度、流れ、圧力、温度、湿度および/または他のガス・パラメータのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。図1においてセンサー28を検出器システム18内の個別のコンポーネントとして図示しているのは限定的であることを意図したものでないことは理解されるであろう。ある実施形態では、センサー28は単一のセンサーであることもできるし、複数のセンサーを含んでいてもよい。
【0016】
プロセッサ20は、システム10における情報処理機能を提供するよう構成される。よって、プロセッサ20はデジタル・プロセッサ、アナログ・プロセッサ、情報を処理するよう設計されたデジタル回路、情報を処理するよう設計されたアナログ回路、状態機械および/または情報を電子的に処理するための他の機構のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。図1にはプロセッサ20が単一のエンティティとして示されているが、これは単に例解の目的のためである。いくつかの実装では、プロセッサ20は複数の処理ユニットを含んでいてもよい。これらの処理ユニットは、物理的に同じ装置内に位置されていてもよいし、あるいはプロセッサ20は協調して動作する複数の装置の処理機能を表しているのでもよい。
【0017】
図1に示されるように、プロセッサ20は一つまたは複数のコンピュータ・プログラム・モジュールを実行するよう構成されていてもよい。前記一つまたは複数のコンピュータ・プログラム・モジュールは、ガス・パラメータ・モジュール32、呼吸数モジュール34、呼吸終期二酸化炭素モジュール36、インターフェース・モジュール38、治療パラメータ・モジュール40、選択モジュール42および/または他のモジュールのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。プロセッサ20は、モジュール32、34、36、38、40および/または42を、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェアおよび/またはファームウェアの何らかの組み合わせ;および/またはプロセッサ20上に処理機能を構成するための他の機構によって実行するよう構成されていてもよい。
【0018】
モジュール32、34、36、38、40および/または42は図1では単一の処理ユニット内に共位置であるとして図示されているが、プロセッサ20が複数の処理ユニットを含む実装では、モジュール32、34、36、38、40および/または42の一つまたは複数が他のモジュールからリモートに位置されていてもよいことは理解しておくべきである。下記の、種々のモジュール32、34、36、38、40および/または42によって提供される機能の記述は、例解の目的のためであり、限定することは意図されていない。モジュール32、34、36、38、40および/または42のどれも、記述されるより多いまたは少ない機能を提供してもよい。たとえば、モジュール32、34、36、38、40および/または42の一つまたは複数がなくされてもよいし、その機能の一部または全部がモジュール32、34、36、38、40および/または42のうちの他のモジュールによって提供されてもよい。もう一つの例として、プロセッサ20は、下記においてモジュール32、34、36、38、40および/または42のうちの一つに帰される機能の一部または全部を実行しうる一つまたは複数の追加的なモジュールを実行するよう構成されていてもよい。
【0019】
ガス・パラメータ・モジュール32は、センサー28によって生成される出力信号に基づいて、被験者12の気道または気道付近のガスの一つまたは複数のガス・パラメータを決定するよう構成される。前記一つまたは複数のガス・パラメータは、気体の分子種(たとえば二酸化炭素、酸素および/または他の分子種)の濃度、流れ、圧力、温度、湿度および/または他のガス・パラメータのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0020】
呼吸数モジュール34は、被験者12の呼吸数を決定するよう構成される。呼吸数モジュール34は、第一の呼吸数サブモジュール44、第二の呼吸数サブモジュール46、第nの呼吸数サブモジュール48および/または他のサブモジュールを含む。個々のサブモジュール44、46および48は、センサー28によって生成される出力信号および/またはガス・パラメータ・モジュール32によって決定されるガス・パラメータに基づいて、被験者12の呼吸数を決定するよう構成される。個々のサブモジュール44、46および48のそれぞれは、他のサブモジュール44、46および48とは異なるアルゴリズムに従って呼吸数を決定するよう構成される。異なるアルゴリズムのそれぞれは、さまざまな条件によって、確度および/または精度に関して異なる影響を受ける。たとえば、第一の組の条件のもとでは、第二の呼吸数サブモジュール46による呼吸数の決定が第nの呼吸数サブモジュール48による呼吸数の決定よりも確度および/または精度が高いことがある。だが、第二の組の条件のもとでは、第nの呼吸数サブモジュール48による呼吸数の決定のほうが第二の呼吸数サブモジュール46による呼吸数の決定よりも確度および/または精度が高いことがある。
【0021】
条件の違いは、たとえば被験者12に施与される治療に関係した治療パラメータによって記述されてもよい。治療パラメータは、現在の治療手順、現在の治療デバイス、治療が与えられるコンテキスト、被験者パラメータおよび/または他の治療パラメータのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。現在の治療手順を記述するパラメータはたとえば、侵襲的換気、非侵襲的換気、心肺蘇生、処置時の鎮静(procedural sedation)および/または他の手順を記述してもよい。治療が与えられるコンテキストを記述するパラメータは、たとえば、緊急性状態(emergency state)、臨床状況(clinical situation)(たとえば、集中治療、手術進行中、緊急車両)および/または他のコンテキスト・パラメータを記述してもよい。被験者パラメータは被験者12の一つまたは複数の側面(たとえば、年齢、体重、身長、血圧、脈拍数、既存状態および/または他の側面)を記述してもよい。
【0022】
呼吸終期二酸化炭素モジュール36は、被験者12の呼吸終期の二酸化炭素濃度を決定するよう構成される。呼吸終期二酸化炭素モジュール36は、第一の呼吸終期二酸化炭素サブモジュール50、第二の呼吸終期二酸化炭素サブモジュール52、第nの呼吸終期二酸化炭素サブモジュール54および/または他のサブモジュールを含む。個々のサブモジュール50、52および54は、センサー28によって生成された出力信号および/またはガス・パラメータ・モジュール32によって決定されたガス・パラメータに基づいて、被験者12の呼吸終期の二酸化炭素濃度を決定するよう構成される。個々のサブモジュール50、52および54のそれぞれは、他のサブモジュール50、52および54とは異なるアルゴリズムに従って、呼吸終期の二酸化炭素濃度を決定するよう構成される。異なるアルゴリズムのそれぞれは、さまざまな条件によって、確度および/または精度に関して異なる影響を受ける。条件は、上記したような治療パラメータによって記述されてもよい。
【0023】
インターフェース・モジュール38は、ユーザー(たとえば介護者、治療提供者、研究者、被験者12および/または他のユーザー)からの、一つまたは複数の治療パラメータに関係した入力を受け取るよう構成される。ある実施形態では、インターフェース・モジュール38は治療パラメータの定義を受け取るよう構成される。たとえば、インターフェース・モジュール38は、現在の治療手順、現在の治療デバイス、治療が与えられるコンテキスト、被験者パラメータおよび/または他の治療パラメータの定義(definition)を受け取るよう構成されていてもよい。ユーザーからの入力は、ユーザー・インターフェース16を介してインターフェース・モジュール38によって受領されてもよい。
【0024】
治療パラメータ・モジュール40は、一つまたは複数の治療パラメータを自動的に決定するよう構成される。たとえば、システム10は、現在の治療手順、現在の治療デバイス、治療が与えられるコンテキスト、被験者パラメータおよび/または他の治療パラメータのうちの一つまたは複数に関係した情報を示す出力信号を生成するよう構成された一つまたは複数のセンサー(図示せず)を含んでいてもよい。治療パラメータ・モジュール40は、これらの出力信号から一つまたは複数の治療パラメータの定義を自動的に決定するよう構成される。治療パラメータは、センサー28以外のセンサーによって取られる、呼吸可能なガスの加圧された流れのガス・パラメータを含んでいてもよい。たとえば、検出器18に含まれているおよび/または圧力発生器(図示せず、たとえば人工呼吸器)に付随する圧力センサーおよび/または流れセンサーが、サブモジュール44、46、48、50、52および/または54のいずれによって実装されない呼吸可能なガスの加圧された流れのガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成してもよい。これらのガス・パラメータは、たとえ呼吸パラメータの決定において実装されなくても、治療および/または被験者についての情報を提供しうる。
【0025】
選択モジュール42は、ユーザー入力によりおよび/または治療パラメータ・モジュール40による自動決定により定義された一つまたは複数の治療パラメータに基づいて所与の呼吸パラメータ・モジュールのサブモジュール間の選択を行うよう構成される。選択モジュール42は、前記一つまたは複数の治療パラメータによって定義される現在の条件のもとで呼吸パラメータの最終的な決定の確度および/または精度を高めるよう、サブモジュール間の選択を行ってもよい。この選択は、呼吸パラメータの予備的決定を行うサブモジュールの組を選択することおよび/または予備的決定の組から呼吸パラメータの最終的な決定を選択することを含みうる。
【0026】
たとえば、呼吸数モジュール34に関して、選択モジュール42は、呼吸数の予備的決定を行うサブモジュール44、46および/または48の組を選択するよう構成されていてもよい。サブモジュール44、46および/または48のどれが呼吸数の予備的決定を行うべきかの決定は、治療パラメータに基づいてできる。それにより、予備的決定を行う組のサブモジュール44、46および48は、現在の治療パラメータによって定義される条件のもとで確度および/または精度を高める傾向があるアルゴリズムを実装するサブモジュールとなる。呼吸数の予備的決定を行うサブモジュール44、46および/または48の組の選択は、限定することは意図されていないことは理解されるであろう。ある実施形態では、サブモジュール44、46および48のすべてが予備的決定をするよう実装される。
【0027】
選択モジュール42は、呼吸数の予備的決定のうちから呼吸数の最終決定を選択するよう構成されていてもよい。選択モジュール42はこの選択を、一つまたは複数の治療パラメータおよび/または予備的決定自身に基づいて行ってもよい。選択は、一般に確度の低さ(inaccuracy)および/または精度の低さ(imprecision)を示すアーチファクトを同定するための前記予備的決定の解析に基づいていてもよい。選択モジュール42による呼吸数の予備的決定におけるかかるアーチファクトの同定は、解析される予備的決定をするために使われた所与の呼吸数アルゴリズムによる呼吸数の決定において時々または普通に存在するアーチファクトを探すことによって簡単にされうる。そのようなアーチファクトの同定は、(治療パラメータによって記述される)現在の条件のもとで一般的に存在する一つまたは複数のアーチファクトを探すことによってさらに改善されるまたは微調整されることができる。治療パラメータおよび/または予備的決定に対する他の依存性も考えられている。
【0028】
ある実施形態では、選択モジュール42は、前記予備的決定のうち一つまたは複数の予備的決定の信頼性を示す信頼性指標を決定するよう構成される。予備的決定について決定されるかかる信頼性指標は、信号安定性、変化率、傾向、ノイズ・レベル、そのサイズの患者についてデータの適切さ(患者が新生児または小児である場合には、期待される測定値は成人患者について期待されるものとは異なる)および/または当該予備的決定の確度および/または精度が高いかどうかを示す当該予備的決定の他の特徴を反映してもよい。たとえば、予備的決定が時間的に変動していると判定される場合、これはその予備的決定に存在していて、その決定の信頼性を低下させるノイズを示すことがありうる。ノイズのある予備的決定についての信頼性指標はこのノイズを反映することになる。
【0029】
選択モジュール42はさらに、予備的決定の選択を、個々の予備的決定について決定された信頼性指標(単数または複数)と関連した治療パラメータの解析に基づいて行うよう構成されていてもよい。所与の予備的決定について決定された信頼性指標(単数または複数)が(たとえばノイズおよび/または他の現象のため)比較的低い信頼性を示すことに応答して、前記所与の予備的決定は最終決定として選択されないことがありうる。同様に、所与の予備的決定について決定された信頼性指標(単数または複数)が比較的高い信頼性を示すことに応答して、前記所与の予備的決定は、より低い信頼性をもつ他の予備的決定に対して優先性を与えられてもよい。
【0030】
呼吸終期二酸化炭素モジュール36に関し、選択モジュール42は、呼吸終期の二酸化炭素濃度の予備的決定を行うサブモジュール50、52および54の組を選択するおよび/またはサブモジュール50、52および/または54によってなされた呼吸終期の二酸化炭素濃度の予備的決定から呼吸終期の二酸化炭素濃度の最終決定を選択するよう構成されていてもよい。予備的決定を行うサブモジュール50、52および/または52の組の選択および/または呼吸終期の二酸化炭素濃度の最終決定の選択は、現在の条件のもとでの呼吸終期の二酸化炭素濃度決定の確度および/または精度を高めるよう、一つまたは複数の治療パラメータおよび/または信頼性指標に基づいてなされてもよい。この選択は、選択モジュール42によってなされる呼吸数決定の選択(単数または複数)に関して上記したのと同様または同じに実行されてもよい。
【0031】
図2は、被験者の呼吸パラメータを決定する方法56を示している。下記に提示する方法56の動作は例示的であることが意図されている。いくつかの実施形態では、方法56は、記述されていない一つまたは複数の追加的な動作とともに達成されてもよく、および/または論じられている動作のうちの一つまたは複数を省いて達成されてもよい。さらに、方法56の諸動作が図2に示され下記に記載される順序は、限定することを意図したものではない。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法56は一つまたは複数の処理装置(たとえば、デジタル・プロセッサ、アナログ・プロセッサ、情報を処理するよう設計されたデジタル回路、情報を処理するよう設計されたアナログ回路、状態機械および/または電子的に情報を処理するための他の機構)において実装されてもよい。前記一つまたは複数の処理装置は、電子記憶媒体上に電子的に記憶されている命令に応答して方法56の動作の一部または全部を実行する一つまたは複数の装置を含んでいてもよい。前記一つまたは複数の処理装置は、方法56の動作の一つまたは複数の実行のために特に設計されたハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアを通じて構成される一つまたは複数の装置を含んでいてもよい。
【0033】
動作58では、被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号が生成される。前記一つまたは複数のガス・パラメータは、気体の分子種(たとえば二酸化炭素、酸素および/または他の分子種)の濃度、流れ、圧力、温度、湿度および/または他のガス・パラメータのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。ある実施形態では、動作58はセンサー28(図1に示し、上記で記述した)と同じまたは同様である一つまたは複数のセンサーによって実行される。
【0034】
動作60では、被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータが、動作58で生成された出力信号に基づいて決定される。ある実施形態では、動作60は、ガス・パラメータ・モジュール32(図1に示し、上記で記述した)と同じまたは同様であるガス・パラメータ・モジュールによって実行される。
【0035】
動作62では、一つまたは複数の治療パラメータに関係した入力がユーザーから受領される。ある実施形態では、動作62は、インターフェース・モジュール38(図1に示し、上記で記述した)と同じまたは同様であるインターフェース・モジュールによって実行される。
【0036】
動作64では、一つまたは複数の治療パラメータが決定される。前記一つまたは複数の治療パラメータは、現在の治療手順、現在の治療デバイス、治療が与えられるコンテキスト、被験者パラメータおよび/または他の治療パラメータのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。決定された一つまたは複数の治療パラメータは、呼吸パラメータが決定されている現在の条件を記述する。前記一つまたは複数の治療パラメータは、動作62で受領されたユーザー入力に基づいて、前記治療パラメータ(単数または複数)に関係する情報を伝達するセンサーの出力信号から決定されてもよく、および/または他の情報に基づいて決定されてもよい。ある実施形態では、動作64は、治療パラメータ・モジュール40(図1に示し、上記で記述した)と同じまたは同様である治療パラメータ・モジュールによって実行される。
【0037】
動作66では、呼吸パラメータの予備的決定を行うために一組のサブモジュールが選択される。各サブモジュールは、動作58で生成された出力信号および/または動作60で決定されたガス・パラメータの関数として呼吸パラメータを決定するための別個のアルゴリズムを実装する。呼吸パラメータを決定する際の異なる複数のアルゴリズムの確度および/または精度は、治療パラメータによって異なる影響を受ける。動作66における、サブモジュールのより大きな群からの一組のサブモジュールの選択は、動作68において決定された治療パラメータによって記述される条件のもとで典型的には高められた確度および/または精度をもつアルゴリズムを実装するサブモジュールを選択する。ある実施形態では、動作66は、選択モジュール42(図1に示し、上記で記述した)と同じまたは同様である選択モジュールによって実行される。一組のサブモジュールの選択は、サブモジュール44、46および48(図1に示し、上記で記述した)の群と同じまたは同様である、および/またはサブモジュール50、52および54(図1に示し、上記で記述した)の群と同じまたは同様であるサブモジュールの群のうちからの選択を含んでいてもよい。
【0038】
動作68では、呼吸パラメータの予備的決定が、動作58で生成された出力信号および/または動作60で決定されたガス・パラメータに基づいてなされる。それらの予備的決定は動作66で選択された一組のサブモジュールによってなされる。
【0039】
動作70では、呼吸パラメータの最終決定が、動作68でなされた呼吸パラメータの予備的決定のうちから選択される。呼吸パラメータの最終決定の選択は、動作64で決定された治療パラメータ、呼吸パラメータの予備的決定自身、動作60で決定されたガス・パラメータおよび/または他の情報に基づいてなされる。呼吸パラメータの最終決定の選択は、現在の条件のもとで典型的には高められた確度および/または精度をもつ呼吸パラメータの予備的決定を選択するようになされる。動作70は、予備的決定の個々のものについての一つまたは複数の信頼性指標の決定を含んでいてもよい。ある所与の予備的決定のために決定された信頼性指標(単数または複数)は、その所与の予備的決定の信頼性を示しうる。信頼性指標は、変化率、傾向、ノイズ・レベルおよび/または所与の予備的決定の確度および/または精度が高いかどうかを示す当該予備的決定の他の特徴を反映していてもよい。動作70における最終決定の選択はさらに、上記で挙げた他の考察との関連で、決定された信頼性指標に基づいていてもよい。ある実施形態では、動作70は、選択モジュール42(図1に示し、上記で記述した)と同じまたは同様である選択モジュールによって実行される。
【0040】
本稿に含まれる詳細は、現在最も現実的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに基づいて、例解のために与えたものであり、そのような詳細は単にそのためのものであって、本明細書の範囲が開示される実施形態に限定されるものではなく、付属の請求項の精神および範囲内にはいる修正および等価な構成をカバーすることが意図されていることは、理解しておくものとする。たとえば、本開示は、可能な限りにおいて、任意の実施形態の一つまたは複数の特徴が他の任意の実施形態の一つまたは複数の特徴と組み合わされることができることを考えている。
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定するよう構成されたシステムであって:
被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成するよう構成された一つまたは複数のセンサーと;
モジュールを実行するよう構成された一つまたは複数のプロセッサとを有しており、前記モジュールは:
被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定するよう構成されている治療パラメータ・モジュールと;
被験者の呼吸の呼吸パラメータを決定するよう構成され、
前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第一の決定を、第一のアルゴリズムに従って行うよう構成される第一の呼吸パラメータ・サブモジュールおよび
前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の決定を、第二のアルゴリズムに従って行うよう構成される第二の呼吸パラメータ・サブモジュールを含み、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる、呼吸パラメータ・モジュールと;
被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータに基づいて、前記呼吸パラメータの前記第一の決定または前記呼吸パラメータの前記第二の決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択するよう構成されている選択モジュールとを含む、
システム。
〔態様2〕
前記選択モジュールがさらに、前記呼吸パラメータの前記第一および第二の決定のうち少なくとも一方について、信頼性を示す信頼性指標を決定するよう構成されており、前記選択モジュールがさらに、決定された信頼性指標に基づいて前記第一および第二の決定の間で選択をするよう構成されている、態様1記載のシステム。
〔態様3〕
前記一つまたは複数の治療パラメータは、現在の治療手順、現在の治療施与デバイス、治療が施与されているコンテキストまたは被験者パラメータのうちの一つまたは複数を含む、態様1記載のシステム。
〔態様4〕
前記呼吸パラメータが呼吸終期の二酸化炭素濃度である、態様1記載のシステム。
〔態様5〕
前記呼吸パラメータが呼吸数である、態様1記載のシステム。
〔態様6〕
治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定する方法であって:
被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成する段階と;
被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定する段階と;
前記出力信号に基づく呼吸パラメータの第一の決定を、第一のアルゴリズムに従って行う段階と;
前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の決定を、前記第一のアルゴリズムとは異なる第二のアルゴリズムに従って行う段階であって、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる、段階と;
被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータに基づいて、前記呼吸パラメータの前記第一の決定または前記呼吸パラメータの前記第二の決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択する段階とを含む、
方法。
〔態様7〕
前記呼吸パラメータの前記第一および第二の決定のうち少なくとも一方について、信頼性を示す信頼性指標を決定する段階をさらに含み、前記第一および第二の決定の間での前記選択がさらに決定された信頼性指標に基づく、態様6記載の方法。
〔態様8〕
前記一つまたは複数の治療パラメータは、現在の治療手順、現在の治療施与デバイス、治療が施与されているコンテキストまたは被験者パラメータのうちの一つまたは複数を含む、態様6記載の方法。
〔態様9〕
前記呼吸パラメータが呼吸終期の二酸化炭素濃度である、態様6記載の方法。
〔態様10〕
前記呼吸パラメータが呼吸数である、態様6記載の方法。
〔態様11〕
治療を受けている被験者の呼吸パラメータを決定するシステムであって;
被験者の気道または気道付近におけるガスの一つまたは複数のガス・パラメータに関係した情報を伝達する出力信号を生成する手段と;
被験者に提供されている治療の一つまたは複数のパラメータを決定する手段と;
前記出力信号に基づく呼吸パラメータの第一の決定を、第一のアルゴリズムに従って行う手段と;
前記出力信号に基づく前記呼吸パラメータの第二の決定を、前記第一のアルゴリズムとは異なる第二のアルゴリズムに従って行う手段であって、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第一のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響は、前記一つまたは複数の治療パラメータの前記第二のアルゴリズムの確度および/または精度に対する影響とは異なる、手段と;
被験者に提供されている治療の前記一つまたは複数のパラメータに基づいて、前記呼吸パラメータの前記第一の決定または前記呼吸パラメータの前記第二の決定を、前記呼吸パラメータの最終的な決定として選択する手段とを有する、
システム。
〔態様12〕
前記呼吸パラメータの前記第一および第二の決定のうち少なくとも一方について、信頼性を示す信頼性指標を決定する手段をさらに有しており、前記第一および第二の決定の間での前記選択がさらに決定された信頼性指標に基づく、態様11記載のシステム。
〔態様13〕
前記一つまたは複数の治療パラメータは、現在の治療手順、現在の治療施与デバイス、治療が施与されているコンテキストまたは被験者パラメータのうちの一つまたは複数を含む、態様11記載のシステム。
〔態様14〕
前記呼吸パラメータが呼吸終期の二酸化炭素濃度である、態様11記載のシステム。
〔態様15〕
前記呼吸パラメータが呼吸数である、態様11記載のシステム。
図1
図2