特許第5993871号(P5993871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5993871超音波発生装置および超音波を発生させる方法における、またはそれらに関連する改良
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993871
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】超音波発生装置および超音波を発生させる方法における、またはそれらに関連する改良
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/02 20060101AFI20160901BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20160901BHJP
   G01N 29/34 20060101ALI20160901BHJP
   G01S 7/282 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   G01B17/02 Z
   A61B8/00
   G01N29/34
   G01S7/282 200
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-548456(P2013-548456)
(86)(22)【出願日】2012年1月3日
(65)【公表番号】特表2014-503072(P2014-503072A)
(43)【公表日】2014年2月6日
(86)【国際出願番号】US2012020043
(87)【国際公開番号】WO2012094294
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年12月16日
【審判番号】不服2015-18849(P2015-18849/J1)
【審判請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】61/430,229
(32)【優先日】2011年1月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591131338
【氏名又は名称】ザ ルブリゾル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】スミス, オリバー
(72)【発明者】
【氏名】サットン, マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ペプロー, ミッチェル
【合議体】
【審判長】 清水 稔
【審判官】 大和田 有軌
【審判官】 酒井 伸芳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−085370(JP,A)
【文献】 特開昭58−103440(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0206676(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0143681(US,A1)
【文献】 米国特許第7391242(US,B1)
【文献】 特開平08−000628(JP,A)
【文献】 特開2003−310609(JP,A)
【文献】 特開2006−322902(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201145594(CN,Y)
【文献】 中国特許出願公開第1768997(CN,A)
【文献】 特開2007−085867(JP,A)
【文献】 特開平08−146121(JP,A)
【文献】 特開平02−187682(JP,A)
【文献】 特開昭63−098579(JP,A)
【文献】 特開昭56−168573(JP,A)
【文献】 「高速1.2GS/s任意波形/ファンクションジェネレータ1281型,Wonder Wave 1280シリーズ」,[online],2008年1月2日アーカイブ,株式会社東陽テクニカ,[2015年2月2日検索],インターネット<URL:http://web.archive.org/web/20080102054037/http://www.toyo.co.jp/tabor/1281.html>
【文献】 (社)日本電子機械工業会編,「改訂医用超音波機器ハンドブック」,株式会社コロナ社,1997年1月20日,p.1−11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 17/00 - 17/08
A61B 8/00 - 8/15
G01N 29/00 - 29/52
G01S 1/72 - 1/82
G01S 3/80 - 3/86
G01S 5/18 - 5/30
G01S 7/52 - 7/64
G01S 15/00 - 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(36)の寸法の超音波測定に適する超音波発生装置(10)であって、前記装置(10)は、
波形を表す波形出力(14)を提供するように動作可能な発生器(12)と、
前記波形出力を受信し、前記波形出力を増幅し、超音波変換器(20)に印加するための出力(18)を提供するように動作可能な電力増幅器(16)と
を備え、
前記発生器は、任意の波形発生器であり、前記波形発生器は、ソフトウェア制御の下で波形源として動作し、前記波形の表現を提供し、表される前記波形のパラメータを定義するように動作可能なユーザ入力(26)を有するコンピュータデバイス(22)と、前記表現の波形を有する信号(32)として前記波形出力を提供するように動作可能なコンバータ(30)とを備え、
ここで、前記発生器は、超音波を発生させるためのパルス、および後続の、前記超音波変換器内の共鳴を減衰させるための減衰パルスを提供し、
前記電力増幅器は、演算増幅器(34)を備え、前記演算増幅器(34)は、使用中、前記発生器から前記波形出力を受信し、電力および電圧において前記波形出力を増幅し、前記演算増幅器の出力は、前記変換器に印加される、装置(10)。
【請求項2】
前記波形出力(14)は、使用中、前記波形のサンプルとしての離散出力値(42)の時系列である、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記離散出力(42)は、前記波形(14)の周波数の少なくとも10倍のサンプルレートを有する、請求項2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記離散出力(42)は、100MS/sのサンプルレートを有する、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記表現は、デジタル表現であり、前記コンバータ(30)は、デジタル/アナログコンバータである、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記発生器(12)は、搬送波周波数のパルス(46、48)として波形出力(14)を提供するように動作可能である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記発生器(12)は、超音波を発生させるためのパルス(46)として波形出力(14)を提供するように動作可能であり、前記パルス(46)の後に、超音波変換器(20)内の共鳴を減衰させるための減衰パルス(48)が続く、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
ワークピース(36)の寸法の超音波測定のための超音波を発生させる方法であって、前記方法は、
波形を表す波形出力(14)を発生させるステップと、
前記波形出力を増幅させ、超音波変換器(20)に印加するための出力を提供するステップと
を含み、
前記波形は、任意の波形発生器によって発生され、前記波形発生器は、ソフトウェア制御の下で動作し、前記波形の表現を提供し、表される前記波形のパラメータを定義するように動作可能なユーザ入力(26)を有するコンピュータデバイス(22)によって提供された波形源と、前記表現の波形を有する信号(32)として前記波形出力を提供するように動作可能なコンバータ(30)とを備え、
ここで、前記波形は、パルスおよび後続の、前記超音波変換器内の共鳴を減衰させるための減衰パルスを発生させることにより発生し、
前記波形は、演算増幅器(34)を備える電力増幅器によって増幅され、前記演算増幅器(34)は、使用中、前記波形源から前記波形出力を受信し、電力および電圧において前記波形出力を増幅し、前記演算増幅器の出力は、前記変換器に印加される、方法。
【請求項9】
前記波形出力(14)は、前記波形のサンプルとしての離散出力値(42)の時系列のように発生される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記離散出力は、前記波形の周波数の少なくとも10倍のサンプルレートを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記離散出力は、100MS/sのサンプルレートを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記波形を発生させるステップは、搬送波周波数のパルス(46、48)として波形出力(14)を提供することを含む、請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記波形を発生させるステップは、超音波を発生させるためのパルス(46)として波形出力(14)を提供することを含み、前記パルス(46)の後に、超音波変換器(20)内の共鳴を減衰させるための減衰パルス(48)が続く、請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を発生させるための超音波発生装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用語「超音波」は、可聴範囲を上回る、典型的には、20kHzを上回る、周波数における音を指すために使用される。超音波は、超音波が、ワークピース中に導入され、次いで、検出され、ワークピースに関する情報を示す非破壊試験等の種々の試験技法のために使用されている。示され得る情報の性質および品質は両方とも、超音波が発生および使用される態様に依存する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施例は、超音波発生装置であって、
波形を表す波形出力を提供するために動作可能な任意の波形発生器と、
波形出力を受信し、電力および振幅において波形出力を増幅し、超音波変換器に印加するための電力出力を提供するように動作可能な電力増幅器と
を備えている、装置を提供する。
【0004】
電力増幅器は、演算増幅器を備え得る。
【0005】
使用において、波形出力は、波形のサンプルとしての離散出力値の時系列であり得る(または、波形あるいはその波形のサンプルを有するか、もしくは構成する)。離散出力は、10MHz変換器を使用する場合、100MS/s等の波形の周波数の少なくとも10倍のサンプルレートを有し得る。発生器は、波形の表現を提供する波形源、表される波形のパラメータを定義するように動作可能なユーザ入力、および波形の表現を有する信号として、波形出力を提供するように動作可能なコンバータを備え得る。
【0006】
表現は、デジタル表現であり得、コンバータは、デジタル/アナログコンバータであり得る。波形源は、ソフトウェア制御下で動作するコンピューティングデバイスによって提供され得る。
【0007】
発生器は、搬送波周波数のパルスとして波形出力を提供するように動作可能であり得る。発生器は、超音波を発生させるためのパルス、および、後続の超音波変換器内の共鳴を減衰させるための減衰パルスとして、波形出力を提供するように動作可能であり得る。
【0008】
本発明の実施例はまた、超音波を発生させる方法であって、
波形を表す波形出力を発生させるステップと、
電力および振幅において、波形出力を増幅させ、超音波変換器に印加するための電力出力を提供するステップと
を含む、方法を提供する。
【0009】
波形出力は、演算増幅器を備えている電力増幅器によって増幅され得る。
【0010】
波形出力は、波形のサンプルとしての離散出力値の時系列として、発生され得る。離散出力は、10MHz変換器を使用する場合、100MS/s等の波形の周波数の少なくとも10倍のサンプルレートを有し得る。
【0011】
波形を発生させるステップは、波形の表現を受信し、表される波形のパラメータを定義するためのユーザ入力を受信し、波形の表現を有する信号として、波形出力を提供するステップを含み得る。表現は、デジタル表現であり得、ソフトウェア制御下で動作するコンピューティングデバイスによって提供され得る。波形を発生させるステップは、搬送波周波数のパルスとして波形出力を提供するステップを含み得る。波形を発生させるステップは、超音波を発生させるためのパルス、および、後続の超音波変換器内の共鳴を減衰させるための減衰パルスとして、波形出力を提供するステップを含み得る。
【0012】
本発明の実施例はまた、ワークピースの寸法の超音波測定の方法であって、
波形を表すための波形出力を形成するステップと、
形成された波形出力を超音波変換器に印加し、超音波をワークピースの中へ伝送するステップと、
超音波信号をワークピースから受信するステップであって、受信された信号は、伝送された信号の反射を含む、ステップと、
寸法に関連する情報を受信された信号から抽出するステップと
を含み、波形出力は、先行定義のいずれかに記載の装置によって、形成され、印加される、方法を提供する。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
超音波発生装置であって、前記装置は、
波形を表す波形出力を提供するように動作可能な任意の波形発生器と、
前記波形出力を受信し、電力および振幅において前記波形出力を増幅し、超音波変換器に印加するための電力出力を提供するように動作可能な電力増幅器と
を備えている、装置。
(項目2)
前記電力増幅器は、演算増幅器を備えている、項目1に記載の装置。
(項目3)
使用において、前記波形出力は、前記波形のサンプルとしての離散出力値の時系列である、項目1または項目2に記載の装置。
(項目4)
前記離散出力は、100MS/s等、前記波形の周波数の少なくとも10倍のサンプルレートを有する、項目3に記載の装置。
(項目5)
前記発生器は、前記波形の表現を提供する波形源と、表される前記波形のパラメータを定義するように動作可能なユーザ入力と、前記波形の前記表現を有する信号倍として前記波形出力を提供するように動作可能なコンバータとを備えている、項目1〜項目4のいずれか一項に記載の装置。
(項目6)
前記表現は、デジタル表現であり、前記コンバータは、デジタル/アナログコンバータである、項目5に記載の装置。
(項目7)
前記波形源は、ソフトウェア制御下で動作するコンピューティングデバイスによって提供される、項目1〜項目6のいずれか一項に記載の装置。
(項目8)
前記発生器は、搬送波周波数のパルスとして波形出力を提供するように動作可能である、項目1〜項目7のいずれか一項に記載の装置。
(項目9)
前記発生器は、超音波を発生させるためのパルス、および、後続の超音波変換器内の共鳴を減衰させるための減衰パルスとして、波形出力を提供するように動作可能である、項目1〜項目8のいずれか一項に記載の装置。
(項目10)
実質的に、付随の図面を参照して先に述べたような超音波発生装置。
(項目11)
超音波を発生させる方法であって、前記方法は、
波形を表す波形出力を発生させるステップと、
電力および振幅において前記波形出力を増幅させ、超音波変換器に印加するための電力出力を提供するステップと
を含む、方法。
(項目12)
前記波形出力は、演算増幅器を備えている電力増幅器によって増幅される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記波形出力は、離散出力値の時系列および前記波形のサンプルとして発生される、項目11または項目12に記載の方法。
(項目14)
前記離散出力は、100MS/s等、前記波形の周波数の少なくとも10倍のサンプルレートを有する、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記波形を発生させるステップは、前記波形の表現を提供することと、表される前記波形のパラメータを定義するためのユーザ入力を受信することと、前記波形の前記表現を有する信号倍として前記波形出力を提供することとを含む、項目11から項目14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記表現は、デジタル表現であり、ソフトウェア制御下で動作するコンピューティングデバイスによって提供される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記波形を発生させるステップは、搬送波周波数のパルスとして波形出力を提供することを含む、項目11から項目16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記波形を発生させるステップは、超音波を発生させるためのパルス、および、後続の超音波変換器内の共鳴を減衰させるための減衰パルスとして、波形出力を提供することを含む、項目11から項目17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
実質的に、付随の図面を参照して先に述べたような方法。
(項目20)
ワークピースの寸法の超音波測定の方法であって、
波形を表すための波形出力を形成するステップと、
前記形成された波形出力を超音波変換器に印加し、超音波をワークピースの中へ伝送するステップと、
超音波信号を前記ワークピースから受信するステップであって、前記受信された信号は、前記伝送された信号の反射を含む、ステップと、
前記寸法に関連する情報を前記受信された信号から抽出するステップと
を含み、前記波形出力は、項目1〜項目10のいずれか一項に記載の装置によって形成され、印加される、方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
次に、本発明の実施例が、単なる一例として、付随の図面を参照して、より詳細に説明される。
図1図1は、説明される本発明の一実施例による、超音波発生装置の簡単な概略図である。
図2図2は、図1の装置をより詳細に図示する。
図3図3は、図1および図2の装置の種々の点における信号を図示する。
図4図4は、説明される装置内で使用され得るタイプの別の例示的信号を図示する。
図5図5は、代替超音波発生装置の簡単な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、概して、10で示される超音波発生装置を図示し、超音波発生装置は、ある波形を表す波形出力を14において提供するように動作可能な任意の波形発生器12を備えている。電力増幅器16は、波形出力14を受信し、電力および振幅において、波形出力14を増幅し、超音波変換器に印加するために、電力出力を18において提供するように動作可能である。例示的超音波変換器は、20で示される。
【0015】
本明細書では、用語「任意の波形発生器」は、ユーザによって定義される非常に広範囲の波形の任意のものを表す波形出力を生成することができる配列を指すために使用される。多くの実施例は、当業者に公知であろう。これらとして、ソフトウェアパッケージが挙げられる。説明される本発明の実施例において使用され得るソフトウェアパッケージの一実施例は、National Instruments Corporationから市販のLabVIETMソフトウェアである。
【0016】
(実施例1)
図2は、装置10をより詳細に図示する。本実施例では、任意の波形発生器12は、コンピュータデバイス22上で起動する、先に述べたようなソフトウェアパッケージに基づく。コンピュータデバイス22は、処理装置24、キーボード26等の入力デバイス、およびディスプレイ28等の出力デバイスを含む、従来のPCまたは他のコンピュータデバイスであり得る。処理装置24内で起動するソフトウェア29は、発生器12が、波形の表現をディスプレイ28上に提供することを可能にする。キーボード26等のユーザ入力は、ユーザが、ディスプレイ28上に表される波形のパラメータを定義することを可能にする。例えば、ユーザは、表される波形の形状および周波数、または他のパラメータを選択してもよい。したがって、ユーザは、コンピュータデバイス22内のデジタル表現を操作する。
【0017】
波形形状の微調整は、ソフトウェアが、離散サンプルの時系列として波形を作成する場合、改善されることが予期される。各サンプルが、個々に、操作されることができる場合、波形の形状を定義するときに、相当な制御がユーザに提供され得る。この制御の程度は、サンプルレートが増加するにつれて、向上される。我々は、少なくとも、100MS/s(100万サンプル/秒)のサンプルレートの使用を想定する。これは、10MHz変換器に対して、10MHz波形の周波数の10倍のサンプルを可能にする。
【0018】
コンピュータデバイス22は、デジタル/アナログコンバータ30を組み込むか、またはそれに関連付けられている。ユーザによって定義される波形が、使用されるべきとき、コンピュータデバイス22は、32において、コンバータ30を使用して、信号を電力増幅器16に提供する。32における信号は、ユーザによって定義される波形を表す。実施例は、以下に説明される。
【0019】
本プロセスの段階では、信号は、デバイス22等の従来のコンピュータデバイスおよびデジタル/アナログコンバータ30等の信号プロセッサ回路内で見られる電圧および電力レベルの典型である、低電圧および低電力にあるであろう。例えば、32における波形は、振幅1V(最大振幅2V)を有し得る。電力増幅器16の目的は、32において、低電圧および低電力レベルにある波形出力を受信し、電力および振幅において、波形出力32を増幅させることである。例えば、我々は、電力増幅器16が、波形出力32を振幅1V(最大振幅2V)から振幅10V(最大振幅20V)に増幅させると想定する。
【0020】
本実施例では、電力増幅器16は、演算増幅器34を基礎とし、電源(図示せず)等の適切な従来の補助回路を含む。
【0021】
本明細書では、用語「演算増幅器」は、非常に高い利得電圧増幅を提供する、デバイスの種類の1つを指すために使用される。利得は、何千にもなり得る。デバイスは、2つの入力と、単一出力とをし、単一出力は、デバイスの利得によって乗算された入力間の電圧差異を表す。すなわち、演算増幅器は、異なる入力を有する。種々のフィードバック技法は、全体的利得が外部構成要素によって決定付けられ、動作条件から高度に独立的であることを可能にする。我々は、演算増幅器の使用によって、任意の信号発生器からの信号が、波形の形状の最小劣化を伴って、振幅および電力において増幅され得る利点を提供するであろうと想定する。説明される状況において、低レベルの信号劣化に寄与する、演算増幅器の他の特性として、高帯域幅、高線形性、低雑音、短立ち上がり時間、および高スルーレート(slew rate)が挙げられ、こららは、概して、「高速」と称され得る。適切な演算増幅器回路の一実施例は、Texas Istruments Inc.から市販のTHS300TMデバイスを使用する、非反転演算増幅器構成である。
【0022】
演算増幅器34の出力は、電力増幅器16の電力出力18を形成し、超音波変換器20に供給される。故に、装置10が使用される場合、コンピュータデバイス22内のユーザ制御下で作成された任意の波形は、コンバータ30において、アナログ形態に変換され、演算増幅器34によって、32における信号レベルから18における電力レベルに増幅され、次いで、超音波変換器20によって使用され、超音波を作成する。
【0023】
超音波変換器の実施例は、ジルコン酸チタン酸鉛ピエゾセラミック変換器である。
【0024】
使用において、変換器20は、通常、変換器20をワークピース36に密着させて設置し、変換器20からワークピース36の本体中への超音波の良好な伝達を提供することによって、ワークピース36に関連付けられるであろう。図示される実施例では、変換器20はまた、反射された超音波(エコー)をワークピース36から収集するために使用され、反射された超音波は、記録および分析のために、コンピュータデバイス22によって受信されるように、適切なインターフェース回路38およびアナログ/デジタルコンバータ40を通される。代替例では、別個の変換器を使用して、超音波を作成し、エコーを検出してもよい。これは、伝送された超音波が、直接、エコー受信変換器に影響を及ぼさないように遮断するために有用であり得る。別個の変換器の可能性は、図2において、変換器20を分割する破線によって示される。
【0025】
我々は、適切なソフトウェアパッケージに基づく発生器等の任意の波形発生器12の使用が、波形出力14が非常に高い品質を有することを可能にするであろうと想定する。なぜなら、波形の形状を定義する場合、精密な制御がユーザに利用可能であるからである。我々は、波形出力14が、高信号対雑音比を有するであろうと想定する。さらに、我々は、演算増幅器34の使用が、電力および振幅が増幅される(電力出力18を作成する)ことを可能にする一方、高信号対雑音比を維持するであろうと想定する。その結果、ワークピース36に最終的に導入される超音波は、ワークピース36に浸透し、反射および他の相互作用をもたらし、したがって、ワークピース36に関する情報を示し、高品質出力(したがって、高品質情報)を提供するように行うために十分な電力を有すると予期される。これは、初期波形中の高信号対雑音比、波形が最初に成形される精度、および演算増幅器が波形の最小劣化を導入するので生じる。これらの結果は、受信エコー振幅に対する出力波形振幅の比率が従来の超音波システムにおけるもの未満である場合でも予期される。恐らく、複雑な形状における、波形の精密な成形は、従来の超音波発生技法から得ることができない情報を示すと予期される。例として、ワークピースの寸法または特徴の高精度測定が挙げられる。
【0026】
図3は、装置内の種々の点に現れる波形を図示する。図3(a)は、略正弦波波形のサンプルを表す、離散出力値42の時系列を図示する。これらのサンプルの各々の個々の操作(サンプルの高さおよび極性を含む)は、特に、少なくとも100MS/s、および波形の周波数の少なくとも10倍等の高サンプルレートにおいて、波形形状の高レベルの制御を提供する。この段階において、波形は、発生器12内のデジタル表現においてそのまま表され、ディスプレイ28を通して、ユーザに利用可能となるであろう。
【0027】
図3(b)は、図3(a)の波形サンプルを受信後のコンバータ30の出力を示す。図から分かるように、波形出力14を形成するアナログ波形は、図3(a)のサンプルによって定義される、略正弦波形状を有し、比較的に低電力および振幅(1V;最大振幅2V)である。この波形は、次いで、電力増幅器16に印加され、電力出力18(切断形態において、図3(c)に図示される)を提供する。図3(c)の波形は、図3(b)の波形と同一の形状であるが、より大きな電力および振幅(最大振幅20V)に増幅される一方、以前の波形の高信号対雑音比を維持している。この波形の品質は、演算増幅器34の使用によって可能となる。
【0028】
図4は、我々が、超音波非破壊試験において有利であることを見出した、例示的波形を図示する。波形44は、発生パルス46および減衰パルス48である2つのパルス46、48を含む。発生パルス46は、略正弦波振幅エンベロープが与えられる高周波数搬送波のパルスである。減衰パルス48もまた、高周波数搬送波のパルスであって、また、略正弦波振幅エンベロープ内にある。
【0029】
発生パルス46の目的は、変換器20を励起し、ワークピース36内に超音波を発生させることである。我々は、パルス46等の正弦波パルスによって、変換器20を刺激することが、変換器20内に共鳴効果をもたらし、ワークピース36内に、変換器20に提供される信号より長い超音波振動を生じさせ得ることを見出した。一例が、47で示される。減衰パルス48の目的は、この問題に対処することである。減衰パルス48のタイミングおよび位相は、減衰パルス48に、変換器20内のいかなる残留共鳴も減衰させるように選択されることができる。特に、反射が受信されるときに変換器20が活動していないように、変換器20は、反射された超音波がワークピース36内から受信されることが予期される前に、減衰されることが望ましい。これは、ワークピース36からより高い品質信号の回収をもたらすと予期される。
【0030】
(実施例2)
代替超音波発生システム100が、図5に図式的に描写される。システム100は、装置10と共通する多くの特徴を共有する。システム100は、超音波送受信機118と、パルス発生モジュール124およびコントローラモジュール126を含む、制御システム120とを含む。
【0031】
超音波変換器118は、使用において、糊等の固定剤を使用して、試験アイテム(図示せず)に固定される、圧電変換器を備えている。所望に応じて、超音波変換器は、アイテムの表面上の原位置で蒸着される場合がある。選択される固定剤は、主に、アイテムと、使用において被ると予期される条件とに依存するが、使用において予期される温度範囲にわたって、超音波信号の良好な伝送を可能にする必要がある。定位置に固定される場合、センサは、エポキシ樹脂裏材、例えば、鋼鉄補強エポキシ等、アイテムへの超音波信号の伝送を支援するように、裏材で被覆され得る。変換器118は、中心周波数約10MHzを有するが、他の周波数も可能である。
【0032】
パルス発生モジュール124は、ピーク振幅約10Vを有する電圧パルスを発生させるように動作可能である。パルス発生モジュールは、パルス発生器140、増幅器142、および信号ブロッカー144(要求に応じて)を含む。パルス発生器は、再現可能形状を有する、実質的に1Vの電圧パルスを発生させるように動作可能である。本実施例では、パルスは、実質的に、10MHzの周波数を伴う正弦波として物理的に現れる方形波を備え、パルス発生器140は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA 1)等の第1のプログラマブル要素を備えている。伝送される初期パルスを発生させるだけではなく、FPGA 1は、反射された信号を受信するように動作可能である。
【0033】
本実施例では、増幅器142は、周波数または形状を改変することなく、FPGA 1によって生成された成形された信号を約10Vパルスまで増幅するように動作可能である。そのような高電圧信号が、FPGA 1によって受信された場合、FPGA 1に損傷を及ぼすであろう。したがって、増幅器が、アクティブである場合、本実施例では、電界効果トランジスタ(FET)である信号ブロッカー144が、同時にアクティブとなり、10V信号のいずれの部分も、FPGA 1に向かって逆伝送され得ないことを確実にする。増幅器が、10Vパルスを伝送するとすぐに、信号ブロッカー144は、反射された信号が、FPGA 1によって検出されることが可能となるように非アクティブにされる。
【0034】
別の実施例では、図2に関連して述べたように、別個の変換器が、超音波を発生させ、エコーを感知するために使用され得る。その場合、自然な遮断が、励起エネルギーと感知変換器との間に作成され、信号ブロッカー144を不必要にし得る。
【0035】
コントローラモジュール126はさらに、第2のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA 2)等のプログラマブル要素146と、プロセッサ148と、メモリ149とを含む。FPGA 2は、試験アイテムの温度を測定するために配列される熱電対等の温度センサ150から温度データを収集するように動作可能である。
【0036】
プロセッサ148は、プログラマブル要素140および146の両方と信号通信し、信号データをFPGA 1から、温度データをFPGA 2から受信する。プロセッサは、受信した信号データおよび温度データを使用して、寸法測定を生成する。
【0037】
動作において、システム100は、実質的に同時に、プロセッサの制御下、以下の2つの組の動作を行う。
【0038】
最初に、プログラマブル要素140は、持続時間内に1Vパルス50nsを発生させる。信号ブロッカー144が、アクティブにされ、増幅器142が、1Vパルスを10Vに増幅させる。信号ブロッカーは、次いで、非アクティブにされる。10V信号は、ケーブルを経由して、超音波送受信機118に伝送される。超音波送受信機は、信号を超音波パルスに変換し、パルスを試験アイテムの中へ伝送する。反射された超音波パルスは、続いて、超音波送受信機によって受信され、電気信号に変換され、プログラマブル要素140によって検出される。受信した信号(特に、一緒になって、受信した信号の形状を示す離散測定の集合)を識別するデータは、分析/記憶のために、特に、飛行時間値の生成のために、プロセッサに伝送される。
【0039】
前述の飛行時間データの集合と同時に、プロセッサは、第2のプログラマブル要素146に、温度データを温度センサ150から収集するように命令する。測定された温度値(2つの測定から成る)は、FPGA 1がその受信信号を収集してしまうまで、メモリ内に記憶される。これらの動作は、実質的に同期して開始および終了するように配列される。
【0040】
信号データが収集されると、プロセッサは、温度値を使用して較正された飛行時間を決定する。温度独立寸法値が、次いで、計算される。その値は、試験アイテムの厚さ等の寸法を示す。
【0041】
(結論)
我々は、波形の形状の微調整および操作が、従来の技法と比較して、導入される振幅の割合として表された場合、増加したエコー振幅を作成するように波形形状が選択されることを可能にすることを見出した。これは、より高い効率を表し、任意の波形を発生させ、それらを演算増幅器内で正確かつ再現可能に増幅する能力から生じる。
【0042】
多くの変形例が、本発明の範囲から逸脱することなく、前述の装置から成され得る。例えば、他の形態の任意の波形発生器が、ソフトウェアパッケージに基づく発生器の代わりに使用され得る。他の形態の電力増幅器も使用され得、他の演算増幅器デバイスも、信号処理および回路設計における従来の考慮に従って選択され得る。
【0043】
前述の明細書では、特に重要であると考えられる、本発明の特徴に注意を引き付けることに尽力したが、特定の強調が置かれているかどうかにかかわらず、以下に参照される、および/または図面に図示される、任意の特許性のある特徴あるいは特徴の組み合わせに関して、保護を主張することを理解されたい。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4
図5