(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、給紙部からシートが送り出されるタイミングと、画像形成部や定着部においてシートを通過するタイミングが異なるため、それぞれに固有の駆動部が必要とされた。このため、画像形成装置のコストが増大するとともに、装置のサイズが大型化するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、内部に配置される部材を駆動するための駆動部の数を低減させ、シートを安定して搬送することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能とされ、内部にシートが積載される
第1給紙カセットと、前記シート上に画像を形成する画像形成部と、前記
第1給紙カセットから前記画像形成部を通過するように延設され、前記シートが搬送されるシート搬送路と、前記画像形成部よりも前記シートの搬送方向下流側において、前記シート搬送路から分岐して形成され、前記シートの両面に画像が形成される両面画像形成時に、前記画像形成部よりも前記搬送方向上流側の前記シート搬送路に前記シートを再び搬入させる反転搬送路と、前記
第1給紙カセットに対向して配置され、回転駆動され、前記シートを送り出す
第1送出部材と、
前記第1送出部材の前記搬送方向下流側に配置され、回転され、前記シートを搬送する第1給紙部材と、前記第1給紙部材に対向して配置され、前記第1給紙部材との間でシートが通過するニップ部を形成する第1対向部材と、前記第1対向部材を支持し、前記第1対向部材が前記ニップ部を形成する対向位置と、前記第1対向部材を前記第1給紙部材から離間させる退避位置との間で位置変更可能な第1支持部材と、前記反転搬送路に配置され、回転駆動され、前記シートを搬送する搬送部材と、前記
第1給紙カセットに配置され、上面に前記シートが積載され、前記積載されたシートを前記
第1送出部材に当接させる給紙位置と前記シートを前記
第1送出部材から離間させる離間位置との間で位置変更が可能な
第1リフト板と、駆動力を発生する駆動部と、前記駆動部が発生した前記駆動力を前記
第1送出部材および前記搬送部材に伝達し、前記
第1送出部材および前記搬送部材を同期して回転または停止させる第1切り替え部と、前記駆動部が発生した前記駆動力を前記
第1リフト板に伝達し、前記
第1リフト板を位置変更させる第2切り替え部と、前記第1切り替え部および前記第2切り替え部を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記
第1リフト板を前記給紙位置に配置させた状態で前記第1切り替え部を介して前記
第1送出部材を回転させ前記シートを前記画像形成部に搬入し、前記シートが前記反転搬送路を搬送される場合に、前記第2切り替え部を介して前記
第1リフト板を前記給紙位置から前記離間位置に移動させ
、前記第2切り替え部は、前記第1リフト板の前記給紙位置から前記離間位置への位置変更に応じて、前記駆動部が発生した前記駆動力によって前記第1支持部材を前記対向位置から前記退避位置に移動させることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、
第1送出部材、搬送部材および
第1リフト板の駆動が共通の駆動部によって実現される。したがって、画像形成装置の装置本体のサイズが縮小されるとともに、画像形成装置の重量が低減される。また、駆動部の共通化に伴って、画像形成装置のコストを低減することが可能となる。また、駆動制御部は、
第1リフト板を給紙位置に配置させた状態で
第1送出部材を回転させシートを画像形成部に搬入する。一方、両面画像形成時に、シートが反転搬送路を搬送される場合には、駆動制御部は、
第1リフト板を給紙位置から離間位置に移動させる。このため、シートが反転搬送路を搬送される際に、誤って、次のシートが
第1送出部材によって送り出されることが防止される。
【0008】
また、本構成によれば、
第1リフト板の給紙位置から離間位置への位置変更に応じて、
第1支持部材が対向位置から退避位置に位置変更される。したがって、
第1給紙部材と
第1対向部材との間のニップ部が開放される。このため、シートが反転搬送路を搬送される際に、誤って次のシートが
第1送出部材によって送り出されることが更に防止される。また、
第1送出部材を回転させる駆動部の駆動力によって、
第1支持部材の移動が実現される。
【0009】
上記の構成において、前記
第1給紙部材の周辺において前記シート搬送路に突出することで前記
第1給紙カセットから前記シート搬送路に送り出された前記シートを前記搬送方向上流側に押し戻す
第1戻し部材を更に有し、前記第2切り替え部は、前記
第1リフト板の前記給紙位置から前記離間位置への位置変更に応じて、前記駆動部が発生した前記駆動力によって前記
第1戻し部材を前記シート搬送路に突出させることが望ましい。
【0010】
本構成によれば、
第1リフト板の給紙位置から離間位置への位置変更に応じて、
第1戻し部材がシート搬送路に突出する。したがって、ニップ部に挟まったシートを搬送方向上流側に押し戻すことができる。また、
第1送出部材を回転させる駆動部の駆動力によって、
第1戻し部材の突出動作が実現される。
【0011】
上記の構成において、前記
第1給紙カセットは、前記装置本体に対して所定の装着方向に装着され、前記シート搬送路は前記
第1給紙カセットから前記装着方向に沿って延設され、前記駆動制御部は、前記シートに対する所定の画像形成動作が終了すると、前記
第1リフト板を前記離間位置に配置させることが望ましい。
【0012】
シート搬送路が
第1給紙カセットの装着方向に沿って延設されている場合、
第1給紙カセットが装置本体から引き出される際にニップ部にシートが挟まれているとシートが装置本体内に残留しやすい。このような場合であっても、
第1リフト板の給紙位置から離間位置への位置変更に応じて、
第1支持部材が対向位置から退避位置に位置変更される、または、
第1戻し部材がシート搬送路に突出する。したがって、
第1給紙カセットの引き出し時に、シートが装置本体内に残留することが防止される。
【0013】
上記の構成において、
前記装置本体に対して着脱可能とされ、内部にシートが積載される
第2給紙カセットと、
前記第2給紙カセットに対向して配置され、回転駆動され、前記シートを送り出す第2送出部材と、
前記第2給紙カセットに配置され、上面に前記シートが積載され、前記積載されたシートを前記第2送出部材に当接させる給紙位置と前記シートを前記第2送出部材から離間させる離間位置との間で位置変更が可能な第2リフト板と、
前記駆動部が発生した前記駆動力を前記第2リフト板に伝達し、前記第2リフト板を位置変更させる第3切り替え部と、を更に備え、前記シート搬送路は、前記第1給紙カセットおよび前記第2給紙カセットからそれぞれ延設されたのち合流するように配置され、前記第1切り替え部は、更に、前記駆動部が発生した前記駆動力を前記
第2送出部材に伝達し、前記第1
送出部材および第2送出部材を同期して回転または停止させ
、前記駆動制御部は、更に、前記第3切り替え部を制御
し、前記駆動制御部は、前記第2切り替え部または前記第3切り替え部を介して、前記第1給紙カセットおよび前記第2給紙カセットのうちの一方のカセットのリフト板を前記給紙位置に配置させ、かつ、他方のカセットのリフト板を前記離間位置に配置させた状態で、前記第1切り替え部を介して前記第1
送出部材および前記第2送出部材を回転させることで、前記画像形成部に前記シートを搬入すること
が望ましい。
【0014】
本構成によれば、第1送出部材、第2送出部材、第1リフト板および第2リフト板の駆動が共通の駆動部によって実現される。したがって、画像形成装置の装置本体のサイズが縮小されるとともに、画像形成装置の重量が低減される。また、駆動部の共通化に伴って、画像形成装置のコストを低減することが可能となる。また、第1給紙カセットおよび第2給紙カセットのうちの一方から給紙動作が行われる際に、誤って他方のカセットからも給紙が行われることが防止される。
【0015】
上記の構成において、
前記第2送出部材の前記搬送方向下流側に
配置され、回転され、前記シートを搬送する
第2給紙部材と、前記
第2給紙部材に
対向して配置され、前記
第2給紙部材との間でシートが通過するニップ部を形成する
第2対向部材と、前記
第2対向部材を
支持し、前記
第2対向部材が前記ニップ部を形成する対向位置と、前記
第2対向部材を前記
第2給紙部材から離間させる退避位置との間で位置変更可能な
第2支持部材と、を更に有し、前記第2切り替え部
または前記第3切り替え部は、前記第1
リフト板または前記第2リフト板の前記給紙位置から前記離間位置への位置変更に応じて、前記駆動部が発生した前記駆動力によって、前記位置変更するリフト板に対応する前記支持部材を、前記対向位置から前記退避位置に移動させることが望ましい。
【0016】
本構成によれば、第1または第2リフト板の給紙位置から離間位置への位置変更に応じて、支持部材が対向位置から退避位置に位置変更される。したがって、位置変更するリフト板に対応する給紙部材と対向部材との間のニップ部が開放される。このため、第1給紙カセットおよび第2給紙カセットのうちの一方から給紙動作が行われる際に、誤って他方のカセットからも給紙が行われることが更に防止される。また、第1送出部材などを回転させる駆動部の駆動力によって、支持部材の移動が実現される。
【0017】
上記の構成において、
前記第1給紙部材の周辺において前記シート搬送路に突出することで前記第1給紙カセットから前記シート搬送路に送り出された前記シートを前記搬送方向上流側に押し戻す第1戻し部材と、前記
第2給紙部材の周辺において前記シート搬送路に突出することで
前記第2給紙カセットから前記シート搬送路に送り出された前記シートを搬送方向上流側に押し戻す
第2戻し部材
と、を更に有し、前記第2切り替え部
または前記第3切り替え部は、前記第1
リフト板または前記第2リフト板の前記給紙位置から前記離間位置への位置変更に応じて、前記駆動部が発生した前記駆動力によって、前記位置変更するリフト板に対応する前記戻し部材を前記シート搬送路に突出させることが望ましい。
【0018】
本構成によれば、第1または第2リフト板の給紙位置から離間位置への位置変更に応じて、戻し部材がシート搬送路に突出する。したがって、ニップ部に挟まったシートを搬送方向上流側に押し戻すことができる。また、第1送出部材などを回転させる駆動部の駆動力によって、戻し部材の突出動作が実現される。
【0019】
上記の構成において、前記第1
給紙カセットおよび前記第2給紙カセットは、前記装置本体に対して所定の装着方向に装着され、前記シート搬送路は前記第1
給紙カセットおよび前記第2給紙カセットから前記装着方向に沿って延設され、前記駆動制御部は、前記シートに対する所定の画像形成動作が終了すると、前記第1
リフト板および前記第2リフト板を前記離間位置に配置させることが望ましい。
【0020】
シート搬送路が第1および第2給紙カセットの装着方向に沿って延設されている場合、第1および第2給紙カセットが装置本体から引き出される際にニップ部にシートが挟まれているとシートが装置本体内に残留しやすい。このような場合であっても、第1または第2リフト板の給紙位置から離間位置への位置変更に応じて、支持部材が対向位置から退避位置に位置変更される、または、戻し部材がシート搬送路に突出する。したがって、給紙カセットの引き出し時に、シートが装置本体内に残留することが防止される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、内部に配置される部材を駆動するための駆動部の数を低減させ、シートを安定して搬送することが可能な画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として、プリンターを例示するが、画像形成装置は、プリンター機能と複写機能とを備えた複合機、複写機、ファクシミリ装置であってもよい。
【0024】
<画像形成装置の説明>
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10を備える。装置本体10の上面部には、排紙部12が配置されている。排紙部12には、画像が形成されたシートが排出される。装置本体10の内部には、給紙カセット11(第1給紙カセット)と、シートにトナー像(現像剤像)を形成する画像形成部14と、中間転写部15と、前記トナー像をシートに定着させる定着部16と、が収容されている。また、装置本体10の前側の側面には手差しトレイ13が開閉可能に備えられている。手差しトレイ13の上面にはシートが載置可能とされる。
【0025】
給紙カセット11は、装置本体10に対して着脱可能とされ、内部にシートが積載される。本実施形態では、給紙カセット11は、装置本体10に対して後方に向かう装着方向に装着される(
図1の矢印DC)。給紙カセット11の内部には、第1リフト板111(リフト板)が備えられている。第1リフト板111の上面にはシートが積載される。第1リフト板111は、積載されたシートのうち最も上方に位置するシートの先端部を後記の第1ピックアップローラー112に当接させる給紙位置とシートを第1ピックアップローラー112から離間させる離間位置との間で位置変更が可能とされる。第1リフト板111と給紙カセット11の底部との間には、不図示の付勢ばねが配置されている。付勢ばねは、第1リフト板111が給紙位置に配置されるように、第1リフト板111を上方に向かって付勢する。第1リフト板111の移動については、後記で詳述する。
【0026】
画像形成部14は、給紙カセット11の上方に配置されている。画像形成部14は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色およびブラック色の各色に対応した複数の感光体ドラムや現像装置を備える。感光体ドラム上には、露光装置によって画像データに応じた静電潜像が形成される。現像装置によって顕在化された感光体ドラム上のトナー像は、中間転写部15の中間転写ベルト151に重なるように一次転写される。
【0027】
中間転写部15は、上記の中間転写ベルト151と、ベルト駆動ローラー152と、テンションローラー153とを備える。中間転写ベルト151は、ベルト駆動ローラー152とテンションローラー153とに架け渡された無端状のベルトである。ベルト駆動ローラー152は、後記のモーターMによって回転駆動され、中間転写ベルト151を周回させる。中間転写ベルト151を挟んでベルト駆動ローラー152に対向する位置には、二次転写ローラー154が配置されている。二次転写ローラー154はベルト駆動ローラー152との間で二次転写ニップ部を形成する。ベルト駆動ローラー152または二次転写ローラー154に印加される二次転写電圧によって中間転写ベルト151からシートにトナー像が転写される。
【0028】
定着部16は、シートにトナー像の定着処理を施す。定着部16は、定着ローラー161と加圧ローラー162とを備える。定着ローラー161は内部に熱源を備える。定着ローラー161は後記のモーターMによって回転駆動される。加圧ローラー162は定着ローラー161の周面に押圧されることで、定着ローラー161に従動して回転する。
【0029】
装置本体10の内部には、主搬送路10A(シート搬送路)と、排出搬送路10Bと、反転搬送路10Cと、手差し搬送路10Dとが配置されている。主搬送路10Aは、給紙カセット11から画像形成部14および定着部16を通過するように延設され、シートが搬送される搬送路である。なお、主搬送路10Aの入口側は、給紙カセット11から前記装着方向に沿って延設されている。その後、主搬送路10Aは上方に向かって延設された後、再び前方に向かって排紙部12の上方まで延びている。このため、画像形成装置1を左方から見た場合(
図1を紙面の反対側から見た断面図)、給紙カセット11から延びる主搬送路10Aは、略Cの字形状をなしている。排出搬送路10Bは、主搬送路10Aの搬送方向下流側に配置され、シートが排紙部12に向かって搬送される搬送路である。反転搬送路10Cは、定着部16よりもシートの搬送方向下流側において、主搬送路10Aから分岐して形成された搬送路である。反転搬送路10Cは、シートの両面に画像が形成される両面画像形成時に、画像形成部14よりも搬送方向上流側の主搬送路10Aにシートを再び搬入させる。手差し搬送路10Dは、手差しトレイ13から後方に向かって延設された搬送路であって、手差し搬送路10Dの搬送方向下流側は主搬送路10Aに連結されている。
【0030】
更に、画像形成装置1は、第1ピックアップローラー112(送出部材、第1送出部材)と、第1給紙ローラー113(給紙部材)と、第1リタードローラー114(対向部材)と、手差しリフト板131と、手差し給紙ローラー132と、を備える。また、画像形成装置1は、第1搬送ローラー対171と、レジストローラー対172と、第1従動ローラー173と、対向駆動ローラー174と、排出ローラー対175と、第2従動ローラー176と、第2搬送ローラー対177(搬送部材)と、第3搬送ローラー対178(搬送部材)と、第4搬送ローラー対179と、第5搬送ローラー対180と、第6搬送ローラー対181と、を備える。
【0031】
第1ピックアップローラー112は、主搬送路10Aの入口側において給紙カセット11に対向して配置される。第1ピックアップローラー112は、回転され、シートを主搬送路10Aに向かって送り出す。第1給紙ローラー113は、第1ピックアップローラー112よりも搬送方向下流側に間隔をおいて配置される。第1給紙ローラー113は、回転され、第1ピックアップローラー112によって送り出されたシートを更に主搬送路10Aの下流側に搬送する。第1リタードローラー114は、第1給紙ローラー113に対向して配置され、第1給紙ローラー113との間でシートが通過するニップ部を形成する。
【0032】
手差しリフト板131は、手差しトレイ13の搬送方向下流側端部に配置される。手差しリフト板131の下端部は不図示のカムによって上下に移動可能とされる。手差し給紙ローラー132は装置本体10の内部において手差しリフト板131に対向して配置されるローラーである。手差し給紙ローラー132は、後記のモーターMによって回転される。手差しリフト板131が上方に移動すると、手差しトレイ13上に載置されたシートの先端部が手差し給紙ローラー132に当接し、シートが手差し搬送路10Dに搬入される。上記のカムには不図示のソレノイドが連結されている。後記の駆動制御部80が当該ソレノイドを制御して、手差しリフト板131が上下移動することで、手差しリフト板131上のシートの送り出し動作が制御される。このため、後記のとおり手差し給紙ローラー132はモーターMによって常時回転駆動される。
【0033】
第1搬送ローラー対171は、装置本体10の後側の下端部に配置される。第1搬送ローラー対171は、後記の増設カセット50から送り出されたシートをレジストローラー対172に向かって搬送する。レジストローラー対172は、第1給紙ローラー113と二次転写ローラー154との間の主搬送路10Aに配置されるローラー対である。シートの先端部がレジストローラー対172のニップ部の直前に至ると、シートの搬送が一時的に停止される。そして、レジストローラー対172は画像形成部14における画像形成タイミングに対応して、シートを二次転写ニップ部に向かって搬送する。また、レジストローラー対172はシートのスキューを矯正する機能も備える。
【0034】
第1従動ローラー173、対向駆動ローラー174および第2従動ローラー176は、定着部16の上方において隣接して配置される3つのローラーである。対向駆動ローラー174は、第1従動ローラー173と第2従動ローラー176との間でそれぞれニップ部を形成する。対向駆動ローラー174が後記のモーターMによって回転駆動されると、第1従動ローラー173および第2従動ローラー176は従動回転する。第1従動ローラー173と対向駆動ローラー174との間のニップ部を通過するシートは、排出ローラー対175に向かって排出搬送路10Bを搬送される。
【0035】
排出ローラー対175は、排出搬送路10Bの出口付近に配置されたローラー対である。排出ローラー対175は後記のモーターMによって回転駆動される。また、排出ローラー対175は、正逆方向に回転するよう駆動制御される。排出ローラー対175の正転動作によってシートは排紙部12に排出される。一方、排出ローラー対175のニップ部にシートが挟まれた状態で排出ローラー対175が逆転動作を行うと、シートは第2従動ローラー176と対向駆動ローラー174との間のニップ部を通過しながら反転搬送路10Cに搬入される。
【0036】
第2搬送ローラー対177および第3搬送ローラー対178は、反転搬送路10Cに配置されたローラー対である。第2搬送ローラー対177および第3搬送ローラー対178は後記のモーターMによって回転駆動される。これらのローラー対によってシートは再び主搬送路10Aに搬入される。
【0037】
第4搬送ローラー対179、第5搬送ローラー対180および第6搬送ローラー対181は、手差し搬送路10Dに配置されたローラー対である。これらのローラー対によってシートは手差し搬送路10Dから主搬送路10Aに搬入される。
【0038】
更に、画像形成装置1は、増設カセット50(第2給紙カセット)を備える。増設カセット50は、装置本体10の下面部に選択的に装着され、内部にシートが積載される。増設カセット50が装置本体10に装着されると、増設カセット50から主搬送路10Aに合流される増設搬送路10E(シート搬送路)が形成される。増設搬送路10Eは、主搬送路10Aに合流する。増設カセット50は、第2リフト板511と、第2ピックアップローラー512(第2送出部材)と、第2給紙ローラー513(給紙部材)と、第2リタードローラー514(対向部材)とを備える。第2リフト板511の上面にはシートが積載される。第2リフト板511は、積載されたシートのうち最も上方に位置するシートの先端部を第2ピックアップローラー512に当接させる給紙位置とシートを第2ピックアップローラー512から離間させる離間位置との間で位置変更が可能とされる。
【0039】
第2ピックアップローラー512は、増設搬送路10Eの入口側において第2リフト板511に対向して配置される。第2ピックアップローラー512は、回転され、シートを増設搬送路10Eに向かって送り出す。第2給紙ローラー513は、第2ピックアップローラー512よりも搬送方向下流側に間隔をおいて配置される。第2給紙ローラー513は、回転され、第2ピックアップローラー512によって送り出されたシートを更に増設搬送路10Eの下流側に搬送する。第2リタードローラー514は、第2給紙ローラー513に対向して配置され、第2給紙ローラー513との間でシートが通過するニップ部を形成する。
【0040】
次に、
図2乃至
図8を参照して、画像形成装置1の給紙カセット11周辺の構造について更に詳述する。なお、以下の構成は、増設カセット50においても同様である。
図2は、本実施形態に係る給紙カセット11の斜視図(A)、(B)である。
図3は、給紙カセット11の第1リフト板111を上下移動させる機構の斜視図である。
図4は、給紙カセット11の第1リフト板111が上下移動する様子を示す斜視図(A)、(B)である。
図5は、給紙カセット11の第1リフト板111を上下移動させる第1カム601の周辺の断面図(A)、(B)である。
図6は、本実施形態に係る第1リタードローラー114および後記の戻し部材62の周辺の斜視図(A)、(B)である。
図7は、戻し部材62を出没させる第2カム602の周辺の断面図(A)、(B)である。
図8は、第1リタードローラー114が移動する様子を示す断面図(A)、(B)である。
【0041】
図2を参照して、画像形成装置1は搬送ガイド部100を備える。搬送ガイド部100は、装置本体10の一部であって、給紙カセット11の後側に配置されるユニットである、搬送ガイド部100の上面部は、主搬送路10Aの一部を画定する湾曲面100Aを備える。湾曲面100Aの左右方向の中央部には、前述の第1リタードローラー114が配置されている。なお、第1リタードローラー114は後記のホルダー70によって支持されている。また、第1リタードローラー114を左右方向において挟むように、湾曲面100Aには一対のスリット100Gが開口されている(
図6)。
【0042】
図3を参照して、画像形成装置1は、連動部60を備える。連動部60は、第1リフト板111の上下移動、後記の戻し部材62の出没動作および第1リタードローラー114の移動動作を司る機構である。連動部60は、第1シャフト600と、第1カム601と、第2カム602と、第3カム603と、押圧アーム61と、戻し部材62と、ホルダー70(支持部材)とを備える。
【0043】
第1シャフト600は、左右方向に延びる回転軸である。
図2では、第1シャフト600は、搬送ガイド部100の内部に配置されている。第1シャフト600の右側端部には、シャフトギア600Aが固定されている。シャフトギア600Aは、不図示の伝達機構を介して、後記のモーターMに連結されている。したがって、第1シャフト600は、モーターMによって回転駆動される。なお、
図4に示すように、シャフトギア600Aを含む第1シャフト600の右側端部は、搬送ガイド部100の右側に露出している。
【0044】
図3を参照して、第1カム601は、第1シャフト600の左右端部に固定された一対のカムである。第1カム601は、押圧アーム61を介して、第1リフト板111を上下移動させる。第2カム602は、一対の第1カム601の左右方向の内側に間隔をおいて、第1シャフト600に固定された一対のカムである。第2カム602は、戻し部材62を回動させ、戻し部材62の出没動作を実行する。第3カム603は、右側の第2カム602に隣接して第1シャフト600に固定されたカムである。第3カム603は、ホルダー70を介して第1リタードローラー114を移動させる機能を備える。
図5、
図7および
図8に示すように、第1カム601、第2カム602および第3カム603は、周方向において外径が部分的に異なるように形成されている。
【0045】
押圧アーム61は、第1カム601にそれぞれ対向して配置される一対のアーム部材である。押圧アーム61は、アーム押圧部61Aと、アーム開口部61Bと、アーム支点部61Cと、アーム被押圧部61Dと、を備える(
図5)。アーム押圧部61Aは、押圧アーム61の前側に配置され、前方に向かって先細形状からなる。アーム押圧部61Aは、第1リフト板111のリフト板突起部111A(
図2)を押圧する機能を備える。アーム開口部61Bは、押圧アーム61の中央部に円弧形状をもって開口された長穴状の開口部である。
図4に示すように、アーム開口部61Bの内部に第1シャフト600が挿通されている。アーム支点部61Cは、押圧アーム61の回動における支点部となる。アーム支点部61Cは搬送ガイド部100に回動可能に軸支されている。アーム被押圧部61Dは、押圧アーム61の底部の一部である。アーム被押圧部61Dは左右方向に所定の幅をもって形成され、第1カム601によって押圧される。なお、
図4に示すように、給紙カセット11の右側の側壁の後端部には、矩形状の開口部11Hが形成されている。そして、第1リフト板111は、リフト板突起部111Aを備える。リフト板突起部111Aは、カセット開口部11Hから右側に突出するように第1リフト板111に備えられた突起部である。リフト板突起部111Aの上方にアーム押圧部61Aが配置されるように、押圧アーム61が搬送ガイド部100に支持されている。
【0046】
図3および
図7を参照して、戻し部材62は、搬送ガイド部100の内部に回転可能に支持された棒状の部材である。戻し部材62は、第1給紙ローラー113(第1リタードローラー114)の周辺において主搬送路10Aに突出することで、給紙カセット11から主搬送路10Aに送り出されたシートを給紙カセット11に向かって押し戻す機能を備える。戻し部材62は、戻し部材支点部62Aと、第1延設部62Bと、シート当接部62Cと、第2延設部62Dと、を備える(
図7)。戻し部材支点部62Aは、戻し部材62の回転における支点となる。戻し部材支点部62Aは、搬送ガイド部100に回転可能に軸支されている。なお、戻し部材支点部62Aの周囲には、不図示のコイルばねが備えられている。コイルばねは、戻し部材62のシート当接部62Cが主搬送路10Aに突出するように、戻し部材62を戻し部材支点部62A回りに付勢している。第1延設部62Bは、戻し部材支点部62Aから一の方向に延びた部分である。シート当接部62Cは、第1延設部62Bの先端部が屈曲されることで形成される。戻し部材62の戻し部材支点部62A回りの回転によって、シート当接部62Cがスリット100G(
図6)から主搬送路10Aに突出する。第2延設部62Dは、第1延設部62Bとは反対の方向に向かって、戻し部材支点部62Aから延びた部分である。第2延設部62Dは、第2カム602に押圧される。
【0047】
図3および
図8を参照して、ホルダー70は、第1リタードローラー114を回転可能に軸支する。左右方向に間隔をおいて配置されたホルダー70の一対の側壁に第1リタードローラー114が支持されている。ホルダー70は、第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113との間でニップ部を形成する対向位置と、第1リタードローラー114を第1給紙ローラー113から離間させる退避位置との間で位置変更可能とされる。ホルダー70は、ホルダー支点部70Aと、ホルダー突起部70Bとを備える。ホルダー支点部70Aは、ホルダー70の回動における支点部である。ホルダー支点部70Aは、ホルダー70の側壁から左右方向に突設されている。ホルダー支点部70Aは、搬送ガイド部100に回転可能に軸支されている。ホルダー突起部70B(
図8)は、ホルダー70の右端部から下方に向かって突設された突片である。一方、
図8を参照して、搬送ガイド部100は、ガイド内壁部100Hと、ホルダー付勢ばね100Kとを備える。
図6(A)に示すように、搬送ガイド部100の上面部(湾曲部100A)には、ホルダー70が装着可能な装着部が配置されている。ガイド内壁部100Hは、上記の装着部を画定しホルダー70に対向する搬送ガイド部100の内壁部である。ホルダー付勢ばね100Kは、ガイド内壁部100Hとホルダー突起部70Bとの間で圧縮して配置されたばねである。ホルダー付勢ばね100Kは、第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113に当接するように、ホルダー70をホルダー支点部70A回りに付勢する。また、
図8に示すように、第1給紙ローラー113と第1ピックアップローラー112との間にはアイドラギア113Aが配置されている。アイドラギア113Aは、第1給紙ローラー113および第1ピックアップローラー112に同時に噛み合わされている。後記のモーターMによって発生された駆動力が第1給紙ローラー113に伝達されると、アイドラギア113Aを介して、第1ピックアップローラー112が回転される。また、第1リタードローラー114は第1給紙ローラー113に従動して回転可能とされ、シートが1枚ずつ捌かれる際には、第1リタードローラー114の回転は停止する。
【0048】
図4(A)および
図5(A)に示すように、第1シャフト600が所定の回転角度に配置されると、第1カム601の第1カム大径部601Aが押圧アーム61のアーム被押圧部61Dを下方に押圧する。この結果、押圧アーム61がアーム支点部61C回りに回動し、アーム押圧部61Aがリフト板突起部111Aを下方に押圧する。この結果、第1リフト板111の下方に備えられた前述の付勢ばねの付勢力に抗して、第1リフト板111が下方に移動され、離間位置に配置される(
図2(A))。一方、
図4(A)および
図5(A)に示す状態から第1シャフト600が所定角度回転されると、第1シャフト600は、
図4(B)および
図5(B)に示す回転角度に配置される。詳しくは、第1カム601のアーム被押圧部61Dに当接する部分が、上記の第1カム大径部601Aから第1カム小径部601Bに変化する。この結果、上記の付勢ばねの付勢力によって、押圧アーム61がアーム支点部61C回りに回動しながら、第1リフト板111が上方に移動し給紙位置に配置される(
図2(B))。このように、第1シャフト600の回転に応じて、第1リフト板111が周期的に給紙位置と離間位置とに配置される。
【0049】
また、
図7(A)に示すように、第1シャフト600の所定の回転角度では、第2カム602の第2カム小径部602Aが戻し部材62の第2延設部62Dに対向して配置されている。このとき、戻し部材62のシート当接部62Cがスリット100Gを介して主搬送路10Aに突出する(
図6(A))。
図7(A)に示す状態から矢印に示すように第1シャフト600が回転されると、第2カム602の第2カム段差部602Bが第2延設部62Dを押圧し、戻し部材62が戻し部材支点部62A回りに回転する。このとき、戻し部材支点部62A回りに備えられたコイルばねの付勢力に抗して戻し部材62が回転する。この結果、
図7(B)に示すように、第2カム602の第2カム大径部602Cが、第2延設部62Dおよび第1延設部62Bに接した状態となり、戻し部材62の回転が規制される。この結果、戻し部材62のシート当接部62Cがスリット100Gから下方に没した状態となる(
図6(B))。このように、第1シャフト600の回転に応じて、戻し部材62のシート当接部62Cが周期的に主搬送路10Aに対して出没される。
【0050】
更に、
図8(A)に示すように、第1シャフト600の所定の回転角度では、第3カム603の第3カム大径部603Aが、ホルダー付勢ばね100Kの付勢力に抗してホルダー70のホルダー突起部70Bを押圧する。この結果、ホルダー70がホルダー支点部70A回りに回動し、第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113から離間する。更に、
図8(A)に示す状態から第1シャフト600が矢印に示すように回転されると、
図8(B)に示すように第3カム603の第3カム小径部603Bがホルダー突起部70Bに対向する。このとき、第3カム小径部603Bとホルダー突起部70Bとの間には所定の隙間が形成されるため、ホルダー付勢ばね100Kの付勢力によってホルダー突起部70Bが左方に付勢される。したがって、ホルダー70がホルダー支点部70A回りに回動し、第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113に当接する。このように、第1シャフト600の回転に応じて、第1リタードローラー114が周期的に第1給紙ローラー113に対して接離される。
【0051】
なお、本実施形態では、
図2(B)、
図4(B)に示す第1リフト板111の給紙位置から第1シャフト600が所定の角度だけ回転されると、第1リフト板111が離間位置に配置される(
図4(A))とともに、第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113から離間するようにホルダー70が退避位置に配置される(
図8(A))。更に、第1シャフト600が所定の角度だけ回転されると、戻し部材62のシート当接部62Cがシートの搬送方向下流側から上流側に向かって、すなわち、給紙カセット11に向かって主搬送路10Aに突出する(
図4(A))。そして、更に、第1シャフト600が回転すると、第1リフト板111が再び給紙位置に配置されるとほぼ同時に、第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113に当接し、戻し部材62のシート当接部62Cが主搬送路10Aから退避する。第1シャフト600の1回転において、このような動作が実現されるように、第1シャフト600上の第1カム601、第2カム602および第3カム603の外周形状が設定されている。このため、単一のシャフトである第1シャフト600を回転させることで、複数の部材の駆動を実現することが可能となる。
【0052】
次に、本実施形態における画像形成装置1の駆動機構について説明する。
図9は、本実施形態に係る画像形成装置1の電気的なブロック図である。画像形成装置1は、駆動制御部80と、モーターM(駆動部)とを備える。駆動制御部80は、モーターMを回転駆動させるとともに、後記のフィードクラッチ106、レジストクラッチ107、第1ソレノイド108、第2ソレノイド109、第3ソレノイド110を制御する。モーターMは、回転駆動力を発生するモーターである。モーターMによって発生された駆動力は、複数の部材(定着部16を含む搬送系ローラーなど)を駆動させることができる。更に、画像形成装置1は、第1駆動機構101と、第2駆動機構102と、第3駆動機構103と、第4駆動機構104と、第5駆動機構105と、を備える。また、画像形成装置1は、フィードクラッチ106(第1切り替え部)と、レジストクラッチ107と、第1ソレノイド108と、第2ソレノイド109(第2切り替え部)と、第3ソレノイド110(第3切り替え部)とを備える。
【0053】
第1駆動機構101は、モーターMに連結されたギア群によって構成された駆動列である。第1駆動機構101は、前述のベルト駆動ローラー152、定着ローラー161、対向駆動ローラー174および排出ローラー対175に連結されている。すなわち、モーターMが駆動されると、これらのローラー群は常時回転される。なお、前述のように、二次転写ローラー154、加圧ローラー162、第1従動ローラー173、第2従動ローラー176は、上記のローラーに従動して同時に回転される。また、排出ローラー対175のうち一方のローラーが、モーターMによって駆動され、他方のローラーは従動ローラーとして回転する。以下のローラー対においても同様である。
【0054】
第2駆動機構102は、同様に、モーターMに連結されたギア群によって構成された駆動列である。第2駆動機構102は、フィードクラッチ106を介して、前述の第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー513、第1搬送ローラー対171、第2搬送ローラー対177、第3搬送ローラー対178、第4搬送ローラー対179、第5搬送ローラー対180、第6搬送ローラー対181および手差し給紙ローラー132に連結されている。モーターMが駆動されると、フィードクラッチ106がオンされた場合に、これらのローラー群は回転される。なお、前述のように、第1ピックアップローラー112、第1リタードローラー114、第2ピックアップローラー512および第2リタードローラー514は、上記のローラーに従動して同時に回転される。
【0055】
第3駆動機構103は、同様に、モーターMに連結されたギアによって構成された駆動列群である。第3駆動機構103は、レジストクラッチ107を介して、前述のレジストローラー対172の一方のローラーに連結されている。なお、レジストローラー対172の他方のローラーは従動して回転する。モーターMが駆動されると、レジストクラッチ107がオンされた場合に、これらのローラーは回転される。
【0056】
第4駆動機構104は、同様に、モーターMに連結されたギア群によって構成された駆動列である。第4駆動機構104は、第2ソレノイド109を介して、前述の第1シャフト600のシャフトギア600Aに連結されている。モーターMが駆動されると、第2ソレノイド109がオンされた場合に、第1シャフト600が回転される。
【0057】
第5駆動機構105は、同様に、モーターMに連結されたギア群によって構成された駆動列である。第5駆動機構105は、第3ソレノイド110を介して、第2シャフト700に連結されている。なお、第2シャフト700は、給紙カセット11の第1シャフト600に対応して、増設カセット50に配置されたシャフトである。モーターMが駆動されると、第3ソレノイド110がオンされた場合に、第2シャフト700が回転される。この結果、第2リフト板511(
図1)の上下移動、第2リタードローラー514の第2給紙ローラー513に対する接離動作および第2給紙ローラー513の周囲に備えられた不図示の戻し部材の出没動作が実現される。
【0058】
フィードクラッチ106(第1切り替え部)は、モーターMが発生した駆動力を第1給紙ローラー113、177などに伝達し、これらのローラーを同期して回転または停止させる。同様に、レジストクラッチ107は、モーターMが発生した駆動力をレジストローラー対172に伝達し、これらのローラーを回転または停止させる。第1ソレノイド108は、モーターMによって回転される排出ローラー対175の回転方向を制御する。これによって、排紙部12(
図1)へのシートの排出と、反転搬送路10Cへのシートの搬入とが切り替えられる。第2ソレノイド109は、モーターMが発生した駆動力を連動部60(
図3)を介して第1リフト板111に伝達し、第1リフト板111を位置変更させる。また、第2ソレノイド109は、モーターMが発生した駆動力を連動部60を介して、戻し部材62およびホルダー70に伝達し、戻し部材62の出没動作およびホルダー70の移動動作を実行する。第3ソレノイド110は、第2ソレノイド109と同様に駆動制御部80によって制御され、モーターMが発生した駆動力を第2リフト板511に伝達し、第2リフト板511を位置変更させる。また、第3ソレノイド110は、増設カセット50に備えられた第2リタードローラー514の第2給紙ローラー513に対する接離動作および不図示の戻し部材の出没動作を実行する。
【0059】
上記のように、本実施形態では、モーターMが発生させた駆動力を利用して、複数の部材の駆動が実現される。特に、画像形成装置1において広い範囲に分散して配置された第1ピックアップローラー112、第2ピックアップローラー512、第2搬送ローラー対177、第3搬送ローラー対178、第1リフト板111および第2リフト板511の駆動が共通の駆動部によって実現される。したがって、これらの部材を個別に駆動するために、より多くのモーターを備える場合と比較して、画像形成装置1の装置本体10のサイズが縮小されるとともに、画像形成装置1の重量が低減される。更に、本実施形態によれば、モーターMの駆動力を各ローラーに伝達するためのクラッチ、ソレノイドなどの駆動伝達機構の数が低減される。また、このような、駆動部、駆動伝達機構の共通化に伴って、画像形成装置1のコストを低減することが可能となる。
【0060】
一方、上記のような駆動源の共通化によって以下の問題が生じやすくなる。まず、反転搬送路10Cを利用した両面画像形成時の問題である。給紙カセット11から第1ピックアップローラー112によって送りだされた1枚目のシートに画像形成部14において画像が形成される。そして、両面画像形成のために、当該シートが排出ローラー対175によってスイッチバックされ、反転搬送路10Cに搬入される。そして、第2搬送ローラー対177および第3搬送ローラー対178によってシートが再び主搬送路10Aに向かって搬送される。しかしながら、このように、第2搬送ローラー対177および第3搬送ローラー対178を回転駆動させた場合、同じ第2駆動機構102(
図9)に連結されている第1ピックアップローラー112および第1給紙ローラー113も回転するため、給紙カセット11から他のシートが主搬送路10Aに送り出されてしまう。この場合、主搬送路10Aにおいて複数のシートが重なってしまうという問題が生じる。
【0061】
このような問題を解決するために、本実施形態では、駆動制御部80が第1リフト板111を給紙位置に配置させた状態でフィードクラッチ106を制御して第1ピックアップローラー112を回転させ、シートを画像形成部14に搬入させる。その後、当該シートが主搬送路10A、排出搬送路10Bから反転搬送路10Cに搬入される場合には、駆動制御部80が第2ソレノイド109を制御し第1シャフト600を回転させることで、第1リフト板111を給紙位置から離間位置に移動させる。
【0062】
このため、先行するシートが反転搬送路10Cを搬送される際に、第1リフト板111上に積載されたシートが第1ピックアップローラー112によって送りだされることが防止される。そして、駆動制御部80は、反転搬送路10Cを搬送されるシートの後端と、後続のシートの先端との間に所定の紙間が形成されるタイミングをもって、第1リフト板111を再び給紙位置に配置させ、第1ピックアップローラー112によって後続のシートを主搬送路10Aに搬入させる。
【0063】
更に、本実施形態では、前述のように、第1シャフト600の回転によって、第1リフト板111の下降に加え、第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113から離間されるとともに、戻し部材62が主搬送路10Aに突出する。第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113から離間すると、両者の間に形成されていたニップ部が開放される。このため、第1給紙ローラー113の下流側のレジストローラー対172によって搬送されるシートの後端に対して、第1給紙ローラー113および第1リタードローラー114がブレーキをかけることが防止される。また、ニップ部が開放されることで、第1給紙ローラー113の近傍に送り出されていた後続のシートが下流側に搬送されることが防止される。また、戻し部材62の突出によっても、同様に、後続のシートが誤って送り出されることが防止される。これらの制御は、増設カセット50からシートが送り出される場合においても、同様に実行される。
【0064】
更に、本実施形態では、前述のように給紙カセット11および増設カセット50が
図1の矢印DCに示す装着方向に装着され、主搬送路10Aおよび増設搬送路10Eの入口側は、上記の装着方向に沿って延設されている。このため、第1給紙ローラー113および第1リタードローラー114、または、第2給紙ローラー513および第2リタードローラー514の間のニップ部にシートが挟まった状態で、給紙カセット11または増設カセット50が装置本体10から引き出されると、シートが装置本体10の内部に残留してしまう。
【0065】
このような問題を解決するために、本実施形態では、一連の画像形成動作(印刷ジョブ)が終了すると、駆動制御部80は、第2ソレノイド109および第3ソレノイド110を制御して、第1リフト板111および第2リフト板511を離間位置に移動させる。この際、第1リタードローラー114および第2リタードローラー514が、それぞれ、第1給紙ローラー113および第2給紙ローラー513から下方に離間する。更に、戻し部材62および増設カセット50側に備えられた不図示の戻し部材が、それぞれ主搬送路10Aおよび増設搬送路10Eに突出する。このため、上記のようにニップ部に挟まったシートの先端が、速やかに搬送方向上流側の給紙カセット11または増設カセット50に押し戻される。この結果、ユーザーによって給紙カセット11または増設カセット50が装置本体10から引き出されても、装置本体10の内部にシートが残留することが防止される。
【0066】
また、本実施形態では、増設カセット50が装置本体10に装着された場合、画像形成装置1には複数のカセット(給紙カセット11、増設カセット50)が配置される。そして、給紙カセット11に対応する第1ピックアップローラー112と増設カセット50に対応する第2ピックアップローラー512とは、いずれも共通の第2駆動機構102に連結され、フィードクラッチ106によって回転および停止が同期して切り替えられる。したがって、両方のカセットから誤ってシートが主搬送路10Aに搬入されると、主搬送路10Aにおいてシート詰まりが生じてしまう。
【0067】
このような問題を解決するために、本実施形態では、駆動制御部80は、給紙カセット11および増設カセット50のうち一方のカセットから画像形成部14にシートが送り出される際に、当該一方のカセットのリフト板を給紙位置に配置させ、かつ、他方のカセットのリフト板を離間位置に配置させる。このため、第1ピックアップローラー112および第2ピックアップローラー512が同時に回転駆動されていても、給紙動作を実行しない側のカセットでは、シートがピックアップローラーに当接しない。このため、両方のカセットからシートが誤って給紙されることが防止される。また、この場合も、駆動制御部80は、第2ソレノイド109を制御して、モーターMが発生した駆動力によって、位置変更するリフト板に対応するホルダー(70)を対向位置から退避位置に位置変更させるとともに、戻し部材(62)を主搬送路10Aまたは増設搬送路10Eに突出させる。
【0068】
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0069】
(1)上記の実施形態では、画像形成装置1が反転搬送路10Cを備えるとともに、増設カセット50が選択的に装着可能な態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の変形実施形態において、画像形成装置1は、反転搬送路10Cを備えない態様でもよいし、増設カセット50を備えない態様でもよい。画像形成装置1が反転搬送路10Cを備えない場合であっても、給紙カセット11または増設カセット50から延設される主搬送路10Aおよび増設搬送路10Eは、レジストローラー対172よりも上流側で合流する。このため、いずれのカセットからも同時に給紙動作が実行されることを防止するためには、上記のように、一方のカセットのリフト板が離間位置に配置されればよい。
【0070】
また、画像形成装置1が増設カセット50を備えない場合であっても、給紙カセット11から延設される主搬送路10Aおよび反転搬送路10Cは、レジストローラー対172よりも上流側で合流する。このため、反転搬送路10Cをシートが搬送されている場合に、給紙カセット11からシートが給紙されることを防止するためには、上記のように、給紙カセット11の第1リフト板111が離間位置に配置されればよい。
【0071】
(2)また、上記の実施形態では、第1リフト板111の離間位置への移動に応じて、第1リタードローラー114が第1給紙ローラー113から離間され、戻し部材62のシート当接部62Cが主搬送路10Aに突出する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の変形実施形態において、第1リタードローラー114の離間動作およびシート当接部62Cの突出動作が実行されない態様でもよい。