(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記LEDチップは、紫外光を発光し、前記発光装置は、前記遅延蛍光体からの可視光と前記第2の蛍光体からの可視光とを混合して、白色光を発光することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
前記遅延蛍光体は、1ミリ秒以上の残光時間を有し、前記残光時間は、前記発光セルが遮断された後の、初期値の10%になるのに要する時間であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
前記遅延蛍光体は、8ミリ秒以上の残光時間を有し、前記残光時間は、前記発光セルが遮断された後の、初期値の10%になるのに要する時間であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
前記第1の蛍光体は、前記発光セルがオフとなっている期間の実質的にすべての期間において発光し、前記第2の蛍光体は、前記発光セルがオンとなっている期間の実質的にすべての期間において発光し、前記発光セルがオフとなっている期間の実質的にすべての期間において発光しないことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、n型半導体とp型半導体が互いに接合された構造を有するエレクトロルミネッセンス素子であり、電子と正孔の再結合により光を発散する。このような発光ダイオードは、ディスプレイ素子およびバックライトとして広く用いられている。また、発光ダイオードは、既存の電球または蛍光灯に比べ、消耗電力が小さく、寿命が長く、白熱電球および蛍光灯を代えて、一般の照明用途としてその使用領域を広げている。
【0003】
発光ダイオードは、交流電源下で、電流の方向によりオン/オフを繰り返す。したがって、発光ダイオードを交流電源に直接連結して使用する場合、発光ダイオードが連続的に光を放出せず、逆方向電流により破損しやすいという問題点があった。
【0004】
このような発光ダイオードの問題点を解決して、高電圧交流電源に直接連結して使用可能な発光ダイオードが、国際公開番号WO2004/023568(A1)号に「発光成分を有する発光素子」(LIGHT−EMITTING DEVICE HAVING L
IGHT−EMITTING ELEMENTS)という題目で、サカイ等により開示さ
れたことがある。
【0005】
前記国際公開番号WO2004/023568(A1)号によると、LED等がサファイア基板のような絶縁性基板上に二次元的に直列連結され、LEDアレイを形成する。このような二つのLEDアレイが、前記サファイア基板上にて逆並列で連結される。その結果、交流電源により駆動される単一チップ発光素子が提供される。
【0006】
図1および
図2は、従来技術による直列連結された発光セルを有する発光素子を説明するための概略的な回路図であり、
図3は、従来技術による発光ダイオードの時間による駆動電圧および電流を説明するための概略的なグラフであり、
図4は、従来技術による発光ダイオードの駆動電圧および発光量を説明するための概略的なグラフである。
【0007】
図1および
図2を参照すると、発光セルC1〜Cnが直列で連結されてアレイを構成する。このようなアレイが単一チップ(
図2の15)内に二つ以上設けられ、これらのアレイが互いに逆並列で連結される。一方、前記アレイの両端に交流電圧電源(
図2の10)が連結される。
図2に示すように、交流電源10と発光ダイオード15との間に外部抵抗R1が接続される。
【0008】
前記交流電圧電源の1/2サイクルの間、前記アレイの発光セルC
1〜C
nが動作し、他の1/2サイクルの間、前記アレイに逆並列で連結された他のアレイが動作する。これにより、交流電圧電源により、前記アレイが交互に動作するようになる。
【0009】
しかしながら、前記直列された発光セルは、交流電圧により同時にターンオンされ、同時にターンオフされる。したがって、前記交流電圧が前記発光セルのしきい電圧の合計よりも大きい値となるとき、前記発光セルを介して電流が流れ始める。すなわち、前記発光セルは、前記交流電圧が前記しきい電圧の合計以上となるとき、同時にターンオンされ始め、前記しきい電圧の合計未満である場合、同時にターンオフされる。
【0010】
図3を参照すると、交流電圧が所定値となる前に、前記発光セルは、ターンオンされず、電流が流れない。一定の時間が経過し、前記交流電圧が所定値となった場合、前記発光セルのアレイを介して電流が流れ始める。一方、交流電圧がさらに増加し、時間がT/4であるとき、電流は最大値を有し、その後減少する。一方、交流電圧が所定値未満である場合、発光セルがターンオフされ、電流が流れない。したがって、前記発光セルを介して電流が流れる時間は、T/2に比べて相対的に短い。
【0011】
図4の(a)および(b)を参照すると、発光セルは、所定の電流が流れるときに光を放出する。したがって、前記発光セルを駆動して光を放出する有効時間は、前記発光セルを介して電流が流れる時間よりもさらに短くなる。
【0012】
光が放出される有効時間が短くなることにより、光出力が減少し、有効時間を増加させるために、駆動電圧のピーク値をさらに増加させることができる。しかしながら、この場合、外部抵抗R1での電力消耗が増加し、駆動電圧の増加により電流が増加する。電流の増加は、発光セルの接合温度の増加をもたらし、接合温度の増加は、発光セルの発光効率を減少させる。
【0013】
また、交流電源の電圧がアレイ内の発光セルのしきい電圧を超えた場合に限って発光セルが動作するので、発光セルは、交流電源の位相変化よりも遅く動作する。したがって、基板上において連続的に均一な光が放出されず、明滅現象(ちらつき)が発生する。このようなちらつきは、光源から一定の距離離れて動く物体を観察するときに目立たれ、たとえ、目視で観察されなくても、照明用として長時間使用する場合、目の疲労を引き起こすこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、明滅現象を防止または緩和することができ、交流電圧の位相変化に対応して、光を放出する時間が増加された交流用発光素子を提供することにある。
本発明の他の目的は、従来技術に比べ、低電流動作が可能であり、発光効率を改善することができる発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した技術的課題を達成するために、本発明は、直列に連結された発光セルのアレイを有する交流用発光素子を提供する。本発明の一態様は、アレイ内の発光セルが順次にターンオンおよびターンオフされる発光素子を提供する。本発明の一態様による前記発光素子は、直列に連結された発光セルのアレイを有する発光ダイオードチップと、前記発光セル間のノードにそれぞれ連結されたスイッチングブロックと、を備える。前記アレイが交流電圧電源に連結されて駆動されるとき、前記スイッチングブロックにより、前記発光セルが順次にターンオンおよびターンオフされる。前記発光セルが順次にターンオンおよびターンオフされるので、発光セルが光を放出する全体的な有効時間を増加させることができる。
【0016】
前記スイッチングブロックは、前記アレイのソース端子およびグランド端子に連結されてもよい。このとき、第nのスイッチングブロックは、前記ソース端子とグランド端子の電圧差V
acが、所定電圧×n乃至所定電圧×(n+1)の範囲にあるとき、前記第nのスイッチングブロックが連結されたノードと前記グランド端子を短絡させ、前記電圧差V
acが前記所定電圧×(n+1)以上である場合、前記各ノードと前記グランド端子を開放させる。これにより、交流電圧が増加する場合、前記スイッチングブロックが順次に短絡および開放を繰り返し、前記発光セルが順次にターンオンされ、交流電圧が減少する場合、前記発光セルが順次にターンオフされる。
【0017】
前記所定電圧は、基準電流での前記発光セルの順方向電圧であってもよい。これにより、前記発光セルを流れる電流を基準電流に近い電流で一定に維持することができる。したがって、前記基準電流を調節し、前記発光セルの発光効率を向上させることができる。前記基準電流は、例えば15乃至20mAであってもよい。
前記発光セルは、ターンオンされた順序の逆順でターンオフされてもよく、これとは異なり、ターンオンされた順にターンオフされてもよい。
前記発光セルのそれぞれは、n型半導体層、p型半導体層、および前記n型およびp型半導体層間に介在された活性層を含んでもよい。また、前記半導体層は、窒化ガリウム(GaN)系半導体物質で形成されてもよい。
【0018】
一方、前記発光ダイオードチップは、前記直列連結された発光セルのアレイ以外に、他の直列連結された発光セルのアレイをさらに含んでもよい。これらのアレイは、互いに逆並列で連結される。前記他の直列連結された発光セルのアレイ内の発光セルのノードにも、スイッチングブロックがそれぞれ連結されてもよい。このとき、前記直列連結された発光セルのアレイ内の発光セルのノードに連結されたスイッチングブロックが、前記他のアレイ内の発光セルのノードに連結されてもよい。
【0019】
本発明の他の態様は、それぞれ異なる個数で直列連結された発光セルを有し、互いに並列連結された複数のアレイを備える交流用発光素子を提供する。本態様による交流用発光素子は、基板を含む。複数の第1のアレイが、前記基板上に位置する。前記第1のアレイは、それぞれ異なる個数で直列連結された発光セルを有し、互いに並列連結される。また、複数の第2のアレイが、前記基板上に位置する。前記第2のアレイは、それぞれ異なる個数で直列連結された発光セルを有し、前記第1のアレイに逆並列連結される。これにより、交流電源の下で、前記アレイが順次にターンオンおよびその逆順でターンオフを繰り返し、明滅現象を緩和することができ、光放出時間を増加させることができる交流用発光素子を提供することができる。
【0020】
いくつかの実施例において、前記発光素子は、交流電源の電圧レベルに応じて、前記複数の第1のアレイおよび複数の第2のアレイのそれぞれの発光を制御するスイッチングブロックを含んでもよい。前記スイッチングブロックは、交流電源の電圧レベルに応じて、選択的に前記アレイの発光を制御する。このとき、前記第1のアレイおよび第2のアレイの一端子は、第1の電源連結端子に共通して接続され、他の端子は、第2の電源連結端子にそれぞれ接続されてもよい。これに加えて、前記スイッチングブロックは、前記第2の電源連結端子と交流電源との間に接続され、前記交流電源の電圧レベルに応じて電流経路を形成し、前記アレイの発光を制御することができる。
【0021】
いくつかの実施例において、前記第2のアレイは、それぞれ前記第1のアレイに対応する個数の発光セルを有してもよい。したがって、交流電源の位相変化に応じて、同一の光出力および発光スペクトルを有する発光素子を提供することができる。また、前記第1および第2のアレイは、発光セルの個数が多いアレイであるほど、さらに大きい発光セルを有してもよい。
【0022】
いくつかの実施例において、第1のレジスタが前記第1のアレイのそれぞれに直列連結されてもよい。また、第2のレジスタが前記第2のアレイのそれぞれに直列連結されてもよい。前記第1および第2のレジスタは、前記第1および第2のアレイに過電流が流れることを防止するために採用される。
【0023】
前記第1のレジスタは、異なる抵抗値を有してもよく、前記第2のレジスタもまた、異なる抵抗値を有してもよい。前記第1のレジスタおよび第2のレジスタは、抵抗値が大き
いレジスタが、発光セルの個数が少ないアレイに連結される方式で、前記第1および第2のアレイにそれぞれ直列に連結される。これにより、先ずターンオンされたアレイにおいて過電流が流れることを防止することができる。
【0024】
一方、前記第2のレジスタは、それぞれ前記第1のレジスタに対応する抵抗値を有してもよい。これにより、交流電源の位相変化に応じて、同一の光出力および発光スペクトルを示す発光素子を提供することができる。
【0025】
前記第1のレジスタおよび第2のレジスタの代わりに、共通レジスタが前記第1のアレイおよび前記第2のアレイに共通して直列連結されてもよい。これにより、発光セルの個数差によってアレイが順次動作され、各アレイに共通レジスタが連結されるので、レジスタを連結する工程が単純化される。
【0026】
前記レジスタまたは共通レジスタは、前記基板上にまたは基板の外部に位置してもよい。すなわち、前記レジスタまたは共通レジスタは、発光ダイオードチップの内部に形成されてもよく、これとは異なり、別個の抵抗素子に形成され、前記アレイに連結されてもよい。
【0027】
一方、前記第1のアレイおよび第2のアレイのそれぞれにおいて、発光セルの個数が最も少ないアレイ内の発光セルが、個数が最も多いアレイ内の発光セルに比べて、発光強度が大きくてもよい。これにより、交流電源の下で、前記アレイが順次にターンオンおよびその逆順でターンオフを繰り返し、光放出時間を増加させることができ、初期にターンオンされるアレイの発光強度が大きく、明滅現象を緩和することができる交流用発光素子を提供することができる。
【0028】
前記個数が最も少ないアレイ内の発光セルは、粗表面を有し、前記個数が最も多いアレイ内の発光セルに比べて、発光強度が大きくてもよい。発光セルの粗表面は、屈折率差による全反射を防止し、外部に放出される光の抽出効率を向上させ、これにより、発光セルの発光強度が向上する。
【0029】
粗表面を有する発光セルは、前記第1のアレイおよび第2のアレイのそれぞれにおいて、そのアレイ数の1/2のアレイを構成することができ、この場合、粗表面を有する発光セルのアレイは、相対的に発光セルの数が少ないアレイである。一方、粗表面を有する発光セルのアレイは、前記第1のアレイおよび第2のアレイのそれぞれにおいて、発光セルの数が最も少ないアレイに限定されてもよい。
【0030】
一方、前記個数が最も少ないアレイ内の発光セルは、傾斜した側面を有し、前記個数が最も多いアレイ内の発光セルに比べて、発光強度が大きくてもよい。傾斜した側面は、光抽出効率を向上させ、発光セルの発光強度を増加させる。
【0031】
傾斜した側面を有する発光セルは、前記第1のアレイおよび第2のアレイのそれぞれにおいて、そのアレイ数の1/2のアレイを構成することができ、この場合、傾斜した側面を有する発光セルのアレイは、相対的に発光セルの数が少ないアレイである。一方、傾斜した側面を有する発光セルのアレイは、前記第1のアレイおよび第2のアレイのそれぞれにおいて、発光セルの数が最も少ないアレイに限定されてもよい。
【0032】
本発明のまた他の態様は、ブリッジ整流器を有する交流用発光素子を提供する。
本態様による交流用発光素子は、基板を含む。複数のアレイが、前記基板上に位置する。前記複数のアレイは、それぞれ異なる個数で直列連結された発光セルを有し、互いに並列連結される。これに加えて、ブリッジ整流器が前記複数のアレイに連結される。前記ブ
リッジ整流器の二つのノードが、それぞれ前記アレイの両端部に連結される。これにより、前記ブリッジ整流器により整流された電流により、前記アレイが駆動される交流用発光素子を提供することができ、発光セルの個数差により、順次にターンオンおよびその逆順でターンオフを繰り返す発光素子を提供することができる。
【0033】
前記ブリッジ整流器は、前記基板上に位置してもよい。これにより、前記ブリッジ整流器は、前記発光セルと一緒に形成されてもよい。これとは異なり、別個のブリッジ整流器が設けられ、前記アレイに連結されてもよい。
【0034】
いくつかの実施例において、スイッチングブロックが、前記アレイの一端部と、前記ブリッジ整流器の一つのノードとの間に接続されてもよい。前記スイッチングブロックは、交流電源の電圧レベルに応じて、前記複数のアレイのそれぞれの発光を制御する。
【0035】
いくつかの実施例において、レジスタが前記ブリッジ整流器と前記複数のアレイとの間に位置し、前記複数のアレイのそれぞれに直列連結されてもよい。前記レジスタは、前記アレイに過電流が流れることを防止する。
【0036】
前記レジスタは、異なる抵抗値を有してもよい。このとき、抵抗値が大きいレジスタが発光セルの個数が少ないアレイに連結される方式で、前記レジスタが前記複数のアレイにそれぞれ直列連結される。これにより、先ずターンオンされたアレイにおいて過電流が流れることを防止することができる。
【0037】
前記複数のレジスタの代わりに、共通レジスタが、前記複数のアレイに共通して直列連結されてもよい。共通レジスタを採用する場合、レジスタを連結する工程を単純化することができる。
【0038】
一方、前記複数のアレイは、発光セルの個数が多いアレイであるほど、さらに大きい発光セルを有してもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、前記複数のアレイにおいて、発光セルの個数が最も少ないアレイ内の発光セルが、個数が最も多いアレイ内の発光セルに比べて、発光強度が大きくてもよい。例えば、前記個数が最も少ないアレイ内の発光セルは、粗表面を有し、前記個数が最も多いアレイ内の発光セルに比べて、発光強度が大きくてもよい。または、前記個数が最も少ないアレイ内の発光セルは、傾斜した側面を有し、前記個数が最も多いアレイ内の発光セルに比べて、発光強度が大きくてもよい。
【0040】
本発明のまた他の態様は、遅延蛍光体を有する交流用発光素子を提供する。本態様による交流用発光素子は、複数の発行セルを有する発光ダイオードチップと、前記発光ダイオードチップを覆う透明部材と、前記発光セルから放出された光により励起され、可視光線領域の光を放出する遅延蛍光体と、を備える。
【0041】
ここで、前記「遅延蛍光体」は、蓄光蛍光体ともいい、励起光源が遮断された後の残光時間が長い蛍光体を意味する。ここで、残光時間は、励起光源が遮断された後の初期値の10%になるのに要する時間として定義される。本実施例において、前記遅延蛍光体は、残光時間が1msec以上であってもよく、約8msec以上であればより好ましい。一方、前記遅延蛍光体の残光時間の上限は、特に限定されないが、発光素子の用途に応じて、あまり長くないものが好ましい。例えば、一般家庭用照明用途として用いられる発光素子の場合、前記遅延蛍光体の残光時間は、数分以下であることが好ましく、インテリア用の照明用途の場合も、残光時間は10時間以下であればよい。
【0042】
本実施例によると、発光ダイオードチップが可視光線を放出する場合、前記発光ダイオードチップから放出された光と、前記遅延蛍光体から放出された光とが混合され、前記発光素子の光放出時間が増加されるので、交流用発光素子の明滅現象を防止することができる。
前記遅延蛍光体は、前記発光ダイオードチップと前記透明部材との間、または、前記透明部材内に分散されて位置してもよい。
前記遅延蛍光体は、赤色、緑色、または青色を放出する蛍光体であってもよく、これらの蛍光体の組合せであってもよい。
【0043】
一方、前記遅延蛍光体以外に、前記発光ダイオードチップにより励起され、可視光線領域の光を放出する他の蛍光体をさらに含んでもよい。このような蛍光体は、前記発光ダイオードチップから放出された光を波長変換させ、多様な色の発光素子を提供するために採用される。例えば、前記発光ダイオードチップが紫外線を放出する場合、前記遅延蛍光体から放出する可視光線領域の光と混合されて白色光を放出するように、前記他の蛍光体は、赤色、緑色、および/または青色の蛍光体であってもよい。また、前記発光ダイオードチップが青色光を放出する場合、前記他の蛍光体は、赤色および/または緑色蛍光体であっても黄色蛍光体であってもよい。
【発明の効果】
【0044】
本発明によると、明滅現象を防止または緩和することができ、交流電圧の位相変化に対応して光を放出する時間が増加された交流用発光素子を提供することができる。また、従来技術に比べて、低電流動作が可能であり、発光効率が改善された発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付した図面に基づき、本発明の実施例について詳述する。以下に紹介される実施例は、本発明の思想を当業者に充分伝達するために、例として提供されるものである。したがって、本発明は、後述する実施例に限定されず、他の形態に具体化され得る。なお、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さ等は、便宜のために誇張して表現されることもある。明細書の全体にわたって、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0046】
図5は、本発明の一実施例による発光ダイオードを説明するための部分断面図である。
図5を参照すると、基板20上に互いに離隔した発光セル30が位置する。前記発光セル30のそれぞれは、第1の導電型半導体層25と、前記第1の導電型半導体層25の一部の領域上に位置する第2の導電型半導体層29と、前記第1の導電型半導体層と第2の導電型半導体層との間に介在された活性層27とを有する。ここで、第1の導電型半導体層25および第2の導電型半導体層29は、それぞれn型およびp型、またはp型およびn型である。
前記第2の導電型半導体層29上に電極31が形成されてもよい。前記電極31は、光が透過可能な透明電極であってもよい。
【0047】
前記発光セル30は、基板20上に各半導体層および電極層を形成した後、フォトリソグラフィーおよびエッチングプロセスを用いてパターニングして形成することができる。前記基板20は、サファイア(Al
2O
3)、炭化シリコン(SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、シリコン(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、リチウム−アルミナ(LiAl
2O
3)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、または、窒化ガリウム(GaN)基板であってもよく、基板20上に形成される半導体層の物質に応じて選択され得る。窒化ガリウム系半導体層を形成する場合、前記基板20は、サファイアまたは炭化シリコン(SiC)基板であってもよい。
【0048】
前記基板20と前記発光セル30との間にバッファ層21が介在されてもよい。前記バッファ層21は、結晶成長の際に基板20と後続層の格子不整合を減らすための層であり、例えば、窒化ガリウム膜(GaN)または窒化アルミニウム膜(AlN)であってもよい。n型半導体層は、電子が生成する層であり、n型不純物がドープされているGaNを用いてもよい。p型半導体層は、正孔が生成する層であり、p型不純物がドープされているAlGaNを用いてもよい。
【0049】
活性層27は、所定のバンドギャップと量子井戸が作られ、電子および正孔が再結合される領域であり、Al
xIn
yGa
zN層を含んでもよい。活性層27をなす物質の組成比に応じて、電子および正孔が結合して発生する発光波長が変化する。したがって、要求される波長の光、例えば、紫外線または青色光を放出することができるように、前記Al、InおよびGaの組成比が選択される。
【0050】
前記第1の導電型半導体層25の一領域上に電極パッド33aが形成されてもよく、また、前記電極31上に電極パッド33bが形成されてもよい。前記電極パッド33a、33bは、リフトオフ技術を用いて、所望の位置に形成されてもよい。
【0051】
配線41が隣接する発光セル30を電気的に連結し、直列連結されたアレイを形成する。配線41は、図示のように、前記第1の導電型半導体層25上に形成された電極パッド33aと電極31上に形成された電極パッド33bを互いに連結する。前記配線41は、エアブリッジ工程またはステップカバー工程を用いて形成され得る。
【0052】
図6は、本発明の他の実施例による発光ダイオードを説明するための断面図である。本実施例による発光ダイオードは、
図5の発光ダイオードと略同様であるので、差異点について説明する。
図6を参照すると、それぞれの電極31上に反射金属層51が形成される。反射金属層51は、単一膜または多層膜に形成され得る。例えば、前記反射金属層は、銀(Ag)で形成されてもよく、銀(Ag)の拡散を防止するための障壁金属層が前記反射金属層の上下に形成されてもよい。前記反射金属層は、活性層27で発生された光を基板20側に反射させる。したがって、前記基板20は、透光性基板であることが好ましい。電極パッド33bは、前記反射金属層51上に形成されてもよいが、省略されてもよい。一方、前記反射金属層51を形成する代わりに、前記電極31を反射金属層に形成してもよい。
【0053】
一方、前記反射金属層51上に金属バンプ53が形成される。前記金属バンプ53は、サブマウント(図示せず)上に接合され、発光セルで発生した熱を伝達する。
本実施例によると、サブマウントに熱接触する金属バンプ53を有するフリップチップ型発光ダイオードを提供することができる。このようなフリップチップ型発光ダイオードは、熱放出効率に優れ、高い光出力を提供することができる。
【0054】
図7は、本発明の第1の実施例による交流用発光素子を説明するための概略的な回路図であり、
図8は、本発明の第1の実施例による交流用発光素子の時間による駆動電圧および電流を説明するための概略的なグラフである。
【0055】
図7を参照すると、前記発光素子は、直列連結された発光セルC
1〜C
nのアレイを含む。前記アレイは、単一の発光ダイオードチップ上に形成される。このようなアレイは、単一チップ上に複数形成されてもよく、前記アレイが互いに逆並列で連結される。これにより、前記発光セルを交流電源に連結して駆動することができる。
【0056】
前記発光セルのそれぞれは、
図5または
図6を参照して説明したように、N型半導体層、P型半導体層、および、前記N型およびP型半導体層間に介在された活性層を含む。前
記半導体層および活性層は、窒化ガリウム(GaN)系の化合物半導体層で形成されてもよい。前記半導体層および活性層は、前記窒化ガリウム系の化合物半導体層に限られず、多様な物質膜と多様な方法で形成されてもよい。
【0057】
前記発光セルC
1〜C
nは、直列で連結され、発光セル間にノードL1〜Ln−1が位置する。前記ノードL
1〜L
n−1のそれぞれにスイッチングブロックG
1〜G
n−1が連結される。すなわち、発光セルC
1と発光セルC
2との間のノードL
1にスイッチングブロックG
1が連結され、発光セルC
2と発光セルC
3との間のノードL2にスイッチングブロックG
2が連結される。このような方式で、発光セルC
n−1と発光セルC
nとの間のノードL
n−1にスイッチングブロックG
n−1が連結される。
【0058】
前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1は、交流電圧V
acが順方向に増加するにつれて、順次に動作して、前記発光セルC
1〜C
nを順次にターンオンさせる。また、前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1は、交流電圧がピーク値を超えて減少する場合、再び順次に動作して、前記発光セルC
1〜C
nを順次にターンオフさせる。
【0059】
前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1は、それぞれ前記発光セルのアレイのソース端子Sとグランド端子Gに連結される。ここで、交流電圧電源が、前記アレイの両端に電気的に連結された場合、前記アレイに電流が流れ込む端子をソース端子Sといい、電流が流れ出す端子をグランド端子Gという。前記ソース端子Sに交流電圧電源が連結され、前記グランド端子Gは接地されてもよく、前記交流電圧電源の両端に前記ソース端子Sとグランド端子Gを連結してもよい。ここでは、説明の便宜上、前記グランド端子Gを接地させたものと説明する。前記グランド端子Gを接地させた場合、前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1は、前記アレイのグランド端子Sに連結される代わりに、別途に接地させてもよい。
【0060】
前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1は、ソース端子Sとグランド端子Gの電圧差により駆動され、以下でこの動作について説明する。
前記各スイッチングブロックG
nは、前記ソース端子Sの電圧V
acが、所定電圧×nと所定電圧×(n+1)の範囲内にあるとき、各ノードL
nと前記グランド端子Gを短絡させる。ここで、nは、前記スイッチングブロックの序数を示す。この場合、前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1は、電流をグランド端子Gに迂回させる。一方、前記ソース端子Sの電圧V
acが前記所定電圧×(n+1)以上である場合、前記各スイッチングブロックG
nは、ノードL
nと前記グランド端子Gを開放させる。この場合、前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1を通じて迂回する電流は遮断される。また、前記ソース端子Sの電圧V
acが前記所定電圧×nよりも小さい場合、前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1は、前記ノードL
nとグランド端子Gを開放させる。
【0061】
前記所定電圧は、基準電流での前記発光セルの順方向電圧であってもよい。前記基準電流は、前記発光セルの発光効率を考慮して決定される。例えば、前記基準電流は、前記発光セルの発光効率が最も高い電流として決定され、このような電流は、15乃至25mAであってもよく、窒化ガリウム系の半導体層および活性層において約20mAである。
【0062】
以下、本実施例による発光素子の動作を具体的に説明する。ここで、基準電流での発光セルの順方向電圧Vfを、前記所定電圧として説明する。
ソース端子Sに交流電圧電源が連結され、前記ソース端子Sの電圧が順方向電圧Vfよりも大きくなると、スイッチングブロックG
1は、ノードL
1とグランド端子Gを短絡させる。これにより、発光セルC
1およびスイッチングブロックG
1を通じて基準電流が流れ始め、発光セルC
1が動作して光を放出する。交流電圧V
acがさらに増加すると、発光セルC
1に基準電流以上の電流が流れる。
【0063】
次いで、交流電圧V
acが2Vfに到達すると、スイッチングブロックG
1は、ノードL
1とグランド端子Gを開放させ、迂回する電流を遮断する。一方、スイッチングブロックG
2が、ノードL
2とグランド端子Gを短絡させる。これにより、発光セルC
2がターンオンされ、基準電流は、発光セルC
1、C
2およびスイッチブロックG
2を経てグランド端子Gに流れる。すなわち、電流は、スイッチングブロックG
2により、ノードL
2からグランド端子Gに迂回する。
【0064】
交流電圧V
acが増加するにつれて、スイッチングブロックG
1〜G
n−1が短絡された後、開放される過程が繰り返され、スイッチングブロックG
1〜G
n−1が順次に開放され、前記発光セルC
1〜C
nが順次にターンオンされる。
【0065】
一方、時間T/4が経て交流電圧V
acが減少する場合、開放されたスイッチングブロックG
n−1が短絡され、発光セルC
nがターンオフされる。次いで、交流電圧V
acがさらに減少すると、スイッチングブロックG
n−1は開放され、開放されたスイッチングブロックG
n−2(図示せず)が短絡され、発光セルC
n−1がターンオフされる。すなわち、交流電圧V
acが減少するにつれて、スイッチングブロックが短絡された後、開放される過程を順に繰り返し、発光セルが順にターンオフされる。
【0066】
表1は、1/2サイクルの間、時間による前記発光セルのターンオンおよびターンオフ動作を要約したものである。
【表1】
表1を参照すると、発光セルC
1〜C
nは、時間が経つにつれて、順次にターンオンされた後、時間T/4を経過した後、ターンオンされた順序の逆順でターンオフされる。従来技術において発光セルが全てターンオンされる駆動電圧V
acの下で、本実施例による発光セルも全てターンオンされる。これに加えて、本実施例によると、駆動電圧V
acが発光セルを全てターンオンさせる前でも、一部の発光セルがターンオンされる。
【0067】
図8を参照すると、駆動電圧V
acが増加するにつれて、発光セルC
1〜C
nを流れる電流は、全ての発光セルがターンオンされるまで、略一定の電流値を有する。前記電流は、基準電流と略一致する。もちろん、全ての発光セルがターンオンされた後も、駆動電圧
V
acがさらに増加すると、発光セルを流れる電流は増加する。
【0068】
一方、前記発光セルは、順次にターンオンされるので、駆動電圧V
acが小さい値を有する場合も、一部の発光セルから光が放出される。また、前記発光セルが順次にターンオ
フされるので、駆動電圧V
acが小さい値を有する場合でも、一部の発光セルは、光を放出する。したがって、前記発光セルが駆動される有効時間が増加する。
【0069】
本実施例によると、前記発光セルC
1〜C
nが順次にターンオンされ、ターンオフされることにより、従来技術に比べて、発光セルがターンオンされ、光を放出する有効時間が全体的に増加する。これにより、従来技術と同一の交流電圧電源を用いた場合、光出力が向上する。言い換えると、駆動電圧V
acのピーク値を従来技術よりも小さくしても、従来技術と同一の光出力を提供することができる。したがって、前記発光セルを低電流でも駆動することができ、これにより、発光セルの接合温度を低くすることができ、発光効率を改善することができる。
【0070】
前記スイッチングブロックG
1〜G
n−1は、本実施例に限られず、多様な変形例が提供され得る。例えば、前記スイッチングブロックは、同一の回路で構成されてもよく、スイッチングブロックを順次動作させるための別途の回路が追加されてもよい。また、ソース電圧V
acが一定の電圧範囲内で増加するとき、動作する発光セル内に過度の電流が流れることを防止するための回路が、スイッチングブロック内にまたは別途に備えられ得る。このような回路は、例えば、ツェナーダイオードのような定電圧源またはレジスタを含んでもよい。これにより、任意の発光セルC
nがターンオンされる前、ターンオンされた発光セルC
1〜C
nに過度の電流が流れることを防止することができる。
【0071】
一方、少なくとも二つの直列連結された発光セルのアレイが、互いに逆並列で連結されてもよく、各アレイの発光セル間のノードにスイッチングブロックが連結されてもよい。一方、前記スイッチングブロックは、前記各アレイに共通して連結されてもよい。これにより、前記スイッチングブロックは、1/2サイクルの間、一つのアレイ内の発光セルを順次にターンオンおよびターンオフさせ、その後、1/2サイクルの間、他のアレイ内の発光セルを順次にターンオンおよびターンオフさせることができる。
【0072】
図9は、本発明の第2の実施例による交流用発光素子を説明するための概略的な回路図であり、
図10は、本発明の第2の実施例による交流用発光素子の駆動電圧および発光量を説明するための概略的なグラフである。
【0073】
図9を参照すると、本実施例による交流用発光素子は、発光ダイオード200とスイッチングブロック300を備える。前記発光ダイオード200は、発光セル30が直列に連結された複数のアレイ101乃至108を有する。前記アレイ101乃至108は、単一基板上に位置し、異なる個数の発光セルが直列に連結され、異なる電圧レベルで駆動する。
【0074】
前記アレイ101乃至108の一端子は、第1の電源連結端子110に接続され、他端子は、多数の第2の電源連結端子121乃至128にそれぞれ接続される。一方、前記スイッチングブロック30は、前記発光素子200の多数の第2の電源連結端子121乃至128に接続され、外部電源1000により、外部電源1000と一つの第2の電源連結端子121乃至128との間に電流経路を形成する。ここで、第1の電源連結端子110は、外部電源1000に接続される。
【0075】
図9に示すように、発光ダイオード200は、例えば、八つの発光セルアレイ101乃至108を有し、個々の発光セルアレイ101乃至108は、異なる電圧で発光するように、複数の発光セル30が直列に連結されている。
【0076】
すなわち、第1乃至第4のアレイ101乃至104内の発光セル30は、それぞれ異なる個数で直列連結されており、第2の電源連結端子121乃至124と第1の電源連結端
子110との間に順方向接続されている。第5乃至第8のアレイ105乃至108内の発光セル30は、それぞれ異なる個数で直列連結され、第2の電源連結端子125乃至128と第1の電源連結端子110との間に逆方向接続されている。このとき、「順方向」と「逆方向」は、両端子間の電流の流れを指すものであり、第2の電源連結端子121乃至128を基準として、第2の電源連結端子121乃至128から第1の電源連結端子110に電流が流れる場合の方向を順方向といい、第1の電源連結端子110から第2の電源連結端子121乃至128に電流が流れる場合の方向を逆方向という。
【0077】
ここで、第2のアレイ102は、第1のアレイ101よりも多数の発光セル30を有し、第3のアレイ103は、第2のアレイ102よりも多数の発光セル30を有し、第4のアレイ104は、第3のアレイ103よりも多数の発光セル30を有する。また、第6のアレイ106は、第5のアレイ105よりも多数の発光セル100を有し、第7のアレイ107は、第6のアレイ106よりも多数の発光セル30を有し、第8のアレイ108は、第7のアレイ107よりも多数の発光セル30を有する。このとき、第1乃至第4のアレイ101、102、103、104は、それぞれ第5乃至第8のアレイ105、106、107、108と同一の個数の発光セル30を有することが好ましい。
【0078】
例えば、220Vの交流電源1000を用いる場合、第1および第5のアレイ101、105内の発光セル30の個数は、交流電圧の絶対値が1乃至70Vの範囲内で発光するように選択され、第2および第6のアレイ102、106内の発光セル30の個数は、交流電圧の絶対値が71乃至140Vの範囲内で発光するように選択され、第3および第7のアレイ103、107内の発光セル30の個数は、交流電圧の絶対値が141乃至210Vの範囲内で発光するように選択され、第4および第8のアレイ104、108内の発光セル30の個数は、交流電圧の絶対値が211乃至280Vの範囲内で発光するように選択されてもよい。
【0079】
上述した電圧の範囲は、一例を説明するためのものであり、発光セルアレイに直列連結された発光セルの個数を変化させ、上記の電圧範囲を調節することができる。発光セルの個数は、発光セルアレイの駆動電圧を決定する。
【0080】
本実施例によるスイッチングブロック300は、
図9に示すように、交流電源1000の一端に接続された第1の端子と、発光ダイオード200の多数の第2の電源連結端子121乃至128にそれぞれ接続された多数の第2の端子とを有する。また、前記スイッチングブロック300は、交流電源1000の電圧レベルを判断する電圧レベル判断部と、電圧レベルに応じて、交流電源1000と第2の電源連結端子121乃至128との間の電流経路を変更するスイッチとを有する。前記スイッチングブロック300は、順方向または逆方向に印加される電圧に応じて、第2の電源連結端子121乃至128とは、選択的にバスパスされる。
【0081】
スイッチングブロック300は、交流電源1000の電圧レベルに応じて、第1乃至第8のアレイ101乃至108の第2の電源連結端子121乃至128と交流電源1000との間で電流経路を形成する。例えば、順方向の低い電圧が印加されると、交流電源1000と第1のアレイ101の第2の電源連結端子121が電流経路を形成し、第1のアレイ101内の発光セルを発光させ、逆方向の高い電圧が印加されると、交流電源1000と第8のアレイ108の第2の電源連結端子128が電流経路を形成し、第8のアレイ108内の発光セルを発光させる。
【0082】
図10は、本実施例による交流用発光素子の駆動電圧および発光量を説明するための概略的なグラフである。ここで、
図10(a)は、交流電源の波形図であり、
図10(b)は、発光素子の発光量を示す。
図10を参照すると、交流電源1000の電圧レベルに応じて、スイッチングブロック300により、交流電源1000と第1乃至第8のアレイ101乃至108との間の電流経路が変化する。すなわち、所定の電圧レベルにおいて、第1乃至第8のアレイ101乃至108のいずれか一つのアレイが発光する。したがって、本実施例による発光素子は、交流電源1000の大部分の電圧レベルにおいて光を放出するので、電力損失および明滅現象が緩和される。
【0083】
図10(a)に示すように、交流電源1000の電圧は、時間により周期的に変わる。交流電源が順方向である場合、その順方向電源の電圧レベルがA、B、C、およびD領域と定義され、各領域に応じて、発光されるアレイが決定される。すなわち、交流電源1000の電圧がA領域内にある場合、スイッチングブロック300により第1のアレイ101に電流経路が形成され、第1のアレイ101内の発光セルが発光する(
図10(b)のA’参照)。第1のアレイ101内には、少数の発光セル30が互いに直列連結されているので、小さな電圧で容易にターンオンされる。また、交流電源の電圧がB領域内にある場合、スイッチングブロック300により、第2のアレイ102に電流経路が形成され、第2のアレイ102内の発光セルが発光する(
図10(b)のB’参照)。また、交流電圧がC領域内にある場合、スイッチングブロック300により、第3アレイ103に電流経路が形成され、第3のアレイ103内の発光セルが発光する(
図10(b)のC’参照)。また、交流電圧がD領域内にある場合、スイッチングブロック300により、第4アレイ104に電流経路が形成され、第4のアレイ104内の発光セルが発光する(
図10(b)のD’参照)。
【0084】
一方、交流電源が逆方向に印加される場合、逆方向電源の電圧レベルに応じて、E、F、G、およびH領域と定義され、各領域に応じて、発光されるアレイが変わる。すなわち、交流電源1000の電圧レベルに応じて、スイッチングブロック300により、第5乃至第8のアレイ105、106、107、108への電流経路が選択的に形成され、各アレイ内の発光セルが順次発光する(
図10(b)のE’、F’、G’、H’参照)。
【0085】
図11は、本発明の第3の実施例による交流用発光素子を説明するための概略的な回路図であり、
図12は、上記した第3の実施例による交流用発光素子の変形例を説明するための概略的な回路図であり、
図13は、本発明の第3の実施例による交流用発光素子の駆動電圧および発光量を説明するための概略的なグラフである。
【0086】
図11および
図12を参照すると、本実施例による交流用発光素子は、交流電源1000を整流するブリッジ整流器400と、複数の発光セル30が直列に連結されたアレイ101乃至103と、前記アレイに接続されたスイッチングブロック300と、を備える。前記アレイ101乃至103は、異なる個数の発光セルを有する。
【0087】
一方、複数のアレイ101乃至103の一端子は、ブリッジ整流器400に連結された第1の電源連結端子110に連結され、他の端子は、それぞれ多数の第2の電源連結端子121乃至123に連結される。スイッチングブロック300は、前記発光素子200の多数の第2の電源連結端子121乃至123とブリッジ整流器400に連結される。前記スイッチングブロック300は、ブリッジ整流器400により整流された電圧レベルに応じて、ブリッジ整流器400と第2の電源連結端子121乃至123との間の電流経路を形成する。
【0088】
ブリッジ整流器400は、
図11に示すように、第1乃至第4のノードQ1乃至Q4間にダイオード部410乃至440が配置されて形成されてもよい。すなわち、第1のダイオード部410のアノード端子は第1のノードQ1に、カソード端子は第2のノードQ2に接続される。第2のダイオード部420のアノード端子は第3のノードQ3に、カソー
ド端子は第2のノードQ2に接続される。第3のダイオード部430のアノード端子は第4のノードQ4に、カソード端子は第3のノードQ3に接続される。第4のダイオード部440のアノード端子は第4のノードQ4に、カソード端子は第1のノードQ1に接続される。第1乃至第4のダイオード部410乃至440は、発光セル30と同一の構造を有してもよい。すなわち、前記第1乃至第4のダイオード部410乃至440は、発光セル30を形成する間、同一の基板上で一緒に形成されてもよい。このとき、ブリッジ整流器400の第1および第3のノードQ1、Q3は交流電源1000に連結され、第2のノードQ2はスイッチングブロック300に連結され、第4のノードQ4は第1の電源連結端子110に連結される。
【0089】
ブリッジ整流器400は、発光ダイオード200と別個の整流用ダイオードを用いて提供されてもよい。
図12に示すように、ブリッジ整流器の内部に発光ダイオード200が配置されてもよい。これは、複数の発光セルが直列接続されたアレイを含む発光ダイオードの製造時、発光ダイオードチップの周縁に形成された余分の発光セルを用いてブリッジ整流器400を作製したことを示す。
【0090】
図13は、本発明の第3の実施例による交流用発光素子の動作を説明するためのグラフである。ここで、
図13(a)は、ブリッジ整流器400の第2のノードQ2に印加される交流電源の波形図であり、
図13(b)は、発光素子の発光量を示すグラフである。
交流電圧が印加される場合、ブリッジ整流器400による整流作用を通じて、
図13(a)のように逆方向の電圧が反転された形態の電源が生成する。これにより、スイッチングブロック300には、順方向の電圧のみが印加される。したがって、発光ダイオード200は、順方向の電圧により発光するように、アレイ101、102、103が互いに並列連結される。
【0091】
ブリッジ整流器400により整流された交流電源の電圧レベルがA領域にある場合、スイッチングブロック300により、第1のアレイ101に電流経路が形成され、第1のアレイ内の発光セルが発光する。このとき、印加される電圧が第1のアレイ101内に直列連結された発光セル30のしきい電圧の合計よりも大きい場合に発光が開始され、印加される電圧が増加するにつれて、発光量が増加する。以降、電圧が上昇し、電圧レベルがB領域に至ると、スイッチングブロック300により、第2のアレイ102に電流経路が形成され、電圧レベルがC領域に至ると、第3のアレイ103に電流経路が形成される。
本実施例による交流用発光素子は、電力消耗無しに、殆ど全ての交流電源の電圧レベルで発光し、また、光を放出する時間が増加し、明滅現象を緩和させる。
【0092】
図14は、本発明の第4の実施例による交流用発光素子を説明するための回路図である。以下、nは、2以上の整数を示す。
図14を参照すると、前記発光素子は、発光ダイオード200を有し、これに加えて、第1のレジスタR1〜Rnおよび第2のレジスタR’1〜R’nを有する。
前記発光ダイオード200は、単一基板上にそれぞれ直列連結された発光セル(
図5の30)を有する複数の第1のアレイA1〜Anおよび複数の第2のアレイRA1〜RAnを有する。前記第1のアレイA1〜Anは、互いに並列で連結され、前記第2のアレイRA1〜RAnは、前記第1のアレイに逆並列で連結される。
【0093】
前記第1のアレイA1〜Anは、異なる個数で直列連結された発光セルを有する。すなわち、アレイA1内の発光セルの個数は、アレイA2内の発光セルの個数よりも少なく、アレイA2内の発光セルの個数は、アレイAn内の発光セルの個数よりも少ない。また、第2のアレイRA1〜RAnは、異なる個数で直列連結された発光セルを有する。すなわち、アレイRA1内の発光セルの個数は、アレイRA2内の発光セルの個数よりも少なく
、アレイRA2内の発光セルの個数は、アレイRAn内の発光セルの個数よりも少ない。
【0094】
前記第2のアレイRA1〜RAnは、それぞれ、前記第1のアレイに対応する個数の発光セルを有してもよい。すなわち、アレイRA1は、アレイA1と同一の個数の発光セルを有し、アレイRA2は、アレイA2と同一の個数の発光セルを有し、アレイRAnは、アレイAnと同一の個数の発光セルを有する。したがって、逆並列で連結された第2のアレイは、それぞれ対応する前記第1のアレイと対をなす。
【0095】
前記第1および第2のアレイの一端部は、基板(
図5の20)上で連結されてもよい。このため、前記基板20上にボンディングパッド(図示せず)が設けられ、前記アレイの端部は、配線を介して前記ボンディングパッドに連結されてもよい。基板20上において前記アレイを前記ボンディングパッドに連結する配線は、配線(
図5の41)を形成する間、一緒に形成され得る。したがって、ボンディングワイヤを介して前記アレイの一端部を互いに連結する必要がなく、ワイヤリング工程が単純化され得る。
【0096】
一方、前記第1のアレイA1〜Anおよび第2のアレイRA1〜RAnは、発光セルの個数が多いアレイであるほど、より大きな発光セル30を有することができる。すなわち、同一のアレイ内の発光セルは、略同一の大きさの活性層(
図5の27)領域を有するが、異なるアレイ間の発光セルは、異なる大きさの活性層27領域を有してもよい。発光セル30の活性層27領域が大きいほど、発光セル30のバルク抵抗が減少し、これにより、しきい電圧よりも大きい電圧の下で、電圧の増加により、発光セル30を流れる電流の量が急に増加する。
【0097】
一方、前記第1のアレイA1〜Anに第1のレジスタR1〜Rnがそれぞれ直列連結され、前記第2のアレイRA1〜RAnに第2のレジスタR’1〜R’nがそれぞれ直列連結される。前記第1および第2のレジスタは、ワイヤを介して前記アレイにそれぞれ連結されてもよい。
【0098】
第1のレジスタR1〜Rnは、異なる抵抗値を有してもよく、第2のレジスタR’1〜R’nも、異なる抵抗値を有してもよい。このとき、前記第1のレジスタおよび前記第2のレジスタは、抵抗値が大きいレジスタが発光セル30の個数が少ないアレイに連結される方式で、前記第1および第2のアレイにそれぞれ直列連結されることが好ましい。すなわち、発光セル30の個数が少ないアレイA1またはRA1に抵抗値が大きいレジスタR1〜R’1が直列連結され、発光セル30の個数が多いアレイAnまたはRAnに抵抗値が小さいレジスタRn〜R’nが直列連結される。
【0099】
前記レジスタの端部および前記アレイの端部が、交流電源1000の両端子に連結される。ここで、前記交流電源1000は、一般家庭用交流電圧電源であってもよく、以下、前記交流用発光素子の動作について詳細に説明する。
【0100】
先ず、交流電源1000によりレジスタ側に正の電圧が印加され、前記レジスタ側に対向する前記アレイの一端部に負の電圧が印加された、半サイクルについて説明する。
【0101】
交流電圧がゼロ電圧から増加することにより、順方向バイアスされた第1のアレイA1〜Anがターンオンされる。前記第1のアレイA1〜Anは、発光セル30の個数が異なるので、発光セル30の個数が少ないアレイA1からターンオンされ始める。前記アレイA1は、交流電圧がアレイA1内の発光セルのしきい電圧の合計を越えたときにターンオンされ、交流電圧が増加することにより、電流が増加し、光を放出する。一方、交流電圧がさらに増加して電流が増加すると、レジスタR1による電圧降下が大きくなる。これにより、前記アレイA1を介して過電流が流れることが防止される。
【0102】
交流電圧がさらに増加し、アレイA2内の発光セルのしきい電圧の合計を越えると、アレイA2がターンオンされ、光を放出する。このような過程が繰り返され、アレイAnがターンオンされ、光を放出する。すなわち、発光セル30の数が少ないアレイから順次にターンオンされる。
【0103】
次いで、前記交流電圧がT/4の最大ピーク値を超えてアレイAn内の発光セルのしきい電圧の合計よりも小さくなると、アレイAnはターンオフされる。その後、交流電圧がさらに減少し、アレイA2がターンオフされ、次いでアレイA1がターンオフされる。すなわち、発光セル30の数が多いアレイから順次にターンオフされ、これは、アレイがターンオンされる順序の逆順である。
【0104】
前記交流電圧が再びゼロになった状態で、半サイクルが終了する。その後の半サイクルは、交流電圧の位相が変更されることにより、順方向バイアスされた第2のアレイRA1〜RAnが動作する。前記第2のアレイの動作は、前記第1のアレイの動作と同様に進行される。
【0105】
本実施例によると、交流電源1000により駆動される交流用発光素子が提供される。また、第1のアレイA1〜Anおよび第2のアレイRA1〜RAnが順次にターンオンおよびその逆順でターンオフされることを繰り返すので、従来の発光素子に比べて、明滅現象を緩和することができ、発光素子から光が放出される時間を増加させることができる。
【0106】
一方、発光セルの数が少ないアレイに抵抗値が大きいレジスタを連結することにより、電圧が増加するにつけて、先ずターンオンされたアレイに過電流が流れることを防止することができる。
【0107】
また、発光セルの数が多いアレイにさらに大きい発光セルを連結することにより、電圧が増加するにつれて、より遅くターンオンされたアレイに流れる電流量を急に増加させることができる。すなわち、発光セルの数が多いアレイのバルク抵抗が、発光セルの数が少ないアレイのバルク抵抗よりも小さくてもよい。したがって、発光セルの数が多いアレイが一旦ターンオンされると、そのアレイに流れる電流は、電圧の増加により、急に増加する。したがって、先ずターンオンされたアレイに過電流が流れることを防止することができる。また、発光セルの大きさを調節し、過電流を防止することができるので、レジスタ間の抵抗値の差を減少させることができ、結果的にレジスタの抵抗値を減少させることができる。レジスタの抵抗減少は、発光セルの光出力の増加につながる。
【0108】
図15は、本発明の第5の実施例による交流用発光素子を説明するための概略的な回路図である。
図15を参照すると、前記発光素子は、発光ダイオード200を有し、これに加えて、共通レジスタRtを有してもよい。前記発光ダイオード200は、
図14を参照して説明した発光ダイオード200と略同一の構成要素を有する。
【0109】
前記発光ダイオード200は、前記第1のアレイA1〜Anおよび第2のアレイRA1〜RAnの一端部が、
図14を参照して説明したように、基板(
図5の20)上で連結され得る。これに加えて、前記第1および第2のアレイの他の端部も、基板(
図5の20)上で連結され得る。前記他の端部は、基板20上に設けられたボンディングパッド(図示せず)に配線を介して連結され、前記配線は、
図5の配線41を形成する間、一緒に形成され得る。
【0110】
一方、
図14の第1のレジスタR1〜Rnおよび第2のアレイR’1〜R’nの代わり
に、共通レジスタRtが第1のアレイA1〜Anおよび第2のアレイRA1〜RAnに共通して直列連結される。このとき、前記共通レジスタRtは、ワイヤを介して前記ボンディングパッドに連結され得る。
【0111】
本実施例によると、前記第1および第2のアレイに共通レジスタRtを連結するので、
図14の発光素子に比べて、レジスタを連結する工程が単純になる。
【0112】
図16は、本発明の第6の実施例による交流用発光素子を説明するための回路図である。
図16を参照すると、前記発光素子は、発光ダイオード500およびブリッジ整流器350を有し、レジスタR1〜Rnを含んでもよい。
【0113】
前記発光ダイオード500は、単一基板(
図5の20)上にそれぞれ直列連結された発光セル30を有する複数のアレイA1〜Anを有する。前記アレイA1〜Anは、互いに並列で連結される。
【0114】
前記アレイA1〜Anは、異なる個数で直列連結された発光セルを有する。すなわち、アレイA1内の発光セルの個数は、アレイA2内の発光セルの個数よりも少なく、アレイA2内の発光セルの個数は、アレイAn内の発光セルの個数よりも少ない。
【0115】
前記アレイの一端部は、基板(
図5の20)上で連結され得る。このため、前記基板20上にボンディングパッド(図示せず)が設けられ、前記アレイの端部は、配線を介して前記ボンディングパッドに連結され得る。基板20上において、前記アレイを前記ボンディングパッドに連結する配線は、配線(
図5の41)を形成する間、一緒に形成され得る。
また、前記アレイA1〜Anは、発光セルの個数が多いアレイであるぼと、さらに大きい発光セル30を有してもよい。
【0116】
ブリッジ整流器350は、前記発光セル30と同一の発光セルで構成されてもよい。したがって、前記発光セル30を形成する間、ブリッジ整流器の発光セルが一緒に形成されてもよい。
【0117】
前記アレイA1〜Anの一端部が、ブリッジ整流器350の一つのノードに共通して連結される。このような連結は、配線を介して前記一つのノードと前記ボンディングパッドを連結することにより達成され得る。
【0118】
一方、前記アレイA1〜AnにレジスタR1〜Rnがそれぞれ直列連結されてもよい。
前記レジスタR1〜Rnは、異なる抵抗値を有してもよい。このとき、前記抵抗値は、抵抗値が大きい抵抗体が発光セル30の個数が少ないアレイに連結される方式で、前記アレイにそれぞれ直列連結されることが好ましい。すなわち、発光セル30の個数が少ないアレイA1に抵抗値が大きいレジスタR1が直列連結され、発光セル30の個数が多いアレイAnに抵抗値が小さいレジスタRnが直列連結される。
【0119】
前記レジスタR1〜Rnの一端部は、図示のように、前記ブリッジ整流器のもう一つのノードに連結される。
前記ブリッジ整流器350の二つの他のノードに交流電源1000の両端子が連結される。ここで、前記交流電源1000は、一般家庭用交流電圧電源であってもよく、以下、前記交流用発光素子の動作について説明する。
【0120】
先ず、交流電源1000により電圧が印加されると、ブリッジ整流器350を通じて前
記レジスタ側に常時正の電圧が印加され、それに対向する前記アレイの一端部に負の電圧が印加される。
【0121】
交流電圧がゼロ電圧から増加するにつれて、順方向バイアスされたアレイA1〜Anがターンオンされる。前記アレイA1〜Anは、発光セル30の個数が異なるので、発光セル30の個数が少ないアレイA1からターンオンされ始める。前記アレイA1は、交流電圧がアレイA1内の発光セルのしきい電圧の合計を越えたときにターンオンされ、交流電圧が増加するにつれて、電流が増加し、光を放出する。一方、交流電圧がさらに増加して電流が増加すると、レジスタR1による電圧降下が大きくなる。これにより、前記アレイA1を介して過電流が流れることを防止する。
【0122】
交流電圧がさらに増加し、アレイA2内の発光セルのしきい電圧の合計を越えると、アレイA2がターンオンされ、光を放出する。このような過程が繰り返され、アレイAnがターンオンされ、光を放出する。すなわち、発光セル30の数が少ないアレイから順次にターンオンされる。
【0123】
次いで、前記交流電圧がT/4の最大ピーク値を超えてアレイAn内の発光セルのしきい電圧の合計よりも小さくなると、アレイAnはターンオフされる。その後、交流電圧がさらに減少し、アレイA2がターンオフされ、次いでアレイA1がターンオフされる。すなわち、発光セル30の数が多いアレイから順次にターンオフされ、これは、アレイがターンオンされる順序の逆順である。
前記交流電圧が再びゼロになった状態で、半サイクルが終了する。その後の半サイクルの間も、前記ブリッジ整流器350により、前記アレイA1〜Anが同様に動作する。
【0124】
本実施例によると、交流電源1000により駆動される交流用発光素子が提供される。また、アレイA1〜Anが順次にターンオンおよびその逆順でターンオフされることを繰り返すので、従来の発光素子に比べて、明滅現象を緩和することができ、発光素子から光が放出される時間を増加させることができる。
【0125】
本実施例では、前記アレイA1〜AnにそれぞれレジスタR1〜Rnが直列連結されることを説明したが、前記レジスタR1〜Rnの代わりに、
図15に示すような共通レジスタRtを連結してもよい。この場合、前記アレイA1〜Anの端部は、前記基板(
図5の20)上において互いに連結され得る。
【0126】
一方、以上の実施例において、発光セルの数または発光セルの大きさの差は、アレイ間において相対的な発光強度の差をもたらす。すなわち、先ずターンオンされたアレイは、発光セルの数が少ないので、全体の発光強度が相対的に弱く、最も遅くターンオンされるアレイは、発光セルの数が多いので、発光強度が相対的に強い。このような差は、発光セルの大きさおよびレジスタの大きさの差に起因して、さらに増幅され得る。アレイが早くターンオンされる長所はあるが、初期にターンオンされたアレイの発光強度が相対的に小さいため、明滅現象を緩和するのに大きく寄与しないかも知れない。したがって、初期にターンオンされるアレイの発光強度を増加させる必要があり、このため、アレイ間の発光セルの構造を異にすることができる。
図17および
図18は、初期にターンオンされるアレイ内の発光セルの発光強度を増加させるために、いくつかのアレイ内の発光セルの構造を変更した発光ダイオードを説明するための断面図である。
【0127】
図17を参照すると、本実施例による発光ダイオードは、
図5を参照して説明したものと略同様であり、発光セルアレイは、第1乃至第6の実施例のように配列されてもよい。但し、本実施例において、発光セルの上部面、例えば、第2の導電型半導体層29aの表面を粗く形成したことが、
図5の発光セルとは異なる。
【0128】
粗表面の第2の導電型半導体層29aを有する発光セルが、上述した本発明の第1乃至第6の実施例のアレイを構成することができる。また、前記第1乃至第6の実施例において、アレイ数の1/2以下のアレイが、粗表面の第2の導電型半導体層29aを有する発光セルで構成され得る。例えば、
図14乃至
図15の第1アレイの数の1/2以下のアレイ、および第2のアレイの数の1/2以下のアレイが、粗表面の第2の導電型半導体層29aを有する発光セルで構成されてもよく、
図16のアレイの数の1/2以下のアレイが、粗表面の第2の導電型半導体層29aを有する発光セルで構成されてもよい。このとき、粗表面の第2の導電型半導体層29aを有する発光セルは、発光セルの個数が少ないアレイを構成し、発光セルの個数が多いアレイは、平らな表面を有する。
【0129】
粗表面を有する第2の導電型半導体層29aは、第1の導電型半導体層25、活性層27、および第2の導電型半導体層を順次形成した後、光電気化学エッチング技術を用いて、第2の導電型半導体層の一領域をエッチングすることにより形成され得る。一方、前記第2の導電型半導体層の一領域上に金属薄膜を、例えば、10乃至500Å厚さで形成した後、これを熱処理してエッチングすることにより、前記粗表面を形成してもよい。
その後、前記一領域の半導体層をエッチングして発光セルを形成し、前記発光セルを電気的に連結することにより、粗表面の第2の導電型半導体層29aを有する発光セルのアレイが形成される。
【0130】
一方、前記粗表面の第2の導電型半導体層29a上に電極パッド33aが形成され、また、電極(
図5の31)が形成され得る。
【0131】
発光セルの数が少ないアレイ、例えば、
図14および
図15のアレイA1およびアレイRA1、または
図16のアレイA1を、粗表面を有する発光セルで構成することにより、これらのアレイの発光強度を増加させることができる。したがって、交流電圧が印加されるとき、初期にターンオンされるアレイA1、RA1の発光強度が大きいので、明滅現象をさらに緩和することができる。
前記粗表面は、
図6の基板の下部面に形成してもよい。また、
図6において、基板20を分離し、第1の導電型半導体層25の下部面に形成してもよい。
【0132】
図18を参照すると、本実施例による発光セルは、
図5を参照して説明したものと略同様であり、発光セルアレイは、第1乃至第6の実施例において説明したように配列されてもよい。但し、本実施例において、発光セルは、傾斜した側面を有するように形成される。このような傾斜した側面を有する発光セルは、
図17を参照して説明した粗表面を有する発光セルのように、初期にターンオンされるアレイ(
図14乃至
図17のA1、RA1)を構成し、
図14乃至
図17の第1のアレイおよび第2のアレイの数の1/2のアレイを構成することができる。
【0133】
傾斜した側面は、半導体層を形成した後、発光セルを分離するとき、フォトレジストパターンをリフローした後、これをエッチングマスクとして、半導体層をエッチングすることにより形成され得る。これに加えて、第1の導電型半導体層25の一領域を露出させるとき、フォトレジストパターンをリフローし、第2の導電型半導体層および活性層をエッチングすることにより形成され得る。
【0134】
傾斜した側面を有する発光セルは、全反射による光損失を減少させることができ、外部に放出される発光強度が改善される。したがって、このような発光セルで初期にターンオンされるアレイを構成することにより、
図17を参照して説明したように、明滅現象を緩和することができる。
【0135】
図19は、本発明の第7の実施例による交流用発光素子1を説明するための断面図である。
図19を参照すると、前記発光素子1は、発光ダイオードチップ3を含む。前記発光ダイオードチップ3は、直列に連結された複数の発光セルを有する。前記発光セルは、紫外線または青色光を放出するAl
xIn
yGa
zN系の化合物半導体であってもよい。前記発光ダイオードチップ3および前記発光セルの構造は、
図5または
図6を参照して説明したものと同一である。前記発光セルは、直列に連結されたアレイを構成する。前記発光ダイオードチップ3は、逆並列連結された二つのアレイを含み、交流電源により駆動され、または、ブリッジ整流器を含み、交流電源により駆動され得る。
【0136】
前記発光ダイオードチップ3は、リード端子(図示せず)を介して外部電源に電気的に連結される。このため、前記発光ダイオードチップ3は、リード端子に連結されるための二つのボンディングパッド(図示せず)を有してもよい。前記ボンディングパッドは、それぞれボンディングワイヤ(図示せず)を介して前記リード端子に連結される。これとは異なり、前記発光ダイオードチップ3は、サブマウント基板(図示せず)にフリップボンディングされた後、前記サブマウント基板を介してリード端子に電気的に連結されてもよい。
【0137】
一方、前記発光ダイオードチップ3は、反射コップ9内に配置されてもよい。前記反射コップ9は、発光ダイオードチップ3から放出された光を要求される視野角内に反射させ、一定の視野角内の輝度を増加させる。したがって、反射コップ9は、要求される視野角に応じて一定の傾斜面を有する。
【0138】
一方、前記蛍光体7が、前記発光ダイオードチップ3の上部に位置し、前記発光セルから放出された光により励起され、可視光線領域の光を放出する。前記蛍光体7は、遅延蛍光体を含む。遅延蛍光体は、残光時間が1msec以上であってもよく、約8msec以上であればより好ましい。一方、前記遅延蛍光体の残光時間の上限は、発光素子の用途に応じて選択され、特に限られないが、10時間以下であってもよい。特に、一般家庭用照明用途として用いられる発光素子の場合、前記遅延蛍光体の残光時間は、数分以下であることが好ましい。
【0139】
遅延蛍光体は、米国特許US5,770,111号、米国特許US5,839,718号、米国特許US5,885,483号、米国特許US6,093,346号、米国特許US6,267,911号等に開示されたケイ酸塩、アルミン酸塩、硫化物蛍光体等であってもよく、例えば、(Zn、Cd)S:Cu、SrAl
2O
4:Eu、Dy、(Ca、Sr)S:Bi、ZnSiO
4:Eu、(Sr、Zn、Eu、Pb、Dy)O・(Al、Bi)
2O
3、m(Sr、Ba)O・n(Mg、M)O・2(Si、Ge)O
2:Eu、Ln(ここで、1.5≦n≦3.5、0.5≦n≦1.5、Mは、Be、ZnおよびCdからなる群より選ばれた少なくとも一つの元素、Lnは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、KLu、B、Al、Ga、In、Tl、Sb、Bi、As、P、Sn、Pb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Cr、およびMnからなる群より選ばれた少なくとも一つの元素)等であってもよい。
【0140】
前記遅延蛍光体は、発光ダイオードチップ3から放出された光により励起され、可視光線領域の光、例えば、赤色、緑色および/または青色光を放出することができる。これにより、前記遅延蛍光と発光ダイオードチップ3から放出された光の混合により、多様な色の光を放出する発光素子を提供することができ、白色光を放出する発光素子を提供することができる。
【0141】
一方、前記蛍光体7は、遅延蛍光体以外に、発光ダイオードチップ3により励起され、可視光線領域の光を放出する他の蛍光体、例えば、赤色、緑色および/または青色蛍光体、または、黄色蛍光体を含んでもよい。例えば、前記他の蛍光体は、YAG:Ce系蛍光体、オルトケイ酸塩系蛍光体、または、硫化物蛍光体であってもよい。
【0142】
遅延蛍光体および他の蛍光体は、前記発光素子が所望の色の光を放出するように選択される。白色発光素子の場合、遅延蛍光体および前記他の蛍光体は、発光ダイオードチップ3から放出された光と変換された光の混合色が白色光となるように、多様な組合せの蛍光体で構成されてもよい。また、遅延蛍光体および前記他の蛍光体の組合せは、明滅現象防止、発光効率、および、演色評価数等を考慮して選択され得る。
【0143】
一方、透明部材5が、前記発光ダイオードチップ3を覆ってもよい。透明部材5は、コート層であり、または、鋳型を用いて形成された成形部材であってもよい。透明部材5は、発光ダイオードチップ3を覆い、水分または外力のような外部環境から発光ダイオードチップ3を保護する。透明部材5は、例えば、エポキシまたはシリコン樹脂であってもよい。発光ダイオードチップ3が、反射コップ9内に配置された場合、前記透明部材5は、図示のように、反射コップ9内に位置してもよい。
【0144】
蛍光体7は、透明部材5と発光ダイオードチップ3との間に位置してもよい。この場合、前記蛍光体7を前記発光ダイオードチップ3上に塗布した後、前記透明部材5が形成される。これとは異なり、蛍光体7は、図示のように、透明部材5内に分散されて位置してもよい。透明部材5内に蛍光体7を分散させる多様な技術が知られており、例えば、蛍光体と樹脂粉末を混合した混合粉末を用いてトランスファー成形して、透明部材5を形成し、または、液状樹脂内に蛍光体を分散させた後、この液状樹脂を硬化させ、透明部材5を形成することができる。
【0145】
図20は、本発明の実施例による発光素子の発光特性を説明するための概略的なグラフである。ここで、点線(a)は、従来の交流用発光素子の発光特性を説明するための概略的なグラフであり、実線(b)は、本発明の実施例による発光素子の発光特性を説明するためのグラフである。
【0146】
図20を参照すると、遅延蛍光体を用いていない従来の発光素子は、交流電圧の印加により周期的にオン−オフを繰り返す。交流電源の周期をTとすると、直列に連結された発光セルの二つのアレイは、Tの間、交互に一度ずつ動作する。したがって、発光素子は、点線(a)に示すように、周期T/2で光を放出する。一方、交流電圧が直列に連結された発光セルのしきい電圧を超えない場合、発光セルは動作しない。したがって、発光セルが動作する時間の間には、一定の時間の間、すなわち、交流電圧が発光セルのしきい電圧よりも小さい時間の間、発光セルがターンオフされた状態であるようになる。したがって、従来の発光素子では、発光セルが動作する時間の間隔により、明滅現象が現われ得る。
【0147】
一方、本発明の実施例による発光素子は、遅延蛍光体を採用するので、実線(b)に示すように、発光セルがターンオフされている間にも、光が放出される。したがって、光強度に変動はあるが、光が放出されない時間が短くなり、遅延蛍光体の残光時間が長ければ、発光素子は連続的に光を放出するようになる。
【0148】
一般家庭用交流電源が約60Hzの周波数の電圧を印加する場合、電源の1サイクルは約16.7msecであり、半サイクルは約8msecとなる。したがって、発光素子が動作する間、発光セルが全てターンオフされる時間は、8msecよりも小さく、したがって、遅延蛍光体が1msec以上である場合、明滅現象を十分緩和することができる。特に、遅延蛍光体の残光時間が、発光セルが全てターンオフされる時間と同様である場合
、発光素子は、連続的に光を放出することができるようになる。