【実施例】
【0164】
以下の実施例は、
本発明又は本発明の側面を説明するものであり、本発明の範囲又は特許請求の範囲を定め又は限定するものではない。
【0165】
方法
1H−NMR及び
13C−NMRスペクトルは、Varian Mercury(
1H−NMRは100MHzで、
13C−NMRは400MHzで測定)スペクトル装置を用いて298Kで測定した。化学シフトは室温で、TMSから低磁場
側にppmで表した。分裂については次の略号を使用した、即ち、s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット及びbr=ブロードである。I
Rスペクトルは、Perkin Elmer1600FT−IR(UATR)で
記録した。LC−MSは
、ダイオードアレイ検出器(Finnigan Surveyor PDA Plus detector、Thermo Electron Corporation)
に結合したShimadzu LC−10 AD VPシリーズHPLC及びIon−Trap(LCQ Fleet、Thermo Scientific)を用いて
行った。分析は、Alltech Alltima HP C
183μカラムを用いて、注入容量1−4μLとし、流速は0.2mL/分及び通常は、25℃で、H
2O中CH
3CN(共に0.1%ギ酸を含む)のグラジエント(5%から100%へ10分間で、100%でさらに3分間保持)を用いて行った。分取用RP−HPLC(0.1%ギ酸
を有するCH
3CN/H
2O)を、Phenomenex Gemini5μC
18110Aカラムで、
2つのShimadzu LC−8Aポンプに結合したShimadzu SCL−10A VP
とShimadzu SPD−10AV VP紫外−可視光検出器
とを用いて行った。サイズ排除(SEC)HPLCは、
Gabi放射線検出器を備えたAgilent 1200システ
ムを用いて行った
。サンプルは、Superdex−200 10/300 GLカラム(GE Healthcare Life Sciences)に負荷し、10mMのリン酸緩衝液
により、pH7.4で0.35〜0.5mL/分で溶出させた。UV波長は260nmと280nmに設定した。抗体溶液の濃度は、NanoDrop 1000 spectrophotometer(Thermo Fisher Scientific)を用いて、322nm及び280nmでのそれぞれの吸光度から決定された。
【0166】
材料
全ての試薬、化学物、材料及び溶媒は、市販品から入手しそのまま使用した:
(重水
素化
)溶媒は、Biosolve、Merck and Cambridge Isotope Laboratoriesから;及び
化学製品、材料及び試
薬は、Aldrich、Acros、ABCR、Merck及びFlukaから入手した。全ての溶媒は、AR品質であった。4−(t−ブチルジメチルシリルオキシメチル)−2,、6−ジメチルフェノールは文献に従って合成した(Y.H.Choe、C.D.Conover、D.Wu、M.Royzen、Y.Gervacio、V.Borowski、M.Mehlig、R.B.Greenwald、J.Controlled Release2002、79、55−70)。ドキソルビシン塩
酸塩はAvachem Scientificから入手した。
【0167】
実施例1:
テトラジンアクチベータの合成
一般的手順
以下詳細に説明するテトラジンとは別に一連のテトラジンを合成した。ピナー型反応が使用され、適当なニトリルをヒドラジンと反応させ、ジヒドロ1
,2
,4
,5−テトラジン中間体を合成した。当
該技術で知られているようにニトリルの代わりにアミジンを反応物として使用した。この反応で硫黄の使用は、ある場合にはこれによりジヒドロ1
,2
,4
,5−テトラジンの形成を促進することが知られている。この中間体の酸化によりテトラジンジエンアクチベータが得られる。以下の反応は、
合成されたテトラジンの
いくつか及び、
テトラジンを合成及び単離する可能性のいくつか(例えば、溶媒
の使用、濃度、温度、反応物の当量、酸化反応の選択など)
を説明する。当技術分野で知られる他の方法も、他のアクチベータを合成するために使用され得る。
【0168】
3
,6−ビス(2−ピリジル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(2)の合成
【0169】
【化40】
2−シアノピリジン(10.00g、96.0mmol)及びヒドラジン水和物(15.1g;300mmol)を一晩不活性雰囲気下で90℃で撹拌した。濁った混合物を室温に冷却し、ろ過して残渣を続いて水(20mL)及びエタノール(20mL)で洗浄し、さらに真空で乾燥し
て、粗ジヒドロテトラジン1をオレンジ色固体として得た(7.35g;65%)。
【0170】
ジヒドロテトラジン(1、100mg;0.419mmol)を酢酸(3mL)に分散させ、次に亜硝酸ナトリウム(87mg;1.26mmol)を添加した。すぐにオレンジ色から暗赤色への変化が観測され、酸化生成物をろ過して単離
した
。残渣を水(10mL)で洗浄し、次に真空乾燥して、紫色固体として表題の化合物を得た(2、92mg;93%)。
1HNMR(CDCl
3):δ=9.00(d、2H)、8.76(d、2H)、8.02(t、2H)、7.60(dd、2H)ppm.
13CNMR(CDCl
3):δ=163.9、151.1、150.1、137.5、126.6、124.5ppm.HPLC−MS/PDA:クロマトグラムで1ピーク、m/z=237.00(M+H
+)、λ
max=296及び528nm。
【0171】
3−(5−アセタミド−2−ピリジル)−6−(2−ピリジル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(5)の合成
【0172】
【化41】
2−シアノピリジン(5.00g、48.0mmol)、5−アミノ−2−シアノピリジン(5.72g;48.0mmol)及びヒドラジン水和物(15.1g;300mmol)を、不活性雰囲気下で90℃で一晩撹拌した。濁った混合物を室温に冷却し、ろ過し、及び残渣を水(20mL)及びエタノール(20mL)で
引き続き洗浄し真空で乾燥した。オレンジ色の固体をアセトン(200mL)に分散させ、これをシリカゲル(20グラム)に吸収させ、次にアセトンとヘプタンのグラジエント(0%から70%)を用いてカラムクロマトグラフィーを行い、ジヒドロテトラジン3を、オレンジ色固体として得た(1.46g;収率12%)。
【0173】
ジヒドロテトラジン(3、90mg;0.355mmol)をTHF(1mL)に溶解し、次に無水
酢酸(54.4mg;0.533mmol)を加えた
。溶液を加熱して、18時間不活性雰囲気下で還流させた。オレンジ色沈殿をろ過して分離し、THF(3mL)で洗浄してジヒドロテトラジンのアセタミドを得た(4、90mg;収率86%)。
【0174】
アセタミド4(50mg、0.169mmol)を酢酸(1mL)に分散させ
、亜硝酸ナトリウム(35mg;0.508mmol)を添加した。すぐにオレンジ色から暗赤色への変化が観測され
、酸化生成物をろ過して分離した
。残渣を水(5mL)で洗浄し
、真空で乾燥して、表記の化合
物を紫色固体として得た(5、42mg;84%)。
1HNMR(DMSO−d
6):δ=9.03(d、1H)、8.93(d、1H)、8.61(dd、2H)、8.42(dd、1H)、8.16(dt、1H)、7.73(dd、1H)、2.17(s、3H)ppm.
13CNMR(DMSO−d
6):δ=169.5、163.0、162.8、150.6、150.2、143.8、141.2、138.5、137.8、126.6、126.1、124.9、124.2、24.1ppm.HPLC−MS/PDA:クロマトグラムで1ピーク、m/z=293.9(M+H
+)、l
max=323及び529nm.
3−(2−ピリジ
ル)−6−メチル−1
,2
,4
,5−テトラジン(7)の合成
【0175】
【化42】
2−シアノピリジン(500mg、4.8mmol)、アセタミジン塩
酸塩(2.00g、21.2mmol)及び硫黄(155mg、4.8mmol)をエタノール(5mL)で、アルゴン不活性雰囲気下撹拌した。ヒドラジン水和物(2.76g;55.2mmol)を添加し、次に混合物を20℃で一晩撹拌した。濁った混合物をろ過し、ろ液を蒸発乾燥させてオレンジ色固体粗生成物6を収量2.9g得た。
【0176】
続いて、6(800mg)をTHF(3mL)と酢酸(4mL)の混合物中に懸濁させた。水(3mL)中のNaNO
2(2.0g;29.0mmol)溶液を0℃で添加した。すぐに赤/紫色懸濁物への
着色を観測した。0℃で撹拌5分後、クロロホルム
と水とを添加した。紫色クロロホルム層を2回水で洗浄し次に濃縮した。固体残渣を、1:1のクロロホルムとヘキサンの混合物中で撹拌し、次にろ過した。ろ液を濃縮し、溶出液としてクロロホルム/アセトン混合物を用い
るシリカゲルクロマトグラフィー
により粗生成物を精製して、
純粋生成物を得た(7、48mg、2−シアノピリジンから計算した合計収率21%)。
1HNMR(CDCl
3):δ=8.96(d、1H)、8.65(d、1H)、7.99(t、1H)、7.56(dd、1H)、3.17(s、3H)ppm.
13CNMR(CDCl
3):δ=168.1、163.6、150.9、150.3、137.4、126.3、123.9、21.4ppm.HPLC−MS/PDA:クロマトグラ
ムにおいて1ピーク、m/z=174.3(M+H
+)、λ
max=274及び524nm.
3
,6−ビス(2−アミノフェ
ニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(9)の合成
【0177】
【化43】
2−アミノベンゾニトリル(1.00g;8.46mmol)をエタノール(3mL)中に溶解し、及びヒドラジン水和物(2.06g;41.2mmol)を添加した
。混合物を0℃に冷却し、硫黄(0.17g;5.30mmol)を添加した。撹拌を15分間続け、次
に混合物を90℃に加熱した。3時間後、黄色沈殿を
濾過により単離し、エタノール(10mL)で洗浄し、次にクロロホルムで2回
粉砕し(2回、10mL)て黄色中間
体8(343mg、30%)を得た。
【0178】
中間
体8(105mg;0.394mmol)をエタノール(15mL)に溶解し、次に50℃でこの溶液中に酸素を吹き込んだ。数分で
色が黄色から暗オレンジ/赤色に変化し沈殿が生成した。2時間後、沈殿をろ過し、エタノールで洗浄し、乾燥して生成物9を暗赤色結晶として得た(89mg、86%)。
1HNMR(DMSO−d
6):δ=8.39(d、2H)、7.32(t、2H)、7.04(s、4H)、6.93(d、2H)、6.75(t、2H)ppm.
13CNMR(DMSO−d
6):δ=162.7、149.6、133.0、129.0、117.1、115.8、111.6ppm. HPLC−MS/PDA:クロマトグラ
ムで1ピーク、m/z=265.4(M+H
+)、λ
max=237、293、403及び535nm。
【0179】
3
,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(11)の合成
【0180】
【化44】
4−ヒドロキシベンゾニトリル(1.06g;8.90mmol)をヒドラジン水和物(3.09g;61.7mmol)に溶解し
、混合物を90℃で16時間加熱した。黄色沈殿をろ過して水(25mL)及びエタノール(10mL)で洗浄して粗生成物中間
体10を黄色粉末として得た(870mg;62%)。
【0181】
中間
体(10、173mg;0.645mmol)をエタノール(10mL)中に懸濁させ、この混合物中に50℃で酸素を吹き込んだ。色は、数分で黄色から暗オレンジ/赤色に変化した。6時間後、沈殿をろ過し、エタノールで洗浄し、乾燥して生成物11を暗赤色結晶として得た(136mg、80%)。
1HNMR(DMSO−d
6):δ=10.35(br.s、2H)、8.36(d、4H)、7.02(d、4H)ppm.
13CNMR(DMSO−d
6):δ=162.6、161.5、129.2、122.6、116.3ppm.HPLC−MS/PDA:クロマトグラムで1ピーク、m/z=267.1(M+H
+)、λ
max=235、330及び535nm。
【0182】
3
,6−ビス(4−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(13)の合成
【0183】
【化45】
4−アミノベンゾニトリル(1.00g;8.46mmol)をエタノール(3mL)に溶解し、次にヒドラジン水和物(2.12g;42.2mmol)と硫黄(0.176g;5.5mmol)を添加した
。混合物を90℃で90分間加熱し、黄色沈殿をろ過して
単離し、エタノール(10mL)で洗浄し、次にアセトン(12mL)で取り出して黄色中間
体12を得た(190mg、17%)。
【0184】
中間
体12(50mg;0.188mmol)をDMSO(1mL)に溶解し、次にこの溶液中に酸素を20℃で吹き込んだ。5分後、反応混合物を食塩水(13mL)に入れて、沈殿をろ過して分離し、さらにアセトン(15mL)で
粉砕し精製して生成物13を赤色固体として得た(13.7mg、27%)。
1HNMR(DMSO−d
6):δ=8.17(d、2H)、7.75(d、2H)、6.02(s、4H)ppm.
13CNMR(DMSO−d
6):δ=162.3、152.8、128.5、118.3、113.8ppm.HPLC−MS/PDA:クロマトグラ
ムで1ピーク、m/z=265.2(M+H
+)、λ
max=241、370及び530nm。
【0185】
3
,6−ビス(3−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(15)の合成
【0186】
【化46】
3−アミ
ノベンゾニトリル(1.00g;8.460mmol)をヒドラジン水和物(2.50mL;51.4mmol)に溶解し、次に混合物を90℃で3日間加熱した。
水(5mL)を添加し、次に黄色沈殿をろ過して分離し、水(15mL)及びエタノール(10mL)で洗浄して粗中間
体14を黄色粉末として得た(910mg;81%)。
【0187】
中間
体14(50mg;0.188mmol)をエタノール(4mL)中に懸濁させ、次にこの混合物中に50℃で酸素を吹き込んだ。数分で黄色から赤色に色変化した。16時間後、沈殿をろ過して分離し、エタノールで洗浄して生成物15を赤色粉末として得た(31mg、62%)。
1HNMR(DMSO−d
6):δ=7.77(s、2H)、7.66(d、2H)、7.30(t、2H)、6.85(d、2H)、5.53(s、4H)ppm.HPLC−MS/PDA:クロマトグラ
ムで1ピーク、m/z=265.2(M+H
+)、λ
max=240、296及び527nm。
【0188】
3
,6−ビス(アミノメチル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(20)の合成
【0189】
【化47】
Boc−アミノアセトニトリル(1.00g;6.40mmol)をメタノール(10mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(MeOH中
25%、0.145mL;0.64mmol)を添加した。混合物を20℃で18時間撹拌し、次に塩化アンモニウム(0.34g;6.40mmol)を添加し、混合物を20℃で3日間撹拌した
。溶液をジエチルエーテル(40mL)で沈殿させ、次に沈殿をろ過して集め、洗浄し乾燥させてアミジン塩
酸塩17を得た。
【0190】
アミジン塩
酸塩(17、241mg;1.15mmol)をヒドラジン水和物(3mL;61.9mmol)に溶解し、次
に溶液を20℃で16時間撹拌した。次にこれを水(10mL)で希釈し、沈殿を遠心分離で集めて乾燥した。無色固体を酢酸(1.5mL)に溶解して、次に亜硝酸ナトリウム(28mg;0.41mmol)を添加した。ピンク色混合物を15分間撹拌し、次にクロロホルム(15mL)及び飽和
重炭酸ナトリウム(30mL)を添加した。オレンジ色層を
単離し、水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に蒸発させて乾燥してBoc−保護化テトラジンをピンク色固体として得た(19、70mg;35%)。この化合
物(12mg;0.035mmol)をクロロホルム(1mL)に溶解して、次ぎにTFA(1mL)を添加した。混合物を15分間撹拌して、ジエチルエーテル(15mL)で沈殿させた。ピンク色沈殿をろ過して分離し、洗浄、乾燥して表題の化合をTFA塩として得た(20、10mg、78%)。
1HNMR(D
2O):δ=5.06(s、4H)ppm.
13CNMR(D
2O):δ=164.5、41.1ppm.HPLC−MS/PDA:クロマトグラムで1ピーク、m/z=141(M+H
+)、λ
max=267及び517nm。
【0191】
2
,2’
,2’’−(10−(2−オキソ−2−(6−オキソ−6−(6−(6−(ピリジン−2−イル)−1
,2
,4
,5−テトラジン−3−イル)ピリジン−3−イルアミノ)ヘキシルアミノ)エチル)−1
,4
,7
,10−テトラアザシクロドデカン−1
,4
,7−トリイル)三酢酸(27)及び2
,2’
,2’’−(10−(2−オキソ−2−(11−オキソ−11−(6−(6−(ピリジン−2−イル)−1
,2
,4
,5−テトラジン−3−イル)ピリジン−3−イルアミノ)ウンデシルアミノ)エチル)−1
,4
,7
,10−テトラアザシクロドデカン−1
,4
,7−トリイル)三酢酸(28)の合成
【0192】
【化48】
5−アミノ−2−シアノピリジン21(1.02g;8.60mmol)、N−Boc−6−アミノ−ヘキサン酸22(0.99g;4.30mmol)、DCC(1.77g;8.60mmol)、DMAP(1.05g;8.60mmol)、及びPPTS(0.37g;1.47mmol)をクロロホルム(15mL)中に懸濁させた。混合物を室温で18時間撹拌し、
蒸発乾燥させ、次にアセトニトリル(20mL)中で撹拌した。沈殿をろ過して除き、次にろ液を蒸発させて乾燥し、クロロホルム(20mL)に溶解して、次に水
性クエン酸(15mL 0.5M)、水性炭酸水素カリウム(15mL、1M)及び水(15mL)のそれぞれで洗浄した。
有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製して生成物23を白色固体として得た(0.95g;61%)。
MS(ESI、m/z):計算値C
17H
25N
4O
3+([M+H]
+):333.19
、実測値:333.17。
【0193】
Tert−ブチル6−(6−シアノピリジン−3−イルアミノ)−6−オキソヘキシルカーバメート23(0.70g;2.1mmol)、2−シアノピリジン(0.87g;8.4mmol)、ヒドラジン水和物(1.25g;20mmol)をエタノール(2mL)中に溶解し、次に硫黄(0.22g;7mmol)を添加した。混合物を70℃で、アルゴン不活性雰囲気下で2時間撹拌し、次に50℃で16時間撹拌した。オレンジの懸濁物をクロロホルム(10mL)で希釈し、次に得られた溶液を水(2回、15mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、クロロホルム/アセトン=4:1)で精製し
て生成物24をオレンジ色固体として得た(0.65g;66%)。MS(ESI、m/z):計算値C
23H
31N
8O
3+([M+H]
+):467.25、実測値:467.33。
【0194】
Tert−ブチル6−オキソ−6−(6−(6−(ピリジン−2−イル)−1
,2−ジヒドロ−1
,2
,4
,5−テトラジン−3−イル)ピリジン−3−イルアミノ)ヘキシルカーバメート24(0.30g;0.64mmol)をTHF(1.5mL)に溶解し、酢酸(2mL)を添加した。亜硝酸ナトリウム(0.25g;3.62mmol)を水(1mL)に溶解、滴下した。赤色溶液を
水性炭酸水素カリウム(50mL;1M)に
注ぎ入れて、次に生成物をクロロホルム(50mL)で抽出した。
有機相を水(50mL)で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾燥させて、生成物
25を紫
色固体として得た(0.25g;83%)。
MS(ESI、m/z):計算値C
23H
29N
8O
3+([M+H]
+):465.23、実測値:465.42。
【0195】
tert−ブチル6−オキソ−6−(6−(6−(ピリジン−2−イル)−1
,2
,4
,5−テトラジン−3−イル)ピリジン−3−イルアミノ)ヘキシルカーバメート25(66mg;0.14mmol)を
クロロホルム(6mL)に溶解し、次にTFA(6mL)を添加した。溶液を室温で2時間撹拌し、次に蒸発乾燥させて生成物26をTFA塩として得た(52mg;100%)。MS(ESI、m/z):計算値C
18H
21N
8O
+([M+H]
+):365.19、実測値:365.33。
【0196】
6−アミノ−N−(6−(6−(ピリジン−2−イル)−1
,2
,4
,5−テトラジン−3−イル)ピリジン−3−イル)ヘキサンアミド26(52mg;0.14mmol)をDMF(2.5mL)中に溶解し、次にDIPEAを添加した(320mg;2.0mmol)。N−ヒドロキシスクシンイミド活性化DOTA(161mg;0.2mmol)を添加し、次に混合物を室温で5時間撹拌した。溶液を蒸発乾燥させ、粗生成物をアセトニトリルと水の混合物に溶解し、分取用RP−HPLCで精製した。凍結乾燥後、精製された
純粋生成物27を、ピンクの綿状固体として得た(80mg、収率76%)。
1H−NMR(D
2O中30%アセトニトリル−d
3):δ=8.90(m、2H、ArH)、8.68(d、1H、ArH)、8.60(dd、1H、ArH)、8.31(m、1H、ArH)、8.24(t、1H、ArH)、7.82(t、1H、ArH)、3.80(brs、6H、NCH
2COOH)、3.72(brs、2H、NCH
2CONH)、3.34−3.23(brm、18H、NCH
2CH
2N、CH
2NHCO)、2.49(t、2H、NHCOCH
2)、1.70(m、2H、NHCOCH
2CH
2)、1.59(m、2H、CH
2CH
2NHCO)、1.41(m、2H、CH
2CH
2CH
2NHCO)ppm.
13C−NMR(D
2O中30%アセトニトリル−d
3):δ=175.5、171.5(br)、162.6、162.5、150.1、148.1、142.9、141.6、139.6、138.4、128.0、127.9、125.4、124.8、55.4、54.3(br)、49.4(br)、39.4、36.5、28.2、25.9、24.6ppm。ESI−MS:m/z、C
34H
47N
12O
8+([M+H]
+):751.37;実測値[M+H]
+751.58、[M+Na]
+773.50、[M+2H]
2+376.42、[M+3H]
3+251.33。FT−IR(ATR):ν=3263、3094、2941、2862、1667、1637、1582、1540、1460、1431、1395、1324、1296、1272、1251、1226、1198、1128、1087、1060、1020、992、977、920、860、831、798、782、742、718、679、663cm
−1。
【0197】
28については、2
,2’
,2’’−(10−(2−オキソ−2−(6−オキソ−6−(6−(6−(ピリジン−2−イル)−1
,2
,4
,5−テトラジン−3−イル)ピリジン−3−イルアミノ)ヘキシルアミノ)エチル)−1
,4
,7
,10−テトラアザシクロドデカン−1
,4
,7−トリイル)三酢酸(27)の合成と同じ合成手順を用いた。凍結乾燥後、
純粋生成物28をピンク色綿状固体として得た(90mg、収率78%)。
1H−NMR(DMSO−d
6):δ=10.65(s、1H、NH)、9.06(d、1H、ArH)、8.93(d、1H、ArH)、8.61(t、2H、ArH)、8.44(dd、1H、ArH)、8.16(t、2H、ArH、NH)、7.73(dd、1H、ArH)、3.51(brs、6H、NCH
2COOH)、3.28(brs、2H、NCH
2CONH)、3.06(q、2H、CH
2NHCO)、3.34−3.23(brm、16H、NCH
2CH
2N)、2.43(t、2H、NHCOCH
2)、1.64(m、2H、NHCOCH
2CH
2)、1.42(m、2H、CH
2CH
2NHCO)、1.38−1.22(m、12H、CH
2)ppm.。
13C−NMR(DMSO−d
6):δ=173.0、171.0(br)、169.1(br)、163.5、163.2、151.0、150.6、144.2、141.7、139.1、138.2、127.0、126.5、125.3、124.6、57.3(br)、55.2(br)、50.7、39.0、36.8、29.5、29.4、29.3、29.19、29.17、29.1、26.9、25.3ppm。ESI−MS:m/z計算値C
39H
57N
12O
8+([M+H]
+):821.44;実測値[M+Na]
+843.58、[M+H]
+821.58、[M+2H]
2+411.42、[M+3H]
3+274.67。FT−IR(ATR):ν=3261、3067、2925、2851、1633、1583、1541、1458、1433、1394、1324、1298、1270、1249、1228、1200、1165、1128、1088、1059、1016、991、920、885、860、832、798、782、764、742、719、687、661cm
−1。
【0198】
DOTA−テトラジンアクチベータ29
【0199】
【化49】
テトラジン29はRobillardらにより詳細に記載されている(Angew.Chem.、2010、122、3447−3450)。これはまた、本発明のアクチベータとして使用され得る構造の一例である。1
,2
,4
,5−テトラジン部分の2−ピリジル基の1つのアミド官能基は電気供与基であり、又両方のピリジン基は電子吸引性であると考えられている
。テトラジンは従ってやや電子不足とみられる。
【0200】
アクチベータ29は好適な好ましい薬物的性質を示す:29は、PBS溶液中で
かなり安定であり、2時間以内ではほとんど分解されず、一晩インキュベーション後でもなおほとんど変化しない;マウスでは血液除去(クリアランス)
半減期が10分である;マウスでの部分分布容量(Vd)は、細胞内に有意に入らないことから全細胞外水
コンパートメントに対応する。アクチベータ29は、DOTAリガンドを含み、かかるリガンドは、種々のイメージングモダリティ(例えばMRI、SPECT)で有用である。従って、アクチベータ29は、薬物放出に好適のみならず、同時にイメージング目的でも使用され得る。事実、アクチベータ29は、
111In
3+と錯体化後、SPECT/CTイメージングプローブとして使用されてきた。さらに詳細については、Robillardらの文献を参照のこと(Angew.Chem.、2010、122、3447−3450)。
【0201】
留意すべきことは、アクチベータ27から29に含まれるアミノ−1
,2
,4
,5−テトラジン部分は、糖、PEG、ポリマー、ペプチド(RGD又はc−RGDなど)、タンパク質、蛍光分子又は色素分子などの一連の追加官能基と共役するために使用され得る、ということである。
【0202】
実施例2
(E)−シクロオクテンモデルプロドラッグ
類の合成及びプロドラッグ
類
(E)−シクロオクテン−2−オール(31)、(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)、及び(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3
,5−ジメチルフェニル)カーバマート(33)の合成
【0203】
【化50】
(E)−シクロオクタ−2−エノール(31)の合成
(Z)−シクロオクタ−2−エノール
30(2.36g、14.0mmol)及びメチルベンゾエート(1.8mL、1.94g、14.3mmol、1.0当量)のジエチルエーテル/ヘプタン1:2(500mL)溶液を32時間照射し、一方でそれをシリカ/硝酸銀10:1(41g)、シリカ(0.5cm)及びサンド(0.5cm)を充填したカラムを通じて連続的に導入した
。カラムは、照射の間暗所に置かれた
。カラムはジクロロメタン(
250mL)で未反応出発物を溶出した
。シリカを、ジクロロメタン/12.5%
水性アンモニア1:1(3x100mL)と共に撹拌した。有機層を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して真空乾燥して粗生成物31を灰色油状物として得た
。油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、
溶離液ペンタン/ジエチルエーテル10%から50%)で精製して(E)−シクロオクタ−2−エノール31(
メジャー(major)異性体、第2画分、440mg、3.49mmol、24.9%)を無色油状物として、及び(E)−シクロオクタ−2−エノール31(
マイナー(minor)異性体、第1画分、325mg、2.58mmol、18.4%)を無色油状物として得た。
メジャージアステレオマーは、G.H.Whitham、M.WrightによるJ.Chem.Soc.(C)1971、883に記載された、異なる経路で製造された(1RS、2RS)−トランス−シクロオクタ−2−エン−1−オールと同一である。
マイナージアステレオマーは、G.H.Whitham、M.Wrightが異なる経路で合成された(J.Chem.Soc.(C)1971、886)(1SR
,2RS)−トランス−シクロオクタ−2−エン−1−オールと同一である。
マイナー(minor)
ジアステレオマーは、G.H.Whitham、M.Wright、J.Chem.Soc.(C)1971、886により、異なる経路で製造された(1SR,2RS)−トランス−シクロオクタ−2−エン−1−オールと同一である。:
1H−NMR(CDCl
3、300MHz)δ=0.71−0.82(m、1H)、1.05−1.17(m、1H)、1.43−1.72(m、4H)、1.80−2.09(m、4H)、2.45−2.52(m、1H)、4.61(s、1H)、5.54−5.61(m、1H)、5.90−6.00(m、1H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3、75MHz)δ=23.35、29.42、36.08、36.27、43.40、71.40、130.78、135.39ppm。
メジャー異性体:
1H−NMR(CDCl
3、300MHz)δ=0.64−0.90(m、2H)、1.31−1.51(m、2H)、1.66−1.95(m、4H)、2.06−2.14(m、1H)、2.22−2.37(m、1H)、2.78(br、1H)、4.15−4.23(m、1H)、5.45−5.65(m、2H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3、75MHz)δ=27.83、29.28、30.52、35.58、36.05、44.48、131.86、136.00ppm。
【0204】
留意:参考文献は、WhithamらのJ.Chem.Soc.(C)、1971、883−896であり、
当該文献は、トランス−シクロ−オクタ−2−エン−オール
の、(1RS,2RS)及び(1SR,2RS)
とそれぞれ同
定される、エ
クアトリアル及びアキシ
アル異性体の合成及び性質
を記載
する。これらの異性体
において、OH置換基は、エ
クアトリアル又はアキシ
アルのいずれかである。
メジャー(major)及び
マイナー(minor)異性体は、それぞれエ
クアトリアル及びアキシ
アル異性体を意味する。以下の実施例を通じて、
メジャー/エ
クアトリアル及び
マイナー/アキシ
アルはトランス−シクロ−オクタ−2−エン−オール
誘導体について相互に交換可能に使用され、及びこの特徴は、親化合物トランス−シクロオクタ−2−エノールの前記特徴に基づくものである。
【0205】
(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(メジャー異性体)(32)の合成
(E)−シクロオクタ−2−エノール31(
メジャー異性体100mg、0.792mmol)のジクロロメタン(6mL)溶
液に、ベンジルイソシアネート(101μL、110mg、0.826mmol、1.04当量)及び
1滴のトリ
エチルアミンを
添加した
。フラスコをアルミニウムホイルでカバーし
、溶液を室温で窒素雰囲気下一晩撹拌した。反応混合物を蒸発させて主に出発材料を得た。ベンジルイソシアネート(200μL、220mg、1.65mmol、2.08当量)及び一滴のトリエチルアミンをジクロロメタン(6mL)に添加し
、溶液を室温で一晩撹拌し、50℃で1時間、及び25から35℃で
週末の間撹拌した。揮発物をバルブ−バルブ蒸留(50℃、2時間)で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、カーバメート32(101mg、0.389mmol、49.2%)を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl
3、300MHz)δ=0.81−0.86(m、2H)、1.35−1.55(m、2H)、1.82−1.99(m、4H)、2.21−2.30(m、1H)、2.38−2.47(m、1H)、4.36(d、5.8Hz、2H)、4.96(br、1H)、5.08−5.20(m、1H)、5.48−5.57(m、1H)、5.71−5.82(m、1H)、7.26−7.36(M、5H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3、75MHz)δ=27.69、29.25、35.68、35.76、35.83、41.32、44.53、78.33、100.02、127.65、127.78、128.86、132.03、133.31、138.88ppm。
【0206】
(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(
マイナー異性体)(32)の合成
(E)−シクロオクタ−2−エノール31(
マイナー異性体100mg、0.792mmol)のジクロロメタン(6mL)中
溶液にベンジルイソシアネート(101μL、110mg、0.826mmol、1.04当量)及びトリエチルアミン一滴を添加した。フラスコをアルミニウムホイルでカバーし、溶液を窒素雰囲気下で室温で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発させて主に出発材料を得た。ベンジルイソシアネート(200μL、220mg、1.65mmol、2.08当量)及
びジクロロメタン(6mL)
中のトリエチルアミン一滴を添加し
、溶液を室温で一晩撹拌し、50℃で1時間、及び25から35℃で
週末の間撹拌した。揮発物をバルブ−バルブ蒸留(50℃、2時間)で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、カーバメート32(43mg、0.166mmol、20.9%)を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl
3、300MHz)δ=0.74−0.93(m、2H)、1.01−1.14(m、1H)、1.41−1.57(m、1H)、1.62−1.76、2H)、1.84−2.12(m、3H)、2.46−2.49(m、1H)、4.40(d、J=6.0Hz、2H)、5.05(br、1H)、5.40(s、1H)、5.52−5.59(m、1H)、5.79−5.89(m、1H)、7.31−7.36(m、5H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3、75MHz)δ=24.34、29.33、36.13、36.20、40.97、45.30、74.33、127.67、127.85、128.87、131.72、131.99、138.87、156.11ppm。
【0207】
(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3,5−ジメチルフェニル)カーバメート(
メジャー異性体)(33)の合成
(E)−シクロオクタ−2−エノール31(
メジャー異性体260mg、2.06mmol)のジクロロメタン(12mL)中
溶液にジクロロメタン(3mL)中の3
,5−ジメチルフェニルイソシアネート(305μL、318mg、2.16mmol、1.05当量)及びトリエチルアミン数滴を添加した。フラスコをアルミニウムホイルでカバーし、溶液を窒素雰囲気下で29℃で
四晩
にわたり撹拌した。反応混合物を蒸発させ、0.57gのオフホワイトの固体を得た
。残渣を
カラムクロマトグラフィー(シリカ、30mL、溶出酢酸エチル/ヘプタン5から10%)
により精製して
、部分的に精製されたカーバメート33を得た(94mg)
。生成物をさらにカラムクロマトグラフィー(シリカ、30mL、溶出液酢酸エチル/ヘプタン5%)で精製し、カーバメート33を白色固体として得た(72mg、0.263mmol、収率12.8%、約10%のZ−異性体を含む)。
1H−NMR(CDCl
3、300MHz)δ=0.79−0.98(m、2H)、1.28−2.02(m、4H)、1.80−2.07(m、3H)、2.30(s、6H)、2.42−2.50(m、1H)、5.13−5.22(m、1H)、5.55−5.87(m、2H)、6.49(br、1H)、6.71(s、1H)、7.04(s、2H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3、75MHz)δ=21.61、27.67、29.24、35.70、35.84、41.21、79.34、116.59、125.22、131.83、133.51、138.11、138.50、153.43ppm。
【0208】
(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3,5−ジメチルフェニル)カーバメート(
マイナー異性体)(33)
(E)−シクロオクタ−2−エノール31(
マイナー異性体、Z異性体も含む、260mg、2.06mmol)のジクロロメタン(12mL)溶液中に、ジクロロメタン(3mL)中の3,5−ジメチルフェニルイソシアネート(305μL、318mg、2.16mmol、1.05当量)と数滴のトリエチルアミンを添加した
。フラスコをアルミニウムホイルでカバーし、溶液を窒素雰囲気下、30℃で2晩撹拌し、50℃で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発させて0.54gの黄色固体を得た
。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、40mL溶出液酢酸エチル/ヘプタン5%)で精製し、部分的に精製されたカーバメート33を得た(20mg)。生成物をさらに真空中(0.08ミリバール)で40℃で3時間及び室温で一晩精製して、カーバメート33(11mg、0.040mmol、2.0%)を淡黄色半固体として得た。
1H−NMR(CDCl
3、300MHz)δ=0.78−0.90(m、1H)、1.07−2.18(m、8H)、2.30(s、6H)、2.45−2.53(m、1H)、5.42(s、1H)、5.56−5.62(m、1H)、5.83−5.94(m、1H)、6.60(s、1H)、6.71(s、1H)、7.03(s、2H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3、75MHz)δ=21.64、24.42、29.43、36.77、40.19、74.46、116.47、118.77、125.35、131.34、132.31、138.00、138.91ppm。
【0209】
(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(4−ニトロフェニル)カーボナート(34)の合成
【0210】
【化51】
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エノール31(304mg、2.41mmol)の15mLジクロロメタン溶液を、氷冷した。4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(1.16g、9.50mmol)を添加し、次に4−ニトロフェニルクロロホ
ルメート(0.90g、4.46mmol)を添加した。溶液を一晩撹拌し、次にこれを20gシリカカラム
上に注いだ。ジクロロメタンで溶出し、次に5%TBMEを含有するジクロロメタンで溶出した。生成物画分を合わせてロータリーエバポレーターで蒸発させて、
マイナー34を固化油状物として得た(338mg、1.16mmol、48%)。
同様に、
10mLジクロロメタン中のメジャー(E)−シクロオクタ−2−エノール31(259mg、2.06mmol)
から、4−(N
,N−ジメチルアミノ)ピリジン(1.11g、9.09mmol)及び4−ニトロフェニルクロロホーメート(0.85g、4.22mmol)を用いて、
メジャー−34を固化油状物として得た(234mg、0.80mmol、39%)。
1H−NMR、
マイナー34(CDCl
3):δ=0.9(m、1H)、1.25(m、1H)、1.5−2.2(m、6H)、2.25(dd、1H)、2.6(m、1H)、5.45(s、1H)、5.6(dd、1H)、6.0(m、1H)、7.4(d、2H)、8.3(d、2H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3)
:δ=24.0、29.0、36.0、36.0、40.6(全てのCH
2)、79.0、122.0、125.8、129.8、133.2(全てのCH)、145.4、151.8、156.0(C及びC=O)ppm。
1H−NMR、
メジャー34(CDCl
3):δ=0.8−1.0(m、2H)、1.4−2.1(m、6H)、2.35(m、1H)、2.45(m、1H)、5.2(m、1H)、5.65(m、1H)、5.85(m、1H)、7.4(d、2H)、8.3(d、2H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3):δ=27.8、29.0、35.8、36.0、40.4(全てのCH
2)、83.0、121.8、125.0、130.4、134.4(全てのCH)、145.8、152.0、156.0(C及びC=O)ppm。
【0211】
(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)カーバメート(35)の合成
【0212】
【化52】
マイナーアルコー
ル31(136mg、0.467mmol)から誘導され
るPNP−誘導体34は7.5gTHF中に溶解された。ジイ
ソプロピルエチルアミン(182mg、1.41mmol)を添加し、次に1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(24mg、0.178mmol)及び4−アミノベンジルアルコール(94mg、0.76mmol)を添加した。混合物を暗所で約30℃で6日間撹拌した
。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を20gのシリカ
上でクロマトグラフィーした(溶出液として、TBMEを徐々に増
量し
ながらジクロロメタンを使用する)。生成物を約5%TBMEで溶出した。生成物画分をロータリーエバポレーターで蒸発させて、生成物
マイナー35を粘性油状物として
残した(112mg、0.407mmol、87%)。
【0213】
同様に、6.0gTHF中の
メジャーアルコール31(145mg、0.498mmol)から誘導され
たPNP−誘導体34を、ジイソプロピルエチルアミン(210mg、1.63mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(34mg、0.251mmol)及び4−アミノベンジルアルコール(128mg、1.04mmol)と3日間約30℃で反応させた。ロータリーエバポレーターで蒸発させ、クロマトグラフィーにより、生成物
メジャー35を粘性油状物として得た(110mg、0.40mmol、80%)。
1H−NMR、
マイナー35(CDCl
3):δ=0.8(m、1H)、1.1(m、1H)、1.45(m、1H)、1.6−2.2(m、6H)、2.4(m、1H)、4.6(s、2H)、5.4(s、1H)、5.55(dd、1H)、5.85(m、1H)、7.15(bs、1H)、7.2−7.4(AB、4H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3):δ=24.2、29.0、36.0、36.0、41.0、65.0(全てCH
2)、75.0、119.0、128.0、131.0、132.6(全てのCH)、136.0、138.0、153.6(C及びC=O)ppm。
1H−NMR、
メジャー−35(CDCl
3):δ=0.8−1.0(m、2H)、1.4−2.1(m、6H)、2.3(m、1H)、2.45(m、1H)、4.65(s、2H)、5.2(m、1H)、5.6(m、1H)、5.8(m、1H)、6.6(bs、1H)、7.45−7.65(AB、4H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3):δ=27.4、29.2、35.8、36.0、41.2、65.0(全てのCH
2)、79.8、119.0、128.2、132.0、134.0(全てのCH)、136.0、137.8、153.6(C及びC=O)ppm。
【0214】
マイナー(E)−エチル 2−(4−(((シクロクオクタ−2−エン−1−イルオキシ)カルボニル)アミノ)フェニル)−2−((((2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ)カルボニル)オキシ)アセテート(37)の合成
【0215】
【化53】
メジャーアルコール31(300mg、1.03mmol)から誘導され
るPNP−3誘導体34を10.3gのTHFに溶解
した。ジイソプロピルエチルアミン(362mg、2.80mmol)を添加し、次に1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(75mg、0.556mmol)とエチル2−(4−アミノフェニル)−2−ヒドロキシアセテート(325mg、1.67mmol、国際公開第2009109998号に記載の方法で製造した)を添加した。混合物を暗所で30℃で6日間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで
除去し、残渣を21gのシリカ
上で、溶出液
としてTBMEを徐々に増
量しならジクロロメタンを使用してクロマトグラフィーした。生成物は
約5%TBMEで
溶出された。生成物画分をロータリーエバポレーターで蒸発させて、
マイナー(E)−エチル2−(4−(((シクロオクタ−2−エン−1−イルオキシ)カルボノニル)アミノ)フェニル)−2−ヒドロキシアセテート(36)を粘性油状物として得た(350mg、1.01mmol、99%)。
1H−NMR(CDCl
3):δ=0.8(m、1H)、1.1(m、1H)、1.2(t、3H)、1.4−2.2(m、7H)、2.5(m、1H)、4.1−4.3(2q、2H)、5.1(s、1H)、5.45(s、1H)、5.55(dd、1H)、5.85(m、1H)、6.7(bs、1H)、7.3−7.45(AB、4H)ppm。
【0216】
上で得られた生成物36(80mg、0.23mmol)を4.1gのアセトニトリルに溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン(215mg、1.67mmol)を添加し、次にN、N’−ジスクシニミジルカーボネート(217mg、0.85mmol)を添加した。溶液を2日間
約30℃で撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させ、残渣を16gのシリカ
上で、溶出液
として、TBMEを徐々に増量しながらジクロロメタ
ンを使用してクロマトグラフィーを行った。生成物は約20%TMBEで溶出した。生成物画分をロータリーエバポレーターで蒸発させて、生成物
マイナー(E)−エチル2−(4−(((シクロオクタ−2−エン−1−イルオキシ)カルボニル)アミノ)フェニル)−2−((((2、5−ジオキシピロロジン−1−イル)オキシ)カルボニル)オキシ)アセテート(37)を粘性油状物として得た(60mg、0.123mmol、53%)。
1H−NMR(CDCl
3):δ=0.8(m、1H)、1.1(m、1H)、1.2(t、3H)、1.4−2.2(m、7H)、2.5(m、1H)、2.6(s、4H)、4.15−4.3(2q、2H)、5.4(s、1H)、5.55(dd、1H)、5.8(s)及び5.85(m)(2H)、6.7(bs、1H)、7.35−7.5(AB、4H)ppm。
【0217】
(E)−シクロオクテンドキソルビシンプロドラッグ(38)の合成
【0218】
【化54】
マイナーアルコール31(20mg、0.0687mmol)から
のPNP−誘導体34を3.0gのDMFに溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(80mg、0.62mmol)を添加し、次にドキソ
ルビシン塩
酸塩(45mg、0.0776mmol)を添加した。混合物を暗所で
約30℃で3日間撹拌した。溶媒を高真空下蒸発させ、残渣を17gのシリカ上で、溶出液
として、メタノールを徐々に増量しながらジクロロメタン
を使用してクロマトグラフィーを行った。
生成物画分をロータリーエバポレーターで蒸発させ、残渣を5mL TMBEとともに撹拌した。15mLヘプタン
の添加
及び濾過後、
マイナー38を得た(27mg、0.039mmol、50%)。ろ液には
追加量の生成物が含まれていた。
【0219】
同様に、7.2gのDMF中の
メジャーアルコール31(22mg、0.0756mmol)から
誘導されるPNP−誘導体34から、ジイソプロピルエチルアミン(80mg、0.62mmol)及びドキソルビシン
塩酸塩(47.7mg、0.0822mmol)
との反応後、高真空下で
の溶媒
の除去、クロマトグラフィー、
及びTBME/ヘプタン処理が続き、
メジャー−38が得られた(21mg、0.030mmol、30%)。ろ液には
追加量の生成物が含まれていた。
1H−NMR、
マイナー38(CDCl
3):δ=0.7−2.0(m)及び1.35(d)(18H)、2.2(m、2H)、2.4(m、2H)、3.0−3.4(dd、2H)、3.65(s、1H)、3.9(m、1H)、4.1(s+m、4H)、4.8(s、1H)、5.05(m、1H)、5.2−5.85(m、2H)、7.4(d、1H)、7.8(t、1H)、8.05(d、1H)ppm。
1H−NMR、
メジャー−38(CDCl
3):δ=0.7−2.0(m)and1.35(d)(18H)、2.2(m、2H)、2.4(m、2H)、3.0−3.4(dd、2H)、3.65(s、1H)、3.9(m、1H)、4.1(s+m、4H)、4.8(s、1H)、5.0(m、1H)、5.3−5.8(m、2H)、7.4(d、1H)、7.8(t、1H)、8.05(d、1H)ppm。MS:694.3(M−1)。
【0220】
(E)−シクロオクテン−ドキソルビシンプロドラッグ46の合成
【0221】
【化55】
n−ブチルリチウム(97mL、ヘキサン中2.5N、0.242mol)を100mL中のジイソプロピルアミン(23.66g、0.234mol)
に−20℃
より低い温度で加えた。溶液を冷却し、60mL THF中
に溶解したシクロオクタ−2−エノン(39、23.07g、0.185mol)を、20分かけて、−65℃から−80℃で添加した。溶液を1時間−67℃から−72℃で撹拌した。
40mLのTHFに溶解したエチルブロモアセテート(45.4g、0.272mol)
を、25分かけて−63℃から−75℃で添加
した。得られた混合物を3時間−55℃から−70℃で撹拌した。ヘプタン(50mL)を−60℃で添加し、次に100mLの(冷却)水中の40gの塩化アンモニウムを添加し、次に温度を−70℃から−30℃へ上げた。冷却浴を外し、混合物をさらに30分間撹拌し、
それにより温度を−15℃
に上げた。混合物を200mLのTBME及び50mLの水中に
注ぎ入れ、層分離させ、有機層を50mLの水で洗浄した。
連続した水
性層を
250mL TBMEで抽出した。有機層を乾燥しロータリーエバポレーターで蒸発させた。過剰のエチルブロモアセテートを高真空下、クーゲルロール装置
内で温めることにより除去した。
(Z)−エチル2−(2−オキソシクロオクタ−3−エン−1−イル)アセテート(40)を含む残渣は次のステップなどに使用された。
1H−NMR(CDCl
3):δ=1.25(t、3H)、1.4−2.6(m、9H)、2.9(2d、1H)、3.55(m、1H)、4.15(q、2H)、6.05−6.5(m、2H)ppm。
【0222】
180mLのTHFと20mLのメタノール
との混合物中
の粗製エステル40の溶液を氷冷した。
【0223】
リンタングステン酸(250mg)を添加し、次に温度7℃未満でナトリウムボロヒドリド(4.0g、0.105mol)を一部分ごと30分間にわたり添加した。混合物を氷冷下で90分間撹拌し、次に250mL水及び250mLトルエンを添加した。層
を分離し
、有機層を50mL水で洗浄した。
連続した水
性層を250mLトルエン
で抽出した。有機層を乾燥しロータリーエバポレーターで蒸発させた。粗製41は十分区別できる画分を生成せず、従って全ての物質を一緒にして、200mLエタノール中の25mLの50%水酸化ナトリウムで(さらに25mL水を
処理中に添加した)、2時間還流することで加水分解した。エタノールの大部分をロータリーエバポレーターで蒸発させた。水を適量残渣に加えた。混合物を2x200mLのトルエンで抽出した。有機層を50mLの水で洗浄した。トルエン(200mL)を
、濃塩酸で酸性化した合わせた水
性層に加えた
。層を分離し、有機層を20mLの水で洗浄した。200mLのトルエンで
連続した水
性層を抽出した
。2つの有機層を乾燥してロータリーエバポレーターで蒸発させた。クーゲルロール蒸留
でラクトン42を2つの異性体の約2:1比の混合物として得た(7.33g、44.1mmol、シクロオクタ−2−エノンに基づき24%)。
1H−NMR(CDCl
3):δ=1.2−2.6(m、10H)、2.6−2.8(m、1H)、4.95(m、0.35H)、5.35(m、0.65H)、5.6(m、1H)、5.85(m、1H)ppm.
13C−NMR(CDCl
3):δ=24.1、25.2、27.0、28.0、29.2、29.6、34.4、36.8(全てのCH
2)、43.5、47.2、80.8、81.9(allCH)、126.4、129.6、130.2、134.2(全てのCH)、176.4(C=O)、177.0(C=O)ppm。
【0224】
前記得られたラクトン42(7.33g、44.1mmol)を10.0gのメチルベンゾエートと約500mLのヘプタン/エーテル(約4:1)と混合した
。混合物を36時間照射し、その間溶液は連続的に、シリカカラム(約6.9g硝酸銀を含む)に
含浸された69gの硝酸銀を通じてフラッシュされた
(flushed)。カラム材料は次に比率3:1、2:1、1:1、1:2の
それぞれ(portions)250mLのヘプタン/TBMEで、次に400mL TBMEでフラッシュされた。最初の2つの画分はメチルベンゾエートのみを含んでいた。最後の
3画分は200mLの10%アンモニウムで洗浄され、乾燥してロータリーエバポレーターで蒸発させた。高真空下でほとんどのメチルベンゾエートを蒸発させた後、合わせた残渣は800mg(Z及びE異性体混合物とメチルベンゾエート)であった。残りカラム材料をTBMEとアンモニウムと共に撹拌し、次にろ過して相分離させた
。固体を2回以上水
性層及びTBMEで処理し、次にろ過して、層分離させた
。有機層を乾燥しロータリーエバポレーターで蒸発させて43を3.70g(約4:1の異性体混合物、それぞれの異性体は
おそらく2つのE−異性体
からなる)得た(22.29mmol、51%)。
1H−NMR(CDCl
3):δ=0.8−2.75(m、10.6H)、3.0(m、0.4H)、4.45(t、0.2H)、5.0(m、0.8H)、5.6(dd、0.5H)、5.65(m、0.5H)、5.8(m、0.5H)、6.05(m、0.5H)ppm。
【0225】
回収された
メジャー異性体(以下の実
験を参照)は次のデータを持つ:
1H−NMR(CDCl
3):δ=0.8−2.75(m、10.6H)、3.0(m、0.4H)、t、0.2H)、4.95(m、1H)、5.6(dd、0.8H)、5.65(m、0.3H)、5.8(m、0.3H)、6.05(m、0.6H)ppm。
13C−NMR(CDCl
3):δ=21.6、25.8、30.0、30.4、33.0、34.8、35.4、36.0、38.0(全てのCH
2)、46.0、47.0、80.8、84.0(全てのCH)、128.2、131.4、133.0、134.0(全てのCH)、177.2(C=O)、177.4(C=O)ppm
。シグナル比率は約2:1異性体比であった。
【0226】
ジイソプロピルエチルアミン(5.91g、45.8mmol)をラクトン43(865mg、5.21mmol)の15mLジクロロメタン
溶液に
添加し、次にベータアラニンエチルエステル
塩酸塩(1.38g、8.98mmol)を添加する。混合物を16日間室温で撹拌し、次に
55℃でロータリーエバポレーター
にかけた。残渣を50gのシリカ
上で、ジクロロメタンを溶出液として
用いてクロマトグラフィーを行った。これにより出発物
ラクトン43を得た(
メジャーE−異性体、C−NMRで明らかに2つの異性体の混合物であった)。メタノールを増
量しながら含有するジクロロメタンを用いる
さらなる溶出でアミド44を得た。生成物は75mL TBME
内に取り出され、25mL水中の5gのクエン酸
で、及び2x10mL水を用いて洗浄した。50mLのTBMEを用いて連続
した水
性層を抽出した。
合わせた有機層を乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて
、異性体混合物からなるアミド44を得
た(360mg、1.27mmol、24%)。
1H−NMR(CDCl
3):δ=0.8−2.7(m)、1.25(t)、2.45(t)(16H)、3.5(q、2H)、3.9(t、0.5H)、4.15(q、2H)、4.35(m、0.5H)、5.5−5.9(m、2H)、6.2−6.5(2bt、1H)ppm。
13C−NMR(CDCl
3)(1組の異性体が濃縮された画分のシグナル):δ=14.3(CH
3)、22.4、27.8、29.9、33.0、34.0、34.1、34.2、34.5、35.3、35.3、35.5、35.7、36.1、36.2、41.7(全てのCH
2)、46.2(CH)、51.6(CH)、60.9(CH
2)、77.1、80.2、131.2、131.7、134.2、135.6全てのCH)、172.7、173.9、175.1(全てのC=O)ppm。
【0227】
アミド44(115mg、0.406mmol、主に1組の異性体)を4.4gのアセトニトリルに溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(370mg、2.87mmol)を添加し、次にN、N’−ジスクシニミジルカーボネート(355mg、1.38mmol)を添加した。この溶液を2日間約30℃で撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させ、残渣を16gのシリカ
上で、
溶出液として徐々にTBMEを増
量しながらジクロロメタン
を用いてクロマトグラフィー
にかけた。生成物は約20%のTBMEで溶出された。生成物画分のロータリーエバポレーター蒸発により、粘性油状物としてNHSカーボネート45を得た(150mg、0.353mmol、87%)。
1H−NMR(CDCl
3):δ=0.8−2.6(m)、1.25(t)、2.55(t)(16H)、2.85(q、4H)、3.5(q、2H)、4.15(q、2H)、4.95(t、0.8H)、5.2(dd、0.2H)、5.55−6.0(m、2H)、6.4(bt、1H)ppm。
【0228】
前記得られたNHS−カーボネート45(150mg、0.353mmol)を7.56gのDMFに溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(132mg、1.02mmol)を添加し、次にオキソルビシン
塩酸塩(66mg、0.114mmol)を添加した。混合物を室温で暗所で3時間撹拌した。溶媒を高真空下除去し、残渣を13gのシリカ
上で、
溶出液として徐々にメタノールを増
量子ながらジクロロメタンを
用いてクロマトグラフィー
にかけた。生成物画分のロータリーエバポレーター蒸発により、112mgのプロドラッグ46が得られた。
1H−NMR(CDCl
3、関連するシグナルのみ与えられている):δ=1.25(t)、3.2(m)、3.5(m)、4.05(s)、4.15(q)、4.8(s)、5.2−5.8(m)、6.15(m)、6.25(m)、7.4(d)、7.8(t)、8.0(d)ppm。
場合によりプロドラッグ46は
、エステル官能基をカルボン酸に変換させることで抗体へ共役させることが可能となり、これを次のリジン共役のためにNHSエステルに変換させ得る。
【0229】
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(2
,5−ジオキソピロリジン−1−イル)カーボネート(47)の合成
【0230】
【化56】
N、N’−ジスクシニミジルカーボネート(372mg、1.45mmol)を、マイナーアルコール31(77mg、0.61mmol)、3.33gアセトニトリル及びジイソプロピルエチルアミン(410mg、3.18mmol)
の撹拌された混合物へ添加した
。混合物を25℃で3日間撹拌し
、2日後
追加の120mgのN
,N’−ジスクシニミジルカーボネートを添加した
。溶液を15gのシリカ上で、
溶出液としてジクロロメタン
、及び次いで少量のTBMEを含むジクロロメタン
を用いてクロマトグラフィー
にかけた
。生成物画分をロータリーエバポレーターで蒸発させ、生成物
47を固体として得た(62mg、0.23mmol、38%)。
1H−NMR(CDCl
3):δ=0.8(m、1H)、1.15(m、1H)、1.45−2.15(m、6H)、2.2(dd、1H)、2.55(m、1H)、2.8(s、4H)、5.4(s、1H)、5.5(d、1H)、6.0(m、1H)ppm。
【0231】
実施例3
テトラジンアクチベータの安定性と反応性
テトラジンの加水分解安定性試験
特定のテトラジンのDMSO(25mM)溶液の10μLを
、PBS緩衝液(3mL)(又は、水可溶性が小さい場合にはPBSとアセトニトリル
との混合物)
で希釈
した。この溶液をろ過し、525nm
における吸収
バンドの減少をUVスペクトル
法を用いてモニターした。加水分解速度及び半減期をこれらのデータから決定した。
【0232】
トランス−シクロオクタ−4−エン−1−オール(アキシ
アル異性体)へのテトラジンの反応性
競争実験を実施して、特定のテトラジンと、3−(5−アセタミド−2−ピリジル)−6−(2−ピリジル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(5)(これは標準テトラジンとして選択された)との
反応性比率を、トランス−シクロオクタ−4−エン−1−オール(アキシ
アル位
にOHを持つ「
マイナー」異性体:WhithamらのJ.Chem.Soc.(C)、1971、883−896を参照)との逆電子要求ディールスアルダー反応
において決定した。
【0233】
アセトニトリル(0.100mL)に、DMSO(25mL)
中の特定のテトラジンの溶液の5μL及びDMSO(25mL)
中の標準テトラジンの溶液の5μLを添加した。この混合物を水(0.9mL)で希釈
し、両方のテトラジンの絶対量をHPLC−MS/PDA分析で決定した。続いて、DMSO中のトランス−シクロオクタ−4−エン−オール(アキシ
アル異性体)の溶液(25μL、2.5mM)をゆっくりと添加し、次に混合物を5分間撹拌させた。さらに両方のテトラジンの絶対量をHPLC−MS/PDA分析により決定し、両方のテトラジンについて変換を計算した。これらの変換から、両方のテトラジンの反応性比(R=k
2、TCO/k
2、Ref)が、Ingold及びShawからの数学手順を用いて計算された(J.Chem.Soc.、1927、2918−2926)。
【0234】
以下の表は、テトラジンの反応性と安定性プロフィールは、置換基を変更することで、
特定の仕様に調節することができることを示す。
【0235】
【表1】
実施例4
トランス−シクロオクテンモデルプロドラッグ及びプロドラッグの安定性と反応性
安定性
特定のトランス−シクロオクテン誘導体のジオキサン(25mM)溶液
10μLを
、PBS緩衝液(3mL)で希釈し、及びこの溶液を暗所、20℃で保存した
。TCO化合物の運命をHPLC−MS分析でモニターし、半減期を
推定した。
【0236】
トランス−シクロオクテン誘導体のビス(2−ピリジル)−1
,2
,4
,5−テトラジンへの反応性:二次反応速度定数決定
20℃のアセトニトリル内で行ったトランス−シクロオクテン誘導体と3−(5−アセタミド−2−ピリジル)−6−(2−ピリジル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(5)との
、逆電子要求ディールスアルダー反応の速度論をUV−可視スペクト
ロスコピーを用いて決定した。キュベットをアセトニトリル(3mL)で満たし20℃で平衡した。3−(5−アセタミド−2−ピリジル)−6−(2−ピリジル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(5、2.50´10
−7mol)を添加し、次
にトランス−シクロオクテン誘導体を添加した。λ=540nmでの吸収減衰をモニターし、この曲線から二次反応速度定数k
2を、二次反応
速度論と仮定して決定した。
【0237】
トランス−シクロオクテン誘導体のビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジンの反応性:
競争
実験
競争実験を、特定のトランス−シクロオクテン誘導体と、トランス−シクロオクタ−4−エン−1−オール(アキシ
アル異性体)(これはトランス−シクロオクテンの標準として選択された)と、
3,6−ビス(2−ピリジル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(2)との逆電子要求ディールスアルダーの反応比を決定するために実行された。
【0238】
アセトニトリル(0.05mL)に、ジオキサン中の特定のトランス−シクロオクテン誘導体
溶液(5μL、25mM;1.25x10
−7mol)、
及びジオキサン中
の標準トランス−シクロオクテン
溶液(5μL、25mM;1.25x10
−7mol)を添加した。この混合物を水(0.45mL)で希釈した。次に、
3,6−ビス(2−ピリジル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(2、6.25x10
−8mol)のアセトニトリル(0.05mL)と水(0.45mL)との混合物中の溶液を激しく撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後、混合物をさらに5分間撹拌した。両方のトランス−シクロオクテン誘導体の変換を、HPLC−MS/PDA分析で決定し、これらの変換から、特定のトランス−シクロオクテン誘導体
の反応性比率(R=k
2、TCO/k
2、Ref)を、Ingold及びShawの文献により数学
的手順を用いて計算した(J.Chem.Soc.、1927、2918−2926)。
【0239】
【表2】
実施例5
モデルプロドラッグの活性化(アクティベーション)
この実施例は、1
,2
,4
,5−テトラジンとモデルトランス−シクロオクテンプロドラッグ
との逆電子要求ディールスアルダー反応、及び続くモデル薬物(例えばベンジルアミン)の脱離反応を示す。
【0240】
一般的手順:
3
,6−ビス(2−ピリジニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(2)及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)
【0241】
【化57】
3
,6−ビス(2−ピリジ
ニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(2、5.91x10
−5g;2.5x10
−7mol)を0.2mLのアセトニトリルに溶解し、
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32、アキシ
アル
位にカーバメートを持つ異性体;6.48x10
−5g;2.50x10
−7mol)を添加した。5分後、反応混合物を水(0.8mL)で希釈し、20℃で2
4時間撹拌した。混合物のHPLC−MS分析は脱離生成物(アミノベンジルカーバメートのないrDA付加物)
の形成をm/z=+317Da(M+H
+)
により示し、ベンジルアミンの放出を示した(m/z=+108Da:M+H
+)。
【0242】
6−メチル−3−(4−ブタンアミド−2−ピリジ
ニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン、及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)
【0243】
【化58】
前記一般的手順に従い、両方の
表題化合物を反応させ、HPLC−MSによる分析は脱離
生成物
の形成をるm/z=+339Da(M+H
+)
により示し、
及びベンジルアミン放出(m/z=+108Da:M+H
+)を示した。
【0244】
6−フェニル−3−(4−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)
【0245】
【化59】
前記一般的手順に従い、両方の
表題化合物を反応させ、HPLC−MSによる分析は脱離
生成物
の形成をm/z=+330Da(M+H
+)
により示し、
及びベンジルアミン放出(m/z=+108Da:M+H
+)を示した。
【0246】
6−フェニル−3−(3−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)
【0247】
【化60】
前記一般的手順に従い、両方の
表題化合物を反応させ、HPLC−MSによる分析は脱離生成物
の形成をm/z=+330Da(M+H
+)
により示し、
及びベンジルアミン放出(m/z=+108Da:M+H
+)を示した。
【0248】
6−H−3−(4−アミノメチルフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)
【0249】
【化61】
前記一般的手順に従い、両方の
表題化合物を反応させ、HPLC−MSによる分析は脱離生成物
をm/z=+268Da(M+H
+)
により示し、
及びベンジルアミン放出(m/z=+108Da:M+H
+)を示した。
【0250】
3
,6−ジフェニル−1
,2
,4
,5−テトラジン及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)
【0251】
【化62】
前記一般的手順に従い、両方の
表題化合物を反応させ、HPLC−MSによる分析は脱離生成物
の形成をm/z=+315Da(M+H
+)
により示し、ベンジルアミン放出(m/z=+108Da:M+H
+)を示した。
【0252】
3
,6−ビス(2−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(9)及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)
【0253】
【化63】
3
,6−ビス(2−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(3.34mg;1.26x10
−5mol)を0.5mLのDMSO−d
6に溶解し、次に
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32;3.28mg;1.26x10
−5mol)を添加した。5分後、反応混合物をD
2O(0.2mL)で希釈し、次に20℃で24時間撹拌した。反応混合物の
1H−NMRはベンジルアミン生成を示した:δ=3.86ppm(s、2H、PhC
H2NH
2)。この混合物のHPLC−MS分析は、脱離生成物
の形成(t
r=5.45min(分):m/z=+345Da(M+H
+))、及びベンジルアミン放出(t
r=0.88min:(m/z=+108Da:(M+H
+))を示した。
【0254】
3
,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
,2
,4
,5−
テトラジン(11)及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32)
【0255】
【化64】
3,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(11、6.65x10
−5g;2.50x10
−7mol)を0.5mLのアセトニトリルに溶解し、次に
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルベンジルカーバメート(32;6.48x10
−5g;2.50x10
−7mol)を添加した。2分後、反応混合物を水(0.5mL)で希釈し、20℃で5時間撹拌した。この混合物のHPLC−MS分析は、脱離生成物
の形成を、m/z=+347Da(M+H
+)
により示し、及びベンジルアミン放出(m/z=+108Da:(M+H
+))を示した。
【0256】
3
,6−ビス(2−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(9)及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3
,5−ジメチルフェニル)カーバメート(33)
【0257】
【化65】
3
,6−ビス(2−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(9、6.60x10
−5g;2.50x10
−7mol)をアセトニトリル(0.3mL)に溶解し、混合物をPBS緩衝液で希釈した(0.7mL)。次に、
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3,5−ジメチルフェニル)カーバメート(33、アキシ
アル位置にカーバメートを持つ異性体;6.84x10
−5g;2.50x10
−7mol)を添加した。溶液を20℃で20時間撹拌した。この混合物のHPLC−MS分析は、脱離生成物
の形成(m/z=+345Da(M+H
+))、及び3
,5−ジメチルアニリン放出(m/z=+122Da:(M+H
+))を示した。
【0258】
3
,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(11)及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3
,5−ジメチルフェニル)カーバメート(33)
【0259】
【化66】
3
,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(11、6.65x10
−5g;2.50x10
−7mol)をアセトニトリル(0.2mL)に溶解し、この混合物をPBS緩衝液で希釈した(0.8mL)。次に、
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3
,5−ジメチルフェニル)カーバメート(33;6.84x10
−5g;2.50x10
−7mol)を添加した。溶液を20℃で20時間撹拌した。この混合物のHPLC−MS分析は、脱離生成物
の形成(m/z=+347Da(M+H
+))、及び3
,5−ジメチルアニリン放出(m/z=+122Da:(M+H
+))を示した。
【0260】
3
,6−ジフェニル−1
,2
,4
,5−テトラジン及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3
,5−ジメチルフェニル)カーバメート(33)
【0261】
【化67】
3
,6−ジフェニル−1
,2
,4
,5−テトラジン(5.85x10
−5g;2.50x10
−7mol)をアセトニトリル(0.3mL)に溶解し、混合物をPBS緩衝液(0.7mL)で希釈した。次に、
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3
,5−ジメチルフェニル)カーバメート(33;6.84x10
−5g;2.50x10
−7mol)を添加した。溶液を20℃で20時間撹拌した。この混合物のHPLC−MS分析は、脱離生成物
の形成を、m/z=+315Da(M+H
+)
により示し、及び3
,5−ジメチルアニリン放出(m/z=+122Da:(M+H
+))を示した。
【0262】
3−(2−ピリジル)−6−メチル−1
,2
,4
,5−テトラジン(7)及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3
,5−ジメチルフェニル)カーバメート(33)
【0263】
【化68】
3−(2−ピリジル)−6−メチル−1
,2
,4
,5−テトラジン(7、4.33x10
−5g;2.50x10
−7mol)をPBS緩衝液(1mL)に溶解した。次に、
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イル(3
,5−ジメチルフェニル)カーバメート(33;6.84x10
−5g;2.50x10
−7mol)を添加した。溶液を20℃で20時間撹拌した。この混合物のHPLC−MS分析は、脱離生成物
の形成(m/z=+254Da(M+H
+))、及び3
,5−ジメチルアニリン放出(m/z=+122Da:(M+H
+))を示した。
【0264】
実施例6
ドキソルブシンプロドラッグの活性化
3−(2−ピリジル)−6−メチル−1
,2
,4
,5−テトラジン(7)及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルドキソルビシンカーバメート(38)
【0265】
【化69】
3−(2−ピリジル)−6−メチル−1
,2
,4
,5−テトラジン(7、4.33x10
−6g;2.50x10
−8mol)をPBS緩衝液(1mL)(c=25μM)に溶解した。次に、
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルドキソルビシンカーバメート(38、アキシ
アル
位にカーバメートを持つ異性体;1.74x10
−5g;2.50x10
−8mol)を添加した。溶液を20℃で4時間撹拌した。この混合物のHPLC−MS分析は、脱離生成物
の形成を、m/z=+254Da(M+H
+)
により示し、及びドキソルビシン放出(69%)(m/z=+544Da(M+H
+))及びλ
max=478nmを示した。比較
可能な結果を、濃度2.5及び1.0μMで得た。
【0266】
3−(2−ピリジル)−6−メチル−1
,2
,4
,5−テトラジン(7)及び
メジャー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルドキソルビシンカーバメート(38)
3−(2−ピリジル)−6−メチル−1
,2
,4
,5−テトラジン(7、4.33x10
−6g;2.50x10
−8mol)をPBS緩衝液(1mL)に溶解した(c=25μM)。次に、
メジャー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルドキソルビシンカーバメート(38、
エクアトリアル位にカーバメートを持つ異性体;1.74x10
−5g;2.50x10
−8mol)を添加した。溶液を20℃で16時間撹拌した。この混合物のHPLC−MS分析は、
DA反応の変換率40%を示し、及び脱離生成物
の形成を、m/z=+254Da(M+H
+)
により示し、及びドキソルビシン放出(収率20%)(m/z=+544Da(M+H
+))及びλ
max=478nmを示した。
【0267】
3
,6−ビス(2−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(9)及び
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルドキソルビシンカーバメート(38)
【0268】
【化70】
3
,6−ビス(2−アミノフェニル)−1
,2
,4
,5−テトラジン(9、2.64x10
−6g;1.00x10
−8mol)をアセトニトリル(0.1mL)に溶解した。この混合物をPBS緩衝液(0.9mL)で希釈した。次に、
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルドキソルビシンカーバメート(38;6.96x10
−6g;1.00x10
−8mol)を添加した。溶液を20℃で18時間撹拌した。この混合物のHPLC−MS分析は、脱離生成物
の生成を、m/z=+345Da(M+H
+)
により示し、及びドキソルビシン放出(収率90%)(m/z=+544Da(M+H
+))及びλ
max=478nmを示した。
【0269】
実施例7
ドキソルビシンプロドラッグ
マイナー38及びテトラジン7との細胞増殖アッセイ
A431扁平上皮癌細胞を、10%熱不活性化ウシ胎児血清及びペニシリン及びストレプトマイシン存在0.05%グルタマックス(Invitrogen)を
補充したDMEM(Invitrogen)中で、37℃で、加湿CO
2(5%)インキュベーター内に維持された。実験を開始する24時間前に、細胞を96ウェルプレート(Nunc)に、2500細胞/ウェル密度で植えた。ドキソルビシン(Dox)
とプロドラッグ
マイナー38(DMSO中1mM)及び
テトラジン7(PBS中10mM)を、実験開始直前に、加温培地内で連続希釈
し、及びウェルに添加した(ウェルあたりの最終容積は200μl)
。プロドラッグを、単独
で、又は10μM又は1.5mol当量
(プロドラッグに対して)のテトラジン7との組み合わせのいずれかで添加された。37℃で72時間インキュベーション後、細胞増殖をMTTアッセイで評価した。即ち、メチルチアゾリル
ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)をPBSに5mg/mlで溶解し、0.22μmを通してろ過し、それぞれのウェルに25μlを添加した。37℃で120分間インキュベーション後
、培地を静かに吸
引した。形成されたホルマザン結晶を100μlのDMSOに溶解し
、吸収を560nmでプレートリーダー(BMGLabtech)で測定した。IC
50値(±標準偏差、表参照)を
正規化細胞成長曲線
(図参照)から誘導した(GraphPad Prism(version5.01)
により生成した)
。細胞増殖アッセイは、テトラジン7は毒性ではなく(IC
50>100±μM)かつプロドラッグ38はやや毒性である(IC
50=3.017±0.486μM)
であるのに対し、これらの2
成分の組み合わせはA431細胞に対しては
より高い毒性(テトラジン7の連続希釈を用いるか又は一定量を用いるか、それぞれについて、0.137±0.012±μM及び0.278μ±0.022±μMIC
50)の結果となる
ことを示す。このことは、ドキソルビシンが
、プロドラッグのトランス−シクロオクテン
とテトラジンとの
レトロディールスアルダー反応に続いて放出されることを確認するものである。
【0270】
A431細胞系で決定された、ドキソルビシン(Dox)、テトラジン7による活性化
有りのプロドラッグ38及び無
しのプロドラッグ38、及びテトラジン
単独のIC
50値
【0271】
【表3】
【0272】
【表4】
ドキソルビシン(Dox)、テトラジン7で活性化されたプロドラッグ38、活性化されないプロドラッグ38、及びテトラジン単独の存在下、A431腫瘍細胞で実施された細胞増殖アッセイ
実施例8
(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルNHSカーボネート47で変性させてマスキングした抗体、及び続くテトラジンアクチベータとの反応による抗体活性化
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルNHSカーボネート47と抗体の共役
PBS中のCC49(8mg/mL、62.5μL)
の溶液を6.2μLのDMFに加え、pHを9に1Mの炭酸ナトリウム緩衝液を用いて調節した。次に、
マイナー(E)−シクロオクタ−2−エン−1−イルNHSカーボネート47を新たに乾燥DMFに溶解して添加し(5μg/μL、CC49について40mol当量)、得られた溶液を3時間室温で、暗所で静かに
振盪してインキュベーションした。インキュベーション後、反応混合物をPBSで500μLに希釈し、未反応47を、PBSで前平衡化させたZeba脱塩スピンカラム(40kDaMWカット
オフ、Pierce)で除去した。得られたmAb溶液の濃度は、UV−V
is(Nanodrop)で測定され、生成物の純度及び完全性をSDS−PAGEで評価した
。共役物収率はテトラジン滴定で決定された。DOTA−テトラジン誘導体29は、前記の通り、キャリア付加
177Luを用いて放射性ラベル化された(Rossin et al.、Angew Chem Int Ed、2010、49、3375−3378)
。TCO−変性mAb(
25μg)をPBS中の既知の過剰
77Lu−DOTA−テトラジン(50μL)と反応させた。37℃で10分間のインキュベーション後、反応混合物に非還元性サンプル緩衝液を添加してSDS−PAGEで分析された。ゲル電気泳動後、それぞれのレーンの放射性分布を蛍光イメージャーで評価された。
177Lu−DOTA−テトラジンとCC49−TCO構成物間の反応収率は
、レーンの全放射能に関し
て放射性mAbバンドの強度から
推測された。この手順で、CC49分子あたり平均20TCO
部分が見出された(50%共役収率)。
【0273】
CC49及びCC49−TCO(47)放射性ラベル化
未変性CC49を、製造者指示書によりBolton−Hunter手順を用いて
125Iで放射性ラベル化した。簡単にいうと、約40MBqの[
125I]ヨウ化ナトリウムを50μLのPBS
で希釈し、DMSO中の1μLのBolton−Hunter試薬(SHPP、Pierce)
溶液(0.1μg/μL)及びPBS中の25μLクロラミン−T(Sigma−Aldrich)
溶液(4mg/mL)を添加した。この溶液を10から20秒間混合し、次に5μLのDMF及び100μLのトルエンを添加した。ボルテック
ス後、
125I−SHPPを含む有機相をガラスバイアルに移し、穏やかなN
2流下で室温で乾燥した。PBS(50μL)中の30μgCC49
を125I−SHPPコーティングガラスバイアルに添加し、1M炭酸ナトリウム緩衝液pH9.6で、pHを9に調節した。バイアルを、静かに撹拌しながら約60分間室温でインキュベーションし、次
に125I−mAbラベル化収率を放射性−ITLCで評価した(47%)
。粗製
125I−mAbを、生理食塩水で前平衡化させたZeba脱塩スピンカラム(40kDaMWカットオフ、Pierce)を通して精製し、得られた
125I−ラベル化CC49の放射化学純度を放射性ITLC及び放射性HPLCで98%を超えていることが決定された。
【0274】
分子あた
り20TCO(47)部分を担持するCC49は、既に記載されたように
キャリア非添加177Luで
先に放射性ラベル化されたDOTA−テトラジン29(mAbに対して1当量)と反応させた(Rossin et al.、Angew Chem Int Ed、2010、49、3375−3378)。10分間のインキュベーション後、放射性HPLCによる
177Lu−ラベル化CC49−TCO(47)については91%放射化学純度であり、反応混合物をさらに精製することなく使用した。
【0275】
抗体活性化実
験
この実施例では、TCO47で
CC49を過剰変性
することで
、mAbの標的への結合能力が大きく減少することを示し、及び過剰に変性されたCC49−TCO構成物をテトラジン7と反応させることで標的結合可能性が回復されることを示す
。テトラジンとの反応によ
りmAbの再活性化は、TCO放出と、次の電子カスケード介在脱離機構を示す。
【0276】
標的へのCC49構成物の結合可能性は、既に記載された方法を修正した免疫反応活性アッセイを用いて評価された(Lewis et al.、Bioconjug Chem、2006、17、485−492)。簡単にいうと
、放射性ラベル化mAb構成物(1μg)を、1%BSA溶液中(100μL)の20倍モル過剰のウシ顎下ムチンタイプI−S(BSM;Sigma−Aldrich)と反応させた。37℃での10分間のインキュベーション後、混合物を、
0.35mL/分でPBSで溶出されたSuperdex−200カラム(GE Healthcare Biosciences)を用いて
、放射性HPLCにより分析した。この条件で、非TCO−変性
125I−CC49は39分保持時間を持つ広いピークのカラムから溶出された(
図1A)。予想されるように、BSMでインキュベーション後、
125I活性がカラムから、より高分子
量の(MW)化学種(25分保持時間)に対応
する1つのピークで溶出され、これは
125I−CC49がBSMに結合したことを確認する(100%免疫反応活性、
図1B)。
【0277】
分子あたり20TCO47部分を担持す
る177Lu−ラベル化CC49が放射性HPLCで分析され、保持時間31分と36分の2つのブロードな分離されていないピークが溶出され、これらはそれぞれ全mAb関連放射性の43%及び57%に対応した(
図2A)。この挙動は、TCO基でのCC49過剰変性を示唆する。事実、共役後MW変化は比較的小さく、CC49とCC49−TCO間で保持時間(39分から36分)で3分の変化を起こすことはありそうもない。従って
、カラムのより短い保持は
、mAbへ結合した20TCO部分により引き起こされた立体構造の変化によると考えられる。また、カラムから31分に溶出されるブロードなピークはmAbの凝集を示すものである。その結果、
177Lu−ラベル化CC49−TCOとBSM
とのインキュベーション後、僅かな量
(全体
約20%)の
177Lu活性は
、放射性クロマトグラ
ムで高分子
量化学種に関連するものであった(
図2B)
。約20%の残留免疫
反応性は、
過剰変性CC49−TCO(47)がその標的結合可能性を失っていることを確認する。
【0278】
続い
て177Lu−ラベル化CC49−TCO(47)を、37℃でPBS中で大過剰のテトラジン7(TCOに対して500−倍モル過剰)と反応させた。種々の時点(1時間、4時間及び24時間)で、反応混合物の
アリコート(1μg mAbを含む)を取り出し、BSMとインキュベーションされ、放射性HPLCで分析された。テトラジン7の添加
1時間後
の短かさで、放射性クロマトグラ
ムは、CC49−TCO
凝集体による放射活性ピークの消失、36分で
はピークの大きな減少及び
177Lu−CC49−TCO−BSM付加物の形成による強いピークの形成を示した(R
t=24分;全mAb関連活性の72%;
図2C)。
【0279】
さらに僅かなピーク面積の増加が、時間と共に観察された(テトラジン7とCC49−TCOの24時間インキュベーション後76%)。TCO−47とテトラジン7
との間のレトロディールスアルダーシクロ付加に続いてCC49免疫
反応性の急激な増加は
、電子カスケード媒介脱離機構の結果としてTCO放出を示す。
【0280】
【表5】
【0281】
【表6】
図2:
(A)177Lu−CC49−TCO、及び
(B)テトラジン7との1時間反応前の、ウシ顎下ムチンタイプI−S(BSM)の存在下での177Lu−CC49−TCO、及び
(C)テトラジンとの反応1時間後の、ウシ顎下ムチンタイプI−S(BSM)の存在下での177Lu−CC49−TCO
のサイズ排除放射性クロマトグラム。
実施例9
TCO系トリガーの製造のための例示的一般的合成経路及び重要中間体
L
D及びS
Pのカッコはこれらが
任意であること意味する。この例で構成されるT
Tは場合によりM
Mで置き換えられ得る。
【0282】
【化71】
実施例10
例示的L
D部分の構造
【0283】
【化72】
リンカーL
Dはまた自壊性リンカーと呼ばれておりこれ
はアクチベータ
とトリガーとの反応
でリンカーが分子内反応により分解され薬物D
Dを放出することを意味する。前記のいくつかはまたS
Pを含む。
【0284】
実施例11
例示的S
P部分の構造
【0285】
【化73】
(波線は結合されたプロドラッグの残り部分を示す。)
留意すべきは
、マレイミド、活性エステル及びブロモアセタミド基は、目標部分T
T及びマスキング部分M
Mが、場合によりさらにスペーサーS
Pを介してカップリングし得る
活性基である、ということである。マレイミド及びブロモアセタミド基は通常チオールと反応し、一方活性エステルが通常一級及び二級アミンにカップリングするために好適である。
【0286】
実施例12
カスケード脱離
機構により機
能する
、図示された例示
的L
D部分を持つTCOトリガーの構造
この例で特徴づけられるT
Tは場合によりM
Mで置換され得る。
【0287】
【化74】
(波線は結合されたT
T又はS
P−T
Tの残り部分を示す。)
実施例13
カスケード脱離
機構で機
能する
図示された例示
的L
D及び/又はS
P部分を持つTCOトリガーの構造
トリガーは、T
TにT
Tのアミン又はチオールを介して共役されている。この例で特徴づけられるT
Tは場合によりM
Mで置換され得る。
【0288】
【化75】
実施例14
カスケード脱離
機構で機
能する
図示された例示
的L
D及び/又はS
P部分を持つTCOトリガーの構造
トリガーは、T
TにT
Tのアミン又はチオールを介して共役されている。この例で特徴づけられるT
Tは場合によりM
Mで置換され得る。
【0289】
【化76】
実施例15
カスケード脱離
機構により機能
する抗体−薬物共役物の構造
アウリスタチンE(MMAE)トキシンを、自壊性リンカーL
Dを介してTCOトリガーに結合し、及びS
Pを介する場合には標的抗体又は断片(システイン又はリジン残基を介して共役)に結合される。Ab=抗体又は抗体断片;q=Ab変性#であり、通常は#は1と10の間である。
【0290】
【化77】
実施例16
カスケード脱離
機構により機
能する抗体−薬物共役物の構造
アウリスタチンE(MMAE)トキシン
は、TCOトリガーに結合
され、及びS
Pを介して標的抗体又は断片(システイン又はリジン残基を介して共役)に結合される。Ab=抗体又は抗体断片;q=Ab変性#であり、通常は#は1と10の間である。
【0291】
【化78】
実施例17
カスケード脱離
機構により機能
する抗体−薬物共役物の構造
メイタンシントキシンを、自壊性リンカーL
Dを介してTCOトリガーに結合し、及びS
Pを介する場合には標的抗体又は断片(システイン又はリジン残基を介して共役)に結合される。Ab=抗体又は抗体断片;q=Ab変性
率であり、通常
は1と10の間である。
【0292】
【化79】
実施例18
カスケード脱離
機構により機
能する、例えばアミン又はチオール部分を介して標的試薬T
Tに共役され得るトリガー−薬物構成物の構造
アウリスタチンE(MMAE)トキシン
は、自壊性リンカーL
Dを介してTCOトリガーに結合
され、及びS
Pを介
す場合、T
T共役物のための反応
性部分に結合される。
【0293】
【化80】
実施例19
カスケード脱離
機構により機
能する、例えばアミン又はチオール部分を介して標的試薬T
Tに共役され得るトリガー−薬物構成物の構造
アウリスタチンE(MMAE)トキシンをTCOトリガーに結合し、及びS
Pを介してT
T共
役のための反応
性部分に結合される。
【0294】
【化81】
実施例20
カスケード脱離
機構により機
能する、例えばアミン又はチオール部分を介して標的試薬T
Tに共役され得るトリガー−薬物構成物の構造
メイタンシントキシンを、自壊性リンカーL
Dを介してTCOトリガーに結合し、及びS
Pを介する場合にはT
T共
役のための反応
性部分に結合
する。
【0295】
【化82】
実施例21
腫瘍結合CC49−アウリスタチンE共役物の活性化
mAb又はmAb断片としてのCC49は
、非内在化汎固形腫瘍マーカーTAG72へ結合する。プロドラッグ投与、腫瘍結合及び血液から除去後
、アクチベータが注入される
。アクチベータ
とTCOトリガーとの
、プロドラッグ中での反応の結果、アウリスタチンEをCC49(抗体又は抗体断片)から放出し、これ
はがん細胞を浸透して
、がん細胞内で抗癌作用を発揮する。
【0296】
【化83】
実施例
22
腫瘍結合T−細胞係合三
量体抗体
(triabody)の活性化
三量体抗体は、腫瘍−結合部分、CD3T−細胞係合部分、及びCD28T−細胞共刺激部分を含む。1つの分子に結合されたCD3及びCD28が
オフターゲットの許容されない毒性効果を生じる結果とな
るので、抗−CD28ドメインはマスキング部分M
Mでブロックされ、これ
はCD28結合ドメインに類似するペプチドであり
、抗−CD28部分への親和性を持つ。このペプチドは
、さら
なるペプチドもしくはPEG鎖S
Pを介してTCOトリガー
にリンクされ、これ自体が、
サイト特
異的に設計されたシステイ
ンへ共役されている。プロドラッグ投与、腫瘍結合及び血液からの除去後
、アクチベータが注入される
。アクチベータとプロドラッグ
内のTCOトリガーとの反応は
、抗−CD28ドメインからマスキング部分を放出させ、T−細胞のCD28共刺激、T−細胞介在抗癌作用のブーストを可能とし、また
オフターゲット毒性を防止する。
【0297】
【化84】