特許第5993944号(P5993944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5993944圧力降下が少なくかつ帯域の床数が多い、擬似向流クロマトグラフィー分離のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993944
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】圧力降下が少なくかつ帯域の床数が多い、擬似向流クロマトグラフィー分離のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/12 20060101AFI20160908BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20160908BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   C07C7/12
   C07C15/08
   B01D15/00 101A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-515243(P2014-515243)
(86)(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公表番号】特表2014-528907(P2014-528907A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】FR2012000161
(87)【国際公開番号】WO2012172190
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年4月23日
(31)【優先権主張番号】11/01854
(32)【優先日】2011年6月16日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】ルフレーヴ フィリベール
(72)【発明者】
【氏名】ラインクーゲル−ル−コック ダミアン
【審査官】 安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−520809(JP,A)
【文献】 米国特許第05882523(US,A)
【文献】 特開2010−247153(JP,A)
【文献】 特開平02−124895(JP,A)
【文献】 特開平08−010505(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/005048(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/080503(WO,A1)
【文献】 特表2013−516398(JP,A)
【文献】 Journal of Chromatography A,2001年 1月26日,vol.908,no.1-2,p.71-86
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 7/00
B01D 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1基の吸着塔を有する、供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法であって、吸着塔は複数の帯域に分割され、各帯域は所定数の床を含み、前記塔は吸着剤の複数の床からなり、複数の床は複数のプレートPによって分離され、各プレートは、分配/抜き出しシステムを含み、該方法において、供給原料Fは、少なくとも1箇所の供給口に供給され、脱着剤Dが、少なくとも1箇所の供給口に供給され、少なくとも1つのエキストラクトEおよび少なくとも1つのラフィネートRが、抜き出され、供給口および抜き出し口は、2つの連続する切り替えの間の時間として規定される切り替え周期ST毎に吸着剤の1つの床に相当し、かつ、SMB(擬似移動床)の複数の機能帯域を画定する(determining)値の分だけ経時的にシフトされ、各帯域は、注入口と、該注入口と直接的に連続する(immediately consecutive)抜き出し口との間、あるいは、抜き出し口と、該抜き出し口と直接的に連続する注入口との間に含まれ;
該方法は、供給原料および脱着剤の注入流れがそれぞれ、N個(Nは、厳密に1より大きい整数である)の流れに分割され、各流れは、N個の異なる供給原料注入口およびN個の異なる脱着剤注入口にそれぞれ注入されること、並びに、エキストラクトおよびラフィネートの抜き出し流れもそれぞれが、N個の流れに分割され、各流れは、N個の異なる抜き出し口から抜き出され、装置は4×N個のクロマトグラフィー帯域によって構成されることを特徴とし、
該方法において、注入口および抜き出し口は:
・脱着剤注入口は、ラフィネート抜き出し口とエキストラクト抜き出し口との間に位置し、これら3箇所(ラフィネート抜き出し口、脱着剤注入口、およびエキストラクト抜き出し口)は、連続的であり;
・エキストラクト抜き出し口は、脱着剤注入口と供給原料注入口との間に位置し、これら3箇所(脱着剤注入口、エキストラクト抜き出し口、および供給原料注入口)は、連続的であり;
・供給原料注入口は、エキストラクト抜き出し口とラフィネート抜き出し口との間に位置し、これら3箇所(エキストラクト抜き出し口、供給原料注入口、およびラフィネート抜き出し口)は、連続的であり;
・ラフィネート抜き出し口は、供給原料注入口と脱着剤注入口との間に位置し、これら3箇所(供給原料注入口、ラフィネート抜き出し口、および脱着剤注入口)は、連続的である;
ように位置する、方法。
【請求項2】
同一タイプ(供給原料、脱着剤、エキストラクト、またはラフィネート)の流れは、同一の流量±10%を有する、請求項1に記載の供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法。
【請求項3】
供給原料および脱着剤の注入口、並びに、エキストラクトおよびラフィネートの抜き出し口の数Nは、2〜6の範囲である、請求項1に記載の供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法。
【請求項4】
供給原料および脱着剤の注入口、並びに、エキストラクトおよびラフィネートの抜き出し口の数Nは、2〜4の範囲である、請求項1に記載の供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法。
【請求項5】
全床数は、16、24、または30である、請求項1に記載の供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法。
【請求項6】
各帯域の床数は、1つの切り替え周期の間、1床毎に変動し、注入口および抜き出し口の切り替え周期は、同一の注入流れまたは抜き出し流れの、2つの連続する切り替えの間の時間として規定される、請求項1に記載の供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1つに記載の擬似向流クロマトグラフィー方法、芳香族C8炭化水素の混合物からのパラキシレンの分離に適用する方法
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1つに記載の擬似向流クロマトグラフィー方法、芳香族C8炭化水素の混合物からのメタキシレンの分離に適用する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留による分離が困難な天然物または化学製品の分離の分野に関する。擬似移動床方法または擬似向流方法として知られている一群の方法および関連する装置が用いられるが、本明細書の以降においては、これらの方法を一般的に「SCC」方法と称することとする。
【0002】
このタイプの方法を用いる分野の包括的でないリストには以下のものが含まれる:
・分枝パラフィン、ナフテン、および芳香族からの、ノルマルパラフィンの分離;
・オレフィン/パラフィン分離;
・他の芳香族C8異性体からのパラキシレンの分離;
・他の芳香族C8異性体からのメタキシレンの分離;
・他の芳香族C8異性体からのエチルベンゼンの分離。
【0003】
精製所および石油化学工場以外にも、列挙されてよい数多くの適用が存在し、その中には、グルコース/フルクトース分離、およびクレゾールの位置異性体、光学異性体等の分離が含まれる。
【背景技術】
【0004】
SCC分離方法は、当該技術分野において周知である。一般的に、疑似向流モードで機能する吸着器は、少なくとも3つ、場合により4つまたは5つの帯域を含み、各帯域は、所定数の連続(successive)床によって構成され、かつ、各帯域は、供給口・抜き出し口間のその位置によって区画される。一般に、SCC塔に、少なくとも1つの分別されるべき供給原料Fと(溶離剤と称されることもある)脱着剤Dとが供給され、前記塔から、少なくとも1つのラフィネートRとエキストラクトEとが抜き出される。
【0005】
供給口および抜き出し口は、経時的に変更され(modified)、すなわち、1つの床に相当する値の分だけ同一方向にシフトされる。種々の注入口または抜き出し口のシフトは、特許文献1に記載のように、同期式または非同期式で行われてよい。非同期式での方法は、VARICOL(登録商標)法として称される。
【0006】
従来、SCC装置において、以下の4つの異なるクロマトグラフィー帯域が区画される:
・帯域1:エキストラクトの化合物の脱着のための帯域であって、脱着剤Dの注入とエキストラクトEの除去との間に含まれる;
・帯域2:ラフィネートの化合物の脱着のための帯域であって、エキストラクトEの除去と、分別されるべき供給原料Fの注入との間に含まれる;
・帯域3:エキストラクトの化合物の吸着のための帯域であって、供給原料(F)の注入とラフィネートRの抜き出しとの間に含まれる;
・帯域4:ラフィネート(R)の抜き出しと脱着剤(D)の注入との間に含まれる帯域。
【0007】
先行技術文献には、擬似向流を用いて供給原料の分離を行うための種々の装置および方法が、非常に詳細に記載されている。
【0008】
列挙されてよい特定の特許文献は、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9である。
【0009】
SCC方法における圧力降下は、クロマトグラフカラム中の流体相隙間速度(interstitial velocities)に直接関連する。用語「隙間速度」は、固体吸着剤を構成する粒子間の流体の実際の速度を意味する。
【0010】
圧力降下は、再循環ポンプ(単数または複数)の寸法決定、吸着器の壁の厚さ、任意の分配プレートのサポートシステムのサイズ、吸着剤の粒の力学的挙動等に重要な役割を果たす。圧力降下は、SCC方法の実施における制限要因となることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6136198号明細書
【特許文献2】米国特許第2985589号明細書
【特許文献3】米国特許第3214247号明細書
【特許文献4】米国特許第3268605号明細書
【特許文献5】米国特許第3592612号明細書
【特許文献6】米国特許第4614204号明細書
【特許文献7】米国特許第4378292号明細書
【特許文献8】米国特許第5200075号明細書
【特許文献9】米国特許第5316821号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、性能(純度、収率、生産性)を非常に高く維持しながら、クロマトグラフィー帯域の数を増加することによって種々の吸着器またはクロマトグラフカラムにおける機械的応力を低減させることを特定の目的とした、従来技術と比較して圧力降下の少ない、SCCタイプの方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の方法は、多数の床(8個超の床)を有し、かつ、処理される供給原料の最大流量が、装置内の圧力降下または最高許容隙間速度によって定められる(imposed)、従来技術のSCC方法で得られるであろう生産性より高い生産性を達成するために用いられ得る。
【0014】
本発明は、疑似向流(SCCと省略される)クロマトグラフィーによる、供給原料Fの分離のための方法に関し、供給原料および脱着剤の注入流れがそれぞれ、N個(Nは、厳密に1より大きい整数である)の流れに分割され、各流れは、N個の異なる供給原料注入口およびN個の異なる脱着剤注入口にそれぞれ注入されること、並びに、エキストラクトおよびラフィネートの抜き出し流れもそれぞれが、N個の流れに分割され、各流れは、N個の異なる抜き出し口から抜き出され、装置は4×N個のクロマトグラフィー帯域によって構成されることを特徴とする。
【0015】
注入口および抜き出し口は、以下のように位置している:
・脱着剤注入口は、ラフィネート抜き出し口とエキストラクト抜き出し口との間に位置しており、ラフィネート抜き出し口、脱着剤注入口、およびエキストラクト抜き出し口の3箇所は、連続的(consecutive)であり;
・エキストラクト抜き出し口は、脱着剤注入口と供給原料注入口との間に位置しており、脱着剤注入口、エキストラクト抜き出し口、および供給原料注入口の3箇所は、連続的であり;
・供給原料注入口は、エキストラクト抜き出し口とラフィネート抜き出し口との間に位置しており、エキストラクト抜き出し口、供給原料注入口、およびラフィネート抜き出し口の3箇所は、連続的であり;
・ラフィネート抜き出し口は、供給原料注入口と脱着剤注入口との間に位置しており、供給原料注入口、ラフィネート抜き出し口、および脱着剤注入口の3箇所は、連続的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1は、従来技術のSCC装置を示す。図1の装置は、24個の床によって構成され、4つの帯域に分配されている。
【0017】
図2は、本発明の装置を示す。図2の装置は、24個の床によって構成され、8個の帯域に分配されている。
【0018】
図3は、本発明の装置を示す。図3の装置は、24個の床によって構成され、12個の帯域に分配されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
用語「連続的」とは、連続的であると指定された箇所の間に、他の抜き出し口または注入口が存在しないことを意味する。
【0020】
また、連続する3箇所は、常に注入口、抜き出し口、注入口の順、あるいは、抜き出し口、注入口、抜き出し口の順であることに留意されたい。
【0021】
同様の供給原料流れを処理しかつ4つの帯域によって構成された、同様の構造(geometry)を有する方法と比較して、本発明の方法では、圧力低下が明らかに少なく、かつ、性能は実質的に同等である。
【0022】
同様の供給原料流れを処理しかつ4つの帯域によって構成された、同様の構造を有する方法と比較して、本発明の方法では、注入口および抜き出し口が切り替えられる周期は、Nを乗算したものである。注入口および抜き出し口が切り替えられる周期は、同一の注入流れまたは抜き出し流れの、2つの連続する切り替えの間の時間として規定される。
【0023】
本発明の方法は、特に、芳香族C8炭化水素の混合物中の、パラキシレンまたはメタキシレンの分離に適用される。
【0024】
明らかに、これら2つの適用例は、決して限定するものではなく、他の適用が、特に、ノルマルパラフィンおよびイソパラフィン、あるいは、ノルマルオレフィンおよびイソオレフィンの分離の分野において可能である。
【0025】
本発明の供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法において、供給原料および脱着剤の注入口、並びに、エキストラクトおよびラフィネートの抜き出し口の数Nは、2〜6の範囲、好ましくは2〜4の範囲である。
【0026】
本発明の供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法において、全床数は、16、24、または30である。好ましくは、全床数は24である。
【0027】
本発明の供給原料Fの擬似向流(SCC)クロマトグラフィー分離のための方法の変形例において、各帯域における床数は、1つの切り替え周期の間、1床ずつ変動し(varies by one)、注入口および抜き出し口の切り替え周期は、同一の注入流れまたは抜き出し流れの、2つの連続する切り替えの間の時間として規定される。
【0028】
好ましくは、同一タイプの流れ、すなわち、一式の供給原料供給流れ、一式の脱着剤供給流れ、一式のエキストラクト抜き出し流れ、および一式のラフィネート抜き出し流れは、同一の流量±10%を有する。
【0029】
本発明の方法の説明の以降は、N=2である特定の場合、すなわち:
・各供給原料注入口が2つに分割され、それぞれがF1およびF2と示され;
・各脱着剤注入口が2つに分割され、それぞれがD1およびD2と示され;
・各エキストラクト抜き出し口が2つに分割され、それぞれがE1およびE2と示され;
・各ラフィネート抜き出し口が2つに分割され、それぞれがR1およびR2と示される;
場合に関する。
【0030】
N=2である特定の場合は、以下のように区画される8つの帯域を有するSCC方法に相当する:
・帯域1(脱着剤D1の注入口No.1と、エキストラクトE1の抜き出し口No.1との間);
・帯域2(エキストラクトE1の抜き出し口No.1と、供給原料F1の注入口No.1との間);
・帯域3(供給原料F1の注入口No.1と、ラフィネートR1の抜き出し口No.1との間);
・帯域4(ラフィネートR1の抜き出し口No.1と、脱着剤D2の注入口No.2との間);
・帯域5(脱着剤D2の注入口No.2と、エキストラクトE2の抜き出し口No.2との間);
・帯域6(エキストラクトE2の抜き出し口No.2と、供給原料F2の注入口No.2との間);
・帯域7(供給原料F2の注入口No.2と、ラフィネートR2の抜き出し口No.2との間);
・帯域8(ラフィネートR2の抜き出し口No.2と、脱着剤D1の注入口No.1との間)。
【0031】
N=3である特定の場合、すなわち、12個の帯域を有するSCC方法の場合、帯域は、以下のように区画される:
・帯域1(脱着剤D1の注入口No.1と、エキストラクトE1の抜き出し口No.1との間);
・帯域2(エキストラクトE1の抜き出し口No.1と、供給原料F1の注入口No.1との間);
・帯域3(供給原料F1の注入口No.1と、ラフィネートR1の抜き出し口No.1との間);
・帯域4(ラフィネートR1の抜き出し口No.1と、脱着剤D2の注入口No.2との間);
・帯域5(脱着剤D2の注入口No.2と、エキストラクトE2の抜き出し口No.2との間);
・帯域6(エキストラクトE2の抜き出し口No.2と、供給原料F2の注入口No.2との間);
・帯域7(供給原料F2の注入口No.2と、ラフィネートR2の抜き出し口No.2との間);
・帯域8(ラフィネートR2の抜き出し口No.2と、脱着剤D3の注入口No.3との間);
・帯域9(脱着剤D3の注入口No.3と、エキストラクトE3の抜き出し口No.3との間);
・帯域10(エキストラクトE1の抜き出し口No.3と、供給原料F3の注入口No.3との間);
・帯域11(供給原料F1の注入口No.3と、ラフィネートR3の抜き出し口No.3との間);
・帯域12(ラフィネートR3の抜き出し口No.3と、脱着剤D1の注入口No.1との間)。
【0032】
8個および12個の帯域へのこれらの分割は、以下の実施例から、より良く理解することができる。
【0033】
本発明の供給原料Fの擬似向流クロマトグラフィー(SCC)分離のための方法は、各帯域の床数が、1つの切り替え周期の間、1床毎に変動する変形例を有していてよく、注入口および抜き出し口の切り替え周期は、同一の注入流れまたは抜き出し流れの、2つの連続する切り替えの間の時間として規定される。
【0034】
列挙され得る本発明の方法の種々の適用の中で、芳香族C8炭化水素の混合物からの、パラキシレンの分離が特に適している。芳香族C8炭化水素の混合物からの、メタキシレンの分離もまた列挙され得る。
【実施例】
【0035】
本発明は、以下の3つの実施例から、より良く理解されることができる。
【0036】
実施例1(従来技術に合致する)
24個の床によって構成され、各床の長さが1.1mであり、内半径が3.5mであるSCC装置について検討した。SCC装置は、供給原料注入口、脱着剤注入口、エキストラクト抜き出し口、およびラフィネート抜き出し口を有していた。
【0037】
種々の注入口または抜き出し口を同期式でシフトした。
【0038】
床を、以下の構成で、4つのクロマトグラフィー帯域に分配した:
5/9/7/3
すなわち、床の分配は、以下の通りであった:
・帯域1(脱着剤Dの注入口とエキストラクトEの抜き出し口との間)に5床;
・帯域2(エキストラクトEの抜き出し口と供給原料Fの注入口との間)に9床;
・帯域3(供給原料Fの注入口とラフィネートRの抜き出し口との間)に7床;
・帯域4(ラフィネートRの抜き出し口と脱着剤Dの注入口との間)に3床。
【0039】
用いた吸着剤は、BaXタイプのゼオライトであり、脱着剤は、パラジエチルベンゼンであった。温度は、175℃であり、圧力は15バールであった。
【0040】
供給原料の組成は、パラキシレン20%、オルトキシレン24%、メタキシレン51%、およびエチルベンゼン5%であった。切り替え周期は、70.8秒であった。
【0041】
供給原料および脱着剤の注入流量は、以下の通りであった:
・供給原料の注入流量 6.81m/分;
・脱着剤の注入流量 7.48m/分。
【0042】
加えて、帯域4の流量は、22.08m/分であって、エキストラクト抜き出し流量は、4.38m/分であった。
【0043】
シミュレーションで、パラキシレンの純度99.85%、パラキシレンの収率97.39%を得た。
【0044】
24個の床および25枚のプレートによって構成された吸着器全体にわたる圧力降下は、6.4バールであった。
【0045】
実施例2(本発明に合致する)
24個の床によって構成され、各床の長さが1.1mであり、内半径が3.5mである、本発明による装置について検討した。装置は、2つの供給原料注入口、2つの脱着剤注入口、2つのエキストラクト抜き出し口、および2つのラフィネート抜き出し口を有していた。
【0046】
種々の注入口または抜き出し口を同期式でシフトした。
【0047】
床を、以下の構成で、8つのクロマトグラフィー帯域に分配した:
2/5/3/2/2/5/3/2
すなわち、床の分配は、以下の通りであった:
・帯域1(脱着剤D1の注入口No.1と、エキストラクトE1の抜き出し口No.1との間)に2床;
・帯域2(エキストラクトE1の抜き出し口No.1と、供給原料F1の注入口No.1との間)に5床;
・帯域3(供給原料F1の注入口No.1と、ラフィネートR1の抜き出し口No.1との間)に3床;
・帯域4(ラフィネートR1の抜き出し口No.1と、脱着剤D2の注入No.2との間)に2床;
・帯域5(脱着剤D2の注入口No.2と、エキストラクトE2の抜き出し口No.2との間)に2床;
・帯域6(エキストラクトE2の抜き出し口No.2と、供給原料F2の注入口No.2との間)に5床;
・帯域7(供給原料F2の注入口No.2と、ラフィネートR2の抜き出し口No.2との間)に3床;
・帯域8(ラフィネートR2の抜き出し口No.2と、脱着剤D1の注入口No.1との間)に2床。
【0048】
用いた吸着剤は、BaXタイプのゼオライトであり、脱着剤は、パラジエチルベンゼンであった。温度は、175℃であり、圧力は15バールであった。
【0049】
供給原料の組成は、パラキシレン20%、オルトキシレン24%、メタキシレン51%、およびエチルベンゼン5%であった。切り替え周期は、141.6秒であった。
【0050】
供給原料および脱着剤の注入流量は、以下の通りであった:
・供給原料No.1の注入流量 3.405m/分;
・供給原料No.2の注入流量 3.405m/分;
・脱着剤No.1の注入流量 3.74m/分;
・脱着剤No.2の注入流量 3.74m/分。
【0051】
加えて、帯域4および帯域8の流量は、11.08m/分であって、2つのエキストラクトの抜き出し口の流量は、2.25m/分であった。
【0052】
シミュレーションで、パラキシレンの純度99.86%、パラキシレンの収率95.5%を得た。
【0053】
24個の床および25枚のプレートによって構成された吸着器全体にわたる圧力降下は、2.5バールであった。
【0054】
実施例3(本発明に合致する)
24個の床によって構成され、各床の長さが1.1mであり、内半径が3.5mである、本発明による装置について検討した。装置は、3つの供給原料注入口、3つの脱着剤注入口、3つのエキストラクト抜き出し口、および3つのラフィネート抜き出し口を有していた。
【0055】
種々の注入口および抜き出し口を非同期式でシフトし、これにより、クロマトグラフィー帯域の長さを非整数の数で得た(このことは、米国特許第6136198号明細書中に開示されている)。
【0056】
床を、以下の構成で、12個のクロマトグラフィー帯域に分配した:
1.5/3.2/2.1/1.2/1.5/3.2/2.1/1.2/1.5/3.2/2.1/1.2
すなわち、1周期中の床の分配は以下の通りであった(慣例により、周期の始まりと終わりは、脱着剤注入口のシフトによって規定されるものとして想定した):
・周期の始まりから42.6秒(周期の始まりに対して規定される)までは:
〇帯域1(脱着剤D1の注入口No.1と、エキストラクトE1の抜き出し口No.1との間)に1床;
〇帯域2(エキストラクトE1の抜き出し口No.1と、供給原料F1の注入口No.1との間)に3床;
〇帯域3(供給原料F1の注入口No.1と、ラフィネートR1の抜き出し口No.1との間)に2床;
〇帯域4(ラフィネートR1の抜き出し口No.1と、脱着剤D2の注入口No.2との間)に2床;
〇帯域5(脱着剤D2の注入口No.2と、エキストラクトE2の抜き出し口No.2との間)に1床;
〇帯域6(エキストラクトE2の抜き出し口No.2と、供給原料F2の注入口No.2との間)に3床;
〇帯域7(供給原料F2の注入口No.2と、ラフィネートR2の抜き出し口No.2との間)に2床;
〇帯域8(ラフィネートR2の抜き出し口No.2と、脱着剤D3の注入口No.3との間)に2床;
〇帯域9(脱着剤D3の注入口No.3と、エキストラクトE3の抜き出し口No.3との間)に1床;
〇帯域10(エキストラクトE3の抜き出し口No.3と、供給原料F3の注入口No.3との間)に3床;
〇帯域11(供給原料F3の注入口No.3と、ラフィネートR3の抜き出し口No.3との間)に2床;
〇帯域12(ラフィネートR3の抜き出し口No.3と、脱着剤D1の注入口No.1との間)に2床;
・42.6秒から63.9秒(周期の始まりに対して規定される)までは:
〇帯域1(脱着剤D1の注入口No.1と、エキストラクトE1の抜き出し口No.1との間)に1床;
〇帯域2(エキストラクトE1の抜き出し口No.1と、供給原料F1の注入口No.1との間)に3床;
〇帯域3(供給原料F1の注入口No.1と、ラフィネートR1の抜き出し口No.1との間)に3床;
〇帯域4(ラフィネートR1の抜き出し口No.1と、脱着剤D2の注入口No.2との間)に1床;
〇帯域5(脱着剤D2の注入口No.2と、エキストラクトE2の抜き出し口No.2との間)に1床;
〇帯域6(エキストラクトE2の抜き出し口No.2と、供給原料F2の注入口No.2との間)に3床;
〇帯域7(供給原料F2の注入口No.2と、ラフィネートR2の抜き出し口No.2との間)に3床;
〇帯域8(ラフィネートR2の抜き出し口No.2と、脱着剤D3の注入口No.3との間)に1床;
〇帯域9(脱着剤D3の注入口No.3と、エキストラクトE3の抜き出し口No.3との間)に1床;
〇帯域10(エキストラクトE3の抜き出し口No.3と、供給原料F3の注入口No.3との間)に3床;
〇帯域11(供給原料F3の注入口No.3と、ラフィネートR3の抜き出し口No.3との間)に3床;
〇帯域12(ラフィネートR3の抜き出し口No.3と、脱着剤D1の注入口No.1との間)に1床;
・63.9秒から106.5秒(周期の始まりに対して規定される)までは:
〇帯域1(脱着剤D1の注入口No.1と、エキストラクトE1の抜き出し口No.1との間)に1床;
〇帯域2(エキストラクトE1の抜き出し口No.1と、供給原料F1の注入口No.1との間)に4床;
〇帯域3(供給原料F1の注入口No.1と、ラフィネートR1の抜き出し口No.1との間)に2床;
〇帯域4(ラフィネートR1の抜き出し口No.1と、脱着剤D2の注入口No.2との間)に1床;
〇帯域5(脱着剤D2の注入口No.2と、エキストラクトE2の抜き出し口No.2との間)に1床;
〇帯域6(エキストラクトE2の抜き出し口No.2と、供給原料F2の注入口No.2との間)に4床;
〇帯域7(供給原料F2の注入口No.2と、ラフィネートR2の抜き出し口No.2との間)に2床;
〇帯域8(ラフィネートR2の抜き出し口No.2と、脱着剤D3の注入口No.3との間)に1床;
〇帯域9(脱着剤D3の注入口No.3と、エキストラクトE3の抜き出し口No.3との間)に1床;
〇帯域10(エキストラクトE3の抜き出し口No.3と、供給原料F3の注入口No.3との間)に4床;
〇帯域11(供給原料F3の注入口No.3と、ラフィネートR3の抜き出し口No.3との間)に2床;
〇帯域12(ラフィネートR3の抜き出し口No.3と、脱着剤D1の注入口No.1との間)に1床;
・63.9秒(周期の始まりに対して規定される)から周期の終わりまでは:
〇帯域1(脱着剤D1の注入口No.1と、エキストラクトE1の抜き出し口No.1との間)に2床;
〇帯域2(エキストラクトE1の抜き出し口No.1と、供給原料F1の注入口No.1との間)に3床;
〇帯域3(供給原料F1の注入口No.1と、ラフィネートR1の抜き出し口No.1との間)に2床;
〇帯域4(ラフィネートR1の抜き出し口No.1と、脱着剤D2の注入口No.2との間)に1床;
〇帯域5(脱着剤D2の注入口No.2と、エキストラクトE2の抜き出し口No.2との間)に2床;
〇帯域6(エキストラクトE2の抜き出し口No.2と、供給原料F2の注入口No.2との間)に3床;
〇帯域7(供給原料F2の注入口No.2と、ラフィネートR2の抜き出し口No.2との間)に2床;
〇帯域8(ラフィネートR2の抜き出し口No.2と、脱着剤D3の注入口No.3との間)に1床;
〇帯域9(脱着剤D3の注入口No.3と、エキストラクトE3の抜き出し口No.3との間)に2床;
〇帯域10(エキストラクトE3の抜き出し口No.3と、供給原料F3の注入口No.3との間)に3床;
〇帯域11(供給原料F3の注入口No.3と、ラフィネートR3の抜き出し口No.3との間)に2床;
〇帯域12(ラフィネートR3の抜き出し口No.3と、脱着剤D1の注入口No.1との間)に1床。
【0057】
用いた吸着剤は、BaXタイプのゼオライトであり、脱着剤は、パラジエチルベンゼンであった。温度は、175℃であり、圧力は15バールであった。
【0058】
供給原料の組成は、パラキシレン20%、オルトキシレン24%、メタキシレン51%、およびエチルベンゼン5%であった。切り替え周期は、212.4秒であった。
【0059】
供給原料および脱着剤の注入流量は、以下の通りであった:
・供給原料No.1の注入流量 2.27m/分;
・供給原料No.2の注入流量 2.27m/分;
・供給原料No.3の注入流量 2.27m/分;
・脱着剤No.1の注入流量 2.493m/分;
・脱着剤No.2の注入流量 2.493m/分;
・脱着剤No.3の注入流量 2.493m/分。
【0060】
加えて、帯域4、8、および12の流量は、7.36m/分であって、3つのエキストラクト抜き出し流量は、1.46m/分であった。
【0061】
シミュレーションで、パラキシレンの純度99.82%、パラキシレンの収率95.54%を得た。
【0062】
24個の床および25枚のプレートによって構成された吸着器全体にわたる圧力降下は、1.5バールであった。
図1
図2
図3