特許第5993984号(P5993984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5993984タイヤのキャッププライとしての使用に適するゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993984
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】タイヤのキャッププライとしての使用に適するゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20160908BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20160908BHJP
   C08K 5/25 20060101ALI20160908BHJP
   C08K 5/372 20060101ALI20160908BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20160908BHJP
   C08L 61/06 20060101ALI20160908BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20160908BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   C08J3/20 BCEQ
   C08L21/00
   C08K5/25
   C08K5/372
   C08K5/3492
   C08L61/06
   C08K3/22
   B60C1/00 C
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-120245(P2015-120245)
(22)【出願日】2015年6月15日
(62)【分割の表示】特願2013-550562(P2013-550562)の分割
【原出願日】2012年1月18日
(65)【公開番号】特開2015-221901(P2015-221901A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】61/434,010
(32)【優先日】2011年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509333553
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレイションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー ワインガード
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アール スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ジェミー ジェー マクナット
(72)【発明者】
【氏名】草野 智弘
【審査官】 飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−296844(JP,A)
【文献】 特開2001−172435(JP,A)
【文献】 特開2002−194139(JP,A)
【文献】 特開2008−189911(JP,A)
【文献】 特表2012−513517(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0270966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャッププライゴム組成物を調製する方法であって、前記キャッププライゴム組成物は、
(a)少なくとも1つの天然または合成ゴム状ポリマーと、
(b)0.1〜20phrの少なくとも1つのヒドラジド化合物と、
(c)0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン供与体と、
(d)0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン受容体樹脂と、
(e)0.1〜10phrの酸化亜鉛と、
を含み、
前記方法が、前記少なくとも1つの天然または合成ゴム状ポリマーと、前記少なくとも1つのヒドラジド化合物と、前記少なくとも1つのメチレン供与体と、前記少なくとも1つのメチレン受容体樹脂と、前記酸化亜鉛とを混合する工程を含み、
前記酸化亜鉛の一部が、非生成混合段階で混合され、酸化亜鉛の残りが、生成混合段階で混合される、方法。
【請求項2】
生成混合段階で添加される酸化亜鉛の量と、非生成混合段階で添加される酸化亜鉛の量の比が、1:1〜10:1である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記キャッププライゴム組成物が、60℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、ヒドラジド化合物を含まない比較組成物よりも少なくとも0.01低いtanδ値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのヒドラジド化合物が、以下に示される式(I)または(II)

を有し、
式中、Rは、2〜18個の炭素を有する非環式脂肪族基、5〜20個の炭素を有する環式脂肪族基、6〜18個の炭素を有する芳香族基、または7〜24個の炭素を有するアルキル芳香族基であり、
は、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基またはメルカプト基であり、
各RおよびRは、水素原子、1〜18個の炭素を有するアルキル基、シクロヘキシル基または芳香族基であり、同じでもよく、異なっていてもよく、
n=1であり、
前記少なくとも1つのメチレン供与体が、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシメチルメラミン、N,N’,N”−トリメチルN,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、N,N’,N”−ジメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリス(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N”−トリブチル−N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、およびこれらの混合物からなる群より選択され、
前記少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、一価フェノールおよびこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれらの誘導体、多価フェノールおよびこれらの誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、変性フェノールノボラック樹脂、ノボラック樹脂、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5phrの量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのヒドラジド化合物が、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年1月19日に出願された「A RUBBER COMPOSITION SUITABLE FOR USE AS
A CAP PLY IN A TIRE」の名称の、米国特許仮出願第61/434,010号の優先権およびその他
の全ての利益を主張する。この開示の全体は、本明細書に援用される。
【0002】
本開示の分野
本開示は、一般的には、タイヤのキャッププライとしての使用に適するゴム組成物、お
よびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、タイヤは、ウォール内周に金属ビードを備えたほぼU形状の断面を有するカ
ーカスから製造される。カーカスの外周の周り、およびトレッドの幅全域に延びるスチー
ルコードベルトプライにより、タイヤカーカスを支持することができる。このようなスチ
ールベルトプライは、タイヤの回転の意図した方向に比較的非伸長性であり、回転方向に
平行に、またはそれに対し小さい角度で配置されたスチールベルトコードを含む。ベルト
プライは、トレッドの移動を制限する役目をし、タイヤに対しより優れたロードホールデ
ィング特性を与える。このタイプのような支持は、ビードからビードまで横方向に、すな
わち、半径方向に連続する、比較的非伸長性の補強コードを含むゴム引きの織布からカー
カスが形成されているラジアルタイヤにおいて特に重要である。
【0004】
高速性能をさらに改善するために、一部のタイヤは、ベルトプライ上に周方向に配置さ
れた1以上のキャッププライを有する。キャッププライは、ゴム組成物に封入されたコー
ド(典型的には、ナイロンまたはポリエステル)を含む層であり、スチールベルトプライ
の軸方向幅の全体または一部上に配置される。これらのキャッププライは、全てのタイヤ
には使われてはおらず、タイヤの全ての部材が高速に耐えられるように、主に高速定格を
有するタイヤで使われる。
【0005】
キャッププライで使われるゴム組成物は、キャッププライに使われるコードに対する良
好な接着性、低発熱となる良好なヒステリシス、および良好な機械特性(例えば、モジュ
ラスおよび伸び)を有する必要がある。
【0006】
本発明者らは、上記特性の良好なバランスを有する、タイヤのキャッププライでの使用
に適するゴム組成物を発見した。
【発明の概要】
【0007】
少なくとも1つの天然または合成ゴム状ポリマーと、0.1〜20phrの少なくとも
1つのヒドラジド化合物と、0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン供与体と、
0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン受容体樹脂と、0.1〜10phrの酸
化亜鉛とを含む、キャッププライゴム組成物が開示される。
【0008】
また、タイヤのヒステリシスを低減する方法が開示され、前記方法は、少なくとも1つ
の天然または合成ゴム状ポリマーと、0.1〜20phrの少なくとも1つのヒドラジド
化合物と、0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン供与体と、0.1〜10ph
rの少なくとも1つのメチレン受容体樹脂と、0.1〜10phrの酸化亜鉛とを混合す
る工程を含む方法により作製されたスキムゴム組成物で被覆された少なくとも1つのコー
ド層を含むキャッププライを利用する工程を含む。所定の実施形態では、この方法は、ス
キムゴム組成物が、段落0007に記載の組成を有する方法を対象とする。
【0009】
さらに、少なくとも1つの天然または合成ゴム状ポリマーと、0.1〜20phrの少
なくとも1つのヒドラジド化合物と、0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン供
与体と、0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン受容体樹脂と、0.1〜10p
hrの酸化亜鉛とを混合する工程を含み、酸化亜鉛の一部が、非生成混合段階で混合され
、酸化亜鉛の残りが、生成混合段階で混合される、ゴム組成物の調製方法が開示される。
所定の実施形態では、この方法は、スキムゴム組成物が段落0007に記載の組成を有す
る方法を対象とする。
【0010】
本開示の他の態様は、以降の説明により当業者には明らかであろう。以下の各実施形態
の説明の理解を助けるために、すぐ下で、特定の定義が与えられる。周辺の内容が明示的
に逆の意味を示さない限り、これらは、全体を通して適用されることが意図されている。
【0011】
「キャッププライ」は、スチールベルトプライの軸方向幅の全体または一部の上に周方
向に配置される、ゴム組成物に封入されたコードの層を意味する。
【0012】
「キャッププライゴム組成物」および「キャッププライスキムゴム組成物」は、本明細
書では同義に使用され、キャッププライのコードを包むゴム組成物を意味する。
【0013】
「ポリマー」は、1以上のモノマーの重合生成物を意味し、ホモポリマー、コポリマー
、ターポリマー、テトラポリマー、などを含む。
【0014】
「コポリマー」は、2つの反応物、典型的にはモノマー由来の単量体単位を含むポリマ
ーを意味し、ランダム、ブロック、セグメント化、グラフト、グラジエント、などのコポ
リマーを含む。
【0015】
「phr」は、ゴム100重量部あたりの対象物質の重量部を意味し、ゴム配合分野の
当業者により受け入れられている用語である。
【0016】
本明細書に援用される全ての文献は、特に指定のない限り、その全体が援用される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
(a)少なくとも1つの天然または合成ゴム状ポリマーと、(b)0.1〜20phr
の少なくとも1つのヒドラジド化合物と、(c)0.1〜10phrの少なくとも1つの
メチレン供与体と、(d)0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン受容体樹脂と
、(e)0.1〜10phrの酸化亜鉛とを含む、キャッププライゴム組成物が開示され
る。
【0018】
所定の実施形態では、段落0017に記載の前出のキャッププライゴム組成物は、60
℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、ヒドラジド化合物を含まない比較
組成物よりも少なくとも0.01低いtanδ値を有する。これらの所定の実施形態では
、キャッププライゴム組成物は、以下の要件の1以上を満たす:(a)少なくとも1つの
ヒドラジド化合物が、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナ
フトエ酸ヒドラジドを含む、(b)ゴム状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブタジエン
、スチレン−ブタジエンゴム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、(
c)少なくとも1つのメチレン供与体が、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチレ
ンテトラミン、メトキシメチルメラミン、N,N’,N”−トリメチルN,N’,N”−
トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、N,N’,N”−ジメチロールメ
ラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−
トリス(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N”−トリブチル−N,N’,N”−ト
リメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、およびこれらの混合物からなる
群より選択される、(d)少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レ
ゾルシノール誘導体、一価フェノールおよびこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれ
らの誘導体、多価フェノールおよびこれらの誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、
変性フェノールノボラック樹脂、ノボラック樹脂、ならびにこれらの混合物からなる群よ
り選択される、(e)酸化亜鉛が、1〜5phrの範囲の合計量で存在し、酸化亜鉛の一
部が、非生成混合段階で添加され、酸化亜鉛の残りが、生成混合段階で添加される、(f
)キャッププライゴム組成物が、ポリマレイミドを含まない、(g)少なくとも1つのヒ
ドラジド化合物が、0.1〜5phrの量で存在する、または(h)少なくとも1つのヒ
ドラジド化合物が、0.1〜5phrの量で存在し、少なくとも1つのメチレン供与体が
、0.1〜5phrの量で存在し、さらに、少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、0
.1〜5phrの量で存在する。
【0019】
前述のように、所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、段落0017に従
い、60℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、ヒドラジド化合物を含ま
ない比較組成物よりも少なくとも0.01低いtanδ値を有する。これらの所定の実施
形態では、キャッププライゴム組成物は、また、以下の1以上を満たす:(a)少なくと
も1つのヒドラジド化合物が、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)
−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含む、(b)ゴム状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブ
タジエン、スチレン−ブタジエンゴム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択さ
れる、(c)少なくとも1つのメチレン供与体が、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキ
サメチレンテトラミン、メトキシメチルメラミン、N,N’,N”−トリメチルN,N’
,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、N,N’,N”−ジメチ
ロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’
,N”−トリス(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N”−トリブチル−N,N’,
N”−トリメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、およびこれらの混合物
からなる群より選択される、(d)少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、レゾルシノ
ール、レゾルシノール誘導体、一価フェノールおよびこれらの誘導体、二価フェノールお
よびこれらの誘導体、多価フェノールおよびこれらの誘導体、未変性フェノールノボラッ
ク樹脂、変性フェノールノボラック樹脂、ノボラック樹脂、ならびにこれらの混合物から
なる群より選択される、(e)酸化亜鉛が、1〜5phrの範囲の合計量で存在し、酸化
亜鉛の一部が、非生成混合段階で添加され、酸化亜鉛の残りが、生成混合段階で添加され
る、(f)キャッププライゴム組成物が、ポリマレイミドを含まない、(g)少なくとも
1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5phrの量で存在する、または(h)少なくとも
1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5phrの量で存在し、少なくとも1つのメチレン
供与体が、0.1〜5phrの量で存在し、さらに、少なくとも1つのメチレン受容体樹
脂が、0.1〜5phrの量で存在する。
【0020】
前述のように、所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、段落0017に従
い、60℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、比較組成物よりも少なく
とも0.01低いtanδ値を有し、少なくとも1つのヒドラジド化合物が、3−ヒドロ
キシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含む。これ
らの所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、また、以下の1以上を満たす:
(a)ゴム状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム
、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、(b)少なくとも1つのメチレ
ン供与体が、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシメチ
ルメラミン、N,N’,N”−トリメチルN,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘ
キサメチロールメラミン、N,N’,N”−ジメチロールメラミン、N−メチロールメラ
ミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリス(メトキシメチル)メ
ラミン、N,N’,N”−トリブチル−N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキ
サエトキシメチルメラミン、およびこれらの混合物からなる群より選択される、(c)少
なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、一価フ
ェノールおよびこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれらの誘導体、多価フェノール
およびこれらの誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、変性フェノールノボラック樹
脂、ノボラック樹脂、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、(d)酸化亜
鉛が、1〜5phrの範囲の合計量で存在し、酸化亜鉛の一部が、非生成混合段階で添加
され、酸化亜鉛の残りが、生成混合段階で添加される、(e)キャッププライゴム組成物
が、ポリマレイミドを含まない、(f)少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜
5phrの量で存在する、または(g)少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜
5phrの量で存在し、少なくとも1つのメチレン供与体が、0.1〜5phrの量で存
在し、さらに、少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、0.1〜5phrの量で存在す
る。
【0021】
前述のように、所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、段落0017に従
い、60℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、比較組成物よりも少なく
とも0.01低いtanδ値を有し、少なくとも1つのヒドラジド化合物が、3−ヒドロ
キシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含み、ゴム
状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、およびこ
れらの組み合わせからなる群より選択される。これらの所定の実施形態では、キャッププ
ライゴム組成物は、また、以下の1以上を満たす:(a)少なくとも1つのメチレン供与
体が、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシメチルメラ
ミン、N,N’,N”−トリメチルN,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサメ
チロールメラミン、N,N’,N”−ジメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、
N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリス(メトキシメチル)メラミン
、N,N’,N”−トリブチル−N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサエト
キシメチルメラミン、およびこれらの混合物からなる群より選択される、(b)少なくと
も1つのメチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、一価フェノー
ルおよびこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれらの誘導体、多価フェノールおよび
これらの誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、変性フェノールノボラック樹脂、ノ
ボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群より選択される、(c)酸化亜鉛が、1
〜5phrの範囲の合計量で存在し、酸化亜鉛の一部が、非生成混合段階で添加され、酸
化亜鉛の残りが、生成混合段階で添加される、(d)キャッププライゴム組成物が、ポリ
マレイミドを含まない、(e)少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5phr
の量で存在する、または(f)少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5phr
の量で存在し、少なくとも1つのメチレン供与体が、0.1〜5phrの量で存在し、さ
らに、少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、0.1〜5phrの量で存在する。
【0022】
前述のように、所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、段落0017に従
い、60℃、1%歪み振幅および振動数52Hzで測定したとき、比較組成物よりも少な
くとも0.01低いtanδ値を有し、少なくとも1つのヒドラジド化合物が、3−ヒド
ロキシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含み、ゴ
ム状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、および
これらの組み合わせからなる群より選択され、少なくとも1つのメチレン供与体が、ヘキ
サメトキシメチルメラミン、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシメチルメラミン、N,
N’,N”−トリメチルN,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメ
ラミン、N,N’,N”−ジメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−
ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリス(メトキシメチル)メラミン、N,N’
,N”−トリブチル−N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチル
メラミン、およびこれらの混合物からなる群より選択される。これらの所定の実施形態で
は、キャッププライゴム組成物は、また、以下の1以上を満たす:(a)少なくとも1つ
のメチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、一価フェノールおよ
びこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれらの誘導体、多価フェノールおよびこれら
の誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、変性フェノールノボラック樹脂、ノボラッ
ク樹脂、およびこれらの混合物からなる群より選択される、(b)酸化亜鉛が、1〜5p
hrの範囲の合計量で存在し、酸化亜鉛の一部が、非生成混合段階で添加され、酸化亜鉛
の残りが、生成混合段階で添加される、(c)キャッププライゴム組成物が、ポリマレイ
ミドを含まない、(d)少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5phrの量で
存在する、または(e)少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5phrの量で
存在し、少なくとも1つのメチレン供与体が、0.1〜5phrの量で存在し、さらに、
少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、0.1〜5phrの量で存在する。
【0023】
前述のように、所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、段落0017に従
い、60℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、比較組成物よりも少なく
とも0.01低いtanδ値を有し、少なくとも1つのヒドラジド化合物が、3−ヒドロ
キシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含み、ゴム
状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、およびこ
れらの組み合わせからなる群より選択され、メチレン供与体が、ヘキサメトキシメチルメ
ラミン、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシメチルメラミン、N,N’,N”−トリメ
チルN,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、N,N’,
N”−ジメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミ
ン、N,N’,N”−トリス(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N”−トリブチル
−N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、およびこ
れらの混合物からなる群より選択され、メチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レゾル
シノール誘導体、一価フェノールおよびこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれらの
誘導体、多価フェノールおよびこれらの誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、変性
フェノールノボラック樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群より選択
される。これらの所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、また、以下の1以
上を満たす:(a)酸化亜鉛が、1〜5phrの範囲の合計量で存在し、酸化亜鉛の一部
が、非生成混合段階で添加され、酸化亜鉛の残りが、生成混合段階で添加される、(b)
キャッププライゴム組成物が、ポリマレイミドを含まない、(c)少なくとも1つのヒド
ラジド化合物が、0.1〜5phrの量で存在する、または(d)少なくとも1つのヒド
ラジド化合物が、0.1〜5phrの量で存在し、少なくとも1つのメチレン供与体が、
0.1〜5phrの量で存在し、さらに、少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、0.
1〜5phrの量で存在する。
【0024】
前述のように、所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、段落0017に従
い、60℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、比較組成物よりも少なく
とも0.01低いtanδ値を有し、少なくとも1つのヒドラジド化合物が、3−ヒドロ
キシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含み、ゴム
状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、およびこ
れらの組み合わせからなる群より選択され、メチレン供与体が、ヘキサメトキシメチルメ
ラミン、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシメチルメラミン、N,N’,N”−トリメ
チルN,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、N,N’,
N”−ジメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミ
ン、N,N’,N”−トリス(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N”−トリブチル
−N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、およびこ
れらの混合物からなる群より選択され、メチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レゾル
シノール誘導体、一価フェノールおよびこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれらの
誘導体、多価フェノールおよびこれらの誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、変性
フェノールノボラック樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群より選択
され、酸化亜鉛が、1〜5phrの範囲の合計量で存在し、酸化亜鉛の一部が、非生成混
合段階で添加され、酸化亜鉛の残りが、生成混合段階で添加される。これらの所定の実施
形態では、キャッププライゴム組成物は、また、以下の1以上を満たす:(a)キャップ
プライゴム組成物が、ポリマレイミドを含まない、(b)少なくとも1つのヒドラジド化
合物が、0.1〜5phrの量で存在する、または(c)少なくとも1つのヒドラジド化
合物が、0.1〜5phrの量で存在し、少なくとも1つのメチレン供与体が、0.1〜
5phrの量で存在し、さらに、少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、0.1〜5p
hrの量で存在する。
【0025】
前述のように、所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、段落0017に従
い、60℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、比較組成物よりも少なく
とも0.01低いtanδ値を有し、少なくとも1つのヒドラジド化合物が、3−ヒドロ
キシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含み、ゴム
状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、およびこ
れらの組み合わせからなる群より選択され、メチレン供与体が、ヘキサメトキシメチルメ
ラミン、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシメチルメラミン、N,N’,N”−トリメ
チルN,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、N,N’,
N”−ジメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミ
ン、N,N’,N”−トリス(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N”−トリブチル
−N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、およびこ
れらの混合物からなる群より選択され、メチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レゾル
シノール誘導体、一価フェノールおよびこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれらの
誘導体、多価フェノールおよびこれらの誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、変性
フェノールノボラック樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群より選択
され、酸化亜鉛が、1〜5phrの範囲の合計量で存在し、ゴム組成物が、ポリマレイミ
ドを含まず、酸化亜鉛の一部が、非生成混合段階で添加され、酸化亜鉛の残りが、生成混
合段階で添加される。これらの所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、また
、以下の1以上を満たす:(a)少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5ph
rの量で存在する、または(b)少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5ph
rの量で存在し、少なくとも1つのメチレン供与体が、0.1〜5phrの量で存在し、
さらに、少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、0.1〜5phrの量で存在する。
【0026】
前述のように、所定の実施形態では、キャッププライゴム組成物は、段落0017に従
い、60℃、1%歪振幅および振動数52Hzで測定したとき、比較組成物よりも少なく
とも0.01低いtanδ値を有し、少なくとも1つのヒドラジド化合物が、3−ヒドロ
キシ−N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジドを含み、ゴム
状ポリマーが、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、およびこ
れらの組み合わせからなる群より選択され、メチレン供与体が、ヘキサメトキシメチルメ
ラミン、ヘキサメチレンテトラミン、メトキシメチルメラミン、N,N’,N”−トリメ
チルN,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、N,N’,
N”−ジメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミ
ン、N,N’,N”−トリス(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N”−トリブチル
−N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、およびこ
れらの混合物からなる群より選択され、メチレン受容体樹脂が、レゾルシノール、レゾル
シノール誘導体、一価フェノールおよびこれらの誘導体、二価フェノールおよびこれらの
誘導体、多価フェノールおよびこれらの誘導体、未変性フェノールノボラック樹脂、変性
フェノールノボラック樹脂、ノボラック樹脂、およびこれらの混合物からなる群より選択
され、酸化亜鉛が、1〜5phrの範囲の合計量で存在し、ゴム組成物が、ポリマレイミ
ドを含まず、少なくとも1つのヒドラジド化合物が、0.1〜5phrの量で存在し、酸
化亜鉛の一部が、非生成混合段階で添加され、酸化亜鉛の残りが、生成混合段階で添加さ
れる。これらの所定の実施形態では、少なくとも1つのメチレン供与体が、0.1〜5p
hrの量で存在し、さらに、少なくとも1つのメチレン受容体樹脂が、0.1〜5phr
の量で存在する。
【0027】
また、タイヤのヒステリシスを低減する方法が開示され、前記方法は、少なくとも1つ
の天然または合成ゴム状ポリマーと、0.1〜20phrの少なくとも1つのヒドラジド
化合物と、0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン供与体と、0.1〜10ph
rの少なくとも1つのメチレン受容体樹脂と、0.1〜10phrの酸化亜鉛とを混合す
る工程を含む方法により作製されたスキムゴム組成物で被覆された少なくとも1つのコー
ド層を含むキャッププライを利用する工程を含む。
【0028】
このような方法では、酸化亜鉛の一部が、非生成混合段階で混合され、酸化亜鉛の残り
が、生成混合段階で混合される。いずれのこのような方法においても、ゴム組成物は、段
落0017〜0026のいずれかで指定されるものであってよい。
【0029】
さらに、少なくとも1つの天然または合成ゴム状ポリマーと、0.1〜20phrの少
なくとも1つのヒドラジド化合物と、0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン供
与体と、0.1〜10phrの少なくとも1つのメチレン受容体樹脂と、0.1〜10p
hrの酸化亜鉛とを混合する工程を含むゴム組成物の調製方法が開示される。このような
方法では、酸化亜鉛の一部が、非生成混合段階で混合され、酸化亜鉛の残りが、生成混合
段階で混合される。いずれのこのような方法においても、ゴム組成物は、段落0017〜
0026のいずれかで指定されるものであってよい。
【0030】
所定の実施形態では、段落0027または段落0028に準じた前出の方法は、繊維コ
ード層が、ナイロン、ポリエステル、アラミド、ポリアミン、またはレーヨンからなる繊
維コードを含む方法を対象としている。いずれのこのような方法においても、ゴム組成物
は、段落0017〜0026のいずれかで指定されるものであってよい。
【0031】
所定の実施形態では、段落0027、0028、0029または0030に準じた前出
の方法は、スキムゴム組成物を調製する方法を対象とし、ここで、(a)生成混合段階で
添加される酸化亜鉛の量と、非生成混合段階で添加される酸化亜鉛の量の比は、1:1〜
10:1であり、および/または(b)生成混合段階で添加される酸化亜鉛の量と、非生
成混合段階で添加される酸化亜鉛の量の比は、2:1〜3:1である。
【0032】
上述の少なくとも1つの天然または合成ゴム状ポリマーは、キャッププライゴム組成物
における使用に適するいずれのポリマーであってもよい。本明細書記載の組成物に使用可
能なゴム状ポリマーの例としては、これらに限定されないが、天然ゴム、合成ポリイソプ
レンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム、スチレン
−イソプレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレン−スチレンターポリマー、ブタ
ジエン−イソプレンゴム、ポリブタジエン、ブチルゴム、ネオプレン、アクリロニトリル
−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、エチレンアクリ
ルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)、
エチレン酢酸ビニルコポリマー、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン−プロピ
レンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、およびテトラフ
ルオロエチレン−プロピレンゴム、が挙げられる。ゴム状ポリマーの混合物も使用可能で
ある。一実施形態では、キャッププライゴム組成物は、天然ゴムおよびスチレン−ブタジ
エンゴムの混合物を含んでもよい。
【0033】
キャッププライゴム組成物は、0.1〜20phr、0.1〜10phr、または0.
1〜5phrの少なくとも1つのヒドラジド化合物を含む。好ましいヒドラジド化合物の
例としては、これらに限定されないが、式IおよびIIで表される化合物が含まれる:
【化1】

式中、Rは、2〜18個の炭素を有する非環式脂肪族基、5〜20個の炭素を有する環
式脂肪族基、6〜18個の炭素を有する芳香族基、または7〜24個の炭素を有するアル
キル芳香族基である。Rは、任意に、O、NおよびSのうちの少なくとも1つのヘテロ
原子を含んでもよく、ただし、非環式脂肪族基がその中に芳香族基を含む。Rは、水素
原子、ヒドロキシ基、アミノ基またはメルカプト基である。各RおよびRは、水素原
子、1〜18個の炭素を有するアルキル基、シクロヘキシル基または芳香族基であり、同
じでもよく、異なっていてもよく、また、任意に、O、NおよびSのうちの少なくとも1
つのヘテロ原子を含んでもよい。さらに、nは、1〜3の整数である。
【0034】
好ましい具体的なヒドラジド化合物の例としては、これらに限定されないが、1−ヒド
ロキシ−N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ
−N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N
’−(1−メチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(
1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−N’−(
2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ−
N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(
1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メ
チルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1−メチル
ブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−N’−(1,3−ジメチル
ブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、2−ヒドロキシ−N’−(2,6−ジメチル
−4−ヘプチリデン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド、2−ヒドロキシ−N’−(2−フリ
ルメチレン)−3−ナフトエ酸ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1−メチルエチリデン)ヒ
ドラジド、イソフタル酸ジ(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1
−メチルブチリデン)ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1,3−ジメチルブチリデン)ヒド
ラジド、イソフタル酸ジ(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)ヒドラジド、イソフタ
ル酸ジ(2−フリルメチレン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1−メチルエチリデン)ヒ
ドラジド、イソニコチン酸(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1
−メチルブチリデン)ヒドラジド、イソニコチン酸(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデ
ン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1,3−ジメチルブチリデン)ヒドラジド、イソニコ
チン酸(2−フリルメチレン)ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)−サリチル
酸ヒドラジド、N’−(1−メチルプロピリデン)−サリチル酸ヒドラジド、N’−(1
−メチルブチリデン)−サリチル酸ヒドラジド、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)
−サリチル酸ヒドラジド、N’−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−サリチル酸
ヒドラジド、N’−(2−フリルメチレン)−サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチ
ルエチリデン)−安息香酸ヒドラジド、N’−(1−メチルプロピリデン)−安息香酸ヒ
ドラジド、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−安息香酸ヒドラジド、N’−(ベン
ジリデン)−安息香酸ヒドラジド、N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)−安
息香酸ヒドラジド、N’−(4−メトキシフェニルメチレン)−安息香酸ヒドラジド、N
’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)−安息香酸ヒドラジド、N’−(1−フェニル
エチリデン)−安息香酸ヒドラジド、N’−(ジフェニルメチレン)−安息香酸ヒドラジ
ド、N’−[1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンジリデン]−安息香酸ヒドラジ
ド、N’−(2−フリルメチレン)−安息香酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデ
ン)−1−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−メチルプロピリデン)−1−ナフトエ酸
ヒドラジド、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−1−ナフトエ酸ヒドラジド、N’
−(ベンジリデン)−1−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(4−ジメチルアミノフェニル
メチレン)−1−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(4−メトキシフェニルメチレン)−1
−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)−1−ナフトエ酸
ヒドラジド、N’−(1−フェニルエチリデン)−1−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(
ジフェニルメチレン)−1−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−(2,4−ジヒドロキ
シフェニル)ベンジリデン)−1−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(2−フリルメチレン
)−1−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒド
ラジド、N’−(1−メチルプロピリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1,
3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(ベンジリデン)−2−
ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)−2−ナフトエ
酸ヒドラジド、N’−(4−メトキシフェニルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、
N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−
フェニルエチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(ジフェニルメチレン)−2
−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−[1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンジリデン
]−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(2−フリルメチレン)−2−ナフトエ酸ヒドラ
ジド、N’−(1−メチルエチリデン)−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−メチル
プロピリデン)プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−プロ
ピオン酸ヒドラジド、N’−(ベンジリデン)プロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−ジ
メチルアミノフェニルメチレン)−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−メトキシフェ
ニルメチレン)プロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)−
プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−フェニルエチリデン)−プロピオン酸ヒドラジド
、N’−(ジフェニルメチレン)−プロピオン酸ヒドラジド、N’−[1−(2,4−ジ
ヒドロキシフェニル)ベンジリデン]−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(2−フリルメ
チレン)−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)−2−メチル−プ
ロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−メチルプロピリデン)−2−メチル−プロピオン酸
ヒドラジド、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−メチル−プロピオン酸ヒドラ
ジド、N’−(ベンジリデン)−2−メチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−ジ
メチルアミノフェニルメチレン)−2−メチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−
メトキシフェニルメチレン)−2−メチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−ヒド
ロキシフェニルメチレン)−2−メチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−フェニ
ルエチリデン)−2−メチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(ジフェニルメチレン)
−2−メチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−[1−(2,4−ジヒドロキシフェニル
)ベンジリデン]−2−メチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(2−フリルメチレン
)−2−メチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)−2,2−
ジメチル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−メチルプロピリデン)−2,2−ジメ
チル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2,2−ジメ
チルプロピオン酸ヒドラジド、N’−(ベンジリデン)−2,2−ジメチル−プロピオン
酸ヒドラジド、N’−(4−ジメチルアミノフェニルメチレン)−2,2−ジメチル−プ
ロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−メトキシフェニルメチレン)−2,2−ジメチル−
プロピオン酸ヒドラジド、N’−(4−ヒドロキシフェニルメチレン)−2,2−ジメチ
ル−プロピオン酸ヒドラジド、N’−(1−フェニルエチリデン)−2,2−ジメチル−
プロピオン酸ヒドラジド、N’−(ジフェニルメチレン)−2,2−ジメチル−プロピオ
ン酸ヒドラジド、N’−[1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンジリデン]−2,
2−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、N’−(2−フリルメチレン)−2,2−ジメチ
ル−プロピオン酸ヒドラジド、などが挙げられる。1以上のヒドラジド化合物をゴム組成
物中に含むことができる。他の好ましいヒドラジド化合物の中には、米国特許第6,380,28
8号に開示のもの、などの置換ヒドラジド化合物が含まれる。これは、本明細書に援用さ
れる。
【0035】
また、キャッププライゴム組成物は、0.1〜10phr、0.1〜8phr、または
0.1〜5phrの少なくとも1つのメチレン受容体樹脂を含む。用語「メチレン受容体
」は、当業者には公知であり、それと下記のメチレン供与体化合物が反応して中間体メチ
ロールモノマーと考えられるものを形成する反応物または化合物を記述するのに使われる
。メチレン架橋の形成による中間体メチロールモノマーの縮合が、樹脂材料を製造すると
想定されている。後にメチレン架橋を形成し、最終的に樹脂を形成する部分に寄与すると
想定されている最初の反応物は、メチレン供与体化合物と呼ばれ、また、他の反応物は、
メチレン受容体化合物と呼ばれる。メチレン受容体の例は、本明細書で示され、例えば、
これらに限定されないが、米国特許第6,605,670号、同6,472,457号、同5,945,500号、同5
,936,056号、同5,688,871号、同5,665,799号、同5,504,127号、同5,405,897号、同5,244,
725号、同5,206,389号、同5,194,513号、同5,030,692号、同4,889,481号、同4,605,696号
、同4,436,853号および同4,092,455号に記載のものが挙げられる。これらの各々は、本明
細書に援用される。一般的に、好ましいメチレン受容体化合物の例としては、これらに限
定されないが、レゾルシノール、レゾルシノール誘導体、一価フェノールおよびこれらの
誘導体、二価フェノールおよびこれらの誘導体、多価フェノールおよびこれらの誘導体、
未変性フェノールノボラック樹脂、変性フェノールノボラック樹脂、ノボラック樹脂、お
よびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
また、キャッププライゴム組成物は、0.1〜10phr、0.1〜8phr、または
0.1〜5phrのメチレン供与体化合物を含む。好ましいメチレン供与体化合物の例と
しては、これらに限定されないが、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチレンテト
ラミン、メトキシメチルメラミン、N,N’,N”−トリメチルN,N’,N”−トリメ
チロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、N,N’,N”−ジメチロールメラミン
、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリス
(メトキシメチル)メラミン、N,N’,N”−トリブチル−N,N’,N”−トリメチ
ロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
また、キャッププライゴム組成物は、充填剤を含むことが好ましい。充填剤は、カーボ
ンブラック、シリカ、およびこれらの混合物からなる群より選択することができる。充填
剤の合計量は、約1〜約200phr、あるいは、約5〜約100phr、約10phr
〜約30phr、約30〜約80phr、または約40〜約70phrであってよい。
【0038】
存在する場合、カーボンブラックは、約1〜約200phrの量で、約5〜約100p
hrの量で、または約30〜約80phrの量で使用できる。好ましいカーボンブラック
としては、一般に入手可能な、工業的に製造されているカーボンブラックが挙げられ、少
なくとも20m/g、または好ましくは少なくとも35m/g〜200m/gまた
はそれより大きい表面積を有するものが好ましい。有用なカーボンブラックには、ファー
ネスブラック、チャンネルブラック、およびランプブラックが含まれる。2以上のカーボ
ンブラックの混合物も使用できる。代表的なカーボンブラックとしては、これらに限定さ
れないが、ASTMD−1765−82aにより指定されるような、N−110、N−2
20、N−339、N−330、N−352、N−550、N−660が挙げられる。
【0039】
使用可能な補強用シリカ充填剤の例としては、湿式シリカ(水和ケイ酸)、乾式シリカ
(無水ケイ酸)、カルシウムケイ酸塩、などが挙げられる。これらのなかでも、沈降アモ
ルファス湿式法、水和シリカが好ましい。シリカは、約1〜約100phrの量で、約5
〜約80phrの量で、または約30〜約80phrの量で採用できる。有用な上限範囲
は、この種の充填剤により付与される高粘度によって制限される。使用可能ないくつかの
市販のシリカとしては、これらに限定されないが、PPG Industries(Pittsburgh、Pa.)製
のHiSil(登録商標)190、HiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)215、HiSil(登
録商標)233、HiSil(登録商標)243、などが挙げられる。いくつかの有用な別のシリカ
の市販グレードも、DeGussaCorporation(例えば、VN2、VN3)、Rhone Poulenc(例えば
、Zeosil(登録商標)1165MP0)、およびJ.M.Huber Corporationから入手可能である。
【0040】
カーボンブラックおよび/またはシリカの表面は、任意に、処理または修飾し、特定の
種類のポリマーに対する親和性を改善することができる。このような表面処理、および修
飾は、当業者に周知である。
【0041】
シリカが充填剤として使用される場合は、シリカをポリマーと結合させるためにカップ
リング剤の使用が望ましい場合がある。多くのカップリング剤が知られており、これらに
限定されないが、オルガノシランポリスルフィドおよびオルガノアルコキシメルカプトシ
ランが挙げられる。任意のオルガノシランポリスルフィドが使用可能である。好ましいオ
ルガノシランポリスルフィドとしては、これらに限定されないが、3,3’−ビス(トリ
メトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル
)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3
,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)オクタスルフィド、3,3’−ビス(トリ
メトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2’−ビス(トリエトキシシリルエチ
ル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド
、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(ト
リブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピ
ル)ヘキサスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリルプロピル)オクタスルフィ
ド、3,3’−ビス(トリオクトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビ
ス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(トリ−2”−エチ
ルヘキソキシシリルプロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリイソオクトキシシ
リルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリ−t−ブトキシシリルプロピル
)ジスルフィド、2,2’−ビス(メトキシジエトキシシリルエチル)テトラスルフィド
、2,2’−ビス(トリプロポキシシリルエチル)ペンタスルフィド、3,3’−ビス(
トリシクロネオキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(トリシクロペ
ントキシシリルプロピル)トリスルフィド、2,2’−ビス(トリ−2”−メチルシクロ
ヘキソキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルメチル)テトラ
スルフィド、3−メトキシエトキシプロポキシシリル 3’−ジエトキシブトキシ−シリ
ルプロピルテトラスルフィド、2,2’−ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスル
フィド、2,2’−ビス(ジメチルsec−ブトキシシリルエチル)トリスルフィド、3
,3’−ビス(メチルブチルエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビ
ス(ジt−ブチルメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、2,2’−ビス(フェニ
ルメチルメトキシシリルエチル)トリスルフィド、3,3’−ビス(ジフェニルイソプロ
ポキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス(ジフェニルシクロヘキソキ
シシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(ジメチルエチルメルカプトシリルプ
ロピル)テトラスルフィド、2,2’−ビス(メチルジメトキシシリルエチル)トリスル
フィド、2,2’−ビス(メチルエトキシプロポキシシリルエチル)テトラスルフィド、
3,3’−ビス(ジエチルメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3,3’−ビス
(エチルジ−secブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(プロピル
ジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’−ビス(ブチルジメトキシシリルプ
ロピル)トリスルフィド、3,3’−ビス(フェニルジメトキシシリルプロピル)テトラ
スルフィド、3’−トリメトキシシリルプロピルテトラスルフィド、4,4’−ビス(ト
リメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、6,6’−ビス(トリエトキシシリルヘキ
シル)テトラスルフィド、12,12’−ビス(トリイソプロポキシシリルドデシル)ジ
スルフィド、18,18’−ビス(トリメトキシシリルオクタデシル)テトラスルフィド
、18、18’−ビス(トリプロポキシシリルオクタデセニル)テトラスルフィド、4,
4’−ビス(トリメトキシシリル−ブテン−2−イル)テトラスルフィド、4,4’−ビ
ス(トリメトキシシリルシクロヘキシレン)テトラスルフィド、5,5’−ビス(ジメト
キシメチルシリルペンチル)トリスルフィド、3,3’−ビス(トリメトキシシリル−2
−メチルプロピル)テトラスルフィドおよび3,3’−ビス(ジメトキシフェニルシリル
−2−メチルプロピル)ジスルフィド、が挙げられる。
【0042】
好ましいオルガノアルコキシメルカプトシランとしては、これらに限定されないが、ト
リエトキシメルカプトプロピルシラン、トリメトキシメルカプトプロピルシラン、メチル
ジメトキシメルカプトプロピルシラン、メチルジエトキシメルカプトプロピルシラン、ジ
メチルメトキシメルカプトプロピルシラン、トリエトキシメルカプトエチルシラン、トリ
プロポキシメルカプトプロピルシラン、エトキシジメトキシメルカプトプロピルシラン、
エトキシジイソプロポキシメルカプトプロピルシラン、エトキシジドデシルオキシメルカ
プトプロピルシランおよびエトキシジヘキサデシルオキシメルカプトプロピルシラン、が
挙げられる。このようなオルガノアルコキシメルカプトシランは、保護基でキャップして
もよく、すなわち、メルカプト水素原子を別の基で置換してもよい。キャップされたオル
ガノアルコキシメルカプトシランカップリング剤の代表例は、NXT(商標)シランとし
てMomentive Performance Materials Incから市販されている液体3−オクタノイルチオ
−1−プロピルトリエトキシシランである。
【0043】
種々のオルガノシランポリスルフィド化合物およびオルガノアルコキシメルカプトシラ
ンの混合物が使用可能である。
【0044】
ゴム組成物中のカップリング剤の量は、許容可能な結果を得るのに必要な量であり、当
業者によって容易に決定される。カップリング剤の量は、典型的には、組成物中のシリカ
の重量基準で、シリカの約0.1重量%〜約20重量%、シリカの約1重量%〜約15重
量%、または、シリカの約1重量%〜約10重量%であってよい。
【0045】
追加の充填剤も利用可能であり、これらに限定されないが、クレー、タルク、アルミニ
ウム水和物、水酸化アルミニウムおよびマイカなどの無機充填剤が挙げられる。前出の追
加の充填剤は、任意添加であり、約0.5phr〜約40phrの量で利用可能である。
【0046】
キャッププライゴム組成物は、0.1〜10phr、1〜7phr、または2〜5ph
rの量の酸化亜鉛を含む。キャッププライゴム組成物に添加できる他の成分としては、こ
れらに限定されないが、オイル、ワックス、スコーチ阻害剤、粘着付与樹脂、補強樹脂、
ステアリン酸などの脂肪酸、およびペプタイザー、が挙げられる。これらの成分は、当技
術分野で公知であり、ゴム組成物の所望の物理的および機械的性質に基づいて適切な量で
添加できる。
【0047】
加硫剤および加硫促進剤も、キャッププライゴム組成物に添加できる。好ましい加硫剤
および加硫促進剤は、当技術分野で公知であり、ゴム組成物の所望の物理的性質、機械的
性質、および硬化速度特性に基づいて適切な量で添加できる。加硫剤の例としては、硫黄
および硫黄提供化合物が挙げられる。ゴム組成物中に使用される加硫剤の量は、所定の実
施形態では、約0.1〜約10phr、または100phrあたり約1〜約5重量部であ
ってもよい。
【0048】
使用に際し、加硫促進剤は、特に限定されない。多くの促進剤が、当技術分野で公知で
あり、これらに限定されないが、ジフェニルグアニジン(DPG)、テトラメチルチウラ
ムジスルフィド(TMTD)、4,4’−ジチオジモルホリン(DTDM)、テトラブチ
ルチウラムジスルフィド(TBTD)、ベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−
(モルホリノチオ)ベンゾチアゾール(MBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチ
アゾールスルホンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスル
ホンアミド(CBS)、およびこれらの混合物が挙げられる。ゴム組成物で使われる加硫
促進剤の量は、約0.1〜約10phr、または約1〜約5phrであってもよい。
【0049】
一実施形態では、キャッププライゴム組成物は、ポリマレイミドを含まないことがある
【0050】
ゴム組成物は、当技術分野で公知の方法で各成分を一緒に混合することにより、例えば
、バンバリーミキサー中で各成分を一緒に混練することにより、形成することができる。
例えば、キャッププライゴム組成物は、少なくとも2つの混合段階で混合してもよい。第
一の段階は、加硫剤または加硫促進剤を加えない混合段階でもよく、当業者には通常、非
生成混合段階と呼ばれる。所定の実施形態では、2以上の非生成混合段階を使うことがで
きる。最終段階は、加硫剤および加硫促進剤が添加される混合段階でもよく、当業者には
通常、生成混合段階と呼ばれる。非生成混合段階は、約130℃〜約200℃の温度で行
うことができる。生成混合段階は、望ましくないゴム組成物の早期加硫を避けるために、
加硫温度未満の温度で行うことができる。したがって、生成混合段階の温度は、約120
℃を超えるべきではなく、典型的には、約40℃〜約120℃、または約60℃〜約11
0℃であり、特に、約75℃〜約100℃である。
【0051】
酸化亜鉛の一部を、非生成混合段階で添加し、酸化亜鉛の残りを、生成混合段階で添加
することが有益であることを見出した。例えば、生成混合段階で添加される酸化亜鉛の量
と、非生成混合段階で添加される酸化亜鉛の量の比は、1:1〜10:1、1:1〜5:
1、または2:1〜3:1であってもよい。ゴム組成物を混合する際に酸化亜鉛を分割し
て添加することにより、引っ張り特性および動的モジュラスが予想外に改善されることを
見出した。具体的には、酸化亜鉛を分割して添加することにより、より高い切断時引張強
度、より大きい切断時伸び、ならびにより高い動的モジュラスを得ることができ、これら
の全ては、特に、キャッププライゴム組成物に対し有益な場合がある。
【0052】
一実施形態では、メチレン受容体樹脂は、メチレン供与体とは異なる混合段階で添加さ
れる。例えば、メチレン受容体樹脂は、非生成混合段階で添加でき、メチレン供与体は、
生成混合段階で添加できる。
【0053】
一実施形態では、キャッププライゴム組成物は、60℃、1%歪振幅および振動数52
Hzで測定したとき、ヒドラジド化合物を含まない比較キャッププライゴム組成物よりも
少なくとも0.01低いtanδ値を有する。「ヒドラジド化合物を含まない比較キャッ
ププライゴム組成物」は、このような比較組成物が、ヒドラジド化合物を含まないという
事実以外は同じであり、比較組成物が、ヒドラジド含有ゴム組成物の調製に使用される同
一または類似の方法で調製されることを意味する。一実施形態では、酸化亜鉛(酸化亜鉛
を使う場合)が生成および非生成混合段階で分割して添加される場合、tanδ値は、ヒ
ドラジド化合物を含まない比較キャッププライゴム組成物よりも低くなり得る。より低い
tanδ値は、キャッププライゴム組成物にとって望ましい。これは、このような結果が
より低いヒステリシスを示し、このことがタイヤが作動中のより少ない発熱、ならびによ
り小さい転がり抵抗を意味するからである。
【0054】
本明細書の開示に従って形成されるゴム組成物は、キャッププライゴム組成物として特
に有用である。しかしながら、所定の実施形態では、それは、トレッド、サイドウォール
、ビードフィラー、アンダートレッド、またはカーカスプライ用コーティングなどの別の
タイヤ部材として使用できる。さらに、空気ばね部材、などの他のゴム製品を、本開示の
ゴム組成物から形成してもよい。
【0055】
タイヤのキャッププライは、多くの場合、ナイロン、ポリエステル、アラミド、ポリア
ミン、またはレーヨンからなるコードを含む。キャッププライに使われるコードの種類は
、キャッププライでの使用に適することがわかっているいずれの材料でもよく、また、将
来、適することが明らかになり得る材料であってもよい。キャッププライのコードが、水
性レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス(「RFL」)浸漬により一般的に被
覆され、キャッププライゴム組成物に対する接着性が改善されることはよく知られている
。このようなRFL浸漬配合は、当業者には周知である。例えば、従来のRFL浸漬配合
は、11部のレゾルシノール、178部の水、0.9部の水酸化ナトリウム(50%)、
および16.2部のホルムアルデヒド(37%)を含む樹脂溶液を作ることにより行われ
る。次に、樹脂溶液を、244部のビニルピリジンラテックス(41%)、72.2部の
水、および12部の水酸化アンモニウム(28%)に加える。代表的な従来のRFL浸漬
の詳細は、例えば、Durairaj、RajB.、「Resorcinol:chemistry、technology、and appli
cations」284、(2005)、に見つけることができ、これは、本明細書に援用され
る。
【0056】
本開示は、以下の実施例を参照して、さらに詳細に説明される。以下の実施例は、例示
の目的のみで提示されており、限定の意味で解釈されるべきではない。
【実施例】
【0057】
各ゴム組成物を表1に示す配合に従って調製した。全ての量はphrで表されている。
【表1】
【0058】
実施例で使用したヒドラジド化合物は、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−
ヒドロキシ−2−ナフトヒドラジドであり、メチレン受容体樹脂は、レゾルシノールであ
り、また、メチレン供与体は、ヘキサメトキシメチルメラミンであった。
【0059】
対照1は、メチレン受容体樹脂、メチレン供与体、およびヒドラジド化合物のいずれも
含まなかった。対照2は、ヒドラジド化合物を含むが、メチレン受容体樹脂とメチレン供
与体のいずれも含まなかった。対照3は、メチレン受容体樹脂およびメチレン供与体を含
むが、ヒドラジド化合物を含まなかった。実験1は、メチレン受容体樹脂、メチレン供与
体、およびヒドラジド化合物を含んだ。実験2は、実験1と同じ組成で、実験2では、酸
化亜鉛の一部が非生成混合段階および生成混合段階の両方で添加された点のみが異なる。
実験1と実験2は、本開示に従っている。
【0060】
ゴム組成物を、各試験に供した。引張機械特性は、ASTM−D412に記載の方法で
、22℃で測定した。引張試験片は、厚み1.9mmのダンベル形状とした。25.4m
mの特定のゲージ長を引張試験に使用した。引張試験片を149℃で40分間加硫した。
E’、E”、およびtanδなどの動的粘弾性特性を、温度60℃、歪振幅1%、および
振動数52Hzで測定した。動的粘弾性試験用の試験片を、149℃で40分加硫し、寸
法は、長さ40mm、幅4.7mm、および厚み2mmであった。
【表2】
【0061】
表2からわかるように、実験1の組成物は、ヒドラジド化合物を含まない比較組成物で
ある対照3の組成物よりも少なくとも0.01小さいtanδ値を有する。タイヤが作動
中の小さいtanδは、より少ない発熱を示し、また、より小さい転がり抵抗を示すため
に、このような効果は、キャッププライゴム組成物において望ましい。
【0062】
また、実験2の組成物を実験1の組成物と比較すると、酸化亜鉛を非生成混合段階およ
び生成混合段階へ分割して添加することにより、得られたゴム組成物の引張特性および動
的モジュラス(E’)が、予想外に改善されることがわかる。具体的には、酸化亜鉛を分
割して添加することにより、より高い切断時引張強度、より大きい切断時伸び、ならびに
より高い動的モジュラスを得ることができ、これらの全ては、キャッププライゴム組成物
に有益である。
【0063】
代表的実施形態を用いて説明を行ってきた。前述の詳細な説明を読み、理解することに
より、修正および変形を思いつくことができよう。このような修正および変形が添付の請
求項またはそれらの等価物の範囲内に入る限りにおいて、本開示および代表的実施形態は
、これら全てを含むと解釈されるべきであることが意図されている。