(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一体に束ねられた複数本の線材がケーブル径方向の内側から外側に向けて、絶縁層と導電層との順に積層されてなる被覆層により被覆されることにより構成されるケーブルに接続されるケーブル被覆損傷位置検出装置が、
前記導電層におけるケーブル長さ方向の両端部間に電圧を印加した後に、前記導電層におけるケーブル長さ方向の両端部のうちの一方の端部である導電層端部と、前記線材におけるケーブル長さ方向の両端部のうち、前記導電層端部側に位置する端部である線材端部と、の間に電圧を印加し、
前記導電層における前記ケーブルの長さ方向に関して離間する箇所間の電圧を検出し、
前記導電層端部と前記線材端部との間に対して電圧が印加された場合において検出される前記導電層間の電圧である比較電圧と、前記両端部間に対して電圧が印加された場合において検出される前記導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、前記ケーブルの被覆損傷位置を算出する、
ケーブル被覆損傷位置検出方法。
前記基準電圧として、前記両端部間に所定電圧が印加された場合についての前記導電層間の電圧を予め検出しておくと共に、前記両端部間に所定電圧が印加された場合に前記導電層間に流れる電流である基準電流を予め検出しておき、
前記導電層間に前記基準電流と同じ電流を流すための電圧である較正電圧を、前記導電層端部と前記線材端部との間に印加し、
前記比較電圧として、前記導電層端部と前記線材端部との間に前記較正電圧が印加された場合についての前記導電層間の電圧を検出し、
予め検出された前記基準電圧と前記比較電圧との比に基づいて、前記導電層端部からのケーブル長さ方向に沿った距離を、前記ケーブルの損傷位置として算出する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のケーブル被覆損傷位置検出方法。
前記導電層端部と前記線材端部との間に予め設定された電圧を印加した場合に検出される前記導電層間に流れる電流に基づいて、前記ケーブルの被覆損傷部の面積を算出する、
請求項5または6に記載のケーブル被覆損傷位置検出方法。
一体に束ねられた複数本の線材がケーブル径方向の内側から外側に向けて、絶縁層と導電層との順に積層されてなる被覆層により被覆されることにより構成されるケーブルと、
前記導電層におけるケーブル長さ方向の両端部間に電圧を印加した後に、前記導電層におけるケーブル長さ方向の両端部のうちの一方の端部である導電層端部と、前記線材におけるケーブル長さ方向の両端部のうち、前記導電層端部側に位置する端部である線材端部と、の間に電圧を印加する電力供給部と、
前記導電層における前記ケーブルの長さ方向に関して離間する箇所間の電圧を検出する検出部と、
前記導電層端部と前記線材端部との間に対して電圧が印加された場合において検出される前記導電層間の電圧である比較電圧と、前記両端部間に対して電圧が印加された場合において検出される前記導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、前記ケーブルの被覆損傷位置を算出する算出部と、
を備えるケーブル被覆損傷位置検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、ケーブル上において被覆損傷の有無や被覆損傷の面積(ケーブルの線材露出面積)を検出可能であるものの、損傷箇所の位置を検出することができない場合があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ケーブルの被覆損傷位置を検出することができるケーブル被覆損傷位置検出方法、およびケーブル被覆損傷位置検出装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るケーブル被覆損傷位置検出方法は、一体に束ねられた複数本の線材がケーブル径方向の内側から外側に向けて、絶縁層と導電層との順に積層されてなる被覆層により被覆されることにより構成されるケーブルに接続されるケーブル被覆損傷位置検出装置が、前記導電層におけるケーブル長さ方向の両端部間に電圧を印加
した後に、前記導電層におけるケーブル長さ方向の両端部のうちの一方の端部である導電層端部と、前記線材におけるケーブル長さ方向の両端部のうち
、前記導電層端部側に位置する端部である線材端部と、の間に電圧を印加し、前記導電層における前記ケーブルの長さ方向に関して離間する箇所間の電圧を検出し、前記導電層端部と前記線材端部との間に対して電圧が印加された場合において検出される前記導電層間の電圧である比較電圧と、前記両端部間に対して電圧が印加された場合において検出される前記導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、前記ケーブルの被覆損傷位置を算出する。
【0006】
この場合、導電層の一方の端部である導電層端部と当該導電層端部と同側における線材の端部との間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である比較電圧と、導電層の両端部間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、ケーブルの損傷位置を算出することができる。
【0007】
前記ケーブル被覆損傷位置検出方法は、前記ケーブルの被覆損傷位置を、前記導電層の損傷位置として算出してもよい。
【0008】
この場合、導電層の一方の端部である導電層端部と当該導電層端部と同側における線材の端部との間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である比較電圧と、導電層の両端部間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、導電層の損傷位置をケーブルの損傷位置として算出することができる。
【0009】
前記ケーブル被覆損傷位置検出方法は、前記線材を負極とし、前記導電層を正極として、前記導電層端部と前記線材端部との間に電圧を印加してもよい。
【0010】
この場合、導電層を犠牲陽極にすることにより、線材が通電によって強制電解しないようにすることができる。
【0011】
前記ケーブル被覆損傷位置検出方法は、前記導電層における前記ケーブルの長さ方向に関して離間する箇所間における前記ケーブルの領域が水中に設置される場合に、前記ケーブルの被覆損傷位置を算出してもよい。
【0012】
この場合、水中に設置されたケーブルの被覆損傷位置を算出することができる。
【0013】
前記ケーブル被覆損傷位置検出方法は、前記基準電圧として、前記両端部間に所定電圧が印加された場合についての前記導電層間の電圧を予め検出しておくと共に、前記両端部間に所定電圧が印加された場合に前記導電層間に流れる電流である基準電流を予め検出しておき、前記導電層間に前記基準電流と同じ電流を流すための電圧である較正電圧を、前記導電層端部と前記線材端部との間に印加し、前記比較電圧として、前記導電層端部と前記線材端部との間に前記較正電圧が印加された場合についての前記導電層間の電圧を検出し、予め検出された前記基準電圧と前記比較電圧との比に基づいて、前記導電層端部からのケーブル長さ方向に沿った距離を、前記ケーブルの被覆損傷位置として算出してもよい。
【0014】
この場合、ケーブルの被覆損傷位置を、より精度良く算出することができる。
【0015】
前記ケーブルの被覆損傷位置検出方法は、前記ケーブルの設置前に、前記基準電圧を予め検出しておき、前記ケーブルの設置後に、前記導電層端部と前記線材端部との間に前記較正電圧を印加し検出された前記基準電流に基づいて前記ケーブルの被覆損傷の有無を判断し、前記ケーブルの被覆損傷が有ると判断された場合に、前記ケーブルの被覆損傷位置を算出してもよい。
【0016】
この場合、ケーブルの被覆損傷の有無を判断し、速やかに被覆損傷位置を算出する動作に移行することができる。
【0017】
前記ケーブル被覆損傷位置検出方法は、前記導電層端部と前記線材端部との間に予め設定された電圧を印加した場合に検出される前記導電層間に流れる電流に基づいて、前記ケーブルの被覆損傷部の面積を算出してもよい。
【0018】
この場合、ケーブル被覆損傷位置検出装置がケーブルの損傷時に、さらに損傷の面積も算出することができる。
【0019】
本発明に係るケーブル被覆損傷位置検出装置は、一体に束ねられた複数本の線材がケーブル径方向の内側から外側に向けて、絶縁層と導電層との順に積層されてなる被覆層により被覆されることにより構成されるケーブルと、前記導電層におけるケーブル長さ方向の両端部間に電圧を印加
した後に、前記導電層におけるケーブル長さ方向の両端部のうちの一方の端部である導電層端部と、前記線材におけるケーブル長さ方向の両端部のうち
、前記導電層端部側に位置する端部である線材端部と、の間に電圧を印加する電力供給部と、前記導電層における前記ケーブルの長さ方向に関して離間する箇所間の電圧を検出する検出部と、前記導電層端部と前記線材端部との間に対して電圧が印加された場合において検出される前記導電層間の電圧である比較電圧と、前記両端部間に対して電圧が印加された場合において検出される前記導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、前記ケーブルの被覆損傷位置を算出する算出部と、を備える。
【0020】
この場合、導電層の一方の端部である導電層端部と当該導電層端部と同側における線材の端部との間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である比較電圧と、導電層の両端部間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、ケーブルの損傷位置を算出することができる。
【0021】
前記電力供給部は、前記線材と液中の溶存酸素との酸化還元反応の速度を加味した周波数を有する交流電圧を、前記導電層端部と前記線材端部との間に印加してもよい。
【0022】
この場合、交流電流の周波数を線材と液中の溶存酸素との酸化還元反応の速度を加味した周波数にすることにより、交流電流を印加する場合でもケーブル本体11の腐食(交流腐食)を防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、8記載の発明によれば、導電層の一方の端部である導電層端部と当該導電層端部と同側における線材の端部との間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である比較電圧と、導電層の両端部間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、ケーブルの被覆損傷位置を算出することができる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、導電層の一方の端部である導電層端部と当該導電層端部と同側における線材の端部との間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である比較電圧と、導電層の両端部間に対して電圧が印加された場合に検出される導電層間の電圧である基準電圧との比に基づいて、導電層の損傷位置をケーブルの被覆損傷位置として算出することができる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、導電層を犠牲陽極にすることにより、ケーブルの被覆損傷検知後に通電停止した場合において、線材が腐食しないようにすることができる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、水中に設置されたケーブルの被覆損傷位置を算出することができる。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、ケーブルの被覆損傷位置を、より精度良く算出することができる。
【0028】
請求項6記載の発明によれば、ケーブルの被覆損傷の有無を判断し、速やかに被覆損傷位置を算出する動作に移行することができる。
【0029】
請求項7記載の発明によれば、同一の装置がケーブルの被覆損傷時に、さらに被覆損傷の面積も算出することができる。
【0030】
請求項9記載の発明によれば、交流電流の周波数を線材と液中の溶存酸素との酸化還元反応の速度を加味した周波数にすることにより、交流電流を印加する場合でもケーブル本体11の交流腐食を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照し、本発明のケーブル被覆損傷位置検出方法、およびケーブル被覆損傷位置検出装置の実施形態について説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるケーブル10およびケーブル被覆損傷位置検出装置100を備える構造物1の概略図である。
図1に示すように、ケーブル10は、構造物1に用いられ、ケーブル10の両端は、構造体または基礎に各別に固定される。本実施形態では、ケーブル10は、構造体としての浮体2(図示の例では、洋上風力発電装置)を、基礎としての図示しない水底に係留していて、ケーブル10の一端が浮体2に固定され、ケーブル10の他端が水底に固定されている。このケーブル10によって、波、風、潮流から受ける力に対抗して浮体2を一定位置に保持することができる。
【0034】
浮体2を基礎に係留するケーブル10は、例えば、チェーン、鋼管、繊維ケーブル、鋼製ケーブルなどがある。この中で、鋼製ケーブルは、施工性、耐久性、経済性が特に優れている。しかしながら、鋼製ケーブルは金属であるが故、海水中の使用においては腐食対策が必須である。腐食対策は、海水や溶存酸素といった腐食因子の浸入を遮断する防食被覆を鋼製ケーブルの外周、全長に亘って施すほかに、施工時、若しくは、施工後に生じた被覆損傷による鋼製ケーブルの素線と海水の接触に備えて、電気防食を施す方法が主流である。
【0035】
電気防食は、アルミニウム合金陽極などの流電陽極方式と外部電源方式とがある。鋼製ケーブルに適用する電気防食は、防食電流供給の駆動力が小さく過防食の心配がない、且つコスト的に有利なアルミニウム合金陽極を採用することが多い。但し、アルミニウム合金陽極の設置は、鋼製ケーブルには全長に亘って防食被覆が施されているので、鋼製ケーブルへの取り付けはケーブル端部のソケットとなる場合がある。
【0036】
このような場合、陽極(アノード)がソケットのみの設置となると、設置可能な陽極(アノード)の大きさには限度があるため、耐用年数および防食対象となる被覆損傷密度(損傷面積と損傷箇所数)におのずと限界が生じる場合がある。そのため、ケーブル10を海洋中に敷設した後に何らかの原因で、電気防食設計で見込んだ被覆損傷密度を大きく超える被覆損傷が付加された場合には、係留したケーブル10を回収して補修する必要が生じる。
【0037】
しかしながら、被覆損傷が生じたケーブル10を回収してドックや寄港地で補修するには多大なコストがかかりすぎるため、現地にて回収せず補修することが望ましい。従って、敷設された状態のケーブル10をモニタリングして、被覆損傷の発生とともに、被覆損傷の大きさ、被覆損傷位置の情報を取得し、現地にて補修することが求められる。
【0038】
ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、ケーブル10に電圧を印加して、ケーブル10の被覆損傷度合をモニタリングする。ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、例えば、浮体2上に設けられる。すなわち、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、水面よりも上方に設けられる。ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、浮体2が発電装置の場合、当該発電装置により発電された電力を使用して稼働する。なお、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、図示しない電源装置から供給される電力を使用して稼働してもよい。
【0039】
図2は、
図1に示すケーブルの長さ方向Dの断面図である。
図3は、
図2に示すIII−III線における断面図である。
図2および
図3に示すように、ケーブル10は、ケーブル本体11と、一対のソケット12a、12bと、充填材13と、を備えている。ケーブル本体11は、一体に束ねられた複数本の線材14により構成される。複数本の線材14の外径は、互いに同等となっていて、ケーブル本体11は、これらの複数本の線材14からなる集合体(ストランド)とされている。本実施形態では、ケーブル本体11として、NWE−PWS(
Parallel
Wire
Strandパラレルワイヤストランド)タイプを採用している。
【0040】
ケーブル本体11は、複数本の線材14として、鋼線15(ワイヤ)と、保護管16と、を備えている。本実施形態では、保護管16は、1本設けられている。保護管16は、例えば、樹脂により形成されていてもよいし、金属により形成されていてもよい。また、保護管16の外径は、鋼線15(ワイヤ)と同径であると好適である。
【0041】
鋼線15は、円形状の横断面形状を有する細長い線材である。鋼線15として、例えば外周面を亜鉛(Zn)によって被覆した鋼材である亜鉛めっき鋼線15などを採用することができる。なお、鋼線15(線材14)は、強度を満足し、電気を導通可能な材質であれば原則どのようなものでもよい。
【0042】
図2に示すように、ケーブル本体11において、ケーブル長さ方向Dの両端部の間に位置する中央部は、筒状の被覆層20により被覆されている。この中央部では、複数の線材14が強度と弾性係数とを低下させない程度のピッチで一体に撚り合わされている。これにより、ケーブル本体11を構成する鋼線15全てが互いに導通可能な状態になる。一方、ケーブル本体11におけるケーブル長さ方向Dの両端部は、被覆層20から露出している。この両端部では、複数の線材14の撚り合わせが解かれている。
【0043】
被覆層20は、ケーブル径方向の内側から外側に向けて、絶縁層21と導電層22と防水層23との順に積層されてなる。
絶縁層21は、外周を覆う導電層22と、ケーブル本体11(鋼線15)との間を電気的に絶縁(Isolation)する。絶縁層21は、例えば、フィラメント、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、カプトン、ゴム状重合体、油浸紙、テフロン(登録商標)、シリコーン等の絶縁体により形成される。本実施形態では、予めピンホール検査を行い、絶縁層21にピンホール(小孔)が形成されていないかを確認しておくと好適である。これにより、被覆層20全体において、絶縁層21は、導電層22とケーブル本体11(鋼線15)との間をより確実に絶縁することができる。
【0044】
導電層22は、電気を通すことが可能な導体で形成される。導電層22は、例えば、ステンレス、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、銅(Cu)、白金(Pt)等の材質である。白金(Pt)は不溶性金属で導電層としては最も望ましいが、コストが非常に高いため、実際には、導電層22は、鋼線15におけるイオン化傾向の度合よりも大きい材質で形成されると、より好適である。例えば、線材14が鉄(Fe)を主成分とした鋼線15である場合、導電層22は、鉄(Fe)よりもイオン化傾向の度合が大きい、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)等の材質により形成されるとよい。
【0045】
例えば、絶縁層21および導電層22が破壊或いは損傷した状態で、被覆層20内部が浸水した場合、導電層22は、浸水した海水を介してケーブル本体11(鋼線15)と電気的に導通可能な状態になる。この際、被覆層20の内部において、被覆損傷検知後に導電層22を流れる通電電流を断としても、導電層22は陽極(アノード)となり、ケーブル本体11(鋼線15)は陰極(カソード)となる。これにより、本実施形態のケーブル10では、被覆層20内部が浸水した場合、流電陽極方式によってケーブル本体11(鋼線15)の腐食が防止される。以下、ケーブル本体11と導電層22とが導通可能な状態になる場合、すなわち、防水層23、導電層22および絶縁層21が破壊或いは損傷した状態を、単に「ケーブル10の被覆損傷」として表現する。
【0046】
防水層23は、被覆層20の内部が浸水するのを防ぐため、機械的強度、耐水性、電気絶縁性などに優れる、例えば、ポリエチレンや架橋ポリエチレンなどの材質により形成される。
【0047】
各ソケット12には、ケーブル本体11の両端部が各別に挿通されている。ソケット12内には、撚り合いが解かれた複数の線材14それぞれの端部が配置されている。複数の線材14それぞれの端部は、ソケット12内に嵌合された固定板25に固定されている。なおソケット12は、前述の構造体または基礎に各別に固定(定着)される。ソケット12の構造体や基礎への固定には、例えばピン定着方式や、支圧を利用した方式等を採用することができる。
【0048】
充填材13は、ケーブル本体11の端部とソケット12とを固着する。充填材13は、ソケット12内に充填されていて、図示の例では、ソケット12内において固定板25よりもケーブル長さ方向Dの内側に位置する空間内に充填されている。
【0049】
図4は、ケーブル本体11におけるケーブル長さ方向の一方側の端部の断面図である。また、
図5は、ケーブル本体11におけるケーブル長さ方向の他方側の端部の断面図である。
図4および
図5に示すように、ケーブル本体11におけるケーブル長さ方向の一方側の端部である一端部には、この一端部側における導電層22からソケット12の外部に引き出される第1引き出し線30が設けられている。以下、第1引き出し線30が設けられるソケット12aを、「第1ソケット12a」と記載する。本実施形態では、第1ソケット12aは水底側に配置される。
【0050】
第1引き出し線30は、短引き出し線31と、長引き出し線32と、を備えている。短引き出し線31は、一対のソケット12a、12bのうち、ケーブル長さ方向の一方側に位置するソケット12aから引き出される。長引き出し線32は、保護管16を通してケーブル本体11の一端部から他端部に引き回され、一対のソケット12a、12bのうち、ケーブル長さ方向の一方側に位置するソケット12bから引き出される。
【0051】
ケーブル本体11におけるケーブル長さ方向の他方側の端部である他端部には、この他端部における導電層22からソケット12bの外部に引き出される一対の第2引き出し線33(34、35)と、この他端部におけるケーブル本体11からソケット12bの外部に引き出される第3引き出し線36と、が設けられている。以下、第2引き出し線33が設けられるソケット12bを、「第2ソケット12b」と記載する。本実施形態では、第2ソケット12bは水面側に配置される。なお、上述した第1引き出し線30(31、32)、第2引き出し線33(34、35)、および第3引き出し線36は、被覆電線である。
【0052】
このようなソケット12の配置構成の場合、長引き出し線32をケーブル10の外部に配線すると、波力や機械的な外力によって長引き出し線32が破断する可能性が高くなるが、上述したように、第2ソケット12b側に設けられた長引き出し線32をケーブル本体11内部に設けた保護管16を通して第1ソケット12a側から引き出すことにより、長引き出し線32の破断の可能性を低くすることができる。この結果、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、安全にケーブル10をモニタリングすることができる。
【0053】
図6は、第1実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100の機能構成の一例を示す図である。ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、電源102と、電圧検出センサ104と、電流検出センサ106と、表示部108と、制御部110と、記憶部130とを備える。電源102は、「電力供給部」の一例であり、電圧検出センサ104は、「検出部」の一例である。
【0054】
電源102は、正極端子と負極端子とを有し、両端子間に所定電圧を印加する。この結果、当該両端子が接続された物質には、所定電圧に基づく電流が流れる。本実施形態において、電源102の端子の接続方法は、ケーブル10が構造物1に取り付けられる前と後との2パターンが存在する。以下、ケーブル10が構造物1に取り付けられる前の接続パターンを「事前検出パターン」と記載し、ケーブル10が構造物1に取り付けられる後の接続パターンを、「運用時検出パターン」と記載する。
【0055】
事前検出パターンの場合、電源102、電流検出センサ106、電圧検出センサ104の各端子は、以下のように接続される。
電源102における正極端子は、例えば、第2ソケット12bに設けられた第2引き出し線33のうちのいずれか一方(例えば第2引き出し線35)に接続される。また、電源102における負極端子は、第1ソケット12aに設けられた短引き出し線31に接続される。これにより、第2ソケット12b側の導電層22端部と第1ソケット12a側の導電層22端部との間に電圧印加の閉回路ができる。
【0056】
電流検出センサ106は上記、電圧印加の閉回路に直列になるように接続しておく。この電流検出センサ106によって、第2ソケット12b側の導電層22端部と第1ソケット12a側の導電層22端部との間に電圧印加したときに、導電層間に流れる電流を測定できる。また、事前検出パターンで測定した電流値(「基準電流」に相当する)は、運用時検出パターンにおいて被覆損傷が生じた際に流れる電流値を前記、事前検出パターンで測定した電流値(基準電流)と同じ値を通電するため、電流検出センサ出力は、取得部114および記憶部130に接続される。
【0057】
電圧検出センサ104は、第2ソケット12b側の導電層から引き出した第2引き出し線33のうちの電圧印加回路用に使用した第2引き出し線35ではない他方の34と、第1ソケット12a側の導電層から引き出した第1引き出し線のうち、電圧印加回路用に使用した第1引き出し線のうち短引き出し線31ではない32が保護管を通して第2ソケット12b側から引き出された32との間に接続される。
【0058】
この接続によって、第2ソケット12b側導電層端部と第1ソケット12a側導電層端部に電圧(較正電圧)を印加したときに、上記導電層間に流れる電流によって生じる金属材料(金属テープ)の電圧降下(基準電圧)が測定できる。この事前検出パターンで測定した電圧値は後述する被覆損傷位置算出に使用するので、電圧検出センサ出力は取得部114および記憶部130に接続される。
【0059】
運用時検出パターンの場合、電源102、電流検出センサ106、電圧検出センサ104の各端子は、以下のように接続される。
電源102における正極端子は、例えば、第2ソケット12bに設けられた第2引き出し線33のうちのいずれか一方(例えば第2引き出し線35)に接続される。また、電源102における負極端子は、第2ソケット12bに設けられた第3引き出し線36に接続される。これにより、第2ソケット12b側の導電層22の端部と第2ソケット12b側のケーブル本体11間に電圧印加の閉回路ができる。
【0060】
電流検出センサ106は上記、電圧印加の閉回路に直列になるように接続する。前記電流検出センサ106によって、第2ソケット12b側の導電層22端部と第2ソケット12b側のケーブル本体11との間に電圧印加し、被覆損傷が生じたとき、導電層を流れる電流(損傷部に流入した電流とほぼ同じ)を測定できる。被覆損傷が生じなければ、電流値はゼロのままであるが、被覆に損傷が生じることによって電流がゼロから上昇する。この電流の上昇分を電流検出センサ106により確認し、被覆損傷有無を判断する。
【0061】
また、被覆損傷有無判断の後は、被覆損傷位置算出のために測定された電流値を、前記、事前検出パターンで測定した電流値(基準電流)と同じ電流値を通電する必要があるので、電流検出センサ出力は取得部114および記憶部130、電源制御部112に接続される。
【0062】
電圧検出センサ104は、事前検出パターンの場合と同様に、第2ソケット12b側の導電層から引き出した第2引き出し線33のうちの電圧印加回路用に使用した第2引き出し線35ではない他方の34と、第1ソケット12a側の導電層から引き出した第1引き出し線のうち、電圧印加回路用に使用した第1引き出し線のうち短引き出し線31ではない32が保護管を通して第2ソケット12b側から引き出された32との間に接続される。
【0063】
この接続によって、第2ソケット12b側の導電層端部と第2ソケット12b側のケーブル本体11に電圧を印加し、被覆損傷が生じたとき、上記導電層から海水を通じて海水と接している鋼線15に流れる電流によって、第2ソケット12b側導電層端部と第1ソケット12a側導電層端部に間に生じる金属材料(金属テープ)の電圧降下(「比較電圧」に相当する)が測定できる。なお、この金属材料の電圧降下は金属材料が被覆損傷部前後で完全に切断されない場合、前記、第2ソケット12b側導電層端部と第1ソケット12a側導電層端部に間に生じる金属材料(金属テープ)の電圧降下は、第2ソケット12b側導電層端部と被覆損傷部における導電層損傷箇所の端部で測定される電圧降下に等しくなる。前記、事前検出パターンで測定した電流値(基準電流)と同じ電流値を通電したときに、測定された電圧検出センサ104の電圧値(較正電圧)は、後述する被覆損傷位置算出に使用するので、電圧検出センサ出力は取得部114および記憶部130に接続される。
【0064】
表示部108は、入力された信号に基づいた画像を表示する。表示部108は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等の表示装置である。表示部108は、例えば、判定部116による判定結果や、算出部118による算出結果を表示する。
【0065】
記憶部130は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶媒体と、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とを有する。記憶部130に記憶される情報は、電圧検出センサ104により検出された電圧値、電流検出センサ106により検出された電流値、テーブル等の情報である。なお、これら情報の詳細は後述する。
【0066】
制御部110は、電源制御部112と、取得部114と、判定部116と、算出部118とを備える。制御部110の機能部のうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部130に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、制御部110の機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0067】
電源制御部112は、電源102が印加する電圧(電流)を交流または直流を切替えて、常時ケーブル10に電圧(電流)が印加されるように電源102を制御する。電源制御部112は、例えば、直流電流を印加するように電源102を制御する場合、電源102に対して、ケーブル本体11が過防食状態にならないような電流値で電流を印加させる。過防食状態とは、腐食を抑止する防食対象(本実施形態ではケーブル本体11)を負極とし、腐食の犠牲とする犠牲対象(本実施形態では導電層22)を正極とした状態において、通電する電流が過大の場合に防食対象に流入する電流密度が通常必要な防食電流密度を大きく超える状態である。このような状態の場合、防食対象の表面に多量の水素が生成され、生成された水素の一部が防食対象内に侵入し、防食対象である物質が脆化する懸念がある。このため、電源制御部112は、防食対象であるケーブル本体11が過防食状態にならないような電流値に抑制し、ケーブル本体11の脆化を防ぐ必要がある。
【0068】
被覆損傷時に損傷時目安はケーブルの被覆損傷面積を1m
2と仮定すると、防食電流密度0.1A/m
2を乗じ0.1A程度とするのが望ましい。この電流値は被覆損傷が生じ、損傷位置を検知した後も常時前記電流を印加する場合である。被覆損傷が生じ、損傷位置を検知した後、前記電流を断とするのであれば、電流の印加時間が短いことから電流は1A程度でも許容できるものと考える。
【0069】
また、電源制御部112は、電源102を定電流制御または定電圧制御に切り替える。電源制御部112は、運用時検出パターンにおいて、事前検出パターン時に記憶部130に記憶された電流値(基準電流)を参照して、当該電流値と同値の電流を印加するような定電流制御を電源102に行わせる。また、電源制御部112は、後述する算出部118による算出処理の後、定電圧制御を電源102に行わせる。この結果、電源102は、運用時検出パターンにおいて、事前検出パターン時に検出された電流(基準電流)に基づく電圧(較正電圧)をケーブルに印加する。また、電源制御部112は、後述する算出部118による算出処理の後、定電圧制御を電源102に行わせる。
【0070】
取得部114は、電圧検出センサ104により検出された電圧値と、電流検出センサ106により検出された電流値とを対応するセンサからそれぞれ取得する。取得部114は、取得した電圧値および電流値を記憶部130に記憶させる。
【0071】
判定部116は、運用時検出パターンの際に電流検出センサ106により検出された電流値に基づいて、ケーブル10が被覆損傷しているか否かを判定する。
具体的には、判定部116は、運用時検出パターンの際に電流検出センサ106により検出された電流値が、被覆損傷が生じたときに流れるように電源制御部112を定電流制御している状況において、電流がゼロの場合にケーブルに被覆損傷は生じていないと判断し、電流が流れた場合被覆損傷ありと判断する。
【0072】
算出部118は、判定部116によりケーブル10が損傷していると判定された場合、事前検出パターンと運用時検出パターンとの双方の場合に電圧検出センサ104により検出された電圧値を比較して、ケーブル10の被覆損傷位置を算出する。すなわち、算出部118は、ケーブル10を構造物1に設置する前に予め検出させておいた電圧値(基準電圧)と、ケーブル10を構造物1に設置した後に検出された電圧値(比較電圧)とを比較して、ケーブル10の被覆損傷位置を算出する。
【0073】
以下、
図7から
図9を参照して、ケーブル10の被覆損傷位置の算出方法について説明する。
図7は、構造物1に設置する前にケーブル10の電圧および電流を測定する方法を説明するための図である。
【0074】
ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、例えば、工場からケーブル10を出荷する前、若しくは、現地で浮体2(構造物1)にケーブル10の設置施工を行う前までの間に、
図7に示す構成によって、予めケーブル10に電圧を掛けて電圧および電流を測定しておく。より具体的には、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、図中の破線矢印の向きに電圧を掛けて電流を流す。電源102から印加された電流は、電源102の正極端子から第2ソケット12b側の第2引き出し線33(34、35)のいずれか一方を通して、導電層22中を流れ、第1ソケット12a側の短引き出し線31から電源102の負極端子に帰流する。
【0075】
このとき、取得部114は、電圧検出センサ104から電圧値E(V)を取得しておくと共に、電流検出センサ106から電流値I(A)を取得しておく。取得部114は、取得した電圧値および電流値を事前データとして記憶部130に記憶させておく。
【0076】
図8は、構造物1に設置した後にケーブル10の電圧および電流を測定する方法を説明するための図である。
図8の例の場合、ケーブル10には被覆損傷がない。
ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、
図8に示す構成によって、構造物1に設置された後のケーブル10に対して電圧を掛けて電圧および電流を測定する。より具体的には、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、図中の破線矢印の向きに、すなわち、導電層22とケーブル本体11との間に電圧を印加する。このとき、ケーブル10には被覆損傷箇所が存在しないことから、絶縁層21により導電層22とケーブル本体11との間は絶縁が保たれている。この結果、導電層22とケーブル本体11との間には電流が流れない。従って、電流検出センサ106により検出される電流値I(A)は略“0”になる。この結果、判定部116は、ケーブル10が損傷していないと判定する。またこの際、導電層22上において電流が流れていないことから、電圧検出センサ104により検出される電圧値E(V)もまた略“0”になる。
【0077】
図9は、構造物1に設置した後にケーブル10の電圧および電流を測定する方法を説明するための図である。
図9の例の場合、ケーブル10には被覆損傷がある。すなわち、ケーブル10の内部では、導電層22および防水層23が破損し、ケーブル10外部の海水がケーブル本体11まで浸水している状態を示している。
【0078】
ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、
図8と同様に、構造物1に設置された後のケーブル10に対して図中の破線矢印の向きに、すなわち、導電層22とケーブル本体11との間に電圧を印加する。このとき、ケーブル10には被覆損傷箇所が存在していることから、被覆層20内部は浸水していることになる。この結果、導電層22とケーブル本体11とは、海水を介して導通する。これにより、ケーブル10の内部において、電源102と、導電層22と、ケーブル本体11とを繋ぐ閉回路が形成される。従って、導電層22とケーブル本体11との間に電流が流れる。このとき、電流検出センサ106は、ケーブル10(導電層22)の被覆損傷に流入する電流値I
CB(A)を検出する。この結果、判定部116は、ケーブル10が損傷していると判定する。
【0079】
またこの際、導電層22上において電流が流れるため、電圧検出センサ104もまた、ケーブル10(導電層22)の被覆損傷に流入した電流の大きさに応じた電圧値E
CB(V)を検出する。電源102に対して事前検出パターン時に流した電流の値と同値の電流を流すような定電流制御を行わせている場合、電流検出センサ106により検出される電圧値E
CB(V)は、事前検出パターン時に検出された電圧値E(V)がケーブル全長L(m)での電圧降下であるのに対して、被覆損傷までの距離L
CBでの電圧降下を示すこととなる。
【0080】
算出部118は、ケーブル10の損傷位置として、上述した電圧降下値に基づいて、ケーブル10の損傷位置までの距離L
CBを算出する。下記に示す数式(1)は、ケーブル10の損傷位置の算出式である。
【0081】
L
CB=(E
CB/E
CG)×L
CG …(1)
【0082】
数式(1)は、第2ソケット12b側における導電層22の端部から導電層22の損傷箇所までの間の電圧降下E
CBを、損傷なしの時に測定した導電層22の両端間の電圧降下E
CGで除して、導電層22の両端間の距離L
CGを乗じた値を距離L
CBとして算出する数式である。(1)式が成立するためには導電層の電圧降下E
CGとE
CBの測定時において通電電流が同じでなければならない。このため、運用時検出パターン時で被覆損傷が生じたときに流れる電流値を事前検出パターン時で得られた導電層に流れる電流値にする定電流制御が必要である。算出部118は、予め記憶部130に記憶されている事前データを参照して、事前検出パターン時に検出された電圧降下E
CGを抽出し、抽出した電圧降下E
CGと運用時検出パターンの際に検出される電圧降下E
CBとの比を算出する。次に、算出部118は、算出した比を導電層22の両端間の距離L
CGに乗じる。この結果、算出部118は、電圧降下E
CGおよび電圧降下E
CBの比と距離L
CGとの乗算値を距離L
CBとして算出する。
【0083】
また、算出部118は、距離L
CBの算出後、電圧値E
CBを保つような定電圧制御を電源102に行わせる指示を電源制御部112に対して出力する。これにより、電源102は、ケーブル10に対して、現在の電圧値(E
CB)と同じ電圧を印加し続ける。なお、算出部118は、距離L
CBの算出後、電圧値E
CBと異なる値で定電圧制御を電源102に行わせる指示を電源制御部112に対して出力してもよい。算出部118は、例えば、後述するテーブル上に示される値で定電圧制御を行わせる指示を電源制御部112に対して出力する。
【0084】
取得部114は、電源制御部112が定電圧制御を電源102に対して行わせている間、電流検出センサ106から電流値を取得する。算出部118は、定電圧制御時に取得された電流値と、電流の大きさと損傷面積との対応関係を示すテーブルとに基づいて、導電層22の損傷面積を算出する。上述したテーブルは、シミュレーションや実験等により求められ、予め記憶部130に記憶されているものとする。これによって、算出部118は、ケーブル10の損傷位置を示す距離L
CBを算出するとともに、損傷面積を算出することができる。
【0085】
判定部116は、算出部118により損傷面積が算出された場合、算出された損傷面積と閾値とを比較して、閾値以内の面積の場合にケーブル10の補修を行う必要がないと判定する。閾値は、損傷面積が設計時に見込んだ想定値の範囲内であることを示す値である。一方、判定部116は、閾値を超える面積の場合にケーブル10の補修を行う必要があると判定する。
【0086】
図10は、第1実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100の処理の一例を示すフローチャートである。ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、例えば所定周期で本フローチャートの処理を行う。
まず、電源制御部112は、事前データを参照して、事前検出パターン時の印加電流と同電流値の電流で定電流制御を行うように電源102を制御する(ステップS100)。次に、電源102は、電源制御部112による制御によって事前検出パターン時の印加電流と同電流値の電流をケーブル10に対して印加する(ステップS102)。次に、取得部114は、電源102が定電流制御を行っている際に電流検出センサ106から電流値を取得するとともに、電圧検出センサ104から電圧値を取得する(ステップS104)。
【0087】
次に、判定部116は、運用時検出パターンの際に電流検出センサ106により検出された電流の有無を判定する(ステップS106)。判定部116は、電流がない場合(ステップS106;No)、ケーブル10が損傷していないと判定する(ステップS108)。判定部116は、電流がある場合(ステップS106;Yes)、ケーブル10が損傷していると判定する(ステップS110)。
【0088】
次に、算出部118は、判定部116によりケーブル10が損傷していると判定された場合、事前検出パターンと運用時検出パターンとの双方の場合に電圧検出センサ104により検出された電圧比を導電層22の両端間の距離L
CGに乗じ、乗じた結果の値をケーブル10の損傷位置を示す距離L
CBとして算出する(ステップS112)。
【0089】
次に、電源制御部112は、算出部118が距離L
CBの算出過程に用いた電圧値E
CBと同電圧値で定電圧制御を行うように電源102を制御する(ステップS114)。次に、取得部114は、電源102が定電圧制御を行っている際に電流検出センサ106から電流値を取得する(ステップS116)。
【0090】
次に、算出部118は、定電圧制御時に取得された電流値と、電流の大きさと損傷面積との対応関係を示すテーブルとに基づいて、導電層22の損傷面積を算出する(ステップS118)。次に、判定部116は、算出部118により算出された損傷面積が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS120)。判定部116は、損傷面積が閾値以上である場合(ステップS120;Yes)、ケーブル10の補修を行う必要があると判定する(ステップS122)。一方、判定部116は、損傷面積が閾値未満である場合(ステップS120;No)、ケーブル10の補修を行う必要がないと判定する(ステップS124)。
【0091】
次に、表示部108は、損傷の有無を示す判定結果(ステップS110およびステップS110)や、ステップS112の算出結果である距離L
CB、ステップS118の算出結果である損傷面積、補修の必要性の有無を示す判定結果(ステップS122およびステップS124)を表示する(ステップS126)。これによって、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、本フローチャートの処理を終了する。
【0092】
以上説明した第1実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100によれば、一体に束ねられた複数本の線材がケーブル径方向の内側から外側に向けて、絶縁層と導電層との順に積層されてなる被覆層により被覆されることにより構成されるケーブルにおいて、事前検出パターン時には導電層22の両端間に電流を印加し、導電層22の両端間の電圧と電流を測定し、運用時検出パターンの際には導電層22と線材14との間に、被覆損傷が生じたとき、事前検出パターン時に測定した電流値と同等の電流が流れるように定電流制御で電流を印加し、被覆損傷が生じたときに測定される導電層22両端間の電圧を測定する。前記、事前検出パターン時に測定した導電層22両端間の電圧と運用時検出パターン時に測定された導電層22両端間の電圧の比に基づいて、第2ソケット12b側の第2引き出し線33と導電層22との接続位置からケーブル10の損傷位置までの距離L
CBを算出する。この結果、第1実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100によれば、ケーブル10の損傷位置を算出することができる。
【0093】
また、第1実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100によれば、距離L
CBを算出する後に、電源102を定電圧制御にすることにより、定電圧制御時に取得された電流値と、電流の大きさと損傷面積との対応関係を示すテーブルとに基づいて、導電層22の損傷面積を算出することができる。
【0094】
また、第1実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100の印加電圧が直流の場合には、ケーブル本体11が過防食状態にならないような電流値で電流を印加することにより、ケーブル本体11の脆化を防ぐことができる。
【0095】
また、第1実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100によれば、電源102の正極端子を導電層22側に接続し、また電源102の負極端子をケーブル本体11(鋼線15)側に接続することにより、例えば、ケーブル10の被覆層20が損傷してケーブル本体11(鋼線15)が海水に露出したときに、電源102により直流電圧が印加されて直流の電流がケーブル本体11上を流れる場合、導電層22側から海水を介してケーブル本体11側に電流が流れるので、導電層22は腐食するが、ケーブル本体11は電気防食されて腐食が生じなくなる。すなわち、ケーブル本体11(鋼線15)が通電によって強制電解しないようにすることができる。
【0096】
また、第1実施形態におけるケーブル10によれば、導電層22が鋼線15に比してイオン化傾向の大きい物質により形成されることにより、被覆層20内部が浸水した場合で、損傷位置検査信号が印可されなくとも、流電陽極方式によってケーブル本体11(鋼線15)の腐食を防止することができる。
【0097】
また、第1実施形態におけるケーブル10によれば、第1引き出し線30、第2引き出し線33および第3引き出し線36が備えられている。したがって、第2ソケット12bの外部から、第3引き出し線36と、一対の第2引き出し線33のうちのいずれか一方(34、35)とに検出装置を接続して電流を印加しつつ、他方の第2引き出し線と第1引き出し線とに検出装置を接続して電圧を測定することができる。この結果、作業の簡便化を図ることができる。
【0098】
また、第1実施形態におけるケーブル10によれば、第1引き出し線30が、短引き出し線31と長引き出し線32とを備えている。したがって、ケーブル設置前には、短引き出し線31と第2引き出し線33との間に電流を印加することができる。さらに、設置後には、長引き出し線32と第2引き出し線33との間に電流を印加することで、ケーブル長さ方向の一方側に位置するソケット(第1ソケット12a)が海底に位置していたとしても、海面側に位置するケーブル長さ方向の他方側に位置するソケット(第2ソケット12b)から引き出される長引き出し線32を利用することができる。この結果、作業の更なる簡素化を図ることができる。
【0099】
また、第1実施形態におけるケーブル10によれば、第2ソケット12b側に設けられた長引き出し線32をケーブル本体11内部に設けた保護管16を通して第1ソケット12a側から引き出すことにより、波力や機械的な外力によって長引き出し線32が破断するのを防ぐことができる。この結果、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、安全にケーブル10をモニタリングすることができる。
【0100】
(第2実施形態)
以下、第2の実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100について説明する。第2の実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100では、外部装置と無線或いは有線通信を行うで、第1の実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100と相違する。従って、係る相違点を中心に説明し、上述した第1の実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
【0101】
図11は、第2実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100の機能構成の一例を示す図である。第2実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100は、上述した第1実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100の機能部にさらに通信部140と、通信制御部120を備える。通信制御部120は、制御部110の一機能部である。
【0102】
通信部140は、図示しないアンテナを介して外部装置と無線或いは有線通信を行う。外部装置は、例えば、船舶や飛行機、或いは陸上の通信基地局等に備えられる。
【0103】
通信制御部120は、判定部116による判定結果や、算出部118による算出結果を無線或いは有線で外部装置に送信するように通信部140を制御する。通信制御部120は、例えば、無線通信の場合、アンテナの指向角、変復調、増幅等を通信部140に行わせる。
【0104】
また、第2実施形態では、例えば、外部装置は、電源102の電流値や電圧値を指定する情報や、判定部116による判定結果や算出部118による算出結果を出力するタイミングを指定する情報をケーブル被覆損傷位置検出装置100に無線或いは有線により送信する場合がある。このような場合、通信制御部120は、外部装置から送信される情報を受信するように通信部140を制御する。各種情報を外部装置から受信したケーブル被覆損傷位置検出装置100は、受信した情報に基づいて、電源制御部112や通信制御部120を機能させる。
【0105】
以上説明した第2実施形態におけるケーブル被覆損傷位置検出装置100によれば、無線或いは有線通信を行う通信部を備えることにより、遠隔地にケーブル10のモニタリング結果を出力することができると共に、遠隔地からの操作入力を受け付けてモニタリング時の種々の条件を適宜変更することができる。この結果、ユーザは、遠隔地からケーブル被覆損傷位置検出装置100を操作することにより常時ケーブル10のモニタリングを行うことができる。
【0106】
本特許の原理を検証するため全長100mの小型模擬ケーブルを用いて、3%塩化ナトリウム溶液中で被覆損傷位置検知実験を第1実施形態に基づいて実施した。被覆損傷位置は25m、50m、75mとした。前記、ケーブルでの損傷位置検知実験の結果を
図12に示す。実験では損傷位置検知の精度はケーブル全長に対して−0.03〜0.19%であった。
【0107】
以下、その他の実施形態(変形例)について説明する。
ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、電源102を備えず、外部電源から供給される電力をケーブル10に印加するように制御してもよい。すなわち、電源制御部112は、外部電源を制御して、ケーブル10に電流を印加させるようにしてもよい。
【0108】
ケーブル本体11における保護管16の配置は、以上の実施形態に示したような、同心円上に並べるものには限定されず、少なくとも1本の保護管16が被覆層20内部に設けられていればよい。
【0109】
ケーブル10の構造は、以上の実施形態において説明したNWE−PWSには限定されない。例えばケーブル本体11を構成する鋼線15、保護管16は、必ずしも撚り合わせられていなくてもよい。また、例えばマルチストランド構造、すなわち、実施形態に示したようなケーブル本体11をさらに複数本集束させて、一本の索状にした構造にしてもよい。
【0110】
さらに、本発明は、浮体2の係留に用いられるケーブル10には限定されない。例えば、建築構造物において吊り屋根構造に用いられる吊り構造用のケーブル10であってもよく、斜張橋や吊り橋等の屋外の橋梁に用いられるケーブル10に適用することもできる。このようなケーブル10の適用例の場合、雨や雪によってケーブル10の被覆層20内部が浸水する場合がある。従って、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、導電層22が雨水や雪解け水を介して線材14と導通した際に検出される電圧に基づいて、ケーブル10の損傷位置を算出することができる。なお例えば、橋梁としては、河川や海峡、道路などに架設されるものが挙げられる。
【0111】
また、ケーブル10が地中に埋設されるような適用例であってもよい。この場合、地上からケーブル10が埋設された地層まで雨水等が浸透し、地層を浸透してきた水がケーブル10の被覆層20内部に浸入する場合がある。従って、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、導電層22が浸透水を介して線材14と導通した際に流れる電流の電圧値を検出する。この結果、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、直接ケーブル10に雨が降り注ぐような雨ざらしな状態でケーブル10が使用されていない場合であっても、導電層22が浸透水を介して線材14と導通した際に検出される電圧に基づいて、ケーブル10の損傷位置を算出することができる。
【0112】
電源制御部112は、ケーブル10に直流電流を印加させるように電源102を制御する場合、直流電流の最大値が時間によって変化する脈流でケーブル10に電流を印加させてもよい。
【0113】
また、電源制御部112は、ケーブル10に交流電流を印加させるように電源102を制御する場合、印加電流の周波数を鋼線15と海水中の溶存酸素との酸化還元反応の速度を加味した周波数に設定すると好適である。電源制御部112が、例えば、ケーブル10に正弦波の交流電流を印加するように電源102を制御する場合、直流と異なり極性が変化するので、鋼線15と海水との界面では、印加電流の半波毎に電気防食と腐食とが繰り返される。このような場合、交流電流の周波数が低いと腐食方向の半端の時間が長くなるので、交流腐食が懸念される。このため、電源制御部112は、少なくとも商用周波数より大きい数百Hz〜数kHzにすると、より好適である。この結果、ケーブル被覆損傷位置検出装置100は、交流電流を印加する場合でもケーブル本体11の腐食を防止することができる。なお、交流印可の場合でも交流信号の位相を合わせるため、直流と同じ向きに結線することが望ましい。
【0114】
また、本実施形態では、直流電流がケーブル10に印加されている間に被覆層20に損傷が付加された場合、ケーブル本体11には、電気防食時に発生する直流電流が流れる。電源制御部112は、電気防食時に発生する直流電流と電源102により印加される直流電流を区別するため、数秒間隔で開閉する断続直流などの直流電流をケーブル10に印加するように電源102を制御することが望ましい。
【0115】
また、電源制御部112は、測定上の観点から見て、上記周波数の範囲内で、且つ商用周波数の高調波の影響が少ない周波数になるように電源102を制御すると好適である。具体的には、電源制御部112は、商用周波数の整数倍の周波数で交流電流を印加するように電源102を制御する。電源制御部112は、例えば、220Hz、780Hz、1080Hz等の交流電流を印加するように電源102を制御する。これによって、電源制御部112は、1次高調波や2次高調波、3次高調波等の高調波の影響を抑制することができる。
【0116】
また、電源制御部112は、正弦波の交流電流の他に、矩形波、三角波、鋸刃状波などの非正弦波の交流電流をケーブル10に印加するように電源102を制御してもよい。また、電源制御部112は、パルス状の交流電流をケーブル10に印加するように電源102を制御してもよい。
【0117】
また、上述した実施形態において、判定部116は、運用時検出パターンの際に電流検出センサ106により検出された電流値に基づいて、ケーブル10が損傷しているか否かを判定すると説明したがこれに限られない。例えば、判定部116は、運用時検出パターンの際に電圧検出センサ104により検出された電圧値に基づいて、ケーブル10が損傷しているか否かを判定してもよい。例えば、電流検出センサ106により検出された電流値が略“0”の場合、電圧検出センサ104により検出される電圧値もまた略“0”である。従って、判定部116は、電流値、若しくは電圧値(電圧降下)がゼロである場合にケーブル10の損傷は発生していないと判定することができる。
【0118】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0119】
(付記)
以上の記載から本発明は例えば以下のように把握される。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を便宜的に括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の態様に限定されるものではない。
【0120】
(付記1)
一体に束ねられた複数本の線材が筒状の被覆層(20)により被覆されることにより構成されるケーブル本体(11)と、前記ケーブル本体(11)におけるケーブル長さ方向の両端部が各別に固定された一対のソケット(12a、12b)と、を備え、前記被覆層(20)は、ケーブル径方向の内側から外側に向けて、絶縁層(21)と導電層(22)との順に積層されてなり、前記ケーブル本体(11)におけるケーブル長さ方向の一方側の端部である一端部には、この一端部における前記導電層(22)から前記ソケット(12a)の外部に引き出される第1引き出し線(30)が設けられ、前記ケーブル本体(11)におけるケーブル長さ方向の他方側の端部である他端部には、この他端部における前記導電層(22)から前記ソケット(12b)の外部に引き出される一対の第2引き出し線(33)と、この他端部における前記線材(14)から前記ソケット(12b)の外部に引き出される第3引き出し線(36)とが設けられている、ことを特徴とするケーブル(10)。
【0121】
上記構成によれば、第1引き出し線、第2引き出し線および第3引き出し線が備えられていることにより、ソケットの外部から、第3引き出し線と、一対の第2引き出し線のうちのいずれか一方とに検出装置を接続して電圧を印加しつつ、他方の第2引き出し線と第1引き出し線とに検出装置を接続して電圧を検出することができる。
【0122】
(付記2)
前記被覆層(20)の内側には、中空の保護管(16)が備えられ、前記第1引き出し線(30)は、前記一対のソケット(12a、12b)のうち、ケーブル長さ方向の一方側に位置する前記ソケット(12a)から引き出される短引き出し線(31)と、前記保護管(16)を通して前記ケーブル本体(11)の一端部から他端部に引き回され、前記一対のソケット(12a、12b)のうち、ケーブル長さ方向の他方側に位置する前記ソケット(12b)から引き出される長引き出し線(32)と、を備える、付記1に記載のケーブル(10)。
【0123】
上記構成によれば、第1引き出し線が、短引き出し線と長引き出し線とを備えていることにより、ケーブル設置前には、短引き出し線と第2引き出し線との間に電圧を印加するとともに電圧を検出することができる。さらに、ケーブル設置後には、長引き出し線と第2引き出し線との間に電圧を印加することにより、ケーブル長さ方向の一方側に位置するソケットが海底に位置していたとしても、海面側に位置するケーブル長さ方向の他方側に位置するソケットから引き出される引き出し線を利用して、導電層の両端部間の電圧を検出することができる。
【0124】
(付記3)
前記導電層(22)は、前記線材(14)に比してイオン化傾向の大きい物質により形成される、付記1または2に記載のケーブル(10)。
【0125】
上記構成によれば、導電層が線材に比してイオン化傾向の大きい物質により形成されることにより、被覆層内部が浸水した場合でも、流電陽極方式によってケーブルの腐食を防止することができる。
【解決手段】ケーブル被覆損傷位置検出方法は、一体に束ねられた複数本の線材がケーブル径方向の内側から外側に向けて、絶縁層と導電層との順に積層されてなる被覆層により被覆されることにより構成されるケーブルに接続されるケーブル被覆損傷位置検出装置が、導電層の両端部間に電圧を印加すると共に、導電層の導電層端部と、線材の線材端部との間に電圧を印加し、導電層におけるケーブルの長さ方向に関して離間する箇所間の電圧を検出し、導電層端部と線材端部との間に対して電圧が印加された場合に検出される比較電圧と、両端部間に対して電圧が印加された場合に検出される基準電圧との比に基づいて、ケーブルの被覆損傷位置を算出する。