特許第5994018号(P5994018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5994018風力発電装置を構成するための方法、並びに風力発電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994018
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】風力発電装置を構成するための方法、並びに風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20160908BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   F03D7/04 Z
   H02P9/00 F
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-500852(P2015-500852)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2015-512480(P2015-512480A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】EP2013055353
(87)【国際公開番号】WO2013139692
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2014年10月28日
(31)【優先権主張番号】102012204446.9
(32)【優先日】2012年3月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ボーレン、ヴェルナー ハインリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ギエルツ、ヘルゲ
(72)【発明者】
【氏名】シェルシュミット、マルティン
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02477968(GB,A)
【文献】 特表2011−518278(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0144817(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1783365(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00 − 80/80
H02P 9/00 − 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置を構成(コンフィギュレーション)するための方法であって、
以下のステップ、即ち、
− 該風力発電装置に割り当てられている予め定められたパラメータを、該風力発電装置構成するために制御データベースら選択するステップ、
− 選択されたパラメータを可搬式データ媒体記憶するステップ、
− 選択されたパラメータを前記可搬式データ媒体ら該風力発電装置伝達するステップ、
− 選択されたパラメータを該風力発電装置おいて実装するステップ、
− 該風力発電装置実装されたパラメータを、該風力発電装置び前記制御データベースネットワーク接続された監視装置より読み出すステップ、及び、
− 読み出されたパラメータを、該風力発電装置割り当てられており且つ前記制御データベースに保存されている予め定められたパラメータと比較するステップ
を含んでおり、
該風力発電装置内の少なくとも1つのパラメータが変更された場合には、変更信号が該風力発電装置から前記監視装置へ伝達され、該変更信号は、変更された少なくとも1つのパラメータを識別するための情報を含むこと
を特徴とする方法。
【請求項2】
風力発電装置を構成(コンフィギュレーション)するための方法であって、
以下のステップ、即ち、
− 該風力発電装置に割り当てられている予め定められたパラメータを、該風力発電装置を構成するために制御データベースら選択するステップ、
− 選択されたパラメータと、構成すべき該風力発電装置とに割り当てられているデータ媒体識別名を可搬式データ媒体記憶するステップ、
− 前記可搬式データ媒体該風力発電装置と結合し、前記データ媒体識別名が該風力発電装置のデータ媒体識別名と一致するか否をチェックするステップ、
前記データ媒体識別名が該風力発電装置のデータ媒体識別名と一致する場合には、選択されたパラメータを、前記制御データベースら、該風力発電装置及び前記制御データベースネットワーク接続された監視装置用いて該風力発電装置へ伝達し、択されたパラメータを該風力発電装置において実装するステップ
を含むこと
を特徴とする方法。
【請求項3】
各パラメータは、個別のパラメータキーにより特徴付けられており、該パラメータキーは、以下の情報、即ち
− パラメータの識別、
− パラメータが使用される風力発電装置の識別、
− 実装されたパラメータを最後に変更した人物の識別
の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータは、
− 風力発電装置の発電機を制御するためのデータ、
− 風力発電装置から電力系統への電気エネルギーの供給を制御するためのデータ、
− 運転管理データ、及び/又は、
− 風力発電装置の保護機能を制御するためのデータ
を含むこと
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記風力発電装置内の少なくとも1つのパラメータが変更された場合には、変更信号が前記風力発電装置から前記監視装置へ伝達され、該変更信号は、変更された少なくとも1つのパラメータを識別するための情報を含み、該情報は、
− 変更の日付け、
− 変更の時刻、及び/又は、
− 変更されたパラメータの識別
を含むこと
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記変更信号により識別される変更されたパラメータだけが、前記風力発電装置に割り当てられており且つ前記制御データベースに保存されている予め定められたパラメータと比較されるか、又は変更されたパラメータの数が予め定められた最小数を上回る場合には、実装された全てのパラメータが比較されること
を特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
実装された各パラメータが前記風力発電装置から個々に読み出され、前記制御データベースに保存されている対応のパラメータと比較されることにより、読み出されたパラメータと、前記風力発電装置に割り当てられており且つ前記制御データベースに保存されている予め定められたパラメータとの比較がパラメータごとに行われること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
選択されたパラメータは、前記風力発電装置に割り当てられた識別コードを有するパラメータセットにまとめられているか、又は前記風力発電装置に割り当てられた識別コードに割り当てられており、該識別コードは、少なくとも、
− 風力発電装置の装置タイプを特徴付けるタイプコード、及び、
− 具体的な風力発電装置を特徴付ける個別コード
から構成されること
を特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記風力発電装置におけるパラメータの実装時には、データレコード内にまとめられたパラメータの幾つかだけが実装されること
を特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記風力発電装置において実装された又は変更されたパラメータが、前記風力発電装置に割り当てられており且つ前記制御データベースに保存されている予め定められたパラメータと比較された場合に初めて前記風力発電装置が運転開始されること
を特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
風力発電装置システムであって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法を用いて構成(コンフィギュレーション)が行われる、風力から電気エネルギーを発生させるための風力発電装置であって、選択されたパラメータが実装されている風力発電装置
予め定められたパラメータを含んでいる制御データベース
読み出されたパラメータを含んでいる、前記制御データベースネットワーク接続された監視装置
選択されたパラメータを含んでいるか、又は選択されたパラメータのためのデータ媒体識別名を含んでいる可搬式データ媒体とを含むこと
を特徴とする風力発電装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置を構成(コンフィギュレーション)するための方法に関する。更に本発明は、前記構成のために準備されている風力発電装置に関する。また本発明は、風力発電装置及び制御データベースを備えた風力発電装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置(風力エネルギー設備)は、一般的に知られており、風力発電装置の一例は、概略図として図1に示されている。風力発電装置は、風力エネルギーを電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを電力系統(給電網)へ供給する。風力発電装置と、風力から、供給される電気エネルギーに至るまでの全変換プロセスとは、近年、極めて複雑になっている。その実行には、多数のパラメータを設けることができ、これらのパラメータは、部分的に個別に設定することができ、また場合により変更される必要もある。
【0003】
風力発電装置の機能性が増加するにつれ、設定可能なパラメータの数も増加する。これらのパラメータの多くは、契約にとっても重要であり、特に電力供給される電力系統の事業者との間でかわされる契約にとって重要である。系統タイプ、即ち電力供給される電力系統のタイプと、環境条件と、設置場所の要因とは、風力発電装置の最適運転のために、特に安定運転のためにも、設置場所に依存するパラメータ表示を必要とし、部分的には必要不可欠である。それに加え、使用される風力発電装置の具体的なタイプ(型式)に関係するパラメータ表示がある。また例えば具体的な装置タイプと出力電力とタワーパラメータに該当するないしそれらを考慮する、設置場所に依存し且つ風力発電装置のタイプに依存するパラメータの他にも、系統パラメータ、即ち電力系統への具体的な電力供給に該当するパラメータが重要な意味をもつ。
【0004】
これらの全てのパラメータは、運転開始のプロセス中にサービス作業員が手動で風力発電装置の様々な箇所で入力する必要があり、例えば、制御キャビネットのディスプレイにおいてや、対応のコンピュータを使って直接的に制御基板においても行われる。運転開始プロセス中に入力すべきパラメータは、例えば、ほぼ250個のパラメータに達することもある。
【0005】
ドイツ特許商標庁は、本願の優先権出願において、以下の先行技術を調査した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 10 2005 049 483 A1
【特許文献2】GB 2 384 332 A
【特許文献3】US 2010/0135788 A1
【特許文献4】US 2011/0166717 A1
【特許文献5】EP 1 045 600 A1
【特許文献6】WO 98/37661 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に間違って設定されたパラメータ、即ち間違ったパラメータ値が入力されるのであれば、問題である。このことは、例えばパラメータに応じ、また間違った値に応じ、むしろ風力発電装置が、電力系統の危険な状況での電力系統への電力供給に際し、系統事業者により意図されているようには動かないことをもたらすことになる。特に多くの場合はエネルギー供給者でもある系統事業者は、誤りの場面を、系統における供給者と需要家の所定の挙動を考慮するモデルにおいて計算することができる。この際、風力発電装置の所定の挙動も考慮することができ、また危険な系統状況においては、風力発電装置がモデル計算により基礎とされた内容と異なって挙動することは、絶対に回避されなくてはならないだろう。正に風力エネルギー密度の高い地域では、そのような誤り挙動は、システム安定性を阻害し、極端な系統状況をもたらすことになり、即ち場合によりむしろ絶対に回避すべき所謂ブラックアウト(大停電)をもたらすことになるだろう。
【0008】
そのような誤りプログラミングを回避するために、基本的にそのような運転開始は、信頼のおけるサービス従業員によってのみ実行される。また入力されたパラメータは、その都度、第2のサービス従業員によりチェックすることができる。また特に符号エラーや、間違ってつけられたコンマ、従って桁数の誤りなどを認識することのできる妥当性テストが可能である。またパラメータが入力された各々のプロセスのシミュレーションないしテストを実行することも可能である。それに加え、運転開始時に変更ができるだけ少なくて済むように、できるだけ多くのパラメータを予め設定しておくことも可能である。
【0009】
しかしこれらの全ての安全措置も、最終的には誤りプログラミングのリスクを最小限にするに留まり、そのリスクを完全に排除することは可能となっていない。従って間違ったパラメータが入力され、その誤り入力が認識されないか又は認識されたとしても遅すぎるという危険が更に存在する。
【0010】
従って本発明の基礎となる課題は、上記の問題点の少なくとも1つに対処することである。特に間違ったパラメータの入力を排除し、或いは少なくとも間違ったパラメータのリスクを最小限にし、特に更に最小限にするという解決策を提案すべきである。また少なくとも代替的な解決策が提案されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により、請求項1、2による、風力発電装置を構成(コンフィギュレーション)するための方法が提案される。
即ち本発明の第1の視点により、風力発電装置を構成するための方法であって、以下のステップ、即ち、
− 該風力発電装置に割り当てられている予め定められたパラメータを、該風力発電装置を構成するために制御データベースから選択するステップ、
− 選択されたパラメータを可搬式データ媒体に記憶するステップ、
− 選択されたパラメータを前記可搬式データ媒体から該風力発電装置へ伝達するステップ、
− 選択されたパラメータを該風力発電装置において実装するステップ、
− 該風力発電装置に実装されたパラメータを、該風力発電装置及び前記制御データベースとネットワーク接続された監視装置により読み出すステップ、及び、
− 読み出されたパラメータを、該風力発電装置に割り当てられており且つ前記制御データベース内に保存されている予め定められたパラメータと比較するステップ
を含んでおり、
該風力発電装置内の少なくとも1つのパラメータが変更された場合には、変更信号が該風力発電装置から前記監視装置へ伝達され、該変更信号は、変更された少なくとも1つのパラメータを識別するための情報を含むことを特徴とする方法が提供される。
更に本発明の第2の視点により、風力発電装置を構成するための方法であって、以下のステップ、即ち、
− 該風力発電装置に割り当てられている予め定められたパラメータを、該風力発電装置を構成するために制御データベースから選択するステップ、
− 選択されたパラメータと、構成すべき該風力発電装置とに割り当てられているデータ媒体識別名を可搬式データ媒体に記憶するステップ、
− 前記可搬式データ媒体を該風力発電装置と結合し、前記データ媒体識別名が該風力発電装置のデータ媒体識別名と一致するか否をチェックするステップ、
前記データ媒体識別名が該風力発電装置のデータ媒体識別名と一致する場合には、選択されたパラメータを、前記制御データベースから、該風力発電装置及び前記制御データベースとネットワーク接続された監視装置を用いて該風力発電装置へ伝達し、択されたパラメータを該風力発電装置において実装するステップ
を含むことを特徴とする方法が提供される
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)風力発電装置を構成(コンフィギュレーション)するための方法であって、以下のステップ、即ち、
− 該風力発電装置に割り当てられている予め定められたパラメータを、該風力発電装置を構成するために制御データベースから選択するステップ、
− 選択されたパラメータを可搬式データ媒体に記憶するステップ、
− 選択されたパラメータを前記可搬式データ媒体から該風力発電装置へ伝達するステップ、
− 選択されたパラメータを該風力発電装置において実装するステップ、
− 該風力発電装置に実装されたパラメータを、該風力発電装置及び前記制御データベースとネットワーク接続された監視装置により読み出すステップ、及び、
− 読み出されたパラメータを、該風力発電装置に割り当てられており且つ前記制御データベース内に保存されている予め定められたパラメータと比較するステップ
を含むこと。
(形態2)風力発電装置を構成(コンフィギュレーション)するための方法であって、以下のステップ、即ち、
− 該風力発電装置に割り当てられている予め定められたパラメータを、該風力発電装置を構成するために制御データベースから選択するステップ、
− 選択されたパラメータと、構成すべき該風力発電装置とに割り当てられているデータ媒体識別名を可搬式データ媒体に記憶するステップ、
− 前記可搬式データ媒体を該風力発電装置と結合し、前記データ媒体識別名が該風力発電装置のデータ媒体識別名と一致するか否をチェックするステップ、
− 選択されたパラメータを、前記制御データベースから、該風力発電装置及び前記制御データベースとネットワーク接続された監視装置を用いて該風力発電装置へ伝達し、前記データ媒体識別名が該風力発電装置のデータ媒体識別名と一致する場合には、選択されたパラメータを該風力発電装置において実装するステップ
を含むこと。
(形態3)前記方法において、各パラメータは、個別のパラメータキーにより特徴付けられており、該パラメータキーは、以下の情報、即ち
− パラメータの識別、
− パラメータが使用される風力発電装置の識別、
− 実装されたパラメータを最後に変更した人物の識別
の少なくとも1つを含むことが好ましい。
(形態4)前記方法において、前記パラメータは、
− 風力発電装置の発電機を制御するためのデータ、
− 風力発電装置から電力系統への電気エネルギーの供給を制御のためのデータ、
− 運転管理データ、及び/又は、
− 風力発電装置の保護機能を制御するためのデータ
を含むことが好ましい。
(形態5)前記方法において、前記風力発電装置内の少なくとも1つのパラメータが変更された場合には、変更信号が前記風力発電装置から前記監視装置へ伝達され、該変更信号は、変更された少なくとも1つのパラメータを識別するための情報を任意選択的に含み、該情報は、
− 変更の日付け、
− 変更の時刻、及び/又は、
− 変更されたパラメータの識別
を含むことが好ましい。
(形態6)前記方法において、前記変更信号により識別される変更されたパラメータだけが、前記風力発電装置に割り当てられており且つ前記制御データベース内に保存されている予め定められたパラメータと比較されるか、又は変更されたパラメータの数が予め定められた最小数を上回る場合には、実装された全てのパラメータが比較されることが好ましい。
(形態7)前記方法において、実装された各パラメータが前記風力発電装置から個々に読み出され、前記制御データベース内に保存されている対応のパラメータと比較されることにより、読み出されたパラメータと、前記風力発電装置に割り当てられており且つ前記制御データベース内に保存されている予め定められたパラメータとの比較がパラメータごとに行われることが好ましい。
(形態8)前記方法において、選択されたパラメータは、前記風力発電装置に割り当てられた識別コードを有するパラメータセットにまとめられているか、又は前記風力発電装置に割り当てられた識別コードに割り当てられており、特に該識別コードは、少なくとも、
− 風力発電装置の装置タイプを特徴付けるタイプコード、及び、
− 具体的な風力発電装置を特徴付ける個別コード
から構成されることが好ましい。
(形態9)前記方法において、前記風力発電装置におけるパラメータの実装時には、データレコード内にまとめられたパラメータの幾つかだけが実装されることが好ましい。
(形態10)前記風力発電装置において実装された又は変更されたパラメータが、前記風力発電装置に割り当てられており且つ前記制御データベース内に保存されている予め定められたパラメータと比較された場合に初めて前記風力発電装置が運転開始されることが好ましい。
(形態11)風力から電気エネルギーを発生させるための風力発電装置であって、形態1〜10のいずれか1つに記載の方法を用いて構成(コンフィギュレーション)が行われること。
(形態12)風力発電装置システムであって、
− 風力発電装置、
− 制御データベース、及び、
− 前記制御データベースとネットワーク接続された監視装置を含み、
前記風力発電装置は、形態1〜10のいずれか1つに記載の方法により構成(コンフィギュレーション)が行われること。

【0013】
本発明により、特に風力発電装置の運転開始に関する、風力発電装置を構成するための方法が提案される。この場合、風力発電装置は、不完全であるか又は適合されていない、設定すべきパラメータを含んでおり、当該設定により風力発電装置を構成することができる。しかし当該構成は、変更を行うために、風力発電装置が既に運転状態にあったか又は運転状態にあるときにも、再度実行することが可能である。
【0014】
提案された方法により、予め定められた複数のパラメータが制御データベースから風力発電装置を構成するために選択される。これらのパラメータは、所定の風力発電装置に対して割り当てられており、即ちタイプで分けられた風力発電装置に対しても、具体的な風力発電装置に対しても割り当てられている。従ってこれらのパラメータは、特に次のように選択される。即ち特にタイプと設置場所に応じた具体的な風力発電装置の識別(識別データないし識別名 Identifikation)が制御データベースへ通知され、つまりこれらのデータが申告され、この際、制御データベース内には、この識別に対して割り当てられた対応のパラメータが既に保存されている。最終的にこれらのパラメータは、特にタイプと設置場所に応じた各々の風力発電装置のために、風力発電装置の開発者及びプロジェクト従業員により準備され、具体的な状況へ適合される。特に期待すべき風力や空気密度や温度のような地理的な観点を考慮することが可能である。更に設置場所の系統接続ポイントに割り当てられている設定内容、つまり該当の風力発電装置が電力系統へ電力供給するために接続されるべき系統接続ポイントに割り当てられている設定内容を考慮することが可能である。
【0015】
その後、そのように選択されたパラメータは、可搬式データ媒体(モバイルデータ媒体)に記憶される。この可搬式データ媒体は、メモリカード、USBスティック、光学データ媒体などであり得る。
【0016】
その後、選択されたパラメータは、可搬式データ媒体から風力発電装置へ伝達(ないし伝送、以下「伝達」で代表する)される。そのために特に可搬式データ媒体は、風力発電装置と適切に接続され、特に風力発電装置においてそのために設けられている受入部へ挿入されるか又は差し込まれる。例えば風力発電装置は、モニタ、入力用キーボードなど、並びに例えばカード読取機を有するコンピュータターミナルを装備している。そしてサービス従業員は、この装置において、ここでは例えばメモリカードとして構成されている可搬式データ媒体上のパラメータを風力発電装置へ伝達することを選択することが可能である。そのためにこの入力ターミナルは、全データを可搬式データ媒体から受け取り、風力発電装置の対応のコンポーネントへ分配する。他の可能性は、風力発電装置がデータの取り込み(ローディング)のために複数のそのような又は類似の装置を有し、それに対応し、選択されたデータが伝達されることにある。例えば電力系統への電力供給のために重要であるパラメータは、電力供給のために準備されている対応のインバータの制御キャビネットにおいて入力することが可能である。他のデータは、風力発電装置のナセルにおいて、そこでプロセス計算機へ伝達することが可能である。そのようなデータは、単に二三の例を述べるならば、例えば、風力発電装置の発電機の制御に関するものとすることができるか、又は着氷からの保護に関する設定のためのパラメータとすることができる。
【0017】
パラメータが風力発電装置へ実装(ないし提供 implementieren)された後、これらのパラメータは、風力発電装置及び制御データベースとネットワーク接続された監視装置により読み出される。そのような監視装置は、例えば所謂SCADAであり又はSCADAを使用することが可能である。SCADAは、風力発電装置の分野の専門家の間でもドイツ語圏で一般的に使われている略語である。この略語のSCADAは「Supervisory Control And Data Acquisition」を意味する。しかしSCADAの概念は、風力発電装置の分野ではむしろ風力発電装置のネットワーク接続された監視機能の意味として理解される。基本的にデータもSCADAを介して風力発電装置へ書き込むことが可能である。しかしこの過程は、普通行われない。特に風力発電装置をオンラインでSCADAを介して制御することは、普通行われない。
【0018】
この際、可搬式データ媒体を用いて実装されたパラメータを単純に読み出すことが提案される。その後、更なるステップにおいて、これらの読み出されたデータが、風力発電装置に割り当てられており且つ制御データベース内に保存されている予め定められたパラメータと比較される。従ってパラメータを制御データベースから可搬式データ媒体へ伝達し、その後、この可搬式データ媒体を風力発電装置へもってゆき、その現地において、記憶されているパラメータを伝達し、それに対応して風力発電装置内に実装することが意図されている。既にそれにより、パラメータの個別の入力のエラーが回避される。それに追加し、実装されたパラメータが正確であるか否かのチェックが行われる。このチェックは、監視装置、特にSCADAを用い、パラメータが風力発電装置から読み出され、制御データベース内に保存されているパラメータと比較されることにより実行される。その際に食い違いが確定される場合には、対応する警告信号を出力し、それに対応し、実行のプロセスを反復することが可能である。
【0019】
この過程は、特に風力発電装置の運転開始時に行われることが顧慮されるべきである。風力発電装置の最初の運転開始時には、ネットワーク接続(ネットワーク化)も含めて多くのプロセスが、場合によりまだ完全には運転状態にないか又は少なくともまだ十分にはチェックされていない。それに対応し、風力発電装置と制御データベースとの間のネットワーク接続も、まだ存在しないか、まだ完全な状態にないか、又はまだ信頼できる状態にない可能性がある。従って可搬式データ媒体を用いた実装すべきパラメータの伝達は、確実な解決策である。それに加え、そのためにサービス従業員が可搬式データ媒体を風力発電装置へもっていかなくてはならないということは、煩わしいことでもない。つまり運転開始時には、サービス従業員は、いずれにせよ風力発電装置のある現地にいなくてはならないからである。
【0020】
予めパラメータが制御データベースから伝達された可搬式データ媒体を用いたそのような伝達は、いずれにせよ、手動のパラメータ入力と比べ、確実なバリエーションである。それにもかかわらず、そのように実装されたパラメータを、ネットワーク接続された監視装置、特にネットワーク接続されたSCADAを用いてチェックすることが提案される。ネットワーク接続が粗悪であるか又はまだ存在しない場合には、照合(比較 Abgleich)を後から行うこともできる。風力発電装置は、既に少なくともテスト的に又は部分的に運転を開始することが可能である。風力発電装置に対するネットワーク接続が粗悪であればあるほど、風力発電装置が人の住んでいるところから極めて遠いところに設置されている確立が高く、従ってパラメータが間違っている場合には少なくとも人への危険性が少ないという確率が高い。しかしいつかはネットワーク接続が頼りにされる必要があり、因みにこのネットワーク接続は、有線式か又は無線式か又はそれらの組み合わせとして設けることが可能である。その後、照合を行うことが可能である。
【0021】
選択肢として、風力発電装置がネットワーク接続を介して構成(コンフィギュレーション)されることが提案される。この解決策においても、実装すべきパラメータを、手動で入力する代わりに、制御データベースから風力発電装置へ伝達するという思想が基礎とされる。それに対応してこの解決策によっても、風力発電装置に割り当てられている予め定められたパラメータを、制御データベースから風力発電装置の構成のために選択することが提案される。選択されたパラメータを可搬式データ媒体に記憶させる代わりに、データ媒体識別名(Datentraegerkennung)が可搬式データ媒体に記憶される。このデータ媒体識別名は、選択されたパラメータと、構成すべき風力発電装置とに割り当てられている。そして可搬式データ媒体は、風力発電装置と結合され、先ずデータ媒体識別名が風力発電装置のデータ媒体識別名と一致するか否かがチェックされる。一致する場合には、選択されたパラメータが制御データベースから、風力発電装置及び制御データベースとネットワーク接続された監視装置、即ち例えばSCADAを用いて風力発電装置へ伝達され、これらのパラメータが風力発電装置へ実装される。この際、可搬式データ媒体は、識別確認のために機能し、従ってパラメータの誤った伝達、特に間違ったパラメータの誤った伝達が回避される。またそれにより安全観点が実現されており、それ故、データの伝達と実装が、可搬式データ媒体を用いた現地での風力発電装置における識別確認を必要とするので、見知らぬアクセス、特に所謂ハッカーによる攻撃が回避される。
【0022】
従って説明した両方の解決策は、パラメータの実装を、可搬式データ媒体を用いて行うことを提案する。一方のケースにおいて可搬式データ媒体は、パラメータを実際のパラメータとして含んでおり、他方のケースにおいて可搬式データ媒体は、識別名だけを含んでおり、該識別名は、その後、ネットワーク接続を介し、対応のパラメータの選択と伝達のために使用することが可能である。
【0023】
好ましくは、パラメータの各々は、個別のパラメータキーにより特徴付けられており、パラメータキーは、識別パラメータの情報、パラメータが使用される風力発電装置の識別の情報、及び/又は実装されたパラメータを最後に変更した人物の識別の情報を含んでいる。パラメータの識別により、間違ったパラメータが誤って伝達されることが防止される。同様のことが風力発電装置の識別にも当てはまる。実装されたパラメータを最後に変更した人物の識別を介し、誰が変更を行ったのかを明確に追跡確認することができる。それにより例えば、そもそも権限のある人物がパラメータを変更したか否かをチェックすることが可能である。パラメータが追跡確認不能で変更されたのであれば、つまり特に非所望の値へ変更されたのであれば、変更を行った人物と協議することが可能である。パラメータを変更した人物から、定期的に変更理由を確認することができる。更にサービス従業員は、実行される操作内容が書き記された職務必須本などを携帯する。そして問題が発生した場合には、変更されたパラメータとこの職務必須本内のプロトコルとの間でチェックを行うことも可能である。
【0024】
一実施形態によりパラメータは、風力発電装置の発電機を制御するためのデータと、風力発電装置から電力系統への電気エネルギーの供給を制御のためのデータと、運転管理データと、風力発電装置の保護機能を制御するためのデータとを含んでいる。勿論これらの列挙の内容に限定されるわけではない。多くの場合、そのような関連を検知するためにはより多くのパラメータが必要である。例えば、回転数と発電機の出力との間の関連を保存しておくことも可能である。
【0025】
電気エネルギーの供給の制御のためのデータは、例えば、電力系統の系統事業者の設定を内容として含むことが可能である。それには、例えば、電気エネルギーの供給が減少又は中断されなくてはならない限界値が属している。
【0026】
運転管理データは、例えば、風力発電装置の飛行ナビゲーションライトの制御に関するものや、タワーからナセルへ導かれており方位追従調整が原因で捩られた配線の捩れ解消に関するものであり得る。勿論これらも単なる例に過ぎない。
【0027】
風力発電装置の保護機能を制御するためのデータは、例えば、安全停止(安全シャットダウン)に関するものであり得る。
【0028】
更なる一実施形態により、風力発電装置内の少なくとも1つのパラメータが変更された場合には、変更信号が風力発電装置から監視装置へ伝達されることが提案される。そのような変更信号は、変更された少なくとも1つのパラメータを識別するための情報、即ち特に変更の日付け、変更の時刻、及び/又は変更されたパラメータの識別を任意選択的に含むことが可能である。それ故、全パラメータの実装が最初の運転開始時に実質的に終了している場合のためには、追加的なステップが提案される。後から複数のパラメータを変更することが可能であるか、又は運転開始時になおパラメータが適合されなくてはならないことが分かった。
【0029】
好ましくは、風力発電装置のパラメータと、制御データベース内に保存されているパラメータとの間の照合(比較)は、変更されたパラメータに関してのみ、即ち変更信号により識別されたパラメータに関してのみ行われる。そのような部分チェックは、特に1つのパラメータだけか又は数少ないパラメータが変更された場合のために提案される。極めて多くのパラメータが変更される場合、即ち例えば少なくとも10個のパラメータ又は少なくとも20個のパラメータが変更される場合には、全パラメータセットを照合することが有意義であり得る。好ましくは、読み出されたパラメータと、風力発電装置に割り当てられており且つ制御データベース内に保存されている予め定められたパラメータとのパラメータごとの比較が行われる。つまり実装されたパラメータが順次読み出され、制御データベース内に保存されている対応のパラメータと比較される。このことは、特にネットワーク接続が、低速か又は散発的なデータ伝達だけを可能とするほど弱い場合に、それでもステップごとに照合を行うことが可能であるという利点を有する。同様にパラメータが直接的に制御データベースから、ネットワーク接続された監視装置を用いて風力発電装置へ伝達される場合にも、この伝達はパラメータごとに実行される。つまりパラメータを1つずつ順次伝達し、実装することが可能である。好ましくは、そのためにも、伝達エラーを排除可能とするために、伝達されたパラメータと実装されたパラメータのチェックが行われる。
【0030】
一実施形態により、選択されたパラメータが、風力発電装置に割り当てられた識別コードを有するパラメータセットにまとめられているか、又は選択されたパラメータが、そのような識別コードに割り当てられていることが提案される。そのような識別コードが、風力発電装置の装置タイプを特徴付ける少なくとも1つのタイプコードと、具体的な風力発電装置を特徴付ける少なくとも1つの個別コードとから構成されると有利である。つまり最初の識別、従って装置タイプのための分類を行うことも可能であり、そのための例を挙げると、例えばエネルコン社のタイプ「E82」の風力発電装置を挙げることができる。そのような風力発電装置に対してタイプに応じて割り当てられている多くのパラメータは、類似するか又は同一である。しかし少なくとも幾つかのパラメータに関しては、どこに具体的な風力発電装置が設置されているのかに左右される。例えばタイプの同じ2つの風力発電装置を、異なった系統接続ポイントに接続状態とすることが可能である。これらの両方の系統接続ポイントのために異なる規定が有効である場合には、タイプが同じこれらの風力発電装置でも異なった構成(コンフィギュレーション)が必要である。そのために、具体的な風力発電装置を特徴付ける個別コードの使用が提案される。
【0031】
そのようなパラメータには、例えば開発部からもアクセスすることが可能である。開発部は、例えば1つの装置タイプのパラメータに対して変更を行い、これらの変更を同じ装置タイプか又は具体的な風力発電装置のために新たに記憶させ、変更された対応の個別コードをもたせることが可能である。風力発電装置に割り当てられている予め定められたパラメータの選択時には、必要なパラメータの識別は、この作られたコードを介して行うことが可能である。
【0032】
好ましくは、風力発電装置におけるパラメータの実装時には、データレコード(データセット)内にまとめられたパラメータの幾つかだけが実装される。このことは、特に後からの変更時に有利であり得る。例えば1つの装置タイプの所定のパラメータは、会社側の改善に基づき変更することが可能である。この際、そのような変更は、このタイプの各風力発電装置のパラメータにも該当し得る。タイプコードを介し、これらの全てのパラメータを識別(特定)し、変更することが可能である。この際、それに対応し、これらのパラメータの交換だけが行われる。
【0033】
好ましくは、風力発電装置において実装された又は変更されたパラメータが、風力発電装置に割り当てられており且つ制御データベース内に保存されている予め定められたパラメータと比較された場合に初めて風力発電装置が運転開始されることが提案される。特に最初の運転開始時には、また後からの変更時にも、好ましくは、風力発電装置へのパラメータの伝達が行われ、それに引き続き、ネットワーク接続された監視装置を介した、制御データベース内に保存されているパラメータとのチェック、即ち照合(比較)の終了が待たれる。そしてこの照合の後、使用可能信号(リリース信号)又は他の信号を提供することが可能であり、該信号は、サービス従業員に対し、新たに実装されたパラメータが正確であることを通知する。新たに実装されたパラメータが正確でない場合には、それに対応する警告か又はそれに対応する指示が出力される。この指示は、通常、エラーが存在することの警告であり、及び/又はエラーが発生した具体的なパラメータを識別(特定)することを可能とする。この際、風力発電装置は、運転開始はされず、従ってそれにより、エラー、特に事故又は破損を回避することも可能である。
【0034】
更に、上記のオプションないし実施形態の1つの方法を用いて構成(コンフィギュレーション)されるように準備されている、風力から電気エネルギーを発生させるための風力発電装置が提案される。特にそのような風力発電装置は、可搬式データ媒体からの読み出しを可能とするために対応の装置を有する。更に該風力発電装置は、それに対応して監視装置とネットワーク接続されている。また実装及び/又は照合(比較)を可能とする対応のソフトウェアも設けられている。
【0035】
更に、風力発電装置の他にも、制御データベースと、該制御データベースとネットワーク接続された監視装置とを含んだ風力発電装置システムが提案される。そのような風力発電装置システムは、上記のオプションないし実施形態の1つに基づく方法により構成(コンフィギュレーション)されるように準備されている。従って1つの風力発電装置ないし複数の風力発電装置だけが提案されるのではなく、追加的に、対応のデータベースと、ネットワーク接続された監視装置とを設けることが提案される。
【0036】
以下、添付の図面に関連し、例示した実施形態に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】一風力発電装置を模式的に示す斜視図である。
図2】一風力発電装置のネットワーク接続を説明するためのチャート図である。
図3】一風力発電装置システム内のパラメータと他のデータとの処理を説明するためのチャート図である。
図4】一風力発電装置又は複数の風力発電装置を有する一ウインドパーク内のパラメータ照合の経過を説明するためのチャート図である。
【実施例】
【0038】
図1は、タワー102とナセル104とを備えた風力発電装置(風力エネルギー設備)100を示している。ナセル104には、3つのロータブレード108とスピナ110とを備えたロータ106が配設されている。ロータ106は、運転時には風力により回転運動を行い、それによりナセル104内の発電機を駆動する。
【0039】
図2のチャート図は、予め定められた(所定の)パラメータを含めた設定データ、所謂規定データ(基準データ)が中央データベース6に保存されていることを図示している。中央データベース6は、所謂SAP(エスエーピー)6として構成することができる。中央データベース6には、特に装置パラメータ及びプロジェクト情報が記憶されている。これらのデータは、風力発電装置を制御するために少なくとも部分的に必要とされ、従って中央データベース6は、制御データベース6とも称される。
【0040】
制御データベース6には、サービス(ユニット)1、サイトアセスメント(ユニット)2、PM部(ユニット)PM3、GO部(ユニット)GO4がアクセスでき、このことは、データ通信ブロック(システム)5により図示されている。該アクセスは、装置パラメータ及びプロジェクト情報のようなデータの読み出し又は書き込みに関するものである。
【0041】
サイトアセスメント2は、風力発電装置の計画された設置場所の設置場所評価を表わしている。サイトアセスメント2は、幾つかの例を挙げるならば、支配的な風状況及び天候状況の判断や、現存の系統条件や、局所的な規定などを内容として含んでいる。
【0042】
PM3は、プロジェクトマネージメント部を表わし、該プロジェクトマネージメント部は、新しい風力発電装置ないし新しいウインドパークの建設に際し、取付け設置作業のプロジェクト固有の実現と実行に関するものである。GO部GO4は、電力系統(給電網)に対する風力発電装置ないしウインドパークの接続についてのプラニング、実行、及び監視に関するものである。
【0043】
風力発電装置12を構成(コンフィギュレーション)するためには、対応する複数のパラメータが可搬式データ媒体(モバイルデータ媒体)8に書き込まれないし記憶され、そのように準備されたデータ媒体8を用いて風力発電装置12へ伝達される。そのためにサービス従業員が、書き込み済の可搬式データ媒体8を風力発電装置12へ運ぶ。この際、可搬式データ媒体8は、メモリカード、特に所謂CFカードとして設けられている。CFカードは、ドイツ語においてもコンパクトフラッシュ(登録商標)と称されるインタフェース規格を使用するメモリカードのことである。
【0044】
できれば制限を有するアクセスの別の可能性は、サービス又は整備員のために電話7を介しても存在する。風力発電装置12内に実装(提供)されたパラメータが正確であるか否かをチェックするために、制御データベース6とのデータとの照合(比較)を行うことが可能である。そのためにSCADAシステム11を使用するネットワーク接続が設けられている。この際、SDBMSブロック9を介し、比較ツール10を用い、風力発電装置12内に記憶され且つ実装されているパラメータの照合が行われる。
【0045】
ブロック9のSDBMSとは、SCADA・データベース・マネージメント・システムの略語であり、SCADAシステムのデータベース制御システムのことである。従ってブロック9は、該当の風力発電装置の実際値を中央データベースの規定値との比較のために提供することを目的として該実際値を記憶するという役割を有する。比較ツール10は、制御データベース6への通信を確立する。同時に比較ツール10は、オーダ又はアラーム14を、データ照合に従事するサービス従業員16へ送る。
【0046】
風力発電装置12との通信も可能とするSCADAシステム11を介し、サービス従業員16は、手動の照合を行うことも可能である。そのような手動の照合は、特に個々のパラメータの変更時において可能である。そのために図2には、手動の照合のための通信矢印18が図示されている。
【0047】
図3は、風力発電装置の必要な複数のパラメータの出所と使用目的の概要を図示している。そこでは、ブロック30を用いて特徴付けられないし図示されている運転データメンテナンスが上位に位置付けられている。更なるブロックも主として関連性の説明のために用いられる。パラメータにとって重要なのは、一方では、図3において中央データベース31として特徴付けられた制御データベースと、他方では、該制御データベースから風力発電装置へのデータ伝達の過程であり、このことは、データ伝達ブロックの中央データベース−>WEA(Windenergieanlage 風力発電装置)32として図示されている。
【0048】
念のため、中央データベース31には、データベースの定義のためのブロック33、並びにプロジェクトデータを含めたデータベースの併合(マージング Zusammenfuehrung)のためのブロック34が属することを述べておく。またブロック35は、ワークフローとも称する作業手順を表わすものであり、運転データの収集と保守に関するものである。責任事項の明確化は、ブロック36により図示されており、制御データベースの全複合群のもとにまとめられている。
【0049】
ブロック32による制御データベースから風力発電装置へのデータ伝達の要素として、メモリカードブロック37が記載されている。このメモリカードブロック37は、ブロック32によるデータ伝達の一部分として、特に図2によるメモリカード8から風力発電装置12へのデータ伝達の過程を示すものである。照合ブロック38は、データベースとの照合の過程ないし制御データベースとの照合の過程を示すものである。該過程は、特に図2においてSDBMSブロック9及び比較ツール10との関連で説明された過程に関するものである。別の重要な点は、リモートデータ伝達ブロック39を表わすものとして記入されているリモートデータ伝達(Datenfernuebertragung)である。リモートデータ伝達ブロック39は、リモートデータ伝達の過程を示すものであり、この際、図2のSCADAブロック11のための説明と関連している。
【0050】
図4は、SCADAを利用したパラメータ照合の過程を更に詳細化して図示している。先ずパラメータ変更通知42をイベント処理44へと送り出す風力発電装置40を前提とする。このイベント処理44は、パラメータ変更に関する通知42を処理し、従ってパラメータ処理ブロック46におけるパラメータ処理に対して影響を及ぼす。それに加えないし選択肢として、時間制御48によるパラメータ照合の時間的な制御、特に時間的にトリガリングが影響を及ぼす。
【0051】
そしてパラメータ処理ブロック46では、リクエストリスト50が作成される。このリクエストリスト50は、更なるステップを連係するないし更なるステップのために基礎を構成するプロセッシングブロック52へ提供される。特にそれに依存して変更リストリクエスト54及びパラメータリクエスト56が発行される。それにより風力発電装置内のパラメータと制御データベース内のパラメータとの照合が開始される。それに対応し、図4の図面では非図示であるが、これらのリクエストがかなえられ、パラメータ及び/又は変更リストが照合のために提供される。この際、照合は、変更リストを介して行うことが可能であるか、又は照合は、パラメータごとに行うことが可能である。又は照合の両方の形式は、互いに補足することが可能であるか、又は同時に実行することが可能である。また実行された変更は、変更記憶命令58によりメモリ60内に記憶される。
【0052】
従ってSCADAサーバシステム内において、パラメータの監視を担うプロセスが実行される。ウインドパークのSCADAシステムと個々の風力発電装置との間における照合は、両方とも実行することのできる2つの異なる方法で行うことが可能である。先ずウインドパークのSCADAシステム、即ちウインドパークのネットワーク接続を可能とし且つ実行するシステムが存在することから出発する。このことは、特に1つの又は複数の風力発電装置に対してアレンジされたリモートデータ伝達を実現するために、そのようなシステムを有するウインドパークが存在するか又は単にそのようなシステムが使用されることを意味することになる。
【0053】
従って照合は、一方では時間的に行うことができ、このことは、時間制御48により図示されている。この際、照合は、例えば一日に一度行われる。その間に発生した変更、即ち特に最終日のうちに発生した変更が、検知されてチェックされる。
【0054】
既述のように補足としても使用することのできる他の方式は、イベント制御式で作動する。この際、風力発電装置は、ウインドパークのSCADAシステムに対し、ブロック44が表わしているイベント処理を用い、1つのパラメータ又は複数のパラメータが変更されたことを伝える。それに従い、最後の変更の、変更されたパラメータのパラメータキーと、タイムスタンプとも呼ぶことのできる時間識別とが、SCADAシステムにより要求される。そして最終的には、変更されたパラメータ、即ち変更された装置パラメータが、該当のサービス技術者に付属の利用者番号と共にウインドパークのSCADAシステムにより読み出される。それにより照合を実行し、そして終了することが可能である。
【0055】
従って風力発電装置のための品質保証を達成すべき解決策が提案される。求められるべき目的は、提案された解決策が適用される各風力発電装置が正確なパラメータを用いて運転されることである。このことが保証されるべきである。
【0056】
この際、運転パラメータは、中央(センター)において制御データベースへ、特に風力発電装置製造者の中央データベースシステムへ入力され、そこで管理される。中央データベースシステムは、同義語として中央データベースと称することもできる。風力発電装置の複数のパラメータの安全確保された送出(エクスポート)により、即ち所定の風力発電装置のために設けられている複数のパラメータがCFメモリカードへもたらされることにより、これらのパラメータを各々の風力発電装置へ伝達することが可能であり、この際、このことは、ローディングとも称される。
【0057】
風力発電装置と中央データベースシステムとの間のパラメータの食い違いを見つけるために、ウインドパークにインストールされたSCADAシステムにより、個々の装置パラメータが検知される。この際、日に一度か又は1つのイベントの発生後にパラメータが、中央(センター)において、中央データベースシステム内に記憶されているパラメータと照合される。そして食い違いがある場合には、情報がサービスへと転送される。
【0058】
重要な一視点は、パラメータの一義的な識別である。そのために一義的なパラメータ番号が設けられており、該パラメータ番号は、パラメータキーとも称される。この番号は、風力発電装置(簡略化して装置とも称される)において既知であり、またSCADAシステム及び中央データベースシステムにおいても既知であり、パラメータ記述に基づきパラメータ値を定義する。この際、パラメータ記述は、パラメータを特徴付ける値も、またその内容も、内容として含んでいる。パラメータ記述は、以下の要素の1つか、複数か、又は全てを含むことができる。パラメータ記述は、好ましくは、以下の要素の全てを含む:
【0059】
− パラメータを識別するための一義的なキーであるパラメータキー。
− パラメータがどの装置に割り当てられているのかを識別するのに有効な装置識別名。
− パラメータのショートネーム。
− 好ましくは2つの言語、例えばドイツ語と英語で説明されているパラメータ説明。
− データタイプの記載、即ち所謂ロングインテジャ型(longer INTEGER)が使用されるのか又は所謂長いワード型(WORD)が使用されるのかを表わし、この際、ワード型は、インテジャ型の二倍の長さである。
− バリュースケール(Werteskalierung)及び/又はバリューオフセット(Werteoffset)。
− 最小値及び最大値。
− パラメータ値の表示タイプ、即ちこのパラメータ値が、10進法か、16進法か、2進法か、又はそれに類似するものとして構成されていることを表わす。それに加え又はそのために表示キーを設けることが可能である。
− 単位、特に物理的な単位。
− デフォルト値、即ち実際に個別化された値が記入される以前に、標準的に含まれている値。
− 読み出し及び書き込みのための権利を与え且つ全システム内で有効性を有する所定のパラメータ。
− 誰が読み出し権利を有するのかを示す、読み出し権利のためのレベル。
− 誰が書き込み権利を有するのかを示す、書き込み権利のためのレベル。
− プレースホルダとしてパラメータを留保するパラメータ標識。
【0060】
風力発電装置のパラメータの読み出しは、SCADAシステムにより制御されて行われる。この際、各パラメータは、風力発電装置から、一義的なパラメータキーの指定により個々に要求される。風力発電装置は、パラメータキーと、値(バリュー)と、パラメータを変更した利用者を識別する利用者番号とを含むデータ内容を用いて応答する。風力発電装置内に存在しないパラメータが要求されると、風力発電装置は、「エラー(Error)」を内容として有するパラメータキーと、通常はパラメータの値が記入されるべきところに記入されたエラーコードとを用いて応答する。
【0061】
風力発電装置は、ステータス・データレコードを介し、SCADAシステムに対してパラメータの変更を伝え、このことは、図4では、パラメータ変更通知42と、イベント処理ブロック44とにより図示されている。この際、変更されたパラメータのパラメータキーは、別のデータレコード(データセット)により複数の風力発電装置から読み出すことができ、該データレコードは、以下の外観を有する:
【0062】
− 最後のパラメータ変更の日付け。
− 最後のパラメータ変更の時刻。
− 最後の問い合わせ以降に変更されたパラメータキーの数。
【0063】
上記データレコードを介して通知できるよりも多くのパラメータが変更された場合には、対応するパラメータキーをセットすることより、風力発電装置の全てのパラメータの照合のためのリクエストを行うことも可能である。
【0064】
風力発電装置の最後のパラメータ変更の日付けと時刻により、時間的なパラメータリクエストを、SCADAシステム内に加えて記憶されているタイムスタンプとは異なるタイムスタンプの風力発電装置だけがリクエストされるように最適化することが可能である。つまり毎日、時間照合が開始されると、その都度の現在日において、既に他のかたちではこの日には照合が成されていない風力発電装置のための時間照合だけが行われる。
【0065】
好ましくは、固定で予め定められているパラメータ編成(パラメータオーガニゼーション)が使用され、該パラメータ編成は、制御データベース内、またネットワーク接続された監視装置内、特にSCADAシステム内でも使用される。この際、好ましくは、パラメータは、装置識別名に基づいて管理される。各装置タイプは、別々に管理される。そのためには、装置タイプの各々のパラメータが定義されている構成ファイル(コンフィギュレーションファイル)を介して実現される定義が基礎とされる。
【0066】
この際、風力発電装置の各パラメータは、その変更状態を用いて管理される。この変更状態は、特に、現在のパラメータ値と、変更の日付け及び時刻と、変更を行った利用者の利用者番号と、場合によりエラー値又はエラー識別子とを内容として含んでいる。好ましくは、現在のパラメータ状態の1つのデータベースファイルは、風力発電装置の装置タイプごとに設けられ、もう1つのデータベースファイルは、全ての装置の変更だけを内容として含んでいる。従って各装置タイプのためには、2つのデータベースファイルが設けられており、これらのデータベースファイルのデータフィールド記述は、好ましくは同一に構成されている。データフィールド記述は、最後の変更の日付け及び時刻と、具体的な装置番号と、変更ファイル内にだけ記憶されている装置タイプと、3個の記号から成る数値であり得るエラーコードと、5個の記号を用いた整数値であり得るパラメータキーと、パラメータ、即ち10個の記号と2個の少数位を用いたダブル値として構成することのできるパラメータ値と、最後のパラメータ変更の利用者とを内容として含んでおり、該利用者のためには、20個の記号のストリングを設けることができ、即ち基本的に任意の記号、特に数値と文字を記録することのできるデータフィールドである。
【符号の説明】
【0067】
1 サービス(ユニット)
2 サイトアセスメント(ユニット)
3 PM(プロジェクトマネージメント)部(ユニット)
4 GO部(ユニット)
5 データ通信ブロック(システム)
6 中央データベース(制御データベース)
7 電話
8 可搬式データ媒体(モバイルデータ媒体)
9 SDBMS
10 比較ツール
11 SCADA
12 風力発電装置
14 アラーム
16 サービス従業員
18 通信矢印(手動の照合)

30 運転データメンテナンス
31 中央データベース
32 データ伝達(伝送) 中央データベース−>WEA(風力発電装置)
33 データベースの定義
34 プロジェクトデータを含めたデータベースの併合
35 運転データの収集と保守(ワークフロー)
36 責任事項の明確化
37 メモリカード
38 データベースとの照合
39 リモートデータ伝達(伝送)

40 風力発電装置
42 パラメータ変更
44 イベント処理
46 パラメータ処理
48 時間制御
50 リクエストリスト
52 プロセッシング
54 変更リストリクエスト
56 パラメータリクエスト
58 変更記憶
60 メモリ

100 風力発電装置(風力エネルギー設備)
102 タワー
104 ナセル
106 ロータ
108 ロータブレード
110 スピナ
図1
図2
図3
図4