特許第5994025号(P5994025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハーの特許一覧

特許5994025固定装置、ヘッドレスト及び組み立て方法
<>
  • 特許5994025-固定装置、ヘッドレスト及び組み立て方法 図000002
  • 特許5994025-固定装置、ヘッドレスト及び組み立て方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994025
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】固定装置、ヘッドレスト及び組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/48 20060101AFI20160908BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   B60N2/48
   A47C7/38
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-518996(P2015-518996)
(86)(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公表番号】特表2015-521565(P2015-521565A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】EP2013062917
(87)【国際公開番号】WO2014001199
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2015年2月25日
(31)【優先権主張番号】102012012684.0
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】マンドゥージオ、 フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】モリニエール、 クリストフ
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−238755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/48
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートのためヘッドレスト用の固定装置(1)であって、頭部接触部を支持するために設けられた基体(2)を有し、前記基体(2)は固定要素(6)を用いて支持ロッド(4)に取り付け可能であり、前記固定要素(6)は前記基体(2)と一部品で一体的に接続され
前記固定要素(6)は前記基体(2)に対して旋回軸(9)の周りで旋回可能な取り付けブラケット(7)を含み、前記取り付けブラケット(7)は、前記基体(2)と前記支持ロッド(4)が互いに対して事前に配置される解放状態(10)へ、及び前記基体(2)と前記支持ロッド(4)が前記取り付けブラケット(7)により互いに固定されるロック状態(11)へ旋回可能であり、
前記基体(2)は前記支持ロッド(4)の少なくとも一部の領域がかみ合って入るように設けられた少なくとも1つのくぼみ(5)を有し、前記支持ロッド(4)は前記解放状態(10)において前記くぼみ(5)に配置され且つ前記ロック状態(11)において前記取り付けブラケット(7)によって前記くぼみ(5)に固定されることができ、
前記基体(2)は、異なるデザインで且つモジュール式の交換可能な2つの支持ロッド(4)のそれぞれの部分とかみ合うように設けられた、少なくとも2つの異なるデザインのくぼみ(5)を有する、固定装置(1)。
【請求項2】
前記取り付けブラケット(7)は少なくとも1つのロック要素(13)を備え、前記基体(2)は少なくとも1つの相手方ロック要素(14)を備え、前記ロック要素(13)及び前記相手方ロック要素(14)は前記ロック状態(11)においてかみ合う、請求項に記載の固定装置(1)。
【請求項3】
前記基体(2)は前記支持ロッド(4)を受け入れるための少なくとも1つの貫通開口部(3)を備え、前記支持ロッド(4)は前記解放状態(10)において前記貫通開口部(3)を通して挿入可能であり且つ前記ロック状態(11)において前記取り付けブラケット(7)によって前記貫通開口部(3)の内部に固定される、請求項1又は2に記載の固定装置(1)。
【請求項4】
前記ロック状態(11)において、前記支持ロッド(4)の水平部(12)は前記取り付けブラケット(7)と前記基体(2)との間にかみ合う形で及び又は圧力嵌めの形でロックされる、請求項1からのいずれか1項に記載の固定装置(1)。
【請求項5】
前記取り付けブラケット(7)の前記旋回軸(9)は前記水平部(12)に対して平行に延びる、請求項に記載の固定装置(1)。
【請求項6】
前記取り付けブラケット(7)はフィルムヒンジ(8)を用いて旋回可能に前記基体(2)に取り付けられ、前記基体(2)と前記フィルムヒンジ(8)と前記取り付けブラケット(7)は同じプラスチック材料から一部品で一体的に作られる、請求項1からのいずれか1項に記載の固定装置(1)。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の固定装置(1)を備えるヘッドレストであって、頭部接触部と、保持ブラケットとして設計された前記支持ロッド(4)とを有し、前記頭部接触部は前記基体(2)に堅固に又は移動可能に固定され、前記基体(2)は前記固定要素(6)を用いて固定的に前記保持ブラケットに取り付けられる、ヘッドレスト。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載のヘッドレスト用の固定装置(1)を組み立てる方法であって、第1組み立てステップにおいて、前記基体(2)と前記支持ロッド(4)は互いに対して事前に配置され、第2組み立てステップにおいて、前記基体(2)と前記支持ロッド(4)は互いに対して固定され、前記第2組み立てステップにおいて、前記取り付けブラケット(7)は前記解放状態(10)から前記ロック状態(11)へ前記旋回軸(9)の周りで旋回される方法。
【請求項9】
前記第1組み立てステップにおいて、前記支持ロッド(4)は前記基体(2)の貫通開口部(3)内に押し込まれ且つ/または前記支持ロッド(4)の少なくとも一部は前記基体(2)のくぼみ(5)に配置され、前記第1組み立てステップにおいて、前記取り付けブラケット(7)は前記解放状態(10)のままである、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の固定装置に関する。このような固定装置はよく知られている。
【背景技術】
【0002】
一例として、特許文献1には、ブラケット状の支持ロッドに移動可能に取り付けられた頭部接触部として働くシェルを備えたヘッドレストが開示されている。基体として働くプレートが、さらに支持ロッドの水平部に固定される。
【0003】
既知の固定装置の欠点は、基体の支持ロッドへの取り付けが常に比較的複雑で、従ってコストが掛かることである。また、多くの場合、基体がいくつかの個別アイテム、詳細にはロックピンによって支持ロッドに固定される固定方法が使用される。このような固定方法は、組み立てを間違えると、一例として、ロックピンが不注意で取り付けられないと、基体が固定されないという欠点を有する。この場合、ヘッドレストが確実にロックされないことにより、事故の際に乗員が負傷するという重大なリスクが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007034496号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、誤った設置のリスクが低減されるように、より少ない部品を用いたより簡単且つより迅速な組み立てを可能にする固定装置を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、特に車両シートのための、ヘッドレスト用の固定装置であって、頭部接触部を支持するために設けられた基体を備え、基体が固定要素を用いて支持ロッドに取り付けられ、固定要素が基体に一体的に接続される固定装置によって達成される。
【0007】
本発明による装置は、固定要素が基体に一体的に接続されるので、固定装置の組み立て中に誤って固定要素を「忘れる」リスクが低減されるという、先行技術の水準に優る利点を有する。また、固定要素は直ちに組み立ての準備ができ且つ正確に事前に配置されるので、固定要素を提供するための追加の組み立てステップが不要であるから、組み立てがかなり単純化される。さらに、個別の固定要素を製造する必要がないので、製造コストが低減される。詳細には、支持ロッドは保持ブラケットを含み、その端部は背もたれのガイド支持体の内部に配置される。パッド入りの頭部接触部が、好ましくは、基体に取り付けられる。ヘッドレスト用の前後方向、鉛直方向および/または角度の調節機構を実現するために、頭部接触部を基体に対して調節可能且つロック可能な方法で基体に取り付けることが考えられる。代替的に、追加の調節の可能性がないヘッドレストを利用可能にするために、頭部接触部は基体に堅固に連結される。
【0008】
本発明の有利な実施形態およびさらなる実施形態は、従属請求項および図面を参照する明細書で見ることができる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、固定要素は基体に対して旋回軸の周りで旋回可能な取り付けブラケットを備え、前記取り付けブラケットは特に、基体と支持ロッドが互いに対して事前に配置される解放状態と、基体と支持ロッドが取り付けブラケットによって互いに固定されるロック状態とに旋回可能である、と定められている。有利には、取り付けブラケットは、固定装置の組み立て中に旋回軸の周りで旋回されなければならない。一方で、組み立てステップはこのようにして大幅に簡素化され且つ速められ、他方で、固定アセンブリが安全関連の方法で正しく配置されていないときは、この場合は取り付けブラケットがまだ解放状態にあるので、直ちに明らかになる。取り付けブラケットの旋回軸は、好ましくは、支持ロッドの水平部に対して平行に配置される。取り付けブラケットは、好ましくは、基体にフィルムヒンジを介して旋回可能に取り付けられ、基体とフィルムヒンジと取り付けブラケットは、同じプラスチック材料から一部品で一体的に製造される。有利には、固定装置は、このようにして比較的安価にプラスチックで製造することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、取り付けブラケットは少なくとも1つのロック要素を備え、基体は少なくとも1つの相手方ロック要素を備え、ロック要素と相手方ロック要素はロック状態において互いにロックされることが定められている。有利には、取り付けブラケットの偶発的な開放、特にロック状態から解除状態への望ましくない戻りが防止されるように、取り付けブラケットは、ロック状態においてロック要素を相手方ロック要素にロックすることによって固定される。ロック状態にある取り付けブラケットは、一例として事故の際に予測される主応力方向に配向された、保持ブラケットの一方の側には配置しないことが考えられる。取り付けブラケットは、従って、一例として移動方向(x方向)に沿って、取り付けブラケットの前または後ろにではなく、むしろ鉛直方向(z方向)において保持ブラケットの上または下に配置される。ロック要素は、好ましくは、取り付けブラケットと一体的に一部品に形成され、相手方ロック要素は、基体と一体的に一部品に形成される。ロック要素と相手方ロック要素は、好ましくは、相互にかみ合う且つ/または圧力嵌め係合するロック突起を備える。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、基体は支持ロッドを受け入れるための少なくとも1つの貫通開口部を有し、支持ロッドは、特に解放状態にある支持ロッドは貫通開口部に挿入されることができ、ロック状態では取り付けブラケットを用いて貫通開口部に取り付けることができることが定められている。有利には、基体は、貫通開口部を介して作用する力の軸方向に対して垂直に貫通開口部の壁によってかみ合うように取り付けられる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、基体は、支持ロッドの少なくとも一部のかみ合い式の受け入れのために設けられた少なくとも1つのくぼみを有し、特に、支持ロッドは、解放状態においてくぼみ内に配置し、ロック状態において取り付けブラケットを用いて凹部に取り付けることができることが定められている。有利には、基体に作用する加速力が支持ロッドに直接伝達されるように、支持ロッドは、少なくとも部分的に、かみ合う形でくぼみに取り付けられる。くぼみの形状は、好ましくは、この目的のために支持ロッドの外形に適合する。好ましくは、基体は、2つの異なるデザインで且つモジュール式の交換可能な支持ロッドのそれぞれの部分をかみ合い式に受け入れるために設けられた、少なくとも2つの異なるデザインのくぼみを有する。有利には、同一の基体を、異なる形状の支持ロッドに、従って、一例として、異なるタイプの車両シートに使用することができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、ロック状態において取り付けブラケットの水平部は、支持ロッドと基体との間にかみ合う形でおよび/または圧力嵌めの形でロックされることが定められている。有利には、保持ブラケットは、水平部がくぼみ内に配置されるまで上から(Z方向に)貫通開口部内に挿入するだけでよいので、このようにして固定装置の簡略化された取り付けが可能となる。その後、取り付けブラケットは、解放状態から水平部を越えてロック状態へと旋回され、そこで適切な位置にロックされる。
【0014】
本発明のさらなる目的は、本発明による組み立て装置を備えるヘッドレストであって、頭部接触部と、保持ブラケットとして設計された支持ロッドとを有し、頭部接触部が基体に堅固にまたは移動可能に取り付けられ、基体が固定要素を用いて保持ブラケットに固定的に取り付けられるヘッドレストである。
【0015】
また、本発明の更なる目的は、ヘッドレスト用の固定装置を組み立てる方法であって、第1組み立てステップにおいて、基体と支持ロッドが互いに対して事前に配置され、第2組み立てステップにおいて、基体と支持ロッドが互いに対して取り付けられ、第2組み立てステップにおいて、取り付けブラケットが解放状態からロック状態に旋回軸の周りで旋回させられることを特徴とする方法である。有利には、簡略化された組み立て手順によって、製造時間が短縮され、従って、固定装置の製造コストが低減される。好ましくは、第1組み立てステップにおいて、支持ロッドが基体の貫通開口部に押し込まれ且つ/または支持ロッドの少なくとも一部が基体のくぼみに配置され、取り付けブラケットは第1組み立てステップにおいて解放状態のままである。
【0016】
本発明の更なる詳細、特徴及び利点は、図面から、ならびに図面によってサポートされる以下の好ましい実施形態の説明から明らかになる。図面は単に、は本質的な発明の概念を限定するものではない、本発明の例示的な実施形態を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に従う固定装置の基体の概略図を示す。
図2】本発明の一実施形態に従う固定装置の支持ロッドに固定された基体の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な図面において、同一部分には常に同一符号が付けられているので、通常は一度だけ名前を挙げまたは言及する。
【0019】
図1には、固定装置1の基体2の概略図が本発明の一実施形態に従って示されている。基体2は、保持ブラケットによって形成された支持ロッド4が挿入可能である貫通開口部3を有する(図2参照)。基体2はさらに、その形状が支持ロッド4の一部分の外形に対応するくぼみ5を備える。
【0020】
取り付け装置1はさらに、取り付けブラケット7の形態で設計された固定要素6を有する。取り付けブラケット7は、フィルムヒンジ8を用いて旋回軸9の周りで旋回可能に基体2に接続されている。
【0021】
取り付けブラケット7には複数のロック要素13が、それらを基体2に設けられた相手方ロック要素14とかみ合わせる目的で設けられている。本実施例では、ロック要素13は、相手方ロック突起要素14とかみ合うロッキングフックとして形成されている。
【0022】
基体2とフィルムヒンジ8と取り付けブラケット7は、一部品のプラスチック部品として、一例として、射出成形金型部品または熱成形金型部品として設計される。
【0023】
フィルムヒンジ8によって、取り付けブラケット7は、解除位置10(図1参照)とロック位置11(図2参照)との間で旋回軸9の周りを旋回させることができる。解放位置10において、取り付けブラケット7は基体2から分離され、くぼみ5は自由にアクセス可能である。ロック位置11において、取り付けブラケット7の領域内でくぼみ5に位置する支持ロッド4の水平部分12がくぼみ6の壁と取り付けブラケット7との間にかみ合う形で保持され、詳細には圧力嵌めの形でクランプされるように、取り付けブラケット7はくぼみ5に向かって基体2の方向に旋回される(図2参照)。本実施例では、固定アセンブリ1は複数の貫通開口部3を備え、本実施例では、基体2を異なるタイプのモジュラー支持ロッド4と共に使用することができるように、くぼみ5は2つの異なる形状を有する。
【0024】
本体2の支持ロッド4への取り付けのために、支持ロッド4は、水平部12がかみ合う形でくぼみ5に受け入れられるまで、貫通開口部3に通される。その後、取り付けブラケット7が解除位置10からロック位置へと旋回される。
【0025】
図2には、支持ロッド4が基体2に固定された状態で基体2の概略図が示されている。水平部12が取り付けブラケット7とくぼみ5の壁との間に固定されるように、取り付けブラケット7はロック位置11に移動される。ロック要素13の相手方ロック要素14とのかみ合いは、取り付けブラケット7がロック位置11に固定され、且つ取り付けブラケット7の偶発的な開放が防止されることを確実にする。相手方ロック要素14はまた、支持ロッド4とかみ合うためのさらなるアンダーカットを有することが考えられる。
【0026】
保持ブラケットの自由端は、詳細には、車両シートの背もたれの対応するガイド内に挿入することができる。保持ブラケットは、特に、複数の湾曲した金属チューブである。パッド入りの頭部接触部がさらに、固定する形でまたは調節可能に基体2に取り付けられる。
【符号の説明】
【0027】
1 固定装置
2 基体
3 貫通開口部
4 支持ロッド
5 くぼみ
6 固定要素
7 取り付けブラケット
8 フィルムヒンジ
9 旋回軸
10 解放位置
11 ロック位置
12 水平部
13 ロック要素
14 相手方ロック要素
図1
図2