【実施例】
【0024】
(使用したキャスト塗工液)
実施例及び比較例にて使用したキャスト塗工液(固形分含量43重量%)の組成は以下の通り。このキャスト塗工液には、顔料(カオリン、2種の炭酸カルシウム及び酸化チタン)を合計で100重量部含有し、この顔料100重量部あたり、下記分散剤から消泡剤までの各成分を配合している。
(重量部)
カオリン(アストラコート、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン) 55部
炭酸カルシウム(カービタル90、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン) 20部
炭酸カルシウム(ブリリアントS-15、白石工業(株)) 20部
酸化チタン(TA-100、富士チタン(株)) 5部
分散剤(アロンT-50、東亜合成(株)) 0.1部
カゼイン(ニュージーランド、Fonterra社) 8部
ラテックス(L-1387,旭化成(株)) 15部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 2部
潤滑剤(SN-287、サンノプコ(株)) 1部
消泡剤(SNデフォーマー、サンノプコ(株)) 微量
【0025】
(実施例1)
サイズプレスにて酸化澱粉を表面処理した上質原紙(坪量231g/m
2)の片面に、上記組成のキャスト塗工用塗工液を固形分で25g/m
2となるようにロールコーターで塗布乾燥し、その塗工層表面に対して下記の組成の再湿潤液を見かけ塗布量20g/m
2となるよう再湿処理を行い、直ちにキャストドラムに圧着して電子写真用キャストを得た。本用紙を液体トナー印刷機であるHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、テープへのトナーの付着が無く、トナーの密着は良好だった。
再湿潤液の組成 (重量部)
ヘキサメタリン酸Na 1部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部
水系ポリオレフィン樹脂(ケミパールS80N、エチレン・アクリル酸共重合体、
三井化学(株)) 1部
水 残部
合計 100部
【0026】
(実施例2)
実施例1における再湿潤液を下記組成に変更した以外は実施例1と同様に電子写真用キャスト塗工紙を得た。実施例1と同様にHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、テープへのトナーの付着が無く、トナーの密着は良好だった。
再湿潤液の組成 (重量部)
ヘキサメタリン酸Na 1部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部水系ポリオレフィン樹脂(ザイクセンAC、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、
住友精化(株)) 2部
水 残部
合計 100部
【0027】
(実施例3)
実施例1における再湿潤液を下記組成に変更した以外は実施例1と同様に電子写真用キャスト塗工紙を得た。実施例1と同様にHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、テープへのトナーの付着が無く、トナーの密着は良好だった。
再湿潤液の組成 (重量部)
ヘキサメタリン酸Na 1部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部
水系ポリオレフィン樹脂(ザイクセンL、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、
住友精化(株)) 0.5部
水 残部
合計 100部
【0028】
(実施例4)
サイズプレスにて酸化澱粉を表面処理した上質原紙(坪量231g/m
2)の片面に、上記組成のキャスト塗工用塗工液を固形分で25g/m
2となるようにロールコーターで塗布し、その塗工層表面に対して下記の組成の凝固液を見かけ塗布量20g/m
2となるよう凝固処理を行い、直ちにキャストドラムに圧着して電子写真用キャストを得た。本用紙を液体トナー印刷機であるHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、テープへのトナーの付着が無く、トナーの密着は良好だった。
凝固液の組成 (重量部)
ギ酸Ca((株)朝日化学工業) 5部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部
水系ポリオレフィン樹脂(アクアテックスMC3800、
エチレン・酢酸ビニル共重合体、ジャパンコーティングレジン(株)) 1部
水 残部
合計 100部
【0029】
(実施例5)
実施例4において、凝固液を下記組成に変更した以外は実施例4と同様に電子写真用キャスト塗工紙を得た。本用紙を液体トナー印刷機であるHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、テープへのトナーの付着が無く、トナーの密着は良好だった。
凝固液の組成 (重量部)
ギ酸Ca((株)朝日化学工業) 5部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部
水系ポリオレフィン樹脂(モビニール081F、エチレン・酢酸ビニル共重合体、
日本合成化学(株)) 2部
水 残部
合計 100部
【0030】
(比較例1)
実施例1において、再湿潤液を下記組成に変更した以外は実施例1と同様に電子写真用キャスト塗工紙を得た。実施例1と同様に液体トナー印刷機であるHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、液体トナーがテープに多く付着し、トナーの密着は不良であった。
再湿潤液の組成 (重量部)
ヘキサメタリン酸Na 1部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部
水 残部
合計 100部
【0031】
(比較例2)
実施例4において、凝固液を下記組成に変更した以外は実施例4と同様に電子写真用キャスト塗工紙を得た。実施例1と同様に液体トナー印刷機であるHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、液体トナーがテープに多く付着し、トナーの密着は不良であった。
凝固液の組成 (重量部)
ギ酸Ca((株)朝日化学工業) 5部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部
水 残部
合計 100部
【0032】
(比較例3)
実施例で使用したキャスト塗工液中に、さらに水系ポリオレフィン樹脂として、(ザイクセンAC、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、住友精化(株))固形分で重量部10部を直接配合し、下記のキャスト塗工液(固形分含量43重量%)を作成した。
(使用したキャスト塗工液)
(重量部)
カオリン(アストラコート、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン) 55部
炭酸カルシウム(カービタル90、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン) 20部
炭酸カルシウム(ブリリアントS-15、白石工業(株)) 20部
酸化チタン(TA-100、富士チタン(株)) 5部
分散剤(アロンT-50、東亜合成(株)) 0.1部
カゼイン(ニュージーランド、Fonterra社) 8部
ラテックス(L-1387,旭化成(株)) 15部
水系ポリオレフィン樹脂(ザイクセンAC、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、
住友精化(株)) 固形分で10部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 2部
潤滑剤(SN-287、サンノプコ(株)) 1部
消泡剤(SNデフォーマー、サンノプコ(株)) 微量
【0033】
サイズプレスにて酸化澱粉を表面処理した上質原紙(坪量231g/m
2)の片面に、上記のキャスト塗工液を固形分で25g/m
2となるようにロールコーターで塗布乾燥し、その塗工層表面に対して下記の組成の再湿潤液を見かけ塗布量20g/m
2となるよう再湿処理を行い、直ちにキャストドラムに圧着して電子写真用キャストを得た。本用紙を液体トナー印刷機であるHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、テープへのトナーの付着が部分的に有り、トナーの密着は不良で、かつキャスト表面光沢が劣り、面感は良くなかった。
再湿潤液の組成 (重量部)
ヘキサメタリン酸Na 1部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部
水 残部
合計 100部
【0034】
(比較例4)
実施例で使用したキャスト塗工液中に、さらに水系ポリオレフィン樹脂として、(MYE-30ER、エチレン系アイオノマー、丸芳化学(株))固形分で重量部10部を直接配合し、下記のキャスト塗工液(固形分含量43重量%)を作成した。
(使用したキャスト塗工液)
(重量部)
カオリン(アストラコート、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン) 55部
炭酸カルシウム(カービタル90、(株)イメリスミネラルズ・ジャパン) 20部
炭酸カルシウム(ブリリアントS-15、白石工業(株)) 20部
酸化チタン(TA-100、富士チタン(株)) 5部
分散剤(アロンT-50、東亜合成(株)) 0.1部
カゼイン(ニュージーランド、Fonterra社) 8部
ラテックス(L-1387,旭化成(株)) 15部
水系ポリオレフィン樹脂(MYE-30ER、エチレン系アイオノマー、丸芳化学(株))
固形分で10部離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 2部
潤滑剤(SN-287、サンノプコ(株)) 1部
消泡剤(SNデフォーマー、サンノプコ(株)) 微量
【0035】
サイズプレスにて酸化澱粉を表面処理した上質原紙(坪量231g/m
2)の片面に、上記のキャスト塗工液を固形分で25g/m
2となるようにロールコーターで塗布し、その塗工層表面に対して下記の組成の凝固液を見かけ塗布量20g/m
2となるよう凝固処理を行い、直ちにキャストドラムに圧着して電子写真用キャストを得た。本用紙を液体トナー印刷機であるHPインディゴ10000にてCMYKの4色ベタを印刷し、各ベタ印刷部に直ちにセロハンテープ(ニチバン製)を貼り付け、180度剥離で5mm/秒の速さで剥離したところ、テープへのトナーの付着が部分的に有り、トナーの密着は十分ではなく、かつキャスト表面にピンホールが多く見られ、面感は良くなかった。
凝固液の組成 (重量部)
ギ酸Ca((株)朝日化学工業) 5部
離型剤(PEM17、ポリエチレンワックス、サンノプコ(株)) 0.5部
水 残部
合計 100部
【0036】
以上の実施例の結果からみて明らかなように、本発明の方法、つまりキャスト塗工紙の製造工程に連続する凝固法又は再湿法の工程によって、同時にキャスト塗工紙の表面処理を行い、水系ポリオレフィン樹脂をその表面層に含有させることによって得た湿式電子写真用キャスト塗工紙は、液体トナーを用いてトナーを付着させた後に、該トナーがキャスト塗工紙に対して十分な密着性を備えていた。
比較例1及び2のように、水系ポリオレフィン樹脂を使用しない凝固法及び再湿法によれば、液体トナーによる像が十分に密着性を供えてキャスト塗工紙上に形成されず、比較例3及び4のように、キャスト塗工液中に水系ポリオレフィン樹脂を含有させると、テープへのトナーの付着が部分的に有り、トナーの密着は不良で、かつキャスト表面光沢が劣り、面感は良くない結果となった。
特に比較例3及び4の結果を考慮すると、湿式電子写真用キャスト塗工紙としては、単にキャスト層中に水系ポリオレフィン樹脂を含有すれば良いというものではなく、凝固液又は再湿潤液中に水系ポリオレフィン樹脂を含有させること、及びキャスト層を凝固や再湿潤することによって、所定の効果を発揮できるものである。