【実施例】
【0088】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0089】
なお、実施例及び比較例中の物性値は、以下の方法により測定した。
【0090】
カーボンナノチューブ集合体の高さは、カーボンナノチューブ集合体の断面を300倍で撮影したSEM写真において、基板表面から集合体表面までの高さを測定した(
図8参照)。
【0091】
カーボンナノチューブ集合体の嵩密度は、合成の前後で基板重量を電子天秤にて測定し、その重量差からカーボンナノチューブ集合体の重量を算出し、この重量と、上記方法で測定した集合体高さから嵩密度を算出した。
【0092】
撚糸の直径は、日本電子社製の走査電子顕微鏡「JSM−7401F」を用いて、SEM写真を撮影して糸径を測定した。
【0093】
撚り角度は、日本電子社製の走査電子顕微鏡「JSM−7401F」を用いて、SEM写真を撮影し、例えば、
図9に示すように、巻き付いたカーボンナノチューブの配向方向と撚糸の中心軸がなす角度を撚り角度として測定した。
【0094】
引張り強度は、日本計測システム(株)製の自動荷重試験機「MAX−1KN−S」を用いて、糸長10mm、引張り速度1mm/分で引張り試験を行い、カーボンナノチューブ撚糸が破断したときの荷重及び糸の断面積を測定し、下式:
引張り強度(Pa)=破断荷重(N)÷糸断面積(m
2)
に従って、カーボンナノチューブ撚糸が破断したときの荷重を糸の断面積で除して求めた。測定は、複数回(2〜8回)行い、その平均値を引張り強度とした。
【0095】
伸び率は、引張り強度と同様の条件で引張試験を行い、カーボンナノチューブ撚糸が破断したときに伸びた長さを測定し、下式:
伸び率(%)=100×伸びた長さ(mm)÷初期糸長(10mm)
に従って、カーボンナノチューブ撚糸が破断したときに伸びた長さを初期糸長(10mm)で除して求めた。測定は、複数回(2〜8回)行い、その平均値を伸び率とした。
【0096】
実施例1
(1)カーボンナノチューブ撚糸の製造
まず、熱CVD法を用いて、以下のようにカーボンナノチューブ集合体を合成した。
【0097】
カーボンナノチューブ合成装置のガス配管及び反応容器内を不活性ガス(ヘリウム)で充填し、その後真空にするパージ作業を繰り返し行うことにより、反応容器内のガス置換を行った。次いで、カーボンナノチューブ合成用鉄触媒を厚み20nm以下に塗布した酸化膜付シリコンウエハ基板を反応装置内に設置し、再度反応容器内をパージした。次いで、不活性ガス(ヘリウム)を一定流量で流しながら、触媒層を750℃まで加熱し、この温度で一定時間保持した。その後、アセチレンガスとヘリウムガスの混合ガス(アセチレンガス3〜7vol%)を反応容器フランジ部に設置したガス導入孔より導入して、触媒と2〜5分間反応させることにより、基板上にカーボンナノチューブ集合体を形成した。その後、カーボンナノチューブ集合体が形成された基板を反応管より取り出し、室温に冷却した。基板上に成長させたカーボンナノチューブ集合体の高さは175μm、嵩密度は45mg/cm
3であり、高密度かつ高配向で形成されていた。
【0098】
マイクロナイフ(フェザー安全剃刀製マイクロサージカルブレードK−715、先端角15°)を用いて、上記のようにして得られたカーボンナノチューブ集合体の一部に幅6mmの直線状の部分を形成、画定することで、一定幅で直線状のカーボンナノチューブ集合体(カーボンナノチューブ基板Z)を作製し、これらを
図1に示す基板固定手段2に保持させた。
【0099】
図1の基板固定手段2に保持されたカーボンナノチューブ基板Zについて、カーボンナノチューブ基板Zを構成するカーボンナノチューブ集合体の側面から、
図2に示すように引き出し具5(マイクロツールINC製マイクロドリル1−254 先端直径30μm)の極細軸状部51を深さ0.1mm突き刺し、次に1,000rpmで1秒間回転させてカーボンナノチューブを絡め付け、さらに引き出し具5を回転させることなくカーボンナノチューブ基板Zから離反させることで、カーボンナノチューブ基板Zからカーボンナノチューブを連鎖的に連続して引き出し、カーボンナノチューブ糸Yを形成した。
【0100】
引き出し具5を後退させることで、カーボンナノチューブ糸Yを巻き取り手段4の巻き取りボビン41上まで移動させ、カーボンナノチューブ糸Yを巻き取りボビン41に固定した。
【0101】
次に、撚り掛け手段3の撚り掛け装置を1,000rpmで回転させながら、巻き取り手段4の巻き取りボビン41をトラバースさせながら回転させることで、カーボンナノチューブ糸Yが撚り掛けられて得られるカーボンナノチューブ撚糸Xを10cm/分の巻き取り速度で巻き取った。このときのカーボンナノチューブ撚糸Xの撚り数は、10,000T/mである。
【0102】
この方法により、直径が18μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸Xを作製した。以上の工程を経て作製したカーボンナノチューブ撚糸Xについて引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.19GPa、伸び率は10%であった。
【0103】
(2)高圧液体処理
次に、巻き取りボビン41からカーボンナノチューブ撚糸Xを解舒し、長さ100mmのシリコーンチューブ(内径6mm、外径8mm)にカーボンナノチューブ撚糸Xを通し、シリコンチューブの一端にPTFE製の栓(外径8mm、長さ30mm)を差し込んで栓をしたのち、水を注いてカーボンナノチューブ撚糸Xを水に浸し、シリコンチューブのもう一端にも栓をし、高圧液体処理具6を用意した。これを、水圧を用いる等方加圧装置(株式会社山本水圧工業所製超高圧試験カプセル R7K−3.5−15−15)に設置し、5,000kgf/cm
2の圧力で、1時間処理を行った。処理後、シリコンチューブからカーボンナノチューブ撚糸X1を取り出し、減圧乾燥庫(アズワン株式会社製成型真空デシケーター MVD−100)に設置し、真空ポンプ(株式会社ケー・エヌ・エフ・ジャパン製 N810.3FT.18)により、10
4Paで3日間減圧乾燥した。
【0104】
この方法により、直径が15μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.30GPa、伸び率は10%であった。
【0105】
実施例2
実施例1(1)と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、チューブに注入する液体をアセトンとしたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0106】
この方法により、直径が13.7μm、撚り角度が30°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.30GPa、伸び率は8%であった。
【0107】
実施例3
実施例1(1)と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、チューブに注入する液体をジクロロメタンとしたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0108】
この方法により、直径が15μm、撚り角度が15°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.27GPa、伸び率は9%であった。
【0109】
実施例4
実施例1(1)と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、チューブに注入する液体をジエチルエーテルとしたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0110】
この方法により、直径が15μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.23GPa、伸び率は8.5%であった。
【0111】
実施例5
実施例1(1)と同じ方法で、直径が24μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸Xを作製した。作製したカーボンナノチューブ撚糸Xについて引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.18GPa、伸び率は11%であった。
【0112】
カーボンナノチューブ撚糸Xに作用させる圧力を500kgf/cm
2としたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0113】
この方法により、直径が22μm、撚り角度が24°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.22GPa、伸び率は10%であった。
【0114】
実施例6
実施例5と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、カーボンナノチューブ撚糸Xに作用させる圧力を1,000kgf/cm
2としたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0115】
この方法により、直径が21μm、撚り角度が22°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.24GPa、伸び率は9%であった。
【0116】
実施例7
実施例5と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、カーボンナノチューブ撚糸Xに作用させる圧力を2,000kgf/cm
2としたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0117】
この方法により、直径が20μm、撚り角度が22°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.26GPa、伸び率は10%であった。
【0118】
実施例8
実施例5と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、カーボンナノチューブ撚糸Xに作用させる圧力を4,000kgf/cm
2としたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0119】
この方法により、直径が18μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.32GPa、伸び率は10%であった。
【0120】
実施例9
実施例5と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、カーボンナノチューブ撚糸Xに作用させる圧力を6,000kgf/cm
2としたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0121】
この方法により、直径が20μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.32GPa、伸び率は10%であった。
【0122】
実施例10
実施例1(1)と同じ方法で、直径が26μm、撚り角度が50°のカーボンナノチューブ撚糸Xを作製した。作製したカーボンナノチューブ撚糸Xについて引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.22GPa、伸び率は16%であった。
【0123】
このカーボンナノチューブ撚糸Xについて、処理時間を1分間としたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0124】
この方法により、直径が23μm、撚り角度が30°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.28GPa、伸び率は13%であった。
【0125】
実施例11
実施例10と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、処理時間を10分間としたこと以外は、実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0126】
この方法により、直径が23μm、撚り角度が30°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.28GPa、伸び率は12%であった。
【0127】
実施例12
実施例10と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、減圧乾燥時間を1日間としたこと以外は、実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0128】
この方法により、直径が23μm、撚り角度が30°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.28GPa、伸び率は15%であった。
【0129】
実施例13
実施例1(1)と同じ方法で、直径が23μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸Xを作製した。作製したカーボンナノチューブ撚糸Xについて引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.19GPa、伸び率は15%であった。
【0130】
このカーボンナノチューブ撚糸Xについて、実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0131】
この方法により、直径が18μm、撚り角度が15°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.27GPa、伸び率は12%であった。
【0132】
実施例14
実施例13で得られたカーボンナノチューブ撚糸X1について、その一端をカーボンナノチューブ撚糸固定手段7の固定台71に両面テープで固定し、もう一端を撚り掛け手段8の撚り掛け装置81に装着しているスピンドルに両面テープで固定し、スピンドルをモーター(株式会社ナカニシ製エレクターEmax EL351−IH)で回転させることで、カーボンナノチューブ撚糸X1に撚りを追加し、カーボンナノチューブ撚糸X2を作製した。追加した撚り数は、5,000T/mとした。
【0133】
この方法により、直径が16μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X2が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X2について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.53GPa、伸び率は17%であった。
【0134】
実施例15
撚りを追加するのを減圧乾燥前に行ったこと以外は、実施例14と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸X2を作製した。
【0135】
この方法により、直径が15μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X2が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X2について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.51GPa、伸び率は16%であった。
【0136】
実施例16
(1)カーボンナノチューブ撚糸の製造
図6の液体通過手段9(水を満たした直径3cmのガラスシャーレ)を設置し、巻き取りボビン41に巻回される前にカーボンナノチューブ撚糸Xが水中を通過すること以外は実施例1(1)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸X3を作製した。
【0137】
(2)高圧液体処理
次に、カーボンナノチューブ撚糸X3について、実施例1(2)と同じ方法で高圧液体処理を行った後、減圧乾燥を行い、カーボンナノチューブ撚糸X4を作製した。
【0138】
この方法により、直径が17μm、撚り角度が13°のカーボンナノチューブ撚糸X4が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X4について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.65GPa、伸び率は17%であった。
【0139】
実施例17
(1)カーボンナノチューブ撚糸の製造
カーボンナノチューブ集合体の一部に形成、画定させた直線状の部分の幅が0.8mmであること、および撚り掛け装置31を4,000rpmで回転させたこと以外は実施例16(1)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸X3を作製した。
【0140】
(2)高圧液体処理
次に、カーボンナノチューブ撚糸X3について、実施例1(2)と同じ方法で高圧液体処理を行った後、減圧乾燥を行い、カーボンナノチューブ撚糸X4を作製した。
【0141】
この方法により、直径が5.5μm、撚り角度が15°のカーボンナノチューブ撚糸X4が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X4について引張り試験を実施したところ、引張り強度は1.23GPa、伸び率は8%であった。
【0142】
実施例18
(1)カーボンナノチューブ撚糸の製造
高さが185μm、嵩密度が72mg/cm
3のカーボンナノチューブ集合体を用いて、巻き取りボビン41に巻回される前にカーボンナノチューブ撚糸Xを通過させる液体を架橋剤(日本化薬株式会社製KAYARAD(登録商標) DPCA―30)の5wt%エタノール溶液としたこと以外は、実施例16(1)と同じ方法で、直径が16μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X3を作製した。作製したカーボンナノチューブ撚糸X3について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.60GPa、伸び率は17%であった。
【0143】
(2)高圧液体処理
次に、カーボンナノチューブ撚糸X3について、実施例1(2)と同じ方法で高圧液体処理を行った後、減圧乾燥を行い、カーボンナノチューブ撚糸X4を作製した。
【0144】
この方法により、直径が14μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X4が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X4について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.80GPa、伸び率は15%であった。
【0145】
(3)電子線照射
次に、カーボンナノチューブ撚糸X4について、糸長が1cmになるように長方形のホルダーに固定して、エリアビーム型電子線照射装置(株式会社NHVコーポレーション製EBC300−60)を用い、2×10
−5Paで発生させた電子線を、窒素雰囲気下、30℃で、200kGy照射し、カーボンナノチューブ撚糸X5を作製した。
【0146】
この方法により、直径が14μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X5が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X5について引張り試験を実施したところ、引張り強度は1.08GPa、伸び率は13%であった。
【0147】
実施例19
(1)カーボンナノチューブ撚糸の製造
高さが185μm、嵩密度が72mg/cm
3のカーボンナノチューブ集合体を用いて、実施例1(1)と同じ方法で、直径が20μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸Xを作製した。作製したカーボンナノチューブ撚糸Xについて引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.27GPa、伸び率は15%であった。
【0148】
(2)高圧液体処理
次に、カーボンナノチューブ撚糸Xについて、高圧液体処理時の液体を架橋剤(日本化薬株式会社製KAYARAD(登録商標) DPCA―30)の5wt%エタノール溶液としたこと以外は、実施例1(2)と同じ方法で高圧液体処理を行った後、減圧乾燥を行い、カーボンナノチューブ撚糸X1を作製した。
【0149】
この方法により、直径が17μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X1が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.37GPa、伸び率は14%であった。
【0150】
(3)撚りの追加
カーボンナノチューブ撚糸X1について、実施例14と同じ方法で撚りを追加した。
【0151】
この方法により、直径が15μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X2が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X2について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.54GPa、伸び率は16%であった。
【0152】
(4)電子線照射
次に、カーボンナノチューブ撚糸X2について、実施例18(3)と同じ方法で電子線を照射し、カーボンナノチューブ撚糸X5を作製した。
【0153】
この方法により、直径が15μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X5が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X5について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.90GPa、伸び率は12%であった。
【0154】
実施例20
(1)カーボンナノチューブ撚糸の製造
実施例16(1)と同じ方法で、直径が16μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X3を作製した。作製したカーボンナノチューブ撚糸X3について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.60GPa、伸び率は17%であった。
【0155】
(2)高圧液体処理
次に、カーボンナノチューブ撚糸X3について、実施例19(2)と同じ方法で高圧液体処理を行った後、減圧乾燥を行い、カーボンナノチューブ撚糸X4を作製した。
【0156】
この方法により、直径が14μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X4が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X4について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.85GPa、伸び率は15%であった。
【0157】
(3)電子線照射
次に、カーボンナノチューブ撚糸X4について、実施例18(3)と同じ方法で電子線を照射し、カーボンナノチューブ撚糸X5を作製した。
【0158】
この方法により、直径が14μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X5が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X5について引張り試験を実施したところ、引張り強度は1.23GPa、伸び率は10%であった。
【0159】
実施例21
実施例18(1)と同じ方法で作製したカーボンナノチューブ撚糸X3について、実施例19(2)と同じ方法で高圧液体処理を行った後、減圧乾燥を行い、カーボンナノチューブ撚糸X4を作製した。
【0160】
この方法により、直径が14μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X4が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X4について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.82GPa、伸び率は15%であった。
【0161】
次に、カーボンナノチューブ撚糸X4について、実施例18(3)と同じ方法で電子線を照射し、カーボンナノチューブ撚糸X5を作製した。
【0162】
この方法により、直径が14μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X5が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X5について引張り試験を実施したところ、引張り強度は1.17GPa、伸び率は10%であった。
【0163】
実施例22
(1)カーボンナノチューブ撚糸の製造
カーボンナノチューブ集合体の一部に形成、画定させた直線状の部分の幅が0.8mmであること、および撚り掛け装置31を4,000rpmで回転させたこと以外は実施例20(1)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸X3を作製した。
【0164】
この方法により、直径が6μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X3が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X3について引張り試験を実施したところ、引張り強度は1.10GPa、伸び率は10%であった。
【0165】
(2)高圧液体処理
次に、カーボンナノチューブ撚糸X3について、実施例19(2)と同じ方法で高圧液体処理を行った後、減圧乾燥を行い、カーボンナノチューブ撚糸X4を作製した。
【0166】
この方法により、直径が5μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X4が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X4について引張り試験を実施したところ、引張り強度は1.58GPa、伸び率は8%であった。
【0167】
(3)電子線照射
次に、カーボンナノチューブ撚糸X4について、実施例18(4)と同じ方法で電子線を照射し、カーボンナノチューブ撚糸X5を作製した。
【0168】
この方法により、直径が5μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X5が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X5について引張り試験を実施したところ、引張り強度は2.02GPa、伸び率は6%であった。
【0169】
実施例23
(1)カーボンナノチューブ撚糸の製造
カーボンナノチューブ集合体の一部に形成、画定させた直線状の部分の幅が0.8mmであること、および撚り掛け装置31を4,000rpmで回転させたこと以外は実施例18(1)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸X3を作製した。
【0170】
この方法により、直径が6μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸X3が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X3について引張り試験を実施したところ、引張り強度は1.10GPa、伸び率は10%であった。
【0171】
(2)高圧液体処理
次に、カーボンナノチューブ撚糸X3について、実施例19(2)と同じ方法で高圧液体処理を行った後、減圧乾燥を行い、カーボンナノチューブ撚糸X4を作製した。
【0172】
この方法により、直径が5μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X4が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X4について引張り試験を実施したところ、引張り強度は1.60GPa、伸び率は8%であった。
【0173】
(3)電子線照射
次に、カーボンナノチューブ撚糸X4について、実施例18(4)と同じ方法で電子線を照射し、カーボンナノチューブ撚糸X5を作製した。
【0174】
この方法により、直径が5μm、撚り角度が20°のカーボンナノチューブ撚糸X5が得られた。このカーボンナノチューブ撚糸X5について引張り試験を実施したところ、引張り強度は2.04GPa、伸び率は6%であった。
【0175】
比較例1
実施例1(1)と同じ方法により、カーボンナノチューブ撚糸Xを作製したが、実施例1(2)の高圧液体処理を行わなかった。
【0176】
この方法により作製したカーボンナノチューブ撚糸Xは、直径が18μm、撚り角度が25°であった。また、このカーボンナノチューブ撚糸Xについて引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.19GPa、伸び率は10%であった。
【0177】
比較例2
実施例1(1)と同じ方法で、直径が25μm、撚り角度が25°のカーボンナノチューブ撚糸Xを作製した。作製したカーボンナノチューブ撚糸Xについて引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.18GPa、伸び率は10%であった。
【0178】
カーボンナノチューブ撚糸Xに作用させる圧力を大気圧(約1kgf/cm
2)としたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0179】
この方法により作製したカーボンナノチューブ撚糸X1は、直径が24μm、撚り角度が20°であった。また、このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.15GPa、伸び率は9%であった。
【0180】
比較例3
実施例5と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを形成した後、カーボンナノチューブ撚糸Xに作用させる圧力を250kgf/cm
2としたこと以外は実施例1(2)と同じ方法で、カーボンナノチューブ撚糸Xに高圧液体処理を行った。
【0181】
この方法により作製したカーボンナノチューブ撚糸X1は、直径が24μm、撚り角度が25°であった。このカーボンナノチューブ撚糸X1について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.18GPa、伸び率は10%であった。
【0182】
比較例4
水中を通過させないこと以外は実施例16(1)と同じ方法でカーボンナノチューブ撚糸Xを作製し、さらに、実施例16(2)の高圧液体処理を行わなかった。
【0183】
この方法により作製したカーボンナノチューブ撚糸Xは、直径が30μm、撚り角度が20°であった。また、このカーボンナノチューブ撚糸Xについて引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.12GPa、伸び率は13%であった。
【0184】
比較例5
実施例17(1)と同じ方法により、カーボンナノチューブ撚糸X3を作製したが、実施例17(2)の高圧液体処理を行わなかった。
【0185】
この方法により作製したカーボンナノチューブ撚糸X3は、直径が6μm、撚り角度が15°であった。また、このカーボンナノチューブ撚糸X3について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.76GPa、伸び率は10%であった。
【0186】
比較例6
実施例19(1)と同じ方法により、カーボンナノチューブ撚糸Xを作製したが、実施例19(2)の高圧液体処理、実施例19(3)の撚りの追加、実施例19(4)の電子線照射を行わなかった。
【0187】
この方法により作製したカーボンナノチューブ撚糸Xは、直径が20μm、撚り角度が25°であった。また、このカーボンナノチューブ撚糸5について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.27GPa、伸び率は15%であった。
【0188】
比較例7
比較例6で作製したカーボンナノチューブ撚糸Xについて、実施例19(2)の高圧液体処理および実施例19(3)の撚りの追加は行わずに、実施例19(4)と同じ方法で電子線を照射した。
【0189】
この方法により作製したカーボンナノチューブ撚糸X5は、直径が20μm、撚り角度が25°であった。また、このカーボンナノチューブ撚糸X5について引張り試験を実施したところ、引張り強度は0.28GPa、伸び率は15%であった。