(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願第1発明の第1の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1(a)は、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置を示す側面図、
図1(b)は、同じくこの起立補助装置を示す斜視図、
図2は、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置の組立図、
図3(a)は、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置の側面視におけるサイズを示す図、
図3(b)は、同じくこの起立補助装置の各部品の側面視におけるサイズを示す図、
図3(c)は、同じくこの起立補助装置の第1リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図3(d)は、同じくこの起立補助装置の第2リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図3(e)は、同じくこの起立補助装置の第3リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図3(f)は、同じくこの起立補助装置の第4リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図3(g)は、同じくこの起立補助装置の第5リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図5(a)乃至(e)は、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置1において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。
図1(a)及び
図5に示すように、本実施形態の起立補助装置1は、基台(図示せず)と、人の背部を支持するバックレスト31と、このバックレスト31を上昇、下降及び傾動させる5本のリンクを有するリンク機構2と、この基台に固定された直動シリンダ3と、を有する。
【0021】
先ず、本実施形態の起立補助装置1のリンク機構2の構成を
図1(a)及び(b)並びに
図2により説明する。
図1(a)及び(b)並びに
図2に示すように、このリンク機構2は、移動しない固定回動支点21にて一端部が回転可能に連結された棒状の第1リンク11を有する。この固定回動支点21は、例えば、基台に固定されており、移動しない。そして、第1リンク11は、この固定回動支点21を中心として、緩やかな弧を描いて回転するものであり、基台から人の起立方向に延在している。また、この第1リンク11には、この第1リンク11の他端部に設けられた第1可動回動支点22にて棒状の第2リンク12の一端部が回転可能に連結されている。そして、断面L字の棒状部材である第3リンク13のL字の垂直部の端部が、この第2リンク12の他端部に設けられた第2可動回動支点23にて回転可能に連結されている。
図2の23a,23bが連結され、第2可動回動支点23が構成される。この第3リンク13のL字の水平部の端部には第3可動回動支点24が設けられ、L字の折曲部には、L字の水平部に平行に突設部が設けられている。このように、
図2の24a,24bが連結され、第3可動回動支点24が構成される。また、この第3リンク13には、この第3リンク13のL字の水平部の端部に設けられた第3可動回動支点24にて棒状の第4リンク14の一端部が回転可能に連結されている。この第4リンク14には、バックレスト31が固定されている。そして、リンク機構2は、この第4リンク14の他端部に設けられた第4可動回動支点25(
図2において、25a,25bが連結される部分)と第2リンク12の中間に設けられた第5可動回動支点26(
図2において、26a,26bが連結される部分)とを連結する棒状の第5リンク15を有する。このように、本実施形態の起立補助装置1のリンク機構2は、第1リンク11と、第2リンク12と、第3リンク13と、第4リンク14と、第5リンク15と、を有する。
【0022】
次に、本実施形態の起立補助装置1の直動シリンダ3の構成を
図1(a)により説明する。
図1(a)に示すように、この直動シリンダ3は、基台に固定された中空状の棒状部材であり、椅子等に座る人の腰部の後方に位置するように配置される。そして、この直動シリンダ3は、直動シリンダ3の内部から外部に向けて直動シリンダ3の長手方向に延出するロッド4を有し、このロッド4は、人の背部に向けて延出するものである。つまり、直動シリンダ3は、人の腰部の後方に配置されると共に、その長手方向が人の背部に向いているものである。また、この直動シリンダ3のロッド4の先端は、このロッド4と第3リンク13とのなす角度が固定された状態で第3リンク13の突設部に連結されている。そして、座位状態では、ロッド4は直動シリンダ3内に格納されており、第3リンク13の突設部と直動シリンダ3とは当接している。
【0023】
このように、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置1は、リンク機構2及び直動シリンダ3を有しており、そのサイズは、
図3(a)に示すように、側面視において例えば高さが750mm、幅が290mmである。これに対し、チェビシェフリンク機構を採用する従来の起立補助装置は、側面視において例えば高さが860mm、幅が860mmである。このように、本実施形態の起立補助装置1は、チェビシェフリンク機構を排しているので、従来の起立補助装置に対し、側面視における幅が小さく、装置を小型化することができる。そして、例えば、
図3(c)に示すように、第1リンク11は、固定回動支点21から第1可動回動支点22までの長さが726mmであり、
図3(d)に示すように、第2リンク12は、第1可動回動支点22から第2可動回動支点23までの長さが180mm、第1可動回動支点22から第5可動回動支点26までの第2リンク長手方向と垂直の方向の長さが50mm、第2可動回動支点23から第5可動回動支点26までの第2リンク長手方向の長さが125mmであり、
図3(e)に示すように、第3リンク13は、第2可動回動支点23から第3可動回動支点24までを直線で結んだときの直線の長さが240mm、第2可動回動支点23から第3可動回動支点24までのL字の水平部に平行の長さが99mm、第2可動回動支点23から第3可動回動支点24までのL字の垂直部に平行の長さが231mmであり、
図3(f)に示すように、第4リンク14は、第3可動回動支点24から第4可動回動支点25までの長さが370mmであり、
図3(g)に示すように、第5リンク15は、第4可動回動支点25から第5可動回動支点26までの長さが290mmである。これらのリンク機構2を組み立てた際のサイズを
図3(b)に示す。これにより、バックレストが固定された第4リンク14は、第1リンク11に対し一方の側で移動し、第1可動回動支点22の位置が第3可動回動支点24の位置に対し上側となる。なお、部品点数は、リンクが5個及び直動シリンダ3が1個であり、全部で6個である。
【0024】
次に、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置1の動作を説明する。
図4は、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置の第3可動回動支点の軌跡を示す側面図、
図5(a)乃至(e)は、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置1において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図、
図19(a)は、体幹角度を示す図、
図19(b)は、座位から立位へと姿勢を変える際の位相と体幹角度との関係を示すグラフ図である。
図5(a)に示すように、本実施形態の起立補助装置1は、座位状態において全てのリンク11乃至15が人の後方に配置されている。このように、本実施形態の起立補助装置1は、側面視で人の脚と重複していないので、人の脚がリンク機構2に干渉してつまずいたりすることはなく、またリンク機構2内に人の衣服又は指等が挟まることもない。また、本実施形態の起立補助装置1は、部品点数が6個であるのに対し、従来技術は、9個であるので、従来技術に対し、部品点数を減らすことができる。なお、以下では、
図5のように人が左向きで座っている状態における起立補助装置の動作を説明する。
【0025】
図5(a)に示す座位の状態から、直動シリンダ3が、その内部に設けられたロッド4を直動シリンダ3の内部から外部に向けて延出し、リンク機構2の第3リンク13を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、
図5(b)に示すように、座位から起立し始める状態となる。このとき、断面L字の第3リンク13のL字の折曲部の突設部が直動シリンダ3から離れ、L字の水平部の端部に設けられた第3可動回動支点24を中心として、第4リンク14は反時計回りに回転し、第4リンク14に固定されたバックレスト31の傾動により、人の背部が前傾する。また、第4リンク14は、第3リンク13の移動により、上昇し、第4リンク14に固定されたバックレスト31の上昇により人の背部が上昇する。このように、本実施形態に係る起立補助装置1は、第3リンク13を直線的に移動させ第4リンク14の回転及び上昇により人の背部を傾動及び上昇させるものであり、この起立補助装置1は、人の股関節を直線的に移動させるものである。このとき、第2可動回動支点23と第3可動回動支点24とを結ぶ線分が平行に移動する。そして、この第4リンク14の回転により、第4リンク14の第3可動回動支点24に対して逆側の端部の第4可動回動支点25を中心として、第5リンク15は時計回りに回転する。そして、この第5リンク15の回転により、第5リンク15の第4可動回動支点25に対して逆側の端部の第5可動回動支点26を中心として、第2リンク12が反時計回りに回転すると共に、この第2リンク12は、第3リンク13の移動により、第3リンク13のL字の垂直部の端部に設けられた第2可動回動支点23を中心として、反時計回りに回転する。そして、この第2リンク12の回転に伴い、第2リンク12の第2可動回動支点23に対して逆側の端部の第1可動回動支点22を中心として、第1リンク11は反時計回りに回転する。この第1可動回動支点22は、人が座位状態から起立するまでのリンク機構2の動作において、弧を描くように移動するものであり、座位状態においては第5リンク15より高位置にあるが、起立するまでの動作において、第5リンク15より低位置となる。そして、この第1リンク11の第1可動回動支点22の逆側の端部は、固定回動支点21であり、この固定回動支点21は、リンク機構2の基点であり、基台に固定されているので、この固定回動支点21は移動しない。
【0026】
図5(b)に示す起立し始める状態から、更に直動シリンダ3の内部に設けられたロッド4が延出し、第3リンク13を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、第3リンク13のL字の水平部の端部に設けられた第3可動回動支点24を中心として、第4リンク14は更に反時計回りに回転し、且つ上昇する。これにより、第4リンク14に固定されたバックレスト31の傾動及び上昇により、人の背部は更に傾動しながら上昇していく(
図5(c))。このとき、この第3リンク13の直線的な移動及び第4リンク14の回転により、第5リンク15及び第2リンク12が回転し、第2リンク12の端部に設けられた第1可動回動支点22は、第5リンク15に対し低位置となる。
【0027】
図5(c)に示す状態から、更に直動シリンダ3の内部に設けられたロッド4が延出し、第3リンク13を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、第3リンク13のL字の水平部の水平部の一端部に設けられた第3可動回動支点24を中心として、第4リンク14は更に反時計回りに回転し、且つ上昇する。これにより、第4リンク14に固定されたバックレスト31の傾動及び上昇により、人の背部は更に傾動しながら上昇していく(
図5(d))。このとき、この第3リンク13の直線的な移動及び第4リンク14の回転により、第5リンク15及び第2リンク12が回転し、第2リンク12の端部に設けられた第1可動回動支点22は、第5リンク15から更に離隔していく。
【0028】
図5(d)に示す状態から、更に直動シリンダ3の内部に設けられたロッド4が延出し、第3リンク13を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、第3リンク13のL字の水平部の水平部の一端部に設けられた第3可動回動支点24を中心として、第4リンク14はこれまでの回りとは逆に、時計回りに回転する。これは、第1可動回動支点22が第5リンク15よりも低位置となり、更に離隔する程、第5リンク15が第5可動回動支点26を中心として時計回りに回転したことに伴い、この第5リンク15の第5可動回動支点26に対して逆側の端部の第4可動回動支点25を中心として第4リンク14が時計回りに回転したものである。これにより、第4リンク14は、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、第4リンク14に固定されたバックレスト31も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、バックレスト31に支持された人の背部も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。これにより、人は完全に起立した状態となる(
図5(e))。なお、
図5(a)から
図5(e)までの動作において、起立補助装置1は、
図4に示すように、起立補助装置1の第3リンク13のL字の水平部の端部に設けられた第3可動回動支点24が、直線的に移動している。
【0029】
このように、本実施形態に係る起立補助装置1は、直動シリンダ3を有し、この直動シリンダ3により第3リンク13が人の股関節を直線的に移動させるので、人が座位状態から起立する際に、人の腰又は関節等に負担をかけずにその起立動作を補助することができる。
図19(b)に示すように、本実施形態に係る起立補助装置1による起立動作は、起立位相に対する体幹角度501(
図19(a))が若齢者におけるグラフに近くなっており、本実施形態に係る起立補助装置1が人の腰又は関節等に負担をかけずにその起立動作を補助することができることがわかる。また、人が本実施形態に係る起立補助装置1を使用して起立した場合は、人のみで起立した場合よりも、股関節のトルクは約60%に低減し、膝関節のトルクは約80%に低減する。更に、本実施形態に係る起立補助装置1を車椅子に取り付けた場合、車椅子に乗る患者は、介助者を伴わずに外出することができ、行動範囲が広がり、QOL(クオリティオブライフ)の向上を図ることができる。更にまた、本実施形態に係る起立補助装置1をトイレに取り付けた場合、トイレを利用する患者は、介助者の介助を受けずとも排便をすることができる。このように、この本実施形態に係る起立補助装置1の使用用途は、ベッド脇、車椅子、駅のホーム、病院の待合室又は車輌のシートなど様々である。
【0030】
次に、本願第1発明の第2の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図6(a)は、本願第1発明の第2の実施形態に係る起立補助装置を示す側面図、
図6(b)は、同じくこの起立補助装置を示す斜視図、
図7は、本願第1発明の第2の実施形態に係る起立補助装置の組立図、
図8(a)乃至(e)は、本願第1発明の第2の実施形態に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。
図6(a)及び
図8に示すように、本実施形態の起立補助装置1aは、基台(図示せず)と、人の背部を支持するバックレスト31と、人の腰部を支持する座部32と、基台に対して座部32を傾動させると共に、バックレスト31を座部32の傾動に対応して上昇、下降及び傾動させる7本のリンクを有するリンク機構2aと、基台に固定された直動シリンダ3と、を有する。本実施形態の起立補助装置1aは、座部32を有すること、及びリンク機構2aの各リンクの構成が、本願第1発明の第1の実施形態の起立補助装置1と異なる。
【0031】
先ず、本実施形態の起立補助装置1aのリンク機構2aの構成を
図6(a)及び(b)並びに
図7により説明する。
図6(a)及び(b)並びに
図7に示すように、このリンク機構2aは、移動しない第1固定回動支点21aにて一端部が回転可能に連結された棒状の第1リンク11を有する。この第1固定回動支点21aは、例えば、基台に固定されており、移動しない。そして、第1リンク11は、この第1固定回動支点21aを中心として、緩やかな弧を描いて回転するものであり、基台から人の起立方向に延在している。また、この第1リンク11には、この第1リンク11の他端部に設けられた第1可動回動支点22にて棒状の第2リンク12の一端部が回転可能に連結されている。そして、断面L字の棒状部材である第3リンク13のL字の垂直部の端部が、この第2リンク12の他端部に設けられた第2可動回動支点23(
図7において、23a,23bが連結される部分)にて回転可能に連結されている。この第3リンク13のL字の水平部の端部には第3可動回動支点24が設けられ、L字の折曲部には、L字の水平部に平行に突設部が設けられている。この第3可動回動支点24は、
図7において24a,24bが連結されて構成される。また、この第3リンク13には、この第3リンク13のL字の水平部の端部に設けられた第3可動回動支点24にて棒状の第4リンク14aが回転可能に連結されている。この第3可動回動支点24は、第4リンク14aの長手方向の中間に設けられている。また、この第4リンク14aには、バックレスト31が固定されている。そして、リンク機構2aは、この第4リンク14aの一端部に設けられた第4可動回動支点25と第2リンク12の中間に設けられた第5可動回動支点26とを連結する棒状の第5リンク15を有する。
図7において、25a,25bが連結されて第4可動回動支点25が構成されており、また26a,26bが連結されて第5可動回動支点26が構成されている。この第4リンク14aには、第4リンク14aの他端部に設けられた第6可動回動支点27(
図7において、27a,27bが連結される部分)にて棒状の第6リンク16の一端部が回転可能に連結されており、この第6リンク16には、座部32が固定されている。そして、リンク機構2aは、この第6リンク16の他端部に設けられた第7可動回動支点28(
図7において、28a,28bが連結される部分)と基台に設けられた第2固定回動支点29とを連結する第7リンク17を有する。このように、本実施形態の起立補助装置1のリンク機構2aは、第1リンク11と、第2リンク12と、第3リンク13と、第4リンク14aと、第5リンク15と、第6リンク16と、第7リンク17と、を有する。本実施形態のリンク機構2aは、第4リンク14aの構成並びに第6リンク16及び第7リンク17を有することが、本願第1発明の第1の実施形態のリンク機構2と異なる。なお、本実施形態の直動シリンダ3は、本願第1発明の第1の実施形態の直動シリンダ3と同じ構成である。なお、本実施形態では、第7リンク17は、基台に設けられた第2固定回動支点29において連結されているが、基台に設けられた第1固定回動支点21aに連結されていてもよい。
【0032】
次に、本願第1発明の第2の実施形態に係る起立補助装置1aの動作を説明する。
図8(a)乃至(e)は、本願第1発明の第2の実施形態に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。以下、
図8のように人が左向きの座位の状態における起立補助装置の動作を説明する。
図8(a)に示すように、本実施形態の起立補助装置1aは、座位状態において全てのリンク11乃至17が人の後方に配置されている。このように、本実施形態の起立補助装置1は、側面視で人の脚と重複していないので、人の脚がリンク機構2aに干渉してつまずいたりすることはなく、またリンク機構2a内に人の衣服又は指等が挟まることもない。なお、第1リンク11、第2リンク12、第3リンク13、第4リンク14a、第5リンク15、バックレスト31の動作は、本願第1発明の第1の実施形態の第1リンク11、第2リンク12、第3リンク13、第4リンク14、第5リンク15、バックレスト31と同じ動作をするので、以下に、第6リンク16、第7リンク17、座部32の動作を説明する。
【0033】
図8(a)に示すように、人の腰部は、第6リンク16に固定された座部32に支持されている。この状態から、直動シリンダ3が、その内部に設けられたロッド4を直動シリンダ3の内部から外部に向けて延出し、第3リンク13を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、第3リンク13における断面L字の水平部の端部に設けられた第3可動回動支点24を中心として、第4リンク14aが反時計回りに回転すると共に上昇する。この第4リンク14aの上昇により、第4リンク14aの他端部に設けられた第6可動回動支点27にて連結された第6リンク16が、第6可動回動支点27を中心として反時計回りに回転する。この第6リンク16の回転により、第6リンク16に固定された座部32が傾動し始め、これにより、座部32に支持された人の腰部が持ち上がる(
図8(b))。このとき、第4リンク14aは、第4リンク14aに固定されたバックレスト31を、この座部32の傾動に対応して、傾動させる。なお、第6リンク16の他端部に設けられた第7可動回動支点28にて連結された第7リンク17は、第7可動回動支点28を中心として時計回りに回転する。
【0034】
図8(b)に示す起立し始める状態から、更に直動シリンダ3の内部に設けられたロッド4が延出し、第3リンク13を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、第4リンク14aは、更に上昇していき、この第4リンク14aの上昇により、第6リンク16が、第6可動回動支点27を中心として更に反時計回りに回転する。これにより、座部32が傾動し、人の腰部を更に持ち上げる(
図8(c))。そして、
図8(c)に示す状態から、更に、第3リンク13を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、第4リンク14aは、更に上昇していき、この第4リンク14aの上昇により、第6リンク16が、第6可動回動支点27を中心として更に反時計回りに回転する。これにより、座部32が傾動し、人の腰部を更に持ち上げる(
図8(d))。
【0035】
この
図8(d)に示す状態から、更に、第3リンク13を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、本願第1発明の第1の実施形態と同様に、第4リンク14aは、上昇すると共に、第3可動回動支点24を中心として、時計回りに回転する。これにより、第6リンク16は、第6可動回動支点27を中心として反時計回りに回転し、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。そして、第6リンク16に固定された座部32も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、座部32に支持された人の腰部も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。また、第4リンク14aも、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、第4リンク14aに固定されたバックレスト31も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、バックレスト31に支持された人の背部も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。これにより、人は完全に起立した状態となる(
図8(e))。
【0036】
このように、本実施形態に係る起立補助装置1aは、座部32の傾動により、座部32に支持された人の腰部を持ち上げると共に、第4リンク14aが、座部32の傾動に対応してバックレスト31を傾動及び上昇させて、バックレスト31に支持された人の背部を傾動及び上昇させることにより、人の起立動作を補助しているので、バックレスト31の傾動及び上昇のみで人の起立動作を補助する本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置1に対し、更に、人の腰又は関節等に負担をかけずにその起立動作を補助することができる。なお、
図9に示すように、本願第1発明において、座部32aは、バックレスト31に取り付けられていてもよい。これにより、本願第1発明の第2の実施形態のように、第6リンク16及び第7リンク17を設けることなく、座部32aにより、人の腰部を支持し、持ち上げることができる。
【0037】
しかし、この本願第1発明に係る起立補助装置1は、第1リンク11が基台から人の起立方向に延在するので、側面視における高さが高い。そこで、本願第2発明の実施形態に係る起立補助装置においては、この第1リンク11を排して起立補助装置を更に小型化した。この本願第2発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図10(a)は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置を示す側面図、
図10(b)は、同じくこの起立補助装置を示す斜視図、
図11(a),(b)は、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置の組立図、
図12(a)は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置の側面視におけるサイズを示す図、
図12(b)は、同じくこの起立補助装置の各部品の側面視におけるサイズを示す図、
図12(c)は、同じくこの起立補助装置の第1リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図12(d)は、同じくこの起立補助装置の第2リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図12(e)は、同じくこの起立補助装置の第3リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図12(f)は、同じくこの起立補助装置の第4リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図12(g)は、同じくこの起立補助装置の第5リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図12(h)は、同じくこの起立補助装置の第6リンクの側面視におけるサイズを示す図、
図12(i)は、同じくこの起立補助装置の第1板材の側面視におけるサイズを示す図、
図12(j)は、同じくこの起立補助装置の第2板材の側面視におけるサイズを示す図、
図12(k)は、同じくこの起立補助装置の第3板材の側面視におけるサイズを示す図、
図14(a),(b)は、本願第1発明の第2可動回動支点と第3可動回動支点とを結ぶ線分の軌道を示す図、
図14(c),(d)は、本願第2発明の第1可動回動支点と第5可動回動支点とを結ぶ線分の軌道を示す図、
図15(a)は、本願第1発明の第1の実施形態に係る起立補助装置の組立図、
図15(b)は、本願第1発明の第1可動回動支点の軌道を示す図、
図15(c)は、本願第2発明の第2スライド部の軌道を示す図、
図16(a)乃至(c)は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。
図10(a)、
図11(b)及び
図16に示すように、本実施形態の起立補助装置101は、基台(図示せず)と、人の背部を支持するバックレスト161と、このバックレスト161を上昇、下降及び傾動させる6本のリンクを有するリンク機構102と、この基台に固定された3個の板材を有するガイド部材105と、基台に固定された直動シリンダ103と、を有する。また、例えば、ガイド部材105に沿ってスライドする2個のスライド部を有するスライド部材106を有するように構成しても良い。
【0038】
先ず、本実施形態の起立補助装置101の直動シリンダ103の構成を
図10(a)により説明する。
図10(a)に示すように、この直動シリンダ103は、基台に固定された中空状の棒状部材であり、ベッド等に座る人の腰部の後方に位置するように配置される。そして、この直動シリンダ103は、直動シリンダ103の内部から外部に向けて直動シリンダ103長手方向に延出するロッド104を有し、このロッド104は、人の背部に向けて延出するものである。つまり、直動シリンダ103は、人の腰部の後方に配置されると共に、その長手方向が人の背部に向いているものである。
【0039】
次に、本実施形態の起立補助装置101のリンク機構102の構成を
図10(a)及び(b)並びに
図11(a)及び(b)により説明する。
図10(a)及び(b)並びに
図11(a)及び(b)に示すように、このリンク機構102は、直動シリンダ103のロッド104とのなす角度が固定された状態でロッド104の先端に連結された棒状の第1リンク111を有する。そして、この第1リンク111には、第1リンク111の一端部に設けられた第1可動回動支点122にて棒状の第2リンク112の一端部が回転可能に連結されている。
図11の122a,122bが連結され、第1可動回動支点122が構成される。この第2リンク112には、バックレスト161が固定されている。そして、第2リンク112には、第2リンク112の他端部に設けられた第2可動回動支点123にて棒状の第3リンク113の一端部が回転可能に連結されている。そして、リンク機構102は、この第3リンク113の他端部に設けられた第3可動回動支点124と第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125とを連結する断面T字の棒状部材である第4リンク114を有する。このように、
図11の124a,124bが連結され、第3可動回動支点124が構成される。なお、第3可動回動支点124は、この第4リンク114のT字の垂直部の端部に位置し、第4可動回動支点125(
図11において、125a,125bが連結される部分)は、第4リンク114のT字の水平部の一端部に位置する。また、リンク機構102は、第1リンク111の他端部に設けられた第5可動回動支点126(
図11において、126a,126bが連結される部分)にて一端部が回転可能に連結され、他端部に第8可動回動支点129が設けられた棒状の第5リンク115を有し、この第5リンク115の中間に設けられた第6可動回動支点127にて一端部が回転可能に連結され、移動しない固定回動支点121に他端部が回転可能に連結された棒状の第6リンク116を有する。なお、ロッド104は、例えば、第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125の近傍にて、第1リンク111に連結されている。このように、本実施形態の起立補助装置101のリンク機構102は、第1リンク111と、第2リンク112と、第3リンク113と、第4リンク114と、第5リンク115と、第6リンク116と、を有する。
【0040】
次に、本実施形態の起立補助装置101のガイド部材105の構成を
図10(a)及び(b)並びに
図11(a)及び(b)により説明する。
図10(a)及び(b)並びに
図11(a)及び(b)に示すように、ガイド部材105は、基台に固定された第1板材131、第2板材132及び第3板材133を有する。第1板材131は、第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125を直動シリンダ103の長手方向に沿って移動させる直線状の第1ガイド部141を有する。そして、この第1板材131は、第1リンク111と第4リンク114との間に挟まれており、第1リンク111の中間且つ第4リンク114のT字の水平部の一端部の第4可動回動支点125が、この直線状の第1ガイド部141に沿って移動することによって、第1リンク111及び第4リンク114が第1ガイド部141に沿って移動するものである。
【0041】
また、この第1板材131に平行に位置する第2板材132は、断面T字の第4リンク114のT字の水平部の他端部に設けられた第7可動回動支点128が弧を描くように、第7可動回動支点128を移動させる円弧状の第2ガイド部142を有する。この第2ガイド部142の円弧状の軌道は、本願第1発明に係る起立補助装置1の第1リンク11の他端部に設けられた第1可動回動支点22が弧を描く軌道と同じ軌道である。
図15(a)に示す本願第1発明に係る起立補助装置1において、
図15(b)に示すように、直動シリンダ3が第3リンク13を直線的に移動させると、第1リンク11が固定回動支点21を中心として、弧を描くように動き、これにより、第1リンク11の他端部に設けられた第1可動回動支点22が弧を描く。本願第2発明では、第1リンク11のような長いリンクを使用せずに、この円弧状の軌道を再現するため、
図15(c)に示すように、後述する第2スライド部152を円弧状とし、この第2スライド部152を格納する第2ガイド部142も円弧状として、第2スライド部152が、第1可動回動支点22が弧を描く軌道と同じ軌道で移動するようにしている。そして、この第2板材132は、第2リンク112及び第3リンク113において、第1板材131に対し反対側に位置するものであり、第7可動回動支点128がこの円弧状の第2ガイド部142に沿って移動することによって、第4リンク114が第2ガイド部142に沿って移動するものである。
【0042】
そして、この第1板材131に平行に位置する第3板材133は、例えば、第6リンク116の他端部に設けられ移動しない固定回動支点121に連結されており、この第3板材133は、第5リンク115の他端部に設けられた第8可動回動支点129を相対的に回転可能に且つ直線的に移動させる直線状の第3ガイド部143を有する。固定回動支点121は、
図11において、121aと121bが連結することにより、構成される。この第8可動回動支点129には、突起129aが突出しており、この突起129aが、第3ガイド部143に嵌め込まれている。そして、この第3板材133は、第1リンク111において、第1板材131に対し反対側に位置するものであり、第8可動回動支点129がこの直線状の第3ガイド部143に沿って移動することによって、第5リンク115が第3ガイド部143に沿って移動する。なお、固定回動支点121は、例えば、第3板材133が基台に固定されており、移動しない。このように、本実施形態の起立補助装置101のガイド部材105は、第1ガイド部141を有する第1板材131と、第2ガイド部142を有する第2板材132と、第3ガイド部143を有する第3板材133と、を有する。
【0043】
次に、本実施形態の起立補助装置101のスライド部材106の構成を
図10(a)及び(b)並びに
図11(a)及び(b)により説明する。
図10(a)及び(b)並びに
図11(a)及び(b)に示すように、スライド部材106は、第1板材131の第1ガイド部141に沿って移動する第1スライド部151を有する。この第1スライド部151は、第1ガイド部141と平行の方向に直線状に延びており、且つ第1ガイド部141に格納されていると共に、この第1スライド部151の一部を第1ガイド部141から引き出すことも可能である。そして、この第1スライド部151には、第1板材131に垂直の方向に貫通し、第1ガイド部141と平行の方向に延在する第1スライドガイド部151aが形成されている。この第1スライドガイド部151aは、第4可動回動支点125をロッドの移動方向に平行の方向に移動可能に支持する直線状の部材である。この第1スライドガイド部151a及び第1ガイド部141には、第4可動回動支点125から突出する突起が挿通されており、第4可動回動支点125が、この直線状の第1スライドガイド部151a及び第1ガイド部141に沿って移動することによって、第1リンク111及び第4リンク114が第1スライドガイド部151a及び第1ガイド部141に沿って移動するものである。なお、第1スライド部151には、第1スライドガイド部151aの縁部から、第1スライドガイド部151aの貫通方向に延びる突起151bが設けられており、この突起151bが第1ガイド部141の縁部に係合されている。
【0044】
また、スライド部材106は、第2板材132の第2ガイド部142に沿って移動する第2スライド部152を有する。この第2スライド部152は、円弧状の第2ガイド部142に沿うように円弧状に延びており、且つ第2ガイド部142に収納されていると共に、この第2スライド部152の一部を第2ガイド部142から引き出すことも可能である。つまり、この第2スライド部152の円弧状の軌道は、第2ガイド部142と同様に、本願第1発明に係る起立補助装置1の第1リンク11の他端部に設けられた第1可動回動支点22が弧を描く軌道と同じ軌道である。そして、この第2スライド部152には、第2板材132に垂直の方向に貫通し、第2ガイド部142に沿うように円弧状に延在する第2スライドガイド部152aが形成されている。この第2スライドガイド部152aは、第7可動回動支点128が弧を描くように、この第7可動回動支点128を移動可能に支持する円弧状の部材である。この第2スライドガイド部152a及び第2ガイド部142には、第7可動回動支点128から突出する突起が挿通されており、第7可動回動支点128が、この円弧状の第2スライドガイド部152a及び第2ガイド部142に沿って移動することによって、第4リンク114が第2スライドガイド部152a及び第2ガイド部142に沿って移動するものである。このように、本実施形態の起立補助装置101のスライド部材106は、第1スライド部151と、第2スライド部152と、を有する。なお、第2スライド部152には、第2スライドガイド部152aの縁部から、第2スライドガイド部152aの貫通方向に延びる突起が設けられており、また、第2スライドガイド部152aが形成されていない部分にも、この貫通方向に延びる突起が形成され、これらの突起が第2ガイド部142の縁部に係合されている。
【0045】
本願第2発明では、この第5リンク115、第6リンク116、第3板材及び第1スライド部151により、第1リンク111を直線的に移動させる。
図14(a),(b)に示すように、本願第1発明に係る起立補助装置1において、直動シリンダ3が第3リンク13を直線的に移動させると、第3リンク13のL字の垂直部の端部に設けられた第2可動回動支点23と、第3リンク13のL字の水平部の端部に設けられた第3可動回動支点24とを結ぶ線分41は、直線的に移動する。
図14(c),(d)に示すように、本願第2発明では、この直線的に移動する軌道を、第5リンク115、第6リンク116、第3板材及び第1スライド部151により、確保している。本願第2発明の第5可動回動支点126は、本願第1発明の第2可動回動支点23に相当し、本願第2発明の第1可動回動支点122は、本願第1発明の第3可動回動支点24に相当する。つまり、一端部に第1可動回動支点122が設けられ、他端部に第5可動回動支点126が設けられた第1リンク111は、線分41に対し平行である。また、この第1リンク111上には、第4可動回動支点125が存在する。
図14(c)に示すように、本願第2発明では、第1スライド部151が、本願第1発明における第2可動回動支点23と第3可動回動支点24とを結ぶ線分41が移動する軌道に対し平行に設けられているので、第4可動回動支点125を、この第1スライド部151に沿って移動させることによって、第1リンク111を直線的に移動させるものである。また、
図14(d)に示すように、本願第2発明では、第3板材133に設けられた移動しない固定回動支点121に、第5リンク115の一端部を連結し、第5リンク115の他端部に設けられた第6可動回動支点127において、第6リンク116が連結されている。そして、この第5リンク115が、固定回動支点121を中心として回転することによって、連結された第6リンク116も回転し、その際、第6リンク116の他端部に設けられた第8可動回動支点129が、第3板材133に設けられたガイド部143に沿って、そのガイド部143に平行の方向に直線的に移動することによって、この第6リンク116の一端部に設けられた第5可動回動支点126が、本願第1発明における第2可動回動支点23と第3可動回動支点24とを結ぶ線分41が移動する軌道に対し平行に移動するものである。このように、本願第2発明は、第5可動回動支点126を直線的に移動させることによって、第5可動回動支点126にて第6リンクと連結した第1リンク111を直線的に移動させるものである。本願第2発明では、第1リンク111が、本願第1発明における第2可動回動支点23と第3可動回動支点24とを結ぶ線分41が移動する軌道と同じ軌道で移動するように、本願第2発明に係る起立補助装置101に、第5リンク115、第6リンク116、後述する第3板材及び後述する第1スライド部151を設けて、第1リンクに設けられた第4可動回動支点125及び第5可動回動支点126を直線的に移動させている。なお、本願第2発明では、直動シリンダ103により、第1リンク111を直線的に移動させているが、回転アクチュエータを使用してもよい。この場合、回転アクチュエータは、固定回動支点121、第5可動回動支点126及び第6可動回動支点127を中心として駆動することにより、第1リンク111を直線的に移動させる。また、直動シリンダ103は、バネ、ダンパ、ガススプリング等の移動距離を制御しないものを使用してもよく、直動シリンダ103の取付位置は、第1リンク111を移動させる側と反対側であれば、第1リンク111のいずれの位置に取り付けてもよい。その場合、直動シリンダ103の取付位置によって、出力トルクを変更する。
【0046】
このように、本願第2発明に係る起立補助装置101は、リンク機構102、ガイド部材105、スライド部材106及び直動シリンダ103を有しており、そのサイズは、
図12(a)に示すように、側面視において直動シリンダ103を除いて例えば高さが370mm、幅が390mmである。これに対し、チェビシェフリンク機構を採用する従来の起立補助装置は、側面視において例えば高さが860mm、幅が860mmであり、本願第1発明に係る起立補助装置1は、側面視において例えば高さが750mm、幅が290mmである。このように、本願第2発明に係る起立補助装置101は、チェビシェフリンク機構を排しているので、従来の起立補助装置に対し、側面視における高さ及び幅が小さく、また本願第1発明に係る起立補助装置1の第1リンク11を排しているので、本願第1発明に係る起立補助装置1に対し、側面視における高さが低く、装置を小型化することができる。そして、例えば、
図12(c)に示すように、第1リンク111は、第1可動回動支点122から第4可動回動支点125までの長さが240mm、第4可動回動支点125から第5可動回動支点126までの長さが177.5mmであり、
図12(d)に示すように、第2リンク112は、第1可動回動支点122から第2可動回動支点123までの長さが370mmであり、
図12(e)に示すように、第3リンク113は、第2可動回動支点123から第3可動回動支点124までの長さが290mmであり、
図12(f)に示すように、第4リンク114は、第3可動回動支点124から第4可動回動支点125までのT字の水平部に平行の長さが125mm、第4可動回動支点125から第7可動回動支点128までの長さが180mm、第3可動回動支点124から第7可動回動支点128までのT字の垂直部に平行の長さが50mmであり、
図12(g)に示すように、第5リンク115は、固定回動支点121から第6可動回動支点127までの長さが130mmであり、
図12(h)に示すように、第6リンク116は、第5可動回動支点126から第6可動回動支点127までの長さが130mm、第6可動回動支点127から第8可動回動支点129までの長さが130mmであり、
図12(i)に示すように、第1板材131の第1ガイド部141は、床面に対し135°の角度で設けられ、第1スライド部151は、第1ガイド部141の長手方向に460mmスライドするように構成され、
図12(j)に示すように、第2板材132の第2ガイド部142は、床面に対し52.4°の角度から半径726mmの弧を描くように設けられ、第2スライド部152は、第2ガイド部142に沿って床面に対し52.4°の角度から53°の角度分スライドするように構成され、
図12(k)に示すように、第3板材133の第3ガイド部143は、床面に対し45°の角度で設けられ、この第3ガイド部143の長手方向の長さが210mm、固定回動支点121から第3ガイド部143のもっとも近い部位までの長さが50mmである。これらのリンク機構102を組み立てた際のサイズを
図12(b)に示す。これにより、第1板材131、第2板材132及び第3板材133が第1板材131に垂直の方向から見て重なる位置に配置される。
【0047】
次に、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101の動作を説明する。
図13は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置のリンクの軌跡を示す側面図、
図16(a)乃至(c),
図17(a)及び(b)は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図、
図18(a)乃至(c)は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置の使用方法を示す図、
図19(a)は、体幹角度を示すグラフ図、
図19(b)は、座位から立位へと姿勢を変える際の位相と体幹角度との関係を示すグラフ図である。
図16(a)に示すように、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101は、座位状態において全ての部材が人の後方に配置され且つ人の腰部より低位置には部材が存在しない。これにより、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101は、固定方法を自由に設計することが可能であり、
図18(a)乃至(c)に示すように、例えば予めベッドのヘッドボード402上の基台403にこの起立補助装置101を収納しておき、ベッド用マットレス401に座っている人が起立する必要があるときに、この起立補助装置101を引き出して人の背部に配置して、この起立補助装置101を第2リンク112に固定されたバックレスト161に人の背部を当接させ、例えば第2リンク112に取り付けられた保持ベルト404等で起立補助装置101を人の背部に固定することによって、人が座位状態から起立する動作を補助することができる。なお、以下では、
図16,17のように人が左向きで座っている状態における起立補助装置の動作を説明する。
【0048】
図16(a)に示す座位の状態から、直動シリンダ103が、その内部に設けられたロッド104を直動シリンダ103の内部から外部に向けて延出し、リンク機構102の第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、
図16(b)に示すように、座位から起立し始める状態となる。このとき、第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125が第1スライドガイド部151a及び第1板材131の第1ガイド部141に沿って移動することによって、第1リンク111は、第1スライドガイド部151a及び第1ガイド部141に沿って直線的に移動する。また、この第1リンク111の他端部に設けられた第5可動回動支点126を中心として、第5リンク115を反時計回りに回転させ、この第5リンク115の回転により、第5リンク115の第5可動回動支点126に対して逆側の端部に設けられた第8可動回動支点129が第3板材133に設けられた直線状の第3移動部に沿って直線的に移動すると共に、第5リンク115の中間に設けられた第6可動回動支点127を中心として、第6リンク116が時計回りに回転する。この第6リンク116の第6可動回動支点127に対して逆側の端部の固定回動支点121は、第3板材133に固定されているので、この固定回動支点121は移動しない。この第5リンク115、第6リンク116及び第3板材133は、第5可動回動支点126を直動シリンダ103の長手方向に平行の方向に移動させるものであり、この構成により、第5可動回動支点126を直線的に移動させ、第1スライド部151及び第1ガイド部141並びに直動シリンダ103と共に第1リンク111を直線的に移動させるものである。
【0049】
このように、第1リンク111が直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動すると、第1リンク111の第5可動回動支点126に対して逆側の端部の第1可動回動支点122を中心として、第2リンク112が反時計回りに回転し、第2リンク112に固定されたバックレスト161の傾動により、人の背部が前傾する。また、第2リンク112は、第1リンク111の移動により、上昇し、第2リンク112に固定されたバックレスト161の上昇により人の背部が上昇する。このように、本実施形態に係る起立補助装置101は、第1リンク111を直線的に移動させ、第2リンク112の回転及び上昇により人の背部を傾動及び上昇させるものであり、この起立補助装置101は、人の股関節を直線的に移動させるものである。このとき、第1可動回動支点122と第5可動回動支点126とを結ぶ線分が平行に移動する。そして、この第2リンク112の回転により、第2リンク112の第1可動回動支点122に対して逆側の端部の第2可動回動支点123を中心として、第3リンク113は時計回りに回転する。この第3リンク113の回転により、第3リンク113の第2可動回動支点123に対して逆側の端部の第3可動回動支点124を中心として、断面T字の第4リンク114は反時計回りに回転する。この第4リンク114のT字の水平部の一端部は、第1リンク111の第4可動回動支点125にて第1リンク111と連結されており、第1リンク111の直線的な移動と共に第4可動回動支点125が第1スライドガイド部151a及び第1板材131の第1ガイド部141に沿って移動することによって、第4リンク114は、第1スライドガイド部151a及び第1ガイド部141に沿って移動する。同時に、第4リンク114の反時計回りの回転により、第4リンク114のT字の水平部の第4可動回動支点125に対して逆側の端部に設けられた第7可動回動支点128が、第2スライドガイド部152a及び第2板材132の第2ガイド部142に沿って移動することによって、第4リンク114は、第2スライドガイド部152a及び第2ガイド部142に沿って移動する。
【0050】
図16(b)に示す起立し始める状態から、更に直動シリンダ103の内部に設けられたロッド104が延出し、第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、第1リンク111の一端部に設けられた第1可動回動支点122を中心として、第2リンク112は更に反時計回りに回転し、且つ上昇する。これにより、第2リンク112に固定されたバックレスト161の傾動及び上昇により、人の背部は更に傾動しながら上昇していく(
図16(c))。このとき、第1リンク111の直線的な移動によって、第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125が第1スライドガイド部151a及び第1ガイド部141に沿って更に移動することに伴い、第4リンク114のT字の水平部の第4可動回動支点125に対して逆側の端部の第7可動回動支点128が、第2スライドガイド部152aにおいて、人にもっとも近い位置まで到達し、この第7可動回動支点128を有する第4リンク114は、第2スライド部152の一部を第2ガイド部142から引き出す。
【0051】
図16(c)に示す状態から、更に直動シリンダ103の内部に設けられたロッド104が延出し、第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、第1リンク111の一端部に設けられた第1可動回動支点122を中心として、第2リンク112は更に反時計回りに回転し、且つ上昇する。これにより、第2リンク112に固定されたバックレスト161の傾動及び上昇により、人の背部は更に傾動しながら上昇していく(
図17(a))。このとき、第1リンク111の直線的な移動によって、第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125が第1スライドガイド部151aにおいて、人にもっとも近い位置まで到達し、この第4可動回動支点125を有する第1リンク111は、第1スライド部151の一部を第1ガイド部141から引き出す。同様に、第4リンク114も、第2スライド部152の一部を第2ガイド部142から更に引き出す。
【0052】
図17(a)に示す状態から、更に直動シリンダ103の内部に設けられたロッド104が延出し、第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、第1リンク111の一端部に設けられた第1可動回動支点122を中心として、第2リンク112はこれまでの回りとは逆に、時計回りに回転する。これは、第4リンク114のT字の水平部の他端部の第7可動回動支点128が第2スライドガイド部152aに沿って移動することによって、第4リンク114のT字の垂直部の端部の第3可動回動支点124を中心として、反時計回りに回転することにより、この第3可動回動支点124を中心として、第3リンク113が時計回りに回転したことによる。これは、第7可動回動支点128の円弧状の軌道が、本願第1発明に係る起立補助装置1の第1可動回動支点22が弧を描く軌道と同様であることが理由である。これにより、第2リンク112は、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、第2リンク112に固定されたバックレスト161も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、バックレスト161に支持された人の背部も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。これにより、人は完全に起立した状態となる(
図17(b))。なお、
図16(a)から
図17(b)までの動作において、起立補助装置101は、
図13に示すように、起立補助装置101の第1リンク111の一端部に設けられた第1可動回動支点122が、直線的に移動している。
【0053】
このように、本実施形態に係る起立補助装置101は、直動シリンダ103を有すると共に第5リンク115、第6リンク116及び第3板材133を有することにより、第1リンク111が人の股関節を直線的に移動させるので、人が座位状態から起立する際に、人の腰又は関節等に負担をかけずにその起立動作を補助することができる。
図19(b)に示すように、本実施形態に係る起立補助装置101による起立動作は、起立位相に対する体幹角度501(
図19(a))が若齢者におけるグラフに近くなっており、本実施形態に係る起立補助装置101が人の腰又は関節等に負担をかけずにその起立動作を補助することができることがわかる。なお、本願第1発明及び本願第2発明の起立動作は、いずれも、
図19(b)の太線で示すグラフ図である。また、本実施形態に係る起立補助装置101は、本願第1発明に係る起立補助装置1における基台から人の起立方向に延在する第1リンク11を排しているので、本願第1発明に係る起立補助装置1に比して、側面視における高さが低く、装置を小型化することができる。更に、本実施形態に係る起立補助装置101は、全ての部材が人の後方に配置され且つ人の腰部より低位置には部材が存在しないので、固定方法を自由に設計することが可能である。
【0054】
次に、本願第2発明の第1変形例について説明する。
図20(a)は、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置を示す側面図、
図20(b)は、同じくこの起立補助装置を示す斜視図、
図21(a),(b)は、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置の組立図、
図22(a)乃至(c)は、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。
図20(a)、
図21(b)及び
図22(a)に示すように、本実施形態の起立補助装置101aは、基台(図示せず)と、人の背部を支持するバックレスト161と、このバックレスト161を上昇、下降及び傾動させる4本のリンクを有するリンク機構102aと、この基台に固定された2個の板材を有するガイド部材105aと、基台に固定された直動シリンダ103と、を有する。また、例えば、ガイド部材105aに沿ってスライドする2個のスライド部を有するスライド部材106を有するように構成しても良い。
【0055】
本実施形態の起立補助装置101aの直動シリンダ103の構成は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101の直動シリンダ103の構成と同じであるが、直動シリンダ103が有するロッド104が、第1リンク111aに設けられた第1可動回動支点122と第4可動回動支点125との中間に連結されている点で、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101の直動シリンダ103と異なる。
【0056】
次に、本実施形態の起立補助装置101aのリンク機構102aの構成を
図20(a)及び(b)並びに
図21(a)及び(b)により説明する。
図20(a)及び(b)並びに
図21(a)及び(b)に示すように、このリンク機構102aは、直動シリンダ103のロッド104とのなす角度が固定された状態でロッド104の先端に連結された棒状の第1リンク111aを有する。そして、この第1リンク111aには、第1リンク111aの一端部に設けられた第1可動回動支点122にて棒状の第2リンク112の一端部が回転可能に連結されている。
図21の122a,122bが連結され、第1可動回動支点122が構成される。この第2リンク112には、バックレスト161が固定されている。そして、第2リンク112には、第2リンク112の他端部に設けられた第2可動回動支点123にて棒状の第3リンク113の一端部が回転可能に連結されている。そして、リンク機構102は、この第3リンク113の他端部に設けられた第3可動回動支点124(
図21において、124a,124bが連結される部分)と第1リンク111aの他端部に設けられた第4可動回動支点125(
図21において、125a,125bが連結される部分)とを連結する断面T字の棒状部材である第4リンク114を有する。なお、第3可動回動支点124は、この第4リンク114のT字の垂直部の端部に位置し、第4可動回動支点125は、第4リンク114のT字の水平部の一端部に位置する。このように、本実施形態の起立補助装置101のリンク機構102は、第1リンク111aと、第2リンク112と、第3リンク113と、第4リンク114と、を有する。本実施形態のリンク機構102aは、第1リンク111aの構成並びに第5リンク115及び第6リンク116を有しないことが、本願第2発明の第1の実施形態のリンク機構102と異なる。
【0057】
そして、本実施形態の起立補助装置101aのガイド部材105aの構成を
図20(a)及び(b)並びに
図21(a)及び(b)により説明する。
図20(a)及び(b)並びに
図21(a)及び(b)に示すように、ガイド部材105aは、基台に固定された第1板材131及び第2板材132を有する。第1板材131は、第1リンク111aの他端部に設けられた第4可動回動支点125を直動シリンダ103の長手方向に沿って移動させる直線状の第1ガイド部141を有する。そして、この第1板材131は、第1リンク111aと第4リンク114との間に挟まれており、第1リンク111aの他端部且つ第4リンク114のT字の水平部の一端部の第4可動回動支点125が、この直線状の第1ガイド部141に沿って移動することによって、第1リンク111a及び第4リンク114が第1ガイド部141に沿って移動するものである。なお、第1板材131に平行に位置する第2板材132の構成は、本願第2発明の第1の実施形態の第2板材132と同じである。このように、本実施形態の起立補助装置101aのガイド部材105aは、第1ガイド部141を有する第1板材131と、第2ガイド部142を有する第2板材132と、を有する。本実施形態のガイド部材105aは、第3板材133を有しないことが、本願第2発明の第1の実施形態のガイド部材105と異なる。なお、本実施形態の起立補助装置101aのスライド部材106の構成は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101のスライド部材106の構成と同じである。このように、本実施形態の起立補助装置101aは、ロッド104を有する直動シリンダ103と、第1リンク111a、第2リンク112、第3リンク113及び第4リンク114を有するリンク機構102aと、第1ガイド部141を有する第1板材131及び第2ガイド部142を有する第2板材132を有するガイド部材105aと、第1スライド部151及び第2スライド部152を有するスライド部材106と、を有する。
【0058】
次に、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置101aの動作を説明する。
図22(a)乃至(c),
図23(a)及び(b)は、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。以下、
図22のように人が左向きの座位の状態における起立補助装置の動作を説明する。
図22(a)に示すように、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置101aは、座位状態において全ての部材が人の後方に配置され且つ人の腰部より低位置には部材が存在しない。これにより、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置101aは、固定方法を自由に設計することが可能となる。なお、第2リンク112、第3リンク113、第4リンク114、第1スライド部151、第2スライド部152、バックレスト161は、本願第2発明の第1の実施形態の第2リンク112、第3リンク113、第4リンク114、第1スライド部151、第2スライド部152、バックレスト161と同じ動作をするので、以下に、第1リンク111aの動作を中心に説明する。
【0059】
図22(a)に示す座位の状態から、先ず、直動シリンダ103が、その内部に設けられたロッド104を直動シリンダ103の内部から外部に向けて延出し、リンク機構102aの第1リンク111aを直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させる。その際、直動シリンダ103が有するロッド104は、前述の如く、第1リンク111aに設けられた第1可動回動支点122と第4可動回動支点125との中間に連結されているので、直動シリンダ103の押圧力は、第1リンク111aの重心にかかる。これにより、第1リンク111aは、回転することなく、直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動する。このとき、第1可動回動支点122と第4可動回動支点125とを結ぶ線分が平行に移動する。第1リンク111aが直線的に移動すると、本願第2発明の第1の実施形態と同様に、第2リンク112が反時計回りに回転すると共に上昇し、第2リンク112に固定されたバックレスト161の傾動及び上昇により、人の背部を傾動及び上昇させる(
図22(b))。
【0060】
図22(b)に示す状態から、更に直動シリンダ103の内部に設けられたロッド104が延出し、第1リンク111aを直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、第1リンク111aの一端部に設けられた第1可動回動支点122を中心として、第2リンク112は更に反時計回りに回転し、且つ上昇する。これにより、第2リンク112に固定されたバックレスト161が傾動及び上昇し、人の背部を更に傾動及び上昇させる(
図22(c))。そして、
図22(c)に示す状態から、更に、第1リンク111aを直動シリンダ3の長手方向に直動させると、第2リンク112が、第1可動回動支点122を中心として、更に反時計回りに回転し、且つ上昇して、バックレスト161が傾動及び上昇し、人の背部を更に傾動及び上昇させる(
図23(a))。
【0061】
この
図23(a)に示す状態から、更に、第1リンク111aを直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、本願第2発明の第1の実施形態と同様に、第2リンク112は、上昇すると共に、第1可動回動支点122を中心として、時計回りに回転し、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。これにより、第2リンク112に固定されたバックレスト161も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、バックレスト161に支持された人の背部も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。これにより、人は完全に起立した状態となる(
図23(b))。
【0062】
このように、本実施形態に係る起立補助装置101aは、直動シリンダ103により第1リンク111aを直線的に移動させることによって、人が座位状態から起立する際に、人の腰又は関節等に負担をかけずに起立動作を補助することができる効果を奏しつつ、本実施形態においては、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101における第5リンク115、第6リンク116、第3板材133を排しているので、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101に対し、部品点数を減らすことができる。
【0063】
次に、本願第2発明の第2変形例について説明する。
図24(a)は、本願第2発明の第2変形例に係る起立補助装置を示す側面図、
図24(b)は、同じくこの起立補助装置を示す斜視図、
図25(a),(b)は、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置の組立図、
図26(a)乃至(c)は、本願第2発明の第1変形例に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。
図24(a)、
図25(b)及び
図26(a)に示すように、本実施形態の起立補助装置101bは、基台(図示せず)と、人の背部を支持するバックレスト161と、このバックレスト161を上昇、下降及び傾動させる4本のリンクを有するリンク機構102bと、この基台に固定された2個の板材を有するガイド部材105bと、基台に固定された直動シリンダ103と、を有する。また、例えば、このガイド部材105bに沿ってスライドする3個のスライド部を有するスライド部材106aを有するように構成しても良い。
【0064】
本実施形態の起立補助装置101bの直動シリンダ103の構成は、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101の直動シリンダ103の構成と同じである。本実施形態の起立補助装置101bのリンク機構102bの構成を
図24(a)及び(b)並びに
図25(a)及び(b)により説明する。
図24(a)及び(b)並びに
図25(a)及び(b)に示すように、このリンク機構102bは、直動シリンダ103のロッド104とのなす角度が固定された状態でロッド104の先端に連結された棒状の第1リンク111を有する。このロッド104は、棒状の第1リンク111の中間にて第1リンク111を直線的に移動させるものである。そして、この第1リンク111には、第1リンク111の一端部に設けられた第1可動回動支点122(
図25において、122a,122bが連結される部分)にて棒状の第2リンク112の一端部が回転可能に連結されている。この第2リンク112には、バックレスト161が固定されている。そして、第2リンク112には、第2リンク112の他端部に設けられた第2可動回動支点123にて棒状の第3リンク113の一端部が回転可能に連結されている。そして、リンク機構102は、この第3リンク113の他端部に設けられた第3可動回動支点124と第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125とを連結する断面T字の棒状部材である第4リンク114を有する。第3可動回動支点124は、
図25において、124a,124bが連結され、構成される。また、
図25の125a,125bが連結され、第4可動回動支点125が構成される。なお、第3可動回動支点124は、この第4リンク114のT字の垂直部の端部に位置し、第4可動回動支点125は、第4リンク114のT字の水平部の一端部に位置する。なお、第1リンク111の他端部に設けられた第5可動回動支点126には、いずれのリンクも連結されておらず、この第5可動回動支点126は、後述する第3スライドガイド部153a及び第4ガイド部144に沿って移動するものである。このように、本実施形態の起立補助装置101bのリンク機構102bは、第1リンク111と、第2リンク112と、第3リンク113と、第4リンク114と、を有する。本実施形態のリンク機構102bは、第5リンク115及び第6リンク116を有しないことが、本願第2発明の第1の実施形態のリンク機構102と異なる。
【0065】
そして、本実施形態の起立補助装置101bのガイド部材105bの構成を
図24(a)及び(b)並びに
図25(a)及び(b)により説明する。
図24(a)及び(b)並びに
図25(a)及び(b)に示すように、ガイド部材105bは、基台に固定された第1板材131a及び第2板材132を有する。第1板材131aは、第1リンク111の他端部に設けられた第4可動回動支点125を直動シリンダ103の長手方向に沿って移動させる直線状の第1ガイド部141を有すると共に、第1リンク111の他端部に設けられた第5可動回動支点126を直動シリンダ103の長手方向に沿って移動させる直線状の第4ガイド部144を有する。つまり、この第4ガイド部144は、第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125が直動シリンダ103の長手方向に沿って移動する直線状の第1ガイド部141に対して平行であって、且つ第1ガイド部141と同じく第1板材131a上に設けられている。そして、この第1板材131は、第1リンク111と第4リンク114との間に挟まれており、第1リンク111の中間且つ第4リンク114のT字の水平部の一端部の第4可動回動支点125が、この直線状の第1ガイド部141に沿って移動することによって、第1リンク111及び第4リンク114が第1ガイド部141に沿って移動するものである。なお、第1板材131に平行に位置する第2板材132の構成は、本願第2発明の第1の実施形態の第2板材132と同じである。このように、本実施形態の起立補助装置101bのガイド部材105bは、第1ガイド部141及び第4ガイド部144を有する第1板材131aと、第2ガイド部142を有する第2板材132と、を有する。本実施形態のガイド部材105bは、第1板材131aに第4ガイド部144を有すること及び第3板材133を有しないことが、本願第2発明の第1の実施形態のガイド部材105と異なる。
【0066】
次に、本実施形態の起立補助装置101bのスライド部材106aの構成を
図24(a)及び(b)並びに
図25(a)及び(b)により説明する。
図24(a)及び(b)並びに
図25(a)及び(b)に示すように、スライド部材106aは、第1スライド部151、第2スライド部152及び第3スライド部153を有する。このうち、第1スライド部151及び第2スライド部152の構成は、本願第2発明の第1の実施形態の第1スライド部151及び第2スライド部152と同じである。また、このうち、第3スライド部153は、第1板材131aの第4ガイド部144に沿って移動するものである。この第3スライド部153は、第4ガイド部144と平行の方向に直線的に延びており、且つ第4ガイド部144に格納されていると共に、この第3スライド部153の一部を第4ガイド部144から引き出すことも可能である。そして、この第3スライド部153には、第1板材131aに垂直の方向に貫通し、第4ガイド部144と平行の方向に延在する第3スライドガイド部153aが形成されている。この第3スライドガイド部153aは、第5可動回動支点126をロッドの移動方向に平行の方向に移動可能に支持する直線状の部材である。この第3スライドガイド部153a及び第4ガイド部144には、第5可動回動支点126から突出する突起が挿通されており、第5可動回動支点126が、この直線状の第3スライドガイド部153a及び第4ガイド部144に沿って移動することによって、第1リンク111が第3スライドガイド部153a及び第4ガイド部144に沿って移動するものである。なお、第3スライド部153には、第3スライドガイド部153aの縁部から、第3スライドガイド部153aの貫通方向に延びる突起153bが設けられており、この突起153bが第4ガイド部144の縁部に係合されている。つまり、この第3スライド部153は、第1板材131aの第1ガイド部141に沿って移動する第1スライド部151に対して平行に位置し、第1スライド部151と同じ形状を有するものである。このように、本実施形態の起立補助装置101bのスライド部材106aは、第1スライド部151と、第2スライド部152と、第3スライド部153と、を有する。本実施形態のスライド部材106aは、第3スライド部153を有することが、本願第2発明の第1の実施形態のスライド部材106と異なる。
【0067】
次に、本願第2発明の第2変形例に係る起立補助装置101bの動作を説明する。
図26(a)乃至(c),
図27(a)及び(b)は、本願第2発明の第2変形例に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。以下、
図26のように人が左向きの座位の状態における起立補助装置の動作を説明する。
図26(a)に示すように、本願第2発明の第2変形例に係る起立補助装置101bは、座位状態において全ての部材が人の後方に配置され且つ人の腰部より低位置には部材が存在しない。これにより、本願第2発明の第2変形例に係る起立補助装置101bは、固定方法を自由に設計することが可能となる。なお、第1リンク111、第2リンク112、第3リンク113、第4リンク114、第1スライド部151、第2スライド部152、バックレスト161は、本願第2発明の第1の実施形態の第1リンク111、第2リンク112、第3リンク113、第4リンク114、第1スライド部151、第2スライド部152、バックレスト161と同じ動作をするので、以下に、第3スライド部153の動作を中心に説明する。
【0068】
図26(a)に示す座位の状態から、先ず、直動シリンダ103が、その内部に設けられたロッド104を直動シリンダ103の内部から外部に向けて延出し、リンク機構102bの第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させる。第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125が第1スライドガイド部151a及び第1板材131の第1ガイド部141に沿って移動すると共に、第1リンク111の他端部に設けられた第5可動回動支点126が第3スライドガイド部153a及び第1板材131の第4ガイド部144に沿って移動することによって、第1リンク111は、第1スライドガイド部151a及び第1ガイド部141並びに第3スライドガイド部153a及び第4ガイド部144に沿って直線的に移動する。このとき、第1可動回動支点122と第5可動回動支点126とを結ぶ線分が平行に移動する。このように、第1リンク111が直線的に移動すると、本願第2発明の第1の実施形態と同様に、第2リンク112が反時計回りに回転すると共に上昇し、第2リンク112に固定されたバックレスト161が傾動及び上昇することにより、バックレスト161に支持された人の背部が傾動及び上昇する(
図26(b))。
【0069】
図26(b)に示す状態から、更に直動シリンダ103の内部に設けられたロッド104が延出し、第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、第4可動回動支点125が第1スライドガイド部151a及び第1ガイド部141に沿って移動し、第5可動回動支点126が第3スライドガイド部153a及び第4ガイド部144に沿って更に移動する。このように、第1リンク111が直線的に移動することによって、第1リンク111aの一端部に設けられた第1可動回動支点122を中心として、第2リンク112は更に反時計回りに回転し、且つ上昇する。これにより、第2リンク112に固定されたバックレスト161が傾動及び上昇して、バックレスト161に支持された人の背部が更に傾動及び上昇する(
図26(c))。そして、
図26(c)に示す状態から、更に、第1リンク111aを直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、第4可動回動支点125が第1スライドガイド部151aにおいて、人にもっとも近い位置まで到達し、この第4可動回動支点125を有する第1リンク111は、第1スライド部151の一部を第1ガイド部141から引き出すと共に、第5可動回動支点126が第3スライドガイド部153aにおいて、人にもっとも近い位置まで到達し、この第5可動回動支点126を有する第1リンク111は、第3スライド部153の一部を第4ガイド部144から引き出す。このように、第1リンク111が、更に直線的に移動することによって、第2リンク112が、第1可動回動支点122を中心として、更に反時計回りに回転し、し、且つ上昇して、バックレスト161が傾動及び上昇し、人の背部を更に傾動及び上昇させる(
図27(a))。
【0070】
この
図27(a)に示す状態から、更に、第1リンク111を直動シリンダ3の長手方向に直線的に移動させると、第1スライド部151及び第3スライド部153は、夫々第1ガイド部141及び第4ガイド部144から更に引き出される。そして、第1リンク111が、更に直線的に移動することによって、本願第2発明の第1の実施形態と同様に、第2リンク112は、上昇すると共に、第1可動回動支点122を中心として、時計回りに回転し、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。これにより、第2リンク112に固定されたバックレスト161も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、バックレスト161に支持された人の背部も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。これにより、人は完全に起立した状態となる(
図27(b))。
【0071】
このように、本実施形態に係る起立補助装置101bは、第1スライド部151及び第3スライド部153を設けて、第1リンク111を直線的に移動させることによって、人が座位状態から起立する際に、人の腰又は関節等に負担をかけずに起立動作を補助することができる効果を奏しつつ、本実施形態においては、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101における第5リンク115、第6リンク116、第3板材133を排しているので、本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置101に対し、部品点数を減らすことができる。また、
図28に示すように、本願第2発明の第3変形例として、2個の直動シリンダ103a,103bに設けられたロッド104a,104bの先端を、第1リンク111に固定して、第1リンク111を直線的に移動させることもできる。
【0072】
次に、本願第2発明の第2の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図29(a)は、本願第2発明の第2の実施形態に係る起立補助装置を示す側面図、
図29(b)は、同じくこの起立補助装置を示す斜視図、
図30(a)及び(b)は、本願第2発明の第2の実施形態に係る起立補助装置の組立図、
図31(a)乃至(c)は、本願第2発明の第2の実施形態に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。
図29(a)、
図30(b)及び
図31に示すように、本実施形態の起立補助装置101dは、基台(図示せず)と、人の背部を支持するバックレスト161と、人の腰部を支持する座部162と、基台に対して座部162を傾動させると共に、バックレスト161を座部162の傾動に対応して上昇、下降及び傾動させる8本のリンクを有するリンク機構102cと、この基台に固定された3個の板材を有するガイド部材105と、基台に固定された直動シリンダ103と、を有する。また、例えば、このガイド部材105に沿ってスライドする2個のスライド部を有するスライド部材106を有するように構成しても良い。本実施形態の起立補助装置101dは、座部162を有すること、及びリンク機構102cの各リンクの構成が、本願第2発明の第1の実施形態の起立補助装置101と異なる。
【0073】
本実施形態の起立補助装置101dのリンク機構2cの構成を
図29(a)及び(b)並びに
図30(a)及び(b)により説明する。
図29(a)及び(b)並びに
図30(a)及び(b)に示すように、このリンク機構102cは、直動シリンダ103のロッド104とのなす角度が固定された状態でロッド104の先端に連結された棒状の第1リンク111を有する。そして、この第1リンク111には、第1リンク111の一端部に設けられた第1可動回動支点122(
図30において、122a,122bが連結される部分)にて棒状の第2リンク112aが回転可能に連結されている。この第1可動回動支点122は、第2リンク112aの長手方向の中間に設けられている。また、この第2リンク112aには、バックレスト161が固定されている。そして、第2リンク112には、第2リンク112aの一端部に設けられた第2可動回動支点123にて棒状の第3リンク113の一端部が回転可能に連結されている。そして、リンク機構102は、この第3リンク113の他端部に設けられた第3可動回動支点124と第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125とを連結する断面T字の棒状部材である第4リンク114を有する。第3可動回動支点124は、
図30において、124a,124bが連結されて構成され、また第4可動回動支点125は、125a,125bが連結されて構成される。なお、第3可動回動支点124は、この第4リンク114のT字の垂直部の端部に位置し、第4可動回動支点125は、第4リンク114のT字の水平部の一端部に位置する。また、リンク機構102cは、第1リンク111の他端部に設けられた第5可動回動支点126(
図30において、126a,126bが連結される部分)にて一端部が回転可能に連結された棒状の第5リンク115を有し、この第5リンク115の中間に設けられた第6可動回動支点127にて一端部が回転可能に連結された棒状の第6リンク116を有する。そして、第2リンク112aの他端部に設けられた第9可動回動支点171(
図30において、171a,172bが連結される部分)にて棒状の第7リンク117の一端部が回転可能に連結されており、この第7リンク117には、座部162が固定されている。そして、リンク機構102cは、この第7リンク117の他端部に設けられた第10可動回動支点172と基台に設けられ移動しない第2固定回動支点130とを連結する第8リンク118を有する。
図30の172a,172bが連結され、第10可動回動支点172が構成される。なお、ロッド104は、例えば、第1リンク111の中間に設けられた第4可動回動支点125の近傍にて、第1リンク111に連結されている。このように、本実施形態の起立補助装置101dのリンク機構102cは、第1リンク111と、第2リンク112aと、第3リンク113と、第4リンク114と、第5リンク115と、第6リンク116と、第7リンク117と、第8リンク118と、を有する。本実施形態のリンク機構102cは、第2リンク112aの構成並びに第7リンク117及び第8リンク118を有することが、本願第2発明の第1の実施形態のリンク機構102と異なる。なお、本実施形態の直動シリンダ103、ガイド部材105及びスライド部材106は、本願第2発明の第1の実施形態の直動シリンダ103、ガイド部材105及びスライド部材106と同じ構成である。また、本実施形態では、第8リンク118は、基台に設けられた第2固定回動支点130において連結されているが、基台に設けられた第1固定回動支点121aに連結されていてもよい。
【0074】
次に、本願第2発明の第2の実施形態に係る起立補助装置101dの動作を説明する。
図31(a)乃至(c),
図32(a)及び(b)は、本願第2発明の第2の実施形態に係る起立補助装置において、人が座位から立位に姿勢を変更する際の各リンクの動きを示す図である。以下、
図31のように人が左向きの座位の状態における起立補助装置の動作を説明する。なお、第1リンク111、第2リンク112a、第3リンク113、第4リンク114、第5リンク115、第6リンク116、バックレスト161の動作は、本願第2発明の第1の実施形態の第1リンク111、第2リンク112、第3リンク113、第4リンク114、第5リンク115、第6リンク116、バックレスト161と同じ動作をするので、以下に、第7リンク117、第8リンク118、座部162の動作を説明する。
【0075】
図31(a)に示すように、人の腰部は、第7リンク117に固定された座部162に支持されている。この状態から、直動シリンダ103が、その内部に設けられたロッド104を直動シリンダ103の内部から外部に向けて延出し、第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、第1リンク111の一端部に設けられた第1可動回動支点122を中心として、第2リンク112aが反時計回りに回転すると共に上昇する。この第2リンク112aの上昇により、第2リンク112aの他端部に設けられた第9可動回動支点171にて連結された第7リンク117が、第9可動回動支点171を中心として反時計回りに回転する。この第7リンク117の回転により、第7リンク117に固定された座部162が傾動し始め、これにより、座部162に支持された人の腰部が持ち上がる(
図31(b))。このとき、第2リンク112aは、第2リンク112aに固定されたバックレスト161を、この座部162の傾動に対応して、傾動させる。なお、第7リンク117の他端部に設けられた第10可動回動支点172にて連結された第8リンク118は、第10可動回動支点172を中心として時計回りに回転する。
【0076】
図31(b)に示す起立し始める状態から、更に直動シリンダ103の内部に設けられたロッド104が延出し、第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、第2リンク112aは、更に上昇していき、この第2リンク112aの上昇により、第7リンク117が、第9可動回動支点171を中心として更に反時計回りに回転する。これにより、座部162が傾動し、人の腰部を更に持ち上げる(
図31(c))。そして、
図31(c)に示す状態から、更に、第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、第2リンク112aは、更に上昇していき、この、第2リンク112aの上昇により、第7リンク117が、第9可動回動支点171を中心として更に反時計回りに回転する。これにより、座部162が傾動し、人の腰部を更に持ち上げる(
図32(a))。
【0077】
この
図32(a)に示す状態から、更に、第1リンク111を直動シリンダ103の長手方向に直線的に移動させると、本願第2発明の第1の実施形態と同様に、第2リンク112aは、上昇すると共に、第1可動回動支点122を中心として、時計回りに回転する。これにより、第7リンク117は、第9可動回動支点171を中心として反時計回りに回転し、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。そして、第7リンク117に固定された座部162も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、座部162に支持された人の腰部も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。また、第2リンク112aも、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、第2リンク112aに固定されたバックレスト161も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となり、バックレスト161に支持された人の背部も、地面に対しほぼ垂直に起立した状態となる。これにより、人は完全に起立した状態となる(
図32(b))。
【0078】
このように、本実施形態に係る起立補助装置101dは、座部162の傾動により、座部162に支持された人の腰部を持ち上げると共に、第2リンク112aが、座部162の傾動に対応してバックレスト161を傾動及び上昇させて、バックレスト161に支持された人の背部を傾動及び上昇させることにより、人の起立動作を補助しているので、バックレスト161の傾動及び上昇のみで人の起立動作を補助する本願第2発明の第1の実施形態に係る起立補助装置1に対し、更に、人の腰又は関節等に負担をかけずにその起立動作を補助することができる。なお、
図33に示すように、本願第2発明において、座部162aは、バックレスト161に取り付けられていてもよい。これにより、本願第2発明の第2の実施形態のように、第7リンク117及び第8リンク118を設けることなく、座部162aにより、人の腰部を支持し、持ち上げることができる。