特許第5994142号(P5994142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994142
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20160908BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20160908BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   H02G3/16
   H05K7/06 C
   B60R16/02 610A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-249863(P2012-249863)
(22)【出願日】2012年11月14日
(65)【公開番号】特開2014-99977(P2014-99977A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】河村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小宮 優紀
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−136469(JP,A)
【文献】 特開2009−112078(JP,A)
【文献】 特開2012−70462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側に電子部品が装着され、下面側からバスバまたは端子金具が挿入されるフレームを有する電気接続箱において、
前記フレームの前記下面側には、前記バスバまたは前記端子金具が挿入される部品収容部と、該部品収容部に隣接し、何れの部品も挿入されない空洞部と、が設けられており、
前記空洞部の少なくとも一部の下端が前記部品収容部の下端よりも1〜5mm前記上面側に位置している
ことを特徴とする電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに搭載される電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の電気接続箱の分解図である(特許文献1を参照。)。同図に示す電気接続箱201は、箱本体202と、箱本体202に取り付けられるカセットブロック203A,203Bと、箱本体202の開口部202bを覆うアッパカバー(不図示)と、箱本体202の開口部202aを覆うロアカバー(不図示)と、を備えている。なお、図4に示す電気接続箱201は、実際に自動車に搭載される向きと上下反対向きになっている。
【0003】
上記カセットブロック203A,203Bは、合成樹脂で構成され、外形がブロック状に形成されている。カセットブロック203A,203Bの上面203a側にはヒューズやリレー等の電子部品が装着される。カセットブロック203A,203Bの下面203b側には、電線208の端末に取り付けられた端子金具が挿入される端子金具収容部231(部品収容部)と、バスバが挿入されるバスバ収容部(部品収容部)と、何れの部品も挿入されない空洞部と、が設けられている。これら端子金具収容部231、バスバ収容部、空洞部は、それぞれの下端が同じ高さに揃えられている。なお、カセットブロック203Aに接続された電線208は一部のみを図示しており、カセットブロック203Bに接続された電線208は図示を省略している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−15467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した電気接続箱201においては、端子金具収容部231、バスバ収容部、空洞部の下端が同じ高さに揃えられているので、端子金具収容部231及びバスバ収容部と空洞部とが見分けにくく、部品を挿入する際の作業性が低いという問題があった。特に、端子金具収容部231の挿入間口と空洞部の開口部は、大きさが似ていることから端子金具を空洞部に挿入してしまうおそれがあるという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、空洞部と部品収容部とを容易に判別することができ、部品を部品収容部に挿入する際の作業性を向上させることができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、上面側に電子部品が装着され、下面側からバスバまたは端子金具が挿入されるフレームを有する電気接続箱において、前記フレームの前記下面側には、前記バスバまたは前記端子金具が挿入される部品収容部と、該部品収容部に隣接し、何れの部品も挿入されない空洞部と、が設けられており、前記空洞部の少なくとも一部の下端が前記部品収容部の下端よりも1〜5mm前記上面側に位置していることを特徴とする電気接続箱である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載された発明によれば、前記空洞部の少なくとも一部の下端が前記部品収容部の下端よりも1〜5mm前記上面側に位置しているので、空洞部と部品収容部とを容易に判別することができ、バスバ及び端子金具を部品収容部に挿入する際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態にかかる電気接続箱のフレームを示す斜視図である。
図2図1中のA−A線に沿った断面図である。
図3図1に示されたフレームの構成を説明する説明図である。
図4】従来の電気接続箱の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態にかかる「電気接続箱」を図1〜3を参照して説明する。本発明の電気接続箱は、自動車に搭載されて、前記自動車に搭載された電子機器に対して電力供給及び信号伝達を行うものである。また、本発明では、ジャンクションブロック(ジャンクションボックスとも言う。)、ヒューズブロック(ヒューズボックスとも言う。)、リレーブロック(リレーボックスとも言う。)を総称して、以下電気接続箱と呼ぶ。
【0011】
上記電気接続箱は、図1に示す合成樹脂製のカセットブロック1と、該カセットブロック1が収容される合成樹脂製のケース本体(不図示)と、を有している。また、カセットブロック1とケース本体とで請求項の「フレーム」を構成している。
【0012】
上記カセットブロック1は、上面1a側にリレーやヒューズ等の電子部品が装着され、下面1b側からバスバ及び端子金具が挿入される。前記バスバは、金属板にプレス加工等が施されて得られる配線部材である。前記端子金具は、電線の端末に取り付けられている。カセットブロック1の下面1b側には、バスバが挿入されるバスバ収容部2(請求項の「部品収容部」に相当する。)と、端子金具が挿入される端子金具収容部3(請求項の「部品収容部」に相当する。)と、これらバスバ収容部2及び端子金具収容部3に隣接し、何れの部品も挿入されない空洞部4と、前記バスバ及びバスバに接続された入力電源線が挿入される挿入部6と、が設けられている。また、カセットブロック1の側面には、前記ケース本体に係止する係止部10が設けられている。
【0013】
上記バスバ収容部2は、バスバを収容可能な溝状に形成されている。上記端子金具収容部3は、端子金具を収容可能な四角筒状に形成されている。これらバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端は、同じ高さに揃えられている。上記挿入部6は、四角筒状に形成されており、バスバ収容部2に隣接している。挿入部6の下端は、バスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端よりも10mm程度突出している。
【0014】
上記空洞部4は、バスバ収容部2を構成する壁の外面、端子金具収容部3を構成する壁の外面、カセットブロック1の外壁、隣接する空洞部4間を仕切った隔壁5等により筒状に形成されている。前記隔壁5は、カセットブロック1の剛性を高くするために設けられている。また、図3中の網掛け部B及び斜線部Cに設けられているものが空洞部4である。
【0015】
また、複数の空洞部4のうち、図3中の網掛け部Bに位置する空洞部4の下端は、バスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端よりも1〜2mm上面1a側に位置している。また、複数の空洞部4のうち、図3中の斜線部Cに位置する空洞部4の下端は、バスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端と同じ高さに揃えられている。前記網掛け部Bに位置する「空洞部4の下端」とは、該網掛け部Bに位置する隔壁5の下端5aである。図2に示すように、前記隔壁5の下端5aは、隣接する端子金具収容部3の下端3aよりも寸法h、上面1a側に位置している。前記寸法hは、本実施形態では前述したように1〜2mmである。
【0016】
この「寸法h」は、バスバ収容部2及び端子金具収容部3と空洞部4とを容易に判別するすなわち見分けることができ、かつ、カセットブロック1の剛性に支障が生じない寸法であり、本発明では1〜5mmの範囲内とする。また、本発明において最も好ましいのは、前述したように1〜2mmの範囲内である。
【0017】
このような電気接続箱によれば、図3中の網掛け部Bに位置する空洞部4の下端5aがバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端よりも1〜2mm上面1a側に位置しているので、空洞部4とバスバ収容部2及び端子金具収容部3とを容易に判別することができ、バスバ及び端子金具をバスバ収容部2及び端子金具収容部3に挿入する際の作業性を向上させることができる。また、空洞部4の下端5aがバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端よりも突出していると、バスバ及び端子金具をバスバ収容部2及び端子金具収容部3に挿入し難いが、本電気接続箱においては、空洞部4の下端5aがバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端よりも上面1a側に位置しているので、バスバ及び端子金具の挿入作業性を低下させることがない。
【0018】
また、上記電気接続箱において、図3中の網掛け部Bに位置する空洞部4の下端5aのみをバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端よりも上面1a側に位置させ、図3中の斜線部Cに位置する空洞部4の下端をバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端と同じ高さに揃えている理由は、以下の通りである。
【0019】
すなわち、図3中の網掛け部Bに位置する空洞部4の開口部は、隣接する端子金具収容部3の挿入間口と大きさが似ていることから、端子金具を前記空洞部4に挿入してしまうおそれがあるので、これを防止するために、該空洞部4の下端5aをバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端よりも上面1a側に位置させている。
【0020】
これに対し、図3中の斜線部Cに位置する空洞部4の開口部は、隣接する端子金具収容部3の挿入間口よりも一回り小さく、端子金具を該空洞部4に誤って挿入しようとしても挿入不可能な大きさであるので、該空洞部4の下端をバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端と同じ高さに揃えている。また、図3中の斜線部Cに位置する空洞部4においては、端子金具を誤挿入するおそれはないが、空洞部4と端子金具収容部3とを判別し易くするために該空洞部4の下端をバスバ収容部2及び端子金具収容部3の下端よりも上面1a側に位置させても勿論構わない。
【0021】
また、上述した実施形態では、カセットブロック1とケース本体とが別体で構成されていたが、本発明においては、カセットブロック1とケース本体とが一体で構成されていても良い。
【0022】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 フレーム
1a 上面
1b 下面
2 バスバ収容部(部品収容部)
3 端子金具収容部(部品収容部)
4 空洞部
図1
図2
図3
図4