特許第5994310号(P5994310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994310
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】印判
(51)【国際特許分類】
   B41K 1/50 20060101AFI20160908BHJP
   B41K 1/58 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   B41K1/50 J
   B41K1/58 K
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-61345(P2012-61345)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-193286(P2013-193286A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】大竹 拓哉
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−251555(JP,A)
【文献】 特開平02−130182(JP,A)
【文献】 特開2008−173919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41K 1/50
B41K 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持筒とその内部に設けられている印判本体の下方部との間に復帰ばねの弾発力によって下端開口が常時は印判本体の多孔性印字部の印面より下方に位置する昇降動自在なスライドカバを介在させた印判において、前記復帰ばねが印判本体に形成されている外鍔とスライドカバ間に介在されてスライドカバと印判本体の双方の復帰に兼用できるものとされており、前記した印判本体が復帰ばねの弾発力により把持筒内において、該把持筒とは独立に昇降動自在とされるとともにその一部が外部操作で下押可能とされており、且つ、この印判本体の多孔性印字部の印面がスライドカバの下端開口より下方位置まで下押されて捺印位置を目視して位置決め可能な繰出位置において印判本体の昇降動をロックするロック機構が設けられていることを特徴とする印判。
【請求項2】
把持筒の上端側部が切欠開口とされていてこの切欠開口を通じて印判本体の一部を外部操作で下押可能としてある請求項1に記載の印判。
【請求項3】
スライドカバの先端を先細としてある請求項1または2に記載の印判。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被捺印部材の所定の位置に正確に捺印を行うことができる多孔性印材を用いた印判に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような印判としては、不使用時に印面が露呈されて他物を汚さないようにするため、把持筒内に装着した印判本体の印字部の周囲を印判本体と把持筒との間に昇降動自在に介在させたスライドカバで覆ったり、印判本体の印字部を開閉自在な蓋で覆うようにしたものが一般的であり、例えば、特許文献1には、ロック機構を解除すると捺印操作により内筒が後退するとともに蓋の開放が行なわれて印面が被捺印面に接触して捺印を行えるようにした開閉式の蓋付き印鑑が記載されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1の開閉式の蓋付き印鑑は、捺印操作を行って蓋が開かれるとともにスライドカバが後退しても、印判体の印字部がスライドカバの先端より突出しないために捺印者が印面位置の正確な確認をできず、このため、被捺印部材の所定の位置に正確に捺印を行うのが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3864010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、通常のこの種の印判と同様の捺印を行なえることは勿論のこと、捺印者が印面位置の正確な確認をできて限定された位置に精度の高い捺印を行なうことのできる多孔性印材を用いた印判を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記のような課題を解決した本発明の印判は、把持筒とその内部に設けられている印判本体の下方部との間に復帰ばねの弾発力によって下端開口が常時は印判本体の多孔性印字部の印面より下方に位置する昇降動自在なスライドカバを介在させた印判において、前記復帰ばねが印判本体に形成されている外鍔とスライドカバ間に介在されてスライドカバと印判本体の双方の復帰に兼用できるものとされており、前記した印判本体が復帰ばねの弾発力により把持筒内において、該把持筒とは独立に昇降動自在とされるとともにその一部が外部操作で下押可能とされており、且つ、この印判本体の多孔性印字部の印面がスライドカバの下端開口より下方位置まで下押されて捺印位置を目視して位置決め可能な繰出位置において印判本体の昇降動をロックするロック機構が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
なお、印判本体は、その一部が外部操作で下押可能なものとするためには、把持筒の頂部を開口として印判本体の頂頭部を把持筒の頂部の開口よりノックできるようにするほか、把持筒の胴壁に縦溝を設けてこれより印判本体に設けた操作用突子を介入させるようにするなど他の手段であってもよく、また、スライドカバの先端は先細としておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は前記したように、把持筒とその内部に装着される印判本体の下方部との間に復帰ばねの弾発力により下端開口が常時は印判本体の多孔性印字部の印面より下方に位置するが捺印操作により下端開口が多孔性印字部の印面と一致する昇降動自在なスライドカバを介在させた印判であるから、常時は印面が印判本体の印字部の周囲を覆うように把持筒との間に介在されているスライドカバーにより外部に露呈されて他物を汚すことがないうえ、通常の捺印は従来のこの種の印判と同様スライドカバーを被捺印面の捺印したい箇所に当てて把持筒を下押す通常の捺印操作を行なえばよいが、本発明では、印判本体が復帰ばねの弾発力により把持筒内において昇降動自在とされるとともにその一部が外部より下押可能に露呈されており、且つ、この印判本体の多孔性印字部の印面がスライドカバの下端開口より下方位置まで下押された繰出位置で印判本体の昇降動をロックするロック機構が設けられているから、下記するような簡単な操作で印面が露出した状態を保持して限定された位置に行う精度の高い捺印を行なうことができる。
【0009】
すなわち、被捺印部材の限定された位置に精度の高い捺印を行いたいときには、先ず、把持筒を把持してこの一部が外部より下押可能に露呈されている印判本体を下押して多孔性印字部の印面がスライドカバの下端開口より下方位置に繰出すと、印面がスライドカバの下端開口より下方位置まで下押された位置で印判本体の昇降動を止めるように設けられているロック機構が働いてロックされ、印判本体の印面は把持筒やスライドカバの下端より下方に露呈された状態を保持するから、この状態で被捺印部材の捺印したい箇所に正確な位置決めを行なって捺印を行うことができ、この間印判本体は把持筒やスライドカバに対して昇降動されないように保持されているので、多孔性印字部の印面により的確な印字が行なわれることとなる。そして、捺印後はロック機構による前記したロックを解けば、印判本体とスライドカバが復帰ばねの復元力で下降して印判本体の印字部の周囲をスライドカバーが覆うこととなり、印面が外部に露呈されて他物を汚すことのない通常の状態に復帰することとなる。このようにスライドカバの下端を捺印面に当接させてスライドカバ越しに行う位置精度の低い通常捺印と、印面をスライドカバの下端より突出させて捺印位置を目視して位置決めをする位置精度の高い位置決め捺印とに簡単な操作で切り替えて行うことができることとなって2種類の印判を用意する必要がない。
【0010】
さらに、請求項1のように、復帰ばねを昇降動自在なスライドカバと印判本体の双方に兼用できるものとしておけば、1種の復帰ばねでよいので組み立ても容易なうえにコストダウンを図ることができ、また、請求項2のように、印判本体の一部が外部操作で下押可能なものとするために、把持筒の上端側部をノック部操作用の切欠開口とされていてこの切欠開口を通じて印判本体の一部を外部操作で下押可能としたものは、部品点数が少なくて済む簡単な厚生とすることができるうえに、スライドカバを被捺印面の捺印したい箇所に当てて把持筒を下押す通常の捺印操作を行なうときに、帽状ホルタが誤って下押される不具合が軽減されて印面に不要な力がかかり難くなり鮮明な捺印印影を得るうえにも有効であり、さらに、請求項3のように、スライドカバの先端を先細としたものは、捺印面がスライドカバに邪魔され難くなって目視が容易になるので、より的確に位置決め捺印ができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の印判本体を繰出した状態を示す側面図である。
図2】同じく平面図である。
図3】同じく斜視図である。
図4】同じく斜視図である。
図5図2のA−A断面図である。
図6図2のB−B断面図である。
図7】印判本体の通常状態を示す一部切欠斜視図である。
図8】通常捺印時を示す一部切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の好ましい実施形態を図1〜8に基づいて詳細に説明する。
1は印判であって、この印判1は把持筒2と、スライドカバ3と、カートリッジ式の印判本体4と、この印判本体4とスライドカバ3の双方を復帰スライドさせる1個の復帰ばね5と、この印判本体4の多孔性印字部の印面がスライドカバ3の下端開口より下方位置まで下押された位置で印判本体の昇降動を止めるロック機構6とからなる。
前記した印判本体4は、図5,6に示されるように、頭頂部が下押用のノック部に形成された帽状体の内頂面に連繋筒部を続かせた二重構造のホルダ部材4aの下部にこれよりやや細径の帽状の受筒部4bをを続かせてその内部に印字カートリッジ7を装着したものであり、また、前記した把持筒2の先方部と印字カートリッジ7との間にはスライドカバ3が昇降動自在に嵌着されるとともに、印判本体4も把持筒2の内部で昇降動自在なものとしてある。
【0013】
前記把持筒2は、図5,6に示されるように、下方部内面にスライドカバ3を係止する段部21aを形成した下部筒体21の上部にノック部操作用の切欠開口22が側部に形成された上部筒体23を続かせたもので、下部筒体21と上部筒体23とは図6に示されるように、下部筒体21の上端内面に形成された係止凸部21bと、上部筒体23に形成された係合用凹部23aとを係合して一体化されている。さらに、前記した切欠開口22は印判本体4の頭頂部をノックして下向きに繰出すスライドストロークよりも余裕を持たせて形成されていて、印判本体4がロック機構6によりロックされるまで確実に繰出すことができる。
【0014】
スライドカバ3は、図5, 6に示されるように、上端に把持筒2の段部21aと係合する外鍔30aを形成した上部カバ筒30と、該上部カバ筒30の下部内面に形成した段部30bと係合される係止片33aを形成した下部カバ筒33とからなり、下部カバ筒33は先方部を先細として後記する多孔性印字体73の位置が上方から目視しやすいようにしてある。
【0015】
また、前記した帽状ホルダ4aは印判本体4の長さの約半分とされ、その下端には把持筒2の上部筒体23の下端縁に当接する外鍔4cが形成されている。4dは図5に示されるように受筒部4bの略中間に形成される段部であり、該段部4dはスライドカバ3の下部カバ筒33の上端縁と当接して印判本体4の下降を停止させるストッパとして作用し、また、前記外鍔4cの下端面は復帰ばね5の上端を当接させている。
【0016】
復帰ばね5は、図5,6に示されるように、印判本体4の外鍔4cとスライドカバ3の外鍔30a間に介在され、通常捺印時の後退スライドしたスライドカバ3を旧状にスライド復帰させるとともに、スライドカバ3より下方にスライドして繰出しされた印判本体4とのロック機構6によるロックを解除した際、印判本体4を旧状にスライド復帰させるものである。
【0017】
ロック機構6は、図5に示されるように、印判本体4の外向きの突子60aを形成した弾性片60と、該弾性片60の突子60aを嵌合係止させる把持筒2の係止孔2aとよりなるものであり、印判本体4をノックして下向きに繰出し、スライドカバ3の下部カバ筒33の上端縁に印判本体4の段部4dが当接することにより繰出しは停止される。このとき、係止孔2aに弾性片60の突子60aが没入係止されて印判本体4が復帰ばね5の付勢力で旧状に復帰することを防止している。そして、ロックの解除は、例えば、係止孔2aを覆っている後記するクリップ2bを持ち上げて係止孔2aを露呈させたうえ、係止孔2aからボールペンの先で突子60aを押せば、突子60aは係止孔2aから抜け出るので、印判本体4は復帰ばね5の付勢力で旧状に復帰する。また、他のロック解除手段としては係止孔2aを覆っているクリップ2bの先端に球状部分を設けて(図示せず)この球状部分で突子60aを押して突子60aを係止孔2aから抜け出させることによって、印判本体4を復帰ばね5の付勢力で旧状に復帰させることもでき、このようにした場合はクリップ2bの弾性力を利用して容易にロックを解除できるので都合がよい。
【0018】
印字カートリッジ7は、図5,6に示されるように、印判本体4を係止させる外鍔70aを先方部に形成した筒状体70の上端にインキ補給用のキャップ71を嵌着するとともに、筒状体70の先方部内面に形成した拡径凹部70bにインキ吸蔵体72を嵌合係止し、該インキ吸蔵体72と当接させた多孔性印字体73を金属製留め具74で筒状体70の下端に取付けたものである。なお、クリップ2bは把持筒2の上部筒体23に形成された携行用のものであって、図示例におけるクリップ2bはその先端隆起部が係止孔2aを塞いで不用意に突子60aが押されて繰出し状態が解除されることがないような位置に設けてあるが、必ずしもクリップ2bに前記のような機能を発揮することはないので、クリップ2bの位置は携行用として便利な位置であれば特に限定されるものではない。
【0019】
このように構成されたものは、通常捺印の際には、図7に示される状態で把持筒2を把持し、スライドカバ3を捺印面に押し当てれば、スライドカバ3は復帰ばね5の付勢力に抗して後退し、図8に示される状態となり印判本体4の印字カートリッジ7の下端にある印面は被捺印面に接触して通常の捺印が行なわれるが、多孔性印字体73はその周囲がスライドカバ3により覆われているので、捺印位置を正確に位置決めすることができない。このため、多孔性印字体73を正確に被捺印面に合わせる必要がある場合は、切欠開口22を介して印判本体4のノック部を指で押し下げれば、図1,3,4,5,6に示されるように、印判本体4は下向きに繰出しされて多孔性印字体73の印面はスライドカバ3の下端開口より下方に突出され、この繰出しによりロック機構6の係止孔2aは突子60aに嵌合係止されて繰出し状態が維持される。
【0020】
このように、スライドカバ3より多孔性印字体73の印面が突出されることと、先方を先細としたスライドカバ3との相乗効果により、印面と被捺印面との位置を確認して捺印位置を正確に位置決めすることができるので、限定された位置に正確に捺印を行うことができる。
【0021】
また、このような印判1を組み立てるには、先ず、把持筒2の下部筒体21内に嵌挿させたスライドカバ3の外鍔30aを下部筒体21の段部21aに係止させる。続いて、外鍔30aに復帰ばね6の下端と当接支持させたうえ、印判本体4を把持筒2内に嵌挿し、復帰ばね5の上端に帽状ホルダ4aの外鍔4cを当接支持させ、続いて、下部筒体21と上部筒体23をその係止凸部21aと係止凹部23aをもって連結一体化する。その後、印字カートリッジ7をスライドカバ3の下端開口より挿し込んで印判本体4の受筒部4bに装着すれば簡単に組み立てが完了するので、簡単に組み立てることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 印判
2 把持筒
2a 係止孔
2b クリップ
21 下部筒体
21a 段部
21b 係止凸部
22 切欠開口
23 上部筒体
23a 係止用凹部
3 スライドカバ
30 上部カバ筒
30a 外鍔
30b 段部
33 下部カバ筒
33a 係止片
4 印判本体
4a 帽状ホルダ
4b 受筒部
4c 外鍔
4d 段部
5 復帰ばね
6 ロック機構
60 弾性片
60a 突子
7 印字カートリッジ
70 筒状体
70a 外鍔
70b 拡径凹部
71 鍔付キャップ
72 インキ吸蔵体
73 多孔性印字体
74 金属製留め具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8