(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994345
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】蓄電池の温度調節装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/613 20140101AFI20160908BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20160908BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20160908BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20160908BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20160908BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20160908BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20160908BHJP
H01M 10/6557 20140101ALI20160908BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20160908BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20160908BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/653
H01M10/6551
H01M10/6555
H01M10/6557
H01M10/6567
H01M10/6568
B60L11/18 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-87173(P2012-87173)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-12463(P2013-12463A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】特願2011-120611(P2011-120611)
(32)【優先日】2011年5月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】坂 直樹
【審査官】
坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−050000(JP,A)
【文献】
特開2009−054297(JP,A)
【文献】
特開2000−108687(JP,A)
【文献】
特開平10−241739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60−10/667
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を構成するセルの外壁面に設置される蓄電池の温度調節装置であって、前記セルの外壁面に接触して取り付けられる樹脂製の中空の筐体内に、前記筐体の外部に連通する流入口と流出口とを両端部に有する温調流体の流路が設けられているとともに、前記流路と前記筐体との隙間に熱媒体が充填されていて、前記流路に接続されて前記筐体の外部に延設される外部流路または前記筐体に、他の部分よりも厚みが相対的に薄い部分が形成されていて、前記相対的に薄い部分を含んで構成された流体噴出部が設けられていて、前記セルの温度が基準温度に上昇した際に、前記温調流体の膨張圧力により、前記流体噴出部を破裂させて、この流体噴出部を通じて前記温調流体を、そのセルに対して噴出する構成にしたことを特徴とする蓄電池の温度調節装置。
【請求項2】
前記熱媒体が高分子化合物である請求項1に記載の蓄電池の温度調節装置。
【請求項3】
前記高分子化合物に金属粉を混合した請求項2に記載の蓄電池の温度調節装置。
【請求項4】
前記流路の内壁及び外壁の少なくとも一方にフィンを突設した請求項1〜3のいずれかに記載の蓄電池の温度調節装置。
【請求項5】
蓄電池を構成するセルの外壁面に設置される蓄電池の温度調節装置であって、前記セルの外壁面に接触して取り付けられる樹脂製の中空の筐体内に、前記筐体の外部に連通する流入口と流出口とを両端部に有する温調流体の流路が設けられているとともに、前記流路と前記筐体との隙間に熱媒体が充填されていて、前記筐体に熱媒体噴出部が設けられていて、前記セルの温度が基準温度に上昇した際に、前記熱媒体噴出部を通じて前記熱媒体を、そのセルに対して噴出する構成にしたことを特徴とする蓄電池の温度調節装置。
【請求項6】
前記筐体に他の部分よりも厚みが相対的に薄い部分を形成し、前記相対的に薄い部分を含んで前記熱媒体噴出部を構成し、前記セルの温度が前記基準温度になった時の前記熱媒体の膨張圧力により、前記熱媒体噴出部を破裂させて前記熱媒体を噴出する請求項5に記載の蓄電池の温度調節装置。
【請求項7】
前記熱媒体噴出部が、前記基準温度になった時に開弁する開閉バルブである請求項5に記載の蓄電池の温度調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電池の温度調節装置に関し、更に詳しくは、蓄電池を均一に冷却及び加温することができる蓄電池の温度調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車からの排気ガスによる大気汚染や、二酸化炭素による地球温暖化、更には石油資源の枯渇などの問題から、電気モータを動力源とする電気自動車の開発が進められている。この電気自動車の電気モータは、車載された二次電池(蓄電池)から電力を供給される。
【0003】
一般に蓄電池は、充放電の度に反応熱やジュール熱が発生するため高温になりやすい。例えば、車載用の蓄電池として有望視されているリチウムイオン電池では、そのまま充放電を繰り返すと、約60℃以上の温度になることがあるが、そのような高温になると、放電率が高くなったり電極が劣化したりして性能が低下する。一方、低温すぎると蓄電池の起電力が低下するという不具合もある。そのため、蓄電池には適切な温度管理が必要となる。
【0004】
蓄電池の温度管理を行う手段として、例えば特許文献1は、蓄電池のケースの外壁面に側板を気密に熱溶着し、その外壁面と側板との間に冷却流体を循環させる温度調節装置を提案している。
【0005】
しかし、上記の温度調節装置では、蓄電池の外壁面と冷却流体とが直接に接触して、冷却流体が熱を奪いつつ外壁面に沿って移動するので、蓄電池を均一に冷却することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−215804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、蓄電池を均一に冷却及び加温することができる蓄電池の温度調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明の蓄電池の温度調節装置は、蓄電池を構成するセルの外壁面に設置される蓄電池の温度調節装置であって、前記セルの外壁面に接触して取り付けられる樹脂製の中空の筐体内に、前記筐体の外部に連通する流入口と流出口とを両端部に有する温調流体の流路
が設けられているとともに、前記流路と前記筐体との隙間に熱媒体
が充填されていて、前記流路に接続されて前記筐体の外部に延設される外部流路または前記筐体に、他の部分よりも厚みが相対的に薄い部分が形成されていて、前記相対的に薄い部分を含んで構成された流体噴出部が設けられていて、前記セルの温度が基準温度に上昇した際に、前記温調流体の膨張圧力により、前記流体噴出部を破裂させて、この流体噴出部を通じて前記温調流体を、そのセルに対して噴出する構成にしたことを特徴とするものである。
また、本発明の別の蓄電池の温度調節装置は、蓄電池を構成するセルの外壁面に設置される蓄電池の温度調節装置であって、前記セルの外壁面に接触して取り付けられる樹脂製の中空の筐体内に、前記筐体の外部に連通する流入口と流出口とを両端部に有する温調流体の流路が設けられているとともに、前記流路と前記筐体との隙間に熱媒体が充填されていて、前記筐体に熱媒体噴出部が設けられていて、前記セルの温度が基準温度に上昇した際に、前記熱媒体噴出部を通じて前記熱媒体を、そのセルに対して噴出する構成にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の蓄電池の温度調節装置によれば、蓄電池を構成するセルの外壁面に接触して取り付けられる樹脂製の中空の筐体内に、その筐体の外部に連通する流入口と流出口とを両端部に有する温調流体の流路を設けるとともに、流路と筐体との隙間に熱媒体を充填するようにしたので、セル及び温調流体の一方で発生した熱が、熱媒体において均一に分散され蓄えられてから他方へ伝達されるため、蓄電池を均一に冷却及び加温することができる。
【0010】
熱媒体としては、熱伝導性が高くかつ成形性が良いことから、高分子化合物を用いることが望ましく、その高分子化合物には金属粉を混合して熱伝導度を向上させるのがよい。
【0011】
また、流路の内壁及び外壁の少なくとも一方にフィンを突設することで、伝熱面積を増加させて熱伝達性を向上させることができる。
【0012】
本発明では、前記流路に接続されて前記筐体の外部に延設される外部流路または前記筐体に流体噴出部を設け、前記セルの温度が基準温度に上昇した際に、前記流体噴出部を通じて前記温調流体を、そのセルに対して噴出する構成に
する。この構成によれば、セル(蓄電池)が異常発熱した場合に温調流体をセルに噴出させることができる。したがって、セルに噴出された温調流体が気化する際の気化熱によって、そのセルの温度を低下させることができ、異常時の安全性が向上する。
【0013】
具体的には、例えば、前記外部流路または前記筐体に、他の部分よりも厚みが相対的に薄い部分を形成し、前記相対的に薄い部分を含んで前記流体噴出部を構成し、前記セルの温度が前記基準温度になった時の前記温調流体の膨張圧力により、前記流体噴出部を破裂させて前記温調流体を噴出する
仕様にする。
【0014】
また、
本発明の別の蓄電池の温度調節装置では、前記筐体に熱媒体噴出部を設け、前記セルの温度が基準温度に上昇した際に、前記熱媒体噴出部を通じて前記熱媒体を、そのセルに対して噴出する構成に
する。この構成によれば、セル(蓄電池)が異常発熱した場合に熱媒体をセルに噴出させることができる。したがって、セルに噴出された熱媒体が気化する際の気化熱によって、そのセルの温度を低下させることができ、異常時の安全性が向上する。
【0015】
具体的には、例えば、前記筐体に他の部分よりも厚みが相対的に薄い部分を形成し、前記相対的に薄い部分を含んで前記熱媒体噴出部を構成し、前記セルの温度が前記基準温度になった時の前記熱媒体の膨張圧力により、前記熱媒体噴出部を破裂させて前記熱媒体を噴出する仕様にする。或いは、前記熱媒体噴出部が、前記基準温度になった時に開弁する開閉バルブである仕様にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の
参考形態からなる蓄電池の温度調節装置を蓄電池に取り付けた場合を示す斜視図である。
【
図3】
図2におけるY−Y断面における構造例を説明する分解図である。
【
図4】
図3におけるZ部の変形例の拡大断面図である。
【
図5】本発明の
参考形態からなる蓄電池の温度調節装置を蓄電池に取り付けた場合の別の例を示す斜視図である。
【
図6】外部流路に流体噴出部を設けた実施形態を例示する説明図である。
【
図7】筐体に流体噴出部を設けた実施形態を例示する説明図である。
【
図8】筐体に熱媒体噴出部を設けた実施形態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の
参考形態からなる蓄電池の温度調節装置を、蓄電池に取り付けた場合を示す。
【0019】
この蓄電池1は、車載用のリチウムイオン電池であり、複数のセル2を互いに電気的に直列又は並列に接続し、それらのセル2を側面が対向するように整列させてバンド3で固定したものである。リチウムイオン電池は、コバルト酸リチウムなどからなる正極と、カーボンからなる負極との間をリチウムイオンが移動することで電気の充放電を行うことを原理とし、エネルギー密度が高く、繰り返し充放電可能回数が大きいなどの多くの優れた特性を持つため、電気自動車の車載用バッテリーとして有望視されている。
【0020】
本発明の蓄電池の温度調節装置4(以下、「温度調節装置4」という。)は、直方体状の樹脂製の筐体5の上部に、水や不凍液を混合した冷却水などの温調流体の流入口6及び流出口7を設けた外観構造を有し、セル2の互いに対向する外壁面(側面)の間に表面が密着するようにして取り付けられている。この
図1の例では、4台のセル2の各側面間に1台ずつ計3台の温度調節装置4を取り付けているが、両端のセル2において外部へ露出している側面に取り付けるようにしてもよい。
【0021】
図2に示すように、筐体5はセルの側面と同一形状の表面を有する中空体であり、流入口6と流出口7とは、筐体5の内部を蛇行状に延びる流路8(例えば、直径が約3〜5mm)により連通している。この例では、流路8は1本であるが、途中で分岐させるなどして複数本を設けるようにしてもよい。
【0022】
筐体5と流路8との隙間には、高分子化合物からなる熱媒体9が充填されている。高分子化合物としては、熱伝導性が高くかつ成形性が良いことから、シリコーンゴムや水とゲル剤(天然高分子や合成高分子からなる高分子ゲル)などが好適に用いられる。また、筐体5の材料としては、成形性に優れたABS樹脂などの熱可塑性樹脂などが好ましく例示される。
【0023】
このような構造の温度調節装置4は、例えば
図3に示すように、片面に凹部10を有するアッパーパネル11の内側に熱媒体9を充填し、その熱媒体9の上から蛇行状の溝12が形成されたセンターパネル13を積層し、そのセンターパネル13の上から凹部10に平板状のロアパネル14を嵌め込むことにより製作することができる。各パネル11、13、14は、例えば150×200×1mmのサイズを有し、モールドによる成形加工で容易に製造される。また、樹脂を材料とすることで軽量化を図ることができるため、車載用バッテリーに取り付けた場合には燃費を損わないという利点もある。
【0024】
この温度調節装置4の流入口6に、図示しない温調流体供給装置で適当な温度に調節した温調流体15を供給し、流路8を経て流出口7から再び温調流体供給装置へ戻して循環させることにより、セル2の冷却又は加温を行う。つまり、セル2を冷却するときには温調流体15を低温にし、加温するときには温調流体15を高温にする。具体的な温度調節範囲としては、例えばリチウムイオン電池の場合には、セル2の温度を約10〜40℃の範囲にする。なお、温調流体供給装置においては、温調流体15の温度だけでなく流速も調節することで、セル2の温度をより正確に調節することができる。
【0025】
このとき、セル2と温調流体15との間の熱伝達は、熱媒体9を介して行われることになる。その際には、セル2及び温調流体15の一方で発生した熱は、熱媒体9において均一に分散され蓄えられてから他方へ伝達されるため、セル2を均一に冷却及び加温することができる。
【0026】
また、セル2と温調流体15との間に熱媒体9が介在して直接に接触しにくくなるため、蓄電池1の安全性を向上させることも期待できる。
【0027】
熱媒体9である高分子化合物には、金属粉を混合させることが望ましい。金属粉としては、アルミニウム粉末やチタン粉末などが好ましく例示される。そのようにすることで、熱媒体9の熱伝導度が高くなるので、温度調節の性能をより向上することができる。
【0028】
また、
図4に示すように、流路8(溝12)内に内壁16及び/又は外壁17から突出するフィン18を設けることにより、伝熱面積を増加させて温度調節の性能を更に向上することが可能である。なお、外壁17のみにフィン18を設けた場合には、温調流体15の流動性を妨げることなく、伝熱面積を増加できるという利点がある。
【0029】
温度調節装置4は、
図5に示すように、セル2の底面にも取り付けることもできる。そ
の場合には、複数のセル2の底面に跨るようにするのが良い。
【0030】
ところで、蓄電池1は、内部の異常(短絡等)によって内部の電解液が発火する危険性がある。発火に至る過程では蓄電池1が異常加熱されることになる。そのため、蓄電池1(セル2)が予め設定した基準温度Mまで上昇した場合には危険であると判断して、その時に蓄電池1の温度を低下させることが安全性の向上につながる。
【0031】
そこで、異常加熱した蓄電池1の温度を低下させるために、
図6に例示する実施形態のように、温度調節装置4に流体噴出部20を設けることもできる。この実施形態では、流路8に接続されて筐体5の外部に延びる外部流路19が設けられていて、この外部流路19に流体噴出部20が設けられている。
【0032】
外部流路19は温調流体供給装置に接続されていて、流路8および外部流路19には設定された温度に調節された温調流体15が流通する。そして、セル2の温度が基準温度Mに上昇した際に、流体噴出部20を通じて、温調流体15がそのセル2に対して噴出される構成になっている。
【0033】
具体的には、外部流路19の壁面に、外部流路19の壁面の他の部分よりも厚みが相対的に薄い部分20aを形成し、この相対的に薄い部分20aを含んで流体噴出部20を構成する。この流体噴出部20(相対的に薄い部分20a)は、セル2の温度が基準温度Mになった時の温調流体15の膨張圧力により破裂されるように形成されている。
【0034】
例えば、セル2が基準温度Mまで高温になった場合は、この高温の影響を受けて温調流体15も高温になる。そのため、温度上昇した温調流体15の膨張圧力が外部流路19に作用して、相対的に薄い部分20aが破裂されて、セル2に対して温調流体15が噴出されることになる。そして、セル2に噴出された温調流体15が気化する際の気化熱によって、そのセル2の温度を低下させることができる。それ故、セル2(蓄電池1)が異常発熱した場合に温度を低下させて安全性を向上させることができる。尚、基準温度Mは、例えば60℃〜70℃の範囲で設定される。
【0035】
図7に例示する実施形態のように、筐体5に流体噴出部20を設け、セル2の温度が基準温度Mに上昇した際に、流体噴出部20を通じて温調流体15を、そのセル2に対して噴出する構成にすることもできる。この実施形態では、筐体5の壁面に、筐体5の壁面の他の部分よりも厚みが相対的に薄い部分20aを形成し、この相対的に薄い部分20aを含んで流体噴出部20を構成する。この流体噴出部20(相対的に薄い部分20a)は、セル2の温度が基準温度Mになった時の温調流体15の膨張圧力により破裂されて、セル2に対して温調流体15が噴出されることになる。
【0036】
流体噴出部20としては、基準温度Mになった時に開弁する開閉バルブを採用することもできる。この場合、セル2の温度が基準温度Mになった時の温調流体15の膨張圧力によって、閉弁していた開閉バルブが開弁して、セル2に対して温調流体15が噴出されることになる。
【0037】
或いは、外部流路19または筐体5のそれぞれの壁面に、それぞれの壁面の他の部分の材質よりも熱変形し易い材質を一部分に採用して相対的に弱い部分を形成し、この相対的に弱い部分を含んで流体噴出部20を構成する。そして、セル2の温度が基準温度Mになった時の温調流体15の膨張圧力により、流体噴出部20(相対的に弱い部分)を破裂させて温調流体15をセル2に対して噴出させる構成にする。
【0038】
図8に例示する実施形態のように、異常加熱した蓄電池1の温度を低下させるために、筐体5に熱媒体噴出部21を設けることもできる。そして、セル2の温度が基準温度Mに上昇した際に、熱媒体噴出部21を通じて、筐体5と流路8との隙間に充填されている流動性のある熱媒体9がそのセル2に対して噴出される構成になっている。
【0039】
具体的には、筐体5の壁面に、筐体5の壁面の他の部分よりも厚みが相対的に薄い部分21aを形成し、この相対的に薄い部分21aを含んで熱媒体噴出部21を構成する。この熱媒体噴出部21(相対的に薄い部分21a)は、セル2の温度が基準温度Mになった時の熱媒体9の膨張圧力により破裂されるように形成されている。
【0040】
例えば、セル2が基準温度Mまで高温になった場合は、この高温の影響を受けて熱媒体9も高温になる。そのため、温度上昇した熱媒体9の膨張圧力が筐体5に作用して、相対的に薄い部分21aが破裂されて、セル2に対して熱媒体9が噴出されることになる。そして、セル2に噴出された熱媒体9が気化する際の気化熱によって、そのセル2の温度を低下させることができる。それ故、セル2(蓄電池1)が異常発熱した場合に温度を低下させて安全性を向上させることができる。熱媒体噴出部21は、筐体5の上部に設けるのが好ましい。
【0041】
熱媒体噴出部21としては、基準温度Mになった時に開弁する開閉バルブを採用することもできる。この場合、セル2の温度が基準温度Mになった時の熱媒体9の膨張圧力によって、閉弁していた開閉バルブが開弁して、セル2に対して熱媒体9が噴出されることになる。
【0042】
或いは、筐体5の壁面に、筐体5の壁面の他の部分の材質よりも熱変形し易い材質を一部分に採用して相対的に弱い部分を形成し、この相対的に弱い部分を含んで熱媒体噴出部21を構成する。そして、セル2の温度が基準温度Mになった時の熱媒体9の膨張圧力により、熱媒体噴出部21(相対的に弱い部分)を破裂させて熱媒体9をセル2に対して噴出させる構成にする。
【0043】
尚、温度調節装置4には、既述した少なくとも1種類の流体噴出部20と、既述した少なくとも1種類の熱媒体噴出部21とを同時に設けることもできる。
【符号の説明】
【0044】
1 蓄電池
2 セル
3 バンド
4 温度調節装置
5 筐体
6 流入口
7 流出口
8 流路
9 熱媒体
10 凹部
11 アッパーパネル
12 溝
13 センターパネル
14 ロアパネル
15 温調流体
16 内壁
17 外壁
18 フィン
19 外部流路
20 流体噴出部
20a 相対的に薄い部分
21 熱媒体噴出部
21a 相対的に薄い部分