(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、レジストや、触媒担持層を成膜したり、レジスト上に反応流路のパターンを形成するためにリソグラフィーを行ったり、エッチングしたりするための装置が大がかりなものとなっていた。また、反応流路の流路断面積や、流路長ごとにパターンを準備する必要があり、パターンを作成するためのコストを要していた。
【0008】
また、触媒は、金属酸化物(セラミック)で構成されているため、金属との密着性が低い。したがって、特許文献2の技術を用いて、触媒粉末を単に金属基材に圧着したとしても、金属基材と触媒との高い密着性を実現することができず、金属基材から触媒が脱落(剥離)するおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、このような課題に鑑み、簡易な構成かつ低コストで、反応流路における触媒の密着性の向上を図ることが可能な側壁管製造方法、
および、側壁管製造システ
ムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の側壁管製造方法は、反応対象となる流体である反応流体が流通する反応流路の側壁として機能する側壁管を製造する側壁管製造方法であって、開口部を有する中空の多孔質体で構成され
るとともに金属で形成された多孔質管における外表面に、
金属酸化物で構成された触媒の粒子が溶媒に分散された液、または、
金属酸化物で構成された触媒の前駆体の粒子が溶媒に分散された液である触媒液を接触させる工程と、多孔質管を触媒液に接触させた状態で、開口部から溶媒を吸引して、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子を多孔質管の外表面に付着させる工程と、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子が付着した多孔質管を加熱する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の他の側壁管製造方法は、反応対象となる流体である反応流体が流通する反応流路の側壁として機能する側壁管を製造する側壁管製造方法であって、開口部を有する中空の多孔質体で構成され
るとともに金属で形成された多孔質管における内表面に、
金属酸化物で構成された触媒の粒子が溶媒に分散された液、または、
金属酸化物で構成された触媒の前駆体の粒子が溶媒に分散された液である触媒液を接触させる工程と、多孔質管を触媒液に接触させた状態で、多孔質管における外表面から溶媒を吸引して、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子を多孔質管の内表面に付着させる工程と、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子が付着した多孔質管を加熱する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の側壁管製造システムは、反応対象となる流体である反応流体が流通する反応流路の側壁として機能する側壁管を製造する側壁管製造システムであって、開口部を有する中空の多孔質体で構成され
るとともに金属で形成された多孔質管における外表面に、
金属酸化物で構成された触媒の粒子が溶媒に分散された液、または、
金属酸化物で構成された触媒の前駆体の粒子が溶媒に分散された液である触媒液を接触させる接触手段と、接触手段によって、多孔質管が触媒液に接触された状態で、開口部から溶媒を吸引して、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子を多孔質管の外表面に付着させる吸引部と、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子が付着した多孔質管を加熱する加熱部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の他の側壁管製造システムは、反応対象となる流体である反応流体が流通する反応流路の側壁として機能する側壁管を製造する側壁管製造システムであって、開口部を有する中空の多孔質体で構成され
るとともに金属で形成された多孔質管における内表面に、
金属酸化物で構成された触媒の粒子が溶媒に分散された液、または、
金属酸化物で構成された触媒の前駆体の粒子が溶媒に分散された液である触媒液を接触させる接触手段と、接触手段によって、多孔質管が触媒液に接触された状態で、多孔質管における外表面から溶媒を吸引して、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子を多孔質管の内表面に付着させる吸引部と、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子が付着した多孔質管を加熱する加熱部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡易な構成かつ低コストで、反応流路における触媒の密着性の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
(第1の実施形態)
例えば、マイクロリアクタでは、幅、または、高さのいずれかが1mm以下のマイクロチャンネル流路(反応流路)を反応場とすることで反応速度や収率を向上させることができる。また、対流や拡散態様を任意に構成することで迅速混合や能動的に濃度分布をつける等が可能になり、反応条件の厳密な制御ができる。
【0020】
このようなマイクロリアクタにおいて、反応効率を向上させるために、反応流路内に触媒を配し、その反応流路に反応対象となる反応流体を流通させて反応を促進する。また、反応効率をさらに向上させるために、反応流路に並行して、熱媒体が流通する媒体流路を配置する構成が採られている。反応流路において発熱反応が遂行される場合、媒体流路を流通する熱媒体によって、当該反応によって生じた熱が回収され、また、吸熱反応が遂行される場合、媒体流路を流通する熱媒体によって、反応流路を流通する反応流体に熱が付与される。
【0021】
本実施形態では、反応対象となる流体である反応流体(気液を問わない)が流通する反応流路の側壁として機能する側壁管を製造する側壁管製造システム100およびこれを用いた側壁管製造方法について説明する。
【0022】
図1は、第1の実施形態にかかる側壁管製造システム100の構成を説明するためのブロック図である。
図1に示すように、側壁管製造システム100は、付着装置110と、加熱部150と、加工部160とを含んで構成される。
【0023】
付着装置110は、多孔質管170の少なくとも外表面に、触媒の粒子、または、触媒の前駆体の粒子を付着させる。ここでは、触媒の粒子(以下、単に触媒粒子と称する)を付着させる場合を例に挙げて説明する。
【0024】
本実施形態において、多孔質管170は、開口部170aを有する中空の多孔質体で構成されている。多孔質管170を多孔質体で構成することにより、多孔質管170がフィルタとして、粒径の大きい物と、小さい物とを分離する機能(以下、単にフィルタ機能と称する)を有することとなる。また、本実施形態において、多孔質管170における開口部170aの反対側の端部には、底面部170bが形成されている。
【0025】
付着装置110は、多孔質管170が有するフィルタ機能を利用して、多孔質管170の外表面に触媒粒子を付着させる。具体的に説明すると、付着装置110は、浸漬槽112と、吸引部120とを含んで構成される。
【0026】
浸漬槽112は、接触手段として機能し、触媒粒子が溶媒(例えば、水)に分散された触媒液SLを収容する。触媒液SLは、スラリー状の懸濁液である。浸漬槽112に多孔質管170を浸漬することで、多孔質管170の外表面に触媒液SLを接触させる。
【0027】
吸引部120は、吸引管122と、吸引管122に接続されたポンプ124とを含んで構成される。吸引管122は、例えば、伸縮性を有する樹脂製の管で構成され、多孔質管170の開口部170a(多孔質管170の内側)と、ポンプ124とを連通する。
【0028】
図2は、吸引部120の吸引による、多孔質管170の外表面170cへの触媒粒子Sの付着を説明するための図である。
【0029】
上述したように、多孔質管170は、多孔質体で構成されている。つまり、
図2に示すように、多孔質管170には、外表面170cと内表面とを連通する連通孔路170dが複数形成されている。また、連通孔路170dは、流路断面積が一定ではなく、また、湾曲している。
【0030】
多孔質管170を多孔質体で構成することにより、多孔質管170にフィルタ機能を持たせることができる。したがって、多孔質管170の外表面170cに触媒液SLを接触させた状態で、ポンプ124の駆動を開始すると、多孔質管170によって、触媒液SLが触媒粒子Sと、触媒粒子Sと比較して粒径が極めて小さい溶媒L(溶媒分子)とに分離される。換言すれば、多孔質管170によって、触媒液SLが濾過されることとなる。
【0031】
詳細に説明すると、
図2に示すように、多孔質管170を触媒液SLに接触させた状態で、吸引部120が開口部170aから吸引を実行すると、連通孔路170dを通って溶媒Lが吸引されるとともに、連通孔路170d内において内表面から外表面170cへ向かうに従って、触媒粒子Sが詰まってくる。そして、吸引部120が吸引を続けると、最終的に、多孔質管170の外表面170c近傍の内部に触媒粒子Sを充填しつつ、外表面170cに触媒粒子Sを積層することができる。
【0032】
ここで、連通孔路170dの流路断面積の平均値は、触媒粒子Sの平均粒径より大きく、例えば、1μm〜1mmであり、好ましくは、10μm〜100μmである。また、触媒粒子Sの平均粒径は、例えば、0.1μm〜100μmであり、好ましくは、1μm〜10μmである。
【0033】
また、本実施形態において、多孔質体は、金属で形成されており、触媒粒子Sは、金属酸化物で構成されている。多孔質体としては、例えば、SUS316L、SUS630、SUS310Mo、SUS410L、SUS420J2、SUS440C等のステンレス鋼であってもよい。また、チタンであってもよいし、Ti−6Al−4V等のチタン合金であってもよい。さらに、銅や、銅合金、ニッケル、アルミニウム、SCM415等の低合金鋼であってもよい。
【0034】
また、触媒粒子Sは、目的とする反応に応じて適宜選択するとよい。目的とする反応が、例えば、化学式1の発熱反応である場合や、化学式2の吸熱反応である場合、活性金属としてのNiやRuの粒子と、担体としてのAl
2O
3、SiO
2、CeO
2、ZrO
2、TiO
2の粒子とを混合したものを触媒粒子Sとして用いる。
CO+3H
2 → CH
4+H
2O…(化学式1)
CH
4+H
2O → CO+3H
2…(化学式2)
【0035】
図1に戻って説明すると、加熱部150は、まず、触媒粒子Sが付着した多孔質管170を予め定められた第1の温度に加熱する。こうすることで、多孔質管170および触媒粒子Sに付着した溶媒Lを乾燥させることができる。
【0036】
続いて、加熱部150は、乾燥後の触媒粒子Sが付着した多孔質管170を、第1の温度よりも高温の第2の温度に加熱することで、触媒粒子Sを焼成(焼結)する。
【0037】
図3は、加熱部150による加熱に応じた、多孔質管170の外表面170cへの触媒層CLの形成を説明するための図である。加熱部150が触媒粒子Sを焼成すると、
図3に示すように、付着装置110において、多孔質管170の外表面170c近傍の内部に充填された触媒粒子S、および、外表面170cに積層された触媒粒子Sが、溶融し、その後、固まって、焼結体(緻密な触媒層CL)となる。したがって、多孔質管170の外表面170cに触媒層CLを形成することが可能となる。
【0038】
上述したように、多孔質体(多孔質管170)は、金属で形成され、触媒粒子Sは、金属酸化物で構成される。金属と金属酸化物とは密着性が低いため、金属の表面に単に触媒を積層(成膜)して触媒層を形成したとしても、金属と触媒との高い密着性を実現することができず、金属から触媒が脱落しやすくなってしまう。
【0039】
本実施形態では、
図3に示すように、多孔質管170の外表面170cのみならず、外表面170c近傍の連通孔路170dにも触媒層CLを埋設することができる。上述したように、連通孔路170dは、流路断面積が一定ではなく、また、湾曲しているため、連通孔路170dに埋設された触媒層CLが、外表面170c近傍の内部に網状に張り巡らされることとなる。したがって、連通孔路170dに埋設された触媒層CLが、多孔質管170に係止されることで強固に密着して、連通孔路170dに埋設された触媒層CLと一体的に形成された外表面170cの触媒層CLが脱落してしまう事態を回避することができる。
【0040】
図1に戻って説明すると、加工部160は、加熱部150によって、外表面170cに触媒層CLが密着した多孔質管170における、底面部170bを切断する。こうして、両端に開口部が形成された側壁管180、すなわち、流体が流通可能な側壁管180を製造することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態にかかる側壁管製造システム100によれば、簡易な構成で、多孔質管170の外表面170cに、密着性の高い触媒層CLを形成することが可能となる。
【0042】
(マイクロリアクタ200)
続いて、側壁管製造システム100が製造した側壁管180を用いたマイクロリアクタ200について説明する。
図4は、マイクロリアクタ200を説明するための図であり、特に、
図4(a)はマイクロリアクタ200の斜視図を、
図4(b)は
図4(a)のXZ断面の拡大図を、
図4(c)は
図4(a)のYZ断面の拡大図を示す。本実施形態の
図4では、垂直に交わるX軸、Y軸、Z軸を図示の通り定義している。なお、
図4中、理解を容易にするために、反応流路RFCと、媒体流路MFCとが1つずつ設けられたマイクロリアクタ200について説明するが、マイクロリアクタ200には、反応流路RFC、媒体流路MFCが複数配されていてもよい。
【0043】
図4に示すように、マイクロリアクタ200は、側壁管180と、外管210とを含んで構成されており、外管210の内側に側壁管180が配された二重配管となっている。
【0044】
本実施形態において、側壁管180は、外表面に触媒層CLが形成されているため、側壁管180と、外管210との間に形成された空間が反応流路RFCとして機能し、側壁管180の内側に形成された空間が媒体流路MFCとして機能する。媒体流路MFCには、熱媒体が流通し、当該熱媒体が、反応流路RFCを流通する流体と熱交換を行う。
【0045】
このように、本実施形態にかかるマイクロリアクタ200は、外管210に側壁管180を挿通させるだけといった簡易な構成で、μmオーダーの微細な流路断面積を有する反応流路RFCや媒体流路MFCを形成することができる。
【0046】
また、外管210の内径を変更することで、反応流路RFCの流路断面積(
図4中、XZ断面積)を容易に変更することができる。
【0047】
さらに、上述したように側壁管180を構成する多孔質管170を金属で形成することにより、反応流路RFCと媒体流路MFCとの熱交換効率を向上させることができる。したがって、反応流路RFCを反応場とする反応が、発熱反応であっても吸熱反応であっても、隣接する媒体流路MFCを流通する熱媒体への熱伝達や、熱媒体からの熱伝達を効率よく行うことが可能となる。
【0048】
(側壁管製造方法)
続いて、上述した側壁管製造システム100を用いた側壁管製造方法について説明する。
図5は、第1の実施形態にかかる側壁管製造方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0049】
図5に示すように、まず、触媒液SLが収容された浸漬槽112に、多孔質管170を浸漬することで、多孔質管170の外表面170cに触媒液SLを接触させる(接触工程:S310)。そして、吸引部120は、多孔質管170を触媒液SLに接触させた状態で、吸引管122を通じて、開口部170aから溶媒Lを吸引して、触媒粒子Sを多孔質管170の外表面170cに付着させる(吸引・付着工程:S312)。
【0050】
吸引・付着工程S312が終了すると、浸漬槽112から触媒粒子Sが付着した多孔質管170を取り出し、加熱部150は、触媒粒子Sが付着した多孔質管170を第1の温度で加熱することで、触媒粒子Sが付着した多孔質管170を乾燥させる(乾燥工程:S314)。
【0051】
続いて、加熱部150は、触媒粒子Sが付着した多孔質管170を加熱する温度を第2の温度に上昇させて、多孔質管170の外表面170c上で触媒粒子Sを焼成する(加熱工程:S316)。
【0052】
そして、加工部160は、加熱部150によって、外表面170cに触媒層CLが密着した多孔質管170における、底面部170bを切断する(加工工程:S318)。
【0053】
以上説明したように、本実施形態にかかる側壁管製造方法によれば、簡易な構成かつ低コストで、反応流路RFCにおける触媒の密着性の向上を図ることが可能となる。
【0054】
(第2の実施形態:側壁管製造システム400)
上述した第1の実施形態において、多孔質管170の外表面170cに触媒層CLを密着させた側壁管180を製造する技術について説明したが、多孔質管170の内表面170eに触媒層CLを密着させた側壁管を製造することもできる。
【0055】
図6は、第2の実施形態にかかる側壁管製造システム400の構成を説明するためのブロック図である。
図6に示すように、側壁管製造システム400は、付着装置410と、加熱部150と、加工部160とを含んで構成され、付着装置410は、浸漬槽112と、吸引部420とを含んで構成される。また、吸引部420は、吸引管422と、ポンプ124とを含んで構成される。
【0056】
なお、第1の実施形態における構成要素として既に述べた浸漬槽112、ポンプ124、加熱部150、加工部160は、実質的に機能が等しいので重複説明を省略し、ここでは、構成が相異する吸引管422を主に説明する。
【0057】
吸引管422は、例えば、伸縮性を有する樹脂製の管で構成され、
図6に示すように、一端側が、多孔質管170の外表面170cを内包するとともに、開口部170aが形成される面の外縁を封止する。また、吸引管422の他端側は、ポンプ124に接続されている。
【0058】
多孔質管170が触媒液SLに接触された状態で、ポンプ124が駆動を開始すると、開口部170aから多孔質管170の内側に触媒液SLが進入し、多孔質管170の内表面170eを通って、外表面170cから溶媒Lが吸引される。
【0059】
上述したように、多孔質管170を多孔質体で構成することにより、フィルタ機能を持たせることができる。したがって、吸引部420が外表面170cから溶媒Lを吸引することで、連通孔路170d内において外表面170cから内表面170eからに向かうに従って、触媒粒子Sが詰まってくる。そして、吸引部420が吸引を続けると、最終的に、多孔質管170の内表面170e近傍の内部に触媒粒子Sを充填しつつ、内表面170eに触媒粒子Sを積層することができる。
【0060】
そして、加工部160が、加熱部150によって、内表面170eに触媒層CLが密着した多孔質管170における、底面部170bを切断する。こうして、両端に開口部が形成された側壁管、すなわち、反応流体が流通可能な側壁管を製造することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態にかかる側壁管製造システム400によれば、簡易な構成で、多孔質管170の内表面170eに、密着性の高い触媒層CLが形成された側壁管を製造することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態にかかる側壁管製造システム400によれば、多孔質管170の内表面170eに触媒層CLが形成された側壁管を製造することができるため、側壁管の内側を反応流路RFCとすることが可能となる。つまり、二重配管にせずとも、側壁管を単体で利用することができる。したがって、熱媒体との熱交換を必要としない反応を遂行する際にも利用することが可能となる。
【0063】
なお、多孔質管170の内表面170eに触媒層CLが形成された側壁管の外側に、外管を配することで、二重配管として、反応流路RFCと、媒体流路MFCとを形成してもよい。この場合、側壁管の内側に形成された空間が反応流路RFCとして機能し、側壁管と、外管との間に形成された空間が媒体流路MFCとして機能する。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
例えば、上述した実施形態においては、付着装置110、410は、多孔質管170の外表面170cまたは内表面170eに触媒粒子Sを付着する場合を例に挙げて説明した。しかし、付着装置110、410は、触媒粒子Sに限らず、上記加熱工程S316を経ることで触媒となるような物質(触媒の前駆体の粒子)を付着させてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態において、接触手段として浸漬槽112を例に挙げて説明したが、多孔質管170の外表面170c、または、内表面170eに、触媒液SLを接触させることができれば、構成に限定はない。
【0067】
また、上述した実施形態において、流路方向の断面が円形状である多孔質管170を例に挙げて説明したが、多孔質管170は、開口部を有し、中空の多孔質体で構成されていれば、形状に限定はない。例えば、流路方向の断面が矩形形状であってもよい。
【0068】
また、上述した実施形態において、側壁管180を利用したマイクロリアクタ200について説明した。しかし、本実施形態にかかる側壁管は、マイクロリアクタのみならず、流路断面積がmmオーダーのコンパクトリアクタに採用することもできる。