(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994429
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】POSシステムおよび会計処理方法
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
G07G1/12 311D
G07G1/12 361C
G07G1/12 341B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-144915(P2012-144915)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-10514(P2014-10514A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】八鍬 正人
【審査官】
古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−269541(JP,A)
【文献】
特開平04−076695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00− 1/14
G06Q 30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単品メニューの組合せからなるセットメニューを扱うことが可能なPOSシステムにおいて、前記POSシステムは、店員からの操作を受付ける操作部と、各種情報を印字する印字部と、前記セットメニューと前記単品メニューの各単価と、前記セットメニューに含まれる前記単品メニューの組合せとの情報を有するメニューマスタや入力されたメニュー明細であるオーダデータを記憶する記憶部と、会計金額を算出する演算部と、これらを制御するPOS制御部とを備え、前記POS制御部は、会計の対象となる前記オーダデータを受付け後、前記操作部が前記セットメニューの分割に係わる情報要求の操作を受付けた時、前記記憶部の前記メニューマスタを参照し当該会計に含まれる前記セットメニューを抽出し、抽出した前記セットメニューに含まれる前記単品メニューの単品メニュー単価を取得し、前記演算部に同単品メニュー単価の合計や、その合計から前記セットメニューのセットメニュー単価を減算した差額を算出させその算出結果を取得し、これら取得した情報のうち少なくともセットメニュー単価とそのセットメニューに含まれる単品メニュー単価合計の差額を前記印字部から出力することを特徴とするPOSシステム。
【請求項2】
前記POSシステムは、前記印字部に代えて店員または顧客に情報表示する1つ以上の表示部を備え、会計の対象となる前記オーダデータを受付け後、前記操作部が前記セットメニューの分割に係わる情報要求の操作を受付けた時、取得した情報のうち少なくともセットメニュー単価とそのセットメニューに含まれる単品メニュー単価合計の差額を前記表示部へ出力することを特徴とする、請求項1に記載のPOSシステム。
【請求項3】
前記POS制御部は、会計の対象となる前記オーダデータを受付け後、前記操作部が前記セットメニューの分割を開始する操作を受付けた時、前記記憶部の前記メニューマスタを参照し当該会計に含まれる前記セットメニューを抽出し、前記表示部に分割可能なセットメニューを表示し、かつ、前記操作部から分割可能な前記セットメニューが選択された場合、前記記憶部の前記メニューマスタから選択された前記セットメニューに含まれる各単品メニューとその単品メニュー単価を抽出し、選択された前記セットメニューと、抽出した前記単品メニューとを入れ換え、その入れ換え結果を印字部又は表示部から出力することを特徴とした請求項2に記載のPOSシステム。
【請求項4】
単品メニューの組合せからなるセットメニューを扱うことが可能なPOSシステムにおける会計処理方法であって、前記会計処理方法は、前記セットメニューと前記単品メニューの各単価と、前記セットメニューに含まれる前記単品メニューの組合せとの情報を有するメニューマスタを読み出しメニュー明細中の前記セットメニューを抽出するステップと
、前記メニューマスタを参照し、前記セットメニューを各単品メニュー分割し、分割した単品メニュー単価の合計の情報や、その合計から前記セットメニューのセットメニュー単価を減算した差額の情報を取得するステップと、抽出した前記セットメニュー毎に取得した情報を出力するステップと、を備えたことを特徴とする会計処理方法。
【請求項5】
単品メニューの組合せからなるセットメニューを扱うことが可能なPOSシステムにおける会計処理方法であって、前記会計処理方法は、前記セットメニューと前記単品メニューの各単価と、前記セットメニューに含まれる前記単品メニューの組合せとの情報を有するメニューマスタを読み出し、メニュー明細中の前記セットメニューを抽出するステップと、抽出したメニューを分割可能なセットメニューとして出力するステップと、分割可能なセットメニューが選択された時、選択された前記セットメニューに含まれる各単品メニューとその単品メニュー単価を参照し、選択された前記セットメニューと、前記セットメニューに含まれる前記単品メニューとを入れ換えるステップと、会計の合計金額を再計算するステップと、メニューの入れ換え及び再計算の結果を出力するステップと、を備えたことを特徴とする会計処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レストランや居酒屋など後会計方式の飲食店等において、顧客の希望に応じたPOSシステムでの会計処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店等におけるメニューには複数の単品メニューを組合せ、各単品メニューの合計金額よりも割安な価格で提供されるセットメニューがあり、顧客の来店ならびに注文意欲を向上させる方法として広く活用されている。
【0003】
このようなセットメニューに関わる会計の処理方法として、注文によって入力された単品メニューを割安なセットメニューへと変換できるPOS端末のセットメニュー判別方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。また、飲食したメニューに応じて個別の顧客毎に支払いを行ういわゆる個別割勘時に、メインメニューとして注文されたメニューを選択すると、メインメニュー単価に+200円など追加することで通常の単品メニュー単価よりも割安に設定された単品メニューが自動的に選択される会計処理方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−110142号公報(第4〜6頁、
図1)
【特許文献2】特開2000−339541号公報(第6〜8頁、
図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、飲食店のうちレストラン、居酒屋などの業態では一般的に
図1に示すようなPOSシステム1と各オーダリング機器で構成されるオーダリングシステム2が運用されている。このシステムが運用される店舗では来店した顧客はまず店員から空席のテーブルへと誘導され、注文内容をテーブルに設置されたテーブル用オーダ端末5から顧客自身が入力したり、携帯用オーダ端末6などを携帯する店員が顧客からオーダ内容を聞き取り入力したりする。なおこれらの入力によって、複数人で構成される顧客のグループを「組」とするシステム上の管理が開始される。そして各オーダ端末から入力されたオーダデータは無線装置間のデータを送受信する無線ステーション4などを介して、組単位のオーダデータをオーダリングコントローラ3へ送信する。このオーダデータを受信したオーダリングコントローラ3は、オーダデータを記憶すると共に、厨房などに配置されたオーダ用プリンタ7から調理や配膳指示内容を、フロアなどに配置された同プリンタから各組用のゲスト伝票を印刷指示することで、オーダ入力、調理、配膳といったフロアとキッチンでの業務を正確かつ効率的に行うことに役立てられている。
【0006】
また、飲食を終えた顧客は会計カウンターへ伝票を持参すると、会計係の店員によってPOSシステム1へゲスト伝票に印字された伝票No.やテーブルNo.を入力することでオーダリングコントローラ3の全オーダデータから、当該顧客の組毎に飲食した分のオーダデータを呼出し、会計業務を正確かつ効率的に行うことに役立てられている。
【0007】
このようなレストラン、居酒屋などの業態では、顧客が注文時には割安なセットメニューを選んでいても、注文したメニューが調理、配膳され、それらメニューを一通り飲食した後に会計が行われることから、この注文から会計までの時間にある顧客が注文したセットメニューに含まれる単品メニューを、同一組の異なる顧客が飲食するケースがあり、顧客はその時点では未会計であるために、各顧客が飲食したメニュー毎に個別の割勘で支払いたいと要求する場合があった。
【0008】
このような顧客からの要求を受付けた会計係は、割安なセットメニューを単品メニューに分割して支払わせる際、割高な各単品メニューの単価で計算するため支払い額の増加などを顧客へ説明する義務が生じ、支払い額が増加したとしても各顧客が飲食したメニュー毎に個別に割勘の支払いを要求する顧客に対しては、POSシステムで呼び出したオーダデータの中から当該セットメニューを削除し、削除したセットメニューに含まれる各単品メニューを新たに追加した上で個別の割勘会計を行う必要があり、顧客への説明とPOSシステムの操作が煩雑となって会計処理に多大な時間を要してしまう問題があった。また
、会計係の説明や顧客の理解が不足した場合には顧客からのクレームに発展する虞があった。
【0009】
特許文献1のセットメニュー判別方法は主に対面販売方式のPOS端末で、注文によって入力された単品メニューを割安なセットメニューへと変換するものであり、後会計方式で生じる前述した問題を解決するものではない。また特許文献2の会計処理方法は、各顧客が注文したメニュー毎に個別割勘での支払いを行う際に操作ミスの発生を防止できるものであるが、セットメニューを単品メニューに分割する際に生じる前述した問題を解決するものではない。
【0010】
本発明は以上述べた問題点を解決し、セットメニューを単品メニューに分割する際に生じる支払い額の変更内容について、会計係の説明が容易に行えるとともに顧客へ正確な情報を提示するものである。また、なおも同支払い方法を求められた場合にも、会計係の負担を軽減するとともに操作ミスの防止及び会計処理の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、単品メニューの組合せからなるセットメニューを扱うことが可能なPOSシステムにおいて、前記POSシステムは、店員からの操作を受付ける操作部と、各種情報を印字する印字部と、前記セットメニューと前記単品メニューの各単価と、前記セットメニューに含まれる前記単品メニューの組合せとの情報を有するメニューマスタや入力されたメニュー明細であるオーダデータを記憶する記憶部と、会計金
額を算出する演算部と、これらを制御するPOS制御部とを備え、前記POS制御部は、会計の対象となる前記オーダデータを受付け後
、前記操作部が前記セットメニューの分割に係わる情報要求の操作を受付けた時、前記記憶部の前記メニューマスタを参照し当該会計に含まれる前記セットメニューを抽出し、抽出した前記セットメニューに含まれる前記単品メニューの単品メニュー単価を取得し、前記演算部に同単品メニュー単価の合計や、その合計から前記セットメニューのセットメニュー単価を減算した差額を算出させその算出結果を取得し、これら取得した情報のうち少なくともセットメニュー単価とそのセットメニューに含まれる単品メニュー単価合計の差額を前記印字部から出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、前記POSシステムは
、前記印字部に代えて店員または顧客に情報表示する1つ以上の表示部を備え、会計の対象となる前記オーダデータを受付け後、前記操作部が前記セットメニューの分割に係わる情報要求の操作を受付けた時、取得した情報のうち少なくともセットメニュー単価とそのセットメニューに含まれる単品メニュー単価合計の差額を前記表示部へ出力することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、前記POS制御部は、会計の対象となる前記オーダデータを受付け後、前記操作部が前記セットメニューの分割を開始する操作を受付けた時、前記記憶部の前記メニューマスタを参照し当該会計に含まれる前記セットメニューを抽出し、前記表示部に分割可能なセットメニューを表示し、かつ、前記操作部から分割可能な前記セットメニューが選択された場合、前記記憶部の前記メニューマスタから選択された前記セットメニューに含まれる各単品メニューとその単品メニュー単価を抽出し
、選択された前記セットメニューと、抽出した前記単品メニューとを入れ換え、その入れ換え結果を印字部又は表示部から出力することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、単品メニューの組合せからなるセットメニューを扱うことが可能なPOSシステムにおける会計処理方法であって、前記会計処理方法は、前記セットメニューと前記単品メニューの各単価と、前記セットメニューに含まれる前記単品メニューの組合せとの情報を有するメニューマスタを読み出しメニュー明細中の前記セットメニューを抽出するステップと、前記メニューマスタを参照し、前記セットメニューを各単品メニュー分割し、分割した単品メニュー単価の合計の情報や、その合計から前記セットメニューのセットメニュー単価を減算した差額の情報を取得するステップと
、抽出した前記セットメニュー毎に取得した情報を出力するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、単品メニューの組合せからなるセットメニューを扱うことが可能なPOSシステムにおける会計処理方法であって、前記会計処理方法は、前記セットメニューと前記単品メニューの各単価と、前記セットメニューに含まれる前記単品メニューの組合せとの情報を有するメニューマスタを読み出し、メニュー明細中の前記セットメニューを抽出するステップと、抽出したメニューを分割可能なセットメニューとして出力するステップと、分割可能なセットメニューが選択された時、選択された前記セットメニューに含まれる各単品メニューとその単品メニュー単価を参照し、選択された前記セットメニューと、前記セットメニューに含まれる前記単品メニューとを入れ換えるステップと、会計の合計金額を再計算するステップと、メニューの入れ換え及び再計算の結果を出力するステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上の手段を用いることにより、本発明によるPOSシステムおよびその会計処理方法によれば、会計係はセットメニューを単品メニューに分割した場合の構成や、各単品メニューの単価の知識が無くても顧客への説明を容易かつ正確に行うことができ、説明不足や顧客の誤解によって生じるトラブルを低減することができる。また各顧客が注文したメニュー毎に個別割勘での支払いを行う際にも、操作が容易となり操作ミスの防止や会計処理に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】飲食店のPOSとオーダエントリーシステムの一例を示す説明図である。
【
図2】本発明によるPOSシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明によるオーダリングコントローラの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明によるオーダリングコントローラのオーダデータを説明する説明図である。
【
図5】本発明によるPOSシステムのメニューマスタを説明する説明図である。
【
図6】本発明によるセットメニュー分割情報の印字例である。
【
図7】本発明によるPOS制御部のセットメニュー分割情報のレポート出力処理を説明するフローチャートである。
【
図8】本発明によるPOS制御部のセットメニュー分割処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。なお
、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0019】
図2は、本発明によるPOSシステムの概略構成を示すブロック図である。POSシステム1は、有線や無線ネットワークを介してオーダリングコントローラ3との通信を行う通信部11と、会計係などの店員によってPOSシステム1への入力が行われる操作部12と、オーダリングコントローラ3から呼出したオーダデータや、メニューマスタなどが記憶される記憶部13と、会計金
額を算出する演算部17と、顧客や店員にPOSシステム1で処理された情報を表示するディスプレイなどの表示部14と、会計レシートや領収証などを印刷するプリンタなどの印字部15と、これらを制御するPOS制御部16を備えている。
【0020】
なお、一般的な会計処理では、会計係が操作部12から入力した対象顧客の組に相当する伝票No.またはテーブルNo.に応じてPOS制御部16は通信部11を介してオーダリングコントローラ3へオーダデータを要求し、オーダリングコントローラ3から受信した同オーダデータを記憶部13へ記憶し、オーダデータ内容を表示部14の店員用ディスプレイや、合計金額を同表示部の顧客用ディスプレイへ表示する。そして、操作部12からの値割引の入力や、支払い方法の入力などを受付ける。また、会計が成立した時には顧客用のレシートを印字部15のプリンタから印刷し、その会計データを当日の営業売上として記憶部13へ記憶する。
【0021】
図3は、本発明によるオーダリングコントローラの概略構成を示すブロック図である。オーダリングコントローラ3は、POSシステム1や無線ステーション4、テーブル用オーダ端末5、携帯用オーダ端末6、オーダ用プリンタ7などの各オーダリング装置との通信を行うOES通信部31と、オーダデータやメニューマスタなどを記憶するOES記憶部32と、これらを制御するOES制御部33を備えている。
【0022】
なお、POSシステム1からオーダデータの呼出し要求があった場合、OES通信部31を介して伝票No.またはテーブルNo.が付加されたオーダデータの呼出し要求信号を受信したOES制御部33は、OES記憶部32から当該伝票No.またはテーブルNo.のオーダデータを収集し、OES通信部31を介してPOSシステム1へ当該オーダデータを送信する。
【0023】
図4は、本発明によるオーダリングコントローラのオーダデータを説明する説明図である。テーブル用オーダ端末5や、携帯用オーダ端末6などのオーダ端末からオーダリングコントローラ3が受信した顧客の注文情報は、店舗の客席毎に付番されたテーブルNo.と、伝票札毎に付番もしくはOES制御部33によって自動採番された伝票No.を主キーとして管理され、主キーが新規となるデータを受信した場合には新たなオーダデータとして、テーブルNo.、伝票No.と、メニューNo.、メニュー名、単価、数量のデータを記憶し、主キーが既に存在するデータを受信した場合には追加オーダとして、当該主キーのオーダデータに受信したメニューNo.、メニュー名、単価、数量のデータを追加し記憶する。
【0024】
なお、
図4はPOSシステム1から呼出し要求されるオーダデータの内容を簡易的に記したものであり、主キーを除く注文情報はメニューNo.と数量のみオーダ端末から受信し、メニュー名と、単価はOES記憶部32に記憶されたメニューマスタから取得し記憶する方法や、新規及び追加オーダ毎にオーダログデータを作成し、POSシステム1などから主キーのオーダデータの呼出し要求があった時、オーダログデータから当該主キーのオーダデータを検索し集計する方法などもある。
【0025】
図5は、本発明によるPOSシステムのメニューマスタを説明する説明図である。メニューNo.0001〜0016はセットメニューであり、メニュー名の項目にはセットメニュー名、単価の項目にはセットメニュー単価、子メニュー1以降の項目には当該セットメニューを構成する単品メニューのメニューNo.が記憶されている。
【0026】
また、メニューNo.0021以降は単品メニューであり、メニュー名の項目には単品のメニュー名、単価の項目には単品のメニュー単価が記憶されている。このうち、メニューNo.0101以降はセットメニューの子メニューとしても提供されるメニューであるが、POS制御部16の売上データ管理の処理ではセットメニューとして選択されている場合には、単品のメニュー単価を無視あるいは“0円”として、売上数量のみが集計される。
【0027】
なお、
図5はPOSシステム1が利用するメニューマスタの内容を簡易的に記したものであり、単品メニューとして提供するメニューをメインメニューマスタ、子メニューとしても提供されるメニューをサブメニューマスタなどに分類し、別テーブルとして記憶及び処理する方法などもある。
【0028】
図6は、本発明によるセットメニュー分割情報の印字例であり、このセットメニュー分割情報とは、会計係が顧客からセットメニューを単品メニューに分割し支払いを行いたい旨の要請を受付けた際に、当該要求の処理を実施することによって生じる支払い金額の差などの情報を、会計係及び顧客が正確に把握するために印字部15から出力するレポートであり、操作部12から入力された伝票No.もしくはテーブルNo.からPOS制御部16によってオーダリングコントローラ2から呼出されたオーダデータが存在する時に、会計係が操作部12に割当てられたセットメニュー分割情報のボタンなどを操作することで、POS制御部16がその要求を受付けて処理を実行する。
【0029】
印字例(1)は、当該レポートの名称、対象会計の伝票No.、テーブルNo.、会計係の番号や予め登録された会計係の名前などがヘッダ項目として印字され、次の“対象セットメニュー”の項目に、当該会計に含まれるセットメニューの名称とセットメニュー単価の一覧が印字され、以降は対象セットメニュー毎の“商品明細”として、当該セットメニューに含まれる単品メニューへと分割した際の単品メニュー名と、単品メニューの単価一覧と、このメニュー一覧の次には、“分割時メニュー単価合計”の項目に当該単品メニューの単価合計の情報と、“(セットメニューとの差額)”の項目に当該単品メニューの単価合計からセットメニュー単価を差し引いた差額の情報とが、対象のセットメニュー分印字される。
【0030】
このような、セットメニュー分割情報を出力することで、会計係は当該会計に含まれるセットメニューの種類や分割時の単品メニュー及びその単価、単価合計の確認と計算などを行うことなく顧客への説明が可能となる。また、顧客はこのレポートを見ることで分割を行いたいセットメニューに応じて、どのように支払い金額が変わるかを把握することができるため、短時間で正確な情報伝達が可能となる。
【0031】
印字例(2)は、印字例(1)の印字項目とおおよそ同様であるが、顧客が求めるセットメニューの分割内容をより確実に入手し、会計後に顧客からのクレームなどの問題へ発展することを予防するために、セットメニュー名の部分に□のチェック欄とレポート下部に署名欄を設け、顧客に分割したいセットメニューを選択させ、署名とともにその要求を会計係が受付られるようにしたものである。
【0032】
なお
図6では、印字部15からのレポート出力によって会計係と顧客へ必要とする情報を提示する方法を説明したが、これに限るものではなく、POSシステム1にこれらの情報を表示することができるディスプレイが備わる場合には、表示部14へその情報を表示させても良い。
【0033】
図7は、本発明によるPOS制御部のセットメニュー分割情報のレポート出力処理を説明するフローチャートである。
図7の処理が開始される条件としてPOSシステム1は、操作部12から入力された対象顧客の組に相当する伝票No.またはテーブルNo.に応じて、オーダリングコントローラ3から対象顧客のオーダデータを受信しているものとする。なお、
図7のフローチャートに記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、またYはYesをNはNoをそれぞれ表している。
【0034】
POSシステム1のPOS制御部16は、会計呼出し後に操作部12に割当てられたボタンなどからセットメニューの分割に係わる情報要求の操作を受付けると、始めにセットメニュー数用変数“S”に初期値0を、処理件数カウント用変数“n”に初期値1を代入する(ST1)。次に、記憶部13に記憶されているメニューマスタを読み出す(ST2)。次に、読み出したメニューマスタを参照し、当該会計の全メニュー明細のうちセットメニューのみを抽出する(ST3)。そしてセットメニューが抽出されたか否かを確認する(ST4)。
【0035】
POS制御部16はST4において、セットメニューが抽出された場合(ST4−Y)
、抽出されたセットメニュー数をセットメニュー数用変数“S”に代入する(ST5)。次に、処理件数カウント用変数“n”件目のセットメニューのメニューマスタを参照することで各単品メニューの単価を取得するとともにセットメニューを各単品メニューに分割し、演算部17で分割した単品メニューの単価合計と、その単価合計と元のセットメニューとの差額を計算させ、取得した計算結果データなどを記憶部13のメモリなどへ記憶する(ST6)。次に、セットメニュー数用変数“S”が処理件数カウンター用変数“n”と等しいか否かを確認する(ST7)。
【0036】
POS制御部16はST7において、セットメニュー数用変数“S”が処理件数カウンター用変数“n”と等しい場合(ST7−Y)、記憶部13のメモリなどへ記憶されたセットメニュー毎に取得したデータを印字部15からセットメニュー分割レポートとして出力する(ST8)。そして、セットメニュー分割レポートの処理を終了する。
【0037】
一方、POS制御部16はST4において、セットメニューが抽出されなかった場合(ST4−N)、表示部14へ当該会計内にセットメニューが存在しないことを表示する(ST9)。また、ST7において、セットメニュー数用変数“S”が処理件数カウント用変数“n”と等しくない場合(ST7−N)、処理件数カウント用変数“n”に1を加算する(ST10)。そして、ST6へジャンプする。
【0038】
図8は、本発明によるPOS制御部のセットメニュー分割処理を説明するフローチャートである。この処理は
図7のセットメニュー分割情報によって割高な支払いとなる事を確認した顧客が、なおもセットメニュー分割を要求した際にその会計を行うために実施するセットメニューに含まれる各単品メニューへの入れ換え処理であり、
図8の処理が開始される条件としてPOSシステム1は、操作部12から入力された対象顧客の組に相当する伝票No.またはテーブルNo.に応じて、オーダリングコントローラ3から対象顧客のオーダデータを受信しているものとする。なお、
図8のフローチャートに記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、またYはYesをNはNoをそれぞれ表している。
【0039】
POSシステム1のPOS制御部16は、会計呼出し後に操作部12に割当てられたボタンなどからセットメニューの分割処理を開始する操作を受付けると、記憶部13に記憶されているメニューマスタを読み出す(ST21)。次に、読み出したメニューマスタを参照し、当該会計の全メニュー明細に含まれるセットメニューを抽出する(ST22)。次に、抽出したセットメニューを分割可能なメニューとして表示部14へ出力する(ST23)。次に、操作部12から分割可能なメニューすなわちセットメニューが選択されたか否かを確認する(ST24)。
【0040】
POS制御部16はST24において、セットメニューが選択された場合(ST24−Y)、メニューマスタを参照し選択されたセットメニューに含まれる各単品メニューを抽出し、選択されたセットメニューと抽出した各単品メニューを入れ換える(ST25)。次に、当該会計の合計金額を再計算する(ST26)。次に、再計算した当該会計の合計金額を表示部14や印字部15から出力する(ST27)。そしてST24へジャンプする。一方、POS制御部16はST24において、セットメニューが選択されていない場合(ST24−N)、セットメニュー分割処理を終了する。
【符号の説明】
【0041】
1 POSシステム
2 オーダリングシステム
3 オーダリングコントローラ
4 無線ステーション
5 テーブル用オーダ端末
6 携帯用オーダ端末
7 オーダ用プリンタ
11 通信部
12 操作部
13 記憶部
14 表示部
15 印字部
16 POS制御部
17 演算部
31 OES通信部
32 OES記憶部
33 OES制御部