(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994568
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】自動車の側部構造
(51)【国際特許分類】
B60R 13/04 20060101AFI20160908BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20160908BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20160908BHJP
B62D 25/04 20060101ALI20160908BHJP
B62D 25/16 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
B60R13/04 Z
B60J5/04 P
B60R1/06 D
B62D25/04 A
B62D25/16 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-236501(P2012-236501)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-84058(P2014-84058A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】福島 嘉男
【審査官】
佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−143718(JP,U)
【文献】
実開昭58−054977(JP,U)
【文献】
特開平02−175322(JP,A)
【文献】
特開平11−029065(JP,A)
【文献】
特開2000−095145(JP,A)
【文献】
特開2007−302073(JP,A)
【文献】
特開2009−227188(JP,A)
【文献】
特開2011−084226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
B60J 5/04
B60R 1/06
B62D 25/04
B62D 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ部を有するフロントサイドドアの前方にフロントフェンダが配置された自動車の側部構造において、
前記フロントサイドドアのうち前記サッシ部の前縁部下部とベルトラインの前端部との境界に形成される三角コーナ部に、ガーニッシュ部材が取付けられ、
前記フロントサイドドアのベルトライン部よりも上方位置において、フロントピラーの下部に対してフロントフェンダの後端部が重合され、
前記重合された部分における前記フロントピラーと前記フロントフェンダとの境界ラインが、略水平方向に延びるように設定され、
前記フロントサイドドアに、ベルトラインより下方においてサイドミラーが取付けられ、
前記ガーニッシュ部材が、前記サッシ部の前縁部を覆うようにして前記フロントフェンダの後端部直近まで延びる前延設部を有し、
前記前延設部の上縁部が、略水平方向に延びるようにかつ前記境界ラインに連なるように設定されている、
ことを特徴とする自動車の側部構造。
【請求項2】
サッシ部を有するフロントサイドドアの前方にフロントフェンダが配置された自動車の側部構造において、
前記フロントサイドドアのうち前記サッシ部の前縁部下部とベルトラインの前端部との境界に形成される三角コーナ部に、ガーニッシュ部材が取付けられ、
前記フロントサイドドアのベルトライン部よりも上方位置において、フロントピラーの下部に対してフロントフェンダの後端部が重合され、
前記重合された部分における前記フロントピラーと前記フロントフェンダとの境界ラインが、略水平方向に延びるように設定され、
前記ガーニッシュ部材が、前記サッシ部の前縁部を覆うようにして前記フロントフェンダの後端部直近まで延びる前延設部を有し、
前記前延設部の上縁部が、略水平方向に延びるようにかつ前記境界ラインに連なるように設定され、
前記境界ラインを挟んで前記フロントピラーと前記フロントフェンダとが面一となるようにされ、
前記サッシ部の前縁部外表面が、前記重合部よりも車幅方向内方側に位置されている、ことを特徴とする自動車の側部構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記フロントフェンダの後端部上縁部に、車幅方向内方側に向けて延びるフランジ部が形成され、
前記フロントサイドドアが閉じられた状態において、前記フランジ部の端縁部を後側方から目視しようとしたときに、前記前延設部に邪魔されて該フランジ部の端縁部が目視できないようにされている、
ことを特徴とする自動車の側部構造。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記フロントサイドドアに、ベルトラインに沿ってモール部材が配設され、
前記ガーニッシュ部材が合成樹脂により形成され、
前記ガーニッシュ部材が、前記モール部材と連続すると共に前記前延設部の前端部にまで延びるモール部を有している、
ことを特徴とする自動車の側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の側部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントサイドドアの多くは、サイドウインドガラス用のサッシ部を有するものとなっている。そして、特許文献1に示すように、サッシ部の前縁部下部とフロントサイドドアのベルトラインの前端部との境界部位に形成される三角コーナ部に、略三角形のガーニッシュ部材を取付けることが行われている。そして、このガーニッシュ部材に、サイドミラーを取付けることも一般的に行われている。また、サイドミラーを、ガーニッシュ部材ではなく、ベルトラインよりも下方位置つまりフロントサイドドアのアウタパネルに取付けることも一部の車種では行われている。
【0003】
フロントサイドドアの前方には、フロントピラーおよびフロントフェンダが位置される。すなわち、フロントサイドドアを閉じた状態において、サッシ部がフロントピラーに沿うようにされ、ベルトラインよりも下方部分がフロントフェンダの後縁部に沿うようにされる。
【0004】
また、自動車の中には、ベルトラインよりも上方位置で、フロントピラーとフロントフェンダとを重合させるようにしたものも多く、この場合、フロントピラーとフロントフェンダとの境界ラインが、フロントピラーの長手方向と直交するように設定することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−352084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フロントフェンダの後端部を、ベルトラインよりも上方位置でフロントピラーと重合させる場合、特にデザイン上の観点から、フロントピラーとフロントフェンダとの境界ラインを略水平に延びるように設定することが考えられる。
【0007】
また、フロントフェンダは、フロントピラーとの重合部から下方に向かうにつれて徐々に車幅方向外側に位置するように形成されるのが一般的である。このため、フロントピラーとフロントフェンダとの間には、上記重合部の下方において後方に開口された隙間が形成されるものとなる。そして、フロントサイドドアのサッシ部は、フロントサイドドアの外表面よりも車幅方向内方側にオフセットされた位置とされる、つまりフロントピラーやフロントフェンダ後端部の各外表面よりも車幅方向内方側に位置されることから、上記隙間は後側方から目視可能な状態とされる。
【0008】
上記隙間を塞ぐべく、フロントフェンダの後端部上縁部に車幅方向内方側に延びるフランジ部を形成して、このフランジ部によって上記隙間が外部から目視できないようにすることが考えられる。しかしながら、上記フランジ部を形成する位置は、フロントフェンダの後端部の上部となって、上下方向、前後方向および車幅方向に延びる3次元の角部付近となるので、プレス加工によってフランジ部を幅広く確保することが事実上困難であり、このため、フランジ部によって上記隙間を完全に塞ぐことが難しいものとなる。
【0009】
上記のような外観上の問題は、サイドミラーを、ガーニッシュ部材ではなく、ベルトラインよりも下方位置に取付けた場合に顕著となる。なお、ガーニッシュ部材にサイドミラーを取付けた場合は、このサイドミラーによって上記隙間やフランジ部の端縁部が少なからず目隠しされることになるが、十分ではない。
【0010】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、デザイン上の要求を満足しつつ、、フロントフェンダとフロントピラーとの間に形成される隙間が外部から目視できないようにした自動車の側部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、三角コーナ部に位置されるガーニッシュ部材を有効に利用して、フロントピラーとフロントフェンダとの重合部の下方部分の後面を外部から目隠しするようにしてある。具体的には、次のような
第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
サッシ部を有するフロントサイドドアの前方にフロントフェンダが配置された自動車の側部構造において、
前記フロントサイドドアのうち前記サッシ部の前縁部下部とベルトラインの前端部との境界に形成される三角コーナ部に、ガーニッシュ部材が取付けられ、
前記フロントサイドドアのベルトライン部よりも上方位置において、フロントピラーの下部に対してフロントフェンダの後端部が重合され、
前記重合された部分における前記フロントピラーと前記フロントフェンダとの境界ラインが、略水平方向に延びるように設定され、
前記フロントサイドドアに、ベルトラインより下方においてサイドミラーが取付けられ、
前記ガーニッシュ部材が、前記サッシ部の前縁部を覆うようにして前記フロントフェンダの後端部直近まで延びる前延設部を有し、
前記前延設部の上縁部が、略水平方向に延びるようにかつ前記境界ラインに連なるように設定されている、
ようにしてある。
【0012】
上記
第1の解決手法によれば、ガーニッシュ部材の前延設部の上縁部が、略水平方向に延びると共に、フロントフェンダとフロントピラーとの重合された部分における略水平方向に延びる境界ラインに対して連なっているので、デザイン上極めて好ましいものとなる。また、ガーニッシュ部材の前延設部は、フロントフェンダの後端部直近にまで延びていると共に、サッシ部よりも車幅方向外側に位置されているので、フロントフェンダとフロントピラーとの重合部分の下方に形成される隙間が前延設部によって十分に目隠しされることになり、外観上の見栄えも良好になる。
【0013】
以上に加えて、デザイン上等の観点からベルトラインよりも下方位置にサイドミラーを取付けた場合にあっても、
上述した効果を十分に得ることができる。
【0014】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項2に記載のように、
サッシ部を有するフロントサイドドアの前方にフロントフェンダが配置された自動車の側部構造において、
前記フロントサイドドアのうち前記サッシ部の前縁部下部とベルトラインの前端部との境界に形成される三角コーナ部に、ガーニッシュ部材が取付けられ、
前記フロントサイドドアのベルトライン部よりも上方位置において、フロントピラーの下部に対してフロントフェンダの後端部が重合され、
前記重合された部分における前記フロントピラーと前記フロントフェンダとの境界ラインが、略水平方向に延びるように設定され、
前記ガーニッシュ部材が、前記サッシ部の前縁部を覆うようにして前記フロントフェンダの後端部直近まで延びる前延設部を有し、
前記前延設部の上縁部が、略水平方向に延びるようにかつ前記境界ラインに連なるように設定され、
前記境界ラインを挟んで前記フロントピラーと前記フロントフェンダとが面一となるようにされ、
前記サッシ部の前縁部外表面が、前記重合部よりも車幅方向内方側に位置されている、
ようにしてあ
る。
上記第2の解決手法によれば、ガーニッシュ部材の前延設部の上縁部が、略水平方向に延びると共に、フロントフェンダとフロントピラーとの重合された部分における略水平方向に延びる境界ラインに対して連なっているので、デザイン上極めて好ましいものとなる。また、ガーニッシュ部材の前延設部は、フロントフェンダの後端部直近にまで延びていると共に、サッシ部よりも車幅方向外側に位置されているので、フロントフェンダとフロントピラーとの重合部分の下方に形成される隙間が前延設部によって十分に目隠しされることになり、外観上の見栄えも良好になる。
以上に加えて、フロントピラーとフロントフェンダとの繋がり部分の外表面を段差ないものとして連続させて、外観上の見栄えを十分に向上させることができる。また、サッシ部が上記重合部の外表面に対して車幅方向内方側にオフセットされているために、サッシ部として一般的な構造を採用しつつ、後側方から目視した場合に生じやすい外観上の問題を解消
することができる。
【0015】
上記各解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項3以下に記載のとおりである。
前記フロントフェンダの後端部上縁部に、車幅方向内方側に向けて延びるフランジ部が形成され、
前記フロントサイドドアが閉じられた状態において、前記フランジ部の端縁部を後側方から目視しようとしたときに、前記前延設部に邪魔されて該フランジ部の端縁部が目視できないようにされている、
ようにしてある(請求項
3対応)。この場合、フランジ部によって、フロントピラーとの隙間を極力小さくかつフロントフェンダの後縁部の剛性をも確保しつつ、フロントピラーとフロントフェンダとの隙間やフランジ部の端縁部が外部から目視されないようにすることができる。
【0016】
前記フロントサイドドアに、ベルトラインに沿ってモール部材が配設され、
前記ガーニッシュ部材が合成樹脂により形成され、
前記ガーニッシュ部材が、前記モール部材と連続すると共に前記前延設部の前端部に
まで延びるモール部を有している、
ようにしてある(請求項
4対応)。この場合、モール部材の一部(前端部)を、ガーニッシュ部材で兼用させることができる。特に、ガーニッシュ部材はフロントサイドドアにしっかりとかつ比較的精度よく取付けられるので、このガーニッシュ部材により構成されるモール部の前端位置とフロントサイドドアの前端位置とを精度よく位置決めした状態を長期に亘って維持する等の上でも好ましいものとなる。以上に加えて、ガーニッシュ部材を合成樹脂によって形成してあるために、その形状設定の自由度が極めて高くすることができ、モール部の構成や、フロントピラーとフロントフェンダとの隙間を目隠しする機能およびフロントフェンダとの円滑な繋がり等を十分に得る上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、デザイン的に好ましい外観を得つつ、ガーニッシュ部材を有効に利用してフロントピラーとフロントフェンダとの間に形成される隙間を目隠しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明が適用された自動車の前端部付近の側面図。
【
図3】フロントフェンダの後端部付近を示す斜視図。
【
図4】ガーニッシュ部材を取外した状態でのフロントサイドドアの側面図。
【
図5】フロントサイドドアに対するガーニッシュ部材の取付を示すもので、アウタパネルを取外した状態での分解斜視図。
【
図8】ガーニッシュ部材が前延設部を有しないときの外観上の問題を説明するための参考斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1において、自動車Vは、フロントサイドドア1とリアサイドドア2とを有するセダン型あるいはワゴン型とされている。
図1中、3はフロントフェンダ、4はフロントピラー、5はフロントウインドガラス、6はボンネット、7はル−フである。また、8はサイドミラーで、実施形態では、サイドミラー8は、フロントサイドドア1の前端部に対して、そのベルトライン1aよりも若干下方位置において取付けられている。上記フロントピラー4は、アウタパネル4Aとインナパネル4Bとレインフォースメント4Cとによって閉断面状に形成されている(
図6、
図7参照)。
【0020】
図2に示すように、フロントフェンダ3の後端部上縁部は、フロントピラー4に重合されており(車幅方向外側からフロントピラー4を覆うように配設)、この重合部分におけるフロントピラー4とフロントフェンダ3との境界ラインが符合αで示される。上記重合部分つまり境界ラインαは、フロントサイドドア1のベルトライン部1aよりも高い位置となるように設定されている。
【0021】
上記境界ラインαは、略水平方向に延びるように設定されている。そして、フロントフェンダ3は、デザインの観点から、境界ラインαから下方に向かうにつれて、徐々に車幅方向外側に位置されるように形成されている。これにより、境界ラインαの下方には、フロントピラー4とフロントフェンダ3との間に、後方に向けて開口される隙間Sが形成されることになる(
図6、および参考図としての
図8参照)。なお、参考図としての
図8において、隙間Sを明確に示すために隙間S部分にダブルハッチングを付してあるが、フロントフェンダ3が下方に向かうにつれて徐々に車幅方向外方側に位置されるので、隙間Sは下方に向かうにつれて徐々にその開口幅が大きくされる。
【0022】
図3,
図6に示すように、フロントフェンダ3の後端部上縁部には、車幅方向内方側に向けて延びるフランジ部3aが形成されている。このフランジ部3aは、フロントフェンダ3をプレス加工するときに合わせて形成されるが、加工上、その幅は数mm程度と小さいものとせざるを得ず、したがってフランジ部3aによって上記隙間Sを完全に塞ぐことは不可能となっている。
【0023】
上記隙間Sは、フロントサイドドア1に取付けられたガーニッシュ部材20によって外部から目視できないように塞がれるようになっている。以下、このガーニッシュ部材20について説明する。まず、フロントサイドドア1は、特に
図4に示すように、サイドウインドガラス30を案内するサッシ部31を有する。サッシ部31のうちその前縁部31aは、フロントピラー3の傾斜に沿うように傾斜設定されていて、ベルトライン部1aの前端部と前縁部1aの下端部とによって、いわゆる三角コーナ部32が形成される(
図4参照)。サッシ部31は、その前縁部31aを含めて、フロントピラー4よりも若干車幅方向内方側に位置されている(
図6,
図7参照)。上記サッシ部31は、その下端部がサイドドア1におけるアウタパネル(のベルトライン部1a)に結合されている。なお、
図6,
図7中、35はガラスランチャンネル、36は合成樹脂製のカバー部材である。
【0024】
図5に示すように、フロントサイドドア1には、上記三角コーナ部32に位置させて、取付ブラケット33が固定され、この取付ブラケット33の外表面側(車幅方向外方側)に、ガーニッシュ部材20が固定される。ガーニッシュ部材20は、合成樹脂により形成されて、三角コーナ部32の形状に対応した三角形状部とされた本体部21を有している。そして、ガーニッシュ部材20は、本体部21の前下部を前方へ延設することにより、本発明の特徴部分となる前延設部22を有している。
【0025】
前延設部22は、サッシ部31の前縁部31aを覆うようにして、フロントフェンダ3の後縁部直近にまで延びている(
図2、
図6参照)。上記本体部21の上端は、前記境界ラインαよりも上方に位置されているが、前延設部22の上縁部は、境界ラインαと同じ高さ位置でもって、略水平方向に延びている。つまり、前延設部22の上縁部が、境界ラインαと直線状に連なるように形成されて、デザイン上の見栄えが良好になるようにされている(
図1,
図2参照)。
【0026】
ここで、フロントピラー4とフロントフェンダ3との重合部分において、境界ラインα付近においては、フロントピラー4とフロントフェンダ3との外表面が互いに面一となるように設定されている。このため、フロントピラー4のうち、フロントフェンダ3が重合される部分においては、フロントフェンダ3の厚さ分だけ低くなるように(車幅方向内方側に引っ込むように)段差部が形成されている。
【0027】
ガーニッシュ部材20の前延設部22は、フロントフェンダ3と面一に連なるようにされている(
図6参照)。そして、前延設部22は、フロントフェンダ3の直近にまで延びていることから、前記隙間Sを後側方から目視しようとしたとき、前延設部22が邪魔になって、隙間Sが目視されないことになる。勿論、フロントフェンダ3に形成されたフランジ部3aの端縁部も、前延設部22に邪魔されて、外部から目視できないようにされている。
図6において、後側方から隙間Sを目視しようとしたときの視線が符合βで示されるが、視線βの途中に前延設部22(の前端部)が位置されるので、隙間Sやフランジ部3aの端縁部を目視できないこととなる。特に、サイドミラー8の取付位置がベルトライン部1aの下方に設定されていることから、視線βは、殆どサイドミラー8に邪魔されることなく隙間Sに向かうことになるが、ガーニッシュ部材20の前延設部22によって、隙間Sが目視されてしまう事態が確実に防止されることになる。
【0028】
ここで、フロントサイドドア1には、ベルトライン部1a部分において、前後方向に延びるモール部材40が取付けられている(
図1,
図2参照)。このモール部材40の後端位置はフロントサイドドア1の後端と略一致されているが、モール部材40の前端位置は、ガーニッシュ部材20の後端と略一致されている。そして、ガーニッシュ部材20には、モール部材40に連なるようにモール部23が一体成形されている。このモール部23は、ガーニッシュ部材20の下端部の全長に渡って延びており、モール部23の前端位置は、前延設部22の前端と略一致されている。なお、モール部23の前端部は、特に、フロントフェンダ3との繋がりが滑らかになるように形成しておくのが好ましい。なお、ガーニッシュ部材20にモール部23を形成することなく、モール部材40を、前延設部22の前端にまで延長させるようにしてもよい。勿論、モール部材40を有しないものであってもよい。
【0029】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。サイドミラー8をガーニッシュ部材20に取付けるようにしてもよい。フロントフェンダ3がフランジ部3aを有しないものであってもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、自動車の側部構造として好適である。
【符号の説明】
【0031】
1:フロントサイドドア
3:フロントフェンダ
3a:フランジ部
4:フロントピラー
8:サイドミラー
20:ガーニッシュ部材
21:本体部
22:前延設部
23:モール部
31:サッシ部
31a:前縁部
40:モール部材
V:自動車
S:隙間
α:境界ライン
β:視線