特許第5994614号(P5994614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994614
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】ハーネスクランプ
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
   B60R16/02 623D
   B60R16/02 620C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-266728(P2012-266728)
(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公開番号】特開2014-111417(P2014-111417A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2015年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 善仁
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−274535(JP,A)
【文献】 特開2004−122809(JP,A)
【文献】 特開2005−119636(JP,A)
【文献】 特開平11−098659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開口の下縁側を構成し且つ上端部にウェザーストリップが装着されるフランジを有するサイドシルパネルに車両前後方向に沿ってワイヤーハーネスを配索するためのハーネスクランプであって、
前記ワイヤーハーネスを保持するクランプ本体を備え、該クランプ本体は、底部及び該底部の端側から立ち上がり前記サイドシルパネルの前記フランジに対向配置される立壁部を有しており、
前記底部には、前記サイドシルパネルに形成された貫通穴に挿入されて取り付けられる取付部が設けられており、
前記立壁部には、前記サイドシルパネルの前記フランジに車両前後方向で当接するように車両前後方向に延びる板状の突起部が設けられており、
前記立壁部の立ち上がり側には、縦断面で閉空間を形成する閉空間部が形成され、
前記閉空間部を構成する前記立壁部の前記フランジに対する対向面には、前記突起部及び前記突起部の表面に連なるリブが形成されており、
前記閉空間部の内部には、前記閉空間を車両前後方向に仕切る仕切壁が設けられていることを特徴とするハーネスクランプ。
【請求項2】
前記リブは、前記立壁部の前記フランジに対する対向面と前記突起部の上面とを連結する上側リブと、前記立壁部の前記フランジに対する対向面と前記突起部の下面とを連結する下側リブと、を備える請求項1記載のハーネスクランプ。
【請求項3】
前記立壁部の上端側には、前記クランプ本体内の前記ワイヤーハーネスの周面の上部に圧接する圧接片が設けられている請求項1又は2に記載のハーネスクランプ。
【請求項4】
前記突起部の当接端側は、円弧状に形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハーネスクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーネスクランプに関し、さらに詳しくは、取付部での回転を防止してワイヤーハーネスを車両前後方向に沿って適正な姿勢で容易に配索することができるハーネスクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハーネスクランプとして、例えば、車両のドア開口の下縁側を構成するサイドシルパネルに車両前後方向に沿ってワイヤーハーネスを配索するためのハーネスクランプが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、例えば、図6に示すように、ワイヤーハーネス102を保持するクランプ本体103を備え、このクランプ本体103は、底部104及び底部104の端側から立ち上がる立壁部105を有しているハーネスクランプ101が開示されている。そして、底部104の底面には、サイドシルパネル108に形成された貫通穴109に挿入されて取り付けられる取付部111が設けられており、立壁部105の外面はサイドシルパネル108のフランジ108aに対向する略平面状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−119636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のハーネスクランプ101では、立壁部105の外面がサイドシルパネル108のフランジ108aに対向する略平面状に形成されているので、ワイヤーハーネス102に捻れ等が生じるとハーネスクランプ101が取付部111の挿入軸H回りに回転してしまうことがある。その結果、ワイヤーハーネス102を車両前後方向に沿って適正な姿勢で容易に配索することが困難となる。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、取付部での回転を防止してワイヤーハーネスを車両前後方向に沿って適正な姿勢で容易に配索することができるハーネスクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のドア開口の下縁側を構成し且つ上端部にウェザーストリップが装着されるフランジを有するサイドシルパネルに車両前後方向に沿ってワイヤーハーネスを配索するためのハーネスクランプであって、前記ワイヤーハーネスを保持するクランプ本体を備え、該クランプ本体は、底部及び該底部の端側から立ち上がり前記サイドシルパネルの前記フランジに対向配置される立壁部を有しており、前記底部には、前記サイドシルパネルに形成された貫通穴に挿入されて取り付けられる取付部が設けられており、前記立壁部には、前記サイドシルパネルの前記フランジに車両前後方向で当接するように車両前後方向に延びる板状の突起部が設けられており、前記立壁部の立ち上がり側には、縦断面で閉空間を形成する閉空間部が形成され、前記閉空間部を構成する前記立壁部の前記フランジに対する対向面には、前記突起部及び前記突起部の表面に連なるリブが形成されており、前記閉空間部の内部には、前記閉空間を車両前後方向に仕切る仕切壁が設けられていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載において、前記リブは、前記立壁部の前記フランジに対する対向面と前記突起部の上面とを連結する上側リブと、前記立壁部の前記フランジに対する対向面と前記突起部の下面とを連結する下側リブと、を備えることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載において、前記立壁部の上端側には、前記クランプ本体内の前記ワイヤーハーネスの周面の上部に圧接する圧接片が設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項の記載において、前記突起部の当接端側は、円弧状に形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のハーネスクランプによると、ワイヤーハーネスを保持するクランプ本体を備え、クランプ本体は、底部及び底部の端側から立ち上がりサイドシルパネルのフランジに対向配置される立壁部を有している。そして、底部には、サイドシルパネルに形成された貫通穴に挿入されて取り付けられる取付部が設けられており、立壁部には、外方に突出してサイドシルパネルのフランジに車両前後方向で当接する突起部が設けられている。これにより、サイドシルパネルの貫通穴に取付部を取り付けた状態で突起部がサイドシルパネルのフランジに車両前後方向で当接する。よって、ワイヤーハーネスに捻れ等が生じても、ハーネスクランプが取付部の挿入軸回りに回転してしまうことが防止される。その結果、ワイヤーハーネスを車両前後方向に沿って適正な姿勢で容易に配索することができる。
また、前記立壁部の前記サイドシルパネルのフランジに対向する対向面に、前記突起部の表面に連なるリブが設けられているので、リブにより突起部の剛性が高められて突起部の倒れが防止される。よって、突起部がサイドシルパネルのフランジにより確実に当接され、ハーネスクランプの回転をより確実に防止できる。
また、前記立壁部に、縦断面で閉空間を形成する閉空間部が形成され、該閉空間部を構成する該立壁部の対向面に前記突起部が形成されているので、各部品の寸法誤差や取付誤差等により突起部がサイドシルパネルのフランジに比較的強く当接しても、閉空間部によりサイドシルパネルのフランジからの反力が吸収される。また、閉空間部により立壁部の剛性が高められて立壁部の倒れが防止される。よって、突起部がサイドシルパネルのフランジにより確実に当接され、ハーネスクランプの回転をより確実に防止できる。
さらに、前記突起部の当接端側が、円弧状に形成されている場合は、突起部の先端側がサイドシルパネルのフランジに線状に当接する。よって、突起部がサイドシルパネルのフランジにより確実に当接され、ハーネスクランプの回転をより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例に係るハーネスクランプの斜視図である。
図2】上記ハーネスクランプの正面図である。
図3図2のIII矢視図である。
図4図2のIV矢視図である。
図5】上記ハーネスクランプの使用状態を示す縦断面図である。
図6】従来のハーネスクランプを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
1.ハーネスクランプ
本実施形態1.に係るハーネスクランプは、車両のドア開口の下縁側を構成するサイドシルパネル(8)に車両前後方向(P)に沿ってワイヤーハーネス(2)を配索するためのハーネスクランプ(1)であって、ワイヤーハーネスを保持するクランプ本体(3)を備え、クランプ本体は、底部(4)及び底部の端側から立ち上がりサイドシルパネルのフランジ(8a)に対向配置される立壁部(5)を有している(例えば、図1及び図5等参照)。そして、底部(4)には、サイドシルパネル(8)に形成された貫通穴(9)に挿入されて取り付けられる取付部(11)が設けられており、立壁部(5)には、サイドシルパネルのフランジ(8a)に車両前後方向(P)で当接する突起部(13)が設けられている。
【0011】
本実施形態1.に係るハーネスクランプとしては、例えば、上記立壁部(5)のサイドシルパネルのフランジ(8a)に対向する対向面(5a)には、突起部(13)の表面に連なるリブ(14、15)が設けられている形態(例えば、図1等参照)を挙げることができる。
【0012】
本実施形態1.に係るハーネスクランプとしては、例えば、上記立壁部(5)には、縦断面で閉空間(16a)を形成する閉空間部(16)が形成され、閉空間部を構成する立壁部の対向面(5a)に突起部(13)が形成されている形態(例えば、図1等参照)を挙げることができる。
【0013】
上述の形態の場合、例えば、上記リブ(14)は、突起部(13)の上面と立壁部(5)の対向面(5a)の閉空間部(16)より上側とに連結されていることができる(例えば、図1等参照)。これにより、リブによって突起部の倒れがより確実に防止されるとともに立壁部の剛性がより高められる。よって、突起部がサイドシルパネルのフランジにより確実に当接され、ハーネスクランプの回転をより確実に防止できる。
【0014】
本実施形態1.に係るハーネスクランプとしては、例えば、上記突起部(13)の当接端側は、円弧状に形成されている形態(例えば、図5等参照)を挙げることができる。
【0015】
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
【実施例】
【0016】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、車両のドア開口の下縁側を構成するサイドシルパネルに車両前後方向に沿ってワイヤーハーネスを配索するためのハーネスクランプを例示する。
【0017】
なお、上記サイドシルパネル8は、図5に示すように、車両のフロアパネル(図示省略)の車両幅方向外側でフロアパネルから上方に立ち上がるサイドシルインナパネル10a及びサイドシルアウタパネル10bを備えている。このサイドシルパネル8のフランジ8aは、サイドシルインナパネル10a及びサイドシルアウタパネル10bの各端部が上方に向いて重ね合わされて構成されている。
【0018】
(1)ハーネスクランプの構成
本実施例に係るハーネスクランプ1は、図1図4に示すように、ワイヤーハーネス2を保持する縦断面略U字状で樹脂製のクランプ本体3を備えている。このクランプ本体3は、底部4と、この底部4の両端側から立ち上がる第1立壁部5及び第2立壁部6と、を有している。これら底部4、第1立壁部5及び第2立壁部6で囲まれた空間S内にワイヤーハーネス2が保持される。
【0019】
上記底部4の底面には、図1及び図5に示すように、サイドシルパネル8の上面部に形成された貫通穴9に挿入されて取り付けられる取付部11が設けられている。この取付部11は、台座11aと、この台座11aから下方に延びる板状部11bと、この板状部11bの先端側から台座11a側に向かって延びる一対の係止片11cと、を有している。これら一対の係止片11cを弾性変形させつつ貫通穴9に取付部11を挿入することで、貫通穴9に対して取付部11が挿入軸H方向(すなわち、略上下方向)に移動不能に取り付けられる。さらに、底部4には、ワイヤーハーネス2を下方から支持するハーネス支持片29が形成されている(図1参照)。
【0020】
なお、上記取付部11の貫通穴9への取付け状態では、図5に示すように、台座11aと貫通穴9の内周面との間に車両前後方向P(図1参照;図5で紙面と直交する方向)の隙間が形成されるとともに、台座11aと貫通穴9の内周面とが車両幅方向Qで当接する。この車両前後方向Pの隙間によりワイヤーハーネス2の長手方向の寸法誤差や取付誤差が吸収される。
【0021】
上記第1立壁部5のサイドシルパネル8のフランジ8aに対向配置される対向面5aには、図1及び図5に示すように、フランジ8aに車両前後方向Pで当接する突起部13が形成されている。この突起部13は、車両前後方向Pに延びており、フランジ8aに線状に当接(すなわち、線当て)するように当接端側が側面視(又は縦断面視)で円弧状に形成されている。
【0022】
上記第1立壁部5の対向面5aには、図1及び図2に示すように、突起部13の上面(表面)に連なって上下方向に延びる上側リブ14と、突起部13の下面(表面)に連なって上下方向に延びる下側リブ15と、が形成されている。また、第1立壁部5の下端側には、車両前後方向Pに開口し縦断面で閉空間16aを形成する環状の閉空間部16が形成されている。この閉空間部16を構成する第1立壁部5の対向面5aに突起部13が形成されている。また、閉空間部16の内部には、閉空間16aを車両前後方向Pで仕切る仕切壁17が形成されている。また、上側リブ14は、第1立壁部5の対向面5aにおいて閉空間部16より上側に連なっている。
【0023】
上記第2立壁部6の下端側には、図5に示すように、フロアカーペット20を係止する屈曲状のカーペット係止部21が形成されている。この第2立壁部6の上端側には、ウォッシャーホース22を支持するホース支持部23が形成されている。また、第1立壁部5及び第2立壁部6の上端側のそれぞれには、スカッフプレート25の裏面から下方に延びる係止フック25aを係止するプレート係止部26が形成されている。また、第1立壁部5及び第2立壁部6の上端側のそれぞれには、クランプ本体3の空間S内のワイヤーハーネス2の周面に圧接する圧接片27が形成されている。また、上記サイドシルパネル8のフランジ8aの上端側にはウェザーストリップ31が装着されている。さらに、上記スカッフプレート25の凹部には加飾ユニット32が配置されている。
【0024】
(2)ハーネスクランプの作用
次に、上記構成のハーネスクランプ1の作用について説明する。クランプ本体3の空間S内にワイヤーハーネス2を挿入し、ワイヤーハーネス2及びハーネス支持片29に接着テープを巻き付けることでクランプ本体3にワイヤーハーネス2が保持される。この状態より、取付部11をサイドシルパネル8の貫通穴9に挿入して取り付ける。すると、突起部13の当接端側がサイドシルパネル8のフランジ8aに車両前後方向Pに沿って線状に当接する。これにより、ワイヤーハーネスを配索する際にワイヤーハーネス2に捻れ等が生じても、ハーネスクランプ1が取付部11の挿入軸H(図5参照)回りに回転しない。
【0025】
(3)実施例の効果
本実施例のハーネスクランプ1によると、ワイヤーハーネス2を保持するクランプ本体3を備え、クランプ本体3は、底部4及び底部4の端側から立ち上がりサイドシルパネル8のフランジ8aに対向配置される立壁部5を有している。そして、底部4には、サイドシルパネル8に形成された貫通穴9に挿入されて取り付けられる取付部11が設けられており、第1立壁部5には、サイドシルパネル8のフランジ8aに車両前後方向Pで当接する突起部13が設けられている。これにより、サイドシルパネル8の貫通穴9に取付部11を取付けた状態で突起部13がサイドシルパネル8のフランジ8aに車両前後方向Pで当接する。よって、ワイヤーハーネス2に捻れ等が生じても、ハーネスクランプ1が取付部11の挿入軸H回りに回転してしまうことが防止される。その結果、ワイヤーハーネス2を車両前後方向Pに沿って適正な姿勢で容易に配索することができる。
【0026】
特に、本実施例では、取付部11と貫通穴9の内周面との間に車両前後方向Pの隙間を設けているのでハーネスクランプ1は取付部11の挿入軸H回り回転し易くなるが、サイドシルパネル8のフランジ8aへの突起部13の当接により回転が防止される。
【0027】
また、本実施例では、突起部13は、車両前後方向Pに延びているので、突起部13がサイドシルパネル8のフランジ8aに車両前後方向Pに沿って当接する。よって、ハーネスクランプ1の回転をより確実に防止できる。
【0028】
また、本実施例では、第1立壁部5のサイドシルパネル8のフランジ8aに対向する対向面5aには、突起部13の表面に連なるリブ14、15が設けられているので、リブ14、15により突起部13の剛性が高められて突起部13の倒れが防止される。よって、突起部13がサイドシルパネル8のフランジ8aにより確実に当接され、ハーネスクランプ1の回転をより確実に防止できる。
【0029】
また、本実施例では、第1立壁部5には、縦断面で閉空間16aを形成する閉空間部16が形成され、閉空間部16を構成する第1立壁部5の対向面5aに突起部13が形成されているので、各部品の寸法誤差や取付誤差等により突起部13がサイドシルパネル8のフランジ8aに比較的強く当接しても、閉空間部16によりサイドシルパネル8のフランジ8aからの反力が吸収される。また、閉空間部16により第1立壁部5の剛性が高められて第1立壁部5の倒れが防止される。よって、突起部13がサイドシルパネル8のフランジ8aにより確実に当接され、ハーネスクランプ1の回転をより確実に防止できる。
【0030】
また、本実施例では、上側リブ14は、突起部13の上面と立壁部5の対向面5aの閉空間部16より上側とに連結されているので、上側リブ14によって突起部13の倒れがより確実に防止されるとともに第1立壁部5の剛性がより高められる。よって、突起部13がサイドシルパネル8のフランジ8aにより確実に当接され、ハーネスクランプ1の回転をより確実に防止できる。
【0031】
さらに、本実施例では、突起部13の当接端側は、円弧状に形成されているので、突起部13の当接端側がサイドシルパネル8のフランジ8aに線状に当接する。よって、突起部13がサイドシルパネル8のフランジ8aにより確実に当接され、ハーネスクランプ1の回転をより確実に防止できる。
【0032】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、立壁部5の対向面5aに車両前後方向Pに沿って延びる板状の突起部13を設けるようにした。参考例として、例えば、立壁部5の対向面5aに車両前後方向Pに沿って複数の棒状の突起部を並設する形態を挙げることができる
【0033】
また、上記実施例では、突起部13の当接端側を円弧状に形成してサイドシルパネル8のフランジ8aに線状に当接させるようにしたが、これに限定されず、例えば、突起部の当接端側を平面状に形成してサイドシルパネルのフランジに面状に当接させるようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施例では、取付部11をサイドシルパネル8に直接的に取り付けるとともに、突起部13をサイドシルパネル8のフランジ8aに直接的に当接させるようにしたが、これに限定されず、例えば、取付部11をサイドシルパネル8に固定されたブラケットに取り付けたり、突起部13をサイドシルパネル8に固定されたブラケットに当接させたりしてもよい。
【0035】
また、上記実施例では、上側リブ14及び下側リブ15を備える形態を例示したが、これに限定されず、例えば、上側リブ14及び下側リブ15のうちの一方のみを備えるようにしてもよい。また、リブ14、15は、車両前後方向Pに沿って複数並設してあってもよい。
【0036】
また、上記実施例では、車両前後方向Pに隙間をもって貫通穴9に取り付けられる取付部11を例示したが、これに限定されず、例えば、車両前後方向Pに隙間なく貫通穴9の内周面に当接して取り付けられる取付部としてもよい。
【0037】
さらに、上記実施例では、接着テープを巻き付けることでクランプ本体3にワイヤーハーネス2を保持するようにしたが、これに限定されず、例えば、第1及び第2立壁部5、6の間でワイヤーハーネス2を挟持することでクランプ本体3にワイヤーハーネス2を保持したり、クランプ本体3に設けた締付ベルトを巻き付けることでクランプ本体3にワイヤーハーネス2を保持したりしてもよい。
【0038】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0039】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などのサイドシルパネルに車両前後方向に沿ってワイヤーハーネスを配索する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0041】
1;ハーネスクランプ、2;ワイヤーハーネス、3;クランプ本体、4;底部、5;第1立壁部、5a;対向面、8;サイドシルパネル、8a;フランジ、9;貫通穴、11;取付部、13;突起部、14;上側リブ、15;下側リブ、16;閉空間部、16a;閉空間、P;車両前後方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6