(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記表示処理にて、前記携帯端末が前記近距離無線通信方式で当該通信装置へ情報を送信することを許可するために必要な、前記指定領域をタップする回数を前記表示部に表示する請求項7に記載の通信装置。
前記制御部は、前記携帯端末から送信される同期信号に基づいて前記表示処理を実行することにより、前記携帯端末側が前記操作を促す旨を表示するのと同期したタイミングで前記表示処理を実行する請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図7によって説明する。
図1は本実施形態に適用された複合機10の斜視図である。
図2は複合機と携帯端末の電気的構成を示すブロック図である。複合機10は(本発明の「通信装置」の一例)であり、通信機能、スキャン機能、印刷機能を備えている。
【0024】
1.複合機10と携帯端末Uの構成
複合機)10は、インクジェット式の印刷装置30を構成する各装置を内部に収容する概ね箱型のケース本体20の上部側にフラットベット式のスキャン装置40を配してなる。
【0025】
スキャン装置40は、CCDやCIS等の読取デバイス(図略)、原稿台ガラス(図略)、原稿カバー45等を備え、原稿カバー45を開閉して原稿台ガラスに原稿を載置した後、読取デバイスを複合機10の左右方向に移動させることで、原稿シートの画像を読み取ることが出来る。
【0026】
また、複合機10のうち、前側の上面壁22には表示操作パネル(本発明の「表示部」の一例)50が配されている。表示操作パネル50は、液晶表示部51と、タッチパネル53(本発明の「操作部」の一例)を備えており、液晶表示部51の表示を見ながら、タッチパネル53を操作することで、各種の入力操作を行うことが出来る構成となっている。尚、液晶表示部51とタッチパネル53はパネルの厚み方向に重なっており、パネルの概ね全範囲を表示画面として使用できると共に、タップ操作(入力操作)することが出来る。上記により、本発明の「表示部(この例では、液晶表示部51を含む表示操作パネル50の全体)は、操作部(この例では、タッチパネル53)を含む」が実現されている。
【0027】
ケース本体20の中央下部には前後に貫通するトレイ収納部21が設けられており、そこには、供給トレイ23が前方より脱抜可能に嵌め合わされている。供給トレイ23より給紙された用紙は装置後方に送られた後、180度反転して装置前方へと送られる。そして、前方へ送られる過程で、印刷装置30により印刷が行われ、印刷後の用紙は、供給トレイ23の上側に設けられた排紙トレイ25上に排紙される構成となっている。
【0028】
そして、
図1に示すように、ケース本体20の前面壁27の右端部27Aには、インクカートリッジを着脱する着脱口28が設けており、着脱口28を通じて、各インクカートリッジを、着脱できる構成になっている。
【0029】
また、ケース本体20の前面壁27のうち、着脱口28の逆側となる左端部27Bの裏面側には、NFC(Near Field Communicationの略)基板75が取り付けられている。NFC基板75は携帯端末Uと近距離無線通信方式(以下、「NFC方式」と称す)で通信を行うものであり、ループアンテナ76と通信回路(図略)とを備えた構成となっている。尚、NFC基板75は、本発明の「第1種通信部」の一例であり、NFCインターフェースとして機能する。
【0030】
次に
図2を参照して、携帯端末U及び複合機10の電気的構成を説明する。
携帯端末Uは携帯電話(例えばスマートフォン)である。携帯端末Uは、端末制御部90、無線LANインターフェース100、NFC基板110、表示操作パネル120を備える。
【0031】
端末制御部90は、中央処理装置(以下、CPU)91およびメモリ93を有する。メモリ93は、例えばROMやRAM等を有し、ROMにはOS、複合機10に対して印刷処理を実行させる印刷アプリケーションプログラム、複合機10にスキャナ処理を実行させるための読取アプリケーションプログラムなど、各種のプログラムが記憶されている。
【0032】
CPU91は、ROMから読み出したプログラムに従って、携帯端末Uの各部を制御する。なお、アプリケーションプログラムは、例えば、複合機10のベンダによって提供されるサーバから携帯端末Uにインストールされてもよいし、複合機10と共に出荷されるメディアから携帯端末Uにインストールされてもよい。また、携帯端末Uに予めインストールされていてもよい。
【0033】
無線LANインターフェース100は、端末制御部90が、WiFiダイレクト方式に従った無線通信と、通常WiFiに従った無線通信と、を実行するためのインターフェースである。WiFiダイレクト方式では、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば802.11a,11b,11g,11n等)に基づいて、無線通信が実行される。
【0034】
また、WiFiダイレクト方式に従った無線通信は、アクセスポイント(図略)を利用しない直接無線通信であり、1対1の無線装置間でのみ独占的に無線通信が可能であり、その無線通信の接続を切断しない限り、別の無線装置とは無線通信を行うことができない。通常WiFiに従った無線通信は、アクセスポイントを利用する間接無線通信であり、1対多の無線装置間で無線通信が可能である。尚、WiFiは「Wireless Fidelity」の略語である。
【0035】
NFC基板110は、複合機10側のNFC基板75と同様、ループアンテナ(図略)と通信回路(図略)とを備えており、携帯端末Uの裏面側(表示操作パネル120が設けられた表面の反対側の面)に取り付けられている。NFC基板110は、端末制御部90がNFC方式に従って通信を実行するためのNFCインターフェースとして機能する。なお、NFC方式の通信は、ISO/IEC21481又はISO/IEC18092の国際標準規格に基づいて実行される。
【0036】
また、NFC方式と、WiFiダイレクト方式や通常WiFi方式などのWiFi方式とは、無線通信方式が異なり、WiFi方式の通信速度は、NFC方式の通信速度よりも速い。また、WiFi方式の通信可能距離は、NFC方式の通信可能距離よりも長い。
【0037】
表示操作パネル120はタッチパネルを有し、ユーザにより各種の入力操作が可能である。表示操作パネル120は液晶ディスプレイを有し、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。
【0038】
複合機10は、制御部80、無線LANインターフェース60、NFC基板75、表示操作パネル50、印刷装置30、およびスキャン装置40を備える。印刷装置30は、本発明の「印刷部」の一例であり、記録紙に画像を印刷するものである。スキャン装置40は、原稿シートの画像を読み取るものである。
【0039】
無線LANインターフェース60は、本発明の「第2種通信部」の一例であり、制御部80が、WiFi方式に従って通信するためのインターフェースである。NFC基板75は、制御部80がNFC方式に従って通信するためのインターフェースである。
【0040】
制御部80は、CPU81とメモリ83とを備える。メモリ83はROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ83は、CPU81によって実行されるプログラムや、表示操作パネル50に表示する表示画像、具体的には
図5の画像1や
図5の画像2の表示データを格納する。CPU81は、メモリ83に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。CPU81がプログラムに従って処理を実行することによって、印刷装置30による印刷処理、スキャン装置40による画像読取処理、各インターフェース60、70を介した携帯端末Uとの通信処理、表示操作パネル50による表示処理が実現される。
【0041】
2.複合機10を用いた携帯端末Uからの印刷処理
図3は、携帯端末Uと複合機10との間で実行される印刷処理の流れを示すシーケンス図である。尚、以下の説明において、「P2P(Peer to Peer)」とは、複数の通信装置(この例では、携帯端末Uと複合機10)が、1対1で論理的に接続することである。また、「P2P接続通知」とは、P2Pで論理的に接続したことをユーザに通知するものである。また、「NFC通信要求」とは、携帯端末UからNFC方式に従った通信を利用して各種情報(携帯端末の情報や設定、印刷データ等)を複合機10に送信することの許可を要求するものである。また、「ハンドオーバー」とは、本実施形態では、ペアリング(無関係の機器と接続しないようにするため、互いに認証を行うこと)をNFC基板75、110で行い、印刷データ等の比較的大きなデータの通信は高速通信可能な無線LANインターフェース60、100に引き継ぐことを意味する。
【0042】
携帯端末Uから複合機10にアクセスして印刷処理を行う場合、携帯端末Uのユーザが表示操作パネル120を操作することにより、印刷アプリケーションプログラム(以下、印刷アプリ)が起動すると、携帯端末U側の端末制御部90は、
図6に示す処理を実行する。まず、携帯端末U側で印刷する画像を選択するなどの印刷準備が行われる(
図3、
図6のS1)。具体的には、印刷アプリが起動すると、端末制御部90は、メモリ93から画像のデータを読み出し、携帯端末Uの表示操作パネル120にサムネイル画像を表示させる(
図4に示す画面A)。
【0043】
ユーザは表示されたサムネイル画像の中から印刷する画像を選択することが出来る。具体的には、表示操作パネル120のうち、選択する画像の部分をタップ操作することで、印刷する画像を選択することが出来る。画像が選択されると、携帯端末Uの端末制御部90は、選択された画像を拡大して表示操作パネル120に表示させる(
図4に示す画面B)。これにて、印刷準備が終了する。
【0044】
尚、印刷準備が終了して所定時間経過すると、端末制御部90は、選択された画像を縮小して表示操作パネル120に表示させ、選択された画像の表示されていない領域に、「複合機に携帯端末を近付けてください」というメッセージを表示させる。そして、携帯端末Uの端末制御部90は、NFC基板110に電波(自己の存在を相手に知らせる信号)を発信させて、NFC方式によるP2P接続を待つ待機状態となる(
図3、
図6に示すS2)。つまり、端末制御部90は、複合機10から電波を受信したか否かを判定して、電波(相手側の発した自己の存在を知らせる信号)の受信を待つ状態になる(
図6に示すS3)。
【0045】
複合機10が電源を投入されると、複合機10の制御部80は、
図7に示す処理を実行し、複合機10のNFC基板75に電波(自己の存在を相手に知らせる信号)を発信させて、NFC方式によるP2P接続を待つ待機状態となる(
図3、
図7に示すS20)。そして、制御部80は、携帯端末Uから電波(相手側の発した自己の存在を知らせる信号)を受信したか否かを判定する(
図3、
図7に示すS30)。
【0046】
その後、ユーザが携帯端末Uを複合機10に近づけて、携帯端末UのNFC基板110と複合機10のNFC基板75との間の距離が、互いに電波が届く距離(例えば10cm)より短くなると、携帯端末Uの端末制御部90は、NFC基板110を通じて、複合機10のNFC基板75から電波を受信する受信処理を行う(
図3、
図6に示すS3:YES)。また、複合機10の制御部80は、NFC基板75を通じて、携帯端末UのNFC基板110から電波を受信する受信処理を行う(
図3、
図7に示すS30:YES)。これにより、携帯端末Uと複合機10は、NFC基板110とNFC基板75とを介して、P2Pで論理的に接続される(
図3、
図6に示すS4および
図3、
図7に示すS40)。
【0047】
また、携帯端末Uの端末制御部90は、複合機10から電波を受信すると、「P2P接続通知」と「NFC通信要求」をユーザに知らせる旨を、表示操作パネル120に表示させる処理を行う(
図3、
図6に示すS5)。これにより、例えば、
図4の画面Cに示すように、「P2P検知成功! NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか?画像をタップしてください」のメッセージと、印刷対象として選択された画像が上下に表示される。携帯端末Uの表示操作パネル120に表示されるNFC通信要求の表示、具体的には「NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか?画像をタップしてください」のメッセージが表示される。このメッセージは、WiFiダイレクト方式で通信するために携帯端末Uと複合機10との間で必要となる情報の通信をNFC方式で行う際に、携帯端末Uが複合機10へ情報を送信することを許可するための操作を促す旨である。
【0048】
そして、表示操作パネル120のうち選択された画像に対応する部分(
図4の画面Cのうち破線で囲まれた部分)は、操作エリアとして指定された指定領域Fであり、ユーザが指定領域F内を、タップ操作することで、携帯端末UがNFC方式で複合機10に情報を送信できるようになる。
【0049】
一方、複合機10の制御部80は、携帯端末Uから電波を受信すると、「P2P接続通知」と「NFC通信要求」をユーザに知らせる旨を、複合機10の表示操作パネル50に表示させる処理を行う(
図3、
図7に示すS50)。
【0050】
これにより、例えば、
図5の画面1に示すように、表示操作パネル50上に携帯端末Uを模した画像が表示され、更に、携帯端末Uを模した画像中に「P2P検知成功! NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか?携帯端末をタップしてください」のメッセージと、「OK」枠55を含む携帯端末Uのイメージ画像が上下に表示される。その後、複合機10は、WiFiハンドオーバー接続要求の有無を判定する(
図7に示すS60)。制御部80は、所定時間内にWiFiハンドオーバー接続要求がない場合、
図7に示す処理を終了する(
図7に示すS60:NO、S70:YES)。
【0051】
複合機10の表示操作パネル50に表示されるNFC通信要求の表示、具体的には「NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか?携帯端末をタップしてください」のメッセージは、上述したように、WiFiダイレクト方式(特定の無線通信方式)で通信するために携帯端末Uと複合機10との間で必要となる情報の通信をNFC方式で行う際に、携帯端末Uが複合機10へ情報を送信することを許可するための操作を促す旨である。このように複合機10側で操作を促すメッセージを表示する意図は、携帯端末Uを複合機10に接近させたまま上記操作を行うユーザをサポートするためである。
【0052】
すなわち、携帯端末U側のNFC基板110は、表示操作パネル120の設けられた面に対して垂直方向に電波を発信するように設けられているので、本複合機10のように、NFC基板75が、ケース本体20の前面壁27に設けられている場合、複合機10と携帯端末UとがNFC方式で通信するには、
図1に示すように、携帯端末Uを立てた状態に保ちながら、複合機10の前面壁27に接近させる必要がある。
【0053】
この場合、複合機10の設置場所がユーザから見て低い位置にあると、携帯端末Uの画面を視認する場合、ユーザは屈んだ姿勢になる必要があり、携帯端末Uの表示がユーザから見え難いことが多い。従って、携帯端末U側の表示操作パネル120での表示に併せて、複合機10側の表示操作パネル50にも、操作を促す旨を表示することで、ユーザは無理をして携帯端末Uの画面を見なくても、複合機10側の表示操作パネル50の表示内容から、携帯端末UがNFC方式で複合機10に情報を送信できるようにするには、何らかの操作(この例では、タップ操作)が必要であることや、操作の実行タイミングが到来したことをユーザに知らせることが出来る。
【0054】
また、「OK」枠55の表示は、携帯端末Uの表示操作パネル120に表示される指定領域F(
図4の画面Cのうち破線で囲まれた部分)に対応していて、携帯端末U側の大凡どの部位をタップ操作すれば、操作が有効であるかをユーザに知らせる。従って、ユーザは無理をして携帯端末Uの画面を見なくても、複合機10側の表示操作パネル50の表示内容から、携帯端末UがNFC方式で複合機10に情報を送信できるようにするにはどのような操作が必要か、すなわち携帯端末Uのどの部分をタップ操作することが必要なのか分かる。
【0055】
もし仮に、指定領域Fの位置をユーザに知らせる表示(OK枠55の表示)がされない場合は、ユーザは無理をして携帯端末Uの画面を見なくてはならない。そのため、画面を見ることに意識が集中する結果、知らない間に携帯端末Uを複合機10から遠ざけてしまう場合がある。この場合、NFC基板75、110間の距離が通信距離より大きくなり、通信途中で、NFC方式による接続が切れてしまう恐れがある。この点、本実施形態は、「OK」枠55の表示により、携帯端末Uの表示操作パネル120に表示される指定領域Fの位置をユーザに知らせるので、ユーザが無理をして携帯端末Uの画面を見る必要がなく、NFC方式による接続が意図せず、途切れることを抑制できる。
【0056】
尚、複合機10の制御部80により実行されるS50の表示処理により、本発明の「前記受信処理にて前記電波を受信した場合、前記携帯端末が前記近距離無線通信方式(この例では、NFC方式)で当該通信装置(この例では、複合機10)へ情報(この例では、WiFiダイレクト方式で通信するために携帯端末Uと複合機10との間で必要となる情報)を送信することを許可するための操作を促す旨(この例では、NFC通信要求の表示)を、前記表示部(この例では、表示操作パネル50)に表示させる表示処理」が実現されている。また、S50の表示処理にて表記操作パネル50に表示される「携帯端末をタップして下さい」の表示が、「前記操作を前記携帯端末側にて行うことを促す旨」の一例であり、タップ操作の位置を示す「OK」枠55の表示が、「前記携帯端末の指定領域を操作するように促す旨」の一例である。
【0057】
端末制御部90は、画面Cの表示後、所定時間内に指定領域Fに対するタップ操作が有るか否かを判定する(
図6に示すS6、S17)。そして、所定時間内にタップ操作されない場合、端末制御部90は、処理を終了する(
図6に示すS6:NO、S17:YES)。
一方、所定時間内に指定領域Fがタップ操作されると(
図3、
図6に示すS6:YES)、タップ操作を検出した携帯端末Uの端末制御部90は、NFC方式で複合機10に情報を送信できるようになったとして、NFC方式での通信を利用して複合機10に対してNFC基板110を介してWiFiハンドオーバー接続要求を送信する(
図3、
図6に示すS8)。WiFiハンドオーバー接続要求を送信するとは、複合機10の無線LANインターフェース60と携帯端末Uの無線LANインターフェース100を用いたWiFiダイレクト方式での通信に移行するために必要となるペアリング(無関係の機器と接続しないようにするため、互いに認証を行うこと)を行うために、端末制御部90がNFC基板110を通じて、携帯端末Uに関する情報やWiFiダイレクト方式での通信の認証を問い合わせる情報をNFC方式で複合機10に送信することである。
【0058】
携帯端末Uは、WiFiハンドオーバー接続要求の送信後、複合機10からのWiFiハンドオーバー接続応答の有無を判定する(
図6に示すS9)。
【0059】
携帯端末Uから送信されたWiFiハンドオーバー接続要求は、複合機10のNFC基板75により受信される(
図3、
図7のS60:YES)。そして、複合機10の制御部80は、WiFiハンドオーバー接続要求を受信すると、次に、NFC方式での通信を利用して、携帯端末Uに対してWiFiハンドオーバー接続応答を送信する(
図3、
図7に示すS80)。WiFiハンドオーバー接続応答を送信するとは、WiFiダイレクト方式での通信に移行することを認証し、実際に、携帯端末Uとの間でWiFiダイレクト方式での通信を行うために、WiFiダイレクト方式での通信の認証を問い合わせる情報に応答するための認証情報やネットワーク名等の複合機10に関する情報をNFC方式で携帯端末Uに送信することである。
【0060】
そして、複合機10から送信されたWiFiハンドオーバー接続応答は、NFC基板110を通じて、携帯端末Uにて受信される(
図3、
図6に示すS9:YES)。携帯端末Uの端末制御部90がWiFiハンドオーバー接続応答を受信することにより、携帯端末Uと複合機10との間でWiFiダイレクト方式での接続が確立するとともに(
図3、
図6に示すS10)、端末制御部90は、NFC通信結果をユーザに知らせる旨を、表示操作パネル120に表示させる処理を行う(
図3、
図6に示すS11)。これにより、例えば、
図4の画面Dに示すように、携帯端末Uの表示操作パネル120に「WiFiダイレクト接続します 携帯端末を複合機から離せます」のメッセージが表示される。尚、携帯端末Uを複合機10から離すことが出来る理由は、WiFiダイレクト方式での接続が確立した以降は、両間の通信は、全てWiFiダイレクト方式での通信へ引き継がれるからである。
【0061】
また、複合機10の制御部80が携帯端末Uに対してWiFiハンドオーバー接続応答を送信した後、携帯端末Uと複合機10との間でWiFiダイレクト方式での接続が確立するとともに(
図3、
図7に示すS90)、制御部80は、NFC通信結果をユーザに知らせる旨を、表示操作パネル50に表示させる処理を行う(
図3、
図7に示すS100)。これにより、例えば、
図5の画面2に示すように、複合機10の表示操作パネル50に「WiFiダイレクト接続します 携帯端末を複合機から離せます」のメッセージが表示される。
【0062】
その後、携帯端末Uから複合機10に対して、無線LANインターフェース60、100によるWiFiダイレクト方式の通信により、印刷データを送信する処理が実行される(
図3、
図6に示すS12)。
【0063】
実施形態1では、ユーザにより選択された
図4の画面Bの画像に対応する印刷データが、携帯端末Uから複合機10に対して送信されることになる。尚、端末制御部90は、印刷データを送信中である旨を、表示操作パネル120に表示させる処理を行う。
【0064】
そして、印刷データの送信が終了すると、携帯端末Uの端末制御部90は、印刷データの送信が完了したことを通知する印刷データ送信完了通知を、表示操作パネル120に表示させる処理を行う(
図3、
図6に示すS13)。その後、携帯端末Uの端末制御部90は、複合機10とのWiFiダイレクト方式による通信を切断する情報を複合機10に送信し、WiFiダイレクト方式による通信を切断する処理を行い(
図3、
図6に示すS14)、
図6に示す処理を終了する。
【0065】
また、複合機10側では、制御部80は、無線LANインターフェース60を通じて、携帯端末Uから送信される印刷データを受信する受信処理を行う(
図3、
図7に示すS110)。そして、制御部80は、印刷データの受信を完了すると(
図7に示すS110:YES)、WiFiダイレクト方式による通信を切断する処理を行う(
図3、
図7に示すS120)。尚、印刷データの受信を完了したか否かの判定は、例えば、携帯端末UからWiFiダイレクト方式による通信を切断する情報を受信したか否かを判定することによって行える。その後、制御部80は、受信した印刷データに基づく画像を印刷する印刷処理を、印刷装置30を用いて実行し(
図7に示すS130)、
図7に示す処理を終了する。これにて、携帯端末Uから送信した印刷データを複合機10により印刷出来る。
【0066】
3.効果説明
WiFiダイレクト方式で通信を接続するのに必要な情報を、携帯端末Uから複合機10に対してNFC方式で送信する場合、情報の送信を許可するための操作(この例ではタップ操作)」を携帯端末U側で行う必要がある。実施形態1では、操作を促す表示(この例では、
図5の画面1に示すNFC通信要求の表示)を、携帯端末U側に加えて、複合機10側の表示操作パネル50にも表示する。
【0067】
そのため、そうした操作が必要であることや、操作を行うタイミングが到来したことを、携帯端末U側だけでなく、複合機10側でも確認できるので、操作の必要性をユーザが認識しやすい。すなわち、無理をして携帯端末U側の画面を見なくても、複合機10側の表示操作パネル50の表示内容から、操作の必要性や操作の実行タイミングが到来したことをユーザに知らせることが出来る。
【0068】
また、複合機10側で行われるNFC通信要求の表示(
図5の画面1)には、「携帯端末をタップして下さい」のメッセージが含まれているので、携帯端末U側で操作が必要な事を知らないユーザに対して、携帯端末U側で操作が必要なことを伝えることが出来る。
【0069】
また、
図5の画面1に表示される「OK」枠55は、携帯端末Uの表示操作パネル120に表示されるタップ操作用の指定領域F(
図4の画面Cのうち破線で囲まれた部分)に対応していて、携帯端末U側のどの部位をタップ操作すれば、いいかをユーザに知らせる。従って、ユーザは無理をして携帯端末U側の表示を見なくても、操作を行うことが可能となるので、操作性がよい。
【0070】
また、表示操作パネル50は複合機10の上面壁22に設けられている。表示操作パネル50が複合機10の上面壁22に設けられていれば、複合機10の設置場所がユーザから見て低い位置にあったとしても、ユーザは視線を下げれば、表示操作パネル50を視認・できるので、NFC通信要求の表示(具体的には、
図5に示す画面1)が見やすい。
【0071】
また、本実施形態では、NFC方式からWiFiダイレクト方式へ通信を引き継ぐようにしている。そのため、WiFiダイレクト方式での通信を利用して、携帯端末Uから複合機10に速い通信速度で印刷データを送信できる。以上のことから、印刷データの送信から印刷終了するまでの時間を短縮できるので、利便性がよい。
【0072】
また、本実施形態では、メモリ83に対して、表示操作パネル50に表示する表示画像、具体的には
図5の画像1や
図5の画像2の表示データを予め格納している。そのため、S50の表示処理を行う際に、携帯端末Uから表示データを受信する必要がない。そのため、表示データを携帯端末Uから受信して表示を行う場合に比べて、S50の表示処理を迅速に行うことが出来る。
【0073】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図8ないし
図11によって説明する。
図8は携帯端末Uと複合機10との間で実行される印刷処理の流れを示すシーケンス図である。
図9は複合機側の画面遷移を示す図である。
図10は印刷処理において携帯端末側で実行される処理の流れを示すフローチャート図、
図11は、印刷処理において複合機側で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。尚、
図10は、実施形態1の
図6に対してS15、S16の処理を追加したものである。また、
図11は、実施形態1の
図7に対してS51、S53、S55、S57、S59の処理を追加したものである。
【0074】
実施形態1では、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信することを許可するか否かを、携帯端末U側の表示操作パネル120の指定領域Fをタップ操作することにより決定するようにした。すなわち、ユーザが指定領域Fをタップ操作した場合には、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信する処理を行い、ユーザが指定領域Fをタップ操作しなかった場合には、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信する処理をしないようにした。
【0075】
実施形態2では、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信することを許可するか否かを、携帯端末U側のみならず、複合機10側においても表示操作パネル50の指定領域をタップ操作することにより決定できるようにする。
【0076】
具体的に説明すると、印刷準備の終了後(
図8、
図10に示すS1)、ユーザが携帯端末Uを複合機10に近づけて、携帯端末Uと複合機10との間の距離が、互いに電波が届く距離より短くなると、携帯端末UのNFC基板110は複合機10から電波を受信し(
図8、
図10に示すS3:YES)、複合機10のNFC基板75は、携帯端末U側からの電波を受信し(
図8、
図11に示すS30:YES)、両間はNFC方式によりP2P接続される(
図8、
図10に示すS4および
図8、
図11に示すS40)。
【0077】
その後、複合機10の制御部80は、「P2P接続通知」と「NFC通信要求」をユーザに知らせる旨を、複合機10の表示操作パネル50に表示させる処理を行う(
図8、
図11に示すS50)。これにより、例えば、
図9の画面3に示すように、「P2P検知成功! NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか?」のメッセージと、操作枠(この例では「YES」枠56、「NO」枠57)が表示される。「YES」枠56と「NO」枠57は、タップ操作用の指定領域であり、ユーザが「YES」枠56、「NO」枠57のうちいずれの枠内をタップ操作するかで、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信することを許可するか否かを決定することが出来る。
【0078】
尚、
図9の画面3に記載した「自社アプリ対象」とは、携帯端末Uが、複合機10の製造者(いわゆるベンダ)が開発した印刷アプリケーション(自社アプリ)を使用する形態を意味している。このように、実施形態2において、携帯端末U側が使用する印刷アプリケーションを、ベンダの自社アプリケーションに限定している理由は、NFC方式でP2P接続した後、WiFiダイレクト接続に引き継ぐか否かの決定を、携帯端末U側だけでなく、複合機10側でも操作できるようにしているからである。
【0079】
そして、複合機10の制御部80は、表示処理を実行してから既に許可操作済みであるか否か、すなわち、表示操作パネル50にて画面3中に表示された「YES」枠56が、表示処理を実行してから既にタップされたか否かを、許可操作済みを示す情報がメモリ83に格納されているか否かを判定することによって、判定する(
図11に示すS51)。許可操作済みを示す情報がメモリ83に格納されていない場合(
図11に示すS51:NO)、制御部80は、タップ操作を受け付ける受付処理を行ったか否かを判定する(
図11に示すS53)。ユーザがタップ操作を行うと、表示操作パネル50のタッチパネル53から制御部80に対して操作(この例では、「YES」枠56をタップ操作したのか、「NO」枠57のタップ操作したのか)に応じた操作信号が入力される。そして、複合機10の制御部80は、操作信号の入力を受け付ける受付処理を行う。そのため、操作信号の入力を受け付けたか否かにより、制御部80は、タップ操作を受け付けたか否かを判断することが出来る。
【0080】
そして、タップ操作を受け付けたと判定した場合(
図11に示すS53:YES)、制御部80は、「YES」枠56のタップ操作を受け付けたのか、「NO」枠57のタップ操作を受け付けたのかを判定する(
図11に示すS55)。「NO」枠57のタップ操作を受け付けたと判定した場合(
図11に示すS55:NO)、複合機10の制御部80は、携帯端末Uが複合機10へ情報を送信することを禁止するための操作を複合機10で受け付けた旨の情報である禁止操作応答を、携帯端末Uに送信する(
図11に示すS57)。そして、携帯端末Uと複合機10との間でNFC方式により通信する必要がなくなったものみなして、制御部80は、
図11に示す処理を終了する。
【0081】
一方、「YES」枠56のタップ操作を受け付けたと判定した場合(
図8、
図11に示すS55:YES)、複合機10の制御部80は、許可操作済みを示す情報をメモリ83に格納するとともに、携帯端末Uが複合機10へ情報を送信することを許可するための操作を複合機10で受け付けた旨の情報である許可操作応答を、携帯端末Uに送信する(
図8、
図11に示すS59)。そして、制御部80は、「NO」枠57のタップ操作を受け付けていなければ(
図11に示すS51:YES、S53:NO、S55:YES)、WiFiハンドオーバー接続要求の有無を判定する(S11に示すS60)。
【0082】
尚、制御部80により実行されるS57の処理(携帯端末Uに対して禁止操作応答を送信する処理)と、S59の処理(携帯端末Uに対して許可操作応答を送信する処理)により、本発明の「受け付けた操作に応じた情報(この例では、禁止操作応答や、許可操作応答)を前記携帯端末に対して応答する応答処理」が実現されている。
【0083】
携帯端末Uの端末制御部90は、
図4に示す画面Cのような、「P2P接続通知」と「NFC通信要求」をユーザに知らせる旨を表示操作パネル120に表示(
図8、
図10に示すS5)させた後、画面C内の指定領域Fに対するタップ操作が有るか否かを判定する(
図10に示すS6)。指定領域Fがタップ操作されない場合(
図10に示すS6:NO)、端末制御部90は、複合機10が送信する、携帯端末Uが複合機10へ情報を送信することを許可または禁止するための操作を複合機10で受け付けた旨の情報を、P2P接続を利用してNFC基板110を通じて受信したか否かを判定する(
図10に示すS15)。すなわち、端末制御部90は、複合機10から送信される許可操作応答または禁止操作応答を受信したか否かを判定する。そして、所定時間内に、指定領域Fもタップ操作されず、許可操作応答も禁止操作応答も受信されない場合、端末制御部90は、処理を終了する(
図10に示すS6:NO、S15:NO、S17:YES)。
【0084】
一方、所定時間内に指定領域Fがタップ操作されるか(
図10に示すS6:YES)、NFC基板110を通じて許可操作応答を受信すると(
図8、
図10に示すS16:YES)、携帯端末Uの端末制御部90は、NFC方式で複合機10に情報を送信できるようになったとして、NFC方式の通信を利用して複合機10に対してNFC基板110を介してWiFiハンドオーバー接続要求を送信する(
図8、
図10に示すS8)。NFC基板110を通じて禁止操作応答を受信すると(
図10に示すS16:NO)、携帯端末Uと複合機10との間でNFC方式により通信する必要がなくなったものとみなして、端末制御部90は、
図10に示す処理を終了する。
【0085】
その後の処理は、実施形態1と同様であり、携帯端末Uと複合機10は、
図4の画面Dや
図9の画面2に示すように、それぞれの表示操作パネル120、50に「WiFiダイレクト接続します 携帯端末を複合機から離せます」のメッセージを表示し、両間でWiFiダイレクト方式での無線通信を確立(接続)する処理が行われる。そして、両間でWiFiダイレクト方式での無線通信が確立すると、その後、携帯端末Uから複合機10に対して、無線LANインターフェース60、100によるWiFiダイレクト方式の通信により、印刷データを送信する処理が実行される。
【0086】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図12、
図13によって説明する。
図12は実施形態3に適用された複合機の斜視図、
図13は印刷処理において複合機側で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。尚、印刷処理において携帯端末側で実行される処理の流れが実施形態1の
図6と同じであるため、図は省略してある。
【0087】
実施形態3の複合機10は、ケース本体20の前端上部に回転軸Rを設けている。回転軸Rは水平方向に延びており、上面壁22の前端部を回転可能に支持している。上面壁22には、表示操作パネル50が設けられていることから、上面壁22を回転軸Rを中心に回転させることで、ケース本体20に対する表示操作パネル50の取り付け角度を変更できるようになっている。すなわち、
図12にて実線で示す概ね水平な角度から、
図12にて二点鎖線で示すように概ね垂直な角度まで変更できる構成となっている。このように、表示操作パネル50の角度を変更可能とする意図は、ユーザの視線の高さや複合機10の設置される高さによって、表示操作パネル50に表示された内容の見やすさが異なり、例えば、表示操作パネル50の角度を垂直に近くした方が、遠くから表示内容を見る場合、見やすくなるためである。
【0088】
しかしながら、P2P接続のために携帯端末Uを前面壁27に接近させる場合、ユーザは比較的複合機10の近くにいて複合機10を見下ろす可能性が高くなるため、表示操作パネル50の角度が垂直の場合は、表示操作パネル50の表示がユーザから見え難いことが多い。そのため、本実施形態3では、表示操作パネル50の取り付け角度を検出して、制御部80にて
図5に示す画面1の表示を行うかどうかを選択するようにしている。
【0089】
具体的に説明すると、実施形態3では、実施形態1にて説明した印刷処理に伴う複合機側の処理(
図7に示すフローチャート)に対して、
図13に示すS45の処理を設けている。S45の処理は、ユーザが携帯端末Uを複合機10に近づけて、両間がNFCによりP2P接続された後に実行される。S45では、複合機10の制御部80により、表示操作パネル50の取り付け角度が、水平か否かが検出される。
【0090】
この実施形態では、ケース本体20のうち、上面壁22の対向部に対して、表示操作パネル50を検出するセンサ85を取り付けている。センサ85は、例えば、接触式のスイッチであり、表示操作パネル50が概ね水平な角度である場合(
図12にて実線で示す状態の場合)には、上面壁22の裏面に接触して「ON状態」となる。一方、表示操作パネル50が垂直な角度である場合(
図12にて二点鎖線で示す状態の場合)など、表示操作パネル50が概ね水平な角度でない場合には、上面壁22の裏面に対して非接触となり、「OFF状態」となる。そのため、複合機10の制御部80は、センサ85の出力が「ON状態」か「OFF状態」か、を検出することで、表示操作パネル50の取り付け角度が概ね水平か否かを検出することが出来る。
【0091】
そして、表示操作パネル50の取り付け角度が概ね水平の場合、S45にてYES判定され、S50に移行する。
【0092】
S50では、実施形態1と同様に、
図5に示す画面1の表示がされる。すなわち、携帯端末Uを模した画像中に「P2P検知成功! NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか? 携帯端末をタップしてください」のメッセージと、タップ操作の指定領域を示す「OK」枠55を含む携帯端末Uのイメージ画像が上下に表示される。その後、複合機10は、携帯端末UからWiFiハンドオーバー接続要求がされるのを待つ状態となる。
【0093】
一方、表示操作パネル50の取り付け角度が概ね水平でない場合、S45にてNO判定される。この場合、S50には移行せず、処理はS60に移行する。すなわち、表示操作パネル50上に
図5に示す画面1の表示はされず、複合機10は、携帯端末UからWiFiハンドオーバー接続要求がされるのを待つ状態となる(S60:NO)。このように、実施形態3では、表示操作パネル50がユーザから見やすい場合に、
図5の画面1の表示を行うので、処理として無駄がなく、利便性がよい。尚、複合機10の制御部80により実行されるS45の処理により、本発明の「選択処理」が実現されている。また、実施形態3では、表示処理を実行するかどうかを、表示操作パネル50の取り付け角度に基づいて選択するようにしたが、例えば、複合機10の設置高さに基づいて選択してもよい。例えば、複合機10の設置高さが低く、携帯端末Uを複合機10に接近させた時に、携帯端末U側の表示操作パネル120の画面が見難い場合は、S50の表示処理を実行し、複合機10の設置高さが高く、携帯端末Uを複合機10に接近させた時に、携帯端末U側の表示操作パネル120の画面が比較的見易い場合は、S50の表示処理を実行しないようにする。
【0094】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1〜3では、携帯端末Uの一例に携帯電話(例えばスマートフォン)を例示したが、携帯端末Uは、通信機器のNFCインターフェースにかざすことのできるものであればよく、PDA、ノートPC、タブレットPC、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等であってもよい。また、実施形態1〜3では、印刷装置としてインクジェット方式の印刷装置を例示したが、電子写真方式の印刷装置であってもよい。
【0095】
(2)実施形態1では、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信することを許可するか否かを、携帯端末U側の表示操作パネル120の指定領域Fをタップ操作するか否かにより決定するようにしたが、指定領域Fに対するタップ操作の回数により選択するようにしてもよい。例えば、タップ回数(タップ操作の回数)が1回の場合に、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信することを許可し、WiFiハンドオーバー接続要求を行い、タップ回数(タップ操作の回数)が2回の場合には、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信することを禁止し、WiFiハンドオーバー接続要求をしないようにする。
【0096】
また、このように指定領域Fに対するタップ操作の回数により選択する場合、複合機10では、S50の表示処理にて、「P2P検知成功! NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか?」のメッセージと共に、情報の送信を許可するために必要なタップ操作の回数(この例では1回)と、情報の送信を許可しない場合に必要なタップ操作の回数(この例では2回)をそれぞれ表示するとよい(例えば、
図14の画面4)。
【0097】
(3)実施形態1〜実施形態3では、携帯端末Uから複合機10にアクセスして印刷処理を行う例を挙げたが、携帯端末Uから複合機10にアクセスして画像を読み取るスキャナ処理を行うようにしてもよい。すなわち、原稿シートの画像をスキャン装置40で読み取った後、読み取ったデータを、WiFiダイレクト方式の通信により、複合機10側から携帯端末U側に送信するようにしてもよい。
【0098】
(4)実施形態1では、WiFiダイレクト方式(特定の無線通信方式)で通信するために携帯端末Uと複合機10との間で必要となる情報の通信をNFC方式で行う際に、携帯端末Uが複合機10へ情報を送信することを許可するための操作を促す旨(携帯端末U側にて行うことを促す)旨として、「NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか?携帯端末をタップして下さい」のメッセージを表示する例を示したが、これは促す旨の一例であり、操作を促す意図が伝わるメッセージや表示であればよい。例えば、「高速通信接続には情報の送信が必要です。決定操作をしてください」などであってもよい。
【0099】
(5)また、実施形態1〜実施形態3では、タップ操作により情報の送信が許可された場合に、NFC方式での通信を利用して、複合機10から携帯端末Uに対してWiFiダイレクト方式の無線通信に引く継ぐための情報、すなわち認証情報やネットワーク名等の複合機10に関する情報を送信するようにした。携帯端末Uと複合機10との間で送信する情報は、上記のように高速な無線通信に通信方式を引き継ぐ情報に限定されるものではなく、印刷データ等であってもよい。すなわち、情報の送信が許可された場合に、通信の方式の引き継ぎを行わず、NFC方式の通信を利用して、携帯端末Uから複合機10に印刷データを送信するようにしてもよい。
【0100】
(6)実施形態1〜3では、近距離無線方式の一例にNFC方式を例示し、特定の無線通信方式の一例に「WiFiダイレクト方式」を例示した。近距離無線方式は、NFC以外に、例えば「ISO/IEC14443、ISO/IEC15693準拠の通信方式」等であってもよい。また、特定の無線通信方式は「WiFiダイレクト方式」以外に、例えば「Bluetooth(登録商標)通信方式」や「赤外線通信方式」等であってもよい。
【0101】
(7)実施形態1〜3では、通信装置の一例に複合機で例示したが、「プリンタ」や「スキャナ」等であってもよい。
【0102】
(8)実施形態1〜3では、携帯端末Uと複合機10との間でP2P接続する際の、通信手順の一例として、携帯端末Uと複合機10の双方でそれぞれ電波を発信し、相手側の発信した電波をそれぞれ受信し合う例を示したが、この他にも、複合機10から検出用の電波を発信し、検出用の電波を受信した携帯端末Uから、検出用の電波を受信したことを知らせる応答電波を複合機10に返すようにしてもよい。また、上記とは反対に、携帯端末U側から検出用の電波を発信し、検出用の電波を受信した複合機側から携帯端末U側に応答電波を返すようにしてもよい。
【0103】
(9)実施形態1では、S50の表示処理にて、複合機10の表示操作パネルに「NFC通信要求の表示」をした。制御部80により実行されるS50の表示処理、すなわち複合機10側で「NFC通信要求の表示」を行うタイミングは、携帯端末U側が「NFC通信要求の表示」を行うタイミングに同期させることを好ましい。もし仮に、携帯端末U側の表示と複合機10側の表示とが同期しておらず、携帯端末U側が「NFC通信要求の表示」を行う前に、複合機10側で「NFC通信要求の表示」をしてしまうと、複合機10の画面1を見たユーザが携帯端末U側でタップ操作しようとしても、対応する画面Cが表示されてなくタップ操作が出来ない等の不都合を生じるが、双方で表示タイミングの同期がとれていれば、そのような不都合を生じる恐れがなく、操作性がよい。
【0104】
尚、携帯端末U側が「NFC通信要求の表示」を行うタイミングに、複合機10が「NFC通信要求の表示」を行うタイミングを同期させるには、携帯端末U側から複合機10に対して「NFC通信要求の表示」の実行タイミングを知らせる同期信号を送信し、複合機10は、同期信号を受けることを条件として、「NFC通信要求の表示」を行うようにすればよい。上記により本発明の「前記制御部は、前記携帯端末から送信される同期信号に基づいて前記表示処理を実行することにより、前記携帯端末側が前記操作を促す画面表示を行うのに同期したタイミングで前記表示処理を実行する」が実現されている。
【0105】
また、P2P接続を行う際の通信手順が、複合機10から検出用の電波を発信し、電波を受信した携帯端末U側から応答電波を返す場合には、応答電波を同期信号として利用することが出来る。すなわち、携帯端末U側では、複合機10から検出用の電波を受信した時に「NFC通信要求の表示」を行うとともに、複合機10に対して応答電波を発信する(この場合、
図3に示すS5の実行タイミングとほぼ同時に、携帯端末側から複合機10に対して応答電波が返されることになる)。
【0106】
そして、複合機10は、携帯端末Uから応答電波を受信することに対応して、S50の表示処理を行う。このようにすれば、携帯端末U側が「NFC通信要求の表示(
図4の画面C)」を行うのと、同期したタイミングで「NFC通信要求の表示(
図5の画面1)」を行うことができる。
【0107】
(10)実施形態2では、携帯端末Uと複合機10がP2P接続した後、複合機10の表示操作パネル50に
図9の画面3、すなわち、「P2P検知成功! NFCによるWiFiダイレクト接続をしてもいいですか?」のメッセージと、操作枠(この例では「YES」枠56、「NO」枠57)を表示した。そして、ユーザが「YES」枠56、「NO」枠57のうちいずれの枠内をタップ操作するかで、携帯端末UがNFC方式で複合機10へ情報を送信することを許可するか否かを決定した(以下、決定操作)。複合機10側で行う決定操作は、実施形態2のように表示操作パネル50に対するタップ操作に限定されるものではなく、例えば、「YES」、「NO」の押圧キーに対するキー操作であってもよい。
【0108】
(11)実施形態3では、複合機10の表示操作パネル50に「NFC通信要求の表示」を行うか否かを、表示操作パネル50の取り付け角度に応じて決定するようにした(S45)。実施形態3では、実施形態1に対してS45の処理を追加する構成を説明したが、表示操作パネル50に「NFC通信要求の表示」を行うか否かを、表示操作パネル50の取り付け角度に応じて決定する(S45)処理は、実施形態2に対して適用することも可能である。
【0109】
(12)また、実施形態3では、表示操作パネル50の取り付け角度を検出するセンサとして、接触式のスイッチ85を例示し、スイッチ85がON状態の場合(表示操作パネル50が水平な場合)に「NFC通信要求の表示」を行い、スイッチがOFF状態の場合(表示操作パネル50が垂直な場合)には、「NFC通信要求の表示」を行わないようにした。表示操作パネル50の取り付け角度を検出するセンサは、接触式のスイッチ85の他にも、角度センサを使用することが可能である。角度センサであれば、水平や垂直等の特定角度だけでなく、表示操作パネル50の取り付け角度を任意に検出できる(どの角度でも検出できる)ので、「NFC通信要求の表示」を行うかを決定する閾値についても、任意に選択することが出来る。例えば、閾値を「45°」として、表示操作パネル50の取り付け角度が閾値である「45°」以上であれば、「NFC通信要求の表示」を行い、表示操作パネル50の取り付け角度が閾値である「45°」未満の場合には、「NFC通信要求の表示」を行わないようにしてもよい。