特許第5994645号(P5994645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994645
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】充電器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20160908BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20160908BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20160908BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   H01M10/44 Q
   H01M10/46
   H01M10/46 101
   H01M10/48 301
   H02J7/00 301A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-2343(P2013-2343)
(22)【出願日】2013年1月10日
(65)【公開番号】特開2014-135192(P2014-135192A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】田辺 大司
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ケン ムーン
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−155239(JP,A)
【文献】 特開平04−267079(JP,A)
【文献】 特開平07−335269(JP,A)
【文献】 特開平11−046454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H01M 10/46
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電池を充電する電力を供給する第1正極端子、前記第1電池と異なる第2電池を充電する電力を供給する第2正極端子、及び、第1電池及び第2電池に選択的に使用される負極端子を備える本体と、
前記本体に対して、第1方向及び前記第1方向と異なる第2方向に選択的に、前記本体に装着可能であり、前記第1電池及び前記第2電池が選択的に装填可能であるアダプタとを備え、
前記アダプタは、前記第1方向に前記本体に装着され、前記第1電池が装填された場合において、前記第1正極端子及び前記負極端子が前記第1電池に接触し、前記第2正極端子が前記第1電池に接触しないように構成され、前記第2方向に前記本体に装着され、前記第2電池が装填された場合において、前記第2正極端子及び前記負極端子が前記第2電池に接触し、前記第1正極端子が前記第2電池に接触しないように構成されていることを特徴とする充電器。
【請求項2】
前記アダプタは、前記第1方向に前記本体に装着された場合において、前記第2正極端子を変形させ、前記第2方向に前記本体に装着された場合において、前記第1正極端子を変形させることを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記アダプタは、着脱方向に延伸する第1不使用端子スリット及び第2不使用端子スリットを有し、
前記第1正極端子は、前記アダプタが前記第2方向に前記本体に装着された場合において、前記第2不使用端子スリットの縁部に押圧されることにより変形し、前記第2正極端子は、前記アダプタが前記第1方向に前記本体に装着された場合において、前記第1不使用端子スリットの縁部に押圧されることにより変形することを特徴とする請求項1又は2に記載の充電器。
【請求項4】
前記アダプタは、前記第1電池が装填される際、前記第1電池を所定の位置にガイドする第1電池ガイドと、前記第1電池ガイドと異なる形状であり、前記第2電池が装填される際、前記第2電池を所定の位置にガイドする第2電池ガイドとを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の充電器。
【請求項5】
前記本体は、前記第1電池の種類を標示する第1種標示と、前記第2電池の種類を標示する第2種標示とを有し、
前記アダプタは、前記第1種標示及び前記第2種標示を選択的に表示する標示窓を有し、
前記標示窓は、前記アダプタが第1方向に前記本体に装着された状態で前記第1種標示を表示し、前記アダプタが第2方向に前記本体に装着された場合に状態で前記第2種標示を表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の充電器。
【請求項6】
前記アダプタは、合成樹脂材料から一体成形されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の充電器。
【請求項7】
前記第1方向は、前記アダプタの着脱方向に対して直交する方向であり、前記第2方向は、前記第1方向と逆方向であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の充電器。
【請求項8】
前記本体は、第1電池又は第2電池の内部温度に応じた電圧を入力するT端子を備え、
前記アダプタは、前記第1方向に前記本体に装着され、前記第1電池が装填された場合において、前記T端子が前記第1電池に接触するように構成され、前記第2方向に前記本体に装着され、前記第2電池が装填された場合において、前記T端子が前記第2電池に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の二次電池を選択的に充電する充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数種類の二次電池を充電する場合、電池の種類毎に対応する充電器が使用される。複数種類の電池に対応する充電器として、電池の種類を識別するための端子を備える充電器が提案されている。この場合、電池側も識別用の端子を備える必要があり、充電器及び電池の製造コストが増大する。また、1つの端子が複数の機能を有する充電器が提案されている。この場合、充電器及び電池に特別な仕様が必要であり、充電器及び電池の製造コストが増大する。
【0003】
また、種類毎に端子の配置が異なる電池に対応して、複数の端子を備える充電器が提案されている。この場合、充電器及び電池は、比較的簡易な構成となり、更に、対応していない電池を充電する事故を低減することができる。しかし、使用しない端子が電池に接触して電池に傷を付ける恐れがある。仮に電池にダミー形状を設けるとしても、新たに電池を設計する必要があり、更に、電池のデザインが制限されてしまう。これに対して、電池の種類に応じた専用の端子ユニットを介して、電池の端子に接続する充電器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−335268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、充電する二次電池の種類と同数の端子ユニットが必要であることから、使用方法が煩雑となる恐れ及び製造コストが増大する恐れがある。
【0006】
上記問題点を鑑み、本発明は、二次電池の種類に応じた専用の端子ユニットを必要としない充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、第1電池を充電する電力を供給する第1正極端子(301)、第1電池と異なる第2電池を充電する電力を供給する第2正極端子(302)、及び、第1電池及び第2電池に選択的に使用される負極端子(304)を備える本体(1)と、本体(1)に対して、第1方向及び第1方向と異なる第2方向に選択的に、本体(1)に装着可能であり、第1電池及び第2電池が選択的に装填可能であるアダプタ(2)とを備える充電器であることを要旨とし、アダプタ(2)は、第1方向に本体(1)に装着され、第1電池が装填された場合において、第1正極端子(301)及び負極端子(304)が第1電池に接触し、第2正極端子(302)が第1電池に接触しないように構成され、第2方向に本体(1)に装着され、第2電池が装填された場合において、第2正極端子(302)及び負極端子(304)が第2電池に接触し、第1正極端子(301)が第2電池に接触しないように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二次電池の種類に応じた専用の端子ユニットを必要としない充電器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る充電器を説明する模式的な斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る充電器が備える本体を説明する模式的な平面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る充電器が備えるアダプタを説明する模式的な平面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る充電器を説明する模式的な平面図である。
図5図4のA−A方向から見た端面図である。
図6図4のB−B方向から見た端面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る充電器が第2電池を充電する場合を説明する模式的な斜視図である。
図8図7の背面側から見た斜視図である。
図9】本発明の実施の形態に係る充電器が第1電池を充電する場合を説明する模式的な斜視図である。
図10図9の背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略している。また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための素子や装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
(充電器)
本発明の実施の形態に係る充電器は、図1に示すように、複数種類の二次電池を選択的に充電する本体1と、本体1に対して、第1方向及び第1方向と異なる第2方向に選択的に、本体1に装着可能であるアダプタ2とを備える。
【0012】
本発明の実施の形態において、充電器が充電可能な二次電池を第1電池及び第1電池と種類の異なる第2電池とし、第1電池をニッケル水素充電池、第2電池をリチウムイオン充電池として説明する。また、アダプタ2の本体1に対する着脱方向を垂直方向、第1方向を着脱方向に対して直交する方向、第2方向を第1方向と逆方向として説明する。すなわち、第2方向は、垂直方向に沿う回転軸について、第1方向から180°回転した方向である。
【0013】
本体1は、上方に向けて開口する、概略として四角柱状のキャビティ部10を、アダプタ2が装着される装着部として有する。キャビティ部10は、矩形平板状の1枚の底部11と、底部11の4辺からそれぞれ垂直に延伸する矩形平板状の4枚の側壁部12とによって形成される空隙部である。
【0014】
底部11は、図2に示すように、第1電池の種類を標示する第1種標示111と、第2電池の種類を標示する第2種標示112とを上面に有する。第1種標示111は、第1電池の種類であるニッケル水素を示す「Ni−MH」を標示する。第2種標示112は、第2電池の種類であるリチウムイオンを示す「Li−ion」を標示する。第1種標示111及び第2種標示112の配置は、底部11の中心を対称の中心とした点対称の平面パターンを有する。
【0015】
互いに対向する2枚の側壁部12は、それぞれ内側の面に、一対のアダプタガイド13が形成されている。アダプタガイド13は、それぞれ、垂直方向に延伸するリブ状のレールである。アダプタガイド13は、アダプタ2が第1方向及び第2方向に選択的に本体1に装着される際、アダプタ2を適正な位置にガイドする。
【0016】
アダプタガイド13が形成された2枚の側壁部12は、それぞれ、上部の中央部に、アダプタ2が本体1に対して着脱する際に使用されるハンドル受け部14及びフック受け部141を備える。ハンドル受け部14は、側壁部12の、高さが他所より低く形成された切り欠き部である。
【0017】
本体1は、第1電池を充電する電力を供給する第1正極端子301と、第2電池を充電する電力を供給する第2正極端子302と、T端子303と、負極端子304とを備える。第1正極端子301、第2正極端子302、T端子303及び負極端子304は、側壁部12の、アダプタガイド13が形成されていない2枚のうち一方に、水平方向に順に配列される。
【0018】
第1正極端子301、第2正極端子302、T端子303及び負極端子304は、それぞれ、垂直方向に延伸し、キャビティ部10の内側に突出するように屈曲する板ばねからなる。第1正極端子301、第2正極端子302、T端子303及び負極端子304は、それぞれ、第1電池及び第2電池の各端子に対応する位置に、キャビティ部10の内側に突出する突起部を、第1電池及び第2電池の各端子に接触する接触部として有する。第1正極端子301、第2正極端子302、T端子303及び負極端子304は、キャビティ部10の外側方向に圧迫された場合において内側方向に押し戻すように形成されている。
【0019】
第1正極端子301は、第1電池を充電する場合において、第1電池の正極端子に接触する。第2正極端子302は、第2電池を充電する場合において、第2電池の正極端子に接触する。
【0020】
T端子303は、第1電池及び第2電池に共通して使用される端子である。T端子303は、第1電池を充電する場合において第1電池のT端子に接触し、第2電池を充電する場合において第2電池のT端子に接触する。T端子303は、第1電池又は第2電池が備えるサーミスタ等に電気的に接続される。T端子303は、充電中の二次電池の内部温度に応じた電圧を第1電池又は第2電池から本体1に入力する。本体1は、T端子303から入力された電圧に応じて、充電中の二次電池への電力の供給を停止することにより、過充電等の事故を低減することができる。
【0021】
負極端子304は、第1電池及び第2電池に共通して使用される端子である。負極端子304は、接地電位に接続され、第1電池を充電する場合において第1電池の負極端子に接触し、第2電池を充電する場合において第2電池の負極端子に接触する。
【0022】
アダプタ2は、概略として上面の全面を開口する直方体の箱状であり、矩形平板状の1枚の底部21と、底部21の4辺からそれぞれ垂直に延伸する矩形平板状の4枚の側壁部12とを備える。アダプタ2は、概略として四角柱状のキャビティ部20を、第1電池及び第2電池が選択的に装填される装填部として有する。キャビティ部20は、底部21と側壁部22とによって形成される空隙部である。アダプタ2は、第1電池及び第2電池を選択的に装填可能である。アダプタ2は、例えば合成樹脂材料から一体成形可能である。
【0023】
底部21は、図3に示すように、アダプタ2が本体1に装着された場合において、本体1の第1種標示111及び第2種標示112を選択的に表示する標示窓210を有する。標示窓210は、上面から下面に開口する貫通孔である。
【0024】
標示窓210は、アダプタ2が第1方向に本体1に装着された状態で、第1種標示111が標示窓210を介して視認可能なように第1種標示111の上方に位置することにより、第1種標示111を表示する。標示窓210は、アダプタ2が第2方向に本体1に装着された状態で、第2種標示112が標示窓210を介して視認可能なように第2種標示112の上方に位置することにより、第2種標示112を表示する。
【0025】
底部21は、上面に、アダプタ2が第1方向に本体1に装着された状態で、第1電池の充電に使用する端子の種別と位置とを標示する第1端子標示211を有する。底部21は、上面に、アダプタ2が第2方向に本体1に装着された状態で、第2電池の充電に使用する端子の種別と位置とを標示する第2端子標示212を有する。
【0026】
互いに対向する2枚の側壁部22は、それぞれ外側の面に、それぞれ一対の第1アダプタガイド溝231及び第2アダプタガイド溝232が形成されている(図1参照)。第1アダプタガイド溝231及び第2アダプタガイド溝232は、それぞれ、アダプタガイド13に対応する、垂直方向に延伸する溝である。
【0027】
アダプタ2は、第1方向に本体1に装着される際に、第1アダプタガイド溝231とアダプタガイド13とが対応することにより、上方から下方にスライドする。アダプタ2は、第2方向に本体1に装着される際に、第2アダプタガイド溝232とアダプタガイド13とが対応することにより、上方から下方にスライドする。
【0028】
側壁部22は、第1アダプタガイド溝231及び第2アダプタガイド溝232が形成された2枚の、それぞれ、上端部の中央部に、アダプタ2を本体1に対して着脱する際にユーザに掴まれる2つのハンドル部24を備える。ハンドル部24は、側壁部22の上端部から外側に延伸する。ハンドル部24は、アダプタ2が第1方向及び第2方向に選択的に、本体に装着された場合において、ハンドル受け部14に配置される。ハンドル受け部14は、アダプタ2が取り外される際に、ユーザが掴みやすい形状となっている。
【0029】
ハンドル部24が形成された2枚の側壁部22は、それぞれハンドル部24が位置する両端側に、それぞれ、側壁部22の上端から下方に垂直方向に突出する、片面から他面に貫通する2本のハンドルスリット240が形成されている。2つのハンドル部24は、それぞれ、側壁部22のハンドルスリット240に挟まれた部位が弾性変形することにより、対向する方向に変位可能となっている。
【0030】
2つのハンドル部24は、それぞれ、下方に本体1のフック受け部141と対応してアダプタ2を固定するフック部241を備える。ハンドル部24及びフック部241は、それぞれ、底部21の中心を通る垂線を対称の中心とした2回回転対称のトポロジーを有する。フック部241は、フック受け部141と掛かり合うことにより、アダプタ2が第1方向及び第2方向に選択的に、本体1に装着された状態でアダプタ2を固定する。フック部241は、ハンドル部24が内側に移動されることによりフック受け部141から離れ、アダプタ2の本体1に対する固定が解除される。
【0031】
側壁部22は、ハンドル部24が形成された2枚の、それぞれ内側の面に、それぞれ一対の第1電池ガイド251及び第1電池ガイド251と異なる形状の第2電池ガイド252が形成されている。
【0032】
第1電池ガイド251は、それぞれ、垂直方向に延伸するリブ状のレールである。第1電池ガイド251は、アダプタ2が第1方向本体に装着され、第1電池が装填される際、第1電池を所定の位置にガイドする。第2電池ガイド252は、それぞれ、垂直方向に延伸するリブ状のレールであり、第1電池ガイド251と異なる平面パターンを有する。第2電池ガイド252は、アダプタ2が第2方向本体に装着され、第2電池が装填される際、第2電池を所定の位置にガイドする。
【0033】
アダプタ2は、側壁部22のハンドル部24が形成されない対向する2枚のうち、一方側に、第1正極端子スリット411と、第1不使用端子スリット412と、第1T端子スリット413と、第1負極端子スリット414とを有する。アダプタ2は、側壁部22のハンドル部24が形成されない対向する2枚のうち、他方側に、第2不使用端子スリット421と、第2正極端子スリット422と、第2T端子スリット423と、第2負極端子スリット424とを有する。
【0034】
第1正極端子スリット411、第1不使用端子スリット412、第1T端子スリット413及び第1負極端子スリット414は、それぞれ、底部21及び側壁部22の片面から他面に貫通して形成される。第1正極端子スリット411、第1T端子スリット413及び第1負極端子スリット414は、それぞれ、底部21の一部から側壁部22の上部まで垂直方向に延伸する。第1不使用端子スリット412は、底部21の一部から側壁部22の中間部まで延伸し、第1正極端子スリット411、第1T端子スリット413及び第1負極端子スリット414よりも上端の位置が低く形成される。
【0035】
第1正極端子スリット411、第1不使用端子スリット412、第1T端子スリット413及び第1負極端子スリット414は、アダプタ2が第1方向に本体に装着された場合において、それぞれ、本体1の第1正極端子301、第2正極端子302、T端子303及び負極端子304に対応する位置に形成される。
【0036】
第2不使用端子スリット421、第2正極端子スリット422、第2T端子スリット423及び第2負極端子スリット424は、それぞれ、底部21及び側壁部22の片面から他面に貫通して形成される。第2正極端子スリット422、第2T端子スリット423及び第2負極端子スリット424は、それぞれ、底部21の一部から側壁部22の上部まで垂直方向に延伸する。第2不使用端子スリット421は、底部21の一部から側壁部22の中間部まで延伸し、第2正極端子スリット422、第2T端子スリット423及び第2負極端子スリット424よりも上端の位置が低く形成される。
【0037】
第2不使用端子スリット421、第2正極端子スリット422、第2T端子スリット423及び第2負極端子スリット424は、アダプタ2が第2方向に本体に装着された場合において、それぞれ、本体1の第1正極端子301、第2正極端子302、T端子303及び負極端子304に対応する位置に形成される。
【0038】
第1正極端子スリット411、第1不使用端子スリット412、第1T端子スリット413及び第1負極端子スリット414の配置と、第2不使用端子スリット421、第2正極端子スリット422、第2T端子スリット423及び第2負極端子スリット424の配置とは、底部21の中心を通る垂線を対称の中心とした2回回転対称のトポロジーを有する。
【0039】
例えば、図4に示すように、アダプタ2が第2方向に本体1に装着された場合において、標示窓210は、第2電池の種類を標示する第2種標示112を表示する。第2電池は、第2電池ガイド252にガイドされることによりアダプタ2に装填される。アダプタ2は、第2方向に本体1に装着され、第2電池が装填された場合において、第2正極端子302、T端子303及び負極端子304が第2電池の各端子に接触するように構成されている。
【0040】
第1電池の充電に使用される第1正極端子301は、図5に示すように、第2不使用端子スリット421の縁部に押圧されることにより変形し、接触部がキャビティ部20の外側方向に変位する。第2不使用端子スリット421の縁部には、第1正極端子301に沿うように傾斜し、第1正極端子301と接触する接触面Pが形成される。第1正極端子301は、接触面Pに押圧され、第2電池と接触しない位置まで変形される。
【0041】
第2電池の充電に使用される第2正極端子302は、図6に示すように、第2正極端子スリット422の縁部に押圧されず、接触部が変位しない。T端子303、負極端子304も同様に、それぞれ、第2T端子スリット423、第2負極端子スリット424の縁部に押圧されず、接触部が変位しない。
【0042】
このように、アダプタ2は、第2方向に本体1に装着され、第2電池が装填された場合において、第2正極端子302、T端子303及び負極端子304が第2電池の各端子に接触し、第1正極端子301が第2電池に接触しないように構成されている。
【0043】
例えば、第2電池であるリチウムイオン電池6は、図7及び図8に示すように、第2正極端子62と、第2T端子63と、第2負極端子64と、第2電池ガイド溝65とを備える。リチウムイオン電池6は、第2電池ガイド溝65が第2電池ガイド252と対応してスライドすることにより、アダプタ2に装填される。第2正極端子62、第2T端子63及び第2負極端子64は、アダプタ2が第2方向に本体1に装着され、リチウムイオン電池6が第2電池ガイド252に対応してアダプタ2に装填された場合、本体1の第2正極端子302、T端子303及び負極端子304に接触する。
【0044】
なお、本体1の背面側に設けられた電源入力部35は、本体1が充電する二次電池に電力を供給するための電源を、ACアダプタ等の外部電源装置から入力するレセプタクルである。
【0045】
第1電池ガイド251は、リチウムイオン電池6の第2電池ガイド溝65と機械的に対応しておらず、アダプタ2は、第2電池ガイド252によりリチウムイオン電池6を所定の位置に装填できる。更に、アダプタ2は、誤って第1方向に本体1に装着され、リチウムイオン電池6が第2電池ガイド252側に装填された場合であっても、第2正極端子62、第2T端子63及び第2負極端子64が、本体1の各端子に接触されないため、誤充電等の事故を低減できる。
【0046】
アダプタ2が第1方向に本体1に装着された場合において、標示窓210は、第1電池の種類を標示する第1種標示111を表示する。第1電池は、第1電池ガイド251にガイドされることによりアダプタ2に装填される。アダプタ2は、第1方向に本体1に装着され、第1電池が装填された場合において、第1正極端子301、T端子303及び負極端子304が第1電池の各端子に接触するように構成されている。
【0047】
第2正極端子302は、第1不使用端子スリット412の縁部に押圧されることにより変形し、接触部がキャビティ部20の外側に移動する。第1不使用端子スリット412の縁部には、第2正極端子302に沿うように傾斜し、第2正極端子302と接触する接触面(図示省略)が形成され、第2正極端子302は、接触面に押圧され、第1電池と接触しない位置まで変形される。
【0048】
第1正極端子301、T端子303及び負極端子304は、それぞれ、第1正極端子スリット411、第1T端子スリット413及び第1負極端子スリット414の縁部に押圧されず、接触部が変位しない。
【0049】
このように、アダプタ2は、第1方向に本体1に装着され、第1電池が装填された場合において、第1正極端子301、T端子303及び負極端子304が第1電池の各端子に接触し、第2正極端子302が第1電池に接触しないように構成されている。
【0050】
例えば、第1電池であるニッケル水素電池5は、図9及び図10に示すように、第1正極端子51と、第1T端子53と、第1負極端子54と、第1電池ガイド溝55とを備える。ニッケル水素電池5は、第1電池ガイド溝55が第1電池ガイド251と対応してスライドすることにより、アダプタ2に装填される。第1正極端子51、第1T端子53及び第1負極端子54は、アダプタ2が第1方向に本体1に装着され、ニッケル水素電池5が第1電池ガイド251に対応してアダプタ2に装填された場合、本体1の第1正極端子301、T端子303及び負極端子304に接触する。
【0051】
第2電池ガイド252は、ニッケル水素電池5の第1電池ガイド溝55と機械的に対応しておらず、アダプタ2は、第1電池ガイド251によりニッケル水素電池5を所定の位置に装填できる。更に、アダプタ2は、誤って第2方向に本体1に装着され、ニッケル水素電池5が第1電池ガイド251側に装填された場合であっても、第1正極端子51、第1T端子53及び第1負極端子54が、本体1の各端子に接触されないため、誤充電等の事故を低減できる。
【0052】
本発明の実施の形態に係る充電器によれば、充電する二次電池の種類に応じてアダプタ2の装着方向を決定することにより、複数種類の二次電池に対して本体1及びアダプタ2を共用することができる。よって、本発明の実施の形態に係る充電器は、二次電池の種類に応じた専用の端子ユニットを必要とせず、簡単な構成で、製造コストを低減することができる。
【0053】
また、本発明の実施の形態に係る充電器によれば、充電する二次電池に使用しない正極端子が、アダプタ2の装着方向に応じて二次電池に接触しないので、二次電池に傷を付けることがなく、二次電池の設計が容易である。更に、市場において既存の二次電池に容易に対応することができ、開発コストが低い。
【0054】
また、本発明の実施の形態に係る充電器によれば、充電する二次電池に使用しない正極端子を、スリットを使用して変形させることで、正極端子の負担を低減することができる。
【0055】
また、本発明の実施の形態に係る充電器によれば、第1電池ガイド251及び第2電池ガイド252を有することにより、対応しない二次電池の装填を機械的に防止することができ、誤充電等の事故を低減することができる。
【0056】
また、本発明の実施の形態に係る充電器によれば、標示窓210が、アダプタ2の装着方向に応じて、第1種標示111及び第2種標示112を選択的に表示するので、適正な二次電池の種類を容易に識別することができる。
【0057】
また、本発明の実施の形態に係る充電器によれば、アダプタ2が単一の合成樹脂材料から一体成型可能であるので、製造コストが低い。
【0058】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0059】
例えば、既に述べた実施の形態において、第1不使用端子スリット412及び第2不使用端子スリット421は、スリット状に限るものでない。第1不使用端子スリット412及び第2不使用端子スリット421は、第1正極端子301又は第2正極端子302を押圧することにより変形させ、第2電池又は第1電池に接触させない押圧部として構成されればよい。
【0060】
また、既に述べた実施の形態において、第1方向及び第2方向は、互いに逆方向に限るものでなく、それ以外の種々の方向とすることができる。この場合、第1方向及び第2方向に応じて、アダプタ2の各部を変形させればよい。また、充電器が充電可能な二次電池の種類も2種類に限るものでなく、充電器の正極端子を3種類以上にし、対応するアダプタの設置方向を3方向以上にすることにより、充電可能な二次電池の種類を3種類以上にすることができる。
【0061】
また、既に述べた実施の形態において、アダプタ2が、複数の正極端子のうちのいずれかを変形させることにより、充電に使用されない不使用端子とする構成を説明したが、アダプタ2は、正極端子(第1主電極端子)、負極端子(第2主電極端子)及びT端子のいずれを不使用端子とするようにしてもよい。例えば、充電器本体が、1つの正極端子と複数の負極端子とを備え、アダプタが、複数の負極端子のいずれかを不使用端子とするようにしてもよい。この場合、複数の負極端子が、それぞれ異なる電位に接続されることは勿論である。その他、充電器本体は、それぞれ複数の正極端子、負極端子及びT端子を備え、アダプタは、充電する二次電池に応じて、正極端子、負極端子及びT端子をそれぞれ選択的に不使用端子とするようしてもよい。
【0062】
その他、上述の構成を相互に応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0063】
P 接触面
1 本体
2 アダプタ
10 キャビティ部
11 底部
12 側壁部
13 アダプタガイド
14 ハンドル受け部
20 キャビティ部
21 底部
22 側壁部
24 ハンドル部
111 第1種標示
112 第2種標示
141 フック受け部
210 標示窓
211 第1端子標示
212 第2端子標示
231 第1アダプタガイド溝
232 第2アダプタガイド溝
240 ハンドルスリット
241 フック部
251 第1電池ガイド
252 第2電池ガイド
301 第1正極端子
302 第2正極端子
303 T端子
304 負極端子
411 第1正極端子スリット
412 第1不使用端子スリット
413 第1T端子スリット
414 第1負極端子スリット
421 第2不使用端子スリット
422 第2正極端子スリット
423 第2T端子スリット
424 第2負極端子スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10