特許第5994682号(P5994682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994682
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】コネクタの一括アース接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/64 20060101AFI20160908BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   H01R4/64 C
   H01R13/66
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-37902(P2013-37902)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-165154(P2014-165154A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 武史
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−238710(JP,A)
【文献】 特開2005−005202(JP,A)
【文献】 特開2000−306614(JP,A)
【文献】 特開2009−252405(JP,A)
【文献】 特開2009−140690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/64
H01R 13/66
H01R 13/514
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズフィルタ用のコンデンサをコネクタハウジング内部に収容し、前記コネクタハウジングに装着されたアース接続端子をアースに接続された設置面に対してボルト締めすることにより固定が可能なノイズフィルタ内蔵コネクタが複数個並列して構成されるコネクタの一括アース接続構造であって、
前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタには相互を合体する為の合体手段が設けられ、
前記合体手段は、複数の収容空間が形成されたフレームであり、
かつ、前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタの前記コネクタハウジング内部には、前記コンデンサの一方の電極部に接続された端子金具が設けられており、
前記アース接続端子は、前記コンデンサの他方の電極部に接続される電極接続部と、前記電極接続部から前記コネクタハウジングの外方へ延出し、前記ボルトが嵌めこみ可能なボルト孔を有するアース接続部から構成されており、
前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタは前記合体手段によって合体された時に、前記コネクタハウジングの側面と前記合体手段に形成された複数の前記収容空間を仕切る壁とが当接または近接して配置され、前記各アース接続部が重なり合って前記各ボルト孔が整合し、一括してボルト締め固定が可能となることを特徴とするコネクタの一括アース接続構造。
【請求項2】
ノイズフィルタ用のコンデンサをコネクタハウジング内部に収容し、前記コネクタハウジングに装着されたアース接続端子をアースに接続された設置面に対してボルト締めすることにより固定が可能なノイズフィルタ内蔵コネクタが複数個並列して構成されるコネクタの一括アース接続構造であって、
前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタには相互を合体する為の合体手段が設けられ、
かつ、前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタの前記コネクタハウジング内部には、前記コンデンサの一方の電極部に接続された端子金具が設けられており、
前記アース接続端子は、前記コンデンサの他方の電極部に接続される電極接続部と、前記電極接続部から前記コネクタハウジングの外方へ延出し、前記ボルトが嵌めこみ可能なボルト孔を有するアース接続部から構成されており、
前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタは前記合体手段によって合体された時に、前記各アース接続部が重なり合って前記各ボルト孔が整合し、一括してボルト締め固定が可能となるものであり、
前記合体手段は、前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタのコネクタハウジング外面に設けられ、相互に嵌合可能な凹凸部であり、
前記凹凸部が、前記アース接続部の重ね合わせ方向と同方向の全長にわたって前記コネクタハウジングの外面に形成された凹部と、前記アース接続部の重ね合わせ方向と同方向に延びて前記コネクタハウジングの外面に形成された凸部と、を有していることを特徴とするコネクタの一括アース接続構造。
【請求項3】
前記合体手段は前記収容空間に前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタを抜け止め状態で収容可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタの一括アース接続構造。
【請求項4】
前記アース接続部の前記ボルト孔は前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタの合体方向に沿った長孔であり、前記アース接続端子が重なり合った時に、前記ボルトを差し込み可能な連通孔が形成されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のコネクタの一括アース接続構造。
【請求項5】
前記アース接続端子の前記アース接続部に、前記設置面に係止して前記アース接続端子の回り止めを行う係止部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のコネクタの一括アース接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズフィルタ内蔵コネクタを一括してアースに接続する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車内配線では、アース用電線の端部に取り付けられたノイズフィルタ内蔵コネクタ(以下、コネクタと称する。)を車体ボディ等のアースポイントに固定する為に、ノイズフィルタの負極電極と接続されたアース接続端子をハウジング外方に延出させてボルト締めすることが行われている(下記、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−187284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車体ボディにおいてアースポイントとして使用できる部位には限りがある為、同一のアースポイントに複数のコネクタを集約させて一括してボルト締めすることがしばしば行われる。しかしながら、各コネクタを位置決めしつつ、各コネクタから引き出されたアース接続端子を順番に整合させて固定する作業は煩雑であった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数のノイズフィルタ内蔵コネクタのアース接続作業を簡略にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタの一括アース接続構造は、
ノイズフィルタ用のコンデンサをコネクタハウジング内部に収容し、前記コネクタハウジングに装着されたアース接続端子をアースに接続された設置面に対してボルト締めすることにより固定が可能なノイズフィルタ内蔵コネクタが複数個並列して構成されるコネクタの一括アース接続構造であって、
前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタには相互を合体する為の合体手段が設けられ、
前記合体手段は、複数の収容空間が形成されたフレームであり、
かつ、前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタの前記コネクタハウジング内部には、前記コンデンサの一方の電極部に接続された端子金具が設けられており、
前記アース接続端子は、前記コンデンサの他方の電極部に接続される電極接続部と、前記電極接続部から前記コネクタハウジングの外方へ延出し、前記ボルトが嵌めこみ可能なボルト孔を有するアース接続部から構成されており、
前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタは前記合体手段によって合体された時に、前記コネクタハウジングの側面と前記合体手段に形成された複数の前記収容空間を仕切る壁とが当接または近接して配置され、前記各アース接続部が重なり合って前記各ボルト孔が整合し、一括してボルト締め固定が可能となることを特徴とする。
また、本発明2のコネクタの一括アース接続構造は、
ノイズフィルタ用のコンデンサをコネクタハウジング内部に収容し、前記コネクタハウジングに装着されたアース接続端子をアースに接続された設置面に対してボルト締めすることにより固定が可能なノイズフィルタ内蔵コネクタが複数個並列して構成されるコネクタの一括アース接続構造であって、
前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタには相互を合体する為の合体手段が設けられ、
かつ、前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタの前記コネクタハウジング内部には、前記コンデンサの一方の電極部に接続された端子金具が設けられており、
前記アース接続端子は、前記コンデンサの他方の電極部に接続される電極接続部と、前記電極接続部から前記コネクタハウジングの外方へ延出し、前記ボルトが嵌めこみ可能なボルト孔を有するアース接続部から構成されており、
前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタは前記合体手段によって合体された時に、前記各アース接続部が重なり合って前記各ボルト孔が整合し、一括してボルト締め固定が可能となるものであり、
前記合体手段は、前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタのコネクタハウジング外面に設けられ、相互に嵌合可能な凹凸部であり、
前記凹凸部が、前記アース接続部の重ね合わせ方向と同方向の全長にわたって前記コネクタハウジングの外面に形成された凹部と、前記アース接続部の重ね合わせ方向と同方向に延びて前記コネクタハウジングの外面に形成された凸部と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のノイズフィルタ内蔵コネクタの合体に伴って、各ノイズフィルタ内蔵コネクタの各アース接続部が重なって各ボルト孔が整合し、ボルト締めを行う箇所が自動的に位置決めされるので、複数のコネクタのアース接続作業が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1に係る第1ノイズフィルタ内蔵コネクタの側断面図
図2】同じく第1ノイズフィルタ内蔵コネクタの平断面図
図3】同じく第1、第2ノイズフィルタ内蔵コネクタの合体後の平面図
図4参考例に係る第1、第2ノイズフィルタ内蔵コネクタの合体後の側面図
図5】実施例3に係るフレームの正面図
図6】同じく第1、第2ノイズフィルタ内蔵コネクタの合体後の平断面図
図7】実施例4に係る複数のコネクタのアース接続構造を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0010】
(1) 本発明のコネクタの一括アース接続構造は、
前記合体手段は、前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタのコネクタハウジング外面に設けられ、相互に嵌合可能な凹凸部である。
この構成によれば、各ノイズフィルタ内蔵コネクタをコネクタハウジング外面に設けられた凹凸部を嵌合させることでそれらを容易に合体させる事が可能となる。
【0011】
(2) 本発明のコネクタの一括アース接続構造は、
前記合体手段は、前記収容空間に前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタを抜け止め状態で収容可能なフレームである構成とすることが好ましい。
この構成によれば、フレーム内に区画して設けられた収容空間内に各ノイズフィルタ内蔵コネクタをそれぞれ収容することで、フレームを介してそれらを容易に合体させることが可能となる。
【0012】
(3) 本発明のコネクタの一括アース接続構造は、
前記アース接続部の前記ボルト孔は前記各ノイズフィルタ内蔵コネクタの合体時の並び方向に沿った長孔であり、前記アース接続端子が重なり合った時に、前記ボルトを差し込み可能な連通孔が形成される構成とすることが好ましい。
この構成によれば、ノイズフィルタ内蔵コネクタ同士の合体方向に関する組み付け誤差を吸収できる。
【0013】
(4) 本発明のコネクタの一括アース接続構造は、
前記アース接続端子の前記アース接続部に、前記設置面に係止して前記アース接続端子の回り止めを行う係止部が設けられている構成とすることが好ましい。
この構成によれば、アース接続端子のアース接続部に設置面に係止する係止部が設けられていることにより、ノイズフィルタ内蔵コネクタをボルト締めにて回り止めを行う際に位置ずれが起こりにくくなり、コネクタの接地性能低下を防止できる。
【0014】
次に、本発明のコネクタの一括アース接続構造を具体化した実施例1〜4について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<実施例1>
本実施例の第1、第2ノイズフィルタ内蔵コネクタ10A、10B(以下では、単にコネクタ10A、10Bと称する。)はバスバー端子(端子金具)20と、ノイズ除去用のコンデンサ30と、第1、第2コネクタハウジング11A、11Bと、第1、第2アース接続端子40A、40Bとを備えて構成されている。尚、以下の説明において、前後方向については、図1の右側を前側、左側を後側とする。
【0016】
第1、第2コネクタハウジング11A、11Bは、前後方向に開口部11H(後方開口部11H−B)を有している。そして、各コネクタハウジング11A、11Bはそれぞれ角筒状のフード部12と、コンデンサ30を収容するコンデンサ収容部13とが区画されて設けられている。
【0017】
フード部12とコンデンサ収容部13との間を仕切る仕切り壁14には、その略中央にバスバー端子20の端子部22が圧入気味に貫通される貫通孔14Hが形成されている。
【0018】
また、図2に示すように、第1コネクタハウジング11Aの幅方向左側面には、一条の蟻溝状の凹部17が上下方向の全長に亘って形成されている。また、第2コネクタハウジング11Bの幅方向右側面には、凹部17と嵌合可能な蟻臍状の凸部18が上下方向の全長に亘って一条形成されている。
【0019】
バスバー端子20(各コネクタ10A、10Bを構成する共通部品)は、銅合金等の金属の導電性板材を打ち抜いて曲げ加工等を施すことで成形されており、2本のタブ状を成す端子部22と、端子部22の後端部から略直角に折り曲げられて形成された電極接続部21を備える。2本の端子部22は、ブロック状をなす相手コネクタAの周知形態の雌端子金具(図示しない)と電気的に接続する。図3のWHは、各コネクタハウジング11A、11Bのバスバー端子20に接続され、相手コネクタAより引き出された電線である。
【0020】
第1、第2アース接続端子40A、40Bは、バスバー端子20同様にSUS等の金属の導電性板材を打ち抜いて曲げ加工等を施すことで成形されており、図1に示すように、平板状の第1、第2アース接続部41A、41Bと、第1、第2アース接続部41A、41Bから略直角に切起こした形状を成したアース電極接続部42とから構成されている。
【0021】
第1、第2アース接続部41A、41Bはそれぞれ、図1に示すように、コネクタハウジング11A、11Bの底面と面一であって、コネクタハウジング11A、11Bの後方に張り出し形成されている。そして、図2に示すように、第1アース接続部41Aは後方に延出する第1後方延出部46Aと、第1後方延出部46Aより左方に略直角に曲げられた第1連結部46Lにて構成され、第1連結部46Lの略中心軸上には長孔状のボルト孔46Hが開口している。そして、第2アース接続部41Bは後方に延出する第2後方延出部46Bと、第2後方延出部46Bより右方に略直角に曲げられた第2連結部46Rにて構成され、第2連結部46Rの略中心軸上には長孔状のボルト孔46Hが開口している。そして、ボルト孔46HにボルトBを締めこむことによってアースポイントとなる車体パネル(設置面)Pに各コネクタ10A、10Bを固定することができる。
【0022】
また、各アース接続部41A、41Bの各後方延出部46A、46Bの後端縁には、図1に示すように、下方に向かって略直角に曲げられた係止部47が設けられている。係止部47は車体パネルP等の縁部に係止することで、車体パネルPに対する第1、第2コネクタ10の位置決め及び第1、第2アース接続端子40A、40Bの回り止めが可能となっている。
【0023】
コンデンサ30(各コネクタ10A、10Bを構成する共通部品)はフィルムコンデンサであり、略ブロック状を成すコンデンサ本体31と、コンデンサ本体31の前後方向両端に設けられた一対の電極部32A、32Bとを備えている。前方の電極部32Aは正極側電極32Aであり、バスバー端子20の電極接続部21に接続される。後方の電極部32Bはアース側電極32Bであり、各アース接続端子40A、40Bのアース電極接続部42に接続される。
【0024】
次に第1、第2コネクタ10A、10Bの組み立て手順の一例を説明すると、まず、コンデンサ30のアース側電極32Bと第1、第2アース接続端子40A、40Bのアース電極接続部42を接触させた状態で、両者を半田付けにより接続する。そして、コンデンサ30の正極側電極32Aについてもバスバー端子20の電極接続部21と半田付けにより接続を行う。以上のように第1、第2アース接続端子40A、40Bとコンデンサ30とを接続したものを、以下では第1、第2コンデンサユニット60A、60Bと呼ぶことにする。
【0025】
次に、第1コネクタハウジング11A及び第2コネクタハウジング11Bの後方開口部11H−Bより水平に第1、第2コンデンサユニット60A、60Bをそれぞれ収容する。この時、仕切り壁14に設けられた貫通孔14Hに対して、バスバー端子20の端子部22を圧入気味に貫通させ、各コンデンサユニット60A、60Bを進入させる。そして、各コネクタハウジング11A、11Bの底面上に接着手段を介してコンデンサ30を配置すれば、各コネクタハウジング11A、11Bの底面と、各アース接続部41A、41Bが面一になり、各コンデンサユニット60A、60Bが各コネクタハウジング11A、11Bに組み込まれる。この時、図1に示すように、第1コネクタハウジング11Aの後端面からは、第1アース接続端子40Aの第1後方延出部46Aと、第1連結部46Lが露出する。また、第2コネクタハウジング11Bの後端面からは、第2アース接続端子40Aの第2後方延出部46Bと、第1連結部46Lに向き合う方向で屈曲した第2連結部46Rが露出する。最後に、図1に示すように、第1、第2コネクタハウジング11A、11Bの後方開口11H−Bよりエポキシ樹脂61を充填することでその開口を閉止すれば、各コネクタ10A、10Bの組み立て作業は完了する。
【0026】
次に、第1、第2コネクタ10A、10Bを合体し、車体パネルPに設置する作業について説明する。まず、第1、第2コネクタ10A、10Bを高さ方向に位置ずれさせた状態で、第1コネクタ10Aのコネクタハウジング11Aに設けられた凹部17に対して、第2コネクタ10Aのコネクタハウジング11Bに設けられた凸部18を適合させて押し込むことで、両コネクタ10A、10Bを合体させ、設置面Pに対して並列に配置する。合体したコネクタ10Cにおいて、第1コネクタ10Aの第1連結部46L上に第2コネクタ10Bの第2連結部46Rが重ね合わさり、各連結部46R、46Lに設けられ、コネクタ10A、10Bの合体時の並び方向に長く形成された各ボルト孔46Hが連結し、ボルトBが差し込み可能な連結孔48Hが形成される。最後に、車体パネルPの縁部に第1、第2コネクタ10の第1、第2後方延出部46A、46Bに設けられた係止部47を係止させた後、ボルトBを連結孔48Hに差し込んで、ボルト締めを行えば、車体パネルPへのコネクタ10Cの取付けが完了する。
【0027】
次に実施例1の作用効果について説明する。
【0028】
本実施例では、第1、第2コネクタ10A、10Bの合体に伴って、第1アース接続部41Aの第1連結部46Lと、第2アース接続部41Bの第2連結部46Rとが重なり、各連結部46R、46Lに設けられたボルト孔46Hが重なり合うようにした。すなわち、両コネクタ10A、10Bを合体させることで、両ボルト孔46Hが連結し、直ちにボルトBを差し込み可能な状態に位置決めされる為、両コネクタ10A、10Bを合体状態のまま、簡単にアースに接続することが可能になる。
【0029】
また、両コネクタ10A、10Bの合体は、各コネクタ10A、10Bに形成された蟻嵌合の構造による為、合体構造も簡素であり、作製も容易である。
【0030】
また、各アース接続部41A、41Bに設けられたボルト孔46Hは、コネクタ10A、10Bの合体時の並び方向に沿った長孔形状をなしており、両コネクタ10A、10Bの合体によって、両アース接続端子41A、41Bが重なり合った時に、ボルトBを差し込み可能な連結孔48Hが形成される。よって、コネクタ10A、10Bの合体方向に対する組み付け誤差を吸収できる。
【0031】
また、両コネクタ10A、10Bの各アース接続端子40A、40Bの各後方延出部46A、46Bの後端縁には、車体パネルPの縁部に対して係止する係止部47が設けられている。よって両コネクタ10A、10Bをボルト締めにて回り止め作業を行う際には、位置ずれが起こりにくくなり、それに伴うコネクタ10A、10Bの接地性能の低下を防止することができる。
【0032】
参考例
図4には、参考例に係る第1、第2ノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ10A、10B(以下では、単に第1、第2コネクタ10A、10Bと称する。)の側断面図を示す。尚、以下の説明において、前後方向については、図4の右側を前側、左側を後側とする。
【0033】
参考例においては、コネクタ10A、10B同士を水平方向に並列配置させた実施例1とは異なり、第1、第2コネクタ10A、10Bを高さ方向に並べて配置している。そして、第1、第2コネクタ10A、10Bに対応する各コネクタハウジング11A、11Bにおける凹部17及び凸部18の形成位置及び、第1、第2アース接続端子40A、40Bの各後方延出部46A、46Bの形状が実施例1と異なっている。
【0034】
図4に示すように、第1コネクタハウジング11Aの上面には、幅方向(相手コネクタAとの嵌合方向と交差する方向)に一条の蟻溝状の凹部17が設けられており、第2コネクタハウジング11Bの下面には、幅方向に一条の蟻臍状の凸部18が設けられている。
【0035】
また、第1、第2アース接続端子40A、40Bの第1、第2アース接続部41A、41Bは、第1、第2コネクタハウジング11A、11Bの底面より後方に延出する第1、第2後方延出部46A、46Bと、後方延出部46A、46Bより下方に向けて形成された係止部47より構成されている(実施例1と異なり、第1、第2連結部46L、46Rは形成されていない)。そして、第1後方延出部46Aの後端部の略中心には、ボルトBが嵌めこみ可能な真円状のボルト孔46Hが開口している。第2後方延出部46Bは、第1後方延出部46Aよりも長尺であり、図4に示すように、その長さ方向に亘って下方にクランク状に二度曲げられている。そして、第2後方延出部46Bの後端部において、第1後方延出部46Aと同様にボルト孔48Hが開口している。第1後方延出部46Aの係止部47の位置は、実施例1同様にその後端縁であるが、第2後方延出部46Bの係止部47はその後端部の幅方向右端縁に設けられている。それ以外の構成については実施例1と共通の為の説明を省略する。
【0036】
両コネクタ10A、10Bの合体は、実施例1と同様に、両コネクタハウジング11A、11Bに設けられた凹部17及び凸部18の嵌合によって達成され、合体状態においては、第1後方延出部46A上に第2後方延出部46Bが重ね合わさり、第2後方延出部46Bの幅方向右端縁に設けられた係止部47は、図4に示すように、第1後方延出部46Aの右端縁に係止する。これに伴って、図4に示すように、各後方延出部46A、46Bに設けられたボルト孔46Hが整合し、ボルト締めが可能な箇所が自動的に位置決めされる。
【0037】
以上、参考例によれば、第1、第2コネクタ10A、10Bを高さ方向に並列して合体させることで、両コネクタ10A、10Bの各アース接続端子40A、40Bのボルト孔46Hを整合させ、ボルト締め箇所を自動的に位置決めし、両コネクタ10A、10Bを簡単にアースに接続することが可能になる。
【0038】
<実施例3>
図5には、実施例3に係る第1、第2ノイズフィルタ内蔵ジョイントコネクタ10A、10B(以下では、単に第1、第2コネクタ10A、10Bと称する。)を内部に収容可能なフレーム70の正面図を示す。尚、以下の説明において、前後方向については、図6の右側を前側、左側を後側とする。
【0039】
実施例3においては、上述した実施例1とは異なり、第1、第2コネクタ10A、10Bの合体を、各コネクタハウジング11A、11Bにそれぞれ設けられた凹凸部17、18による嵌合ではなく、別体に設けられたフレーム70内にそれらを収容することにより達成される。各コネクタ10A、10Bの構成については、それぞれ凹部17及び凸部18が設けられていない点と、各アース接続端子40A、40Bの各アース接続部41A、41Bがクランク状に曲げ加工がなされている(以下では、クランク加工部Cと称する)点以外は実施例1と共通であるから、詳細な説明は省略する。
【0040】
フレーム70は合成樹脂製であり、図6に示すように、前方へ開口する略箱状に形成されている。そして、内部には、第1コネクタ10Aを前方より略隙間なく収容可能な第1収容室(収容空間)71Aと、第2コネクタ10Bを前方より略隙間なく収容可能な第2収容室(収容空間)71Bが幅方向に並列し、仕切り壁72によって区画されて設けられている。そして、各収容室71A、71Bの後壁74A、74Bは各コネクタ10A、10Bに対する後止まりが可能となっている。また、各コネクタ10A、10Bを各収容室71A、71B内に収容する際に、第1コネクタ10Aの第1連結部46L及び第2コネクタ10Bの第2連結部46Rがフレーム70内部を貫通可能なように、フレーム70の底部においては、前後方向に亘って開口するアース板部挿通孔73Hが開口している。そして、図5に示すように、各収容室71A、71Bはアース板部挿通孔73Hを介して連通している。
【0041】
次に、両コネクタ10A、10Bの合体作業及びアース接続作業手順の一例について説明すると、まず、フレーム70の第1、第2収容室71A、70B内に、第1、第2コネクタ10A、10Bを各アース接続端子40A、40Bが後方を向くようにして収容する。そして、各収容室71A、71Bの後壁74A、74Bに各コネクタ10A、10Bの後端部が当接するまで挿入する。すると、後壁74A、74Bの下部に設けられたアース板部挿通孔73Hより、第1、第2アース接続部41A、41Bがそれぞれ突出し、各後方延出部46A、46Bのクランク加工部Cがフレーム70の底面の後端縁に係止することで、両コネクタ10A、10Bがフレーム70内にて位置決めされた状態で合体する(合体した両コネクタ10A、10Bを以下では、コネクタ10Cと称する)。更に、合体が完了した際には、実施例1と同様に、第1アース接続部41Aの第1連結部46L上に第2アース接続部41Bの第2連結部46Rが重なり合い、それぞれに設けられている長孔状のボルト孔46Hが連結し、ボルトが差し込み可能な連結孔48Hが形成される。最後に、コネクタ10Cを、実施例1と同様に、車体パネルPに対してボルト締めすることで固定すれば、コネクタ10Cを容易にアースに接続できる。
【0042】
本実施例3によれば、第1、第2コネクタ10A、10Bを内部に収容可能なフレーム70を別体で設けることにより、簡単に両コネクタ10A、10Bを合体させることが可能になる。更に、コネクタハウジング11A、11Bには実施例1、2で用いたような凹凸部17、18を設ける必要がなくなる為、コネクタハウジング11A、11Bを共通の部品とすることが可能となり、汎用性に富む。
【0043】
<実施例4>
図7には、3つ以上のコネクタ10Dを同一のアースポイントEに一括して接続する構造の概略が示してある。詳細な説明は省略するが、ボルト締めを行う箇所(アースポイントE)を中心として円弧状のフレーム80を設けて、その外上面にコネクタ10Dが収容可能なコネクタ収容室81をアースポイントEを中心とした放射状の位置に、等角度ピッチで複数形成し、個々のコネクタ収容室81に対して、その後方延出部46CがアースポイントEを向くようにコネクタ10Dをそれぞれ収容する。すると、複数のコネクタ10Dの後方延出部46Dが、実施例3と同様に重なり合って、後方延出部46Cに設けられたボルト孔48Hが連結するようになっている。本実施例のような構成とすれば、円弧状のフレーム80内に複数設けられたコネクタ収容室81に、コネクタ10Dをそれぞれ収容することでそれらを合体させて、同一のアースポイントEに簡単に接続することが可能となる。
【0044】
以上、本発明によれば、複数のノイズフィルタ内蔵コネクタ10A、10B、10Dの合体に伴って、各ノイズフィルタ内蔵コネクタ10A、10B、10Dの各アース接続部41A、41Bが重なって各ボルト孔46Hが整合し、ボルト締めを行う箇所が自動的に位置決めされるので、コネクタ10A、10B、10Dのアース接続作業が簡単になる。
【0045】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、係止部をアース接続部の後端部に1つ設けたが、これに限らず、係止部の形成箇所及びその数に制限はない。
(2)上記実施例では、コンデンサにフィルムコンデンサを使用したが、これに限らず、電解コンデンサやセラミックコンデンサを使用しても良い。
(3)上記実施例では、各コネクタにコンデンサを1つずつ内蔵したが、これに限らず、2つ以上内蔵しても良い。
(4)上記実施例では、各コネクタに実装するコンデンサを同じものとしたが、これに限らず、種類や容量等が異なるものであっても良い。
(5)上記実施例では、バスバー端子を端子金具に用いたが、雌端子金具やバスバー端子以外の雄端子金具を用いても良い。
(6)上記実施例では、端子金具の端子部の極数を2としたが、これに限らず、端子部の極数に制限はない。
(7)上記実施例では、端子金具とコンデンサの電極部とを半田付けにより接続したが、これに限らず、抵抗溶接やレーザー溶接を用いて接続しても良い。
(8)上記実施例では、合体手段として、蟻溝状の凹部と蟻臍状の凸部を嵌合させたが、これに限らず、異なる凹凸形状であっても良い。また、コネクタハウジングとは別体の合体手段を用いても良い。
(9)上記実施例では、凹凸部による合体手段によって、2つのコネクタを合体させたが、同様の合体手段によって、3つ以上のコネクタを合体させても良い。
【符号の説明】
【0046】
10A、10B、10C、10D…ノイズフィルタ内蔵コネクタ
11A、11B…コネクタハウジング
17…凹部(合体手段)
18…凸部(合体手段)
20…バスバー端子(端子金具)
30…コンデンサ
32A、32B…電極部
40A、40B…アース接続端子
41A、41B…アース接続部
42…アース電極接続部(電極接続部)
46H…ボルト孔、長孔
47…係止部
48H…連結孔
70、80…フレーム(合体手段)
71A、71B…収容室(収容空間)
81…コネクタ収容室(収容空間)
B…ボルト
P…車体パネル(設置面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7