特許第5994702号(P5994702)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994702
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】車両内装品
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/02 20060101AFI20160908BHJP
   B68G 7/10 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   B60Q3/02 D
   B68G7/10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-63314(P2013-63314)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-189029(P2014-189029A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 伸樹
【審査官】 丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−279999(JP,A)
【文献】 米国特許第06450678(US,B1)
【文献】 特開2010−137793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/00− 3/06
B60J 5/00
B60R 13/02
B68G 7/10
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手状の導光部材と、
内側に前記導光部材が挿入される中空部を含む透明な長手状の筒体と、
前記筒体を挟む形で互いの端部同士が突き合わされ、各々の意匠面が車室内側を向くように配される一対の表皮材と、を備える車両内装品であって、
前記筒体は、前記表皮材の裏面側に配され、導光部材からの光を透過するものであり、
前記表皮材の前記端部同士の間から車室内側に露出するように前記筒体の外側に一体的に延設され、前記導光部材からの光を車室内側に出光させる出光部を備え、前記出光部は、前記筒体の外面から立設され、前記筒体の軸方向に沿って延設されている可撓性を有する細長い板状をなしており、前記表皮材よりも車室内側に突出している先端部を有し、前記出光部の前記先端部側から光を車室内側に出射する構成であり、
前記筒体が車室内側に露出しないように、互いに突き合わされた前記表皮材の前記端部同士は、前記筒体から突出している前記出光部の根本部分を両側から挟むように配されている車両内装品。
【請求項2】
前記出光部の両側においてそれぞれ前記筒体の外側に一体的に延設され、前記出光部に対して略直交する形で延設する板状をなしており、前記表皮材の端部側を裏面側からそれぞれ保持する一対の保持片を備える請求項1に記載の車両内装品。
【請求項3】
前記表皮材の端部側は、前記保持片に対して縫製により固定され、
縫製により得られる縫製ラインが、前記出光部に沿う形で前記表皮材の意匠面上に形成される請求項2の車両内装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内装品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、車両用シートのトリムカバーの縫い目に沿うように、発光型の玉縁が配設されてなる玉縁照明装置が知られている。この種の玉縁照明装置で利用される玉縁には、光ファイバー等の光を伝播させる細長い導光部材が含まれており、この導光部材が発光することによって玉縁全体が線状に点灯する。
【0003】
また、特許文献1に示されるように、玉縁はトリムカバーの外側(つまり、車室内)に露出する形でトリムカバーの縫い目(継ぎ目)に沿って取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−177600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光型の玉縁が、車室内に露出する形で設けられていると、例えば、車両の乗員が玉縁に触れる等した際に、玉縁中の導光部材が損傷(例えば、断線)して玉縁が所定通りに(例えば、線状に均一に)点灯しなくなる虞があった。
【0006】
また、近年、意匠性の向上等の目的で、線幅の細い光でトリムカバー等の縫い目(継ぎ目)を装飾することが求められている。しかしながら、従来の発光型の玉縁では、強度確保等の観点より、玉縁(特に、導光部材)をある程度、太く設定する必要があるため、線幅の細い光(例えば、導光部材の太さよりも細い線幅の光)を得ることができなかった。
【0007】
本発明の目的は、導光部材の損傷が抑制されつつ、意匠性に優れる車両内装品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両内装品は、長手状の導光部材と、内側に前記導光部材が挿入される中空部を含む透明な長手状の筒体と、前記筒体を挟む形で互いの端部同士が突き合わされ、各々の意匠面が車室内側を向くように配される一対の表皮材と、を備える車両内装品であって、前記筒体は、前記表皮材の裏面側に配され、前記表皮材の前記端部同士の間から車室内側に露出するように前記筒体の外側に一体的に延設され、前記導光部材からの光を車室内側に出光させる出光部を備える。
【0009】
前記車両内装品では、導光部材が挿入された筒体は、表皮材の裏面側に配され、そして、一対の表皮材の端部同士の間からは、筒体の外側に一体的に延設された出光部が露出されている。そのため、前記車両内装品では、導光部材を車室内側に露出させることなく、導光部材からの光を、出光部から車室内側に出光させることができる。したがって、前記車両内装品では、乗員等が直接、導光部材に触れることが抑制され、導光部材の損傷が抑制される。また前記車両内装品では、導光部材からの光が、表皮材の端部同士の間から露出させた出光部を介して視認されるため、意匠性に優れるものとなる。
【0010】
前記車両内装品において、前記出光部の両側においてそれぞれ前記筒体の外側に一体的に延設され、前記表皮材の端部側を裏面側からそれぞれ保持する一対の保持片を備えるものであってもよい。
【0011】
前記車両内装品は、出光部の両側においてそれぞれ筒体の外側に一体的に延設され、表皮材の端部側を裏面側からそれぞれ保持する一対の保持片を備えることにより、例えば、保持片が筒体とは別体である場合と比べて、出光部と、一対の表皮材の端部同士との配置関係を調整し易い(位置合わせし易い)。
【0012】
前記車両内装品において、前記表皮材の端部側は、前記保持片に対して縫製により固定され、縫製により得られる縫製ラインが、前記出光部に沿う形で前記表皮材の意匠面上に形成されるものであってもよい。
【0013】
前記車両内装品は、前記表皮材の端部側が、前記保持片に対して縫製により固定され、縫製により得られる縫製ラインが、前記出光部に沿う形で前記表皮材の意匠面上に形成されるものであると、縫製ラインを、表皮材の端部側を保持片に対して固定することに利用するのみならず、表皮材の意匠面上を装飾する意匠としても利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、導光部材の損傷が抑制されつつ、意匠性に優れる車両内装品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態1のドアトリムの全体構成を模式的に表した説明図
図2】継ぎ目の間を線状に発光させる車両内装品の一部を模式的に表した説明図
図3】車両内装品を構成する縁部材及び導光部材の説明図
図4】実施形態2の車両内装品の一部を模式的に表した説明図
図5】実施形態3の車両内装品の一部を模式的に表した説明図
図6】他の実施形態におけるシートの説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1乃至図3を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態1のドアトリム10の全体構成を模式的に表した説明図である。ドアトリム10は、車両ドアの車室内側の部分を構成するものであり、車両ドアが備えるドアインナパネル(不図示)に対して車室内側から取り付けられる。図1には、意匠面側のドアトリム10が示されている。なお、図1の左側が車両前方であり、図1の右側が車両後方である。
【0017】
ドアトリム10は、図1に示されるように、全体的には概ね平板状(ボード状)をなしている。本実施形態のドアトリム10は、複数のボード体が一体的に組付けられたものからなる。ドアトリム10を構成するボード体11としては、ドアトリム10の上方を構成するアッパーボード体11a、ドアトリム10の下方を構成するロアボード体11b、ロアボード体11bの上方に配され、主として後述するアームレストの側面部分を構成するアームレストボード体11c、アームレストボード体11cの上方に配されるオーナメントボード体11d、オーナメントボード体11dとアッパーボード体11aとの間で配される加飾ボード体11e等が挙げられる。
【0018】
各ボード体11は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂材料の成形品からなる。なお、各ボード体11に使用される材質としては、合成樹脂材料に限定されず、例えば、木質系材料と合成樹脂との混合材料が用いられてもよい。
【0019】
ドアトリム10には、図1に示されるように、車室内側に膨出された形をなすアームレスト12が設けられている。アームレスト12は、主として、上述したアームレストボード体11cと、オーナメントボード体11dの下方部分とから構成される。本実施形態のアームレストボード体11cは、車両前後方向に亘って形成されており、アームレスト12の車室内側に配される側壁部12aを構成している。アームレスト12の上面部12bは、略水平であり、オーナメントボード体11dの下方部分等から構成されている。
【0020】
アームレスト12の側方(車室外側)には、隣接する形でオーナメント13が配されている。このオーナメント13は、主としてオーナメントボード体11dより構成されている。オーナメント13の大部分は、概ね鉛直方向に沿って延びた壁状をなしている。オーナメント13と、アームレスト12の側壁部12aとの間にはウインドウガラス(不図示)の昇降用スイッチ等を備えたスイッチベース14が配設される。そして、そのスイッチベース14の後方には、プルハンドル部16が形成されている。
【0021】
また、ドアトリム12には、その他に、インサイドハンドル16、スピーカーグリル17等が設けられている。インサイドハンドル16は、アームレスト12の上方に配されており、加飾ボード体11eに取り付けられている。スピーカーグリル17は、車両前方側におけるアームレスト12の下方に配されており、ロアボード体11bに取り付けられている。
【0022】
ドアトリム12の表面の一部は、図1に示されるように、表皮材20によって覆われている。表皮材20は、ドアトリム12を構成する各ボード体11の表面に対して、接着剤等により貼り付けられている。本実施形態の場合、ドアトリム12のうち、アームレスト12の表面と、オーナメント13の表面とが表皮材20によって覆われている。つまり、アームレストボード体11bの表面とオーナメントボード体11dの表面が表皮材20によって覆われている。
【0023】
表皮材20は、所定の厚みを有する柔軟なシート状部材からなる。そのため、表皮材20は、ドアトリム12の表面形状に倣う形で貼り付けられる。表皮材20を構成する素材としては、特に限定されないが、例えば、織物、編物、不織布等の布帛や、天然皮革、合成皮革等の皮革が挙げられる。また、表皮材20は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0024】
表皮材20は、複数のピース状に分割されたもの同士が、互いに継ぎ合わせられた状態で、ドアトリム12の表面を覆う。そのため、互いに継ぎ合わせられた表皮材20,20の端部同士の間には、ライン状の継ぎ目21が形成される。この継ぎ目21は、装飾として用いられており、アームレスト12やオーナメント13の外観形状に沿う形で設けられている。
【0025】
本実施形態の場合、継ぎ目21は、車両前後方向に亘って形成されるアームレスト12の側壁部12aと上面部12bとの境界部分や、オーナメント13の上方側における輪郭形状の一部に沿う形で、それぞれ設けられている。
【0026】
また、本実施形態の場合、継ぎ目21の間が線状に発光するように構成されており、更に継ぎ目21付近における装飾性(意匠性)が高められている。以下、継ぎ目21において線状発光する車両内装品(玉縁照明装置)30を、図2及び図3を参照しつつ説明する。
【0027】
図2は、継ぎ目21の間を線状に発光させる車両内装品30の一部を模式的に表した説明図である。この車両内装品30は、図1に示されるアームレスト12の側壁部12aと上面部12bとの境界部分に設けられた継ぎ目21付近の構造である。図2には、図1の一点鎖線で囲まれた領域S内の車両内装品30が模式的に示されている。なお、表皮材20のうち、アームレスト12の側壁部12aの表面に形成されるものを表皮材20aと表し、アームレスト12の上面部12bの表面に形成されるものを表皮材20bと表す場合がある。
【0028】
車両内装品30は、図2に示されるように、主として、縁部材40、導光部材50、一対の表皮材20a,20bを備える。
【0029】
図3は、車両内装品30を構成する縁部材40及び導光部材50の説明図である。縁部材40は、隣り合った表皮材20a,20bの間に形成される継ぎ目21に沿って配される部材である。縁部材40は、図2及び図3に示されるように、全体的には、継ぎ目21に沿った長手状をなしており、透明なエラストマーの押出成形品等からなる。縁部材40に利用される材料としては、例えば、アクリル系エラストマーが挙げられる。縁部材40は、ドアトリム10(ボード体11)上に載せられ、ドアトリム10(ボード体11)の形状に倣って追従できる程度の柔軟性(可撓性)を備えている。なお、縁部材40における「透明」とは、少なくとも可視光を透過できるものであればよく、所謂、無色透明の場合に限られない。
【0030】
縁部材40は、筒体41、出光部42及び保持片43を備えている。筒体41は、内側に中空部41aを有する長手状の透明な筒状物である。本実施形態の筒体41は、概ね円柱状をなしている。筒体41は、導光部材50を収容する部分となっており、筒体41の内側にある中空部41aに、導光部材50が挿入(挿着)される。後述するように、導光部材50から放出された光は透明な筒体41を透過することができる。
【0031】
出光部42は、継ぎ目21の間(表皮材20a,20bの端部同士の間)に配される部分であり、車室内側に向かって光を発する部分である。出光部42は、筒体41の長手方向に沿いつつ、筒体41の外面41b上に立設する形で設けられた板状をなしている。出光部42は、筒体41に対して一体的に形成されており、筒体41と同様、透明であり、光透過性である。出光部42は、先端42aが継ぎ目21(表皮材20a,20b)よりも車室内側に突き出すように、その高さ(外面41bから外側に延びる出光部42の長さ)が設定されている。なお、本実施形態の場合、出光部42の厚みは、導光部材50の線幅(直径)よりも小さく設定されている。
【0032】
保持片43は、表皮材20の意匠面22が表側(車室内側)を向く形で表皮材20の端部23を裏面24側から保持する部分である。なお、表皮材20の意匠面22とは、車室内側に露出する表側の面であり、その意匠面22の反対側(裏側)が裏面24となる。保持片43は、筒体41の長手方向に沿いつつ、筒体41の外面41b上に立設する形で設けられた板状をなしている。保持片43は、筒体41上に2つ(一対)設けられており、出光部42の両側に1つずつ分かれて配されている。つまり、一対の保持片43,43は、筒体41から羽根状に広がる形で設けられている。一方の保持片43は、表皮材20a側の端部23を保持し、他方の保持片43は、表皮材20b側の端部を保持する。なお、保持片43は、出光部42と同様、筒体41に対して一体的に形成されている。保持片43の厚みは、出光部42と同程度か、出光部42よりも若干、大きく(厚く)設定されている。
【0033】
一対の保持片43は、筒体41の軸線方向から見た場合、出光部42を中心として左右対称に筒体41上に配置されている。また、各保持片43は、出光部42に対して略直交する形となっている。なお、各保持片43の筒体41に対する設置個所は、継ぎ目21(車両内装品30)が配置される個所等に応じて、適宜、設定される。本実施形態の場合、一対の保持片43は、互いに同じ大きさである。保持片43の長さ(外面41bから外側に延びる保持片43の長さ)は、出光部42の外面41bからの長さ(出光部42の高さ)よりも長く設定されている。
【0034】
導光部材50は、長手状をなしており、図3に示されるように、円柱状(棒状)をなしている。導光部材50は、端部から入射された光を、周方向に放出しながら長手方向に伝播させる機能を備えている。導光部材50は、中心部のコアと、このコアを取り囲むクラッドとを含む構成であり、光拡散剤を含むアクリル系樹脂等を主体として構成されている。また、導光部材50は、ドアトリム10(ボード体11)の形状に倣って追従できる程度の柔軟性(可撓性)を備えている。
【0035】
導光部材50内に光を入射させるための光源としては、例えば、LED60が用いられる。なお、図3において、説明の便宜上、LED60が示されているが、このLED60は、実際には、ドアトリム10の車室外側の面に配されている。LED60は、図示されない制御装置を介して車両に搭載された電源装置に対して電気的に接続されている。導光部材50が備える2つの端部(端面)のうち、一方の端部のみから光源からの光が入射されてもよいし、双方の端部から光が入射されてもよい。
【0036】
導光部材50が、筒体41の内側にある中空部41aに挿入されている状態において、導光部材50の外周面50aから光が放出されると、その放出された光が筒体41を透過し、更に、出光部42内を透過する。
【0037】
継ぎ目21は、隣り合った表皮材20a,20bにおける互いに突き合わされた端部23,23同士から形成されている。表皮材20の端部23は、図2に示されるように、表皮材20の一部が表側から裏側に折り畳まれて、所謂、2枚重ねの状態となっている。表皮材20の端部23は、この2枚重ねの状態で、保持片43に取り付けられる。表皮材20の端部23は、保持片43に対して、縫製により取り付けられる。つまり、表皮材20の端部23は、縫製により得られる縫製ライン(ステッチ)70により、保持片43に対して固定される。表皮材24の端部23は、その裏面24が保持片43の上面43と接触する形で、保持片43に固定される。
【0038】
縫製ライン70は、継ぎ目21の延びる方向に沿って平行に配される形で表皮材20に設けられている。つまり、縫製ライン70は、出光部42の延びる方向に沿って平行に配されている。出光部42を挟んで互いに向かい合う各表皮材20a,20bの端部23,23に、それぞれ縫製ライン70が2本ずつ設けられている。本実施形態の縫製ライン70は、表皮材20の端部23を保持片43に固定する機能を備えつつ、意匠性(装飾性)を備えている。
【0039】
また、図2に示されるように、表皮材20の端部23は、筒体41が車室内側に露出しないように、筒体41を覆うように保持片43上に固定されている。つまり、筒体41は、表皮材20の裏面24側に配されることになる。また、隣り合った表皮材20a,20bの端部23,23同士が、出光部42の根元42b部分を両側から挟む形となっている。そして、出光部42の先端42aは、隣り合った端部23,23同士の間から車室内側に突き出して露出する形となっている。端部23,23同士の間から車室内側に突き出す部分の出光部42の長さとしては、例えば、数ミリ程度に設定される。この出光部42が、直接、乗員に触れることがあっても、出光部42は弾性を有するため、折り曲げられても元の形状に復帰することができる。
【0040】
このような構成の車両内装品30において、光源(LED60)から発せられた光が導光部材50の端部に入射されると、導光部材50の外周面50aから光が放出される。その光は、縁部材40の筒体41を透過し、更にその筒体41と繋がっている出光部42を透過する。すると、出光部42が発光して、継ぎ目21に沿ったライン状(線状)の光が得られる。このライン状の光によって、アームレスト12の輪郭の一部が際立ち、車室内における意匠性が高められる。
【0041】
以上のように、本実施形態の車両内装品30は、長手状の導光部材50と、内側に導光部材50が挿入される中空部41aを含む透明な長手状の筒体41と、筒体41を挟む形で互いの端部23,23同士が突き合わされ、各々の意匠面22,22が車室内側を向くように配される一対の表皮材20a、20bとを備える。そして、筒体41は、表皮材20の裏面24側に配され、表皮材20a,20bの端部23,23同士の間から車室内側に露出するように筒体41の外側(外面41b)に一体的に延設され、導光部材50からの光を車室内側に出光させる出光部42を備える。
【0042】
本実施形態の車両内装品30では、導光部材50が挿入された筒体41は、表皮材20の裏面24側に配され、そして、一対の表皮材20a,20bの端部23,23同士の間からは、筒体41の外側(外面41b)に一体的に延設された出光部42が露出されている。そのため、車両内装品30では、導光部材50を車室内側に露出させることなく、導光部材50からの光を、出光部42から車室内側に出光させることができる。したがって、本実施形態の車両内装品30は、乗員等が直接、導光部材50に触れることが抑制され、導光部材50の損傷が抑制される。本実施形態の車両内装品30では、導光部材50からの光が、表皮材20a,20bの端部23,23同士の間から露出させた出光部42を介して視認されるため、意匠性に優れるものとなる。
【0043】
また、本実施形態の車両内装品30は、出光部42の両側においてそれぞれ筒体41の外側(外面41b)に一体的に延設され、表皮材20の端部23側を裏面24側からそれぞれ保持する一対の保持片43,43を備えるものである。そのため、本実施形態の車両内装品30は、例えば、保持片43が筒体41とは別体である場合と比べて、出光部42と、一対の表皮材20,20の端部23,23同士との配置関係を調整し易い(位置合わせし易い)。
【0044】
また、本実施形態の車両内装品30は、表皮材20の端部23側が、保持片43に対して縫製により固定され、縫製により得られる縫製ライン70が、出光部42に沿う形で表皮材20の意匠面22上に形成されるものである。そのため、本実施形態の車両内装品30は、縫製ライン70を、表皮材20の端部23側を保持片43に対して固定することに利用するのみならず、表皮材20の意匠面22上を装飾する意匠としても利用することができる。
【0045】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を図4を参照しつつ説明する。図4は、実施形態2の車両内装品30Aの一部を模式的に表した説明図である。図4には、図2に示される実施形態1の車両内装品30に対応する部分が示されている。本実施形態の車両内装品30Aが備える縁部材40、導光部材50等は、実施形態1のものと同様であり、それらには実施形態1と同じ符号が付されている。なお、本実施形態の表皮材20Aのうち、実施形態1の表皮材20aに対応するものが表皮材20Aaで表され、実施形態1の表皮材20bに対応するものが表皮材20Abで表される。
【0046】
本実施形態の場合、一対の表皮材20A(20Aa,20Ab)の端部23A,23A同士が、実施形態1の場合よりも、車室内側(図4の上方)に立ち上がった状態となっている。このように、端部23A,23A同士を立ち上がらせた状態で、それらの間から出光部42を車室内側に突出する形で露出させてもよい。このように、一対の表皮材20A(20Aa,20Ab)の端部23A,23Aが板状の出光部42を挟むように立ちあがっていると、出光部42が補強されて乗員が触れる等しても倒れ難くなる。また、確実に、一対の表皮材20A(20Aa,20Ab)の端部23A,23Aにより、導光部材50を覆い隠すことができる。なお、本実施形態の表皮材20Aは、端部23Aが立ち上がっていること以外は、実質的に、実施形態1の表皮材20の構成と同様である。
【0047】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3を図5を参照しつつ説明する。図5は、実施形態3の車両内装品30Bの一部を模式的に表した説明図である。図5には、図2に示される実施形態1の車両内装品30に対応する部分が示されている。本実施形態の車両内装品30Bが備える縁部材40、導光部材50等は、実施形態1のものと同様であり、それらには実施形態1と同じ符号が付されている。なお、本実施形態の表皮材20Bのうち、実施形態1の表皮材20aに対応するものが表皮材20Baで表され、実施形態1の表皮材20bに対応するものが表皮材20Bbで表される。
【0048】
本実施形態の場合、一対の表皮材20B(20Ba,20Bb)の端部23B,23B同士が、車室内側(図4の上方)に立ち上がりつつ、それらの端部23B,23B同士は、出光部42を挟んだ状態で出光部42に固定されている。なお、前記端部23B,23B同士の間からは、出光部42の先端42aが露出されている。また、前記端部23B,23Bは、縫製ライン80により、出光部42に対して固定されている。
【0049】
このように、端部23B,23B同士を立ち上がらせた状態で、それらの間から出光部42を車室内側に突出する形で露出させつつ、端部23B,23Bを出光部42に固定してもよい。このように、端部23B,23Bが出光部42に固定されていると、出光部42が両側から挟まれる形で固定されることになり、乗員が触れる等しても更に、倒れ難くなり、一対の表皮材20B(20Ba,20Bb)の端部23B,23Bにより、導光部材50を覆い隠すことができる。また、縫製ライン80を意匠としても利用することができる。なお、本実施形態の表皮材20Bは、端部23Bが立ち上がりつつ固定されていること以外は、実質的に、実施形態1の表皮材20の構成と同様である。
【0050】
なお、本実施形態の場合、表皮材20Bの端部23Bを、保持片43に固定する縫製ライン70は、各保持片43に1つずつ割り当てられている。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0052】
(1)上記実施形態では、ドアトリムの継ぎ目に設けられる車両内装品を例示したが、本発明は、ドアトリム以外の表皮材で覆われる内装品に利用されるものであってもよい。例えば、図6に示されるように、シート100を覆う表皮材200,200の継ぎ目210において、線状に発光させるように本発明の車両内装品を適用してもよい。
【0053】
(2)上記実施形態では、表皮材の端部が表側から裏側に折り畳まれる(折り曲げられる)構成であったが、他の実施形態においては、折り畳まれずに伸ばした状態(他の部分と同様、1枚の状態)で、保持片に固定されてもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、表皮材の端部は、保持片に対して縫製ライン(ステッチ)により固定されていたが、本発明はこれに限られず、例えば、接着剤等を利用して固定されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…ドアトリム、11…ボード体、12…アームレスト、13…オーナメント、20,20a,20b…表皮材、21…継ぎ目、22…表皮材の意匠面、23…表皮材の端部、24…表皮材の裏面、30…車両内装品、40…縁部材、41…筒体、41a…中空部、41b…筒体の外面、42…出光部、43…保持片、50…導光部材、60…LED、70…縫製ライン(ステッチ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6