(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮熱手段は、断熱部材を有し、該断熱部材は、前記搬送手段と前記案内部材との間で、前記搬送方向及び前記幅方向と交差する方向に延びる延出部を有している請求項1又は請求項2に記載の定着部の構造。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る定着部の構造及び画像形成装置の一例について説明する。
【0017】
(全体構成)
図1には、第1実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、上下方向(Y方向)の下側から上側へ向けて、用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ画像形成を行う主動作部14と、主動作部14の上に設けられた原稿読取部16と、を含んで構成されている。また、画像形成装置10は、複数のフレーム及び板材を含む部材で構成された装置本体15を有している。そして、主動作部14には、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20が設けられている。
【0018】
図中の「○」の中に「×」が記載されたものは、手前から奥へ向かう矢印を意味し、図中の「○」の中に「・」が記載されたものは、奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、画像形成装置10をユーザー(図示省略)が立つ側から正面視して、X方向は右方向、−X方向は左方向、Y方向は上方向、−Y方向は下方向、Z方向は奥行き方向、−Z方向は手前方向に相当している。なお、一方側と他方側を区別する際に、X側、−X側、Y側、−Y側、Z側、−Z側と記載する場合がある。
【0019】
(用紙収容部)
用紙収容部12は、サイズが異なる記録媒体の一例としての記録用紙Pを収容可能な第1収容部22、第2収容部24、第3収容部26、及び第4収容部28を有している。第1収容部22、第2収容部24、第3収容部26、及び第4収容部28には、送り出しロール32と、搬送ロール34と、記録用紙Pのサイズ情報を取得するセンサ(図示省略)とが設けられている。送り出しロール32は、各収容部に収容された記録用紙Pを一枚ずつ送り出す。そして、搬送ロール34は、送り出しロール32で送り出された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路30に搬送するようになっている。
【0020】
搬送路30における搬送ロール34よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送する複数の搬送ロール36が設けられている。さらに、搬送路30における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させると共に、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出すことで画像転写の位置合せを行う位置合せロール38が設けられている。
【0021】
搬送路30の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印Y方向に向けて用紙収容部12の−X側から主動作部14の−X側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路30の下流側部分は、主動作部14の−X側下部から主動作部14のX側の側面に設けられた排紙部13まで設けられている。さらに、搬送路30には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路31が接続されている。なお、両面搬送を行わないときの記録用紙Pの搬送方向は、矢印Aで示されている。
【0022】
両面搬送路31は、画像形成装置10の正面視において、記録用紙Pを反転する反転部33と、反転された記録用紙Pを搬送する搬送部35とを有している。具体的には、反転部33は、主動作部14のX側下部から用紙収容部12のX側までY方向に直線状に設けられている。搬送部35は、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに図示の−X側(矢印Bで示す)に記録用紙Pを搬送する。
【0023】
搬送部35の下流側端部は、搬送路30の位置合せロール38よりも上流側に案内部材(図示省略)により接続されている。なお、
図1において、反転部33及び搬送部35には複数の搬送ロールが間隔をあけて設けられているが、図示を省略している。また、搬送路30と両面搬送路31との切り替えを行う切替部材、及び反転部33と搬送部35との切り替えを行う切替部材についても図示を省略している。
【0024】
(原稿読取部)
原稿読取部16は、複数の原稿(図示省略)を置くことが可能な原稿置台41と、一枚の原稿が載せられるプラテンガラス42と、プラテンガラス42に載せられた原稿を読み取る原稿読取装置44と、読み取った原稿を排出する原稿排出部43とを有している。
【0025】
原稿読取装置44は、光照射部46と、1つのフルレートミラー48及び2つのハーフレートミラー52と、結像レンズ54と、光電変換素子56とを有している。光照射部46は、プラテンガラス42に載せられた原稿に光を照射する。フルレートミラー48及びハーフレートミラー52は、光照射部46によって照射され原稿から反射された反射光を、プラテンガラス42と平行な方向に反射させて折り返す。具体的には、フルレートミラー48は、プラテンガラス42に沿ってフルレートで移動し、ハーフレートミラー52は、プラテンガラス42に沿ってハーフレートで移動するようになっている。
【0026】
結像レンズ54には、フルレートミラー48及びハーフレートミラー52によって折り返された反射光が入射するようになっている。そして、光電変換素子56は、結像レンズ54によって結像された反射光を電気信号に変換する。なお、光電変換素子56によって変換された電気信号は、画像処理装置(図示省略)で画像処理され画像形成に用いられるようになっている。
【0027】
(主動作部)
主動作部14は、装置本体15内に、記録用紙P上にトナー画像(現像剤像)を形成する現像剤像形成手段の一例としての画像形成部60と、記録用紙P上の現像剤像を定着する定着手段の一例としての定着装置110とが設けられている。定着装置110は、装置本体15に装着され又は装置本体15から引抜き可能とされている。
【0028】
画像形成部60は、現像剤の一例としてのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び ブラック(K)の各トナーに対応して設けられた感光体62K、62C、62M、62Yを有する画像形成ユニット64K、64C、64M、64Yを有している。また、画像形成部60は、感光体62K、62C、62M、62Yの外周面に向けて光ビームLを出射して露光する露光ユニット66K、66C、66M、66Yを有している。
【0029】
さらに、画像形成部60は、画像形成ユニット64K、64C、64M、64Yで形成されたトナー画像を記録用紙P上に転写する転写ユニット68を有している。なお、以後の説明では、Y、M、C、Kを区別する必要がある場合は、数字の後にY、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、同様の構成でY、M、C、Kを区別する必要がない場合は、Y、M、C、Kの記載を省略する。
【0030】
露光ユニット66は、光源(図示省略)から出射された光ビームを、回転多面鏡(ポリゴンミラー:符号無し)で走査すると共に反射ミラーを含む複数の光学部品で反射して、各トナーに対応した光ビームLを感光体62へ向けて出射する構成となっている。また、感光体62は、露光ユニット66の−Y側(下側)に設けられている。
【0031】
図2に示すように、画像形成ユニット64は、感光体62と、感光体62の外周面と対向して回転方向の上流側から下流側へ順に配置された帯電器72、現像器74、及びクリーニングユニット76とを含んで構成されている。なお、帯電器72と現像器74は、感光体62の外周面で帯電器72と現像器74との間の位置に露光ユニット66(
図1参照)からの光ビームLが照射されるように配置されている。また、感光体62の外周面で現像器74とクリーニングユニット76との間の位置には、後述する中間転写ベルト82が接触している。
【0032】
感光体62は、アルミニウムなどで構成され導電性を有すると共に接地される円筒状の基材(図示省略)と、この基材の外周面で径方向に順次積層された電荷発生層、電荷輸送層、及び保護層を含む表面層(図示省略)とで構成されている。そして、感光体62は、モータ(図示省略)の駆動により矢印+R方向に回転可能となっている。
【0033】
帯電器72は、一例として、ワイヤに電圧を印加してコロナ放電により感光体62の外周面をトナーと同極性に帯電させるコロトロン方式の帯電手段で構成されている。ここで、帯電した感光体62の外周面に画像データに基づいて光ビームLが照射されることで、潜像(静電潜像)が形成される。
【0034】
現像器74は、一例として、磁性体からなるキャリア粒子とトナーとが混合された現像剤Gを収容している。トナーは、一例として、負極性に帯電する樹脂を含んで構成されている。また、現像器74には、周方向に複数の磁極を有するマグネットロール(図示省略)が内側に設けられた円筒状の現像スリーブ75が設けられている。
【0035】
現像器74では、現像スリーブ75が回転することにより感光体62と対向する部位で磁気ブラシが形成される。そして、現像器74では、電圧印加手段(図示省略)によって現像スリーブ75に現像バイアスが印加されることで、感光体62の外周面の潜像をトナーで顕在化させてトナー画像(現像剤像の一例)を形成するようになっている。なお、各現像器74には、画像形成部60の上方に設けられた各トナーカートリッジ79(
図1参照)からトナーが供給されるようになっている。
【0036】
クリーニングユニット76は、感光体62の回転方向に先端側を向けて配置されると共に感光体62の外周面と接触するクリーニングブレード77を有している。そして、クリーニングユニット76は、感光体62の外周面に残留した転写残りのトナーをクリーニングブレード77で掻き落として回収するようになっている。また、感光体62の回転方向で現像器74よりも下流側には、現像器74で現像されたトナー画像が一次転写される中間転写ベルト82が矢印C方向に移動可能に設けられている。
【0037】
図1に示すように、転写ユニット68は、中間転写ベルト82と、感光体62から中間転写ベルト82上にトナー画像を一次転写させる一次転写ロール84とを有している。さらに、転写ユニット68は、中間転写ベルト82上で順次重ねられたトナー画像を記録用紙Pへ二次転写させる二次転写ロール86と、中間転写ベルト82を介して二次転写ロール86と対向する補助ロール88とを含んで構成されている。
【0038】
中間転写ベルト82は、一例として、ポリイミドあるいはポリアミドからなる樹脂にカーボンブラック(帯電防止剤)を含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。また、中間転写ベルト82の内側には、画像形成ユニット64Y及び一次転写ロール84Yの近くに配置され、モータ(図示省略)により回転駆動される駆動ロール92と、回転可能に設けられた複数の搬送ロール94とが配置されている。
【0039】
さらに、中間転写ベルト82は、一次転写ロール84K、84C、84M、84Y、駆動ロール92、搬送ロール94、及び補助ロール88に巻き掛けられている。これにより、中間転写ベルト82は、駆動ロール92が図示の反時計周りに回転すると、矢印C方向(図示の反対時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0040】
一次転写ロール84は、一例として、ステンレス鋼などの金属で構成された円柱状のシャフトの周囲にスポンジ層(図示省略)が形成された構成となっており、シャフト(軸部)の両端部がベアリングで支持されることにより回転可能となっている。また、一次転写ロール84は、電源(図示省略)からシャフトにトナーの極性とは逆極性の電圧が印加されるようになっている。
【0041】
二次転写ロール86は、一例として、一次転写ロール84と同様の構成となっており、搬送路30における位置合せロール38の下流側に配置され回転可能に設けられている。また、二次転写ロール86は、補助ロール88とで中間転写ベルト82を挟むように中間転写ベルト82の外周面に接触している。なお、本実施形態では、一例として、二次転写ロール86が接地されている。
【0042】
補助ロール88は、二次転写ロール86の対向電極を形成しており、補助ロール88の外周面に接触配置された金属製の給電ロール(図示省略)を介して、二次転写電圧が印加されるようになっている。ここで、二次転写電圧が印加され、補助ロール88と二次転写ロール86との間に電位差が生じることにより、二次転写ロール86と中間転写ベルト82との接触部に搬送される記録用紙P上に中間転写ベルト82上のトナー画像が二次転写されるようになっている。
【0043】
駆動ロール92の近くで中間転写ベルト82の外周面と対向する位置には、二次転写後の中間転写ベルト82上の残留トナーや紙粉を除去するクリーニングブレード95が設けられている。なお、中間転写ベルト82の外周面でトナー画像が転写されない非転写領域の基準位置には、一例として、光を反射するシール部材(図示省略)が固定されている。また、このシール部材と対向可能となる位置には、中間転写ベルト82の非転写領域に光を照射すると共に、シール部材で反射された光を受光することで中間転写ベルト82の基準位置を検知する位置センサ(図示省略)が設けられている。これにより、画像形成部60では、位置センサで得られた基準位置の信号に基づいて、各部の画像形成動作が行われる。
【0044】
記録用紙Pの移動方向で二次転写ロール86よりも下流側には、トナー画像の二次転写が終了した記録用紙Pを定着装置110へ搬送する搬送手段の一例としての搬送部80が設けられている。ここで、
図3に示すように、搬送部80と、後述するガイド部材125と、定着装置110と、後述する遮熱部材123とにより、第1実施形態の一例としての定着部の構造100が構成されている。
【0045】
(要部構成)
次に、定着部の構造100及び定着装置110の一例について説明する。
【0046】
<搬送部>
図3及び
図4に示すように、搬送部80は、搬送部材の一例としての搬送ベルト81A、81Bと、搬送ベルト81A、81Bが巻き掛けられた支持ロール83A、83B及び駆動ロール85A、85Bと、搬送ベルト81A、81Bの内側で吸気する吸気部90と、を含んで構成されている。
【0047】
支持ロール83A、83Bは、Z方向を軸方向とする円筒状の部材であり、吸気部90よりも−X側でZ方向に間隔をあけて配置されている。また、支持ロール83A、83Bは、Z方向を軸方向とする共通の(1本の)回転軸87に取り付けられており、回転軸87がフレームの軸受部材(図示省略)で支持されることで、回転可能となっている。
【0048】
駆動ロール85A、85Bは、Z方向を軸方向とする円筒状の部材であり、吸気部90よりもX側でZ方向に間隔をあけて配置されている。また、駆動ロール85A、85Bは、Z方向を軸方向とする共通の(1本の)回転軸89に取り付けられており、回転軸89が、フレームの軸受部材(図示省略)で支持されると共にモータ(図示省略)で駆動されることで、回転するようになっている。
【0049】
支持ロール83Aと駆動ロール85Aは、記録用紙Pの搬送方向(以後、A方向という場合がある)で吸気部90を挟んで配置されており、支持ロール83Bと駆動ロール85Bは、A方向で吸気部90を間にして対向配置されている。なお、−X側がA方向における上流側であり、X側がA方向における下流側である。
【0050】
搬送ベルト81Aは、一例として、無端状に形成されたシリコンゴム製のベルト材で構成され、内側から外側まで貫通した複数の貫通孔91が形成されている。そして、搬送ベルト81Aは、支持ロール83A及び駆動ロール85Aに巻き掛けられている。搬送ベルト81A及び後述する搬送ベルト81Bは、記録用紙Pと接触して記録用紙Pを搬送する搬送部の一例としての直線部LAと、記録用紙Pと離間し、直線部LAよりも搬送方向の下流側へ記録用紙Pを受け渡す受け渡し部LBとを有する構成となっている。
【0051】
受け渡し部LBは、一例として、搬送ベルト81A及び後述する搬送ベルト81Bにおける駆動ロール85A、85Bに巻き掛けられた部位である。なお、搬送部は、記録用紙Pと接触する部位であるため、X−Y断面で見て直線状の直線部LAに限らず、駆動ロール85A、85Bに巻き掛けた部位の一部を含んでもよい。
【0052】
同様に、搬送ベルト81Bは、一例として、無端状に形成されたシリコンゴム製のベルト材で構成され、内側から外側まで貫通した複数の貫通孔91が形成されている。なお、搬送ベルト81A及び搬送ベルト81Bは、寸法形状が同じとなっている。そして、搬送ベルト81Bは、支持ロール83B及び駆動ロール85Bに巻き掛けられている。これにより、搬送ベルト81A、81Bは、回転軸89が回転駆動されることで、定着装置110へ記録用紙Pを搬送するように周回移動可能となっている。
【0053】
(吸気部)
図4に示すように、吸気部90は、搬送ベルト81A、81Bの内側にZ方向に沿って挿入されたダクト96と、ダクト96内から吸気する吸気ファン97とを有している。ダクト96は、角筒状に形成されると共にY側の面(天井面)に複数の貫通孔(図示省略)が形成されており、ダクト96の内部と外部が繋がっている。また、ダクト96の−Z側は閉じられており、Z側の一部が開放されている。そして、ダクト96の開放された部位に、吸気ファン97が配置されている。
【0054】
吸気ファン97がモータ(図示省略)により回転駆動されると、ダクト96内が負圧状態となり、ダクト96の貫通孔及び搬送ベルト81A、81Bの複数の貫通孔91を介して吸気され、記録用紙Pが搬送ベルト81A、81B上に引き付けられる。
【0055】
なお、
図1に示すように、画像形成装置10では、搬送ベルト81A、81BのX方向下側にレール状の案内部材(図示省略)が設けられており、この案内部材は図示の−Z側(手前側)に引き出し可能となっている。そして、定着装置110は、引き出された案内部材上に載せられ、図示のZ側(奥側)に押し込まれることにより、装置本体15に装着される。また、定着装置110を装置本体15から取り出すときは、案内部材及び定着装置110を図示の手前側に引き出してから定着装置110をY方向に移動させることで取り出せる。
【0056】
<定着装置>
図3に示すように、定着装置110は、定着部材の一例としての無端状の定着ベルト112と、定着ベルト112を加熱する加熱手段の一例としての加熱部114と、定着ベルト112に向けて記録用紙Pを加圧する加圧ロール116とを有している。また、定着装置110は、上カバー部材122と、下カバー部材124と、案内部材の一例としてのガイド部材125と、を有している。上カバー部材122には、遮熱手段及び断熱部材の一例としての遮熱部材123が取り付けられている。
【0057】
上カバー部材122及び下カバー部材124は、Y方向に間隔をあけて配置されており、上カバー部材122の−Y側の端部と下カバー部材124のY側の端部との間を、記録用紙PがX方向に通過可能となっている。また、上カバー部材122及び下カバー部材124は、定着ベルト112、加熱部114、及び加圧ロール116を覆っている。なお、
図3では、各部材を分かり易く示すため、図のハッチングは省略している。
【0058】
(定着ベルト)
定着ベルト112は、一例として、ポリアミドからなる基材の表面にフッ素樹脂を被覆した構成となっており、Z方向に開口する環状(無端状)を成している。そして、定着ベルト112は、パッド部材115、第1加熱ロール117、及び第2加熱ロール118に巻き掛けられて定められた姿勢とされ、該姿勢を維持したまま(該姿勢に沿った周回軌道上を)
図3に示す矢印R方向に周回移動する。
【0059】
具体的には、定着ベルト112は、パッド部材115、第1加熱ロール117、及び第2加熱ロール118に巻き掛けられ、ニップ部Nでの曲げ角度を鈍角とするように、X−Y断面が逆三角形状となっている。定着ベルト112は、第2加熱ロール118と搬送ベルト81A、81Bとの間で第2加熱ロール118と接触している。これにより、定着ベルト112の移動方向(R方向)における第2加熱ロール118に巻き掛けられた部位からニップ部Nまでの部位が、搬送ベルト81A、81BのX側の上方まで張り出している。すなわち、定着ベルト112は、少なくとも一部が、Y方向(鉛直方向)に見て、搬送ベルト81A、81Bと重なるように周回移動可能とされている。
【0060】
(パッド部材)
パッド部材115は、定着ベルト112がパッド部材115の−Y側の面(下面)に接触すると共に摺動するように、定着ベルト112の内側で定着装置110の本体(図示省略)に固定されている。そして、パッド部材115は、加圧ロール116からの押付(ニップ)荷重を受けることで、定着ベルト112と加圧ロール116との間にニップ部Nを形成する。
【0061】
(第1加熱ロール)
第1加熱ロール117は、定着ベルト112の周回方向(R方向)におけるパッド部材115よりも下流側に配置されている。具体的には、第1加熱ロール117は、パッド部材115よりもX側で且つY側において、Z方向を軸方向として回転可能に支持されている。また、第1加熱ロール117は、円筒状に形成され、内側に後述するハロゲンヒータ114Aが設けられている。なお、本実施形態では、一例として、第1加熱ロール117がモータ(図示省略)により回転駆動されるようになっている。
【0062】
(第2加熱ロール)
第2加熱ロール118は、定着ベルト112の周回方向(R方向)における第1加熱ロール117よりも下流側に配置されている。具体的には、第2加熱ロール118は、パッド部材115よりも−X側で且つY側において、Z方向を軸方向として回転可能に支持されている。また、第2加熱ロール118は、円筒状に形成され、内側に後述するハロゲンヒータ114Bが設けられている。なお、本実施形態では、一例として、第2加熱ロール118のY方向の高さ位置が、第1加熱ロール117のY方向の高さ位置よりも低く設定されている。第1加熱ロール117及び第2加熱ロール118は、加熱手段の一例である(一例に含める)。
【0063】
(加熱部)
加熱部114は、一例として、第1加熱ロール117の内側に挿入されたハロゲンヒータ114Aと、第2加熱ロール118の内側に挿入されたハロゲンヒータ114Bとを有している。ハロゲンヒータ114A、114Bは、電源(図示省略)から通電されることで発熱するようになっている。なお、パッド部材115内に加熱源を設けて加熱部としてもよい。
【0064】
(温度センサ)
定着ベルト112の内側で第2加熱ロール118に近接する位置には、第2加熱ロール118の外周面の温度を検出する温度センサ119が設けられている。温度センサ119で検出された温度は、制御部20(
図1参照)において、定着ベルト112の表面温度に換算される。そして、制御部20では、換算された定着ベルト112の温度が設定温度よりも低いか、あるいは、設定温度以上かが判断され、低い場合にハロゲンヒータ114A、114BをONとし、高い場合にハロゲンヒータ114A、114BをOFFとする。
【0065】
(加圧ロール)
加圧ロール116は、一例として、アルミニウム製の円柱状のロール本体(図示省略)の外周に、シリコンゴム製の弾性体層が被覆されて構成されている。この弾性体層の外周面には、フッ素系樹脂などより成る剥離層が形成されている。なお、加圧ロール116は、定着ベルト112が第1加熱ロール117の回転駆動で周回移動することで、従動回転するようになっている。そして、定着ベルト112と加圧ロール116は、ニップ部Nにおいて同方向に移動する。
【0066】
(上カバー部材)
上カバー部材122は、X−Y面で見て、記録用紙Pの進入側から排出側へ向けて順に、第1側壁122A、天井壁122B、及び第2側壁122Cを有しており、Z方向の両側には、1組の側壁(図示省略)が設けられている。
【0067】
第1側壁122Aは、記録用紙Pの進入側でY方向に沿って延びており、天井壁122Bは、第1側壁122AのY側の端部(上端部)からX側へ延びている。なお、天井壁122Bは、X方向中央で、−X側が−Y側に下がるように屈曲されている。そして、第2側壁122Cは、天井壁122BのX側の端部から−Y側へY方向に沿って延びている。
【0068】
(下カバー部材)
下カバー部材124は、X−Y面で見て、記録用紙Pの進入側から排出側へ向けて順に、第1側壁124A、底壁124B、及び第2側壁124Cを有しており、Z方向の両側には、1組の側壁(図示省略)が設けられている。第1側壁124Aは、記録用紙Pの進入側でY方向に沿って延びており、底壁124Bは、第1側壁124Aの−Y側の端部(下端部)からX側へ延びている。第2側壁124Cは、底壁124BのX側の端部でY方向に沿って直立している。
【0069】
(ガイド部材)
ニップ部Nの−X側(記録用紙Pのニップ部Nへの進入側)で、搬送ベルト81A、81BのX側の端部よりもX側(直線KよりもX側)には、搬送ベルト81A、81Bにより搬送される記録用紙Pをニップ部Nへ案内するガイド部材125が設けられている。
【0070】
ガイド部材125は、一例として、鉄系の矩形状の金属板(板材)で構成されている。また、ガイド部材125は、記録用紙Pの搬送方向に沿った方向を短手方向として、第2側壁124CのY側の端部(上端部)に取り付けられている。なお、ガイド部材125は、樹脂製の板材で構成してもよい。
【0071】
一方、ニップ部NのX側(記録用紙Pのニップ部Nからの排出側)には、定着ベルト112により搬送される記録用紙Pを定着装置110の外側(X側)へ案内するガイド部材126が設けられている。ガイド部材126は、一例として、矩形状の樹脂製の板材で構成され、記録用紙Pの搬送方向に沿った方向を短手方向として、第1側壁124AのY側の端部(上端部)に取り付けられている。
【0072】
これにより、定着装置110では、搬送部80で搬送される(トナー画像Tが未定着状態の)記録用紙Pが、ガイド部材125で案内されて搬送方向の下流側のニップ部Nに進入するようになっている。そして、トナー画像Tが定着された記録用紙Pが、ガイド部材126で案内されて定着装置110の外側へ排出されるようになっている。
【0073】
<遮熱部材>
遮熱部材123は、一例として、ガラス入りPET(ポリエチレンテレフタレート)が使用される。また、遮熱部材123は、第1側壁122Aの−Y側の端部(下端部)付近から定着ベルト112の移動方向に沿って、X側が−Y側に下がるように斜め下方へ傾斜配置され、ブラケット(図示省略)を介して上カバー部材122に取り付けられている。
【0074】
また、遮熱部材123の−Y側の端部(下端部)は、搬送ベルト81A、81Bとガイド部材125との間でY方向(鉛直方向)に引いた直線K(一点鎖線で示す)よりも−X側に位置している。すなわち、遮熱部材123は、記録用紙Pの搬送方向におけるガイド部材125よりも上流側に設けられており、ガイド部材125の上方までは延びていない。
【0075】
ここで、第1側壁122A及び遮熱部材123は、定着ベルト112の第2加熱ロール118に巻き掛けられた部位が、天井壁122B、第1側壁122A、及び遮熱部材123で囲まれるように配置されている。すなわち、第1側壁122A及び遮熱部材123は、定着ベルト112の搬送ベルト81A、81B側へ張り出した部位を覆うように配置されている。そして、第1側壁122A及び遮熱部材123は、Y方向に見て、搬送ベルト81A、81BのX側の部分(一例として、駆動ロール85A、85Bが配置されている範囲)と重なっている。
【0076】
(幅方向における各部材の配置)
図4に示すように、搬送ベルト81A、81B、及びガイド部材125をY方向(Y側から−Y側)に見て、記録用紙Pの搬送方向であるA方向と直交する幅方向が、Z方向に沿っているものとする。ここで、Z方向に沿って、Z側から−Z側へ向けて順番に、位置A、B、C、D、E、F、G、H、Iを設定する。
【0077】
ガイド部材125は、Z方向一端が位置Aに配置され、Z方向他端が位置Iに配置されている。記録用紙Pは、Z方向一端が位置Bに配置され、Z方向他端が位置Hに配置されている。搬送ベルト81Aは、Z方向一端が位置Cに配置されており、Z方向他端が位置Dに配置されている。搬送ベルト81Bは、Z方向一端が位置Fに配置されており、Z方向他端が位置Gに配置されている。なお、位置Eは、記録用紙PのZ方向の中心位置となっており、搬送ベルト81Aと搬送ベルト81Bとの間にある。また、本実施形態において、Z方向における記録用紙Pの幅とは、搬送される最大サイズの記録用紙Pの幅を意味している。
【0078】
このように、定着部の構造100では、ガイド部材125のZ方向の幅(区間A−I)が、記録用紙PのZ方向の最大幅(区間B−H)よりも広くなっている。そして、搬送ベルト81AのZ方向の幅(区間C−D)と搬送ベルト81BのZ方向の幅(区間F−G)との合計の幅は、記録用紙PのZ方向の最大幅(区間B−H)よりも狭くなっている。
【0079】
(比較例)
図3に示す第1実施形態の定着部の構造100において、遮熱部材123が無く、ガイド部材125の熱伝導率が本実施形態よりも低いものを比較例の定着部の構造とする。比較例の定着部の構造では、
図4に示す各部材の配置において、定着ベルト112からの輻射熱Q(
図5参照)が搬送ベルト81A、81Bまで到達し、搬送ベルト81A、81Bの温度が上昇する。
【0080】
ここで、搬送ベルト81A、81BのZ方向の幅が、記録用紙PのZ方向の最大幅よりも狭いため、比較例の記録用紙Pでは、搬送ベルト81A、81Bと接触していた部位の温度が接触していない部位の温度よりも高くなってしまう。このため、比較例において、ニップ部Nに進入する記録用紙PのZ方向の温度分布は、
図6(B)に示すように、区間C−D及び区間F−Gに相当する部位が、他の部位よりも高い状態となる。
【0081】
なお、
図6(B)において、温度T1−T0が、輻射熱Qにより加熱されたガイド部材125によって温度上昇した変化量に相当し、温度差ΔT2=T4−T1が、搬送ベルト81A、81Bとの接触により温度上昇した変化量に相当する。また、T0<T1<T4である。
【0082】
このように、比較例の定着部の構造では、記録用紙PのZ方向で最大、ΔT2の温度差が生じている。このため、比較例の定着部の構造では、ニップ部NでZ方向に同程度の温度で定着すると、記録用紙Pの区間C−D及び区間F−GでトナーTに与えられる熱量が、温度差ΔT2に相当する分過剰になり、定着後のトナー画像の光沢度がZ方向で異なってしまう。すなわち、画像ムラが生じることになる。
【0083】
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0084】
図5に示すように、第1実施形態の定着部の構造100では、定着ベルト112が加熱部114により加熱されると、加熱された定着ベルト112から輻射熱Qが放射される。そして、定着ベルト112が搬送ベルト81A、81Bの上方まで張り出しているため、第2加熱ロール118からニップ部Nまでの範囲では、定着ベルト112から、搬送ベルト81A、81B、及びガイド部材125へ向けて輻射熱Qが放射されることになる。なお、
図5では、吸気部90の図示を省略している。
【0085】
ここで、定着ベルト112から搬送ベルト81A、81Bへ向かう輻射熱Qは、定着ベルト112と搬送ベルト81A、81Bとの間で、遮熱部材123で遮熱される。これにより、搬送ベルト81A、81Bの温度上昇が抑制される。特に、遮熱部材123は、搬送ベルト81A、81Bの直線部LAと、定着ベルト112と第2加熱ロール118(ハロゲンヒータ114B)とが接触する部位との間で遮熱するので、搬送ベルト81A、81Bの温度上昇がさらに抑制される。
【0086】
一方、定着ベルト112からガイド部材125へ向かう輻射熱Qは、定着ベルト112とガイド部材125との間に遮熱する部材が無いので、そのままガイド部材125に放射される。これにより、ガイド部材125の温度が上昇する。
【0087】
これらの作用により、第1実施形態の定着部の構造100では、ニップ部Nに進入する記録用紙PのZ方向の温度分布について、
図6(A)に示すように、区間B−Hでの温度差が抑制される。なお、
図6(A)における温度T2−T0が、輻射熱Qにより加熱されたガイド部材125によって温度上昇した変化量に相当し、温度差ΔT1=T3−T2が、搬送ベルト81A、81Bとの接触により温度上昇した変化量に相当する。また、T0<T1<T2<T3<T4である。
【0088】
具体的には、
図5に示す第1実施形態の定着部の構造100では、ガイド部材125の熱伝導率が比較例よりも高いため、ガイド部材125による記録用紙Pの温度上昇分は、温度T1から温度T2へ上がる。また、ガイド部材125が記録用紙Pの最大幅以上の幅となっているので、記録用紙PがZ方向(幅方向)で均等に温められる。
【0089】
さらに、第1実施形態の定着部の構造100では、遮熱部材123の遮熱作用により、搬送ベルト81A、81Bの温度上昇が比較例に比べて抑制される。このため、記録用紙Pでは、搬送ベルト81A、81Bと接触した部位と接触しなかった部位との温度差ΔT1が、比較例の温度差ΔT2(
図6(B)参照)よりも小さくなる(ΔT1<ΔT2)。
【0090】
このように、第1実施形態の定着部の構造100では、記録用紙Pの幅方向において、搬送ベルト81A、81Bに起因する温度差が抑制される。また、第1実施形態の定着部の構造100では、記録用紙Pよりも幅が広いガイド部材125によって、記録用紙Pが幅方向で均等に加熱される。これにより、第1実施形態の定着部の構造100では、温度の絶対値に対する温度差の比率(温度差の影響)が、比較例と比べて小さくなるので、記録用紙Pの幅方向の温度差が抑制される。
【0091】
また、第1実施形態の画像形成装置10では、記録用紙Pの幅方向において、トナーTに与えられる熱量の差が小さくなるので、定着後のトナー画像Tの光沢度が幅方向で異なることが抑制される。これにより、トナーTに与える熱量の違いに起因する画質の低下(光沢ムラ)が抑制される。
【0092】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る定着部の構造及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0093】
図7には、第2実施形態に係る定着部の構造130が示されている。定着部の構造130は、第1実施形態の画像形成装置10(
図1参照)において、定着部の構造100(
図1参照)に換えて設けられている。また、定着部の構造130は、第1実施形態の定着部の構造100において、遮熱部材123に換えて遮熱部材132を設けた構成となっており、遮熱部材132を除く他の部材、部位は、定着部の構造100と同様である。
【0094】
遮熱部材132は、一例として、ガラス入りPET(ポリエチレンテレフタレート)が使用される。また、遮熱部材132は、傾斜部132Aと、延出部132Bとを有しており、これらが一体化されている。
【0095】
傾斜部132Aは、第1側壁122Aの−Y側の端部(下端部)付近から定着ベルト112の移動方向に沿って、X側が−Y側に下がるように斜め下方へ延びている。
【0096】
延出部132Bは、傾斜部132AのX側の端部から−Y側へ(下方へ)Y方向に沿って延びている。すなわち、延出部132Bは、搬送ベルト81A、81Bとガイド部材125との間で、記録用紙Pの搬送方向と交差する鉛直方向に延びている。また、延出部132Bは、一例として、既述の直線K(一点鎖線で示す)上に配置されている。このように、遮熱部材132は、記録用紙Pの搬送方向におけるガイド部材125よりも上流側に設けられており、ガイド部材125の上方までは延びていない。
【0097】
ここで、第1側壁122A及び遮熱部材132は、定着ベルト112の第2加熱ロール118に巻き掛けられた部位が、天井壁122B、第1側壁122A、及び遮熱部材132で囲まれるように配置されている。すなわち、第1側壁122A及び遮熱部材132は、定着ベルト112の搬送ベルト81A、81B側へ張り出した部位を覆うように配置されている。そして、第1側壁122A及び遮熱部材132は、Y方向に見て、搬送ベルト81A、81BのX側の部分と重なっている。
【0098】
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0099】
図7に示すように、第2実施形態の定着部の構造130では、定着ベルト112が加熱部114により加熱されると、加熱された定着ベルト112から搬送ベルト81A、81B、及びガイド部材125へ向けて輻射熱Qが放射されることになる。
【0100】
ここで、定着ベルト112から搬送ベルト81A、81Bへ向かう輻射熱Qは、定着ベルト112と搬送ベルト81A、81Bとの間で、遮熱部材132(傾斜部132A及び延出部132B)で遮熱される。これにより、搬送ベルト81A、81Bの温度上昇が抑制される。特に、遮熱部材132は、搬送ベルト81A、81Bの直線部LA(
図5参照)と、定着ベルト112と第2加熱ロール118(ハロゲンヒータ114B)とが接触する部位との間で遮熱するので、搬送ベルト81A、81Bの温度上昇がさらに抑制される。なお、
図7では、吸気部90の図示を省略している。
【0101】
一方、定着ベルト112からガイド部材125へ向かう輻射熱Qは、定着ベルト112とガイド部材125との間に遮熱する部材が無いので、そのままガイド部材125に放射される。さらに、定着部の構造130では、延出部132Bとガイド部材125とによって、X−Y面で見て、定着ベルト112の外側に三角形状の加熱室134が形成される。これにより、比較例に対して、ガイド部材125がさらに加熱されやすくなるため、ガイド部材125の温度が短時間で上昇する。そして、記録用紙PがZ方向(幅方向)で均等に温められる。
【0102】
これらの作用により、第2実施形態の定着部の構造130では、記録用紙Pの幅方向において、温度差が抑制される。また、第2実施形態の画像形成装置10では、記録用紙Pの幅方向において、トナーTに与えられる熱量の差が小さくなるので、定着後のトナー画像Tの光沢度が幅方向で異なることが抑制される。これにより、トナーTに与える熱量の違いに起因する画質の低下(光沢ムラ)が抑制される。
【0103】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る定着部の構造及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1、第2実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1、第2実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0104】
図8には、第3実施形態に係る定着部の構造140が示されている。定着部の構造140は、第2実施形態の定着部の構造130(
図7参照)に換えて設けられている。また、定着部の構造140は、第2実施形態の定着部の構造130において、ガイド部材125の下面に補助加熱手段の一例としての面状発熱体142が取り付けられた構成となっており、他の部材、部位は、定着部の構造130と同様である。
【0105】
面状発熱体142は、平面視でZ方向を長手方向とする矩形状に形成されている。そして、面状発熱体142は、ガイド部材125の−Y側(下面)に接着剤で固定されている。また、面状発熱体142は、電源144に電気的に接続されており、電源144からの通電によって発熱し、ガイド部材125を下面側から加熱するようになっている。
【0106】
(作用)
次に、第3実施形態の作用について説明する。
【0107】
図8に示すように、第3実施形態の定着部の構造140では、定着ベルト112が加熱部114により加熱されると、加熱された定着ベルト112から搬送ベルト81A、81B、及びガイド部材125へ向けて輻射熱Qが放射されることになる。なお、
図8では、吸気部90の図示を省略している。
【0108】
定着ベルト112からガイド部材125へ向かう輻射熱Qは、定着ベルト112とガイド部材125との間に遮熱する部材が無いので、そのままガイド部材125に放射される。また、定着部の構造140では、延出部132Bとガイド部材125とによって、X−Y面で見て、定着ベルト112の外側に三角形状の加熱室134が形成される。さらに、定着部の構造140では、面状発熱体142によってガイド部材125が加熱される。これらの作用により、定着部の構造140では、比較例に対して、ガイド部材125がさらに加熱されるため、ガイド部材125の温度がさらに短時間で上昇する。そして、記録用紙PがZ方向(幅方向)で均等に温められる。
【0109】
このように、第3実施形態の定着部の構造140では、記録用紙Pの幅方向において、各部の温度差が抑制されると共にトナーTに与えられる熱量の差が小さくなるので、定着後のトナー画像Tの光沢度が幅方向で異なることが抑制される。これにより、第3実施形態の画像形成装置10では、トナーTに与える熱量の違いに起因する画質の低下(光沢ムラ)が抑制される。
【0110】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0111】
遮熱手段及び断熱部材として、上カバー部材122自体が遮熱部材のものであってもよい。すなわち、遮熱部材123は、上カバー部材122と別体のものに限らず、上カバー部材122と一体成型されたものであってもよい。また、遮熱部材123の傾斜角度は、定着ベルト112の移動方向に沿っていても、沿っていなくても、どちらでもよい。
【0112】
搬送手段は、搬送ベルト81A、81Bを有する搬送部80に限らず、搬送ベルトが、1つのもの、あるいは、3つ以上のものであってもよい。また、搬送部80は、吸気部90により吸気を行うものに限らず、吸気部90が無くてもよい。
【0113】
加熱手段は、ハロゲンヒータ114A、114Bや、抵抗体に通電して発熱させるものに限らず、定着ベルト112に発熱層を設けてコイルに通電し、発生した磁界の作用で発熱層を発熱させる電磁誘導方式であってもよい。
【0114】
現像剤像形成手段は、現像方式が乾式の画像形成部60に限らず、液体現像剤を用いて現像を行う湿式のものであってもよい。