特許第5994710号(P5994710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5994710ポリカーボネート樹脂積層体、屋根、屋外看板および外壁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994710
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂積層体、屋根、屋外看板および外壁
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20160908BHJP
   E04C 2/20 20060101ALI20160908BHJP
   E04D 1/08 20060101ALI20160908BHJP
   E04F 13/18 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   B32B27/36 102
   E04C2/20 E
   E04D1/08 A
   E04F13/18 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-67715(P2013-67715)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-188910(P2014-188910A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 和房
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−307171(JP,A)
【文献】 特開2000−318107(JP,A)
【文献】 再公表特許第2009/102071(JP,A1)
【文献】 特開2012−179754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
E04C 2/20
E04D 1/08
E04F 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層部と表層部とが共押出成形法により積層一体化されてなる白色ポリカーボネート樹脂積層体であって、
前記表層部が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、紫外線吸収剤を3重量部以上10重量部以下含み
前記基層部の色調が、白色系であり、
前記基層部が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、白色顔料を0.01重量部以上1重量部以下含み、
CIE1976で規定されたL*a*b*表色系が、光源を標準の光D65、分光感度を10°視野、の透過法で測定した色差について、L*が60以上70以下、a*が−0.5以上0以下、b*が2以上3以下であることを特徴とする白色ポリカーボネート樹脂積層体。
【請求項2】
前記表層部が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、青染料0.002重量部以上0.005重量部以下含み、赤染料0.0002重量部以上0.001重量部以下含む請求項1に記載の白色ポリカーボネート樹脂積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂積層体、屋根、屋外看板および外壁に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、軽量性に優れ、幅広い分野で使用されている。中でも、透明微粒子を配合して光拡散性を付与した白色ポリカーボネート樹脂板は、色調と光拡散性に優れ、建材、看板用途等に使用されている。(例えば、特許文献1参照。)
ポリカーボネート樹脂は、耐候性に優れておらず、建材、看板等の屋外用途では、色調変化、耐衝撃性の低下を防ぐため、耐候処理が必須となる。
従来、ポリカーボネート樹脂の耐候処理には、耐候性に優れたアクリルフィルムをラミネートする方法が中心であったが、近年ではポリカーボネート樹脂に紫外線吸収剤を添加した耐候層を共押出成形法にて積層一体化する方法が中心となっている。特に建材用途では、アクリルフィルムラミネートの場合、経年劣化によるアクリルフィルムの剥離が発生しやすいことから、共押出法による耐候処置が望ましい。
しかしながら、基材層が白色の樹脂に対して共押出成形法で紫外線吸収剤を添加した耐候層を積層した場合、紫外線吸収剤が持つ黄色味が基材層の白色によって強調され、積層体が非常に黄色くなり、色調に優れていない状態となる。基材層の青味を強くして表層の黄色味を打ち消そうとした場合、積層体に黒みが生じ、色調に優れていない状態となる。
このため、白色ポリカーボネート樹脂板に関しては、耐候処理はアクリルフィルムラミネートにて行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−336866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、屋外用途の白色ポリカーボネート樹脂板について、基層の色調を維持したまま、耐候層を付与することが可能となるポリカーボネート樹脂積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記[1]〜[9]の本発明により達成される。
[1] 基層部と表層部とが共押出成形法により積層一体化されてなるポリカーボネート樹脂積層体であって、CIE1976で規定されたL*a*b*表色系が、光源を標準の光D65、分光感度を10°視野、の透過法で測定した色差について、L*が60以上70以下、a*が−0.5以上0以下、b*が2以上3以下となるポリカーボネート樹脂積層体。
[2] 前記表層部は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、紫外線吸収剤を3重量部以上10重量部以下含む[1]に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
[3] 前記紫外線吸収剤が、トリアジン化合物からなる[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
[4] 前記表層部の厚さが、10μm以上100μm以下である[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
[5] 前記表層部に、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、青染料0.002重量部以上0.005重量部以下と、赤染料0.0002重量部以上0.001重量部以下
を含む[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
[6] 前記基層部の色調が、白色系である[1]乃至[5]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
[7] 前記基層部が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、透明微粒子を0.1重量部以上10重量部以下含む[1]乃至[6]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
[8] 前記基層部が、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、白色顔料を0.01重量部以上1重量部以下含む[1]乃至[7]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体。
[9] 前記[1]乃至[8]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂積層体を用いて作製した屋根、屋外看板または外壁。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基層部と表層部とが共押出成形法により積層一体化されてなる複層樹脂積層体であって、前記基層部の色調を保持したまま、前記表層部に紫外線吸収剤を添加した耐候層を付与することが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係わるポリカーボネート樹脂積層体について詳細に説明する。
本発明は、基層部と表層部とが共押出成形法により積層一体化されてなるポリカーボネート樹脂積層体であって、CIE1976で規定されたL*a*b*表色系が、光源を標準の光D65、分光感度を10°視野、測定法を透過で測定したとき、L*が60以上70以下、a*が−0.5以上0以下、b*が2以上3以下となる樹脂積層体である。
このような樹脂積層体とすることで、基層部に耐候層を付与しても基層部の色調を保持することが可能となるポリカーボネート樹脂積層体である。
本発明におけるポリカーボネート樹脂積層体は、基層を耐候劣化より保護するための耐候層が表面層に存在するものである。
【0009】
本発明において、樹脂積層体の押出成形に適用される共押出成形法には、通常に熱可塑性樹脂製の多層性の製造に用いられる公知の共押出成形法が採用され、フラットなTダイが適用される。この場合のTダイの方式は、加熱溶融状態の樹脂組成物がTダイ流入前に積層されるフィードブロック方式、あるいは樹脂材料がTダイ内部で積層されるマルチマニホールド方式が好適に採用できる。
【0010】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、特に限定されるものではなく、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融法で反応させて得られるものである。上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するにあたっては、必要に応じて触媒、末端停止剤二価フェノールの酸化防止剤等を使用しても良い。またポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であっても良い。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量15、000〜40、000程度のものが用いられる。上記ポリカーボネート樹脂は、基層、耐候層のいずれにも使用される。
【0011】
前記L*a*b*表色系とは、CIE1976(CIE:国際照明委員会)にて規定さ
れており、L*は明るさ、a*は赤さ、b*は青さを表し、対象物の色目を背景、観察者、大きさ、光源などによらず一定に現すことができるものである。
測定は、分光測色計で行い、光源は、紫外域を含む昼光で照らされている物体の測定用光源のD65を使用し、分光感度は、観察者が50cmの位置で直径8.8cmの試料を観察する場合に匹敵する10°視野で行う。測定法には、試料から反射した光を測定する反射法と、透過した光を測定する透過法があるが、半透明材料であるため、透過法で行う。
【0012】
本発明の基層部に使用する透明微粒子は、ガラス微粒子に代表される無機微粒子、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂等からの有機微粒子が挙げられる。
前記有機微粒子としては、光拡散性などを考慮すると、とくに架橋した有機微粒子が好適に用いられる。また、ポリカーボネート樹脂の加工過程において変形せず、微粒子状態を維持している必要がある。即ち、ポリカーボネート樹脂の成形温度(350℃程度)まで加熱してもポリカーボネート樹脂中に溶融しない微粒子である。このような観点より、架橋した(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂の有機微粒子を用いることが好ましい。
例えば、部分架橋したメタクリル酸メチルをベースとしたポリマー微粒子、ポリ(ブチルアクリレート)のコア/ポリ(メチルメタクリレート)のシェルを有するポリマー、ゴム状ビニルポリマーのコアとシェルを含んだコア/シェルモノホルジーを有するポリマー、架橋シロキサン結合を有するシリコーン樹脂などが挙げられる。
【0013】
本発明の基層部に使用する白色顔料は、通常樹脂に添加される酸化チタンが挙げられる。粒径、構造(ルチル型、アナターゼ型)、表面処理等規定するものはなく、一般的に樹脂に使用されるものであれば使用できる。
【0014】
本発明で使用する紫外線吸収剤は、一般に公知のものが適用可能であるが、中でもトリアジン系化合物が好適である。また、その含有量は耐候層の配合において、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し2重量部以上12重量部以下とし、上述の用途製品の使用環境に応じて前記範囲内で設定するものとする。この場合、上記の範囲未満では耐候性を充分に発揮できず、また上記の範囲を超えると、着色が強くなり、黄色味が目立ちやすくなる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、3重量部以上10重量部以下である。
【0015】
本発明で使用する青染料は、一般に公知のものが適用可能であるが、中でも色目から、カラーインデックスがSolvent.Violet.13のものが好ましい。
また、成型時の熱にて昇華を抑えるため、昇華点が250℃以上であるものが好ましい。
また、その含有量は、表層部の配合中で、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.002重量部以上0.005重量部以下とし、前記範囲内で設定するものとする。この場合、上記の範囲未満では紫外線吸収剤の黄色味が目立ち、上記の範囲を超えると、青味が目立ちやすくなる。好ましくは、表層部の配合中で、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.002重量部以上0.004重量部以下とする。
例えば、1−ヒドロキシ−4−(p−トルイジアノ)アントラキノン(商品名:ダイアレジンブルーG、三菱化学社製)、アンスラキノン系染料(商品名Plast Blue
8514 有本化学工業社製)などが挙げられる。
【0016】
本発明で使用する赤染料は、一般的に公知のものが適用可能であるが、中でも色目から、カラーインデックスがSolvent.Red.52のものが好ましい。また、成型時の熱にて昇華を抑えるため、昇華点が250℃以上であるものが好ましい。また、その含有量は、表層部の配合中で、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.0002重量
部以上0.001重量部以下とし、前記範囲内で設定するものとする。この場合、上記の範囲未満では紫外線吸収剤の黄色味や青色着色剤の青味が目立ち、上記の範囲を超えると、赤味が目立ちやすくなる。好ましくは、表層部の配合中で、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.0004重量部以上0.0008重量部以下とする。
例えば、3−メチル−6−[(4−メチルフェニル)アミノ]3H−ジベンゾ[f.ij]イソキノリン−2,7−ジオン(商品名:ダイアレジンレッドH5B、三菱化学社製)
、アンスラキノン系染料(Plast Red 8360 有本化学工業社製)などが挙げられる。
【0017】
本発明において、ポリカーボネート樹脂積層体の押出成形に適用される共押出成形法には、通常に熱可塑性樹脂製の多層性の製造に用いられる公知の共押出成形法が採用され、フラットなTダイが適用される。この場合のTダイの方式は、加熱溶融状態の樹脂組成物がTダイ流入前に積層されるフィードブロック方式、あるいは樹脂材料がTダイ内部で積層されるマルチマニホールド方式が好適に採用できる。
【0018】
本発明において、ポリカーボネート樹脂積層体における表層部の厚さは、5μm以上120μm以下とする。この場合、上記の範囲以下では、耐候層の厚みが薄く基材層が紫外線劣化してしまい、上記の範囲以上では、表層部の色目が目立ち、積層体の色調に悪影響を及ぼす。好ましくは、樹脂積層体における表層部の厚さは、10μm以上100μm以下である。
【0019】
図1に本発明のポリカーボネート樹脂積層体の断面図の一例を示した。基層部1の両面に耐候層2が形成されているものである。
【0020】
本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、表面に特定の平均分子量範囲のポリカーボネート樹脂に、特定の紫外線吸収剤を集中的に含有させた表面層を形成したものであるから、黄色度(初期透過色調)も少なく、耐候性の劣化の伴う黄変度が少ない。ポリカーボネート樹脂本来の耐衝撃性を有していることから、建材等の用途で屋根や外壁に使用できる。また、白色板として、屋外看板用途に使用できる。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明する。
<実施例1>
まず、粘度平均分子量27、000のポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンE2000F−N、三菱エンジニアリングプラスチック社製)100重量部に対し、透明微粒子として、架橋アクリルビーズ(商品名:EXL−5136、ローム&ハース社製)を11.5重量部、白色顔料として、酸化チタン(R−42、堺化学社製)を1.4重量部、蛍光増白剤としてクマリン化合物、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−クロロ)−クマリン(商品名「HakkolPSR」、ハッコールケミカル株式会社製)を0.3重量部、滑剤としてグリセリンモノステアレート(S−100A、理研ビタミン社製)を1.3重量部秤量し、同方向二軸押出機にてペレット化した。このペレットをペレットAとした。
基層は、粘度平均分子量27、000のポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンE2000F−N、三菱エンジニアリングプラスチック社製)100重量部に対し、上記作製したペレットA、Bを5.2重量部ずつドライブレンドして使用した。
基層表面に形成する耐候層は、粘度平均分子量27、000のポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンE2000F−N、三菱エンジニアリングプラスチック社製)、2−(4、6ジフェニル−1.3.5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノール(商品名:チヌビン1577、BASF株式会社製)からなるトリアジン化合物の紫外線吸収剤、1−ヒドロキシ−4−(p−トルイジアノ)アントラキノン(商品名
:ダイアレジンブルーG、三菱化学社製)の青染料、3−メチル−6−[(4−メチルフ
ェニル)アミノ]3H−ジベンゾ[f.ij]イソキノリン−2,7−ジオン(商品名:ダイアレジンレッドH5B、三菱化学社製)の赤染料を表1の配合でドライブレンドして使用した。
ポリカーボネート樹脂積層体の総厚は4mm、基層部の表面に形成した耐候層の厚みは両面ともに50μmとなるようにして、共押出成型にてポリカーボネート樹脂積層体を作製した。
【0022】
[評価方法]
<落錘衝撃試験>
上記作製した樹脂積層体を用いて、落錘衝撃試験(錘5kgナス型、高さ2m)にて衝撃強さを評価した。
<耐候性試験、初期着色度>
上記作製したポリカーボネート樹脂積層体を用いて、JISK7103に準拠し、初期着色度(黄色度)、サンシャインウエザオメータによる耐候性促進テストにより、600時間曝露後の色変化(ΔE)測定し、耐候性を評価、JISK6735を満たす(ΔE<6)ものを合格とした。
初期着色度は、分光測色計で行い、光源は、紫外域を含む昼光で照らされている物体の測定用光源のD65を使用し、分光感度は、観察者が50cmの位置で直径8.8cmの試料を観察する場合に匹敵する10°視野で行い、透過法にて実施した。
結果は、L*=61.9、a*=−0.35,b*=2.46であった。
落錘衝撃試験(耐衝撃性)、耐候性は、問題なかった。
【0023】
<実施例2〜7>
実施例2〜7については、配合量を表1の記載に配合した以外は、実施例1と同様に樹脂積層体を作製し、実施例1と同様の評価を実施した。
評価結果は、L*、a*、b*は、L*が60以上70以下、a*が−0.5以上0以下、b*が2以上3以下であり、基材の色調を保持できており、特に問題はなかった。表1では、上記範囲内で、基材の色調を保持できているものを「○」で表示した。
落錘衝撃試験(耐衝撃性)、耐候性も良好であった。
【0024】
<比較例1〜4>
比較例1〜4は、配合量を表2の記載に配合した以外は、実施例1と同様にポリカーボネート樹脂積層体を作製し、実施例1と同様の評価を実施した。
評価結果は、L*、a*、b*のいずれかが範囲外で、初期着色度が、アクリルフィルム貼りと比較して異なるものであり、基材の色調を保持できていなかった。
<参考例>
参考例は、耐候層をアクリルフィルム貼りによって付与しているものを評価した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
上記の結果より、実施例1〜7の成形品は、基層の色調を保持したまま、耐候層を付与できていることがわかった。比較例1〜4の成形品は、基層の色調を保持することができていなかった。
なお、実施例1〜7の成形品は、優れた耐熱性、耐衝撃性等のポリカーボネート本来の優れた特性を兼備しているものでもあった。
【符号の説明】
【0028】
1 基層
2 表層
図1