(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周辺外部材は、前記頂部外部材に連結される部分となる対の位置に、帽子に設けられる装着用のテープを挟み込んで折り畳まれる方向への移動をガイドする挟み込み部をさらに備える
請求項1〜7のいずれか一項に記載の帽子用保護具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の保護帽子によれば、帽子の嵩を減らすことができるようになるものの、衝撃吸収部材の分割数が多いことによる強度の低下が避けられず、用途によっては必要とされる強度を確保することができないことが懸念される。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであって、その目的は、折り畳むことができるうえに、より高い強度を確保することのできる帽子用保護具、及び該帽子用保護具が取り付けられた帽子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する帽子用保護具は、帽子の内側に組み合わされることによって帽子に必要とされる衝撃吸収性能を確保する帽子用保護具であって、樹脂材料から形成され、帽子の頂部に対応する椀状の頂部外部材と、前記頂部外部材よりも軟質の樹脂材料から形成され、前記頂部外部材の椀状の内側に配置される頂部内部材と、前記頂部外部材と同等の硬度の樹脂材料から形成され、前記頂部外部材の辺の一部に沿う辺を有し、該頂部外部材の辺の一部に沿う辺が、対応する頂部外部材の辺の一部に当接するように配置される椀状の周辺外部材と、前記周辺外部材よりも軟質の樹脂材料から形成され、前記周辺外部材の椀状の内側に配置される周辺内部材と、前記頂部内部材の内面と前記周辺内部材の内面とに跨って配置される連結部材とを備え、前記連結部材の前記頂部内部材と前記周辺内部材との間の部分が前記頂部外部材と前記周辺外部材との折り畳み軸として前記周辺内部材が前記頂部内部材に対向するように折り畳まれることを要旨とする。
【0008】
頂部外部材と周辺外部材とは椀状であるため、それらを折り畳むとき、それらの連結部が大きく変形することから連結部を介しての折り畳みが容易ではない。そこで、この構成によるように、頂部外部材よりも軟質の樹脂材料からなる内部材に、同様に頂部外部材よりも軟質の樹脂材料からなる連結部材を配置することによって、頂部外部材と周辺外部材との連結部に柔軟性を付与する。柔軟性のある内部材及び連結部材によって構成される連結部は、その変形に伴って連結部材や内部材を変形させることなどができるため、頂部外部材と周辺外部材とを折り畳むことができるようになる。つまり、連結部材や内部材に、それらの機能を損なわない範囲での変形を許容し、また、内部材と連結部材との部分的な分離(剥離)も許容することなどで、内部材及び連結部材により高い柔軟性が付与される。これにより、目的に応じた強度を確保しつつ、折り畳むことのできる帽子用保護具を提供することができる。
【0009】
また、頂部外部材と周辺外部材とを椀状のままでも連結できる構造であるため、頂部外部材や周辺外部材を大きい部材として形成きる。部材の大きさを大きくすることによって、外部材や内部材の衝撃吸収性能を高く維持することができる。
【0010】
好ましい構成として、前記周辺外部材は、前記頂部外部材の辺の一部に沿う辺が、対応する頂部外部材の辺の一部に重なるように当接される。
このような構成によれば、頂部外部材と周辺外部材との当接部分を重ねることで帽子の外側に対する外部材の間の隙間をより小さくすることができるため、衝撃吸収性能がより向上する。
【0011】
好ましい構成として、前記頂部外部材は椀状の頂部側から見て4辺を有する形状であり、前記周辺外部材は、前記頂部外部材の辺の一部に沿う辺を前記頂部外部材の4辺のうちの1辺に沿う辺としている。
【0012】
このような構成によれば、頂部外部材が4辺を有する形状、例えば四角形状であることにより、その4辺の曲率が大きくなり直線的になるため、頂部外部材の4辺のうちの1辺に沿う辺を有する周辺外部材を、その沿う辺に沿って折り畳んだときの折り畳まれる部分の形状の変形が小さくなる。これにより、連結部の変形や剥離などをより少なくすることができる。
【0013】
好ましい構成として、前記頂部外部材は、前記4辺のうち帽子の前後方向に対応する2辺に前記周辺外部材をそれぞれ備えている。
このような構成によれば、頂部外部材の前後に周辺外部材を設けることで、帽子の前後方向への保護範囲を拡張することができるようになる。
【0014】
好ましい構成として、前記頂部外部材は、前記4辺のうち帽子の左右方向に対応する2辺に前記周辺外部材をそれぞれ備えている。
このような構成によれば、頂部外部材の左右に周辺外部材を設けることで、帽子の左右方向への保護範囲を拡張することができるようになる。特に、前後左右へ保護範囲を拡張することでこうした帽子用保護具を利用することのできる用途の拡大も図られる。
【0015】
好ましい構成として、前記周辺外部材は、折り畳まれるとき、それらの周辺内部材が前記頂部内部材に対向するように重ね合わされる。
このような構成によれば、複数の周辺外部材が重ね合わされるようにして折り畳まれることで折り畳まれた帽子用保護具をより小さくなるようにすることができる。
【0016】
好ましい構成として、前記連結部材は、前記周辺内部材と同じ材料から形成されている。
このような構成によれば、周辺内部材と連結部材とを同じ材料とすることで、作成が容易になる。また、連結部材により連結される周辺内部材と連結部材とを一体に形成すれば、帽子用保護具の作成も容易になる。
【0017】
好ましい構成として、前記連結部材は繊維材料から形成されて、前記周辺内部材に固定されている。
このような構成によれば、連結部材を繊維材料とすることで、折り畳み軸としての強度に適した材料を選択することが容易になる。また、連結部材により連結される内部材を別々に作成することができるため作成にかかる自由度も高い。
【0018】
好ましい構成として、前記周辺外部材は、前記頂部外部材に連結される部分となる対の位置に、帽子に設けられる装着用のテープを挟み込んで折り畳まれる方向への移動をガイドする挟み込み部をさらに備える。
【0019】
このような構成によれば、帽子用保護具は、組み合わされる帽子とともに折り畳まれると、周辺外部材が帽子に対して頭部入口方向に移動して帽子との対向位置が移動する。逆に言えば、帽子は、帽子用保護具とともに折り畳まれると、周辺外部材に対して頂部方向に移動して周辺外部材との対向位置が移動する。そこで、帽子に設けられる装着用のテープを挟み込んで移動をガイドする挟み込み部を周辺外部材に設けることで、帽子に組み合わされたときであれ、帽子に組み合わされた帽子用保護具の折り畳みと組み立てとが良好に行われるようになる。
【0020】
好ましい構成として、前記頂部外部材は、帽子の左右端に対応する位置に、あご紐を取り付け可能なあご紐取付部をさらに備える。
このような構成によれば、帽子用保護具を、頭部に固定することを通じて、こうした帽子用保護具を備える帽子にあっても頭部に固定されるようになる。これにより、帽子用保護具の利便性とともに、組み合わされた帽子の利便性も高められる。
【0021】
上記課題を解決する帽子は、上記の帽子用保護具が内側に組み合わされたことを要旨とする。
このような構成によれば、帽子に帽子用保護具を組み合わせることで、必要な衝撃吸収性能を備える帽子を得ることができる。これにより、必要な衝撃吸収性能を備える帽子を、保管や運搬が容易な小さい形状とすることができる。
【0022】
好ましい構成として、上記の帽子において、当該帽子はひさしを有し、前記ひさしは、前記帽子用保護具の頂部外部材の幅と同じ幅に折り畳み可能に形成されている。
このような構成によれば、ひさしを頂部外部材の幅に折り畳むことができるようにすることによって、折り畳まれた帽子を帽子用保護具の大きさに近い大きさまで小さくすることができる。これにより、帽子用保護具を組み合わされた帽子をより小さく折り畳むことができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
このような帽子用保護具、及び、該帽子用保護具が取り付けられた帽子によれば、折り畳むことができるうえに、より高い強度を確保することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
帽子用保護具10が具体化された一実施形態について、
図1〜
図18に従って説明する。なお、この帽子用保護具10は、組み立てられた状態で帽子の内側に組み合わされることで、主に人の頭部に着用される帽子に頭部保護用の性能、いわゆる衝撃吸収性能を付与することができる。こうした頭部保護用の帽子は、作業現場用、スポーツ用、幼児用、緊急時の避難用などの帽子として利用することができる。一方、この帽子用保護具10は、使用しないときには折り畳んでおくことができる。
【0026】
まず、組み立てられた状態にある帽子用保護具10について説明する。
図1〜
図6に示すように、帽子用保護具10は、帽子において頭頂部である頂部に配置される頂部部材11を備える。頂部部材11は、帽子の着用者の顔側である前側に前部部材12が連結され、帽子の着用者の後頭部側である後側に後部部材13が連結されている。また、頂部部材11は、帽子の着用者の左側頭部側である左側に左部部材14が連結され、帽子の着用者の右側頭部側である右側に右部部材15が連結されている。
【0027】
頂部部材11は、頭部とは反対側である外側に頂部を有する椀状に形成される頂部外部材100を備える。頂部外部材100は、硬質の樹脂材料からなる緩衝材であって、外面側から見ると角に丸みを有する略四角形状に形成されている。硬質の樹脂材料としては、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、及びポリエチレン(PE)などの樹脂等が挙げられる。そして、頂部外部材100は、樹脂材料に応じて、その部材に必要とされる衝撃吸収性能を確保することのできる厚さに形成される。頂部外部材100は、略四角形状の各辺として、前部側の前辺11aと、後部側の後辺11bと、左部側の左辺11cと、右部側の右辺11dとを備えている。なお、各辺を略四角形状の辺とすることで曲率をより大きくして、この形状をより直線的にすることができる。前辺11a、後辺11b、左辺11c及び右辺11dはそれぞれ、頂部外部材100の内側に、頂部外部材100の厚みを辺の基端から辺の先端に向けて徐々に薄くしていく傾斜部102,103,104,105(
図4参照)を備え、いわゆる基端から先端に方向への先細り形状になっている。
【0028】
頂部外部材100は、左辺11c及び右辺11dにそれぞれあご紐取付部110,115を備えている。あご紐取付部110,115は、対応する左辺11c及び右辺11dの長さ方向の中間位置に、それら左辺11c及び右辺11dの延びる方向への長穴として設けられている。あご紐取付部110,115は、対応する左辺11c及び右辺11dとの間に、あご紐取付部110,115の長穴を対応する左辺11c及び右辺11dに連通させる切り込み部111,116を備えている。これにより、あご紐取付部110,115は、切り込み部111,116を通じて、あご紐(
図16のあご紐64)を取り付けることができるようになっている。
【0029】
前部部材12は、帽子において前頭部に対応する位置に配置される。前部部材12は、頭部の反対側である外側に頂部を有する椀状に形成された前側の周辺外部材200を備える。
【0030】
前側の周辺外部材200は、頂部外部材100と同様の硬質の樹脂材料からなる緩衝材であって、外側から見ると角に丸みを有する略四角形状に形成されている。前側の周辺外部材200は、頂部外部材100の前辺11aに対応する当接辺12aを備え、その当接辺12aを頂部外部材100の前辺11aに当接させるように組み立てられる。当接辺12aは、前側の周辺外部材200の外側に、前側の周辺外部材200の厚みを辺の基端から辺の先端に向けて徐々に薄くしていく傾斜部201(
図5参照)を備え、いわゆる基端から先端に方向への先細り形状になっている。なお、傾斜部201の傾斜角度は、対応する頂部外部材100の傾斜部102に対応する角度になっている。これにより、頂部部材11に前部部材12が当接するとき、前側の周辺外部材200の傾斜部201が、頂部外部材100の傾斜部102に当接する。つまり外側から見たとき、頂部部材11と前部部材12との接続部は、頂部外部材100と前側の周辺外部材200とが重なり合って当接し、隙間を生じないようになっている。また、頂部外部材100と前側の周辺外部材200との当接によって、帽子用保護具10が組み立てられたとき、頂部外部材100と前側の周辺外部材200との位置関係が組み立てに適切な状態に維持される。
【0031】
後部部材13は、帽子において後頭部に対応する位置に配置される。後部部材13は、前側の周辺外部材200と同様の材料により同様の椀状に形成された後側の周辺外部材300を備える。
【0032】
後側の周辺外部材300は、その当接辺13aを頂部外部材100の後辺11bに当接させるように組み立てられる。当接辺13aは、後側の周辺外部材300の外側に、傾斜する傾斜部301を備え、後側の周辺外部材300の厚みが辺の基端から辺の先端に向けて徐々に薄くなる先細り形状になっている。なお、傾斜部301の傾斜角度は、対応する頂部外部材100の傾斜部103に対応する角度になっている。これにより、頂部部材11に後部部材13が当接するとき、後側の周辺外部材300の傾斜部301と頂部外部材100の傾斜部103とが重なり合って当接し、頂部部材11と後部部材13との接続部にも隙間が生じない。また、頂部外部材100と後側の周辺外部材300との当接によって、帽子用保護具10が組み立てられたとき、頂部外部材100と後側の周辺外部材300との位置関係が組み立てに適切な状態に維持される。
【0033】
左部部材14は、帽子において左側頭部に対応する位置に配置される。左部部材14は、帽子に対向する側である外側に頂部を有する椀状に形成された左側の周辺外部材400を備える。
【0034】
左側の周辺外部材400は、前側の周辺外部材200と同様の硬質の樹脂材料からなる緩衝材であって、外面側から見ると左辺11cに当接する部分を欠かれた略楕円状に形成されている。左側の周辺外部材400は、頂部部材11の左辺11cに対応する当接辺14aを備え、その当接辺14aを頂部部材11の左辺11cに当接させるように組み立てられる。当接辺14aは、左側の周辺外部材400の外側に、傾斜する傾斜部401を備え、左側の周辺外部材400の厚みが辺の基端から辺の先端に向けて徐々に薄くなる先細り形状になっている。なお、傾斜部401の傾斜角度は、対応する頂部外部材100の傾斜部104に対応する角度になっている。これにより、頂部部材11に左部部材14が当接するとき、左側の周辺外部材400の傾斜部401と頂部外部材100の傾斜部104とが重なり合って当接し、頂部部材11と左部部材14との接続部にも隙間が生じない。また、頂部外部材100と左側の周辺外部材400との当接によって、帽子用保護具10が組み立てられたとき、頂部外部材100と左側の周辺外部材400との位置関係が組み立てに適切な状態に維持される。
【0035】
右部部材15は、帽子において右側頭部に対応する位置に配置される。右部部材15は、左側の周辺外部材400と同様の材料により同様の椀状に形成された右側の周辺外部材500を備える。
【0036】
右側の周辺外部材500は、その当接辺15aを頂部部材11の右辺11dに当接させるように組み立てられる。当接辺15aは、右側の周辺外部材500の外側に、傾斜する傾斜部501を備え、右側の周辺外部材500の厚みが辺の基端から辺の先端に向けて徐々に薄くなる先細り形状になっている。なお、傾斜部501の傾斜角度は、対応する頂部外部材100の傾斜部105に対応する角度になっている。これにより、頂部部材11に右部部材15が当接するとき、右側の周辺外部材500の傾斜部501と頂部外部材100の傾斜部105とが重なり合って当接し、頂部部材11と右部部材15との接続部にも隙間が生じない。また、頂部外部材100と右側の周辺外部材500との当接によって、帽子用保護具10が組み立てられたとき、頂部外部材100と右側の周辺外部材500との位置関係が組み立てに適切な状態に維持される。
【0037】
なお、各周辺外部材200,300,400,500はそれぞれ、樹脂材料に応じて、その部材に必要とされる衝撃吸収性能を確保することのできる厚さに形成される。
また、各周辺外部材200,300,400,500はそれぞれ、頂部外部材100から離れる側の先端側の辺に、各当接辺12a,13a,14a,15aの方向に切り込まれる切り込み部206,306,406,506が備えられている。各切り込み部206,306,406,506は、それぞれ所定の長さの切り込みとして形成されていて、それら切り込みの先は、更に各当接辺に沿う方向である左右方向の長穴である挟み込み部205,305,405,505を備えている。挟み込み部205,305,405,505は、帽子用保護具10を帽子に取り付けるときに使われる長穴であって、これら挟み込み部分に帽子(
図13の帽子60)に取り付けられた装着用のテープ(
図13の装着用のテープ602など)を、切り込み部分を通して取り付けられるようになっている。よって、挟み込み部205,305,405,505の長さは、挟み込ませようとする装着用のテープの幅に対応する幅が好ましい。
【0038】
図4に示すように、頂部外部材100は、頭部に対向する側である内側に、その内側を略覆う4つの頂部内部材120,130,140,150を備えている。4つの頂部内部材120,130,140,150は、頂部外部材100の内側の面(内面)に接着されているとともに、配置される頂部外部材100と同様の椀状に形成されている。4つの頂部内部材120,130,140,150はそれぞれ、硬質の樹脂材料よりも軟質の樹脂材料からなる緩衝材であって、本実施形態では、2つの頂部内部材120,130は略三角形状に形成されているとともに、2つの頂部内部材140,150は略台形状に形成されている。軟質の樹脂材料としては、ポリプロピレンの発泡体(PPフォーム)、ポリエチレンの発泡体(PEフォーム)、エチレンビニルアセテートの発泡体(EVAフォーム)、その他合成樹脂の発泡体等が挙げられる。そして、これら頂部内部材120,130,140,150は、樹脂材料に応じて、その部材に必要とされる衝撃吸収性能を確保することのできる厚さに形成される。
【0039】
頂部外部材100において、頂部内部材120は前辺11aに対応する位置を含むように配置されているとともに、前辺11aの中央部に対応する位置に前辺11aに近い位置まで迫り出す側面121を備えている。また頂部外部材100において、頂部内部材130は後辺11bに対応する位置を含むように配置されているとともに、後辺11bの中央部に対応する位置に後辺11bに近い位置まで迫り出す側面131を備えている。また、頂部外部材100において、頂部内部材140は左辺11cに対応する位置を含むように配置されているとともに、左辺11cの中央部に対応する位置に左辺11cに近い位置まで迫り出す側面141を備えている。また、頂部外部材100において、頂部内部材150は右辺11dに対応する位置を含むように配置されているとともに、右辺11dの中央部に対応する位置に右辺11dに近い位置まで迫り出す側面151を備えている。
【0040】
本実施形態では、各側面121,131,141,151は、それぞれが対応する前辺11a,後辺11b,左辺11c,右辺11dの辺に沿って延びる方向の長さが、それら対応する辺の長さの半分程度の長さに形成されている。なお、各側面121,131,141,151の長さは、それぞれが対応する前辺11a,後辺11b,左辺11c,右辺11dの半分程度の長さに限られるものではなく、それより長くても、短くてもよい。
【0041】
前側の周辺外部材200は、その内側の面(内面)に、その内面を略覆う周辺内部材210を備えている。周辺内部材210は、頂部内部材120と同様の軟質の樹脂材料からなる緩衝材であって、前側の周辺外部材200の内面に接着されているとともに前側の周辺外部材200と同様の椀状に形成されている。周辺内部材210は、周辺外部材200の当接辺12aの中央部に対応する位置に側面211を備えている。側面211は、当接辺12aの辺に沿って延びる方向の長さが、当接辺12aの長さの半分程度の長さに形成されている。つまり、側面211は、当接辺12aが当接する頂部内部材120の前辺11aに対応する側面121と略同じ位置に、略同じ長さに形成されている。よって、側面211は、帽子用保護具10が組み立てられたとき、頂部外部材100の頂部内部材120の側面121に多少の隙間を有し対向される。
【0042】
同様に、後部部材13は、その内面に、その内面を略覆う周辺内部材310を備えている。周辺内部材310は、周辺内部材210と同様の部材から同様の形状に形成されている。周辺内部材310は、周辺外部材300の当接辺13aの中央部に対応する位置に、当接辺13aの略半分の長さの側面311を備えている。よって、帽子用保護具10が組み立てられたとき、この側面311が頂部外部材100の頂部内部材130の側面131に多少の隙間を有し対向される。
【0043】
また、左部部材14は、その内面に、その内面を略覆う周辺内部材410を備えている。周辺内部材410は、周辺内部材210と同様の部材から形成され、左側の周辺外部材400の内面に接着されているとともに、左側の周辺外部材400と同様の椀状に形成されている。周辺内部材410は、左側の周辺外部材400の当接辺14aの中央部に対応する位置に当接辺14aの略半分の長さの側面411を備えている。よって、帽子用保護具10が組み立てられたとき、この側面411が頂部外部材100の頂部内部材140の側面141に多少の隙間を有し対向される。
【0044】
同様に、右部部材15は、その内面に、その内面を略覆う周辺内部材510を備えている。周辺内部材510は、周辺内部材410と同様の部材から同様の形状に形成されている。周辺内部材510は、右側の周辺外部材500の当接辺15aの中央部に対応する位置に当接辺15aの略半分の長さの側面511を備えている。よって、帽子用保護具10が組み立てられたとき、この側面511が頂部外部材100の頂部内部材150の側面151に多少の隙間を有し対向される。
【0045】
なお、各周辺内部材210,310,410,510は、樹脂材料に応じて、その部材に必要とされる衝撃吸収性能を確保することのできる厚さに形成される。
頂部外部材100の頂部内部材120の内面と前部部材12の周辺内部材210の内面とには、連結部材220が設けられている。連結部材220は、軟質の樹脂材料、本実施形態では樹脂の繊維材料からなり、頂部内部材120と周辺内部材210との内面形状に合う形状に形成されているとともに、それら内面に接着されている。連結部材220は、頂部内部材120と周辺内部材210とを連結させることで、頂部部材11に前部部材12を連結させている。なお、連結部材220は、軟質の樹脂材料からなることから、頂部内部材120と周辺内部材210との間に折り曲げることが可能な連結部を備え、その連結部はいわゆるヒンジとして機能する折り畳み軸を備えている。つまり、この連結部材220は、帽子用保護具10が折り畳まれるときの軸となる、頂部部材11と前部部材12との間の折り畳み軸を備えている。
【0046】
頂部外部材100の頂部内部材130の内面と後部部材13の周辺内部材310の内面とには、連結部材320が配置されている。連結部材320は、連結部材220と同様の材料から、同様の形状に形成されているとともに、配置されている各内面に接着されている。連結部材320は、頂部内部材130と周辺内部材310とを連結させることで、頂部部材11に後部部材13を連結させている。なお、連結部材320は、頂部内部材130と周辺内部材310との間に折り曲げることが可能な連結部を備え、その連結部に頂部部材11と後部部材13との折り畳み軸を備えている。
【0047】
頂部外部材100の頂部内部材140の内面と左部部材14の周辺内部材410の内面とには、連結部材420が配置されている。連結部材420は、連結部材220と同様の材料からなり、頂部内部材140と周辺内部材410との内面形状に合う形状に形成されているとともに、それら内面に接着されている。連結部材420は、頂部内部材140と周辺内部材410とを連結させることで、頂部部材11に左部部材14を連結させている。なお、連結部材420は、頂部内部材140と周辺内部材410との間に折り曲げることが可能な連結部を備え、その連結部に頂部部材11と左部部材14との折り畳み軸を備える。
【0048】
頂部外部材100の頂部内部材150の内面と右部部材15の周辺内部材510の内面とには、連結部材520が配置されている。連結部材520は、連結部材420と同様の材料から、同様の形状に形成されているとともに、配置されている各内面に接着されている。連結部材520は、頂部内部材150と周辺内部材510とを連結させることで、頂部部材11に右部部材15を連結させている。なお、連結部材520は、頂部内部材150と周辺内部材510との間に折り曲げることが可能な連結部を備え、その連結部に頂部部材11と右部部材15との折り畳み軸を備える。
【0049】
続いて、折り畳まれた状態にある帽子用保護具10について説明する。
図7〜
図11に示すように、帽子用保護具10は、頂部部材11の内側に対向するように、右部部材15、左部部材14、前部部材12及び後部部材13が折り畳まれている。
【0050】
右部部材15は、帽子用保護具10が折り畳まれるとき、頂部部材11と右部部材15との折り畳み軸を回動軸として、組み立てられた状態から内側方向に回動される。これにより、右部部材15は、その周辺内部材510や連結部材520が、頂部部材11の内側の頂部内部材150や連結部材520などに対向する状態に折り畳まれる。
【0051】
左部部材14は、帽子用保護具10が折り畳まれるとき、頂部部材11と左部部材14との折り畳み軸を回動軸として、組み立てられた状態から内側方向に回動される。これにより、左部部材14は、その周辺内部材410や連結部材420が、先に折り畳まれた右部部材15の右側の周辺外部材500や、頂部部材11の内側の頂部内部材140や連結部材420などに対向する状態に折り畳まれる。
【0052】
前部部材12は、帽子用保護具10が折り畳まれるとき、頂部部材11と前部部材12との折り畳み軸を回動軸として、組み立てられた状態から内側方向に回動される。これにより、前部部材12は、その周辺内部材210や連結部材220が、先に折り畳まれた左部部材14の左側の周辺外部材400、右部部材15の右側の周辺外部材500、頂部部材11の内側の頂部内部材120や連結部材220などに対向する状態に折り畳まれる。
【0053】
同様に、後部部材13は、帽子用保護具10が折り畳まれるとき、頂部部材11と後部部材13との折り畳み軸を回動軸として、組み立てられた状態から内側方向に回動される。これにより、後部部材13は、その周辺内部材310や連結部材320が、先に折り畳まれた左部部材14の左側の周辺外部材400、右部部材15の右側の周辺外部材500、頂部部材11の内側の頂部内部材130や連結部材320などに対向するように折り畳まれる。
【0054】
なお、本実施形態では、頂部部材11の前後方向の長さが、前部部材12の前後方向の長さと後部部材13の前後方向の長さとを足した長さよりも長くなるように形成されていることから、折り畳まれたとき、前部部材12と後部部材13とが重ならないようになっている。これにより、折り畳まれた帽子用保護具10の厚みを薄く抑えることができる。
【0055】
図9及び
図12を参照して、頂部部材11と左部部材14との折り畳み軸の動作や作用について説明する。
折り畳まれた状態の帽子用保護具10を左部部材14側から見ると、椀状である頂部外部材100の左辺11cは上方向に頂部を有する弧状となっている一方、椀状である左側の周辺外部材400の当接辺14aは下方向に頂部を有する弧状となる。つまり、組み立てられた状態であれば、左辺11cと当接辺14aとの間隔は、それらが対向する位置ならどこでも略同様の間隔に維持されている。ところが、帽子用保護具10が折り畳まれると、左辺11cと当接辺14aとの間の間隔は、それら辺の長さ方向端部における間隔とそれら辺の中央部における間隔とが大きく相違するようになる。このため、頂部部材11と左部部材14とを折り畳み可能に連結する連結部は、折り畳まれたとき辺の長さ方向の間隔に生じる相違を吸収することのできる柔軟性を備える必要がある。例えば、連結部が硬質であって柔軟性を備えていないとすると、折り畳みにより頂部部材11と左部部材14との間の位置に応じて生じる間隔の違いを吸収することが困難になって、折り畳むことが困難になるおそれがある。
【0056】
そこで、本実施形態では、連結部は、その連結強度が維持されるとともに、連結する部分の長さ方向に生じる間隔の差が小さくなるようにしている。つまり、頂部内部材140の側面141と周辺内部材410の当接辺14aとの長さを左辺11cや当接辺14aの半分程度の長さにすることで連結部の長さを短くしている。これにより、連結部が連結させる弧状の辺の長さが短くなるため、2つの弧状の辺の頂部間の間隔と端部間の間隔との差を小さくさせることができるようになる。また、連結部は、連結部材420がある程度の伸縮や変形が可能な軟質の樹脂の繊維材料からなるため、連結部に生じる2つの弧状の辺の間隔の差を吸収することができる。また、連結部材420が配置される頂部外部材100の頂部内部材140と左部部材14の周辺内部材410とは、連結部材420から受ける力により変形することのできる軟質の樹脂材料からなるため、頂部内部材140と周辺内部材410との変形によっても連結部に生じる2つの弧状の辺の間隔の差を吸収することができる。また、連結部材420は、頂部内部材140と周辺内部材410とに接着されていることから、連結強度を維持できるのであれば、連結部の近傍での多少の剥離などが許容され、こうした剥離などによっても連結部に生じる2つの弧状の辺の間隔の差を吸収することができる。
【0057】
上述した折り畳み軸の動作や作用は、頂部部材11と右部部材15との間の折り畳み軸についてはもちろん、頂部部材11と前部部材12との間の折り畳み軸や、頂部部材11と後部部材13との間の折り畳み軸についても同様であることから、それらの説明については割愛する。
【0058】
なお、
図10などに示すように、頂部外部材100の傾斜部102は凸部106を備え、前側の周辺外部材200の傾斜部201は凹部202を備えている。凸部106及び凹部202は、頂部外部材100の傾斜部102と前側の周辺外部材200の傾斜部201とが当接するとき、つまり帽子用保護具10が組み立てられたとき、相互に嵌合する位置及び大きさに形成されている。よって、凸部106と凹部202とが嵌合されることにより、頂部外部材100と前側の周辺外部材200との当接位置が適切に位置決めされるようになっている。同様に、頂部外部材100の傾斜部103は凸部107を備え、後側の周辺外部材300の傾斜部301は凹部302を備え、頂部外部材100と後側の周辺外部材300との当接位置が位置決めされるようになっている。また同様に、頂部外部材100と左側の周辺外部材400とは、頂部外部材100の傾斜部104に備える凸部と、左側の周辺外部材400の傾斜部401に備える凹部402との嵌合により当接位置が位置決めされる。また同様に、頂部外部材100と右側の周辺外部材500とは、頂部外部材100の傾斜部105に備える凸部と、右側の周辺外部材500の傾斜部501に備える凹部との嵌合により当接位置が位置決めされる。凸部(凸部106,107など)や凹部(202,302)の形状は、位置決めをすることができるのであれば、上述の形状を相互に入れ替えた形状でも、嵌合するその他の形状でもあってもよい。
【0059】
次に、帽子用保護具10の組み合わされた帽子について、
図13〜
図18を参照して説明する。
図13に示すように、帽子60は、その内側に帽子用保護具10が組み合わされている。帽子60は、着用者の頭部に被さる帽体61と、帽体61の前部から帽体61に一体となって外側に張り出すひさし62とを備える。帽体61は、柔軟性を有する部材、例えば繊維材料などにより構成されており、所定の強度を有するとともに、展開や折り畳みを自在に行うことができるようになっている。ひさし62は、日除けをするとともに、雨や落下物等から着用者の顔面を保護するものであって、帽体61の頭部入口から外周方向へ突出する。ひさし62は、基端である帽体61の頭部入口から先端まで2本の折り目63が設けられている。2本の折り目63は、頂部外部材100の左右方向の幅と略同じ間隔で設けられ、2本の折り目63で折り畳まれたひさし62はその幅が頂部外部材100の左右方向の幅と略同じ幅になるようになっている。
【0060】
図14に示すように、帽体61は、帽子60の前部であって、頭部に対向する側である内側に、帽子60の頂部側から頭部入口側に前側の装着用のテープ620が延設されている。前側の装着用のテープ620は、繊維材料からなる細長いテープであって、所定の長さ及び所定の幅を有する。前側の装着用のテープ620は、展開された帽子60の内側に沿うように配置されているとともに、長さ方向の両端部がそれぞれ帽体61に取り付けられている。つまり、前側の装着用のテープ620は、両端部以外の部分を帽体61の内側に対して接離自由になっている。同様に、帽体61は、帽子60の後部には、後側の装着用のテープ630が取り付けられ、帽子60の左部には、左側の装着用のテープ640が取り付けられ、帽子60の右部には、右側の装着用のテープが取り付けられている。
【0061】
図15に示すように、帽子用保護具10は、前側の周辺外部材200の挟み込み部205に装着用のテープ620を挟み込むことができる。つまり、挟み込み部205は、装着用のテープ620を、装着用のテープ620の幅方向への移動を規制し、かつ、装着用のテープ620の長さ方向への移動を可能に挟み込む。これによって、挟み込み部205は、装着用のテープ620を挟み込むことで、帽体61において装着用のテープ620の長さ方向に摺動可能に取り付けられるようになる。
【0062】
なお、同様に、帽子用保護具10は、後側の周辺外部材300の挟み込み部305に後側の装着用のテープ630を挟み込むことができ、左側の周辺外部材400の挟み込み部405に左側の装着用のテープ640を挟み込むことができ、右側の周辺外部材500の挟み込み部505に右側の装着用のテープを挟み込むことができる。これによって、後側の挟み込み部305は、後側の装着用のテープ630の長さ方向に移動可能に取り付けられ、左側の挟み込み部405は、左側の装着用のテープ640の長さ方向に移動可能に取り付けられ、右側の挟み込み部505は、右側の装着用のテープの長さ方向に移動可能に取り付けられる。
【0063】
また、帽子用保護具10は、各挟み込み部205,305,405,505に装着用のテープ620,630,640を挟み込んでいるだけであることから、帽子60に対して着脱可能に組み合わされているようにもなっている。
【0064】
図16に示すように、帽子用保護具10は、あご紐取付部110,115に、あご紐64の端部に形成された取り付け用環状部がそれぞれ取り付けられる。そして、帽子60の内側に取り付けられた帽子用保護具10が、あご紐64を介して着用者の頭部に固定されることを通じて、帽子用保護具10の取り付けられている帽子60が着用者の頭部に固定されるようにもなる。これにより、帽子用保護具10の取り付けられている帽子60の利便性などが向上する。
【0065】
図17に示すように、帽子60は展開された状態から折り畳むことができる。折り畳まれた帽子60は、帽体61が頂部外部材100の周囲を覆う大きさの頂部部分と、その頂部部分へ折り返されるように頂部部分の周囲の部分が折り畳まれる。また、ひさし62は、折り目63で折り畳まれて頂部外部材100の左右方向の幅と略同じ幅になっているため、頂部部分に折り返された状態で、頂部部分の左右の幅からはみ出さないようになっている。また、本実施形態では、ひさし62の長さを、折り畳まれた状態で頂部部分の後側から突出しない長さにしている。これにより、折り畳まれた帽子60の大きさが頂部部分よりも広がらないようにしている。
【0066】
ところで、
図18に示すように、帽子用保護具10の組み合わされた帽子60が折り畳まれると、帽子60の内側の帽子用保護具10の各周辺外部材200,300,400,500と帽体61の内面とは、それらが対向する位置が組み立てられているときの位置から移動する。つまり、前側の周辺外部材200を折り畳むと、帽体61の前部は前側の周辺外部材200を、頂部方向に移動する。逆に言えば、前側の周辺外部材200は帽体61の前部を、帽体61の頭部入口方向に移動する。前側の周辺外部材200は、帽体61の前側の装着用のテープ620に、摺動可能に取り付けられているため、折り畳まれるとき、帽子60に取り付けられたままで、帽体61の前部との間に生じるずれに応じた距離を装着用のテープ620に沿って移動する。
【0067】
同様に、帽子60が折り畳まれることによって、後側の周辺外部材300は帽体61の後部を帽体61の頭部入口方向に移動し、左側の周辺外部材400は帽体61の左部を帽体61の頭部入口方向に移動し、右側の周辺外部材500は帽体61の右部を帽体61の頭部入口方向に移動する。
【0068】
これによって、帽子60は、帽子用保護具10が組み合わされた状態で、帽体61を突っ張らせることなく折り畳むことができる。なお逆に、折り畳まれた帽子60が展開されるときは、帽子用保護具10の各周辺外部材200,300,400,500は、各装着用のテープを頂部方向に移動する。これによって、帽子60は、帽子用保護具10が組み合わされた状態で折り畳まれた状態から展開することもできるようになる。
【0069】
ところで、例えば、こうした帽子に求められる性能の規格の一例に、BS(英国規格)やEN(欧州規格)である、BS EN 812:2012「Industrial bump caps」(工業用バンプキャップ)などが挙げられる。このBS EN 812:2012では、衝撃吸収性能の検査として、バンプキャップを人頭模型に正面上向きに被せ、重さ5kg、φ100mmの平面ストライカーを高さ250mmから、ヘルメットの前頭部に自由落下させることを行う。また、同検査を、バンプキャップを逆にし、後頭部でも行う。また、耐貫通性能の検査として、バンプキャップを人頭模型に被せ、重さ500g、先端角度60°の円錐形ストライカーを高さ500mmから、ヘルメットの頂部を中心とするφ100mmの円周内に自由落下させることを行う。さらに、あご紐固定部の強度の検査として、バンプキャップを人頭模型に被せ、あご紐をセットし150Nの張力をかけ、20N/minの速度で外れるまで引っ張ることを行う。
【0070】
そして、本実施形態の帽子用保護具10を組み合わされた帽子60は、上述した性能の規格に対する検査に合格することのできる衝撃吸収性能や、耐貫通性能や、あご紐固定部の強度を備えることができる。
【0071】
つまり、本実施形態の帽子用保護具や帽子によれば、折り畳むことができるうえに、より高い強度を確保することのできる帽子用保護具や帽子を提供することができる。
以上説明したように、本実施形態の帽子用保護具や帽子によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0072】
(1)頂部外部材100と周辺外部材200,300,400,500とは椀状であるため、それらを折り畳むとき、それらの連結部が大きく変形することから連結部を介しての折り畳みが容易ではない。そこで、この構成によるように、頂部外部材100よりも軟質の樹脂材料からなる頂部内部材120及び周辺内部材210に、同様に頂部外部材100よりも軟質の樹脂材料からなる連結部材220を配置することによって、頂部外部材100と周辺外部材200との連結部に柔軟性を付与する。柔軟性のある頂部内部材120及び周辺内部材210及び連結部材220によって構成される連結部は、その変形に伴って連結部材220や頂部内部材120及び周辺内部材210を変形させることなどができるため、頂部外部材100と周辺外部材200とを折り畳むことができるようになる。つまり、連結部材220や頂部内部材120及び周辺内部材210に、それらの機能を損なわない範囲での変形を許容し、また、頂部内部材120及び周辺内部材210と連結部材220との部分的な分離(剥離)も許容することなどで、頂部内部材120、周辺内部材210及び連結部材220により高い柔軟性が付与される。これにより、目的に応じた強度を確保しつつ、折り畳むことのできる帽子用保護具10を提供することができる。
【0073】
また、頂部外部材100と周辺外部材200とを椀状のままでも連結できる構造であるため、頂部外部材100や周辺外部材200を大きい部材として形成きる。部材の大きさを大きくすることによって、頂部外部材100、周辺外部材200、頂部内部材120及び周辺内部材210の衝撃吸収性能を高く維持することができる。
【0074】
(2)
頂部外部材100と周辺外部材200との当接部分を重ねることで帽子の外側に対する頂部外部材100と周辺外部材200との間の隙間をより小さくすることができるため、これによっても衝撃吸収性能が向上する。
【0075】
(3)頂部外部材100が4辺を有する形状、例えば四角形状であることにより、その4辺の曲率が大きくなり直線的になるため、頂部外部材100の4辺のうちの1辺に沿う辺を有する周辺外部材200を、その沿う辺に沿って折り畳んだときの折り畳まれる部分の形状の変形が小さくなる。これにより、連結部の変形や剥離などをより少なくすることができる。
【0076】
(4)頂部外部材100の前後に周辺外部材200,300を設けることで、帽子60の前後方向への保護範囲を拡張することができるようになる。
(5)頂部外部材100の左右に周辺外部材400,500を設けることで、帽子60の左右方向への保護範囲を拡張することができるようになる。特に、前後左右へ保護範囲を拡張することでこうした帽子用保護具10を利用することのできる用途の拡大も図られる。
【0077】
(6)複数の周辺外部材200,300,400,500が重ね合わされるようにして折り畳まれることで折り畳まれた帽子用保護具10をより小さくなるようにすることができる。
【0078】
(7)連結部材220,320,420,520を繊維材料とすることで、折り畳み軸としての強度に適した材料を選択することが容易になる。また、連結部材220,320,420,520により連結される周辺内部材や頂部外部材を別々に作成することができるため作成にかかる自由度も高い。
【0079】
(8)帽子用保護具10は、組み合わされる帽子60とともに折り畳まれると、周辺外部材200が帽子60に対して頭部入口方向に移動して帽子60との対向位置が移動する。逆に言えば、帽子60は、帽子用保護具10とともに折り畳まれると、周辺外部材200に対して頂部方向に移動して周辺外部材200との対向位置が移動する。そこで、帽子60に設けられる装着用のテープ620を挟み込んで移動をガイドする挟み込み部205を周辺外部材200に設けることで、帽子60に組み合わされたときであれ、帽子60に組み合わされた帽子用保護具10の折り畳みと組み立てとが良好に行われるようになる。
【0080】
(9)帽子用保護具10を、あご紐64を通じて頭部に固定することで、こうした帽子用保護具10を備える帽子60にあっても頭部に固定されるようになる。これにより、帽子用保護具10の利便性とともに、組み合わされた帽子60の利便性も高められる。
【0081】
(10)帽子60に帽子用保護具を組み合わせることで、必要な衝撃吸収性能を備える帽子60を得ることができる。これにより、必要な衝撃吸収性能を備える帽子60を、保管や運搬が容易な小さい形状とすることができる。
【0082】
(11)ひさし62を頂部外部材100の幅に折り畳むことができるようにすることによって、折り畳まれた帽子60を帽子用保護具10の大きさに近い大きさまで小さくすることができる。これにより、帽子用保護具10を組み合わされた帽子60をより小さく折り畳むことができるようになる。
【0083】
(その他の実施形態)
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、帽子60の装着用のテープ620,630,640を通じて帽子用保護具10を帽子60に取り付ける場合について例示した。しかしこれに限らず、折り畳みのときに帽体と帽子用保護具との間に生じるずれを吸収できるのであれば、帽子用保護具は帽子に、その他の取り付け方法で取り付けられていてもよい。
【0084】
例えば、
図19及び
図20に示すように、帽体61の頭部入口側の内側に帽子用保護具10を取り付けるためのポケット65を設けるとともに、前側の周辺外部材200や後側の周辺外部材300の先端にそれぞれ、帽子用保護具10のポケット65に差し込むための差し込み部230,330を設けてもよい。そして、ポケット65に差し込み部230,330を差し込むことで帽子用保護具10を帽子60に取り付けてもよい。また、帽子60が折り畳まれたとき、差し込み部230,330がポケット65の最深部まで入り込むようにすればよい。一方、帽子60が展開されたとき、折り畳まれるときのずれを吸収するため、ポケット65の奧と差し込み部230の先端との間には長さL20を確保するようにし、ポケット65の縁と前側の周辺内部材210の先端との間には長さL21を確保するようにすればよい。同様に、帽子60が展開されたとき、ポケット65の奧と差し込み部330の先端との間には長さL30を、ポケット65の縁と後側の周辺内部材310の先端との間には長さL31をそれぞれ確保するようにすればよい。
【0085】
なお、同様に、左側の周辺外部材400や右側の周辺外部材500の先端にそれぞれ、ポケット65に差し込むための差し込み部を設け、その差し込み部をポケット65に差し込むようにしてもよい。
【0086】
これにより、帽子用保護具の適用範囲の拡大を図ることができるようになる。また、帽子用保護具の組み合わされる帽子の構造を簡単にすることもできる。
・上記実施形態では、帽子用保護具10が帽子60に常に組み合わせている場合について例示した。しかしこれに限らず、帽子が展開されたとき帽子用保護具を組み合わせるようにしてもよい。
【0087】
例えば、
図21に示すように、帽体61の頭部入口側の内側に帽子用保護具10を嵌合させる嵌合部66を設けるとともに、前側の周辺外部材200や後側の周辺外部材300の先端にそれぞれ、帽子用保護具10の嵌合部66に差し込むための差し込み部240,340を設けてもよい。そして、帽子用保護具10を組み合わせることが必要になったとき、帽子用保護具10を組み立て、各差し込み部240,340を帽子用保護具10の嵌合部66に差し込めばよい。
【0088】
また例えば、帽子用保護具の頂部外部材や周辺外部材、及び、それらが対向する帽体の内側の両方もしくは一方にマジックテープ(登録商標)、両面テープなどの取付部材を設けることで、帽子が展開されたときその帽子の内側に帽子用保護具を取り付けることができるようにしてもよい。
【0089】
これらにより、通常は、帽子用保護具を折り畳んでおき、必要なときに組み立てて帽子に組み合わせるようにすることができる。換言すれば、帽子を、通常は一般的な帽子として利用し、必要なときには帽子用保護具を取り付けて利用することができる。
【0090】
これにより、帽子用保護具の適用範囲の拡大を図ることができるようになる。また、帽子用保護具の組み合わされる帽子の構造をより簡単にすることもできる。
・上記実施形態では、装着用のテープ620,630,640が繊維材料から形成される場合について例示した。しかしこれに限らず、帽子用保護具の挟み込み部に挟み込むことが可能であれば、樹脂のシート材など、繊維材料以外から構成されていてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0091】
・上記実施形態では、帽体61は、繊維材料などにより構成されている場合について例示した。しかしこれに限らず、帽体は、頭部に被ることができるのであれば、軟質の樹脂や、硬質の樹脂など、繊維材料以外の材料から形成されていてもよい。これにより、帽子用保護具の適用範囲の拡大が図られるようになる。
【0092】
・上記実施形態では、硬質の樹脂材料がPC、ABS、PP、又はPEなどである場合について例示した。しかしこれに限らず、頂部外部材や各周辺外部材に必要な衝撃吸収性能を確保することができるのであれば、その他の種類の合成樹脂から形成されていてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0093】
・上記実施形態では、頂部外部材100や各周辺外部材200,300,400,500が同様の材料から形成されている場合について例示した。しかしこれに限らず、頂部外部材や各周辺外部材の少なくとも一部が、他と異なる材料から形成されていてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0094】
・上記実施形態では、頂部外部材100にはあご紐取付部110,115などが設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、帽子を頭部に固定することができるなど、帽子用保護具にあご紐取付部を必要としないようなとき、頂部外部材にはあご紐取付部が形成されなくてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0095】
・上記実施形態では、各周辺外部材200,300,400,500には挟み込み部205,305,405,505などが設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、帽子用保護具が挟み込み部を必要としない方法で帽子の内側に取り付けられるようなとき、各周辺外部材には挟み込み部が形成されなくてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0096】
・上記実施形態では、軟質の樹脂材料がPPフォーム、PEフォーム、又はEVAフォームなどである場合について例示した。しかしこれに限らず、頂部内部材や各周辺内部材に必要な衝撃吸収性能を確保することができるのであれば、その他の種類の合成樹脂からなる発泡体や、軟質な部材などから形成されていてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0097】
・上記実施形態では、各頂部内部材120,130,140,150や各周辺内部材210,310,410,510が同様の材料から形成されている場合について例示した。しかしこれに限らず、各頂部内部材や各周辺内部材の少なくとも一部が、他と異なる材料から形成されていてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0098】
・上記実施形態では、各周辺内部材210,310,410,510の側面211,311,411,511はそれぞれ、対応する頂部内部材120,130,140,150の側面121,131,141,151に多少の隙間を有し対向される場合について例示した。しかしこれに限らず、組み立てられたとき、各周辺内部材の側面と対応する頂部内部材の側面とが当接するなど、隙間がなくてもよい。頂部内部材や周辺内部材は、柔軟な樹脂材料から構成されるため、当接する側面の間に多少の公差が生じていたとしても変形によって吸収して、組み立てに影響を及ぼすおそれは小さい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0099】
・上記実施形態では、各連結部材220,320,420,520には1つの連結部が設けられる場合について例示した。しかしこれに限らず、各連結部材には連結部が複数設けられてもよい。連結部を複数設けることで、湾曲している折り畳み部分に、折り畳みに適した折り畳み軸を設けることができるようにもなる。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0100】
・上記実施形態では、各連結部材220,320,420,520は、樹脂の繊維材料から形成されている場合について例示した。このとき、繊維材料は、織られたものであってもよいし、不織布であってもよい。また、各連結部材は繊維材料であれば、麻や木綿などの天然繊維など樹脂製以外の材料から形成されていてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0101】
・上記実施形態では、各連結部材220,320,420,520は、繊維材料から形成されている場合について例示した。しかしこれに限らず、連結部材は、連結部としての柔軟性と強度とを備えていれば、軟性の樹脂材料のシート材などから形成されていてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0102】
・上記実施形態では、各連結部材220,320,420,520は、各頂部内部材120,130,140,150や周辺内部材210,310,410,510とは別の部材である場合について例示した。しかしこれに限らず、各連結部材は、各頂部内部材及び周辺内部材の少なくとも一方と同じ部材であってもよい。例えば、連結部材が頂部内部材と一体成形されて周辺内部材に接着されていてもよいし、連結部材が周辺内部材と一体成形されて頂部内部材に接着されていてもよいし、連結部材、周辺内部材、及び頂部内部材とが一体成形されていてもよい。これにより、連結部材と周辺内部材とが同じ材料から形成されるようにしたり、帽子用保護具を構成する部品数を減らしたり、製造工数を減らしたりすることができるようになるとともに、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0103】
・上記実施形態では、頂部外部材100の傾斜部102,103,104,105、及び、各周辺外部材200,300,400,500の傾斜部201,301,401,501は先細り形状である場合について例示した。しかしこれに限らず、頂上外部材と周辺外部材とは重なり合うことができる形状であれば、頂上外部材の傾斜部(当接部)や周辺外部材の傾斜部(当接部)が先細り形状以外の形状であってもよい。
【0104】
例えば、
図22に示すように、頂部外部材100の当接部105Aの先端を内側が薄くなる段状に形成し、右側の周辺外部材500の当接部501Aの先端を外側が薄くなる段状に形成してもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られる。
【0105】
また、頂部外部材100の当接部105Aと右側の周辺外部材500の当接部501Aとを対応する形状とすることで頂部外部材100と右側の周辺外部材500との重ね合わせの部分に生じる隙間が小さくもなる。
【0106】
なお、頂部外部材100と前側、後側、及び左側の周辺外部材との当接についても、上述した頂部外部材100と右側の周辺外部材500との当接と同様に先細り形状以外の階段状などであってもよい。
【0107】
・上記実施形態では、頂部外部材100の傾斜部102,103,104,105はそれらに対応する各周辺外部材200,300,400,500の傾斜部201,301,401,501に重なり合うように当接する場合について例示した。しかしこれに限らず、頂部外部材の傾斜部(当接部)とそれらに対応する各周辺外部材の傾斜部(当接部)とは、当接するのであれば、重なりが少なかったり、重なりがなかったりしてもよい。
【0108】
例えば、
図23に示すように、頂部外部材100の先端に端面としての当接部105Bを形成し、その当接部105Bに対向する端面を右側の周辺外部材500の先端に当接部501Bとして形成してもよい。これによっても、頂部外部材100と右側の周辺外部材500との間の隙間を小さくすることができる。
【0109】
なお、頂部外部材100と前側、後側、及び左側の周辺外部材との当接についても、上述した頂部外部材100と右側の周辺外部材500との当接と同様に重なりがな意などの態様であってもよい。
【0110】
・上記実施形態では、頂部外部材100の傾斜部102,103,104,105とそれらに対応する各周辺外部材200,300,400,500の傾斜部201,301,401,501とは全てが同様に重なり合って当接する場合について例示した。しかしこれに限らず、頂部外部材と各周辺外部材とはそれぞれ当接するのであれば、それらの当接のうちの少なくとも1つの当接の態様が他の当接の態様と異なる態様であってもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られる。
【0111】
・上記実施形態では、折り畳まれたとき、前部部材12と後部部材13とが重ならない場合について例示した。しかしこれに限らず、前部部材と後部部材とが重なるような構造であってもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、折り畳まれたとき、左部部材14と右部部材15とが重なる場合について例示した。しかしこれに限らず、左部部材と右部部材とが重ならないような構造であってもよい。
【0113】
すなわち、折り畳まれたときの重なりの態様は、頂部部材、前部部材、後部部材、左部部材及び右部部材にそれぞれ必要とされる大きさに応じて適宜選択することができる。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0114】
・上記実施形態では、頂部部材11の前後左右に前部部材12、後部部材13、左部部材14、及び、右部部材15が接続されている場合について例示した。しかしこれに限らず、頂部部材には、前部部材、後部部材、左部部材、及び、右部部材のうちの少なくとも1つが連結されていればよい。例えば、頂部と前側に衝撃吸収性能が必要であれば、頂部外部材に前部部材が連結されていればよいし、頂部と前後に衝撃吸収性能が必要であれば、頂部外部材に前部部材と後部部材とが連結されていればよい。また、頂部と左右に衝撃吸収性能が必要であれば、頂部外部材に左部部材と右部部材とが連結されていればよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。
【0115】
・上記実施形態では、頂部部材11には前後左右に4つの部材が連結される場合について例示した。しかしこれに限らず、頂部部材には前後左右に4つ以上の部材が連結されてもよいし、前後左右以外の方向に部材が連結されてもよい。これにより、帽子用保護具の設計自由度の向上が図られるようになる。