特許第5994773号(P5994773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5994773送信器、受信器、送信方法、受信方法及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994773
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】送信器、受信器、送信方法、受信方法及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/572 20130101AFI20160908BHJP
   H04B 10/118 20130101ALI20160908BHJP
   H04B 10/61 20130101ALI20160908BHJP
【FI】
   H04B9/00 572
   H04B9/00 118
   H04B9/00 610
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-507164(P2013-507164)
(86)(22)【出願日】2012年3月23日
(86)【国際出願番号】JP2012002049
(87)【国際公開番号】WO2012132374
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年2月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-67698(P2011-67698)
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省「光空間通信技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】橋本 陽一
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−524351(JP,A)
【文献】 特開平01−149533(JP,A)
【文献】 特開平10−336111(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/019573(WO,A2)
【文献】 S. Camatel 他,「Optical phase-locked loop for coherent detection optical receiver」,Electronics Letters,2004年 3月18日,Vol. 40 No. 6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調して信号光として出力する光データ変調手段と、
前記信号光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて前記第1の周波数から第2の周波数へシフトさせて出力する光周波数シフト手段と、
前記光周波数シフト手段によって出力される前記信号光が復調された際に、復調された信号において、前記光周波数シフト手段で生じた高調波成分に対応する帯域が前記データ信号の帯域と重複しないように前記周波数オフセット量を制御する周波数オフセット制御手段と、
を備える送信器。
【請求項2】
前記周波数オフセット制御手段は、前記周波数オフセット量を前記データ信号の帯域全幅の4分の1以上となるように制御する、請求項1に記載された送信器。
【請求項3】
前記光周波数シフト手段によって周波数がシフトされた前記信号光が当該送信器から出力され、
当該送信器から出力される前記信号光が受信器に到達するまでの伝搬経路において前記信号光に印加される動的な周波数シフト量を出力する周波数シフト量算出手段をさらに備え、
前記光周波数シフト手段は、前記周波数オフセット量及び前記動的な周波数シフト量に基づいて前記信号光の周波数を前記第1の周波数から前記第2の周波数へシフトさせる、請求項1は2に記載された送信器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された送信器と、
前記送信器が送信した信号光を受信し、前記信号光を局発光を用いてコヒーレン卜受信する受信器と、を備えた通信システム。
【請求項5】
第2の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調した信号光を受信する受信手段と、
第3の周波数を持つ局発光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて前記第2の周波数へシフトさせて出力する光周波数シフト手段と、
記周波数オフセット量を制御する周波数オフセット制御手段と、
前記信号光と前記光周波数シフト手段から出力される前記局発光とを用いてコヒーレン卜受信を実行して、前記信号光を電気信号に変換するコヒーレン卜受信手段と、を備え
前記周波数オフセット制御手段は、前記電気信号において、前記光周波数シフト手段で生じる高調波成分に対応する帯域が前記データ信号の帯域と重複しないように、前記周波数オフセット量を制御する、受信器。
【請求項6】
前記周波数オフセット制御手段は、前記周波数オフセット量を前記データ信号の帯域全幅の4分の1以上となるように制御する、請求項5に記載された受信器。
【請求項7】
前記信号光の伝搬経路において前記信号光の第1の周波数から前記第2の周波数への周波数シフト量を算出する周波数シフト量算出手段をさらに備え、
前記光周波数シフト手段は、前記周波数オフセット量及び前記周波数シフト量に基づいて前記局発光の周波数を前記第2の周波数へシフトさせて出力する、請求項5は6に記載された受信器。
【請求項8】
第1の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調して信号光として出力する光データ変調手段を備える送信器と、前記第1の周波数から第2の周波数へ光搬送波の周波数がシフ卜した信号光を受信するように構成された請求項5乃至7のいずれかに記載された受信器と、を備えた通信システム。
【請求項9】
第1の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調して信号光として出力し、
前記信号光の周波数を所定の周波数オフセット量に基づいて前記第1の周波数から第2の周波数へシフトさせて出力し、
前記第2の周波数へシフトさせて出力される前記信号光が復調された際に、復調された信号において、前記第2の周波数へのシフトの際に生じた高調波成分に対応する帯域が前記データ信号の帯域と重複しないように前記周波数オフセット量を制御する、送信方法。
【請求項10】
データ信号で変調された、第2の周波数を持つ信号光を受信し、
第3の周波数を持つ局発光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて前記第2の周波数へシフトさせて出力し、
記信号光と前記第2の周波数へシフトさせた前記局発光とを用いてコヒーレン卜受信を実行して、前記信号光を電気信号に変換し、
前記周波数オフセット量は、前記電気信号において、前記局発光の周波数を前記第2の周波数へシフトさせる際に生じる高調波成分に対応する帯域が前記データ信号の帯域と重複しないように制御される、受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器、受信器、送信方法、受信方法及び通信システムに関し、特にコヒーレント光通信方式に用いられる光送信器、光受信器、光送信方法、光受信方法及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の陸上及び海底における光ファイバ網を用いた光通信技術として、コヒーレント光送受信方式とデジタル信号処理技術とを組み合わせたデジタルコヒーレント光通信方式が注目されている。
【0003】
加えて、人工衛星などの飛翔体(移動体)と地上基地局等とを接続する次世代光空間通信においても、高感度化と高ビットレート化との期待から、デジタルコヒーレント光通信方式の導入が検討され始めている。
【0004】
デジタルコヒーレント光通信方式で用いられる受信器は、受信された信号光(受信光)を局部発振器からの出力光(局発光)と混合することによって、受信光の強度と位相情報とを抽出可能なベースバンド電気信号を生成する。そして、受信器は、電気信号に変換された信号をアナログ/デジタル変換器(analog to digital converter、ADC)によってデジタル信号に変換する。さらに、受信器は、変換されたデジタル信号から受信光の強度および位相情報を抽出し、抽出した信号をデジタル信号処理することによって、受信した信号からデータを復調する。
【0005】
図9は、光ファイバを伝送媒体とするデジタルコヒーレント光通信方式において、送信される信号光、受信された信号光、及び受信された信号光をコヒーレント検波する際の局発光の周波数の関係を示す図である。図9において、送信される信号光及び受信された信号光の周波数はfs、局発光の周波数はfLOである。
【0006】
図9に示すデジタルコヒーレント光通信方式においては、受信された信号光の周波数と局発光の周波数とをおおむね一致させるイントラダイン方式が採用されている。イントラダイン方式では受信した光信号と局発光との間の周波数同期や位相同期を光信号の状態では行わない。受信信号と局発光との周波数ずれや位相ずれは、デジタル信号処理技術を用いて電気信号として補償される。
【0007】
受信器においては、受信光と局発光との周波数ずれの量は、例えば、数GHz以内であることが望ましい。受信器は、デジタル信号処理における位相同期処理により、受信光と局発光との周波数及び位相の同期を行う。このため、さらに具体的には、受信光と局発光との周波数ずれの量は受信器の位相同期処理の周波数同期範囲内であることが望ましい。現在、商用可能なレーザの発振周波数の誤差は、±2.0GHz程度である。実際の光通信システムにおいて送信側光源及び受信側局部発振光源の2つが使用されることを考慮すると、周波数ずれの量は±5.0GHz以上となる場合がある。受信器はこのような周波数ずれをデジタル信号処理により補償している。
【0008】
図10は、非特許文献1に記載された、受信光と局発光との周波数及び位相の同期を行う構成を示す図である。非特許文献1は、受信光と局発光との周波数差を数GHz以下とすることで、デジタル信号処理による位相補償を安定して実施する構成を開示している。
【0009】
図10に示す構成では、90度ハイブリッド1201には信号光及び光周波数シフタ部1206の出力が入力される。そして、90度ハイブリッド1201は直交するI(inphase)信号及びQ(quadrature)信号を出力する。サンプラー1202及び1203は、I信号及びQ信号をサンプリングし、キャリア位相抽出部1204に入力する。キャリア位相抽出部1204は、局部発振光源1208の出力光と信号光との周波数差を検知する。そして、キャリア位相抽出部1204は、検知した周波数差を示す信号によって、VCO(voltage−controlled oscillator、電圧制御発振器)1207を制御する。VCO1207は、キャリア位相抽出部1204が検知した周波数差に対応する周波数の信号を発生させる。さらに、光周波数シフタ部1206は、VCO1207が発生する信号によって、90度ハイブリッド1201に入力される局部発振光源1208の周波数をシフトさせる。
【0010】
一方、移動体−地上基地局間あるいは移動体間における光空間通信システムなどにおいては、チャンネルにおいて信号光のキャリア(搬送波)周波数の動的なシフト(周波数シフト)が生じる場合がある。このような通信システムにデジタルコヒーレント光送受信方式を導入すると、チャンネルで周波数シフトが発生した結果、デジタル信号処理で補償できる周波数差をこえた周波数オフセットが生じる恐れがある。
【0011】
特に、非常に大きな周波数シフト(例えば、QPSKの場合にはπ/2に近い位相シフト)が起きてしまうと、受信信号のシンボル間の位相差が、変調によるシンボル遷移であるのか、局発光との周波数差であるのかの区別が困難になる。その結果、デジタル信号処理回路においてこのような周波数シフトを含んだ状態での安定した復調が実現できなくなる場合がある。
【0012】
また、周波数オフセットが動的に変動する場合には、デジタル信号処理によって周波数補償及び位相補償を行う際に、周波数補償量の動的な変化量が大きくなる場合がある。このような場合にはデジタル信号処理回路において位相補償の誤差が生じやすく、復調する信号の判定に誤りが生じる恐れがあるという問題もある。
【0013】
また、周波数補償の際に高速のオーバーサンプリングを行うことで、周波数補償量の補償精度を向上させることが可能である。しかし、オーバーサンプリングを行うと単位時間当たりに処理する信号のデータ量が増えるため、信号処理回路の規模が増大するといった問題が生じる。
【0014】
図11を用いて、上記の問題点を具体的に説明する。図11は、光空間通信チャンネルにデジタルコヒーレント光送受方式を導入した場合において、送信される信号光、受信される信号光及び局発光の周波数を示す図である。
【0015】
図11を参照すると、光空間通信においては、人工衛星等の移動体から送信される信号光の周波数(fs)は、移動体と地上局との相対的な移動速度に依存して正または負の周波数シフト(+Δfまたは−Δf)を受ける。周波数シフトの発生する原因としては、例えばドップラーシフトがある。
【0016】
具体的には、移動体の送信開始時(A)においては、移動体は地上局に近づくように動く。このため、地上局は周波数がfs+Δfである信号光を移動体から受信する。そして、移動体が頂点(B)に近づくにつれて移動体の地上局との相対的な速度は小さくなるので、周波数シフトΔfはゼロに近づく。移動体が頂点(B)を通過する瞬間においては、地上局は、送信光と同じ周波数の信号を受信する。
【0017】
移動体は、頂点(B)を通過後には地上局から遠ざかるように動く。このため、地上局は、周波数がfs−Δfである信号を受信する。一般に、周波数fは光速cと波長λとを用いてf=c/λと表記できる。従って、地上局が受信する信号光の波長は、送信開始時刻直後から移動体が頂点(B)に到達するまでの間はλs(=c/fs)よりも短波長側にシフトしている。そして、移動体が頂点(B)を通過後、送信の終了までの間は、地上局が受信する信号光の波長は、λsよりも長波長側にシフトしていく。
【0018】
この周波数シフト量Δfは、低軌道(low earth orbit、LEO)衛星などの高速な移動体においては±10GHz以上に達する。そのため、地上基地局で受信された信号光の周波数と、局発光の周波数fLOの光周波数差が時間と共に増大する場合がある。
【0019】
ドップラーシフトが存在する場合、自走する局発光と光搬送波とのイントラダイン検波において想定される局発光の周波数の揺らぎによる局発光と光搬送波との光周波数差に加えて、さらに周波数シフトによってより大きい周波数差が生じる。また、周波数シフト量は移動体の位置とともに変化するため、時間とともに光搬送波の周波数は大きく変化する。これは、動的なキャリア周波数の推定が必要になることを意味する。
【0020】
本発明に関連して、特許文献1及び特許文献2は、移動体と地上局との間のドップラーシフト量に基づいて搬送波周波数を調整する無線伝送システムまたは無線通信システムを記載している。さらに、特許文献3は、コヒーレント光通信システムを空間光伝送装置に適用した構成を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006−345427号公報
【特許文献2】特開2009−201143号公報
【特許文献3】特開平6−112904号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Sakamoto et al、 "Digital Optical Costas Loop for Coherent Demodulation of 10−Gb/s BPSK"、The 15th OptoElectronics and Communications Conference(OECC2010)、2010年7月、9B3−2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
図10に示したような光周波数シフタ部1206を用いて周波数シフトをさせる場合、高次のサイドバンド(高調波)が発生する。例えば、光シングルサイドバンド変調器によって局発光の周波数をシフトさせる場合を考える。この場合、光周波数シフタ部1206における周波数のシフト量の絶対値Δfが小さい場合は、データ信号成分と高調波に重畳されるデータ変調成分が重なってしまう場合がある。その場合には、データ信号成分と高調波成分とが分離ができないという問題が生じる。
【0024】
図12は、光周波数シフタ部の構成の一例を示す図である。図12に示す光周波数シフタ部1101は、VCO1102及び2個のMZM(Mach−Zehnder Modulator、マッハツェンダ変調器)1103及び1104を備える。
【0025】
VCO1102は、外部から入力される信号により、周波数シフト量に相当する周波数Δfの信号を発生し、その信号を2個のMZM1103及び1104に印加する。これにより、MZMに入力された光信号の信号キャリア周波数をΔfだけシフトさせることができる。ここで、MZMで構成された光周波数シフタは当業者にはよく知られているので、詳細な説明は省略する。
【0026】
図13は、図12で説明した光周波数シフタ部1101により信号光の周波数をシフトした場合に発生するシフト後の信号光の周波数成分と、付加的に発生する3次の高調波の周波数成分との一般的な関係を示した図である。図13の(a)は、光周波数シフタ部1101へ入力される信号光のスペクトルであり、図13の(b)は光周波数シフタ部1101から出力される信号光のスペクトルである。
【0027】
図13の(b)に示すように、光周波数シフタ部1101におけるシフト量の絶対値Δfが比較的小さい場合は、データ信号成分と高調波に重畳されるデータ変調成分の帯域が重なる。その結果、データ信号成分と高調波とが分離できない。例えば、周波数シフト量が正の値から0へ変化し、さらに0から負の値へ変化するような場合、光周波数シフタ部1101から出力される信号光では、シフトさせた周波数の絶対値が小さいほど、信号光と高調波成分との間で強い干渉(ビート)が生じる。そして、干渉成分が信号光に重畳されてしまうことにより、信号光の信号対雑音比が悪化する。その結果、データの復調が正常に行われず、通信システムの通信品質が低下するといった問題が生じる。
【0028】
しかしながら、上述した非特許文献1や特許文献1〜3は、光周波数シフタ部から出力される光の高調波がデータ信号の帯域と重なることにより、通信システムの通信品質が低下する場合があるという課題を解決していない。
[発明の目的]
本発明の目的は、光周波数シフタ部から出力される光の高調波がデータ信号の帯域と重なることにより信号光の信号対雑音比が悪化する結果、通信システムの通信品質が低下するという課題を解決するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の送信器は、第1の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調して信号光として出力する光データ変調手段と、信号光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて第1の周波数から第2の周波数へシフトさせて出力する光周波数シフト手段と、光周波数シフト手段によって出力される前記信号光が復調された際に、復調された信号において、光周波数シフト手段で生じ高調波成分に対応する帯域がデータ信号の帯域と重複しないように周波数オフセット量を制御する周波数オフセット制御手段と、を備える。
【0030】
本発明の受信器は、第2の周波数を持つ信号光を受信する受信手段と、第3の周波数を持つ局発光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて第2の周波数へシフトさせて出力する光周波数シフト手段と、周波数オフセット量を制御する周波数オフセット制御手段と、信号光と光周波数シフト手段から出力される局発光とを用いてコヒーレン卜受信を実行して、前記信号光を電気信号に変換するコヒーレン卜受信手段と、を備える。周波数オフセット制御手段は、電気信号において、光周波数シフト手段で生じる高調波成分に対応する帯域がデータ信号の帯域と重複しないように、周波数オフセット量を制御する。
【0031】
本発明の送信方法は、第1の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調して信号光として出力し、信号光の周波数を所定の周波数オフセット量に基づいて第1の周波数から第2の周波数へシフトさせて出力し、第2の周波数へシフトさせて出力される信号光が復調された際に、復調された信号において、第2の周波数へのシフトの際に生じ高調波成分に対応する帯域がデータ信号の帯域と重複しないように周波数オフセット量を制御する。
【0032】
本発明の受信方法は、データ信号で変調された、第2の周波数を持つ信号光を受信し、第3の周波数を持つ局発光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて第2の周波数へシフトさせて出力し、信号光と第2の周波数へシフトさせた局発光とを用いてコヒーレン卜受信を実行して、信号光を電気信号に変換する。前記周波数オフセット量は、前記電気信号において、前記局発光の周波数を前記第2の周波数へシフトさせる際に生じる高調波成分に対応する帯域が前記データ信号の帯域と重複しないように制御される。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、通信システムにおける通信品質を向上させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0035】
図1】第1の実施形態の基本的な構成を説明するための図である。
図2】第1の実施形態において、光周波数シフタ部から出力される光の周波数を示す図である。
図3】第1の実施形態の光通信システムの構成を示す図である。
図4】第2の実施形態の光通信システムの構成を示す図である。
図5】第2の実施形態において、送信された光信号の周波数及び局発光の周波数の関係を示す図である。
図6】第3の実施形態の光通信システムの構成を示す図である。
図7】第4の実施形態のエミュレーションシステムの構成を示す図である。
図8】第5の実施形態として、人工衛星と地上局との間の通信のハンドオーバを説明するための図である。
図9】光ファイバを伝送媒体とするデジタルコヒーレント光通信方式において、送信される信号光、受信される信号光及び局発光の周波数を示す図である。
図10】本願発明と関連する、光信号と局発光との周波数及び位相の同期を行う方法を示す図である。
図11】光空間通信チャンネルにデジタルコヒーレント光送受方式を導入した場合において、送信される信号光、受信される信号光及び局発光の周波数を示す図である。
図12】光周波数シフタ部の構成例を示す図である。
図13】光周波数シフタ部により信号光をシフトした場合に発生するシフト後の信号光と、付加的に発生する高次の高調波成分の周波数の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも光空間通信における例示である。すなわち、以下の実施形態は、信号がチャンネルを伝送する際に光信号の周波数がシフトする場合に全般的に適用できる。また、以下の記載は、明示されない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。即ち、以下の実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することができる。
【0037】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態の構成を説明するための図である。光周波数シフタ部801は、入力された信号に対応する周波数シフトを入力された信号光に与えて出力する。光周波数シフタ部801は、例えば、シングルサイドバンド変調器によって構成される。また、光周波数シフタ部801として、図12で説明した光周波数シフタ部1101を用いてもよい。
【0038】
周波数シフト量算出部802は、信号キャリア周波数シフト量Δfと対応する信号を出力する。ここで、信号キャリア周波数シフト量Δfは、信号光が伝送路を伝搬中に受ける周波数シフト量の絶対値である。周波数オフセット制御部803は、周波数オフセット量foffsetと対応する信号を出力する。周波数印加部804は、これらの信号に基づいて、周波数foffset±Δfを示す信号を光周波数シフタ部801が備えるVCO805へ出力する。
【0039】
なお、「±Δf」は、場合に応じて実際シフトされる周波数が+Δfまたは−Δfのいずれかであることを示す。VCO805は、周波数印加部804から入力された、周波数foffset±Δfを示す信号に基づいて、周波数がfoffset±Δfである信号を発生する。
【0040】
例えば、周波数シフト量算出部802及び周波数オフセット制御部803は、それぞれ周波数に比例した直流電圧を出力するようにしてもよい。そして、周波数印加部804はそれらの直流電圧を加算してVCO805に出力し、VCO805は周波数印加部804から入力された直流電圧に比例する周波数の信号を発生するようにしてもよい。ここで、信号光の周波数がΔfだけ低くなる方向へのシフトが行われる場合には、周波数印加部804は、周波数シフト量Δfを示す直流電圧を減算する。
【0041】
光周波数シフタ部801は、VCO805が発生する周波数がfoffset±Δfである信号をMZM806及び807に印加することで、周波数オフセット量foffsetに信号キャリア周波数シフト量Δfを加減算した周波数だけ、入力される信号光の周波数をシフトさせる。
【0042】
たとえば、光周波数シフタ部801は、foffset±Δfが正の値である場合には、入力される信号光の周波数をより周波数が高い方向へシフトさせる。逆に、foffset±Δfが負の値である場合には、光周波数シフタ部801は、入力される信号光の周波数をより周波数が低い方向へシフトさせる。
【0043】
図2は、光周波数シフタ部801から出力される光の周波数を示す図である。図2は、光周波数シフタ部801により信号光をシフトした場合に発生するシフト後の信号光と、付加的に発生する高次(図2では3次)の高調波成分の周波数の関係を示す。
【0044】
図2を参照して、光周波数シフタ部801の作用を説明する。図2(a)は、信号光の周波数が高くなる方向に信号キャリア周波数シフト量Δfによるシフトを行う場合を示す。図2(b)は、信号光の周波数が低くなる方向に信号キャリア周波数シフト量Δfによるシフトを行う場合を示す。図2(a)および図2(b)に示すように、光周波数シフタ部801は、周波数がfsである光信号の周波数を、信号キャリア周波数シフトを補正するために推定された周波数量Δfと周波数オフセット量foffsetが加算されたシフト量foffset±Δfで周波数シフトさせる。ここで、Δfは、実際に信号光が受ける信号キャリア周波数シフトとは絶対値が等しく逆の符号を持つように設定される。そして、光周波数シフタ部801はfs+foffset+Δf又はfs+foffset−Δfの周波数の信号光を出力する。この際、光周波数シフタ部801では、3×(foffset±Δf)の周波数の3次高調波が同時に発生する。
【0045】
図2(a)および図2(b)に示す信号光が、それぞれ信号キャリア周波数の動的なシフト−Δfまたは+Δfが生じるチャンネルを伝搬すると、図2(c)に示すように、信号キャリア周波数シフト±Δfは相殺される。その結果、周波数が(fs+foffset)の信号光が受信器に到着する。
【0046】
一方、図2(d)に示すように、受信器は、局発光の周波数をfs+foffsetとなるように設定する。図2(e)に示すように、受信される信号光と3次高調波は、この局発光とイントラダイン検波によりfs+foffsetを基準としたベースバンド変調信号に変換される。このとき、図13で説明したように、周波数オフセット量foffset(図13ではΔfとして記載されている)が小さいと、データ信号成分と高調波に重畳されるデータ変調成分の帯域が重なってしまう場合がある。
【0047】
そこで、第1の実施形態においては、光周波数シフタ部801で生じる3次高調波成分(例えば図2(d)の場合、4×(foffset±Δf)で発生する周波数)が信号光から復調されたデータの帯域と重複しないように、周波数オフセット量foffsetを設定する。
【0048】
図2(d)を参照すると、受信した信号光から復調された、帯域の全幅がWであるデータは、ベースバンド周波数領域では0〜W/2の帯域を占める。一方、3次の高調波成分の中心周波数は、周波数軸上で4×foffsetの位置にあり、その帯域幅(全幅)はWである。従って、データ信号と3次高調波とが周波数領域で重ならないようにするためには、4×foffsetの帯域内で、復調されたデータの帯域(半幅)W/2と3次高調波の帯域(半幅)が重ならないようにfoffsetを設定すればよい。その条件は4×foffset>W/2+W/2からfoffset>W/4と求められる。すなわち、データ信号の帯域幅(全幅)をWとした場合、foffsetをW/4以上の周波数に設定すれば、光周波数シフタ部801で生じる3次高調波成分とデータ信号の周波数成分は重ならない。
【0049】
第1の実施形態においては、周波数オフセット量foffsetを受信器における信号帯域の全幅Wより大きく設定している。これにより、光周波数シフタ部801で生じる3次高調波成分で発生する周波数は、除去される。
【0050】
図3は、本発明の第1の実施形態の光通信システムの構成を示す図である。光通信システム10は、飛翔体である人工衛星と地上局との間を光空間通信で接続する。人工衛星は地上局に対して移動しており、人工衛星と地上局との間の相対的な距離は時間的に変化している。以下の説明では、送信器101は人工衛星に搭載されており、受信器115は地上局に設置されている場合について説明する。
【0051】
光通信システム10においては、デジタルコヒーレント光通信方式が適用されている。人工衛星に搭載された送信器101から送信される信号光データは、光空間通信によって信号キャリア周波数の動的なシフトが生じるチャンネル117を経由して地上局に設置された受信器115で受信される。
【0052】
図3において、送信器101は、光源部102、データ変調部103、光周波数シフタ部104、周波数印加部105、周波数オフセット制御部106、周波数シフト量算出部107、位置情報算出部108を備える。また、受信器115は、光増幅部116、コヒーレント受信部112、デジタル信号処理部113、局部発振光源114を備える。
【0053】
位置情報算出部108は、人工衛星と地上局の距離またはこれらの位置や、人工衛星の移動速度の情報を周波数シフト量算出部107に出力する。位置情報算出部108は、例えば移動速度を、単位時間当たりの位置の変化量に基づいて算出する。
【0054】
周波数シフト量算出部107は、送信器から出力される信号光が地上局へ到達するまでに受ける周波数シフト量Δfを算出する。周波数シフト量Δfは、たとえばドップラーシフトなどに起因する周波数シフトの量であり、人工衛星と地上局の距離の変化またはこれらの位置の変化や、人工衛星の移動速度の情報などから算出することができる。そして、周波数シフト量算出部107は、算出された周波数シフト量Δfに対して、伝搬する際に受ける周波数シフト量とは正負が逆の周波数に対応する信号を発生する。一般に、送信器から出射される信号光の波長は、人工衛星が地上局に近づく場合には周波数が上昇する方向+Δf(波長でいえば短波長の方向)へシフトする。一方、人工衛星が地上局から遠ざかる場合には、周波数が減少する方向−Δf(波長でいえば長波長の方向)へシフトする。そのため、周波数シフト量算出部107が出力する信号が示す周波数は、人工衛星が近づく方向の場合は、周波数が減少する方向へ変化し、人工衛星が遠ざかる場合は周波数が上昇する方向へ変化する。周波数シフト量算出部107は、通信開始時刻から通信終了時刻までの間、人工衛星の位置情報及び速度情報から逐次周波数シフト量を算出する。
【0055】
一方、周波数オフセット制御部106は、データ変調部103で変調される信号光のデータ変調帯域と周波数シフト量算出部107が算出する周波数シフト量とのそれぞれの最大値を考慮して、これらの和より大きい周波数である周波数オフセットfoffsetに対応する信号を発生させる。
【0056】
例えば、50Gbpsのデータレートで単一偏波QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式によりデータ変調を行った光信号を送信する場合を考えた場合、送信信号のボーレートは25GHzとなる。ここで、ドップラーシフト等による最大周波数シフト量が10GHzであると仮定すると、周波数オフセット制御部106は、25GHz+10GHz=35GHz以上の周波数であるfoffset=40GHzに周波数オフセットを設定する。そして、周波数オフセット制御部106は、周波数が40GHzであることを示す信号を出力する。
【0057】
ここで、周波数オフセット制御部106及び周波数シフト量算出部107が出力する「周波数と対応する信号」は、周波数に比例した直流電圧とし、周波数印加部105はこれらの直流電圧の和の電圧の直流電圧を出力するようにしてもよい。
【0058】
光周波数シフタ部104には、光源部102で発生された光をデータ変調部103で変調した波長λS(=c/fs)の信号光110が入射される。周波数印加部105は加算された周波数foffset±Δfを示す信号を出力する。
【0059】
光周波数シフタ部104は、周波数印加部105から入力された信号に基づいて、信号光110の周波数をfoffset±Δfだけシフトさせる。例えば、光周波数シフタ部104は、周波数印加部105から入力された信号の直流電圧に比例する周波数をVCOに発振させ、VCOの出力をMZMに印加することで信号光の周波数をシフトさせてもよい。この際、光周波数シフタ部104は、信号キャリア周波数がfs+foffset±Δf(=c/(λs+λoffset±Δλ))である光信号111と3次以上の高調波成分とを同時に出力する。
【0060】
光周波数シフタ部104から出力された光信号111は、光送信アンテナより空間へ放射される。この送信信号光が光搬送波周波数の動的なシフトが生じるチャンネルを伝搬中に、周波数シフト±Δfはキャンセルされる。その結果、受信器は信号光キャリア周波数がfs+foffsetである受信光119を光受信アンテナを経て受信する。
【0061】
光増幅部116は、受信光119を増幅する。コヒーレント受信部112は、光増幅部116で増幅された受信光を、コヒーレント受信技術を用いて電気信号に変換する。コヒーレント受信部112は、例えば90°ハイブリッド光回路、バランストディテクタ、電気帯域通過フィルタ及びアナログ/デジタル変換器(analog−digital converter、ADC)等によって構成されている。コヒーレント受信部112の一般的な構成は知られているので、その構成及び作用の詳細な説明は省略する。コヒーレント受信部112は、光増幅部116で増幅された受信光と局部発振光源114から出力される局発光とを混合して、ベースバンド変調信号を復調する。具体的には、局発光の光周波数fLOは、受信される受信光119の周波数fs+foffsetとほぼ同程度になるように設定される。
【0062】
ここで、局部発振光源114の周波数fLOと光源部102の周波数fsとが大きく異なっていると、デジタル信号処理部113においてこれらの周波数差の補償が困難となる場合がある。そこで、周波数オフセット制御部106は、受信器115が受信する信号光の周波数fs+foffsetが局部発振光源114の周波数fLOとほぼ同一となるような周波数にfoffsetをあらかじめ設定してもよい。その結果、局部発振光源114の周波数fLOと光源部102の周波数fsとが異なっている場合でも、デジタル信号処理部113において、受信器115が受信する信号光と局部発振光源114との周波数差を補償することが可能となる。
【0063】
そして、コヒーレント受信部112において、イントラダイン検波したベースバンド変調信号をADCによりサンプリングすることでデジタル化された変調信号が得られる。また、受信器で受信されたデータ信号のうち、コヒーレント受信部112の受信帯域外の高次の高調波成分は、データ信号に影響を与えることなく除去される。
【0064】
デジタル信号処理部113は、受信した信号に対して波形整形、位相抽出、周波数偏差及び位相偏差の補償等を行い、データを復調する。
【0065】
このように、第1の実施形態の光通信システムにおいては、送信器の光源の波長と、受信器の局部発振光源の波長が、互いに周波数オフセット量だけ離れている。そして、周波数オフセットは、送信器において、データ変調帯域と周波数シフト量との和より大きい周波数となるように生成されるので、光周波数シフタから出力される3次高調波成分は、信号光から復調されたデータの帯域と重複しない。その結果、第1の実施形態の光通信システムにおいては、送信器の光周波数シフタ部で生じる高調波成分による光信号対雑音比の悪化を軽減することが可能となる。
【0066】
また、第1の実施形態の光通信システムは、信号光キャリア周波数を、移動体の動きに基づいて発生する周波数シフトを相殺するようにさらにシフトさせる。このため、第1の実施形態の光通信システムにおいては、移動体の動きに基づいて発生する、受信光と局発光の周波数差を低減することができる。その結果、第1の実施形態の光通信システムにおいては、オーバーサンプリングを行うことなく受信データのシンボルの位相をより正確に検出できる。
【0067】
このように、第1の実施形態の光通信システムは、通信システムの通信品質を向上させるという効果を奏する。加えて、第1の実施形態の光通信システムは、オーバーサンプリングを行って受信データの位相補償精度を向上させる構成と比較して、デジタル信号処理の際の処理量を軽減させることができる。その結果、第1の実施形態の光通信システムは、デジタル信号処理回路の規模を小さくすることができ、送信器のデジタル信号処理回路の低消費電力化を図ることができるという効果も奏する。
【0068】
また、第1の実施形態において、データ信号の帯域幅(全幅)をWとした場合、周波数オフセット量をW/4以上に設定してもよい。周波数オフセット量を少なくともW/4以上に設定すれば、光周波数シフタ部で生じる3次高調波成分とデータ信号の周波数成分は重ならない。従って、周波数オフセット量をW/4以上に設定した場合も、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
なお、図3に示した光通信システムにおいて、送信器101は、光源部102、データ変調部103、光周波数シフタ部104及び周波数オフセット制御部106のみを備え、周波数オフセット制御部106の出力は直接光周波数シフタ部104に入力されていてもよい。この場合、周波数オフセット制御部106は、信号光キャリア周波数をシフトさせることで移動体の動きに基づいて発生する周波数シフトを相殺するように光周波数シフタ部104を制御する。その結果、光源部102、データ変調部103、光周波数シフタ部104及び周波数オフセット制御部106のみを備える送信器も、上述した第1の実施形態の効果を得ることができる。
【0070】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態の光通信システムの構成を示す図である。第2の実施形態の光通信システム20においては、送信器201から送信される信号光データは、光空間通信などの信号キャリア周波数の動的なシフトが生じるチャンネル204を経由して、デジタルコヒーレント光通信方式を適用した受信器206で受信される。
【0071】
送信器201は、光源部202及びデータ変調部203を備える。送信器201においては、光源部202が発生した周波数fs(=c/λS)の光搬送波は、データ変調部203により変調されてチャンネル204に放射される。
【0072】
受信器206は、光増幅部208、コヒーレント受信部209、デジタル信号処理部210、局部発振光源211及び光周波数シフタ部212を備える。受信器206は、さらに、周波数印加部213、周波数オフセット制御部214、周波数シフト量算出部215及び位置情報算出部216を備える。
【0073】
図3で説明した光通信システム10では、送信器101においてデータ変調部103の出力と周波数印加部105の出力とが光周波数シフタ部104に入力されていた。これに対して、図4に示す光通信システム20では、受信器206において、局部発振光源211の出力と周波数印加部213の出力とが光周波数シフタ部212に入力されている。
【0074】
図5は、第2の実施形態において、送信された光信号の周波数及び局発光の周波数の関係を示す図である。
【0075】
図5(a)は、地上局に近づく人工衛星の送信器から出射された信号光の周波数fsが、ドップラーシフト等の周波数シフト+Δfを受けて周波数がfs+Δfとなることを示す。受信器206は、周波数シフト+Δfを受けた信号光を受信する。
【0076】
図5(b)は、地上局に近づく人工衛星の送信器から出射された信号光を受信する場合において、受信器206における局部発振光源211の周波数fLOをシフトさせる様子を示している。
【0077】
受信器206が備える光周波数シフタ部212は、図3で説明した光周波数シフタ部104と同様に、周波数印加部213の出力に基づいて、局部発振光源211の周波数fLOをシフトさせる。周波数印加部213には、周波数オフセット制御部214及び周波数シフト量算出部215の出力が入力される。また、周波数シフト量算出部215の出力は、位置情報算出部216によって制御される。
【0078】
そして、周波数シフトによって周波数がfs+Δfとなった受信光と周波数fLOの局発光とでイントラダイン検波を行う。このため、光周波数シフタ部212は、コヒーレント受信部209に入力される局発光の周波数と受信光の光搬送波の周波数fs+Δfとがほぼ一致するように局発光の波長fLOをシフトさせる。
【0079】
位置情報算出部216及び周波数シフト量算出部215は、図3で説明した位置情報算出部108及び周波数シフト量算出部107と同様の機能を備える。すなわち、位置情報算出部216は、人工衛星及び地上局の位置情報を周波数シフト量算出部215へ出力する。周波数シフト量算出部215は、位置情報算出部216から入力された位置情報に基づいて人工衛星と地上局との相対的な速度を算出する。そして、周波数シフト量算出部215は、ある時刻における受信された信号光の周波数シフト量と周波数シフトの向きとを推定し、それらに対応する信号を周波数印加部213に出力する。
【0080】
周波数オフセット制御部214は、周波数シフト量算出部215が算出した周波数シフト量Δfと受信した変調信号の帯域とを加算した周波数より大きい周波数を与える周波数オフセット量foffsetを設定し、周波数オフセット量に対応する信号を周波数印加部213に出力する。
【0081】
周波数印加部213は、周波数オフセット量foffsetと周波数シフト量Δfとが加算された周波数に対応する信号を光周波数シフタ部212に入力する。
【0082】
図5(b)に示すように、光周波数シフタ部212からは、周波数がfLO−foffset+Δfである光と、周波数が3(foffset−Δf)で表記できる3次の高調波とが出力される。
【0083】
ここで、第1の実施形態と同様に、周波数オフセット制御部214及び周波数シフト量算出部215は、「周波数と対応する信号」として、周波数に比例した直流電圧を出力してもよい。そして、周波数印加部213はこれらの直流電圧の和の電圧の直流電圧を光周波数シフタ部212へ出力するようにしてもよい。そして、光周波数シフタ部212は、周波数オフセット量foffsetと周波数シフト量Δfとが加算された周波数の信号をVCOに発振させ、VCOの出力をMZMに印加して受信された信号光の周波数をシフトさせてもよい。
【0084】
図5(c)は、受信器のコヒーレント受信部209において、光増幅部208で増幅された受信光218と光周波数シフタ部212によって周波数がシフトされた局発光とが混合され、ベースバンド変調信号に変換される様子を示す。ベースバンド変調信号は、受信帯域内に収まるように受信される。この際に、光周波数シフタ部212で発生した3次の高調波成分は除去される。
【0085】
図5(d)〜図5(f)は、各々地上局から遠ざかる人工衛星の送信器から放射された信号光を受信する場合について説明する図である。図5(d)〜図5(f)は、人工衛星が地上局に近づく場合について説明した図5(a)〜図5(c)における周波数シフトを+Δfから−Δfに置き換えたものである。
【0086】
すなわち、図5(d)は、地上局から遠ざかる人工衛星の送信器から出射された信号光の周波数fsが、ドップラーシフト等により周波数シフト−Δfを受け、周波数がfs−Δfとなる様子を示す。
【0087】
また、図5(e)は、地上局から遠ざかる人工衛星の送信器から出射された信号光を受信する場合において、受信器206における局発光の周波数を示す。
【0088】
さらに、図5(f)は、受信器のコヒーレント受信部209において、光増幅部208から出力された受信光と光周波数シフタ部212から出力された局発光とが混合され、ベースバンド変調信号が生成される様子を示す。
【0089】
このように、第2の実施形態の光通信システムにおいては、送信器の光源の周波数と、受信器の局部発振光源の周波数とが、互いに周波数オフセット分だけ離れている。そして、周波数オフセットは、受信器において、データ変調帯域と周波数シフト量との和より大きい周波数となるように生成される。その結果、第2の実施形態の光通信システムにおいては、受信器の光周波数シフタ部212で生じる高調波成分による光信号対雑音比の低下を軽減することが可能となる。
【0090】
また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、データ信号の帯域幅(全幅)をWとした場合、周波数オフセット量をW/4以上に設定してもよい。周波数オフセット量を少なくともW/4以上に設定すれば、光周波数シフタ部212で生じる3次高調波成分とデータ信号の周波数成分は重ならない。従って、周波数オフセット量をW/4以上に設定した場合も、上記と同様の効果が得られる。
【0091】
また、第2の実施形態の光通信システムは、信号光キャリア周波数を、移動体の動きに基づいて発生する周波数シフトを相殺するようにさらにシフトさせる。このため、第2の実施形態の光通信システムにおいては、移動体の動きに基づいて発生する、受信光と局発光の周波数差を低減することができる。その結果、第2の実施形態の光通信システムにおいては、オーバーサンプリングを行うことなく受信データのシンボルの位相をより正確に検出できる。
【0092】
このように、第2の実施形態の光通信システムも、第1の実施形態の光通信システムと同様に、通信システムの通信品質を向上させるという効果を奏する。また、第2の実施形態の光通信システムは、オーバーサンプリングを行って受信データの位相補償精度を向上させる構成と比較して、デジタル信号処理の際の処理量を軽減させることができる。その結果、第2の実施形態の光通信システムは、デジタル信号処理回路の規模を小さくすることができ、受信器のデジタル信号処理回路の低消費電力化を図ることができるという効果も奏する。
【0093】
なお、図4に示した光通信システム20において、受信器206は、コヒーレント受信部209、光周波数シフタ部212、局部発振光源211及び周波数オフセット制御部214のみを備え、周波数オフセット制御部214の出力は直接光周波数シフタ部212に入力されていてもよい。この場合、周波数オフセット制御部214は、信号光キャリア周波数をシフトさせることで移動体の動きに基づいて発生する周波数シフトを相殺するように光周波数シフタ部212を制御する。その結果、コヒーレント受信部209、光周波数シフタ部212、局部発振光源211及び周波数オフセット制御部214のみを備える受信器206も、上述した第2の実施形態の効果を得ることができる。
【0094】
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態の光通信システムの構成を示す図である。光通信システム30は、信号キャリア周波数の動的なシフトを生じさせるチャンネル304と、デジタルコヒーレント送受信方式を適用した送信器301と、受信器306を備える。
【0095】
図6に示す光通信システム30は、図4で説明した周波数シフト量算出部215と位置情報算出部216とに代えて、周波数差抽出回路315を備える。
【0096】
チャンネル304を伝搬中に信号光キャリアが受ける周波数シフト量は、送信器301と受信器306との相対速度の変化に追従して、受信開始時から終了時まで随時変化している。
【0097】
光通信システム30においては、位置情報に基づいて周波数シフトを行う構成に代えて、光周波数シフタ部312から出力される局発光の周波数を逐次受信光の光キャリア周波数に追随させるように光周波数シフタ部312を制御する。その結果、光通信システム30では、周波数シフト量を位置情報から計算する場合と比較して、さらに正確に周波数シフト量を補正することが可能となる。
【0098】
周波数差抽出回路315には、受信した信号光と光周波数シフタ部312から出力される局発光とが入射される。周波数差抽出回路315は、入力されたこれらの信号の周波数差(すなわち、周波数シフト量)を検出して周波数印加部313に出力する。
【0099】
周波数差抽出回路315で検出された周波数差は、周波数印加部313を経て、光周波数シフタ部312に印加され、周波数差が小さくなるように制御される。
【0100】
ここで、周波数差抽出回路315は、バランストディタクタ等で一旦周波数差を高周波ビート信号に変換した後、位相同期ループ回路で周波数差を検出するように構成してもよい。
【0101】
また、局部発振光源311及び光周波数シフタ部312に代えてモード同期半導体レーザ等の周波数可変発光デバイスを用いてもよい。そして、周波数印加部313の出力によってモード同期半導体レーザの出力周波数を直接制御して、モード同期半導体レーザの出力をコヒーレント受信部309及び周波数差抽出回路315に入力するように構成してもよい。
【0102】
このように、第3の実施形態の光通信システムにおいては、光周波数シフタ部から出力される局発光の周波数を逐次受信光の光搬送波の周波数に追随させるように、光周波数シフタ部を制御する。その結果、第3の実施形態の光伝送システムは、第2の実施形態の光伝送システムと同様の効果を奏するとともに、さらに正確に周波数シフト量を補正したデジタルコヒーレント送受信方式が構築できる。
【0103】
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態のエミュレーションシステム40の構成を示す図である。エミュレーションシステム40は、デジタルコヒーレント光通信方式を適用した送信器401及び受信器403と、光空間通信伝搬時に生じる周波数シフト量を擬似的に発生させるエミュレータ402とを備える。
【0104】
周波数シフトが通信方式に与える影響を検証することは、特にデジタルコヒーレント方式による光空間通信技術の構築において重要となる。そして、人工衛星等の移動体との光空間通信の際に生じる周波数シフトを発生させるためには、送信器が搭載された移動体を高速で移動させる必要がある。しかしながら、自動車や航空機を移動体として用いても、低軌道人工衛星が移動することで発生する±10GHz前後の周波数シフトを発生させることはできない。第4の実施形態は、送信器が高速で移動する場合の周波数シフトをエミュレートするためのエミュレーションシステムを提供する。
【0105】
図7に示すエミュレーションシステム40における送信器401は、図3で説明した送信器101において、光周波数シフタ部104とその駆動部である周波数印加部105、周波数オフセット制御部106、周波数シフト量算出部107を送信器101から分離し、エミュレータ402として構成したものである。
【0106】
図3で説明した周波数シフト量算出部107及び位置情報算出部108は、図7においては周波数シフト量エミュレーション部411として記載されている。周波数シフト量エミュレーション部411は、任意の時刻に任意の周波数シフト量±Δfに対応する信号を周波数印加部409に出力する。図7における光周波数シフタ部408、周波数印加部409及び周波数オフセット制御部410の動作は、それぞれ図3における光周波数シフタ部104、周波数印加部105及び周波数オフセット制御部106と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0107】
送信器401とエミュレータ402との間、及び、エミュレータ402と受信器403との間は、光伝送路407で接続されている。光伝送路407は、例えば光ファイバもしくは空間光伝送路である。このような構成によって、エミュレーションシステム40は、信号光の周波数シフトをエミュレートすることが可能である。その結果、第4の実施形態のエミュレーションシステム40は、高速で移動する物体を用意することなく周波数シフトが発生する環境下における光通信システムの性能評価を可能とする。
【0108】
なお、図7に示すエミュレーションシステム40において、送信器401を図3で説明した送信器101に置き換えてもよい。送信器401を送信器101に置き換えた構成により、エミュレータ402によって与えられる周波数シフトを、送信器101が備える光周波数シフタ部104において事前に補償する動作のエミュレーションが可能となる。
【0109】
あるいは、図7に示すエミュレーションシステム40において、受信器403を図4で説明した受信器206又は図6で説明した受信器306に置き換えてもよい。受信器403を受信器206又は306に置き換えた構成により、エミュレータ402が備える光周波数シフタ部408によって光信号が受けた周波数シフトを、受信器206又は306が補償する動作のエミュレーションが可能となる。
【0110】
このように、第4の実施形態のエミュレーションシステムは、高速に移動する移動体からの送信光が受ける周波数シフトの影響をエミュレートした受信光を容易に作り出すことができ、光通信システムの性能検証を簡便化、低コスト化することができる。
【0111】
[第5の実施形態]
図8は、本発明の第5の実施形態として、人工衛星と地上局との間の通信のハンドオーバ方法を説明するための図である。図8においては、図3で説明した送信器101が人工衛星850に配置され、受信器115が地上局851及び地上局852に配置されているものとする。
【0112】
当初、人工衛星850からは、地上局851へ周波数fs+foffset+fd1の信号キャリア周波数で通信リンクが設定されているものとする。ここで、fd1は、人工衛星850と地上局851との位置情報から算出される周波数シフト量である。
【0113】
雲等の影響で光が減衰して人工衛星850から地上局851への通信リンクが遮断された場合には、代替回線を確保するために、人工衛星850は、リンク回線を別の地上局852にハンドオーバさせて障害を早急に回復させる必要がある。
【0114】
図8を用いて、人工衛星850から地上局851へのリンク回線を、人工衛星850から地上局852へのリンク回線へハンドオーバする際の光周波数シフト量制御を説明する。
【0115】
地上局851への通信リンクが遮断された場合、人工衛星850は、直ちに地上局852への周波数シフト量fd2を推定して算出する。そして、人工衛星850は、送信器に搭載された光周波数シフタ部で予め、推定算出された周波数シフト量分の光周波数シフトとオフセット周波数を加味して地上局852の局発光の周波数とほぼ同値になるようにシフトさせてデータを送信する。これにより、ハンドオーバ先である地上局852における受信時の周波数差を小さくすることが可能となる。
【0116】
また、地上局851と地上局852とのそれぞれの受信器が備える局部発振光源の周波数が大きく異なる可能性もある。このような場合には、地上局852の受信器における局発光と受信光との周波数差が所定の範囲内となるように、人工衛星850の送信器は周波数オフセットfoffsetの値を変更してもよい。
【0117】
このように、第5の実施形態のハンドオーバ方法においては、ある地上局への通信リンクが遮断された場合、人工衛星は、直ちに代替の地上局の周波数シフト量を算出する。そして、人工衛星は、算出された周波数シフト量分の光周波数シフトとオフセット周波数を加味して地上局の局発光の周波数とほぼ同値になるようにシフトさせてデータを送信する。その結果、第5の実施形態のハンドオーバ方法においては、障害発生時に短時間で回線のハンドオーバを行うことができる。
【0118】
この出願は、2011年3月25日に出願された日本出願特願2011−67698号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調して信号光として出力する光データ変調手段と、
前記信号光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて前記第1の周波数から第2の周波数へシフトさせて出力する光周波数シフト手段と、
前記光周波数シフト手段で生じる高調波成分が前記データ信号の帯域と重複しないように前記周波数オフセット量を制御する周波数オフセット制御手段と、
を備える送信器。
2. 前記周波数オフセット制御手段は、前記周波数オフセット量を前記データ信号の帯域全幅の4分の1以上となるように制御する、1.に記載された送信器。
3. 前記信号光の伝搬経路において前記信号光に印加される動的な周波数シフト量を出力する周波数シフト量算出手段をさらに備え、
前記光周波数シフト手段は、前記周波数オフセット量及び前記動的な周波数シフト量に基づいて前記信号光の周波数を前記第1の周波数から前記第2の周波数へシフトさせる、1.文は2に記載された送信器。
4. 1.乃至3.のいずれかに記載された送信器と、
前記送信器が送信した信号光を受信し、前記信号光を局発光を用いてコヒーレン卜受信する受信器と、を備えた通信システム。
5. 第2の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調した信号光を受信する受信手段と、
第3の周波数を持つ局発光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて前記第2の周波数へシフトさせて出力する光周波数シフト手段と、
前記光周波数シフト手段で生じる高調波成分が前記データ信号の帯域と重複しないように前記周波数オフセット量を制御する周波数オフセット制御手段と、
前記信号光と前記光周波数シフト手段から出力される前記局発光とを用いてコヒーレン卜受信を実行するコヒーレン卜受信手段と、を備える受信器。
6. 前記周波数オフセット制御手段は、前記周波数オフセット量を前記データ信号の帯域全幅の4分の1以上となるように制御する、5.に記載された受信器。
7. 前記信号光の伝搬経路において前記信号光の第1の周波数から前記第2の周波数への周波数シフト量を算出する周波数シフト量算出手段をさらに備え、
前記光周波数シフト手段は、前記周波数オフセット量及び前記周波数シフト量に基づいて前記局発光の周波数を前記第2の周波数へシフトさせて出力する、5.文は6に記載された受信器。
8. 第1の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調して信号光として出力する光データ変調手段を備える送信器と、前記第1の周波数から第2の周波数へ光搬送波の周波数がシフ卜した信号光を受信するように構成された5.乃至7.のいずれかに記載された受信器と、を備えた通信システム。
9. 第1の周波数を持つ光搬送波をデータ信号で変調して信号光として出力し、
前記信号光の周波数を所定の周波数オフセット量に基づいて前記第1の周波数から第2の周波数へシフトさせて出力し、
前記第2の周波数へのシフトの際に生じる高調波成分が前記データ信号の帯域と重複しないように前記周波数オフセット量を制御する、送信方法。
10. データ信号で変調された、第2の周波数を持つ信号光を受信し、
第3の周波数を持つ局発光の周波数を、所定の周波数オフセット量に基づいて前記第2の周波数へシフトさせて出力し、
前記第2の周波数へのシフトの際に生じる高調波成分が前記データ信号の帯域と重複しないように前記周波数オフセット量を制御し、
前記信号光と前記第2の周波数へシフトさせた前記局発光とを用いてコヒーレン卜受信を実行する、受信方法。
図1
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